JP6742268B2 - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、導電性フィルムの製造方法、熱可塑性樹脂フィルム、及び、導電性フィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、導電性フィルムの製造方法、熱可塑性樹脂フィルム、及び、導電性フィルム Download PDF

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Description

本開示は、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、導電性フィルムの製造方法、熱可塑性樹脂フィルム、及び、導電性フィルムに関する。
従来、半導体素子や電子回路等に使われる配線、電極等の形成にはフォトリソグラフィ法が用いられている。フォトリソグラフィ法では、ステッパーに代表される精度の高い露光機が用いられ、更に成膜やエッチングをする真空装置が用いられる。このようにフォトリソグラフィ法では高価な設備が必要になり、また工程数が多く、複雑であり、更に材料使用効率も低いため、製造コストが高くなるという問題があった。
より具体的には、例えば、タッチパネルの製造工程において、酸化インジウムスズ(ITO)層や金属電極層のパターニングが必要で、一般的にはフォトレジストの塗布を行い、所望のマスクを介し露光し、現像を行うという流れを枚葉で行っている。上記操作が1層につき1セット行われるが、枚葉での作業であること、配線のパターン毎にマスクを作る必要があることなど、工程が多く生産コストが非常にかかる。
また、従来の配線形成方法としては、以下の方法が知られている。
特許文献1には、基材の少なくとも一方に基材側からアンダーコート層、ナノカーボン層、オーバーコート層がこの順に設けられた導電積層体において、上記アンダーコート層と上記オーバーコート層との屈折率差が0.1以下である導電積層体において、オーバーコート層とナノカーボン層にレーザー光を照射することにより、オーバーコート層とナノカーボン層を除去し、パターニングする方法が記載されている。
また、特許文献2には、基板上に、エネルギーの付与により表面エネルギーが変化する材料を含有する第1の濡れ性変化層を形成する工程と、上記第1の濡れ性変化層中又は第1の濡れ性変化層上に第1の導電層を形成する工程と、上記第1の導電層が形成された第1の濡れ性変化層上に、エネルギーの付与により表面エネルギーが変化する材料を含有する第2の濡れ性変化層を形成する工程と、上記第2の濡れ性変化層に、紫外線領域の波長のレーザーを用いたレーザーアブレーション法により、第2の導電層の配線パターンとなる凹部を形成するとともに、上記凹部の形成によって露呈した第2の濡れ性変化層表面の表面エネルギーを変化させて高表面エネルギー領域を形成した後、上記第1の導電層の一部が露出するようにビアホールを形成するとともに、上記ビアホールの形成によって露呈した第2の濡れ性変化層表面の表面エネルギーを変化させて高表面エネルギー領域を形成する工程と、上記高表面エネルギー領域に導電性インクを塗布し、第2の導電層及びビアを同時に形成する工程と、を有することを特徴とする積層配線の形成方法が知られている。
ところで、表面を研磨し平滑にする技術にガスクラスターイオンビーム(GCIB)技術が知られている。図1に示すように、単原子イオンビームの照射では、基材の奥深くまで掘られてしまい、表面の粗さは悪化していってしまうところ、ガスクラスターイオンビームの照射によって、基材の表面近傍のみ切削し、基材の表面を平滑にさせることができ、シリコンウェハや金型の研磨によく用いられている。更に、クラスターを照射するため、照射物が単原子に比べ大きく、比較的広範囲を一度に処理することができ、短時間での処理を行うことができる。
特開2015−95005号公報 特開2015−15378号公報
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、表面エネルギー(表面の濡れ性)の異なる任意のパターン形状を有する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、及び、上記製造方法により得られた熱可塑性樹脂フィルムを用いる導電性フィルムの製造方法を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、表面エネルギー(表面の濡れ性)の異なる任意のパターン形状を有する熱可塑性樹脂フィルム、及び、上記熱可塑性樹脂フィルムを有する導電性フィルムを提供することである。
特許文献1に記載された方法では、塗布後は一般的にカバーフィルムが必要のため、加工前にカバーフィルムの剥離、及び、加工後にカバーフィルムの再貼合が必要であり、工程数が多く、製造コストが高くなるという問題がある。
更に、特許文献2に記載された方法では、臨界表面張力変化層が必要であり、フォトマスクを使用しているか、あるいは、物理的に溝を形成しており、工程数が多く、製造コストが高くなるという問題がある。
本発明者は、ガスクラスターイオンビームにより熱可塑性樹脂フィルムの表面を処理することで、表面を改質させる可能性に注目した。詳細な検討を行った結果、平滑にしたあと更に照射を続けることで、処理前と同等の表面粗さにもかかわらず表面エネルギーを変えることができることを見出した。
具体的には、図2に示すように、ガスクラスターイオンビーム(GCIB)を照射することにより、照射部分は初めに平滑となり、更に照射を続けることにより、処理前と同等の表面粗さとなると推定している。
一方、図2に示すように、単原子イオンビームの照射では、基材の奥深くまで掘られてしまい、表面の粗さは悪化してしまう。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 熱可塑性樹脂フィルムの表面の一部にガスクラスターイオンビームを照射し、照射した部分における表面エネルギーを変化させる工程を含む熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
<2> 上記照射を、上記熱可塑性樹脂フィルムを移動させながら行う、上記<1>に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
<3> 上記照射した部分の表面粗さRaの変化率が、上記ガスクラスターイオンビームの照射前後で±20%以内である、上記<1>又は<2>に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
<4> 上記照射した部分の表面粗さRaの変化率が、上記ガスクラスターイオンビームの照射前後で±10%以内である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
<5> 使用する上記熱可塑性樹脂フィルムの表面における表面粗さRaが、0.1nm以上50nm以下である、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
<6> 使用する上記熱可塑性樹脂フィルムの厚さが、1μm〜300μmである、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
<7> 上記ガスクラスターイオンビームにおけるクラスターガスが、アルゴン及び窒素よりなる群から選ばれた少なくとも1種のガスである、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
<8> 上記熱可塑性樹脂フィルムの材質が、ポリエステル樹脂、及び、シクロオレフィンポリマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂である、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
<9> 上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により得られた熱可塑性樹脂フィルムの表面エネルギーが変化した表面に導電性材料又は導電性材料を含む組成物を塗布し、表面エネルギーの異なる任意のパターン形状に導電性材料を付与する工程を含む導電性フィルムの製造方法。
<10> 少なくとも一方の面の表面に表面エネルギーの異なる任意のパターンを有し、上記パターンを有する面の表面粗さRaが0.1nm以上50nm以下である熱可塑性樹脂フィルム。
<11> 厚さが1μm〜300μmである、上記<10>に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
<12> 上記<10>又は<11>に記載の熱可塑性樹脂フィルムの上記パターン上に導電性材料を有する導電性フィルム。
本発明の実施形態によれば、表面エネルギー(表面の濡れ性)の異なる任意のパターン形状を有する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、及び、上記製造方法により得られた熱可塑性樹脂フィルムを用いる導電性フィルムの製造方法を提供することができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、表面エネルギー(表面の濡れ性)の異なる任意のパターン形状を有する熱可塑性樹脂フィルム、及び、上記熱可塑性樹脂フィルムを有する導電性フィルムを提供することができる。
単原子イオンビームの照射とガスクラスターイオンビームの照射との差を示した模式図である。 ガスクラスターイオンビームを照射した場合の基材表面の変化と単原子イオンビームを照射した場合の基材表面の変化との違いを示した模式図である。 実施例において形成したパターン形状を示す模式図である。
以下、本開示について詳細に説明する。
なお、本明細書中、「xx〜yy」の記載は、xx及びyyを含む数値範囲を表す。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(熱可塑性樹脂フィルムの製造方法)
本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムの表面の一部にガスクラスターイオンビームを照射し、照射した部分における表面エネルギーを変化させる工程を含む。
本発明者が詳細な検討を行った結果、上記熱可塑性樹脂フィルムの製造方法とすることにより、表面エネルギー(表面の濡れ性)の異なる任意のパターン形状を有する熱可塑性樹脂フィルムが得られることを見出した。
ガスクラスターイオンビーム(GCIB)は、断熱膨張しクラスター化させたガス分子を、処理対象に照射した際、対象物水平方向に放射状に飛び散る分子により、表面の凹凸を削ることができる装置である。
本発明者は、ガスクラスターイオンビームにより熱可塑性樹脂フィルムの表面を処理することで、表面を改質させ、表面エネルギー(濡れ性)を制御できることを見出した。
ガスクラスターイオンビームによる処理は、スポット処理のため、処理ヘッドあるいは処理対象(フィルムの送出し〜巻取りの構造)を幅方向において任意に走査させることで、表面エネルギーの異なる任意のパターン形状を形成することができる。フィルム表面の表面エネルギーが異なることにより、表面の濡れ性が異なり、塗布組成物に応じ、濡れ性の違いによるパターン形成を容易に行うことができる。したがって、本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法によれば、例えば、配線パターンの形状を避けるようにGCIB処理することにより、その後処理したフィルム表面に対して、塗布組成物を全面に塗布するだけで、表面エネルギーの差異により、所望の配線パターンのみに塗布組成物が塗布される。
詳細な機構は明確にはわかっていないが、フィルムの最表面と内部とでは分子配列が異なっており、GCIBにて表面が削られることで、フィルム内部が露出され、最表面の構成と異なり、表面エネルギーが異なるものと推定している。
本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、ガスクラスターイオンビームの照射という簡便な方法により、生産性にも優れる。
更に、本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、使用する熱可塑性樹脂フィルムの表面粗さをあまり変化させず、表面エネルギーの異なる任意のパターン形状を形成することも可能である。
また更に、本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、従来の表面処理方法に比べ、平滑性に優れ、かつ表面エネルギーの異なる任意のパターン形状を有する熱可塑性樹脂フィルムが得られる。
<パターニング工程>
本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂フィルムの表面の一部にガスクラスターイオンビームを照射し、照射した部分における表面エネルギーを変化させる工程(「パターニング工程」ともいう。)を含む。
本開示に用いられるガスクラスターイオンビームの照射手段としては、特に制限はなく、公知のガスクラスターイオン銃及びガスクラスターイオンビーム照射装置を用いることができる。
本開示に用いられるガスクラスターイオンビームにおいて、クラスター化するガス(クラスターガス)としては、特に制限はないが、表面粗さの制御、及び、表面エネルギーの差異の観点から、不活性ガスであることが好ましく、アルゴン及び窒素よりなる群から選ばれた少なくとも1種のガスであることがより好ましく、アルゴンであることが更に好ましい。また、単一のGCIB処理である必要はなく、例えば、アルゴンによるGCIB処理の後、ついで(例えば次工程で)窒素によるGCIB処理をしてもよい。
上記パターニング工程におけるガスクラスターの照射量(ドーズ量)は、表面エネルギーの異なる部分を熱可塑性樹脂フィルムの表面に形成可能な量であれば特に制限はないが、表面エネルギーの差、生産性及び表面粗さ維持性の観点から、1×1014(ions/cm)以上5×1016(ions/cm)以下であることが好ましく、1×1015(ions/cm)以上3×1016(ions/cm)以下であることがより好ましく、3×1015(ions/cm)以上2×1016(ions/cm)以下であることが更に好ましく、4×1015(ions/cm)以上1×1016(ions/cm)以下であることが特に好ましい。
上記パターニング工程におけるガスクラスターイオンビームの照射時間は、特に制限はなく、上記所望のドーズ量や形成される表面エネルギーの差に応じて、適宜選択することができる。
上記パターニング工程におけるガスクラスターイオンビームの照射時の衝突加速電圧は、表面エネルギーの差、生産性及び表面粗さ維持性の観点から、1kV以上50kV以下であることが好ましく、3kV以上40kV以下であることがより好ましく、4kV以上30kV以下であることが特に好ましい。
上記パターニング工程におけるガスクラスターイオンビーム照射時の温度、及び、雰囲気は、特に制限はなく、公知の温度条件及び雰囲気により行うことができる。
上記パターン形状は、特に制限はなく、所望の任意の形状を形成すればよい。
上記パターニング工程において、上記ガスクラスターイオンビームの照射を、上記熱可塑性樹脂フィルムを移動させながら行ってもよいし、ガスクラスターイオンビームの装置(イオンビーム照射口)を移動させ行ってもよいし、その両方を行ってもよいが、生産性及びパターン形成性の観点から、上記熱可塑性樹脂フィルムを移動させながら行うことが好ましい。
また、上記パターニング工程においては、少なくともガスクラスターイオンビームを照射した表面と、ガスクラスターイオンビームを照射していない表面とによりパターンを形成すればよく、所望のパターンの形状の主となる部分を、ガスクラスターイオンビームを照射した表面により形成してもよいし、ガスクラスターイオンビームを照射していない表面により形成してもよい。
得られた熱可塑性樹脂フィルムの表面におけるガスクラスターイオンビームを照射した部分の表面エネルギーと熱可塑性樹脂フィルムの表面におけるガスクラスターイオンビームを照射していない部分の表面エネルギーとの差(変化量)の絶対値は、濡れ性の差の観点から、3.2mN/m以上であることが好ましく、3.5mN/m以上であることがより好ましく、5.0mN/m以上であることが更に好ましい。ガスクラスターイオンビームの照射前後における熱可塑性樹脂フィルムの表面における表面エネルギーの差(変化量)の絶対値が3.0mN/mを超えると、パターン形成部とそれ以外の部分との差異が十分ある範囲といえる。
上記表面エネルギーの差の絶対値は、熱可塑性樹脂フィルムの素材などにもよるが、例えば、3.6mN/m、4.9mN/m、5.5mN/m、5.9mN/m、6.2mN/m、6.3mN/mなどが挙げられるが、無論これらに限定されるものではない。
また、得られた熱可塑性樹脂フィルムの表面における表面エネルギーの違いを確認する方法としては、以下の方法により表面エネルギーを測定して確認することができる。
熱可塑性樹脂フィルムにおける表面エネルギーの測定方法としては、例えば、色材工学ハンドブック(色材協会編)に記載の方法を参考に実施した。
すなわち、23℃、50%RH雰囲気下で、表面エネルギーの異なる2液(蒸留水(A液)、及び、ヨウ化メチレン(B液))を滴下する。上記2液それぞれにおける各接触角を測定する(全自動接触角計 DM−701(協和界面科学(株)製))。次いで、得られた接触角θから算出されるcosθ(y軸)と、上記2種類の試験液の表面エネルギー(x軸)とで、x−yプロットし、線形近似式より接触角ゼロ度(cosθ=1)のときの表面エネルギーを、測定対象の表面エネルギーとした。各測定は5箇所にて行い、その平均接触角を対象試験液を用いた接触角とした。上記測定をGCIB処理前後にて測定した。
本開示に用いられる熱可塑性樹脂フィルムは、特に制限はなく、公知の熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。また、2軸延伸フィルム製膜中にGCIB処理を実施してもよい。例えば、樹脂を溶融しダイからシート状に吐出し冷却固化させ得られた熱可塑性未延伸フィルムに対しGCIB処理を施し、その後2軸延伸してもよい。
上記熱可塑性樹脂フィルムの材質としては、熱可塑性樹脂であればよく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリオレフィン、スチレンアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルムにおける材質は、1種単独の樹脂であっても、2種以上のポリマーブレンドであってもよい。
中でも、導電性フィルム等の要求品質(例えば、耐熱性、寸法安定性、コスト等)の観点から、ポリエステル樹脂、及び、シクロオレフィンポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、及び、シクロオレフィンポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂がより好ましい。
上記パターニング工程におけるガスクラスターイオンビーム照射前の熱可塑性樹脂フィルムの表面全体の表面粗さRaは、表面エネルギーの差、及び、取扱い性の観点から、0.1nm以上50nm以下であることが好ましく、0.3nm以上40nm以下であることがより好ましく、0.5nm以上30nm以下であることが更に好ましく、1nm以上25nm以下であることが特に好ましい。例えば15nm、20nmなどが挙げられるが、特に限定されない。
また、上記パターニング工程におけるガスクラスターイオンビーム照射後の熱可塑性樹脂フィルムの表面全体の表面粗さRaは、表面エネルギーの差、及び、取扱い性の観点から、0.1nm以上50nm以下であることが好ましく、0.3nm以上40nm以下であることがより好ましく、0.5nm以上30nm以下であることが更に好ましく、1nm以上25nm以下であることが特に好ましい。例えば15nm、20nmなどが挙げられるが、特に限定されない。
更に、本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により得られるガスクラスターイオンビームを照射した部分の熱可塑性樹脂フィルム表面における表面粗さRaは、平滑性、表面エネルギーの差、及び、取扱い性の観点から、0.1nm以上50nm以下であることが好ましく、0.3nm以上40nm以下であることがより好ましく、0.5nm以上30nm以下であることが更に好ましく、1nm以上25nm以下であることが特に好ましい。表面粗さが0.1nm以上であると例えばフィルムロールへの張り付きに対してなどフィルム取り扱い性がよく、50nm以下であると平滑性や外観などが好ましく、例えば光学用途でのニーズに好適に用いることができる。表面粗さの値としては例えば15nm、20nmなどが具体的に挙げられるが、特に限定されない。
本開示における熱可塑性樹脂フィルムの表面粗さRaの測定方法は、接触形状測定機(Mitutoyo FORMTRACER EXTREME CS−5000 CNC)を用い、下記の条件にて、測定対象フィルムのMD方向及びTD方向の任意の位置において各12回計測し、Raの最小値及び最大値を除去したMD方向10点及びTD方向10点の平均を求め、20点の平均値をRaとする。
<条件>
・測定針先端径:0.5μm
・触針荷重:0.75mN
・測定長:0.8mm
・カットオフ値:0.08mm
本開示に用いられる熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、要求品質、取扱い性及び強度の観点から、1μm〜300μmであることが好ましく、5μm〜250μmであることがより好ましく、10μm〜200μmであることが更に好ましい。例えば、5μm、60μm、100μm、250μmなどが挙げられるが、これに限定されない。
また、本開示に用いられる熱可塑性樹脂フィルムの厚さ以外の形状については、特に制限はなく、所望の形状であればよい。例えば、枚葉状のフィルムであっても、ロール状のフィルムであってもよい。
上記熱可塑性樹脂フィルムの表面におけるガスクラスターイオンビームを照射した部分の表面粗さRaの変化率(100×(照射後のRa−照射前のRa)/照射前のRa、単位:%)は、取扱い性の観点から、上記ガスクラスターイオンビームの照射前後で±40%以内であることが好ましく、±20%以内であることがより好ましく、±10%以内であることが特に好ましい。
本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法によれば、ガスクラスターイオンビームを用いて表面エネルギーを変化させることにより、上記熱可塑性樹脂フィルムの表面における表面粗さをあまり変化させずとも、パターン形成が可能である。従来の表面処理によるパターニング方法では、フィルム表面が深く削られ、フィルムの表面粗さが悪化する場合が多い。
本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、上記パターニング工程以外の工程を含んでいてもよい。
上記パターニング工程以外の工程としては、例えば、上記パターニング工程の前に、熱可塑性樹脂フィルムを準備する工程や、熱可塑性樹脂フィルムを洗浄する工程、洗浄された熱可塑性樹脂フィルムを乾燥する工程などが挙げられる。
また、本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により得られた熱可塑性樹脂フィルムのパターンを保護するため、保護フィルムを貼り付けてもよい。
保護フィルムとしては、公知のものを用いることができる。
(導電性フィルムの製造方法)
本開示に係る導電性フィルムの製造方法は、本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により得られた熱可塑性樹脂フィルムを用いた導電性フィルムの製造方法であり、本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により得られた熱可塑性樹脂フィルムの表面エネルギーが変化した表面に導電性材料又は導電性材料を含む組成物を塗布し、表面エネルギーの異なる任意のパターン形状に導電性材料を付与する工程(「付与工程」ともいう。)を含むことが好ましい。
上記付与工程を含む本開示に係る導電性フィルムの製造方法により得られた導電性フィルムは、導電性材料のパターンを有する導電性フィルムとして、好適に用いることができる。
<付与工程>
上記付与工程における導電性材料又は導電性材料を含む組成物の塗布量は、特に制限はなく、所望の導電性材料の量、使用する熱可塑性樹脂フィルムの表面エネルギーの差、及び、上記組成物の表面張力等に応じて、適宜選択すればよいが、パターン形成可能な量を塗布することが好ましい。
また、上記付与工程における導電性材料又は導電性材料を含む組成物の塗布は、熱可塑性樹脂フィルムの全面に行ってもよいし、パターン形状が必要な部分にのみ塗布してもよい。本開示に係る導電性フィルムの製造方法においては、表面エネルギーの違いによりパターン形成可能な熱可塑性樹脂フィルムを用いるため、所望のパターン形状と同じ形状に導電性材料又は導電性材料を含む組成物を塗布しなくても、例えば、導電性材料又は導電性材料を含む組成物を全面に塗布しても、表面エネルギーの違いによりパターン形状が形成され、所望のパターン形状に導電性材料を付与することができる。
また、上記付与工程においては、導電性材料を含む組成物を塗布することが好ましい。組成物として用いることにより、塗布する熱可塑性樹脂フィルムの表面エネルギーの違いに応じた調整が容易である。
導電性材料としては、金属、金属酸化物、導電性高分子などを挙げることができる。
金属としては、Al、Zn、Cu、Ag、Au、Fe、Ni、Cr、Mo等を挙げることができる。
金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等を挙げることができる。
導電性高分子としては、ポリアセチレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリピロール類等を挙げることができる。
上記導電性材料を含む組成物は、導電性材料を分散した組成物であっても、導電性材料を溶解した組成物であってもよい。
上記導電性材料を含む組成物は、溶媒(分散媒)を含むことが好ましい。
溶媒としては、特に制限はなく、塗布する熱可塑性樹脂フィルムの表面エネルギーの違いに応じて、適宜選択することができる。例えば、極性溶媒を用いてもよいし、無極性溶媒を用いてもよい。
上記組成物における導電性材料、及び、溶媒の含有量は、特に制限はなく、所望の導電性材料のパターン、及び、塗布する熱可塑性樹脂フィルムの表面エネルギーの違いに応じて、適宜選択すればよい。
また、上記導電性材料を含む組成物は、必要に応じて、バインダーポリマー、粘度調整剤、界面活性剤等、その他の公知の添加剤を含んでいてもよい。
上記導電性材料を含む組成物が溶媒を含む場合、本開示に係る導電性フィルムの製造方法は、形成されたパターンから溶媒を除去する工程を含むことが好ましい。
溶媒の除去方法としては、公知の乾燥方法を用いることができる。
(熱可塑性樹脂フィルム、及び、導電性フィルム)
本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムは、少なくとも一方の面の表面に表面エネルギーの異なる任意のパターンを有し、上記パターンを有する面の表面粗さRaが0.1nm以上50nm以下である。
また、本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムは、上述した本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により製造された熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。
本開示に係る導電性フィルムは、本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの上記パターン上に導電性材料を有する。
また、本開示に係る導電性フィルムは、上述した本開示に係る転写フィルムの製造方法により製造された導電性フィルムであることが好ましい。
本開示に係る熱可塑性樹脂フィルム、及び、本開示に係る導電性フィルムの好ましい態様は、後述した以外は、上述した本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により製造された熱可塑性樹脂フィルム、及び、本開示に係る導電性フィルムの製造方法により製造された導電性フィルムの好ましい態様と同様である。
本開示に係る熱可塑性樹脂フィルムの表面粗さRaは、取扱い性の観点から、0.3nm以上40nm以下であることがより好ましく、0.5nm以上30nm以下であることが更に好ましく、1nm以上25nm以下であることが特に好ましい。
以下、本発明の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1〜6)
表1に記載の熱可塑性樹脂フィルムに対し、ガスクラスターイオンビーム装置(アールエムテック(株)製)を使用して、下記に示す条件でガスクラスターイオンビームの照射を行い、表面エネルギーの異なるパターン形状を有する熱可塑性樹脂フィルムをそれぞれ得た。
なお、表1に記載のフィルム形態が、「枚葉」の場合は、100mm×100mmのフィルムを使用し、「Roll to Roll」の場合は、100mm幅のフィルムを使用した。
−ガスクラスターイオンビーム照射条件−
・クラスターガス:アルゴン
・ガスクラスターのドーズ量:表1に記載の量
・衝突加速電圧:表1に記載の加速電圧
・幅方向送り速度:20mm/sec
・長手方向ピッチ:0.4mm
・パターン形状:図3に示す形状を100mm×100mm毎に形成した。
図3は、100mm×100mm毎のパターン形状10を示し、ガスクラスターイオンビーム処理部12、及び、未処理部14を有し、未処理部14は搬送方向D1に対し、横向きのW状に形成されており、未処理部14の各部の幅L1は、0.5mmである。
(比較例1)
表1に記載の熱可塑性樹脂フィルムに対し、イオンビームエッチング装置(アールエムテック(株)製)を使用して、下記に示す条件で単分子イオンビームの照射を行い、熱可塑性樹脂フィルムを得た。
−単分子イオンビーム照射条件−
・イオン:アルゴン
・イオンのドーズ量:表1に記載の量
・衝突加速電圧:表1に記載の加速電圧
・幅方向送り速度:20mm/sec
・長手方向ピッチ:0.4mm
・パターン形状:ガスクラスターイオンビーム照射時と同様
<表面粗さRa、及び、表面エネルギーの測定方法>
上述した表面粗さRaの測定方法、及び、表面エネルギーの測定方法により、測定した。
<表面粗さ維持性評価>
得られた熱可塑性樹脂フィルムにおけるガスクラスターイオンビームを照射した部分の表面粗さRaの変化率(100×(照射後のRa−照射前のRa)/照射前のRa、単位:%)を算出し、以下の評価基準により評価した。
A:表面粗さRaの変化率が±10%以内
B:表面粗さRaの変化率が±10%を超え±20%以内
C:表面粗さRaの変化率が±20%を超え±40%以内
D:表面粗さRaの変化率が+40%を超える
表1に示すように、実施例1〜実施例6で得られた熱可塑性樹脂フィルムは、ガスクラスターイオンビームの照射前後で表面粗さがほとんど変化せず、表面エネルギー(表面の濡れ性)の異なる任意のパターン形状を有する熱可塑性樹脂フィルムであった。
一方、比較例1で得られた熱可塑性樹脂フィルムは、単原子イオンビームを照射した部分としていない部分との表面エネルギーの差が小さく、表面の濡れ性が十分変化したものではなかった。更に表面粗さがパターニング処理前後で大きく変化していた。
また、表1に示すように、実施例1〜実施例6の製造方法は、表面粗さ維持性に優れており、得られた熱可塑性樹脂フィルムは、平滑性にも優れていた。
表1に記載の熱可塑性樹脂フィルムを以下に示す。
PET(厚さ100μm、枚葉):ポリエチレンテレフタレートフィルム
PET(厚さ100μm、ロール):ポリエチレンテレフタレートフィルム
PET(厚さ5μm、ロール):ポリエチレンテレフタレートフィルム
PET(厚さ250μm、ロール):ポリエチレンテレフタレートフィルム
COP(厚さ60μm、枚葉):シクロオレフィンポリマーフィルム
また、これら熱可塑性樹脂フィルムは、下記の方法により作製し、ロールとした、又は、枚葉状に裁断したものを用いた。
<ポリエステル原料樹脂1の合成>
以下に示すように、テレフタル酸及びエチレングリコールを直接反応させて水を留去し、エステル化した後、減圧下で重縮合を行う直接エステル化法を用いて、連続重合装置によりポリエステル(Ti触媒系PET)を得た。
(1)エステル化反応
第一エステル化反応槽に、高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンを90分かけて混合してスラリー形成させ、3,800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。更にクエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(VERTEC AC−420、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に供給し、反応槽内温度250℃、撹拌下、平均滞留時間約4.3時間で反応を行なった。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、Ti添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。このとき、得られたオリゴマーの酸価は600当量/トンであった。なお、本明細書中において、「当量/t」は1トンあたりのモル当量を表す。
この反応物を第二エステル化反応槽に移送し、撹拌下、反応槽内温度250℃で、平均滞留時間で1.2時間反応させ、酸価が200当量/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が3ゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、Mg添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、P添加量が元素換算値で65ppmになるように連続的に供給した。
(2)重縮合反応
上記で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給し、撹拌下、反応温度270℃、反応槽内圧力20torr(2.67×10−3MPa)で、平均滞留時間約1.8時間で重縮合させた。
更に、第二重縮合反応槽に移送し、この反応槽において撹拌下、反応槽内温度276℃、反応槽内圧力5torr(6.67×10−4MPa)で滞留時間約1.2時間の条件で反応(重縮合)させた。
次いで、更に第三重縮合反応槽に移送し、この反応槽では、反応槽内温度278℃、反応槽内圧力1.5torr(2.0×10−4MPa)で、滞留時間1.5時間の条件で反応(重縮合)させ、反応物(ポリエチレンテレフタレート(PET))を得た。
次に、得られた反応物を、冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてポリエステルのペレット<断面:長径約4mm、短径約2mm、長さ:約3mm>を作製した。
得られたポリエステルについて、高分解能型高周波誘導結合プラズマ−質量分析(HR−ICP−MS;SIIナノテクノロジー社製AttoM)を用いて以下に示すように測定した結果、Ti=9ppm、Mg=75ppm、P=60ppmであった。Pは当初の添加量に対して僅かに減少しているが、重合過程において揮発したものと推定される。
以上のようにして、ポリエステル原料樹脂1を合成した。
<未延伸ポリエステルフィルムの作製>
ポリエステル原料樹脂1を、含水率20ppm以下に乾燥させた後、直径50mmの1軸混練押出機のホッパーに投入した。ポリエステル原料樹脂1は、300℃に溶融し、下記押出条件により、ギアポンプ、濾過器(孔径20μm)を介し、ダイから押出した。なお、ポリエステルシートの厚さが0.4mmとなるように、ダイのスリットの寸法を調整した。ポリエステルシートの厚さは、キャスティングロールの出口に設置した自動厚み計により測定した。
この際、溶融樹脂の押出は、圧力変動を1%とし、溶融樹脂の温度分布を2%とする条件にて行った。具体的には、押出機のバレルにおける背圧を、押出機のバレル内平均圧力に対して1%高い圧力とし、押出機の配管温度を、押出機のバレル内平均温度に対して2%高い温度として加熱した。ダイから押出すにあたり、溶融樹脂を冷却用のキャスティングロール上に押出し、静電印加法を用いてキャスティングロールに密着させた。溶融樹脂の冷却は、キャスティングロールの温度を25℃に設定し、かつ、キャスティングロールに対面して設置された冷風発生装置から25℃の冷風を吹き出して溶融樹脂にあてた。キャスティングロールに対向配置された剥ぎ取りロールによって、キャスティングロールから厚さ0.4mm、フィルム幅0.9mの未延伸ポリエステルフィルム(未延伸ポリエステルフィルム1)を剥離した。
<2軸延伸ポリエステルフィルムの作製>
得られた未延伸ポリエステルフィルム1に対し、以下の各工程を経ることにより逐次2軸延伸を施し、厚さ100μm、5μm又は250μm及びフィルム幅(TDの全長)2.5mの2軸延伸ポリエステル(PET)フィルムをそれぞれ作製した。
なお、下記各工程の延伸倍率を調整することにより、所望の厚みとした。
得られた2軸延伸ポリエステルフィルムを幅100mmに裁断し、上記において使用した。
−第1の延伸工程−
未延伸ポリエステルフィルム1を周速の異なる2対のニップロールの間に通し、下記条件でMD方向(搬送方向)に第1の延伸(縦延伸)を行った。
<条件>
予熱温度:80℃
延伸温度:90℃
延伸応力:12MPa
−第2の延伸工程−
縦延伸したポリエステルフィルム(一軸延伸ポリエステルフィルム)に対し、テンター(2軸延伸機)を用いて下記の方法、条件にて第2の延伸(横延伸)を行った。
(予熱部)
予熱温度を110℃とし、延伸可能なように加熱した。
(延伸部)
予熱された一軸延伸ポリエステルフィルムを、MD方向と直交するフィルム幅方向(TD方向)に下記条件にて緊張を与え、延伸(横延伸)した。
<条件>
延伸温度:125℃
延伸応力:18MPa
延伸速度:18%/秒
(熱固定部)
次いで、ポリエステルフィルムの最高到達膜面温度(熱固定温度)を下記範囲に制御して加熱し、結晶化させた。
・最高到達膜面温度(熱固定温度T熱固定):220℃
(熱緩和部)
熱固定後のポリエステルフィルムを下記温度に加熱し、フィルムの緊張を熱緩和した。
<条件>
・熱緩和温度(T熱緩和):190℃
・熱緩和率:TD方向(TD熱緩和率;ΔL)=5%
(冷却部)
次に、熱緩和後のポリエステルフィルムを65℃の冷却温度にて冷却した。それと同時に、ポリエステルフィルムをフィルム幅方向(TD方向)に下記条件にて緊張を与え、僅かな拡張処理を施した。
<条件>
拡張倍率:1.5%
延伸速度:0.1%/秒
なお、拡張倍率は、上記の熱緩和部での熱緩和の終了時点のフィルム幅に対する拡張割合を示す。
−フィルムの回収−
冷却終了後、ポリエステルフィルムの両端を20cmずつトリミングした。その後、両端に幅10mmで押出し加工(ナーリング)を行った後、張力25kg/mで巻き取った。
以上のようにして、2軸延伸ポリエステル(PET)フィルムを作製した。
<環状ポリオレフィンフィルムの作製>
上記のPETフィルムの作製において、ポリエステル原料樹脂1を、ARTON(登録商標;比重ρ:1.08g/cm、ガラス転移温度(Tg):138℃、JSR(株)製)に代えたこと以外は、上記のPETフィルムの作製と同様にして、シクロオレフィンポリマーフィルム(COP)を作製した。
この際、第1の延伸(縦延伸)を、予熱温度:120℃、延伸温度:140℃にて行い、第2の延伸(横延伸)を、予熱温度:120℃、延伸温度:140℃にて行ったこと以外は、上記のPETフィルムの作製と同様の条件とした。
(実施例7)
実施例1で得られたフィルムに対し、特開2013−178584号公報の記載を参考に導電性組成物を含有する塗布液(ポリチオフェン類を含有する塗布液)を塗布した後、乾燥、紫外線照射し、導電性フィルムを得た。得られた導電性フィルムは、GCIBにて処理していない箇所のみ導電層を形成しており、導電層をパターニングできていることを確認した。
10:パターン形状、12:ガスクラスターイオンビーム処理部、14:未処理部、102:イオン、104:基材表面、106:基材、108:ガスクラスターイオン、110:熱可塑性樹脂フィルム、D1:熱可塑性樹脂フィルムの搬送方向、L1:未処理部14の幅

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムの表面の一部にガスクラスターイオンビームを照射し、照射した部分における表面エネルギーを変化させる工程
    前記表面エネルギーを変化させる工程により得られた熱可塑性樹脂フィルムの表面エネルギーが変化した表面に導電性材料又は導電性材料を含む組成物を塗布し、表面エネルギーの異なる任意のパターン形状に導電性材料を付与する工程を含む
    導電性フィルムの製造方法。
  2. 前記照射を、前記熱可塑性樹脂フィルムを移動させながら行う、請求項1に記載の導電性フィルムの製造方法。
  3. 前記照射した部分の表面粗さRaの変化率が、前記ガスクラスターイオンビームの照射前後で±20%以内である、請求項1又は請求項2に記載の導電性フィルムの製造方法。
  4. 前記照射した部分の表面粗さRaの変化率が、前記ガスクラスターイオンビームの照射前後で±10%以内である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
  5. 使用する前記熱可塑性樹脂フィルムの表面における表面粗さRaが、0.1nm以上50nm以下である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
  6. 使用する前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さが、1μm〜300μmである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
  7. 前記ガスクラスターイオンビームにおけるクラスターガスが、アルゴン及び窒素よりなる群から選ばれた少なくとも1種のガスである、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
  8. 前記熱可塑性樹脂フィルムの材質が、ポリエステル樹脂、及び、シクロオレフィンポリマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
  9. 前記照射前の前記熱可塑性樹脂フィルムの表面全体の表面粗さRaが、0.1nm以上50nm以下である請求項1〜請求項8のいずれか1項に基記載の導電性フィルムの製造方法。
  10. 前記表面エネルギーを変化させる工程により得られた熱可塑性樹脂フィルムの表面におけるガスクラスターイオンビームを照射した部分の表面エネルギーと前記表面エネルギーを変化させる工程により得られた熱可塑性樹脂フィルムの表面におけるガスクラスターイオンビームを照射していない部分の表面エネルギーとの差の絶対値が、3.2mN/m以上である請求項1〜請求項9のいずれか1項に基記載の導電性フィルムの製造方法。
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