JP6462326B2 - 接着剤組成物用改質材およびそれを含む接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は接着剤組成物用改質材およびそれを含む接着剤組成物に関する。
主に建材向けに使用される接着剤組成物の改質材として、炭酸カルシウム等の無機フィラー、プラスチックバルーンやガラスバルーン等の中空粒子が使用されている。これらの改質材の配合目的は、無機フィラーでは接着剤組成物のチキソ性の改良やたれ防止等の作業性の向上であり(特許文献1)、一方、中空粒子では環境対策や接着成分の節約によるコストダウン(特許文献2)であり、現在ではどちらも接着剤組成物には欠かせないフィラーとなっている。
しかしながら、これらの改質材を配合することによって、接着剤組成物の高粘度化や接着成分の減少傾向が進み、接着剤組成物の硬化物の重要な物性の一つである伸度が低下する問題が近年、表面化してきている。伸度は、換言すれば、硬化後の接着剤組成物の柔軟性を意味する。すなわち、施工後、接着した対象物(たとえば、建物やガラス)が変位に耐えられるか否かの尺度となる物性である。伸度が低いと、接着成分が破断し接着成分としての機能を失うことや、対象物を破壊する可能性がある。したがって、高い伸度が接着剤組成物の硬化物では要求される。
上記改質材の研究のうちで接着剤組成物の硬化物の伸度に着目したものとして、特許文献3が挙げられる。特許文献3では、粘着性処理微粒子にコートされた中空粒子を接着性組成物に配合することで伸度を向上させている。しかし、伸度のさらなる向上が望まれているのが現状である。
特開平11−349846号公報 国際公開第97/05201号 特開2010−275453号公報
本発明の目的は、接着剤組成物の成分として配合した場合に、その接着剤組成物の硬化物が高い伸度を示す接着剤組成物用改質材と、その接着剤組成物用改質材を含む接着剤組成物とを提供することである。
本発明者は鋭意検討した結果、特定の接着剤組成物用改質材によって、上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の接着剤組成物用改質材は、樹脂粒子本体および前記樹脂粒子本体に付着したワックスから構成される樹脂粒子からなる、接着剤組成物用改質材であって、前記樹脂粒子が、微粒子がさらに付着した樹脂粒子であり、前記樹脂粒子本体が中空本体であり、前記微粒子と前記中空本体との重量比率(微粒子/中空本体)が、0.65〜9.5である。
この接着剤組成物用改質材は、以下の(1)〜()のうちの少なくとも1つの構成要件をさらに満足すると好ましい。
(1)前記ワックスの重量割合が樹脂粒子全体の0.1〜30重量%である。
(2)前記微粒子の重量割合が樹脂粒子全体の40〜90重量%である。
本発明の接着剤組成物は、接着成分と上記接着剤組成物用改質材とを含む。
前記接着成分が、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、2液タイプの変性シリコーン接着成分、1液タイプのポリサルファイド接着成分、2液タイプのポリサルファイド接着成分、および、アクリル接着成分から選ばれる少なくとも1種であると好ましい。
本発明の樹脂粒子の製造方法は、熱膨張性微小球およびワックスを混合するワックス混合工程と、前記ワックス混合工程で得られたワックス混合物を前記熱膨張性微小球の膨張開始温度以上の温度に加熱する膨張工程とを含む製造方法である。
前記ワックス混合工程が微粒子をさらに混合する工程であると好ましい。
本発明の別の樹脂粒子の製造方法は、熱膨張性微小球およびワックスを混合し、前記熱膨張性微小球の膨張開始温度未満の温度に加熱して、ワックス付着熱膨張性微小球を得るワックス付着工程と、前記ワックス付着熱膨張性微小球および微粒子を混合する微粒子混合工程と、前記微粒子混合工程で得られた微粒子混合物を前記熱膨張性微小球の膨張開始温度以上の温度に加熱する膨張工程とを含む製造方法である。
上記製造方法において、前記熱膨張性微小球が熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包される発泡剤とを必須として構成される微小球であると好ましく、前記樹脂粒子が接着剤組成物用改質材であるとよい。
本発明の接着剤組成物用改質材は、接着剤組成物の成分として配合した場合に、その接着剤組成物の硬化物が高い伸度を示す。
本発明の接着剤組成物は、本発明の接着剤組成物用改質材を含んでいるので、その接着剤組成物の硬化物が高い伸度を示す。
本発明の樹脂粒子の製造方法は、樹脂粒子を効率よく製造することができる。
接着剤組成物用改質材としての樹脂粒子であって、中空本体、および、この中空本体に付着したワックスおよび微粒子から構成される中空粒子(中空粒子B)の断面図の一例である。
〔接着剤組成物用改質材の基本構成〕
接着剤組成物用改質材は、樹脂粒子本体および前記樹脂粒子本体の外表面に付着したワックスから構成される樹脂粒子からなる。
樹脂粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)については、用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されないが、好ましくは0.1〜1000μm、より好ましくは0.3〜500μm、さらに好ましくは0.5〜300μm、特に好ましくは0.8〜200μmである。
樹脂粒子本体は樹脂で構成されていれば制限はないが、樹脂が熱可塑性樹脂であると好ましく、後述する微粒子の付着が容易になり、樹脂粒子が中空粒子の場合には、接着性組成物の軽量化を比較的容易に達成することが可能になる。
熱可塑性樹脂としては、特に限定はないが、たとえば、ニトリル系単量体;カルボキシル基含有単量体;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;(メタ)アクリル酸エステル系単量体;スチレン系単量体;アクリルアミド系単量体;マレイミド系単量体等のラジカル重合性単量体を(共)重合して得られる樹脂であるとよい。樹脂粒子本体を構成する熱可塑性樹脂が、以下で詳しく説明する熱膨張性微小球の外殻を構成する熱可塑性樹脂であると好ましい。ラジカル重合性単量体の具体例についても、以下で詳しく説明する。
樹脂粒子本体の平均粒子径については、特に限定はないが、好ましく0.1〜1000μm、さらに好ましくは0.3〜500μm、特に好ましくは0.5〜300μmであり、最も好ましくは0.8〜200μmである。
接着剤組成物用改質材である樹脂粒子は、樹脂粒子本体およびそれに付着したワックスから構成される。ワックスは、接着剤組成物において接着成分と樹脂粒子本体との間に介在して両者間で化学的な相互作用が生じることを抑制し、硬化後の接着剤組成物の伸度を向上させるものと考えられる。
ワックスとしては、たとえば、蜜蝋、鯨蝋等の動物ワックス;木蝋、米ぬか蝋、カウナバロウ、キャンデリラロウ等の植物ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、オイルシェル等の鉱物ワックス;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム等の金属セッケン類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、硬化ひまし油、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル等の合成ワックス;およびこれらのワックスの酸化ワックスや配合ワックス等が挙げられる。ワックスは、被覆する樹脂粒子本体の物性に合わせて選択すればよいが、これらの中でも、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等が好ましい。これらのワックスは化学的に安定であり、接着剤組成物において接着成分と樹脂粒子本体との間に介在して両者間での化学的な相互作用が生じることを抑制するという、ワックスによって発揮される作用がより得られ易い。
ワックスの融点については、特に限定はない。ワックスとしては、たとえば、20〜200℃で固形であるものを使用することができるが、樹脂粒子本体のガラス転移点や、樹脂粒子の製造温度や、樹脂粒子の原料として熱膨張性微小球を用いる場合にはその膨張工程の温度等を十分に検討した上でワックスを選択する必要がある。
樹脂粒子全体に占めるワックスの重量割合については、特に限定はないが、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.2〜25重量%、さらに好ましくは0.3〜20重量%、特に好ましくは、最も好ましくは0.5〜15重量%である。ワックスの重量割合が樹脂粒子全体の0.1重量%未満であると、接着剤組成物用改質材を接着剤組成物に配合した場合に、その組成物の硬化物において高い伸度が得られないことがある。一方、ワックスの重量割合が樹脂粒子全体の30重量%を超えると、樹脂粒子同士の凝集や融着が起こり、樹脂粒子の流動性が低下することで、接着剤組成物における均一分散性が低下する可能性がある。
樹脂粒子が、微粒子が樹脂粒子本体にさらに付着した樹脂粒子であると、樹脂粒子同士の凝集や融着が起こりにくくなり、接着剤組成物の分散性およびハンドリング性が向上するために好ましい。ここで、微粒子の付着とは、単に樹脂粒子本体の外表面に微粒子が吸着された状態であってもよく、樹脂粒子本体の外表面近傍の熱可塑性樹脂が加熱によって融解し、樹脂粒子本体の外表面に微粒子がめり込み、固定された状態であってもよい。
微粒子としては、種々のものを使用することができ、無機物、有機物のいずれの素材であってもよい。微粒子の形状としては、球状、針状、板状や不定形等が挙げられる。
微粒子の平均粒子径については、用いる樹脂粒子本体によって適宜選択され、特に限定はないが、好ましくは0.001〜30μm、さらに好ましくは0.005〜25μm、特に好ましくは0.01〜20μmである。この範囲内であると、後述するように、樹脂粒子を製造する際に混合性が良好となる。
ここでいう微粒子の平均粒子径とは、レーザー回折法により測定された微粒子の粒子径である。微粒子の粒子径がミクロンオーダーであれば一次粒子を指すが、ナノオーダーの微粒子等は凝集している場合が多く、実質ミクロンオーダーの集合体として作用するため、凝集した二次粒子を1単位として平均粒子径を算出した。
微粒子を構成する無機物としては、たとえば、石灰石(重質炭酸カルシウム)、石英、珪石(シリカ)、ウオラスナイト、石膏、アスベスト、アパタイト、マグネタイト、ゼオライト、クレイ(モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト、バーミキュライト、ハロイサイト、タルク、雲母、マイカ等)等の鉱物;元素の周期率表において、1族〜16族の金属(亜鉛、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、バリウム、マンガン、コバルト、カルシウム、金、銀、クロム、チタン、鉄、白金、銅、鉛、ニッケル等)やその合金;元素の周期率表において、1族〜16族の金属酸化物(酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化鉄(磁性酸化鉄を含む)、酸化インジウム等)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化金、水酸化マグネシウム等)、金属硫化物(硫化銅、硫化ナトリウム、硫化鉛、硫化ニッケル、硫化白金等)、金属ハロゲン化物(フッ化カルシウム、フッ化スズ、フッ化カリウム等)、金属炭化物(炭化カルシウム、炭化チタン、炭化鉄、炭化ナトリウム等)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化クロム、窒化ゲルマニウム、窒化コバルト等)、炭酸金属塩(炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸鉄等)、硫酸金属塩(硫酸アルミニウム、硫酸コバルト、硫酸水素ナトリウム、硫酸銅、硫酸ニッケル、硫酸バリウム等)、その他の金属塩(チタン酸塩(チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カリウム等)、ホウ酸塩(ホウ酸アルミニウム、ホウ酸亜鉛等)、燐酸塩(リン酸カルシウム、燐酸ナトリウム、燐酸マグネシウム等)、アルミン酸塩(アルミン酸イットリウム等)、硝酸塩(硝酸ナトリウム、硝酸鉄、硝酸鉛等))等の金属化合物等が挙げられる。
微粒子を構成する無機物は、また、合成炭酸カルシウム、フェライト、ゼオライト、銀イオン担持ゼオライト、ジルコニア、ミョウバン、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミナ繊維、セメント、ゾノトライト、酸化珪素(シリカ、シリケート、ガラス、ガラス繊維を含む)、窒化珪素、炭化珪素、硫化珪素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、活性炭、竹炭、木炭、フラーレン等であってもよい。
微粒子を構成する有機物としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸;それらのエステル類、アミド類、ニトリル類;スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン等のビニル芳香族類、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパン等のビニル基を2つ以上有するジビニル化合物等を単量体として、必要に応じて架橋剤を用い、乳化重合法、リープフリー重合法、分散重合法、懸濁重合法、ミニエマルジョン重合法等により重合して得られた有機樹脂等が挙げられる。
微粒子を構成する有機物は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素系樹脂等であってもよい。
微粒子が有機物から構成される場合、軟化しないほうが良い。軟化した場合は、微粒子がさらに付着した樹脂粒子を製造する際に融着が発生して、歩留まりが悪化する等の問題が起こることがある。有機物の軟化温度は、樹脂粒子を製造する際の温度にも依存するが、好ましくは80〜300℃、より好ましくは90〜290℃、さらに好ましくは100〜280℃である。有機物の軟化温度は、また、工程温度より10℃以上高い温度であると好ましい。
樹脂粒子は、中空粒子であってもよく、中実粒子であってもよい。中空粒子は軽量であるので好ましい。一方、中実粒子は、その粒子径や中実粒子を製造する際の加熱温度を選択する自由度が中空粒子と比較して高い。そのために、中実粒子では選択できるワックスの種類が多くなるので好ましい。
ここで、樹脂粒子が中空粒子の場合は、樹脂粒子本体は中空本体である。一方、樹脂粒子が中実粒子の場合は、樹脂粒子本体は中実本体である。
本発明の接着剤組成物用改質材は樹脂粒子からなるが、中空粒子である場合、その構造は、たとえば、以下の2つに分類することができる。
1)中空本体、および、この中空本体に付着したワックスから構成される中空粒子Aからなる樹脂粒子
2)中空本体、および、この中空本体に付着したワックスおよび微粒子から構成される中空粒子Bからなる樹脂粒子
一方、本発明の接着剤組成物用改質材は樹脂粒子からなるが、中実粒子である場合、その構造は、たとえば、以下の2つに分類することができる。
1)中実本体、および、この中実本体に付着したワックスから構成される中実粒子Aからなる樹脂粒子
2)中実本体、および、この中実本体に付着したワックスおよび微粒子から構成される中実粒子Bからなる樹脂粒子
以下では、まず、中空粒子AおよびB、これらの製造方法を説明する。
〔中空粒子AおよびB〕
中空粒子Aは、樹脂粒子本体としての中空本体と、中空本体に付着したワックスとから構成される。中空本体は、熱可塑性樹脂からなる外殻部およびそれに囲まれた中空部から構成される。ワックスは中空本体の外殻部の外表面に付着している。外殻部の厚みと比較して、一般的には、この外殻部の外表面に付着したワックスの厚みは薄い。
中空粒子B(1)は、たとえば図1に示すように、樹脂粒子本体としての中空本体と、中空本体に付着したワックスと、中空本体に付着した微粒子とから構成される。中空本体は、熱可塑性樹脂からなる外殻部(2)およびそれに囲まれた中空部(3)から構成される。ワックスは中空本体の外殻部の外表面に付着している(図示せず)。微粒子(4および5)は中空本体の外殻部の外表面に付着している。中空粒子Aと同様に、中空粒子Bでも、外殻部の厚みに比較して、一般的には、この外殻部の外表面に付着したワックスの厚みは薄い。したがって、図1ではワックスを図示していない。ワックスは、外殻部の外表面に付着した微粒子に付着していてもよい。
中空粒子Aの真比重は、0.001〜0.50であり、好ましくは0.002〜0.40、さらに好ましくは0.003〜0.20、特に好ましくは0.005〜0,10、最も好ましくは0.01〜0,07である。真比重が0.001より小さい場合は、接着剤組成物の成分として配合する際に、均一分散性が低くなる場合がある。一方、真比重が0.50より大きい場合は、接着剤組成物の成分として配合する際に、低比重化効果が低くなるため、中空粒子Aの添加量が多くなり、非経済的である場合がある。
中空粒子Bの真比重は、0.01〜0.65であり、好ましくは0.02〜0.55、さらに好ましくは0.03〜0.45、特に好ましくは0.04〜0.40、最も好ましくは0.05〜0.35である。真比重が0.01より小さい場合は、接着剤組成物の成分として配合する際に、均一分散性が低くなる場合がある。一方、真比重が0.65より大きい場合は、接着剤組成物の成分として配合する際に、低比重化効果が低くなるため、中空粒子Bの添加量が多くなり、非経済的である場合がある。
中空粒子AおよびBの平均粒子径(体積平均粒子径)については、用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されないが、通常0.1〜1000μm、好ましくは0.3〜500μm、さらに好ましくは0.5〜300μm、特に好ましくは0.8〜200μmである。
中空粒子AおよびBの水分量については、通常5重量%以下、好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。水分量が5重量%を超えると、下記に示す接着成分の硬化に影響を与える可能性がある。
中空粒子AおよびBを構成する中空本体は、図1に示すように、外殻部およびそれに囲まれた中空部からなる。中空本体は、(ほぼ)球状で、内部に大きな空洞に相当する中空部を有している。中空本体の形状を身近な物品で例示するならば、軟式テニスボールを挙げることができる。中空本体は、一般にはその硬度および真比重が小さいが、中空粒子Bでは、微粒子が外殻部の外表面に付着しているので、硬度が十分で、真比重も大きくなっている。
中空本体の平均粒径については、特に限定はないが、好ましく0.1〜1000μm、さらに好ましくは0.3〜500μm、特に好ましくは0.5〜300μmであり、最も好ましくは0.8〜200μmである。
中空本体の真比重については、特に限定はないが、通常、0.001〜0.40であり、好ましくは0.002〜0.35、さらに好ましくは0.01〜0.30である。中空本体の真比重が0.001より小さい場合は、耐久性や接着剤組成物における均一分散性が低くなることがある。一方、中空本体の真比重が0.30より大きい場合は、低比重化効果が低くなるため、中空粒子AおよびBの添加量が多くなり、非経済的であることがある。
中空本体を構成する外殻部は、熱可塑性樹脂からなり、その外表面と内表面とで囲まれ、端部はなく、連続した形状を有する。外殻部の厚み、すなわち外表面と内表面と間の距離については、均一であることが好ましいが、不均一であってもよい。
外殻部の平均厚みについては、特に限定はないが、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.15〜1μmである。外殻部の平均厚みが0.01μmより小さい場合は、耐久性が低くなることがある。一方、外殻部の平均厚みが10μmより大きい場合は、弾性が低下することがある。なお、外殻部の平均厚みとは、中空本体全体としての平均粒子径から算出される外殻部の平均厚みである。
中空本体の平均粒子径に対する外殻部の平均厚みの割合(外殻部の平均厚み/中空本体の平均粒子径)については、特に限定はないが、好ましくは0.0005〜0.1、さらに好ましくは0.0010〜0.7、特に好ましくは0.0015〜0.5である。外殻部の平均厚み/中空本体の平均粒子径が、0.0005〜0.1の範囲外では中空粒子AおよびBが弾性を示さないおそれがある。
中空本体を構成する中空部は、(ほぼ)球状であり、外殻部の内表面と接している。中空部は、基本的には以下で詳しく説明する発泡剤が気化した気体で満たされており、発泡剤の一部は液化した状態であってもよい。発泡剤の全部または一部は空気等の他の気体で置換されていてもよい。中空部は、中空本体中に複数あってもよいが、通常は、図1に示すように、大きな中空部が1つであることが好ましい。
中空粒子AおよびBを構成するワックスについては、上記で詳しく説明したが、ワックスと中空本体との重量比率(ワックス/中空本体、以下ワックス重量比率という場合がある)については、特に限定はないが、好ましくは0.0015〜3.5、さらに好ましくは0.010〜2.0、特に好ましくは0.025〜1.0である。ワックス重量比率が3.5より大きい場合、中空粒子同士の凝集が起こり、接着剤組成物における均一分散性が低下する可能性がある。一方、ワックス重量比率が0.0015より小さい場合、接着剤組成物の硬化物の伸度が低下する可能性がある。
中空粒子Bを構成する微粒子については、上記で詳しく説明したが、微粒子の平均粒子径と中空本体の平均粒子径との比率(微粒子の平均粒子径/中空本体の平均粒子径)は、中空本体表面への付着性の観点から好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.6以下である。
微粒子と中空本体との重量比率(微粒子/中空本体、以下微粒子重量比率という場合がある)については、特に限定はないが、好ましくは0.65〜9.5、さらに好ましくは1.0〜7.5、特に好ましくは1.5〜5.5である。微粒子重量比率が9.5より大きい場合、中空粒子Bの真比重が大きくなり低比重化効果が発揮されなくなることがある。一方、微粒子重量比率が0.65より小さい場合、微粒子の表面被覆が不十分になり、製造安定性に欠ける可能性がある。
〔中空粒子Aの製造方法〕
中空粒子Aの製造方法は、熱膨張性微小球およびワックスを混合するワックス混合工程と、前記ワックス混合工程で得られたワックス混合物を前記熱膨張性微小球の膨張開始温度以上の温度に加熱する膨張工程とを含む製造方法である。
(ワックス混合工程)
ワックス混合工程は、熱膨張性微小球およびワックスを混合する工程である。
混合工程におけるワックスおよび熱膨張性微小球の重量比率(ワックス/熱膨張性微小球)については、特に限定はないが、好ましくは0.0015〜3.5、さらに好ましくは0.010〜2.0、特に好ましくは0.025〜1.0である。ワックス/熱膨張性微小球(重量比率)が3.5より大きい場合は、次の膨張工程で中空粒子A同士が凝集し、接着剤組成物において均一分散性が低下する可能性がある。一方、ワックス/熱膨張性微小球(重量比率)が0.0015より小さい場合は、得られる接着剤組成物の硬化物の伸度が低くなることがある。
ワックス混合工程で使用するワックスは、上記で説明したとおりである。
また、熱膨張性微小球は、熱可塑性樹脂からなる外殻とそれに内包される発泡剤とを必須として構成される微小球であり、熱膨張性微小球は微小球全体として熱膨張性(微小球全体が加熱により膨らむ性質)を示す。
発泡剤は、熱可塑性樹脂の軟化点以下の沸点を有する物質であれば特に限定はなく、たとえば、炭素数1〜12の炭化水素およびそれらのハロゲン化物;含弗素化合物;テトラアルキルシラン;アゾジカルボンアミド等の加熱により熱分解してガスを生成する化合物等を挙げることができる。これらの発泡剤は、1種または2種以上を併用してもよい。以下の説明において、内包物質と発泡剤とを同義に用いることがある。
炭素数1〜12の炭化水素としては、たとえば、プロパン、シクロプロパン、プロピレン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロオクタン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル等の炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は、直鎖状、分岐状、脂環状のいずれでもよく、脂肪族であるものが好ましい。
熱膨張性微小球は、たとえば、ラジカル重合性単量体を含む単量体混合物を重合して得られる熱可塑性樹脂から構成され、単量体混合物に重合開始剤を適宜配合、重合することにより、熱膨張性微小球の外殻を形成することができる。
ラジカル重合性単量体は、炭素−炭素の二重結合を1つ有する単量体であれば、特に限定はないが、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等のニトリル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有単量体;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t‐ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド等のマレイミド系単量体等を挙げることができる。カルボキシル基含有単量体については、一部または全部のカルボキシル基が重合時に中和されていてもよい。
これらのラジカル重合性単量体は、1種または2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、単量体混合物が、ニトリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体、酢酸ビニルおよび塩化ビニリデンから選ばれた少なくとも1種のラジカル重合性単量体を含む単量体混合物であると好ましい。特に、単量体混合物が、ニトリル系単量体を必須成分として含む単量体混合物であると、耐熱性を付与できるため、好ましい。ニトリル系単量体の重量割合は、単量体混合物に対して、耐熱性を考慮すると、好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上であり、特に好ましくは95重量%以上である。
単量体混合物は、上記ラジカル重合性単量体以外に、重合性二重結合を2個以上有する重合性単量体(架橋剤)を含んでいてもよい。架橋剤を用いて重合させることにより、熱膨張性微小球に含まれる凝集微小球の含有率が小さくなり、熱膨張後の内包された発泡剤の保持率(内包保持率)の低下が抑制され、効果的に熱膨張させることができる。
架橋剤の重量割合については特に限定はなく、架橋剤はなくてもよいが、架橋の程度、外殻に内包された発泡剤の内包保持率、耐熱性および熱膨張性を考慮すると、単量体混合物に対して、好ましくは0.001〜5重量%であり、さらに好ましくは0.003〜3重量%である。
重合開始剤については、特に限定はなく、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は、ラジカル重合性単量体に対して可溶な油溶性の重合開始剤が好ましい。
熱膨張性微小球は、従来公知の熱膨張性マイクロカプセルの製造方法で使用される種々の手法を用いて製造することができる。すなわち、ラジカル重合性単量体を必須とし任意に架橋剤を含むことがある単量体混合物と、重合開始剤と、発泡剤とを混合し、得られた混合物を適当な分散安定剤等を含む水系懸濁液中で懸濁重合させる方法等である。
重合温度は、重合開始剤の種類によって自由に設定されるが、好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは45〜90℃、特に好ましくは50〜85℃の範囲で制御される。重合初期圧力についてはゲージ圧で0〜5.0MPa、さらに好ましくは0.1〜3.0MPa、特に好ましくは0.2〜2.0MPaの範囲である。
熱膨張性微小球の平均粒子径については、用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されず、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは2〜80μm、特に好ましくは5〜60μmである。
熱膨張性微小球の熱膨張開始温度は、熱膨張性微小球の種類にもよるが、たとえば60℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上、最も好ましくは100℃以上である。熱膨張開始温度が60℃未満の場合は、ワックス混合工程や以下のワックス付着工程等において、予期に反して熱膨張性微小球が膨張してしまう可能性がある。熱膨張開始温度の測定方法は実施例で説明する。
ワックス混合工程において、熱膨張性微小球およびワックスを混合するのに用いられる装置としては、特に限定はなく、容器と攪拌羽根といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える粉体混合機等を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(カワタ社製)およびハイスピードミキサー(深江社製)、ニューグラムマシン(セイシン企業社製)、SVミキサー(神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。
(膨張工程)
膨張工程は、前記ワックス混合工程で得られた、熱膨張性微小球およびワックスを含むワックス混合物を、熱膨張性微小球の膨張開始温度以上の温度に加熱する工程である。膨張工程では、熱膨張性微小球を膨張させるとともに、得られる中空本体の外表面にワックスを付着させる。ここでいうワックスの付着は、中空本体の外表面にワックスが吸着された状態であってもよく、ワックスが中空本体の外表面を被覆する状態であってもよい。ワックスの被覆状態は、一様に被覆するのが好ましいが、斑状に被覆するものでもよい。
膨張工程における工程温度は、熱膨張性微小球の膨張開始温度以上であればよいが、このとき選択されるワックスの融点は、熱膨張性微小球の膨張工程の温度より5℃以上低い温度であると好ましく、ワックスが中空粒子Aの外表面に膜状に付着し、均一に被覆しやすくなり、接着剤組成物の硬化物の伸度が向上しやすくなる。一方、ワックスの融点が熱膨張性微小球の膨張工程の温度より5℃低い温度より高い温度であると、ワックスは融解するものの熱膨張性微小球への付着が一部の熱膨張性微小球に偏ってしまう可能性がある。
また、熱膨張性微小球の膨張工程の温度は熱膨張性微小球の種類にもよるが、たとえば、80〜300℃であり、好ましくは90〜280℃、より好ましくは100〜270℃である。
膨張工程における加熱は、一般的な接触伝熱型または直接加熱型の混合式乾燥装置を用いて行えばよい。混合式乾燥装置の機能については、特に限定はないが、温度調節可能で原料を分散混合する能力や、場合により乾燥を早めるための減圧装置や冷却装置を備えたものが好ましい。加熱に使用する装置としては、特に限定はないが、たとえば、レーディゲミキサー(マツボー社製)、ソリッドエアー(ホソカワミクロン社製)等を挙げることができる。
〔中空粒子Bの製造方法(その1)〕
中空粒子Bの製造方法は、上記中空粒子Aの製造方法のワックス混合工程において、熱膨張性微小球およびワックスとともに、微粒子をさらに混合する工程である場合である。
中空粒子Bの製造方法では、ワックス混合工程における微粒子および熱膨張性微小球の重量比率(微粒子/熱膨張性微小球、以下微粒子重量比率という場合がある)については、特に限定はないが、好ましくは0.65〜9.5、さらに好ましくは1.0〜7.5、特に好ましくは1.5〜5.5である。微粒子重量比率が9.5より大きい場合は、中空粒子の真比重が大きくなり、低比重化効果が小さくなることがある。一方、微粒子重量比率が0.65より小さい場合は、微粒子の表面被覆が不十分になり、製造安定性に欠ける可能性がある。
〔中空粒子Bの製造方法(その2)〕
別の中空粒子Bの製造方法は、熱膨張性微小球およびワックスを混合し、前記熱膨張性微小球の膨張開始温度未満の温度に加熱して、ワックス付着熱膨張性微小球を得るワックス付着工程と、前記ワックス付着熱膨張性微小球および微粒子を混合する微粒子混合工程と、前記微粒子混合工程で得られた微粒子混合物を前記熱膨張性微小球の膨張開始温度以上の温度に加熱する膨張工程とを含む製造方法である。
(ワックス付着工程)
ワックス付着工程は、熱膨張性微小球およびワックスを混合し、得られた混合物をワックスの融点以上且つ熱膨張性微小球の膨張開始温度未満の温度に加熱して、ワックスを融解させて、ワックスが熱膨張性微小球の外表面に付着したワックス付着熱膨張性微小球を得る工程である。
ここでいうワックスの付着は、熱膨張性微小球の外表面にワックスが吸着された状態であってもよく、ワックスが熱膨張性微小球の外表面を被覆する状態であってもよい。ワックスの被覆状態は、一様に被覆するのが好ましいが、斑状に被覆するものでもよい。
ワックス付着工程におけるワックスおよび熱膨張性微小球の重量比率の説明は、上記中空粒子Aの製造方法のワックス混合工程で記載した、ワックスおよび熱膨張性微小球の重量比率の説明と同じであり、その説明をそのままここでも適用できる。
また、ワックス付着工程および以下で説明する微粒子混合工程で用いる装置の説明も、上記中空粒子Aの製造方法のワックス混合工程で記載した、熱膨張性微小球およびワックスを混合するのに用いられる装置の説明と同じであり、その説明をそのままここでも適用できる。
ワックス付着工程における工程温度は、熱膨張性微小球がこの工程で膨張して中空本体が生成することを避けるために、熱膨張性微小球の膨張開始温度より低い温度である好ましく、熱膨張性微小球の膨張開始温度より10℃以上低い温度であるとさらに好ましい。また、ワックス付着工程における工程温度は、ワックスが熱膨張性微小球に均一に付着したワックス付着熱膨張性微小球が調製され、その結果、得られる中空粒子Bを接着剤組成物の成分として配合した場合に高い伸度が得られることから、ワックスの融点より高い温度であると好ましく、ワックスの融点より5℃以上高い温度であるとさらに好ましい。一方、工程温度がワックスの融点より5℃高い温度より低い温度であるとワックスは融解するものの熱膨張性微小球への付着が一部の熱膨張性微小球に偏ってしまう可能性がある。
ワックス付着工程における工程温度については、特に限定はないが、熱膨張性微小球やワックスの種類にもよるが、好ましくは20〜200℃、より好ましくは30〜190℃、さらに好ましくは40〜180℃である。
(微粒子混合工程)
微粒子混合工程は、ワックス付着工程で得られたワックス付着熱膨張性微小球および微粒子を混合して、微粒子混合物を得る工程である。
微粒子混合工程における微粒子および熱膨張性微小球の重量比率の説明は、上記中空粒子Bの製造方法(その1)のワックス混合工程で記載した、微粒子および熱膨張性微小球の重量比率の説明と同じであり、その説明をそのままここでも適用できる。
(膨張工程)
膨張工程は、微粒子混合工程で得られた微粒子混合物を熱膨張性微小球の膨張開始温度以上の温度に加熱して、中空粒子Bを得る工程である。この膨張工程では、熱膨張性微小球を熱膨張させるとともに、得られる中空本体の外表面に微粒子を付着させる。
この膨張工程における工程温度や装置の説明は、上記中空粒子Aの製造方法の膨張工程で記載した膨張温度や装置の説明と同じであり、その説明をそのままここでも適用できる。
次に、中実粒子AおよびB、これらの製造方法を説明する。
〔中実粒子AおよびB〕
中実粒子Aは、樹脂粒子本体としての中実本体と、この中実本体に付着したワックスとから構成される。中実粒子Aの中実本体は、樹脂から構成されていればその樹脂種に制限はない。ワックスは中実本体の外表面に付着している。中実本体の大きさに比較して、一般的には、付着したワックスの厚みは薄い。
中実粒子B(1)は、樹脂粒子本体としての中実本体と、中実本体に付着したワックスと、中実本体に付着した微粒子とから構成される。中実粒子Bの中実本体も、樹脂から構成されていればその樹脂種に制限はないが、微粒子の付着性から熱可塑性樹脂であることが好ましい。
ワックスは中実本体の外表面に付着している。中実本体の大きさに比較して、一般的には、付着したワックスの厚みは薄い。微粒子も中実本体の外表面に付着している。
中実粒子Aの真比重は、2.0以下であり、好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.4以下、特に好ましくは1.35以下、最も好ましくは1.3以下である。真比重が2.0より大きい場合は、接着剤組成物に配合した場合、接着剤組成物の比重が高くなりコストアップにつながってしまう。
中実粒子Bの真比重は、2.0以下であり、好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.45以下、最も好ましくは1.4以下である。真比重が2.0より大きい場合は、接着剤組成物に配合した場合、接着剤組成物の比重が高くなりコストアップにつながってしまう。
中実粒子AおよびBの平均粒子径(体積平均粒子径)については、用途に応じて自由に設計することができるために特に限定されないが、通常0.1〜1000μm、好ましくは0.3〜500μm、さらに好ましくは0.5〜300μm、特に好ましくは0.8〜200μmである。
中実粒子AおよびBの水分量については、通常5重量%以下、好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。水分量が5重量%を超えると、下記に示す接着成分の硬化に影響を与える可能性がある。
中実粒子AおよびBを構成する中実本体は、中身が詰まった粒子からなる。中実粒子Bでは、微粒子が外殻部の外表面に付着しているので、硬度が十分で、真比重も大きくなっている。
中実本体の平均粒径については、特に限定はないが、好ましく0.1〜1000μm、さらに好ましくは0.3〜500μm、特に好ましくは0.5〜300μmであり、最も好ましくは0.8〜200μmである。
中実本体の真比重については、特に限定はないが、2.0以下であり、好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.45以下、最も好ましくは1.4以下である。真比重が2.0より大きい場合は、接着剤組成物の比重が高くなりコストアップにつながってしまう。
中実粒子AおよびBを構成するワックスについては、上記で詳しく説明したが、ワックスと中実本体との重量比率(ワックス/中実本体、以下ワックス重量比率という場合がある)については、特に限定はないが、好ましくは0.0015〜3.5、さらに好ましくは0.010〜2.0、特に好ましくは0.025〜1.0である。ワックス重量比率が、3.5より大きい場合、中実粒子同士が凝集し、接着剤組成物における均一分散性が低下する可能性がある。一方、ワックス重量比率が、0.0015より小さい場合、接着剤組成物の硬化物の伸度が低くなることがある。
中実粒子Bを構成する微粒子については、上記で詳しく説明したが、微粒子の平均粒子径と中実本体の平均粒子径との比率(微粒子の平均粒子径/中実本体の平均粒子径)は、中実本体表面への付着性の観点から好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.6以下である。
微粒子と中実本体との重量比率(微粒子/中実本体、以下微粒子重量比率という場合がある)については、特に限定はないが、好ましくは0.65〜9.5、さらに好ましくは1.0〜7.5、特に好ましくは1.5〜5.5である。微粒子重量比率が、9.5より大きい場合、中実粒子Bの比率が低くなり接着剤組成物の硬化物の伸度が低くなることがある。一方、微粒子重量比率が、0.65より小さい場合、微粒子の表面被覆が不十分になり、製造安定性に欠ける可能性がある。
〔中実粒子AおよびBの製造方法〕
中実粒子Aの製造方法は、中実本体およびワックスを加熱混合するワックス付着工程を含む製造方法である。中実粒子Bの製造方法は、中実粒子Aの製造方法のワックス付着工程において、微粒子をさらに混合する製造方法である。
ワックス付着工程は、中実粒子およびワックスを混合する工程である。
ワックス付着工程において使用する中実本体、ワックスおよび微粒子の重量比率は上記で説明したとおりである。
このワックス付着工程で使用するワックスは、上記で説明したとおりである。このワックス付着工程における装置の説明は、上記中空粒子Aの製造方法の膨張工程で記載した装置の説明等と同じであり、この説明をそのまま適用できる。
ワックス付着工程の工程温度は、ワックスの融点以上且つ中実本体のガラス転移温度より5℃以上低い温度であることが好ましく、ワックスの融点以上且つ中実本体のガラス転移温度より10℃以上低い温度であることがより好ましい。ワックスの融点が、中実本体のガラス転移点より5℃低い温度よりも高い温度であると、局所的な過熱によって、中実粒子本体の一部が凝集してしまい、接着剤組成物中での樹脂粒子の分散性が低下する可能性がある。
ワックス付着工程の工程温度は、中実本体やワックスの種類にもよるが、好ましくは20〜200℃、より好ましくは30〜190℃、さらに好ましくは40〜180℃である。
また、中実粒子Bでは微粒子をさらに混合するが、微粒子が有機物の場合、その軟化温度は、ワックス付着工程の工程温度より5℃以上高い温度が好ましく、10℃以上高い温度がより好ましい。微粒子の軟化温度がワックス付着工程の工程温度より5℃高い温度よりも低い温度の場合、部分的な過熱により一部の微粒子が凝集してしまい、接着剤組成物中における均一分散性が低下する可能性があるとともに、ワックスが、軟化した微粒子に覆われて中実本体の外表面ではなく、中実本体の内部に埋もれてしまう可能性がある。
〔接着剤組成物〕
本発明の接着剤組成物用改質材は接着剤組成物に応用することができる。その一例として、本発明の接着剤組成物は、接着成分と、上記接着剤組成物用改質材とを含む組成物である。
接着成分は、物体と物体間を接着させることができる成分であれば、特に限定はないが、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、2液タイプの変性シリコーン接着成分、1液タイプのポリサルファイド接着成分、2液タイプのポリサルファイド接着成分、アクリル接着成分等が挙げられる。接着成分が、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、および、2液タイプの変性シリコーン接着成分から選ばれる少なくとも1種であると好ましい。
1液タイプのポリウレタン接着成分は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを硬化成分として含有している。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基が空気中の水分と反応し、架橋・硬化することで接着性を発現するものである。
1液タイプのポリウレタン接着成分としては、たとえば、ペンギンシール999(サンスター技研製)等が商業的に入手可能である。
次に、2液タイプのポリウレタン接着成分は、ウレタンプレポリマー(以下、A1ということがある。)と、ポリオール等の硬化剤(以下、A2ということがある。)との2つの組合せからなる。2液タイプのポリウレタン接着成分では、A1およびA2を混合することによって、架橋・硬化することで接着性を発現するものである。
2液タイプのポリウレタン接着成分としては、たとえば、ペンギンシールPU9000typeNB(サンスター技研製)、ハマタイトUH−30(横浜ゴム社製)、ボンドPUシール(コニシ社製)等が商業的に入手可能である。
1液タイプの変性シリコーン接着成分は、架橋性シリル基含有樹脂が空気中の水分と反応し、架橋・硬化することで接着性を発現するものである。1液タイプの変性シリコーン接着成分としては、たとえば、シーラント45(信越化学工業社製)、SH780シーラント(東レ・ダウコーニング社製)、ペンギンシール2505(サンスター技研社製)、ハマタイトSS−310(横浜ゴム社製)等が商業的に入手可能である。
次に、2液タイプの変性シリコーン接着成分は、シロキサンポリマー(以下、B1ということがある。)と、有機錫化合物等の硬化剤等の硬化剤(以下、B2ということがある。)とを混合・反応させることで接着性を発現するものである。2液タイプの変性シリコーン接着成分としては、たとえば、2成分形シーラント74(信越化学工業社製)、SE792シーラント(東レ・ダウコーニング製)、ペンギンシールSR2520(サンスター技研社製)、ハマタイトシリコーン70(横浜ゴム社製)、ボンドMSシール(コニシ社製)等が商業的に入手可能である。
1液タイプのポリサルファイド接着成分は、液状ポリサルファイド樹脂を硬化成分として含有し、これに潜在性硬化剤としてBaO、CaO等のアルカリまたはアルカリ土類金属の過酸化物を配合したものであり、空気中の水分と反応し接着性を発生するものである。1液タイプのポリサルファイド接着成分としては、たとえば、トプコールSP(東レ・ファインケミカル社製)、ハマタイトPS−ONE(横浜ゴム社製)等が商業的に入手可能である。
2液タイプのポリサルファイド接着成分は、サルファイドポリマーからなる基剤(以下、C1ということがある。)と、PdO等の金属過酸化物を含む硬化剤(以下、C2ということがある。)とを混合することで接着性を発生するものである。2液タイプのポリサルファイド接着成分は、たとえば、ペンギンシールPS169N(サンスター技研社製)、ハマタイトSC−M500(横浜ゴム製)等が商業的に入手可能である。
アクリル接着成分は、アクリル酸エステルポリマーエマルジョンからなり、水分の蒸発により接着性が発生するものである。アクリル接着成分としては、たとえば、ペンギンシール1250(サンスター技研社製)等の商品名で市販されている。
接着剤組成物において配合される接着成分と接着剤組成物用改質材との重量比率(接着剤組成物用改質材/接着成分)については、特に限定はないが、好ましくは0.0005〜0.30、さらに好ましくは0.001〜0.20、特に好ましくは0.01〜0.1である。接着剤組成物用改質材/接着成分(重量比率)が、0.0005より小さい場合、接着剤組成物用改質材の添加量が少なすぎて、接着剤組成物の硬化物の伸度の改善の効果が薄れてしまう可能性がある。一方、接着剤組成物用改質材/接着成分(重量比率)が、0.30より大きい場合、接着成分の量が少なすぎて、接着剤組成物としての機能が著しく低下することがある。ここで、接着成分は、2液タイプのポリウレタン接着成分の場合はA1とA2との合計量を意味し、2液タイプの変性シリコーン接着成分の場合はB1とB2との合計量を意味し、2液タイプのポリサルファイド接着成分の場合はC1とC2との合計量を意味する。
本発明の接着剤組成物から得られる硬化物の伸度は大きく、外力等を受けて変形した場合に硬化物は破壊されにくい。
以下に、実施例について、具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で得られたものについて、次に示す要領で、試験体の作製、各種の物性の測定や性能の評価を行った。
なお、実施例6、7、S6、S7、U5、及びU6は参考例とする。
〔平均粒子径〕
測定装置として、レーザー回折式粒度分布測定装置(HEROS&RODOS、SYMPATEC社製)を使用し、湿式測定法により中空粒子、中実粒子、微粒子をそれぞれ測定し体積平均径D50値を平均粒子径とした。
〔熱膨張性微小球の熱膨張開始温度〕
熱膨張性微小球の熱膨張開始温度は、測定装置としてDMA(DMA Q800型、TA instruments社製)を使用して測定した。熱膨張性微小球0.5mgを直径6.0mm(内径5.65mm)、深さ4.8mmのアルミカップに入れ、熱膨張性微小球層の上部にアルミ蓋(5.6mm、厚み0.1mm)をのせて試料を準備した。その試料に上から加圧子により0.01Nの力を加えた状態でサンプル高さを測定した。加圧0.01Nの力を加えた状態で、20℃から300℃まで10℃/minの昇温速度で加熱し、加圧子の垂直方向における変位量を測定する。正方向への変位開始温度を膨張開始温度とした。
〔樹脂粒子の真比重測定〕
100mlメスフラスコの重量aを量り、次に試料を1部メスフラスコに加え重量bを量る。これにイソプロピルアルコールを100mlの標線まで正確に加え全重量cを量る。これとは別に、メスフラスコの空重量xを量り、これにイソプロピルアルコールを標線まで正確に加え全重量yを量る。これらの値を以下の数式(1)に当てはめ比重を算出する。
真比重=(b−a)×(y−x)/{100(y−x)−(c−b)} (1)
この測定方法で、樹脂粒子の真比重を測定した。
〔樹脂粒子の水分率の測定〕
測定装置として、カールフィッシャー水分計(MKA−510N型、京都電子工業社製)を用いて測定した。
〔接着剤組成物を用いた試験体の作製〕
接着剤組成物を幅10mm、長さ60mm、厚み3mmに調整し、これを23℃、50%RHの条件下で3日間、さらに50℃、50%RHの条件下で3日間養生しすることで、接着剤組成物の硬化物を硬化させ試験体を作製した。
〔接着剤組成物の硬化物の引張試験〕
接着剤組成物の硬化物の引張試験は23℃の室内中で引張速度50mm/min、ロードセル100kgの条件下でテンシロン試験機(UTM−III−100、TOYO BALDMIN社製)にて実施し、最大荷重時の伸度を測定した。
〔接着剤組成物の硬化物の真比重測定〕
測定装置として、上皿電子分析天秤(島津製作所社製、AX200)を使用し、接着剤組成物の硬化物の真比重を測定した。
〔実施例1〕
(中空粒子Bの製造 その1)
30重量部の熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製、マツモトマイクロスフェアーF−60D、膨張開始温度:約120℃、以下ではF−60Dという場合もある)、69重量部の炭酸カルシウム粉(備北粉化工業社製、ホワイトンSBアカ、平均粒子径2.5μm)、および、1重量部の粉末ポリエチレンワックス(旭化成ケミカル社製、サンファインLH311、融点128℃)を混合し、セパラブルフラスコに添加、攪拌しながら5分かけて150℃まで加熱した。その後、得られた加熱混合物を冷却し、60メッシュの篩で分級して、中空粒子aを得た。中空粒子aの製造条件や物性等を表1に示す。
〔実施例2〜4〕
実施例1で、配合する原料の量をそれぞれ表1に示すとおりに変更する以外は、実施例1と同様にして中空粒子b〜dを得た。中空粒子b〜dの製造条件や物性等も表1に示す。
〔実施例5〕
(中空粒子Bの製造 その2)
98重量部の熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製、マツモトマイクロスフェアーF−60D)、2重量部のパラフィンワックス(日本精鑞社製、パラフィンラックス155、融点約68℃)をセパラブルフラスコに添加し、攪拌しながら5分かけて80℃まで加熱した後、冷却し100メッシュの篩にかけることで、表面がパラフィンワックスで被覆された被覆粒子を得た。次に、30重量部の被覆粒子および70重量部の炭酸カルシウム(備北粉化工業社製、ホワイトンSBアカ、平均粒子径2.5μm)を混合しセパラブルフラスコに添加し、攪拌しながら5分かけて150℃まで加熱した。その後、得られた加熱混合物を冷却し、60メッシュの篩で分級して、パラフィンワックスで表面が被覆された中空粒子eを得た。中空粒子eの製造条件や物性等を表1に示す。
〔実施例6〕
(中実粒子Aの製造)
98重量部のプラスチックビーズ(松本油脂製薬社製、マツモトマイクロスフェアーM−503B、ガラス転移点:125〜135℃、以下M−503Bという場合もある)および2重量部のパラフィンワックス(日本精鑞社製、パラフィンラックス155、融点 約68℃)をセパラブルフラスコに添加、攪拌しながら5分かけて80℃まで加熱した。その後、得られた加熱混合物を冷却し100メッシュの篩で分級して、中実粒子fを得た。中実粒子fの製造条件や物性等を表1に示す。
〔実施例7〕
(中空粒子Aの製造)
98重量部の熱膨張性微小球(松本油脂製薬社製、マツモトマイクロスフェアーF−60D)、2重量部の粉末ポリエチレンワックス(旭化成ケミカル社製、サンファインLH311、融点128℃)の混合物をレーディゲミキサーにて撹拌しながら加熱し、150℃に到達とともに瞬時に冷却をした。その後、60メッシュの篩で分級して、パラフィンワックスで表面が被覆された中空粒子gを得た。中空粒子gの製造条件や物性等を表1に示す。
上記実施例1〜7ではいずれも篩で分級した後、篩の上には残渣はほとんどなかった。したがって、得られた中空粒子a〜e、中実粒子f、および中空粒子gは、いずれも各原料の配合量通りの比率で構成されており、樹脂粒子全体に占めるワックスの重量割合および微粒子の重量割合は、それぞれ表1に示すとおりであった。
〔比較例1〕
中空本体および中空本体に付着した炭酸カルシウム粉から構成され、ワックスが付着していない市販の中空粒子(松本油脂製薬社製、MFL−60CA)を、中空粒子hとして準備した。中空粒子hの物性等を表1に示す。
〔比較例2〕
中実本体から構成され、ワックスが付着していない市販の中実粒子(松本油脂製薬社製、マツモトマイクロスフェアーM−503B)を、中実粒子iとして準備した。中実粒子iの物性等を表1に示す。
以下の表1〜4では、中空粒子a〜e、中空粒子g、中空粒子h、中実粒子fおよび中実粒子iを、簡単のために粒子a〜iと表示している。
Figure 0006462326
以下の実施例および比較例では、実施例1〜7および比較例1〜2で得た中空粒子や中実粒子を接着剤組成物用改質材として使用した。
〔実施例S1〕
87重量部の2液タイプの変性シリコーン接着成分の基材成分と8.7重量部の硬化剤成分(日本シーカ社製、シーカフレックスMC−2C)に、4.3重量部のカラートナーと、1.75重量部の接着剤組成物用改質材としての中空粒子aと、2重量部の炭化水素(出光興産社製、IP−2835)とを加えて予備混合した後、コンディショニングミキサー(シンキー社製、AR−360)を用いて、自転500rpm、公転2000rpm、150秒間攪拌し脱泡して、接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物を上記条件で硬化させ、最大荷重時の伸度等の物性を測定した。その結果を表2に示す。
〔実施例S2〜S7および比較例S1〜S2〕
実施例S1において、接着剤組成物用改質材の種類や量を表2に示すとおりに変更する以外は、実施例S1と同様にして接着剤組成物をそれぞれ得て、これらを前記の条件で硬化させ、最大荷重時の伸度等の物性を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0006462326
〔実施例S8〕
100重量部の1液タイプの変性シリコーン接着剤組成物(セメダイン社製、POSシール)に、1.2重量部の接着剤組成物用改質材としての中空粒子eと、2重量部の炭化水素(出光興産社製、IP−2835)とを加えて予備混合した後、コンディショニングミキサー(シンキー社製、AR−360)を用いて、自転500rpm、公転2000rpm、150秒間攪拌し脱泡して、接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物を上記条件で硬化させ、最大荷重時の伸度等の物性を測定した。その結果を表3に示す。
〔比較例S3〕
実施例S8において、接着剤組成物用改質材としての中空粒子の量と種類を1.5重量部の中空粒子hに変更した以外は実施例S8と同様にして接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物を上記条件で硬化させ、最大荷重時の伸度等の物性を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0006462326
〔実施例U1〕
80重量部の2液タイプのポリウレタン接着成分の硬化剤成分と20重量部の基材成分(ボンドUPシールグレー、コニシ社製)に、3.8重量部の接着剤組成物用改質材としての中空粒子aと、2重量部の炭化水素(出光興産社製、IP−2835)とを加えて予備混合した後、コンディショニングミキサー(シンキー社製、AR−360)を用いて、自転500rpm、公転2000rpm、150秒間攪拌し脱泡して、接着剤組成物を得た。得られた接着剤組成物を上記条件で硬化させ、最大荷重時の伸度等の物性を測定した。その結果を表4に示す。
〔実施例U2〜U6および比較例U1〜U2〕
実施例U1において、接着剤組成物用改質材の種類や量を表4に示すとおりに変更する以外は、実施例U1と同様にして接着剤組成物をそれぞれ得た。得られた接着剤組成物を上記条件で硬化させ、最大荷重時の伸度等の物性を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0006462326
実施例S1〜S5、S7と比較例S1を比較するために、表2では、本発明の中空粒子を使用しない比較例S1の伸度を100%として、実施例S1〜S5、S7の伸度を比較した。また、比較例S2と実施例S6を比較するために、本発明の中実粒子を使用しない比較例S2の伸度を100%として、実施例S6の伸度を比較した。その結果、中空粒子を使用した場合、実施例S1〜S5、S7の伸度は比較例S1の伸度よりも向上し108〜140%であった。また、中実粒子を使用した場合でも、実施例S6の伸度は比較例S2の伸度よりも向上し113%であった。
また表2と同様にして、表3でも実施例S8と比較例S3とを比較した。実施例S8の伸度は比較例S3の伸度よりも向上し135%であった。
表2と同様にして、表4でも、中空粒子を使用した実施例U1〜U4、U6と比較例U1とを比較し、中実粒子を使用した実施例U5と比較例U2とを比較した。中空粒子を使用した場合、実施例U1〜U4、U6の伸度は比較例U1の伸度よりも向上し104〜128%であった。また、中実粒子を使用した場合でも、実施例U5の伸度は比較例U2の伸度よりも向上し115%であった。
これらの結果は、ワックスが付着した樹脂粒子を接着剤組成物に配合すると伸度が向上していることを示している。したがって、樹脂粒子は接着剤組成物用改質材として有用であることが確認された。
1 接着剤組成物用改質材としての樹脂粒子であって、中空本体、および、この中空本体に付着したワックスおよび微粒子から構成される中空粒子(中空粒子B)
2 外殻部
3 中空部
4 微粒子(吸着された状態)
5 微粒子(めり込み、固定された状態)

Claims (5)

  1. 樹脂粒子本体および前記樹脂粒子本体に付着したワックスから構成される樹脂粒子からなる、接着剤組成物用改質材であって、
    前記樹脂粒子が、微粒子がさらに付着した樹脂粒子であり、
    前記樹脂粒子本体が中空本体であり、
    前記微粒子と前記中空本体との重量比率(微粒子/中空本体)が、0.65〜9.5である、
    接着剤組成物用改質材。
  2. 前記ワックスの重量割合が樹脂粒子全体の0.1〜30重量%である、請求項1に記載の接着剤組成物用改質材。
  3. 前記微粒子の重量割合が樹脂粒子全体の40〜90重量%である、請求項1又は2に記載の接着剤組成物用改質材。
  4. 接着成分と、請求項1〜のいずれかに記載の接着剤組成物用改質材とを含む、接着剤組成物。
  5. 前記接着成分が、1液タイプのポリウレタン接着成分、2液タイプのポリウレタン接着成分、1液タイプの変性シリコーン接着成分、2液タイプの変性シリコーン接着成分、1液タイプのポリサルファイド接着成分、2液タイプのポリサルファイド接着成分、および、アクリル接着成分から選ばれる少なくとも1種である、請求項に記載の接着剤組成物。
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