JP6744006B2 - 未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法 - Google Patents

未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像形成装置等に用いられるスポンジローラの形成のために用いられる、未膨張マイクロバルーンを前処理し、シリカ粉末が付着していない未膨張マイクロバルーンを得るための、未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法に関する。
多孔質構造を持つゴムスポンジは、例えば、画像形成装置用の各種ローラ、洗浄用スポンジ、水、油等の流体吸収用スポンジ、印材等に好適に利用されている。
このようなゴムスポンジは、例えば、発泡剤を用いる発泡成形法、未膨張マイクロバルーン等とも呼称される中空微粒子等を用いる方法、予め混入された溶解性粒子を溶出させる溶出法等によって、製造することができる。例えば、画像形成装置用の画像転写ロールの導電性圧縮性層の成形方法として、特許文献1には圧縮性層を形成する合成ゴム配合物中に発泡剤を配合しておき、ゴムの加硫中に発泡させてセルを有する圧縮性層とする発泡成形法、発泡剤に代えて中空微小球を配合しておき、独立したセルを形成する中空微小球混入法、あるいは、水、メタノール等の溶出液に溶出可能な粉体、例えば、塩化ナトリウム、砂糖等を合成ゴム配合物中に配合しておき、加硫後に前記粉体を溶出させることによってセルを有する圧縮性層とする粉体溶出法等が知られていることが記載されている。
より具体的には、マイクロバルーンを用いる方法として、特許文献2には樹脂マイクロバルーンにより形成された空隙部を分散含有する弾性層を芯金の周囲に有する加圧ローラであって該弾性層は、膨張せしめた樹脂マイクロバルーンを含む液状シリコーンゴムを芯金上で、該樹脂マイクロバルーンの軟化点よりも低い温度で加熱して該液状シリコーンゴムを硬化した後、該樹脂マイクロバルーンを破壊することによって該空隙部を生じさせたものであることを特徴とすることが記載されている。
未膨張マイクロバルーンは、熱可塑性樹脂を外殻として形成したカプセルに、低沸点溶媒を封じ込めたもので、熱可塑性樹脂の懸濁重合法等により形成されることが一般的である(例えば、特許文献3参照)。懸濁重合は、通常、分散剤を含有する水系分散媒体中に熱可塑性樹脂を構成する重合性単量体混合物と、低沸点溶媒を投入して分散させ、低沸点溶媒の存在下で重合性単量体混合物を重合させることにより行われている。
特開2005−24902号公報 特許第3658305号公報 特開2015−108153号公報
ここで、未膨張マイクロバルーンの形成にあたり、熱可塑性樹脂を構成する重合性単量体混合物の懸濁重合を行う場合、分散安定剤としてコロイダルシリカ等のシリカ粒子を使用するため、形成された未膨張マイクロバルーンの外殻に、シリカ粉末が残存して付着した状態となることが知られていた。そして、このような表面にシリカ粉末が残存した未膨張マイクロバルーンをそのまま使用してスポンジローラを形成した場合、セル壁のシリカ濃度が高くなる等して、スポンジ物性の低下が懸念されていた。しかしながら、未膨張マイクロバルーンの表面に残存するシリカ粉末は、未膨張マイクロバルーンの外殻に比較的強固に結合しており、未膨張マイクロバルーンの外殻からシリカ粉末を完全に除去することは容易ではなかった。したがって、本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、未膨張マイクロバルーンの表面に残存したシリカ粉末を、略完全に除去可能な、未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、未膨張マイクロバルーンを、所定の媒体中で浮上・沈降分離する工程と、未膨張マイクロバルーンを洗浄する工程と、未膨張マイクロバルーンを所定のアルカリ性媒体中で攪拌して回収する工程と、未膨張マイクロバルーンを洗浄する工程と、を順に有する未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法によれば、上記課題を解決できることを偶然見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の態様は、表面にシリカ粉末が付着した未膨張マイクロバルーンを、媒体中に投入して静置し、前記媒体の界面に浮上した未膨張マイクロバルーンを回収する浮上・沈降分離工程と、浮上・沈降分離工程で回収した未膨張マイクロバルーンを洗浄する第1の洗浄工程と、第1の洗浄工程で洗浄した未膨張マイクロバルーンを、アルカリ性媒体中で撹拌し、前記アルカリ性媒体の界面に浮上した未膨張マイクロバルーンを回収するアルカリ性媒体処理工程と、アルカリ性媒体処理工程で回収した未膨張マイクロバルーンを洗浄する第2の洗浄工程と、第2の洗浄工程で洗浄した未膨張マイクロバルーンを乾燥させて、表面にシリカ粉末が付着していない未膨張マイクロバルーンを得る乾燥工程と、を有する、未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法であって、浮上・沈降分離工程における媒体が、比重0.9以上2.2以下の媒体であり、アルカリ性媒体処理工程におけるアルカリ性媒体が比重0.9以上2.2以下であることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法であって、アルカリ性媒体処理工程におけるアルカリ性媒体のpHが12以上14以下であることを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法であって、第1の洗浄工程及び第2の洗浄工程において、目開き5μm以上8μm以下のメンブレンフィルター上で、未膨張マイクロバルーンを洗浄することを特徴とするものである。
本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法は、所定の媒体及びアルカリ性媒体に未膨張マイクロバルーンを投入して、浮上した未膨張マイクロバルーンを回収する。この際、シリカ粉末は、媒体及びアルカリ性媒体中で浮上せず、沈降するので、未膨張マイクロバルーンとシリカ粉末を効果的に分離することができる。また、本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法においては、未膨張マイクロバルーンをアルカリ性媒体に投入するので、シリカ粉末が未膨張マイクロバルーンから分離されやすい。また、過度の高濃度アルカリ性媒体や過度の加熱溶解処理を行うと、マイクロバルーンを形成する樹脂まで破壊されてしまうが、本発明の前処理を行った未膨張マイクロバルーンは表面シリカが除去されても樹脂までは破壊されないため、その後のスポンジローラ形成を可能にしている。
本発明により得られる未膨張マイクロバルーンを用いたスポンジローラを示す説明図である。 本発明により得られる未膨張マイクロバルーンを用いたスポンジローラを定着装置に組み込んでなる画像形成装置の一例を示す説明図である。 本発明の実施例及び比較例の未膨張マイクロバルーンの表面状態を示す電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法>
本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法は、浮上・沈降分離工程と、第1の洗浄工程と、アルカリ性媒体処理工程と、第2の洗浄工程と、乾燥工程と、を有する。
[未膨張マイクロバルーン]
一般に、未膨張マイクロバルーンは、画像形成装置等におけるスポンジローラにおいて、多孔質の弾性層を形成する際に使用される。スポンジローラの形成に当たっては、後述するように、ミラブル型シリコーンゴムに未膨張マイクロバルーンや化学発泡剤を混合し、所定の条件で、未膨張マイクロバルーンや化学発泡剤を発泡させて、多数のセルが形成された多孔質の弾性層を有するスポンジローラを形成する。
本発明において言及する未膨張マイクロバルーンは、膨張していない樹脂マイクロバルーンを指し、一般に、本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法の前の段階において、未膨張マイクロバルーンの表面には、シリカ粉末が付着した状態にある。
前述のとおり、未膨張マイクロバルーンの製造に当たっては、懸濁重合法を用いることができ、通常、分散剤を有する水性分散媒体中に重合性単量体混合物、発泡剤、重合開始剤等を投入し、反応混合液を十分に懸濁した条件下で、重合性単量体を重合させることにより、外殻を形成し、外殻の内部に発泡剤を封入する。前述のとおり、この際、コロイダルシリカ等の無機微粒子を分散安定剤として用いるが、この分散安定剤であるシリカ粉末が未膨張マイクロバルーンの表面に残存するため、本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法により、未膨張マイクロバルーンとシリカ粉末を分離する必要がある。
樹脂マイクロバルーンとしては、外殻に熱可塑性樹脂を用いたものが好ましく用いられる。外殻を構成する熱可塑性樹脂としては、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート/アクリロニトリル共重合体、メタアクリロニトリル/アクリロニトリル共重合体等を挙げることができる。一般には、スポンジローラの弾性層の形成に用いられるシリコーンゴムの硬化温度に合わせて、外殻となる樹脂の軟化温度が適当な範囲内にある樹脂マイクロバルーンを用いることが好ましい。また、内包される蒸発性物質である発泡剤としては、ブタン、イソブタン等の炭化水素を挙げることができる。
本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法を好適に適用可能な、未膨張の樹脂マイクロバルーンとしては、「マツモトマイクロスフェアーFシリーズ」(松本油脂製薬社製)、「エクスパンセルシリーズ」(エクスパンセル社製)等を挙げることができるが、これら以外にも、従来公知の未膨張マイクロバルーンに対して、本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法を適用することができる。
[浮上・沈降分離工程]
本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法における浮上・沈降分離工程においては、表面にシリカ粉末が付着した未膨張マイクロバルーンを、好ましくは比重0.9以上2.2以下の媒体中に投入して静置し、媒体の界面に浮上した未膨張マイクロバルーンを回収する。これは、比重0.9以上2.2以下の媒体中においては、未膨張マイクロバルーン自体は浮上する傾向にあるものの、シリカ粉末については沈降する傾向にあることが見出されたためで、これにより、比重差による未膨張マイクロバルーンとシリカ粉末の分離が実現する。未膨張マイクロバルーンを投入する媒体としては、未膨張マイクロバルーンの外殻の熱可塑性樹脂を変性させない水性媒体であることが好ましいが、未膨張マイクロバルーンを投入する媒体の比重は、未膨張マイクロバルーンの比重に併せて、適宜設定することが好ましい。未膨張マイクロバルーンを投入する媒体としては、水や、エチレングリコール等の有機溶媒を使用することが好ましく、水を使用することが最も好ましい。
[第1の洗浄工程]
第1の洗浄工程においては、浮上・沈降分離工程において、未膨張マイクロバルーンを投入した媒体の界面付近から回収した未膨張マイクロバルーンを洗浄する。回収した未膨張マイクロバルーンを洗浄する際の洗浄媒体は、水性媒体であることが好ましく、pHが6以上8以下の水性媒体であることがより好ましく、水であることが特に好ましい。第1の洗浄工程において、未膨張マイクロバルーンを洗浄する際には、目開き5μm以上8μm以下のメンブレンフィルター上で、未膨張マイクロバルーンを洗浄することが好ましい。ここで、通常、未膨張マイクロバルーンの平均粒径は10μm以上であるので、上記の目開きのメンブレンフィルターを使用することにより、メンブレンフィルター上に未膨張マイクロバルーンが保持される一方で、より粒度の細かいシリカ粉末は洗浄媒体とともに洗い流されることとなる。第1の洗浄工程において、未膨張マイクロバルーンを洗浄する際には、未膨張マイクロバルーンが保持されるメンブレンフィルターの面の反対面から、洗浄媒体を吸引してもよい。これにより、より効率的な未膨張マイクロバルーンの洗浄が実現される。
[アルカリ性媒体処理工程]
アルカリ性媒体処理工程においては、第1の洗浄工程で洗浄した未膨張マイクロバルーンを、好ましくは比重0.9以上2.2以下のアルカリ性媒体中で攪拌し、このアルカリ性媒体の界面に浮上した未膨張マイクロバルーンを回収する。比重0.9以上2.2以下のアルカリ性媒体としては、水性媒体であることが好ましく、アルカリ性水溶液であることがより好ましい。使用できるアルカリ性水溶液としては、具体的には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化ベリリウム水溶液、水酸化バリウム水溶液等、従来公知のアルカリ金属水酸化物水溶液及びアルカリ土類金属水酸化物水溶液を挙げることができる。アルカリ性水溶液のpHは、10以上14以下であることが好ましく、12以上13以下であることがより好ましい。
アルカリ性媒体処理工程において、アルカリ性媒体中で未膨張マイクロバルーンを攪拌する場合、比較的高強度で、長時間未膨張マイクロバルーンを攪拌する。具体的には、150rpm以上350rpm以下の攪拌強度で、5時間以上10時間以下攪拌することが好ましい。また、アルカリ性媒体の温度は、40℃以下であることが好ましい。
[第2の洗浄工程]
第2の洗浄工程においては、アルカリ性媒体処理工程において、未膨張マイクロバルーンを投入したアルカリ性媒体の界面付近から回収した未膨張マイクロバルーンを洗浄する。回収した未膨張マイクロバルーンを洗浄する際の洗浄媒体は、水性媒体であることが好ましく、pHが6以上8以下の水性媒体であることがより好ましく、水であることが特に好ましい。第2の洗浄工程において、未膨張マイクロバルーンを洗浄する際には、目開き5μm以上8μm以下のメンブレンフィルター上で、未膨張マイクロバルーンを洗浄することが好ましい。第2の洗浄工程において、未膨張マイクロバルーンを洗浄する際には、未膨張マイクロバルーンが保持されるメンブレンフィルターの面の反対面から、洗浄媒体を吸引してもよい。これにより、より効率的な未膨張マイクロバルーンの洗浄が実現される。
[乾燥工程]
乾燥工程においては、第2の洗浄工程で洗浄した未膨張マイクロバルーンを乾燥させる。未膨張マイクロバルーンの乾燥は、従来公知の手段により行えばよく、特に限定されないが、場合によっては、減圧下で乾燥させてもよい。
本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法により処理した未膨張マイクロバルーンは、その表面にシリカ粉末が付着していないものとなる。したがって、本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法により処理した未膨張マイクロバルーンを使用することにより、セル壁のシリカ濃度が高くなることがなく、スポンジの物性低下が抑制される。
<スポンジローラ>
次に、本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法により処理された未膨張マイクロバルーンを使用したスポンジローラ1について説明する。スポンジローラ1は、図1に示されるように、芯金とも称される軸体2と、その軸体2の外周面に形成された弾性層3とを有する。4は、弾性層3の表面に必要に応じて形成されるフッ素樹脂層である。
前記軸体は、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で形成されたいわゆる芯金と称される長尺状円柱体である。軸体は装着される画像形成装置に応じて適切な直径及び軸線方向の長さに調整される。
画像形成装置にスポンジローラが組み込まれる場合、この軸体は通常5.0mm以上40mm以下の直径を有し、また、一端から他端までの軸長は、通常150mm以上1000mm以下である。
[弾性層]
弾性層は、ミラブル型シリコーンゴムと、架橋剤と、上述の未膨張マイクロバルーンと、必要に応じて化学発泡剤と、で形成される。
(ミラブル型シリコーンゴム)
ミラブル型シリコーンゴムは、硬化する前の状態が天然ゴムや通常の合成ゴムの未加硫配合ゴムに類似していて、練りロール機あるいは密閉式の混合機等で可塑化・混合することができるシリコーンゴムコンパウンドである。
好適なミラブル型シリコーンゴムは、以下に示す成分(A)から成分(E)を含有してなる。
(A)下記平均組成式(I)で表される重合度が100以上のオルガノポリシロキサン
1 aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は同一又は異種の非置換若しくは置換の一価炭化水素基を示し、aは1.95〜2.05の正数である。)
(B)BET吸着法による比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ
(C)下記一般式(II)で示されるアルコキシシラン
2mSi(OR34-m (II)
(式中、R2は独立に水素原子又は非置換若しくは置換の一価炭化水素基であり、R3は同
一又は異種の非置換若しくは置換のアルキル基であり、mは0,1,2又は3である。)
(D)水
(E)下記一般式(III)で示されるヘキサオルガノジシラザン
4 3SiNHSiR4 3 (III)
(式中、R4は同一又は異種の一価炭化水素基を示す。)
この発明におけるミラブル型シリコーンゴムとしては、上述したものの外に、信越化学工業株式会社製のKE−571−U、KE−1571−U、KE−951−U、KE−541−U、KE−551−U、KE−561−U、KE−961T−U、KE−1541−U、KE−1551−U、KE−941−U、KE−971T−Uを使用することができる。
(化学発泡剤)
スポンジローラの製造に当たっては、弾性層の形成に、上述の未膨張マイクロバルーンに加えて化学発泡剤を用いてもよい。化学発泡剤としては、従来、弾性層の形成に用いられる発泡剤であればよく、例えば、無機系発泡剤として、重炭酸ソーダ、炭酸アンモニウム等が挙げられ、有機系発泡剤として、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体、アゾジカルボン酸誘導体等の有機アゾ化合物等が挙げられる。有機アゾ化合物の中でも、アゾジカルボン酸アミド、アゾビス−イソブチロニトリル等が好適に使用される。特に、アゾビス−イソブチロニトリルが好適に使用できる。
[弾性層の寸法等]
弾性層は、軸体の外周面に円柱状に形成され、弾性層の厚みは通常0.5mmから30mmであり、好ましくは1mmから15mmである。
[その他]
この弾性層には、この発明の課題を達成することができる限り、低分子シロキサンエステル、シラノール、例えば、ジフェニルシランジオール等の分散剤、酸化鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、接着性や成形加工性を向上させる各種カーボンファンクショナルシラン、難燃性を付与させるハロゲン化合物等をこの発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。
<スポンジローラの製造方法>
この発明に係るスポンジローラは、この発明に係る製造方法により製造することができる。
この発明に係る製造方法においては、まずミラブル型シリコーンゴムと、ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して未膨張マイクロバルーン0.5質量部以上5.0質量部以下と、ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して必要に応じて化学発泡剤0.1質量部以上2.0質量部以下と、架橋剤を配合する。
未膨張マイクロバルーン、化学発泡剤、多孔質充填剤の種類等については既に説明した。架橋剤としては、付加反応架橋剤、及び有機過酸化物架橋剤等を挙げることができる。
付加反応架橋剤としては、例えば、一分子中に二個以上のSiH基(SiH結合)を有する付加反応型の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることができる。付加反応架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。付加反応架橋剤の配合量は、通常、ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して0.1質量部以上3.0質量部以下である。
この付加反応架橋剤を使用する場合、有機過酸化物架橋剤は、単独でミラブル型シリコーンゴムを架橋させることも可能であるが、付加反応架橋剤の補助架橋剤として併用すると、得られるスポンジローラの強度、歪み等の物性をより一層向上させることができる。有機過酸化物架橋剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等を挙げることができる。有機過酸化物架橋剤の配合量は、通常、ミラブル型シリコーンゴム100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下である。有機過酸化物架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
付加反応架橋剤は、付加反応触媒を併用するのが好ましい。付加反応触媒としては白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等を挙げることができる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができる。
混合する方法は特に限定されず、例えば、常温常圧下で、ミラブル型シリコーンゴムに未膨張マイクロバルーン、化学発泡剤、多孔質充填剤、及び架橋剤を順次に、又は一挙に投入して攪拌機、混練器等で均一に混合させる方法等が挙げられる。このようにして混合物を調製する工程が完遂する。
混合物には、各種の添加剤を含めることができる。各種の添加剤として、例えば鎖延長剤等の助剤、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。
前記混合物は、二本ロール、三本ロール、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分以上1時間以下にわたって常温又は加熱下で混練することにより、得ることができる。
次いで、得られた混合物を、スポンジローラを構成するための軸体の外周面に、押出成形による連続加熱成形、プレス、インジェクションによる型成形等によって、加熱成形する。
軸体の外側表面に混合物を円柱状に形成した後に、円柱状の混合物、換言すると、円柱状の成形体を、軸体ごと加熱して加硫する(加熱硬化)。この加熱加硫を行う際の条件は、例えば未膨張マイクロバルーン及び化学発泡剤の種類とその添加量、架橋剤の種類と添加量、加熱温度等によって発泡後の大径セルの平均セル径及び小径セルの平均セル径を所定の範囲に調整することができる。
成形体を加熱して加硫するに際しての加熱を以下のようにすると、特に好ましい。すなわち、一次加硫として、100℃から300℃、特に150℃から250℃に5分から30分間加熱し、次いで二次加硫として180℃から250℃、特に200℃から230℃に、1時間から10時間加熱するのがよい。このように複数の回数をもって加熱すると未膨張マイクロバルーンの膨張、化学発泡剤の分解、ミラブル型シリコーンゴムの硬化、残留する低分子シロキサンの排除、膨張したマイクロバルーンの熱収縮を必要に応じてコントロールすることが可能となって好ましい。このように複数回の加熱操作を行うことにより、未膨張マイクロバルーン由来の、平均セル径が150μm以下である小径のセルと、化学発泡剤由来の、平均セル径が300μm以下である大径のセルとを有する複合セルに調整することができる。なお、大径のセルの平均セル径が小径のセルの平均セル径よりも小さくなることはない。
加硫をするに必要な加熱は、赤外線加熱炉又は熱風炉等の加熱炉、乾燥機等の加熱機等で行うことができる。
このようにして得られるスポンジローラを更に研磨工程に供してもよい。研磨工程は、軸体の外周面に形成されたスポンジローラの形状を、軸体の軸線方向においてスポンジローラの厚みを軸体の中央に向かって徐々に増大させ、軸体の中央から軸体の先端に向かって徐々に減少させる形状、つまりクラウン形状、あるいは軸体の中央から軸体の両端に向かってスポンジローラの厚み増加させる形状、つまり逆クラウン形状、あるいはストレート形状に調整する工程である。
また、前記加硫によって得られたスポンジローラ、あるいは研磨工程により所定の形状に調整されたスポンジローラの外表面を、チューブ、例えばフッ素樹脂チューブで被覆してもよい。フッ素樹脂チューブによる被覆は、例えば、加圧下でスポンジローラを圧縮してフッ素樹脂チューブに挿入する加圧挿入法、減圧下でフッ素樹脂チューブを圧縮してフッ素樹脂チューブに挿入する減圧挿入法、減圧下でフッ素樹脂チューブを半径方向に拡径させてスポンジローラをその内部に挿入する減圧拡径法等によって、行うことができる。
この発明に係るスポンジローラは画像形成装置の例えば定着装置に組み込むことができる。
次に、スポンジローラを備えた定着装置を内装する画像形成装置の一例を、図2を参照して、説明する。
図2に示されるように、この発明に係る画像形成装置30は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31、例えば感光体と、前記像担持体31の周囲に配置された、帯電手段32、例えば帯電ローラ、露光手段33、現像手段40、転写手段34、例えば転写ローラ及びクリーニング手段37と、記録体の搬送方向下流側に定着手段35とを備えている。この現像手段40は、従来の現像手段と基本的に同様に形成され、具体的には、図2に示されるように、現像剤収納部41と、像担持体31に現像剤42を供給する現像剤担持体44と、現像剤担持体44に現像剤42を供給する現像剤供給手段43と、現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えている。
画像形成装置における従来の定着装置は、通常、定着ローラを低硬度にし、加圧ローラを高硬度にしてニップ幅及びニップ圧を確保しているが、この発明における定着装置は、定着手段35のように、アスカーC硬度(荷重1.0Kg)は20から35の範囲にある低硬度の定着ローラ53と、低硬度の加圧ローラ56とを有する加熱定着装置である。すなわち、この定着手段35は、図2にその断面が示されるように、記録体36を通過させる開口52を有する筐体50内に、定着ローラ53と、定着ローラ53の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ54と、定着ローラ53及び無端ベルト支持ローラ54に巻回された無端ベルト55と、無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接する加圧ローラ56と、無端ベルト55に非接触となるように配置され、無端ベルト55を介して外部から定着ローラ53を加熱する加熱手段とを備え、無端ベルト55を介して定着ローラ53と加圧ローラ56とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されてなる圧力熱定着装置である。
無端ベルト支持ローラ54は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。無端ベルト55は、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂により、無端状に形成されたベルトであればよく、その厚さ等も適宜、定着手段35に適合するように調整することができる。加圧ローラ56はスプリング等の付勢手段(図示しない)によって無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接している。この定着手段35においてこの発明に係るスポンジローラが加圧ローラ56として装着されている。前記加熱手段は、ハロゲンヒーター及び反射板等を用いた輻射加熱方法、加熱器等を直接接触させて加熱する直接接触加熱方法、並びに、誘導加熱方法等が採用される。この加熱手段は、定着ローラ53における軸線方向の長さとほぼ同じ長さを有する部材であり、定着手段35のいずれに配置されてもよいが、図2に示されるように、定着ローラ53の表面より一定の間隔を隔てて定着ローラ53に略並行に配置されるのがよい。前記誘導加熱方法には加熱用コイルが用いられ、この加熱用コイルは、通常、フェライト等の強磁性体で、スイッチング電源用として用いられている代表的な形状であるI型、E型及びU型等に形成され、導線が巻かれてなる。無端ベルト55と加圧ローラ56との圧接された間を記録体36が通過することにより、加圧と同時に加熱され、記録体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
この発明に係る画像形成装置30は、次のように作用する。まず、画像形成装置30において、帯電手段32により像担持体31が一様に帯電され、露光手段33により像担持体31の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像手段40から現像剤42が像担持体31に供給されて静電潜像が現像され、この現像剤像が像担持体31と転写手段34との間に搬送される記録体36上に転写される。この記録体36は定着手段35に搬送され、現像剤像が永久画像として記録体36に定着される。このようにして、記録体36に画像を形成することができる。
この定着手段35及びこの画像形成装置30は、加圧ローラ56としてこの発明に係るスポンジローラが採用されているから、現像剤を記録体に定着させる定着性に優れると共に消費電力が小さい。
スポンジローラ、及び画像形成装置は、以上の実施形態に限定されることはなく、この発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
例えば、スポンジローラ1において、弾性層3は、単層構造とされているが、この発明においては二層以上の複層構造とされてもよい。
画像形成装置30は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置30は、現像手段40に単色の現像剤42のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置に限定されず、カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体上に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置、各色の現像手段を備えた複数の像担持体を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。画像形成装置30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
また、定着手段35及び画像形成装置30において、現像剤42は、一成分系の現像剤が有利に用いられるが、トナーと、鉄、ニッケル等のキャリアとを含む二成分系の現像剤も使用することができる。
<実施例1及び2、比較例1>
未膨張マイクロバルーンとして、「マツモトマイクロスフェアF−36D」(商品名、松本油脂製薬社製)を、水中に投入して静置し、水面に浮上した未膨張マイクロバルーンを回収した。回収した未膨張マイクロバルーンを、メンブレンフィルター「Omnipore Membrane filter」(商品名、メルク社製)上に移して、水で洗浄して吸引ろ過し、次いで、pH12及び13の水酸化ナトリウム水溶液に投入して、180rpmで6時間撹拌し、一晩浮上させた。浮上した未膨張マイクロバルーンを回収して、メンブレンフィルター「Omnipore Membrane filter」(商品名、メルク社製)上に移して、水で洗浄して吸引ろ過し、次いで、減圧下で乾燥させた。得られた未膨張マイクロバルーンについて、走査型電子顕微鏡「JSM−6010LA」(日本電子社製)を用いて、未膨張マイクロバルーンの表面の状態を観察した。結果を図3に示す。
図3より明らかなように、pH12のアルカリ性水溶液で処理した実施例1、及びpH13のアルカリ性水溶液で処理した実施例2では、未膨張マイクロバルーンの表面にシリカ粉末が残存していないことが分かる。一方、比較例1である無処理の未膨張マイクロバルーンでは、未膨張マイクロバルーンの表面に多量のシリカ粉末が残存していた。以上の結果より、本発明の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法によれば、未膨張マイクロバルーン表面のシリカ粉末を効果的に除去できることが分かった。
1 スポンジローラ
2 軸体
3 弾性層
4 フッ素樹脂層
30 画像形成装置
31 像担持体
32 帯電手段
33 露光手段
34 転写手段
35 定着手段
36 記録体
37 クリーニング手段
40 現像手段
41 現像剤収納部
42 現像剤
43 現像剤供給手段
44 現像剤担持体
45 現像剤規制部材
50 筐体
52 開口
53 定着ローラ
54 無端ベルト支持ローラ
55 無端ベルト
56 加圧ローラ

Claims (5)

  1. 表面にシリカ粉末が付着した未膨張マイクロバルーンを、媒体中に投入して静置し、前記未膨張マイクロバルーンを浮上させ、前記シリカ粉末を沈降させて、前記媒体の界面に浮上した未膨張マイクロバルーンを回収する浮上・沈降分離工程と、
    浮上・沈降分離工程で回収した未膨張マイクロバルーンを洗浄する第1の洗浄工程と、
    第1の洗浄工程で洗浄した未膨張マイクロバルーンを、pHが12以上14以下であるアルカリ性媒体中で撹拌し、前記アルカリ性媒体の界面に浮上した未膨張マイクロバルーンを回収するアルカリ性媒体処理工程と、
    アルカリ性媒体処理工程で回収した未膨張マイクロバルーンを洗浄する第2の洗浄工程と、
    第2の洗浄工程で洗浄した未膨張マイクロバルーンを乾燥させて、表面にシリカ粉末が付着していない未膨張マイクロバルーンを得る乾燥工程と、
    を有する、未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法。
  2. 前記アルカリ性媒体は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化ベリリウム水溶液、又は水酸化バリウム水溶液である、
    請求項1に記載の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法。
  3. 浮上・沈降分離工程における媒体が、比重0.9以上2.2以下の媒体であり、
    アルカリ性媒体処理工程におけるアルカリ性媒体が比重0.9以上2.2以下である、
    請求項1又は2に記載の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法。
  4. 第1の洗浄工程及び第2の洗浄工程において、目開き5μm以上8μm以下のメンブレンフィルター上で、未膨張マイクロバルーンを洗浄する、
    請求項1から3のいずれかに記載の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法。
  5. 前記未膨張マイクロバルーンは、スポンジローラの弾性層の材料として用いられる、
    請求項1から4のいずれかに記載の未膨張マイクロバルーンの表面シリカ除去方法。
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