JP6283177B2 - 中空粒子およびそれを含む接着剤組成物 - Google Patents

中空粒子およびそれを含む接着剤組成物 Download PDF

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Description

本発明は中空粒子およびそれを含む接着剤組成物に関する。
近年、接着剤組成物において、環境対策や樹脂(接着成分)の節約の観点から軽量化が求められている。
たとえば、特許文献1には、無機の微粒子で表面被覆された、比重の軽い中空粒子(プラスチックマイクロバルーン)を配合した接着剤組成物が記載されており、軽量化することが示されており、実際に中空粒子は接着剤組成物のフィラーとして広く使用されている。
このような接着剤組成物の開発に関する主なテーマとしては、接着剤組成物の研究開発は接着成分の改良、同じくフィラーとして使用される炭酸カルシウムの表面処理による機能性の付加、接着剤組成物の発泡抑制剤等の微量添加剤の開発等が挙げられる。一方、接着剤組成物に用いられる中空粒子の検討項目としては、たとえば、特許文献2にあるような粒子径を特定することによる艶消し効果の付与等があり、中空粒子の検討項目は粒子径のみに留まっている。
近年、接着剤組成物の軽量化の要求が強くなっている。そのため、接着剤組成物に配合される中空粒子の配合量が少量のときは特に問題にはならなかったが、より軽量にするために配合量が増えるに従い、中空粒子を接着剤組成物の成分として配合した場合において、硬化後の接着剤組成物の硬度が高く、伸度が低い等の問題が表面化してきた。そのため、これらの問題を解決できる中空粒子の開発が急務となっている。
特許第3091494号公報 特開平7−113073号公報
本発明の目的は、接着剤組成物の成分として配合した場合に、硬化後の接着剤組成物が低硬度で高伸度となる中空粒子と、その中空粒子を含む接着剤組成物とを提供することである。
本発明者は鋭意検討した結果、接着剤組成物の含有成分として中空粒子を用い、1)中空粒子が、ニトリル系単量体を特定量含む単量体混合物を重合して得られる熱可塑性樹脂からなる外殻部を有し、水分率が特定範囲にあり、かつ、中空粒子が、その中空体本体が熱膨張性微小球を熱膨張したものであり、熱膨張性微小球がニトリル系単量体を特定量含む単量体混合物を重合して得られるものであり、熱膨張性微小球の灰分が特定範囲にある中空粒子である場合に、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した
すなわち、本発明にかか中空粒子は、熱可塑性樹脂からなる外殻部およびそれに囲まれた中空部から構成された中空体本体と、前記外殻部の外表面に付着した微粒子とから構成される中空粒子であって、前記中空粒子の水分率が0.5重量%以下であり、前記中空体本体は、熱膨張性微小球を熱膨張させてなる中空体であり、前記熱膨張性微小球はニトリル系単量体90〜99.9重量%を含む単量体混合物を重合して得られ、その灰分は3.0重量%以下である。
上記中空粒子の動的耐久性が0.06以下であると好ましい。
本発明の接着剤組成物は、接着成分と、上記中空粒子とを含む。前記接着成分が2液タイプのポリウレタン接着成分または2液タイプの変性シリコーン接着成分であると好ましい。
本発明の中空粒子は、いずれも接着剤組成物の成分として配合した場合に、硬化後の接着剤組成物が低硬度で高伸度となる。
また、本発明の中空粒子はいずれも軽量であるので、接着剤組成物の成分として配合した場合に軽量化に寄与する。
本発明の接着剤組成物は、本発明の中空粒子のいずれかを含んでいるので、硬化後の接着剤組成物が軽量かつ低硬度で高伸度となる。このため、本発明の接着剤組成物は高い性能を発現することができる。
本発明の中空粒子の断面図の一例である。 動的耐久性の測定装置の概略図である。
〔中空粒子〕
本発明の中空粒子(1)は、たとえば図1に示すように、熱可塑性樹脂からなる外殻部(2)およびそれに囲まれた中空部(3)から構成された中空体本体と、前記外殻部の外表面に付着した微粒子(4および5)とから構成される。中空体本体は、後述する熱膨張性微小球を熱膨張させてなるものであるとよい。
中空粒子の真比重は、0.01〜0.65であり、好ましくは0.02〜0.55、さらに好ましくは0.03〜0.45、特に好ましくは0.04〜0.40、最も好ましくは0.05〜0.35である。真比重が0.01より小さい場合は、接着剤組成物の成分として配合する際に、均一分散性が低くなる場合があり好ましくない。一方、真比重が0.65より大きい場合は、接着剤組成物の成分として配合する際に、低比重化効果が小さくなるため、中空粒子の添加量が多くなり、非経済的である。
中空粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)については、用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されないが、通常0.1〜1000μm、好ましくは0.3〜500μm、さらに好ましくは0.5〜300μm、特に好ましくは0.8〜200μmである。
中空粒子の水分率については、通常0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、さらに好ましくは0.35重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下である。中空粒子の水分量の下限値は0重量%である。中空粒子の水分はいわゆる結晶水のように存在している。そして、この水は中空粒子を接着剤組成物の成分として配合した際も中空粒子表面に付着しているために、水が接着剤組成物中に均一に分散することはない。このため、接着剤組成物の硬化を局所的に促進してしまうことになる。したがって、中空粒子の水分率が0.5重量%を超える場合は、接着性組成物の硬化ムラを引き起こし、硬化後に高硬度で低伸度となる。
中空粒子は高湿度下の条件に置かれたとき、吸湿し水分率が上昇してしまうことがある。このとき中空粒子の水分率の上昇量が、35℃×90RH%×7日間の条件下で0.4重量%未満であることが好ましい。さらに好ましくは0.35重量%未満、特に好ましくは0.3重量%未満である。上昇量が0.4重量%以上の場合、たとえ製造時の中空粒子の水分率が低くとも、経時的に吸湿し、最終的に中空粒子の水分率が0.5重量%を超えてしまう可能性がある。
中空粒子の動的耐久性については特に限定はないが、硬化後の接着剤組成物の真比重が小さく、軽量であるためには、0.06以下が好ましく、さらに好ましくは0.055以下、最も好ましくは0.05以下である。中空粒子の動的耐久性が0.06を超えると、接着成分と中空粒子の混合中に中空粒子が破損することで接着剤組成物の真比重が大きくなり、軽量性が損なわれることがある。中空粒子の動的耐久性は、中空粒子への加圧および開放を繰り返し行う動的耐久性試験で引き起こされる中空粒子の破損の程度を示す物性である。中空粒子は加圧により変形するが、圧を開放することですぐさま元の形状にもどる特徴がある。そのため、動的耐久性試験では中空粒子の変形ではなく破損を見ていることとなる。破損が少ない中空粒子を接着剤組成物に配合することによって、接着剤組成物が目標とした真比重を得やすくなり安定した物性を提供できるようになる。
以下、本発明の中空粒子を構成する中空体本体および微粒子を詳しく説明する。
(中空体本体)
本発明の中空粒子を構成する中空体本体は、図1に示すように、外殻部およびそれに囲まれた中空部からなる。中空体本体は、(ほぼ)球状で、内部に大きな空洞に相当する中空部を有している。中空体本体の形状を身近な物品で例示するならば、軟式テニスボールを挙げることができる。
中空体本体の平均粒径については、特に限定はないが、好ましく0.1〜1000μm、さらに好ましくは0.3〜500μm、特に好ましくは0.5〜300μmであり、最も好ましくは0.8〜200μmである。
中空体本体の真比重については、特に限定はないが、通常0.005〜0.30であり、好ましくは0.010〜0.25、さらに好ましくは0.015〜0.20である。中空体本体の真比重が0.005より小さい場合は、接着剤組成物中での中空粒子の分散性が低くなることがある。一方、中空体本体の真比重が0.30より大きい場合は、低比重化効果が低くなるため、中空粒子の添加量が多くなり、非経済的であることがある。
中空体本体を構成する外殻部は、熱可塑性樹脂からなり、その外表面と内表面とで囲まれ、端部はなく、連続した形状を有する。外殻部の厚み、すなわち外表面と内表面と間の距離については、均一であることが好ましいが、不均一であってもよい。
中空粒子の外殻部を構成する熱可塑性樹脂は、ニトリル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られる樹脂である。
ニトリル系単量体の重量割合は、単量体混合物に対して90〜99.9重量%、好ましくは
92.0〜99.9重量%、さらに好ましくは93.0〜99.9重量%、特に好ましくは94.0〜99.9重量%、最も好ましくは95.0〜99.9重量%である。ニトリル系単量体の重量割合が90重量%未満であると、接着剤組成物における中空粒子の相溶性が悪くなり、接着剤組成物の硬化物の伸度を低下させるおそれがあるとともに、動的耐久性が弱くなり効率的な接着剤組成物の軽量化が困難になる。一方、ニトリル系単量体の重量割合が99.9重量を超えると、所定の膨張特性や動的耐久性が得られず良好な中空体本体を形成できなくなる。
単量体混合物は、架橋剤やニトリル系単量体以外のラジカル重合性単量体を含むと好ましい。中空粒子の外殻部を構成する熱可塑性樹脂は、熱膨張性微小球の外殻を構成する熱可塑性樹脂であり、以下で詳しく説明する。架橋剤やラジカル重合性単量体についても、以下で詳しく説明する。
外殻部の平均厚みについては、特に限定はないが、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.2〜1μmである。外殻部の平均厚みが0.01μmより小さい場合は、動的耐久性が低くなることがある。一方、外殻部の平均厚みが10μmより大きい場合は、弾性が低下することがある。なお、外殻部の平均厚みとは、中空体本体全体としての平均粒子径から算出される外殻部の平均厚みである。
中空体本体の平均粒子径に対する外殻部の平均厚みの割合(外殻部の平均厚み/中空体本体の平均粒子径)については、特に限定はないが、好ましくは0.0005〜0.1、さらに好ましくは0.0010〜0.7、特に好ましくは0.0015〜0.5である。外殻部の平均厚み/中空体本体の平均粒子径が、0.0005〜0.1の範囲外では中空体が弾性を示さないおそれがある。
中空体本体を構成する中空部は、(ほぼ)球状であり、外殻部の内表面と接している。中空部は、基本的には以下で詳しく説明する発泡剤が気化した気体で満たされており、発泡剤の一部は液化した状態であってもよい。発泡剤の全部または一部は空気等の他の気体で置換されていてもよい。中空部は、中空体本体中に複数あってもよいが、通常は、図1に示すように、大きな中空部が1つであることが好ましい。
(微粒子)
微粒子は、外殻部の外表面に付着している。ここでいう付着とは、単に中空体本体の外表面に微粒子が吸着された状態であってもよく、中空体本体の外表面近傍の熱可塑性樹脂が加熱によって融解し、中空体本体の外表面に微粒子がめり込み、固定された状態であってもよいという意味である。
微粒子の粒子形状は不定形であっても球状であってもよい。
微粒子の平均粒子径については、用いる中空体本体によって適宜選択され、特に限定はないが、好ましくは0.001〜30μm、さらに好ましくは0.005〜25μm、特に好ましくは0.01〜20μmである。
微粒子の平均粒子径と中空体本体の平均粒子径との比率(微粒子の平均粒子径/中空体本体の平均粒子径)は、中空体本体表面への付着性の観点から好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.6以下である。
微粒子と中空体本体との重量比率(微粒子/中空体本体)については、特に限定はないが、好ましくは99.5/0.5〜50/50、さらに好ましくは99/1〜55/45、特に好ましくは97/3〜60/40である。微粒子/中空体本体(重量比率)が、99.5/0.5より大きい場合、中空粒子の真比重が大きくなり低比重化効果が発揮されなくなることがある。一方、微粒子/中空体本体(重量比率)が、50/50より小さい場合、微粒子の表面被覆が不十分になり、中空粒子を接着剤組成物の成分として配合した場合に、その硬化物の伸度が低いことがある。
微粒子としては、種々のものを使用することができ、無機物、有機物のいずれの素材であってもよい。微粒子の形状としては、不定形、球状、針状や板状等が挙げられる。
微粒子の平均粒子径は、0.001〜30μm、さらに好ましくは0.005〜25μm、特に好ましくは0.01〜20μmである。この範囲内であると、後述するように、中空粒子を製造する際に熱膨張性微小球との混合性が良好となる。ここで言う微粒子の平均粒子径とは、レーザー回折法により測定された微粒子の粒子径である。微粒子の粒子径がミクロンオーダーであれば一次粒子を指すが、ナノオーダーの微粒子等は凝集している場合が多く、実質ミクロンオーダーの集合体として作用するため、凝集した二次粒子を1単位として平均粒子径を算出した。
微粒子を構成する無機物としては、たとえば、石灰石(重質炭酸カルシウム)、石英、珪石(シリカ)、ウオラスナイト、石膏、アスベスト、アパタイト、マグネタイト、ゼオライト、クレイ(モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト、バーミキュライト、ハロイサイト、タルク、雲母、マイカ、コージェライト等)等の鉱物;元素の周期率表において、1族〜16族の金属(亜鉛、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、バリウム、マンガン、コバルト、カルシウム、金、銀、クロム、チタン、鉄、白金、銅、鉛、ニッケル等)やその合金;元素の周期率表において、1族〜16族の金属酸化物(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化鉄(磁性酸化鉄を含む)、酸化インジウム等)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化金、水酸化マグネシウム等)、金属硫化物(硫化銅、硫化ナトリウム、硫化鉛、硫化ニッケル、硫化白金等)、金属ハロゲン化物(フッ化カルシウム、フッ化スズ、フッ化カリウム等)、金属炭化物(炭化カルシウム、炭化チタン、炭化鉄、炭化ナトリウム等)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化クロム、窒化ゲルマニウム、窒化コバルト等)、炭酸金属塩(炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸鉄等)、硫酸金属塩(硫酸アルミニウム、硫酸コバルト、硫酸水素ナトリウム、硫酸銅、硫酸ニッケル、硫酸バリウム等)、その他の金属塩(チタン酸塩(チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カリウム等)、ホウ酸塩(ホウ酸アルミニウム、ホウ酸亜鉛等)、燐酸塩(リン酸カルシウム、燐酸ナトリウム、燐酸マグネシウム等)、アルミン酸塩(アルミン酸イットリウム等)、硝酸塩(硝酸ナトリウム、硝酸鉄、硝酸鉛等)等の金属化合物等が挙げられる。
微粒子を構成する無機物は、また、合成炭酸カルシウム、フェライト、ゼオライト、銀イオン担持ゼオライト、ジルコニア、ミョウバン、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミナ繊維、セメント、ゾノトライト、酸化珪素(シリカ、シリケート、ガラス、ガラス繊維を含む)、窒化珪素、炭化珪素、硫化珪素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、活性炭、竹炭、木炭、フラーレン等であってもよい。
微粒子を構成する有機物としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸;それらのエステル類、アミド類、ニトリル類;スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等のビニル芳香族類、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパン等のビニル基を二つ以上有するジビニル化合物等を単量体として、必要に応じて架橋剤を用い、乳化重合法、ソープフリー重合法、分散重合法、懸濁重合法、ミニエマルジョン重合法等により重合された有機樹脂等が挙げられる。
微粒子を構成する有機物は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素系樹脂等であってもよい。
微粒子充填剤を構成する無機物や有機物は、脂肪酸、ウレタン化合物、脂肪酸エステル等の表面処理剤であって、後述の粘着成分以外のもので処理されていてもよく、未処理のものでもよい。
微粒子が有機物から構成される場合、下記に示す付着工程で加熱する際に、軟化しないほうが良い。軟化した場合は、融着が発生して、歩留まりが悪化する等の問題が起こることがある。有機物の軟化温度は、付着工程の加熱温度にも依存するが、好ましくは80〜280℃、より好ましくは90〜270℃、さらに好ましくは100〜260℃である。有機物の軟化温度は、また、付着工程における加熱温度より10℃以上高い温度であると好ましい。
粘着成分でその表面が処理されてなる微粒子は、中空粒子の水分率を大きくするおそれがあり、硬化後の接着剤組成物の硬度を高め、伸度を下げるので、本発明の中空粒子を構成する微粒子から除かれる。
粘着成分としては、たとえば、ロジン酸類や芳香族カルボン酸類等の樹脂酸;テルペン樹脂;石油樹脂等が挙げられる。
ロジン酸類としては、たとえば、ロジン酸、ロジン酸塩類、ロジン酸エステル類、ロジン酸アミド類が挙げられる。
ロジン酸としては、たとえば、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸や、天然由来ロジン酸として上記ロジン酸の混合物であるトールロジン、ガムロジン、ウッドロジン等が挙げられる。
ロジン酸塩類としては、たとえば、上記ロジン酸のアルカリ金属塩類やロジン酸アルカリ土類金属類が挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、ロジン酸のアルカリ金属塩類の具体例としては、ピマル酸ナトリウムやピマル酸カリウム等が挙げられる。また、アルカリ土類金属としては、たとえば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等が挙げられ、ロジン酸のアルカリ土類金属塩類の具体例としては、ジピマル酸マグネシウム、ジピマル酸カルシウム等が挙げられる。また、上記に示した天然由来のロジン酸をアルカリ処理したロジン酸塩類の場合、複数種のロジン酸からなるため、複数のロジン酸塩の混合物になる。
ロジン酸エステル類としては、たとえば、ロジン酸モノエステル類や多価ロジン酸エステル類等が挙げられる。ロジン酸モノエステルは、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の1価のアルコール化合物とロジン酸との縮合反応により得られたものであり、たとえば、ピマル酸エチル、ピマル酸エチル等が挙げられる。多価ロジン酸エステル類は、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のポリオールやペンタエリスリトール等の糖アルコールと複数のロジン酸との縮合反応されたものである。また、上記に示した天然由来のロジン酸をアルコールと縮合反応させたロジン酸塩類の場合、複数種のロジン酸からなるため、複数のロジン酸エステルの混合物になる。
ロジン酸アミド類としては、たとえば、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、アニリン、アミノ安息香酸等のアミン化合物とロジン酸の縮合反応により作られたものが挙げられる。また、上記に示した天然由来のロジン酸をアミンと縮合反応させたロジン酸アミド類の場合、複数種のロジン酸からなるため、複数のロジン酸アミドの混合物になる。
芳香族カルボン酸類としては、たとえば、安息香酸、サリチル酸、サリチル酸メチル、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
石油樹脂としては、たとえば、エスコレット(トーネックス株式会社製)、ハイレッツ(三井石油化学工業株式会社製)等の商品名で市販されている脂肪酸系石油樹脂や、ペトロジン(三井石油化学工業株式会社製)、ネオポリマー(日本石油樹脂株式会社製)等の商品名で市販されている芳香族系石油樹脂等が挙げられる。
〔中空粒子の製造方法〕
本発明の中空粒子の製造方法は、熱膨張性微小球と微粒子とを混合する工程(混合工程)と、前記混合工程で得られた混合物を加熱して、前記熱膨張性微小球を膨張させるとともに、得られる中空体本体の外表面に前記微粒子を付着させる工程(付着工程)を含む製造方法である。
(混合工程)
混合工程は、熱膨張性微小球と微粒子とを混合する工程である。
混合工程で使用する微粒子は、上記で説明したとおりである。また、熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成される。熱膨張性微小球は、加熱することによって膨張し、上記中空体本体が得られる。
混合工程における熱膨張性微小球と微粒子との重量比率(微粒子/熱膨張性微小球)については、特に限定はないが、好ましくは99.5/0.5〜50/50、さらに好ましくは99/1〜55/45、特に好ましくは97/3〜60/40である。微粒子/熱膨張性微小球(重量比率)が99.5/0.5より大きい場合は、中空粒子の真比重が大きくなり、低比重化効果が小さくなることがある。一方、微粒子/熱膨張性微小球(重量比率)が50/50より小さい場合は、中空粒子を接着剤組成物の成分として配合した場合に伸度が低くなることがある。
熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂からなる外殻と、それに内包され且つ加熱することによって気化する発泡剤とから構成されており、熱膨張性微小球は微小球全体として熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示す。以下の説明において、内包物質と発泡剤とを同義に用いることがある。
発泡剤は、気化して熱膨張性微小球を膨張させる物質であれば特に限定はなく、たとえば、炭素数1〜12の炭化水素およびそれらのハロゲン化物;含弗素化合物;テトラアルキルシラン;アゾジカルボンアミド等の加熱により熱分解してガスを生成する化合物等を挙げることができる。これらの発泡剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
炭素数1〜12の炭化水素としては、たとえば、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロオクタン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル等の炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、それぞれの用途での温度域に合せて自由に選択することができる。
熱膨張性微小球は、たとえば、ニトリル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られる熱可塑性樹脂から構成され、単量体混合物に重合開始剤を適宜配合、重合することにより、熱膨張性微小球の外殻を形成することができる。
ニトリル系単量体の重量割合は、単量体混合物に対して90〜99.9重量%、好ましくは
92.0〜99.9重量%、さらに好ましくは93.0〜99.9重量%、特に好ましくは94.0〜99.9重量%、最も好ましくは95.0〜99.9重量%である。ニトリル系単量体の重量割合が90重量%未満であると、接着剤組成物における中空粒子の相溶性が悪くなり、接着剤組成物の硬化物の伸度を低下させるおそれがあるとともに、動的耐久性が弱くなる。一方、ニトリル系単量体の重量割合が99.9重量%を超えると、所定の膨張特性や動的耐久性が得られず良好な中空粒子を形成できなくなる。
単量体混合物は、架橋剤やニトリル系単量体以外のラジカル重合性単量体を含むとよい。
架橋剤とは重合性二重結合を2個以上有するラジカル重合性単量体であり、架橋剤を用いて重合させることにより、重合効率が良くなり良好な熱可塑性樹脂の外殻が得られる。架橋剤としては、特に限定はないが、たとえば、ジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物;メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。
ニトリル系単量体以外のラジカル重合性単量体としては、特に限定はないが、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有単量体;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド等のマレイミド系単量体等を挙げることができる。カルボキシル基含有単量体については、一部または全部のカルボキシル基が重合時に中和されていてもよい。
これらの架橋剤およびラジカル重合性単量体は、1種または2種以上を併用してもよい。これらの内でも、単量体混合物が、ニトリル系単量体とともに、架橋剤、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体、酢酸ビニルおよび塩化ビニリデンから選ばれた少なくとも1種のラジカル重合性単量体を含む単量体混合物であると好ましい。特に、単量体混合物が、ニトリル系単量体とともに、架橋剤を含む単量体混合物であると、重合効率がよく良質な熱膨張性微小球の外殻を形成できるためにさらに好ましい。架橋剤の重量割合は、単量体混合物に対して、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.02〜8.0重量%、特に好ましくは0.05〜6.0重量%、最も好ましくは0.1〜5.0重量%である。架橋剤の重量割合が0.01重量%未満であると、良質な熱膨張性微小球の外殻が形成されず膨張特性や動的耐久性が低下することがある。一方、架橋剤の重量割合が10重量%を超えると、反応速度が速くなりすぎ多くの凝集体が発生し膨張特性が低下することがある。
重合開始剤については、特に限定はなく、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は、ラジカル重合性単量体に対して可溶な油溶性の重合開始剤が好ましい。
熱膨張性微小球は、従来公知の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法で使用される種々の手法を用いて製造することができる。
すなわち、ニトリル系単量体を必須とし、ニトリル系単量体以外のラジカル重合性単量体や架橋剤を任意に含む単量体混合物と、重合開始剤と、発泡剤とを混合し、得られた混合物を適当な分散安定剤や、水性分散媒等を含む水系懸濁液中で懸濁重合させる方法等である。
水性分散媒は、単量体混合物、重合開始剤および発泡剤等の油性混合物を分散させるイオン交換水等の水を主成分とする媒体であり、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールや、アセトン等の親水性有機性の溶媒をさらに含有してもよい。本発明における親水性とは、水に任意に混和できる状態であることを意味する。水性分散媒の使用量については、特に限定はないが、単量体混合物100重量部に対して、100〜1000重量部の水性分散媒を使用するのが好ましい。
水系懸濁液は、電解質をさらに含有してもよい。電解質としては、たとえば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。これらの電解質は、1種または2種以上を併用してもよい。電解質の含有量については、特に限定はないが、水性分散媒100重量部に対して0.1〜50重量部含有するのが好ましい。
水系懸濁液は、水酸基、カルボン酸(塩)基およびホスホン酸(塩)基から選ばれる親水性官能基とヘテロ原子とが同一の炭素原子に結合した構造を有する水溶性1,1−置換化合物類、重クロム酸カリウム、亜硝酸アルカリ金属塩、金属(III)ハロゲン化物、ホウ酸、水溶性アスコルビン酸類、水溶性ポリフェノール類、水溶性ビタミンB類および水溶性ホスホン酸(塩)類から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を含有してもよい。なお、本発明における水溶性とは、水100gあたり1g以上溶解する状態であることを意味する。
水系懸濁液中に含まれる水溶性化合物の量については、特に限定はないが、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.0001〜1.0重量部、さらに好ましくは0.0003〜0.1重量部、特に好ましくは0.001〜0.05重量部である。水溶性化合物の量が少なすぎると、水溶性化合物による効果が十分に得られないことがある。また、水溶性化合物の量が多すぎると、重合速度が低下したり、原料である単量体混合物の残存量が増加したりすることがある。
水系懸濁液は、電解質や水溶性化合物以外に、分散安定剤や分散安定補助剤を含有していてもよい。
分散安定剤としては、特に限定はないが、たとえば、水に溶けにくい難溶性無機化合物を挙げることができる。難溶性無機化合物は、熱膨張性微小球の表面に付着して、後述する灰分となる成分である。このため、分散安定剤が、酸と反応して水溶性無機化合物に変換することができる難溶性塩基性無機化合物や、塩基と反応して水溶性無機化合物に変換することができる難溶性酸性無機化合物等であると、後述するように熱膨張性微小球の製造後にpHを調節することによって、難溶性無機化合物を容易に取り除くことが可能になる。
難溶性塩基性無機化合物は、中性から塩基性で水に溶けにくい難溶性無機化合物であって、分散安定剤として機能し、酸性域で水溶性無機塩となる化合物である。このような難溶性塩基性無機化合物としては、たとえば、水酸化マグネシウム;水酸化カルシウム;水酸化アルミニウム;水酸化第二鉄;第三リン酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等のリン酸塩;炭酸カルシウム、コロイダル炭酸カルシウム;炭酸バリウム;炭酸マグネシウム等を挙げることができ、1種または2種以上を併用してもよい。
難溶性酸性無機化合物は、中性から酸性で水に溶けにくい難溶性無機化合物であって、分散安定剤として機能し、塩基性域で水溶性無機塩となる化合物である。このような難溶性酸性無機化合物としては、たとえば、ケイ酸塩となるコロイダルシリカ等を挙げることができる。
分散安定剤の配合量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。
重合時の水系懸濁液のpHは分散安定剤の種類によって適宜決められる。たとえば、コロイダルシリカ等の難溶性酸性無機化合物を使用した場合は、pH2.0〜7.0が好ましく、より好ましくは2.0〜5.0である。難溶性酸性無機化合物は酸性域でゲル化が起こり、有用な分散安定剤として機能することができる。しかし、アルカリ域では溶解する危険性があり分散安定剤として使用することは好ましくない。一方、水酸化マグネシウム等の難溶性塩基性無機化合物を使用した場合は、pH7.0〜11.0が好ましく、より好ましくは9.0〜11.0である。難溶性塩基性無機化合物はアルカリ域で安定して存在することができ、分散安定剤として機能することができる。しかし、酸性域では酸と反応し水溶性の塩に変化してしまい分散安定剤として機能しなくなる。
分散安定補助剤としては、特に限定はないが、たとえば、高分子タイプの分散安定補助剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の界面活性剤を挙げることができる。これらの分散安定補助剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
油性混合物は、通常、所定粒子径の球状油滴が調製されるように水系懸濁液中に乳化分散させる。油性混合物を乳化分散させる方法としては、たとえば、ホモミキサー(たとえば、特殊機化工業社製)等により攪拌する方法や、スタティックミキサー(たとえば、ノリタケエンジニアリング社製)等の静止型分散装置を用いる方法、膜乳化法、超音波分散法等の一般的な分散方法を挙げることができる。
次いで、油性混合物が球状油滴として水系懸濁液に分散された分散液を加熱することにより、懸濁重合を開始する。重合反応中は、分散液を攪拌するのが好ましく、その攪拌は、たとえば、単量体の浮上や重合後の熱膨張性微小球の沈降を防止できる程度に緩く行えばよい。
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは45〜90℃、特に好ましくは50〜85℃の範囲で制御される。重合初期圧力についてはゲージ圧で0〜5.0MPa、さらに好ましくは0.1〜3.0MPa、特に好ましくは0.2〜2.0MPaの範囲である。
このようにして得られた熱膨張性微小球を含む反応混合物には、上記の電解質、水溶性化合物、分散安定剤や分散安定補助剤等の熱膨張性微小球以外の成分が残存している。これらの成分を取り除くこともできる。
電解質、水溶性化合物、分散安定補助剤等は水溶性であるので、後述する水性分散媒から熱膨張性微小球を単離する工程(単離工程)で水洗することで洗い流すことができる。
分散安定剤は難溶性無機化合物等であるので、反応混合物のpHを調整して、難溶性無機化合物を酸塩基反応(pH調整反応)で水溶性無機化合物に変えて、熱膨張性微小球の表面から除去させる工程(pH調整工程)を行った後、単離工程にて水洗することで洗い流すことができる。
pH調整工程は、たとえば、分散安定剤が、水酸化マグネシウムや炭酸カルシウム等の難溶性塩基性無機化合物の場合では、硫酸、塩酸等の鉱酸等の酸性物質にて、熱膨張性微小球を含む水性分散媒をpH2.0〜5.0に調整することで、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の水溶性無機化合物に変化させて行うことができる。ただし、炭酸カルシウムを硫酸で処理した場合に生成する硫酸カルシウムは難水溶性無機物のため、処理を行う酸性物質をよく選ぶ必要がある。一方、コロイダルシリカ等の難溶性酸性無機化合物の場合では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質にて水性分散媒をpH10.5以上に調整することで、コロイダルシリカではゲル化が解け水に溶解するケイ酸塩に変化させて、pH調整工程を行うことができる。
pH調整工程では、分散安定剤の酸塩基反応による水溶性化を促進するために、加熱しても良い。
pH調整工程を行うことによって、熱膨張性微小球の表面に付着した分散安定剤が水溶性無機化合物となり、水洗することで電解質、水溶性化合物や分散安定補助剤等とともに除去され、熱膨張性微小球の灰分が低下し、精製された熱膨張性微小球を製造することができる。
熱膨張性微小球の単離工程では、一般的に使用されている濾過、脱水装置を使用することができる。たとえば、遠心脱水機等の遠心力を利用した脱水機、フィルタープレス脱水機等の加圧脱水機、オリバー脱水機等などの減圧吸引脱水機等が挙げられる。
単離工程では、濾過等により水分率20〜40重量%の熱膨張微小球のウェットケーキとなるが、これに再び水を加え分散、濾過を繰り返すことで、熱膨張性微小球を精製することができる。特に、遠心脱水機やフィルタープレス脱水機を使用した場合、濾過室に水を追加することで容易に熱膨張性微小球を水洗、精製することができる。
熱膨張性微小球の平均粒子径については、用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されず、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは2〜90μm、特に好ましくは5〜80μmである。
単離工程後の熱膨張性微小球の灰分は、中空粒子を接着剤組成物の成分として配合した場合に、硬化後の接着剤組成物が低硬度で高伸度とするためには重要な物性であり、3.0重量%以下が好ましく、より好ましくは2.0重量%以下、さらに好ましくは1.2重量%以下、特に好ましくは1.0重量%以下、最も好ましくは0.5重量%以下である。
灰分の成分は、たとえば、分散安定剤として使用したコロイダルシリカや水酸化マグネシウム等の難溶性無機化合物であり、これらは吸湿することによって、難溶性無機化合物が結晶水を保持することがある。このため熱膨張性微小球の灰分が3.0重量%を超える場合は、中空粒子とし接着剤組成物に配合した際に、保持している結晶水が接着剤組成物の硬化ムラを引起し、硬化時に高硬度、低伸度となるおそれがある。
灰分は、熱膨張性微小球に強熱をかけることで、有機物を完全に分解し残存した無機分の重量から算出することができる。灰分3.0重量%以下の熱膨張性微小球は、たとえば、上記で示すように、重合後の熱膨張性微小球を含む水系懸濁液のpHを調整することによって製造することができ、より具体的には、上記で説明したpH調整工程(好ましくは単離工程およびpH調整工程)によって製造される。
混合工程において、熱膨張性微小球と微粒子とを混合するのに用いられる装置としては、特に限定はなく、容器と攪拌羽根といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える粉体混合機を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。
(付着工程)
付着工程は、前記混合工程で得られた、熱膨張性微小球と微粒子とを含む混合物を加熱する工程である。付着工程では、熱膨張性微小球を膨張させるとともに、得られる中空体本体の外表面に微粒子を付着させる。ここでいう付着とは、単に中空体本体の外表面に微粒子が吸着にされた状態であってもよく、中空体本体の外表面近傍の熱可塑性樹脂が加熱によって軟化し、中空体本体の外表面に微粒子がめり込み、固定された状態であってもよい。
加熱は、一般的な接触伝熱型または直接加熱型の混合式乾燥装置を用いて行えばよい。混合式乾燥装置の機能については、特に限定はないが、温度調節可能で原料を分散混合する能力や、場合により乾燥を早めるための減圧装置や冷却装置を備えたものが好ましい。加熱に使用する装置としては、特に限定はないが、たとえば、レーディゲミキサー(株式会社マツボー製)、ソリッドエアー(株式会社ホソカワミクロン)等を挙げることができる。
加熱の温度条件については、熱膨張性微小球の種類にもよるが最適膨張温度とするのが良く、好ましくは60〜250℃、より好ましくは70〜230℃、さらに好ましくは80〜220℃である。
〔第1および第2の中空粒子の関係〕
本発明の第1の中空粒子では、中空粒子の水分率を限定し、本発明の第2の中空粒子では、中空粒子の中空体本体の原料となる熱膨張性微小球の灰分を限定している。熱膨張性微小球の灰分は、主には難水溶性無機化合物からなる分散安定剤に由来すると考えられており、難水溶性無機化合物は吸湿しやすい。このように、熱膨張性微小球が吸湿しやすいと、それを熱膨張させて得られる中空体本体が吸湿しやすくなり、その結果、中空粒子の水分率が高まると考えられる。このように、第1の中空粒子における水分率の限定と、第2の中空粒子における灰分の限定との間には、密接な相関関係がある。
第1の中空粒子が第2の中空粒子の限定を満足していてもよく、第2の中空粒子が第1の中空粒子の限定を満足していてもよい。
〔接着剤組成物〕
本発明の中空粒子は種々応用することができる。その一例として、本発明の接着剤組成物は、接着成分と、上記中空粒子とを含む組成物である。接着剤組成物では中空粒子を含むため、硬化後の接着剤組成物が軽量かつ低硬度で高伸度となる。
接着成分は、物体と物体間を接着させることができる成分であれば、特に限定はないが、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、2液タイプの変性シリコーン接着成分、1液タイプのポリサルファイド接着成分、2液タイプのポリサルファイド接着成分、アクリル接着成分等が挙げられる。接着成分が、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、および、2液タイプの変性シリコーン接着成分から選ばれる少なくとも1種であると好ましく、2液タイプのポリウレタン接着成分および2液タイプの変性シリコーン接着成分から選ばれる少なくとも1種であるとさらに好ましい。
1液タイプのポリウレタン接着成分は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを硬化成分として含有している。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基が空気中の水分と反応し、架橋・硬化することで接着性を発現するものである。
1液タイプのポリウレタン接着成分としては、たとえば、ペンギンシール999(サンスター技研製)等が商業的に入手可能である。
次に、2液タイプのポリウレタン接着成分は、ウレタンプレポリマー(以下、A1ということがある。)と、ポリオール等の硬化剤(以下、A2ということがある。)との2つの組合せからなる。2液タイプのポリウレタン接着成分では、A1およびA2を混合することによって、架橋・硬化することで接着性を発現するものである。
2液タイプのポリウレタン接着成分としては、たとえば、ハマタイトUH−30(横浜ゴム製)、ペンギンシールPU9000typeNB(サンスター技研製)、ボンドPUシール(コニシ製)等が商業的に入手可能である。
1液タイプの変性シリコーン接着成分は、架橋性シリル基含有樹脂が空気中の水分と反応し、架橋・硬化することで接着性を発現するものである。1液タイプの変性シリコーン接着成分としては、たとえば、シーラント45(信越化学工業製)、SH780シーラント(東レ・ダウコーニング製)、ペンギンシール2505(サンスター技研製)、ハマタイトSS−310(横浜ゴム製)等が商業的に入手可能である。
次に、2液タイプの変性シリコーン接着成分は、シロキサンポリマー(以下、B1ということがある。)と、有機錫化合物等の硬化剤(以下、B2ということがある。)とを混合・反応させることで接着性を発現するものである。2液タイプの変性シリコーン接着成分としては、たとえば、2成分形シーラント74(信越化学工業製)、SE792シーラント(東レ・ダウコーニング製)、ペンギンシールSR2520(サンスター技研製)、ハマタイトシリコーン70(横浜ゴム製)、ボンドMSシール(コニシ製)等が商業的に入手可能である。
1液タイプのポリサルファイド接着成分は、液状ポリサルファイド樹脂を硬化成分として含有し、これに潜在性硬化剤としてBaO、CaO等のアルカリまたはアルカリ上類金属の過酸化物を配合したものであり、空気中の水分と反応し接着性を発生するものである。1液タイプのポリサルファイド接着成分としては、たとえば、トプコールSP(東レ・ファインケミカル製)、ハマタイトPS−ONE(横浜ゴム製)等が商業的に入手可能である。
2液タイプのポリサルファイド接着成分は、サルファイドポリマーからなる基剤(以下、C1ということがある。)と、PdO等の金属過酸化物を含む硬化剤(以下、C2ということがある。)とを混合することで接着性を発生するものである。2液タイプのポリサルファイド接着成分は、たとえば、ペンギンシールPS169N(サンスター技研製)、ハマタイトSC−M500(横浜ゴム製)等が商業的に入手可能である。
アクリル接着成分は、アクリル酸エステルポリマーエマルジョンからなり、水分の蒸発により接着性が発生するものである。アクリル接着成分としては、たとえば、ペンギンシール1250(サンスター技研製)等の商品名で市販されている。
接着剤組成物において配合される接着成分と中空粒子との重量比率(接着成分/中空粒子)については、特に限定はないが、好ましくは99.995/0.005〜70/30、さらに好ましくは99.99/0.01〜80/20、特に好ましくは99.95/0.05〜90/10である。接着成分/中空粒子(重量比率)が、99.995/0.005より大きい場合、中空粒子の添加量が少なく軽量化の効果が薄れてしまう可能性がある。一方、接着成分/中空粒子(重量比率)が、70/30より小さい場合、接着成分量が少なく接着剤組成物としての機能が著しく低下する。ここで、接着成分は、2液タイプのポリウレタン接着成分の場合はA1とA2との合計量を意味し、2液タイプの変性シリコーン接着成分の場合はB1とB2との合計量を意味し、2液タイプのポリサルファイド接着成分の場合はC1とC2との合計量を意味する。
以下の実施例および比較例で本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を意味する。
以下の製造例、実施例および比較例で製造した熱膨張性微小球、中空粒子および接着剤組成物について、次に示す要領で物性を測定した。
以下の実施例および比較例では、実施例6〜10および比較例6〜10が欠番である。
〔pH〕
東亜ディーケーケー(株)社製のpHメーター(品番HM−12P)を使用して、pHを測定した。
〔平均粒子径〕
測定装置として、レーザー回折式粒度分布測定装置(HEROS&RODOS、SYMPATEC社)を使用し、湿式測定法により熱膨張性微小球を測定し体積平均径D50値を平均粒子径とした。
〔中空粒子の水分率の測定〕
測定装置として、カールフィッシャー水分計(MKA−510N型、京都電子工業株式会社製)を用いて測定した。
〔熱膨張性微小球の灰分〕
乾燥した熱膨張性微小球W(部)をるつぼに入れ、電熱器にて加熱を行い、700℃で30分間強熱して灰化させ、得られた灰化物W(部)を重量測定した。熱膨張性微小球の灰分C(%)は、W(部)およびW(部)から下記計算式(F)で算出される。
(%)=(W/W)×100 (F)
〔接着剤組成物の硬化物からなる試験体の作製〕
接着剤組成物を幅10mm、長さ60mm、厚み3mmに調整し、これを23℃、50%RHの条件下で14日間、さらに30℃、50%RHの条件下で14日間養生しすることで、接着剤組成物の硬化物からなる試験体を作製した。
〔接着剤組成物の硬化物の引張試験〕
接着剤組成物の硬化物の引張試験は、23℃の室内中で試験体の10mmを伸びしろとして残すように挟み込み、引張速度50mm/min、ロードセル100kgfの条件下でテンシロン試験機(UTM−III−100、TOYO BALDMIN株式会社製:東洋ボールドウィン)にて実施し、硬度(最大荷重値)および伸度(最大荷重時の試料長さ)を測定した。
〔真比重測定〕
100mlメスフラスコの重量を量り(a)、次に試料を1部メスフラスコに加え重量を量る(b)。これにイソプロピルアルコールを100mlの標線まで正確に加え全重量を量る(c)。これとは別に、メスフラスコの空重量を量り(x)、これにイソプロピルアルコールを標線まで正確に加え全重量を量る(y)。これらの値を以下の数式(1)に当てはめ比重を算出する。
真比重=(b−a)×(y−x)/{100(y−x)−(c−b)} (1)
この測定方法で、中空粒子および接着剤組成物の硬化物の真比重を測定した。
〔動的耐久性の測定〕
中空粒子を、23℃、50%RHの環境下で24時間経過させた後、動的耐久性を測定した。
動的耐久性の測定装置として、特開2005−257600号公報に記載の粉体の粘弾性測定装置を使用する。具体的には、図2に示すように、中空粒子(21)を収容する容器(22)、および、容器(22)に同一線上で対面する位置にあるピストン(23)が設置されており、油圧シリンダ(24)および支持台(25)を介して、容器(22)をピストン(23)に向かって進退することができる。従って、容器(22)は、中空粒子(21)に同一軸線上での上下方向の加振を付与することができるようになっている。ピストン(23)には温度センサー(30)および圧力センサー(31)が設置してあり、中空粒子(21)との接触面における圧力(面圧力)を測定できるようになっている。
容器(22)は、恒温槽内(26)に配置し、この恒温槽内(26)をヒーター(27)および不活性ガス(29)により、槽内温度センサー(28)で一定温度に制御することによって、測定環境を安定化させている。
さらに、容器(22)の底部には、油圧シリンダ(24)にて容器(22)をピストン(23)に向かって進行させて、容器(22)内の中空粒子(21)を容器(22)の底部とピストン(23)との間で圧縮した際に、中空粒子層に含まれる空気を容器(22)外に排除するためのフィルター(32)を有する。
動的耐久性の測定条件を具体的に説明する。中空粒子を容器(内径Φ40mm、深さ53mm、底部フィルターΦ30mm、ろ過精度20μm金網焼結フィルター)に66cc入れた。次いで、容器を油圧シリンダで上に移動させ、容器の底部と固定されたピストンとの間で、中空粒子を圧縮して、中空粒子がピストンと接する表面の圧力(面圧力)を30kPaにしたときの容器内の中空粒子の層の厚みH(mm)を測定した。中空粒子をさらに圧縮して、中空粒子がピストンと接する面圧力を100kPaにしたときの容器内の中空粒子の層の厚みH(mm)とした。そして、中空粒子の層の厚み(mm)が、(H−0.05H)〜Hの範囲で周波数10Hzの周期で変化するように、容器を上下に振動させた。
振動開始から150秒後および500秒後において、面圧力100kPaにしたときの容器内の中空粒子層の厚み(静変位)を、それぞれH150(mm)およびH500(mm)としたとき、動的耐久性Ddynを下式に従って算出した。
dyn=(H150−H500)/H
〔中空粒子の水分率調整〕
18wt%硫酸水溶液をデシケータ内に入れ、35℃×90RH%の雰囲気下を設定した。次いで、中空粒子をデシケータに入れ、7日間静置して中空粒子の水分率を調整した。
〔製造例1;熱膨張性微小球Aの製造〕
イオン交換水850部に、塩化マグネシウム・六水和物45部およびN−ラウリル−N,N−ビス(POE(2))アミノ酢酸ベタイン水溶液(濃度2%)1部を加えた後、pHが9〜10.5程度になるよう水酸化ナトリウム水溶液(濃度50%)32部を徐々に滴下し、微粒子状の水酸化マグネシウム12部を含有する水性分散媒を調製した。
アクリロニトリル170部、メタクリロニトリル70部、エチレングリコールジメタクレート1部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.5部、イソペンタン60部を混合、溶解し油性混合物とした。
上記で得られた水性分散媒および油性混合物をTKホモミキサー2.5型(プライミクス社)で攪拌(3500rpm×5min)して懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.3MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で15時間重合して重合工程を行い、熱膨張性微小球を含む水性分散媒Aを得た。
重合工程後、熱膨張性微小球を含む水性分散媒Aに硫酸水溶液(濃度66%)を加え、水性分散媒AのpHを4に低下させてpH低下処理工程を行った。pH低下処理工程後、熱膨張性微小球を水洗する水洗工程を行い、次いで濾過で単離、乾燥して熱膨張性微小球A(ニトリル系単量体比率99.6%)を得た。このときの熱膨張性微小球Aの灰分は0%であった。
〔製造例2;熱膨張性微小球Bの製造〕
製造例1の方法で別に準備した水性分散媒Aに対して、pH低下処理工程を施さずそのまま濾過で単離、乾燥して熱膨張性微小球Bを得た。このときの熱膨張性微小球Bの灰分は2.8%であった。
〔製造例3;熱膨張性微小球Cの製造〕
塩化ナトリウム120部、シリカ有効成分20%であるコロイダルシリカ100部、ポリビニルピロリドン1.0部およびカルボキシメチル化ポリエチレンイミン・Na塩の5%水溶液の1.0部を、イオン交換水600部に加えた後、得られた混合物のpHを2.8〜3.2に調整し、水性分散媒を調製した。
アクリロニトリル130部、メタクリロニトリル107部、メチルメタクリレート3部、エチレングリコールジメタクリレート1.0部、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.5部、イソペンタン55部、アゾビスイソブチロニトリル3部を混合溶解し油性混合物とした。
上記で得られた水性分散媒および油性混合物をTKホモミキサー2.5型(プライミクス社)で攪拌(9000rpm×5min)して懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.3MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で15時間重合して重合工程を行い、熱膨張性微小球を含む水性分散媒Bを得た。
この水性分散媒Bに水洗工程を行い、次いで濾過で単離、乾燥して熱膨張性微小球C(ニトリル系単量体比率98.1%)を得た。このときの熱膨張性微小球Cの灰分は5.7%であった。
〔製造例4;熱膨張性微小球Dの製造〕
製造例3の方法で別に準備した水性分散媒Bに水洗工程を行い、次いで濾過で単離した後、微小球濃度が30%になるようにイオン交換水に再度分散し、水酸化カリウムにてpH10.5に調整し60℃で2時間加温することで水性分散媒Cを得た。この水性分散媒Cに水洗工程を行い、次いで濾過で単離、乾燥して熱膨張性微小球Dを得た。このときの熱膨張性微小球Dの灰分は0.1%であった。
〔製造例5;熱膨張性微小球Eの製造〕
塩化ナトリウム20部、シリカ有効成分20%であるコロイダルシリカ130部、ポリビニルピロリドン1.0部およびカルボキシメチル化ポリエチレンイミン・Na塩の5%水溶液の1.0部を、イオン交換水650部に加えた後、得られた混合物のpHを2.8〜3.2に調整し、水性分散媒を調製した。
アクリロニトリル120部、メタクリロニトリル86部、メチルメタクリレート30部、エチレングリコールジメタクリレート1.5部、イソペンタン55部、アゾビスイソブチロニトリル3部を混合溶解し油性混合物とした。
上記で得られた水性分散媒および油性混合物をTKホモミキサー2.5型(プライミクス社)で攪拌(11000rpm×5min)して懸濁液を調製した。この懸濁液を容量1.5リットルの加圧反応器に移して窒素置換をしてから反応初期圧0.3MPaにし、80rpmで攪拌しつつ重合温度60℃で15時間重合して重合工程を行い、熱膨張性微小球を含む水性分散媒を得た。
この水性分散媒に水洗工程を行い、次いで濾過で単離した後、微小球濃度が30%になるようにイオン交換水に再度分散し、水酸化カリウムにてpH10.5に調整し60℃で2時間加温を行った。次いで水洗工程、濾過で単離、乾燥して熱膨張性微小球E(ニトリル系単量体比率86.7%)を得た。このときの熱膨張性微小球Eの灰分は0.1%であった。
〔実施例1;中空粒子A〕
熱膨張性微小球Aの20部、炭酸カルシウム80部(ホワイトンSBアカ、備北粉化工業社)とをセパラブルフラスコに添加し、攪拌しながら5分かけて150℃まで加熱した後、冷却し60メッシュの篩にかけ中空粒子A(平均粒子径40μm、真比重0.12、水分率0.2%)を得た。
〔実施例2;中空粒子AW〕
実施例1の方法で別に準備した中空粒子Aに対して、上記に示す水分率調整を行って、水分率0.4%である中空粒子AWを得た。
〔実施例3および4;中空粒子BおよびD〕
熱膨張性微小球BおよびDに対して、それぞれ実施例1と同様の操作を行って、中空粒子B(実施例3;平均粒子径42μm、真比重0.12、水分率0.3%)および中空粒子D(実施例4;平均粒子径38μm、真比重0.12、水分率0.2%)をそれぞれ得た。
〔実施例5;中空粒子DW〕
実施例4の方法で別に準備した中空粒子Dに対して、上記に示す水分率調整を行って、水分率0.4%である中空粒子DWを得た。
〔比較例1;中空粒子BW〕
実施例3の方法で別に準備した中空粒子Bに対して、上記に示す水分率調整を行って、水分率0.6%である中空粒子BWを得た。
〔比較例2;中空粒子C〕
熱膨張性微小球Cに対して実施例1と同様の操作を行って、中空粒子C(平均粒子径43μm、真比重0.12、水分率0.3%)を得た。
〔比較例3;中空粒子CW〕
比較例2の方法で別に準備した中空粒子Cに対して、上記に示す水分率調整を行って、水分率0.7%である中空粒子CWを得た。
〔比較例4;中空粒子E〕
熱膨張性微小球Eの30部、炭酸カルシウム70部(ホワイトンSBアカ、備北粉化工業社)とをセパラブルフラスコに添加し、攪拌しながら5分かけて140℃まで加熱した後、冷却し60メッシュの篩にかけ中空粒子E(平均粒子径30μm、真比重0.12、水分率0.3%)を得た。
〔比較例5;中空粒子EW〕
比較例5の方法で別に準備した中空粒子Eに対して、上記に示す水分率調整を行って、水分率0.5%である中空粒子EWを得た。
上記実施例1〜5および比較例1〜5に記載の中空粒子の動的耐久性(Ddyn)は表1〜4に示した。
〔実施例11;接着剤組成物〕
まず、イソシアネートからなる基材(A1)およびポリオールからなる硬化剤(A2)の組合せから構成される2液タイプのポリウレタン接着成分(ボンドUPシールグレー、コニシ製)を準備した。
次いで、80部の硬化剤(A2)に対して、4.3部の中空粒子Aを加えて万能混合機(5DMr、品川工業所社)にて20分間攪拌混合した後、20部の基材(A1)を配合してさらに20分間攪拌混合した。得られた混合物をコンディショニングミキサー(株式会社シンキー社、AR−360)にて、攪拌脱泡することで接着剤組成物を製造した。
この接着剤組成物を上記条件で硬化させた硬化物に対して引張試験を行い、硬度および伸度を測定した。また、硬化物の真比重を測定した。これらの評価結果を表1に示す。
〔実施例12〜15;接着剤組成物〕
実施例11で、中空粒子Aをそれぞれ実施例2〜5で得られた中空粒子AW、B、DおよびDWに置き換えた以外は実施例11と同様にして接着剤組成物を製造し、物性を評価した。これらの評価結果を表1に示す。
〔比較例11〜15;接着剤組成物〕
実施例11で、中空粒子Aをそれぞれ比較例1〜5で得られた中空粒子BW、C、CW、EおよびEWに置き換えた以外は実施例11と同様にして接着剤組成物を製造し、物性を評価した。これらの評価結果を表2に示す。
〔実施例16;接着剤組成物〕
まず、変性シリコーンからなる基材(B1)および硬化剤(B2)の組合せから構成される2液タイプの変性シリコーン接着成分(ボンドMSシール、コニシ製)を準備した。
次いで、100部の基材(B1)に対して、2.4部の中空粒子Aを加えて万能混合機にて20分間攪拌混合した後、硬化剤(B2)8部を配合してさらに20分間攪拌混合した。得られた混合物をコンディショニングミキサーにて、攪拌脱泡することで接着剤組成物を製造した(接着剤組成物の目標真比重は1.00とした)。
この接着剤組成物を上記条件で硬化させた硬化物に対して引張試験を行い、硬度および伸度を測定した。また、硬化物の真比重を測定した。これらの評価結果を表1に示す。
〔実施例17〜20;接着剤組成物〕
実施例16で、中空粒子Aをそれぞれ実施例2〜5で得られた中空粒子AW、B、DおよびDWに置き換えた以外は実施例16と同様にして接着剤組成物を製造し、物性を評価した。これらの評価結果を表3に示す。
〔比較例16〜20;接着剤組成物〕
実施例16で、中空粒子Aをそれぞれ比較例1〜5で得られた中空粒子BW、C、CW、EおよびEWに置き換えた以外は実施例16と同様にして接着剤組成物を製造し、物性を評価した。これらの評価結果を表4に示す。
Figure 0006283177
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Figure 0006283177
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接着剤組成物の硬化物に対する合否判定は、硬度、伸度および真比重で行い、その評価基準は以下のとおりである。
硬度は、接着成分として2液タイプのポリウレタン接着成分を用いた場合は、13.5N以下を「良」、13.5Nを越えた場合を「不良」とした。一方、接着成分として2液タイプの変性シリコーン接着成分を用いた場合は、13.0N以下を「良」、13.0Nを越えた場合を「不良」とした。ポリウレタン接着成分の場合で13.5N以下を満たさないとき、変性シリコーン接着成分の場合で13.0N以下を満たさないときは、中空粒子に付着している水分により接着剤組成物が局所的に硬化を促進し、均一な硬化物が得られていないおそれがある。
伸度は、接着成分として2液タイプのポリウレタン接着成分を用いた場合は、115mm以上を「良」、115mm未満の場合を「不良」とした。一方、接着成分として2液タイプの変性シリコーン接着成分を用いた場合は、100mm以上を「良」、100mm未満の場合を「不良」とした。ポリウレタン接着成分の場合で115mm以上を満たさないとき、変性シリコーン接着成分の場合で100mm以上を満たさないときは、接着剤組成物の特徴であるゴム弾性が失われことを示している。
真比重は、目標比重を1.00に設定し中空粒子を配合しているが、1.03以下を「良」、1.03を超えた場合を「不良」とした。1.03を超える場合は、接着剤組成物に配合した中空粒子が破損してしまい、接着剤組成物の軽量化を達成できていないことを示している。
硬度、伸度および真比重について、すべて良の場合は「合格」とし、1つでも不良がある場合は「不合格」とした。
上記の検討からは、中空粒子の水分率が0.5%以下の場合や、中空粒子の原料となる熱膨張性微小球の灰分が3.0%以下の場合には、接着剤組成物の硬化物の硬度は低く抑えられ、伸度も良好であることがわかる。また、中空粒子の組成がニトリル系単量体90〜99.9%を含む単量体混合物を重合して得られた場合、接着剤組成物の硬化物の伸度が良く、またその中空粒子の動的耐久性(Ddyn)が0.06以下となっている。その結果、接着剤組成物の真比重が目標真比重との乖離が少なく、接着剤組成物の物性が安定して発現していることが判る。
このように、中空粒子の水分率や中空粒子の原料となる熱膨張性微小球の灰分を特定量に限定することで、接着剤組成物の硬化物の硬度上昇および伸度低下を抑制することが可能となり安定的に高性能な接着剤組成物を提供することが可能となった。さらに、中空粒子の動的耐久性を改善することで、接着剤組成物の硬化物の真比重の増加を抑制することも可能となった。
1 中空粒子
2 外殻部
3 中空部
4 微粒子(吸着された状態)
5 微粒子(めり込み、固定された状態)
21 中空粒子
22 容器
23 ピストン
24 油圧シリンダ
25 支持台
26 恒温槽
27 ヒーター
28 槽内温度センサー
29 不活性ガス
30 温度センサー
31 圧力センサー
32 フィルター

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂からなる外殻部およびそれに囲まれた中空部から構成された中空体本体と、前記外殻部の外表面に付着した微粒子とから構成される中空粒子であって、
    水分率が0.5重量%以下であり、
    前記中空体本体は、熱膨張性微小球を熱膨張させてなる中空体であり、
    前記熱膨張性微小球はニトリル系単量体90〜99.9重量%を含む単量体混合物を重合して得られ、その灰分は3.0重量%以下である、
    中空粒子。
  2. 動的耐久性が0.06以下である、請求項1記載の中空粒子。
  3. 接着成分と、請求項1または2に記載の中空粒子とを含む、接着剤組成物。
  4. 前記接着成分が2液タイプのポリウレタン接着成分または2液タイプの変性シリコーン接着成分である、請求項に記載の接着剤組成物。
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