JP6738643B2

JP6738643B2 - 塗布具

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Publication number: JP6738643B2
Application number: JP2016080909A
Authority: JP
Inventors: 聡住吉
Original assignee: Mitsubishi Pencil Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Pencil Co Ltd
Priority date: 2016-04-14
Filing date: 2016-04-14
Publication date: 2020-08-12
Anticipated expiration: 2036-04-14
Also published as: JP2017189416A; US10391516B2; EP3231323B1; EP3231323A1; US20170297050A1

Description

本発明は塗布具に関し、特に，軸筒内部の体積（内容積）に対して、収容される塗布液の充填（体積）効率を向上させた塗布具に関する。

塗布具として、特許文献１，２、３に示すように、軸筒の後端部に設けられた天冠を回動させることにより、ピストン及びネジ棒を含む液押圧機構によって、軸筒内部の塗布液収容部を押圧し、軸筒の先端部の穂首、塗布体に塗布液を供給するものが知られている。
前記液押圧機構は軸筒の中間部から後部にかけて配置され、天冠の回動をピストンの直線運動に変化させるものである。具体的には、天冠とピストンとの間にはネジ棒が設けられ、前記天冠の回動に伴い、前記ピストン、あるいはネジ棒とピストンが塗布液収容部内を前進するように構成されている。

また、特許文献４には、容器本体の側面にバルブ機構の操作を行うサイドボタンを設け、前記サイドボタンを、指で押し込み、あるいは指を離して押し込み操作を止めることにより、カートリッジ本体内の内容物を押し出す、サイドノック式容器が示されている。

特開２００７−１３０１５７公報特開２０１２−１５７６１１公報特開２０１１−１４２９４５公報特開平１１−２０６４５３公報

前記特許文献１，２に示された従来の塗布具にあっては、軸筒の中間部から後部にかけて前記液押圧機構が配置され、ピストンとネジ棒が共に移動するように構成されている。
そのため、前記液押圧機構が配置された領域には、塗布液収容部を設けることができず、軸筒内における塗布液の収容スペースが小さくなるという技術的課題があった。言い換えれば、軸筒内部の体積（内容積）に対する、収容される塗布液の充填（体積）効率が低いという技術的課題があった。

また、特許文献３に示された従来の塗布具にあっては、軸筒の後部に液押圧機構を配置すると共に、ネジ棒を塗布液収容部内に設け、前記ネジ棒上をピストンが移動するように構成されている。
そのため、塗布液収容部内の塗布液収容スペースが、ネジ棒の体積分小さくなるばかりではなく、ネジ棒と塗布液収容部との間から塗布液が洩れる等の問題があり、シール性が困難であるという技術的課題があった。

また、特許文献４に示されたサイドノック式容器にあっては、サイドボタンが何かに当たり、不用意にカートリッジ本体内の内容物（塗布液）が押し出されるというという技術的課題があった。

本発明者らは、上記事情に鑑み、特許文献１，２、３に示すように、軸筒に設けられた操作部を回動させることにより、軸筒内に収容された塗布液を吐出する塗布具を前提に、軸筒の内部体積に対する塗布液の充填（体積）効率を向上させた塗布具を鋭意研究し、本発明を想到するに至った。

本発明の目的とするところは、軸筒本体に取り付けられた操作部を回動させることにより、塗布液を吐出する塗布具において、軸筒本体の内部体積に対する、軸筒本体内に収容される塗布液の充填（体積）効率を向上させた塗布具を提供することを目的とする。

上記目的を達成するためになされた本発明にかかる塗布具は、軸筒本体に取り付けられた操作部を回動させることにより、塗布液を吐出する塗布具において、内部に塗布液が収容された塗布液貯留部が設けられた軸筒本体と、前記軸筒本体の前方側に、前記軸筒本体に対して回動可能に設けられた操作部と、前記操作部に取り付けられ、操作部の回動により、前記軸筒本体の前後方向に摺動するピストンと、前記操作部とピストンとに形成された、カム及びカム溝からなるカム機構部と、前記ピストンに設けられた貫通穴と、前記ピストンの貫通穴に接続された、塗布部へ塗布液を供給する塗布液供給路と、前記ピストンの貫通穴を開閉する第１の弁と、前記軸筒本体の内部の壁部に仕切れた、前方側の空間に形成された、前記ピストンが前後動する弁室と、前記壁部によって後方側の空間に形成された前記塗布液貯留部と、前記壁部に形成された、前記塗布液貯留部と前記弁室とを連通する貫通穴と、前記壁部の貫通穴を開閉する第２の弁と、を備え、前記操作部を回動させ、前記カム機構部によって前記ピストンを前後方向に摺動させることにより、第１の弁、塗布液供給路を介して、塗布液を吐出し、前記ピストンの移動によって弁室内が負圧の場合に、前記第２の弁が移動により開放され、前記塗布液貯留部の塗布液が前記弁室に供給され、前記ピストンの移動によって弁室内が正圧の場合に、前記第２の弁が移動により閉じられ、前記塗布液貯留部の塗布液の前記弁室への供給が遮断されることを特徴としている。
このように、軸筒本体の前方側に操作部を設け、更に操作部とピストンとに形成された、カム及びカム溝からなるカム機構部を備えるため、軸筒本体の内部を塗布液の貯留のために有効に活用でき、軸筒本体内に収容される塗布液の充填（体積）効率を向上させることができる。

特に、本発明にかかる塗布具は、軸筒本体に取り付けられた操作部を回動させることにより、塗布液を吐出する塗布具において、内部に塗布液が収容された塗布液貯留部が設けられた軸筒本体と、前記軸筒本体に対して回動可能に設けられた操作部と、前記操作部の回動により、前記軸筒本体の前後方向に摺動するピストンと、前記ピストンに設けられた貫通穴と、前記ピストンの貫通穴に接続された、塗布部へ塗布液を供給する塗布液供給路と、前記ピストンの貫通穴を開閉する第１の弁と、前記操作部とピストンとに形成された、カム及びカム溝からなるカム機構部と、を備え、前記操作部を回動させ、前記カム機構部によって前記ピストンを前後方向に摺動させることにより、第１の弁、塗布液供給路を介して、塗布部へ塗布液を供給するように構成されている。

このような塗布具にあっては、前記操作部を回動させ、前記カム機構部によって前記ピストンを前後方向に摺動させることにより、第１の弁、塗布液供給路を介して、塗布部へ塗布液を供給するため、従来の塗布具で採用されている長尺なネジ棒を必要としない。
その結果、従来の塗布具に比べて、塗布液の収容スペースを大きくとることができ、軸筒本体内部の体積に対する、収容される塗布液の充填効率を向上させることができる。
また、前記軸筒本体の内部の壁部に仕切れた、前方側の空間に形成された、前記ピストンが前後動する弁室と、前記壁部によって後方側の空間に形成された前記塗布液貯留部と、前記壁部に形成された、前記塗布液貯留部と前記弁室とを連通する貫通穴と、前記壁部の貫通穴を開閉する第２の弁と、を備え、前記ピストンの移動によって弁室内が負圧の場合に、前記第２の弁が開放され、前記塗布液貯留部の塗布液が前記弁室に供給され、前記ピストンの移動によって弁室内が正圧の場合に、前記第２の弁が閉じられ、前記塗布液貯留部の塗布液の前記弁室への供給が遮断される。
このように、ピストンの移動によって弁室内の圧力変化に応じて、第２の弁の開閉が行われるため、塗布液の前記弁室への供給、遮断が確実に行われる。

また、前記ピストンの貫通穴を閉方向に、前記第１の弁を付勢するスプリングと、を備え、前記カム機構部によって前記ピストンを摺動させ、第１の弁に作用する圧力がスプリングの付勢力以上の場合に、第１の弁が開放され、塗布液が前記塗布液供給路を介して塗布部へ供給され、前記第１の弁に作用する圧力がスプリングの付勢力未満の場合に、第１の弁が閉じられ、塗布部へ塗布液の供給が遮断されることが望ましい。
このように、スプリングの付勢力によって（反発力）によって、第１の弁の動作を規定しているため、第１の弁の動作を確実に動作させることができ、塗布部へ塗布液の供給、遮断が確実に行われる。

また、前記カム機構部が、前記操作部に形成された、前後方向に振幅する正弦波形状のカム溝と、前記ピストンに形成された、前記カム溝内に収容されるカムと、を備えた確動カムであることが望ましい。
このように、前記カム機構部が確動カムであるため、ピストンの前後動を確実に動作させることができる。

また、前記塗布液供給路が、前記操作部の軸線に沿って形成された貫通穴を含むことが望ましい。特に、前記貫通穴が前記操作部の中心部を貫通しているのが好ましい。

本発明によれば、軸筒本体に取り付けられた操作部を回動させることにより、塗布液を吐出する塗布具において、軸筒本体の内部体積に対する、軸筒本体内に収容される塗布液の充填（体積）効率を向上させた塗布液塗布具を得ることができる。

図１は、本発明にかかるキャップを装着した状態の塗布具の実施形態を示す図であって、（ａ）は側面図、（ｂ）は断面図である。図２は、図１に示した塗布具のキャップを外した状態における一部を断面にした斜視図である。図３は、図１に示した軸筒本体を示す図であって、（ａ）は斜視図、（ｂ）は断面図、（ｃ）は、（ｂ）の断面図と９０度異なる方向の断面図、（ｄ）は側面図である。図４は、図１に示した第２の弁を示す図であって、（ａ）は斜視図、（ｂ）は断面図、（ｃ）は側面図である。図５は、図１に示した操作部を示す図であって、（ａ）は斜視図、（ｂ）は断面図である。図６は、図１に示したピストンを示す図であって、（ａ）は斜視図、（ｂ）は断面図である。図７は、図１に示した第１の弁を示す図であって、（ａ）は斜視図、（ｂ）は側面図である。図８は、図１に示した操作部、ピストン、第１の弁、スプリングが組付けられた状態を示す図であって、（ａ）は側面図、（ｂ）は断面図である。図９は、図１に示した実施形態の動作状態を説明するため、要部断面図である。図１０は、図９に続く動作状態を説明するため、要部断面図である。図１１は、図１０に続く動作状態を説明するため、要部断面図である。図１２は、図１１に続く動作状態を説明するため、要部断面図である。図１３は、図１２に続く動作状態を説明するため、要部断面図である。

本発明にかかる塗布具の一実施形態を図１乃至図１３に基づいて説明する。
まず、図１，２に基づいて、一実施形態にかかる塗布具の概略構成を説明する。尚、図１は、本発明にかかるキャップを装着した状態の塗布具の実施形態を示す断面図であり、図２は、本発明にかかるキャップを外した状態の塗布具の一部を断面にした斜視図である。

図１、２に示すように、この塗布具１は、内部に塗布液が収容された塗布液貯留部（収容部）３が設けられた軸筒本体２と、前記軸筒本体２に対して回動可能に設けられた操作部４と、前記操作部４の一端部に取り付けられた先軸５と、前記先軸５に取り付けられた穂首（塗布部）と、前記塗布液貯留部３から穂首（塗布部）６への塗布液供給を可能とするパイプ継手７、パイプ８とを備えている。

前記軸筒本体１の内部は、壁部２ａによって前方側に弁室Ａを形成するための空間が形成され、また後方側に塗布液を収容するための塗布液貯留部（収容部）３を形成するための空間が設けられている。
前記壁部２ａは軸筒本体１の前方側に位置することによって、軸筒本体１の内部体積に対する、軸筒本体１内に収容される塗布液の充填効率を高めている。

前記したように、前記軸筒本体２の前方の一端部に、前記操作部４（ピストン１０）が取り付けられることによって、弁室Ａが形成される。
この軸筒本体２の壁部２ａには、前記弁室Ａが加圧状態（正圧状態）になると閉塞し、減圧状態（負圧状態）になると開放する第２の弁９が設けられている。この第２の弁９は、塗布液貯留部３から弁室Ａに流入した塗布液が、再び塗布液貯留部３に流入させない逆止弁として機能する。

前記操作部４の中央部には、塗布液が流通する貫通穴４ａを備えている。
この貫通穴４ａの前方側の端部に継手７が嵌合している。また、前記操作部４の前方側の端部には、先軸５が装着されている。前記貫通穴４ａ、パイプ８により、塗布液貯留部３から穂首（塗布部）６への塗布液供給路が構成される。
一方、前記操作部４の後方側端部には、前記弁室Ａを摺動するピストン１０が取り付けられている。

また、前記ピストン１０の中央部には、前記操作部４の中央部に設けられ貫通穴４ａに連通する貫通穴１０ａが形成されている。前記貫通穴１０ａは、第１の弁１１によって開閉されるように構成されている。
更に、前記貫通穴１０ａの内部にはスプリング１２が配置され、前記スプリング１２の一端部は前記操作部４に係止され、他端部は前記第１の弁１１に係止されている。
その結果、前記弁室Ａ内の圧力が、スプリング１２の付勢力（反発力）以上の状態になると、前記第１の弁体１１は、前記スプリング力に抗しながら前方側（穂首６側）に移動し、貫通穴１０ａを開放する。
一方、記弁室Ａの圧力が、スプリング１２の付勢力（反発力）未満の状態になると、前記スプリングの反発力によって、前記第２の弁１１は後方側（軸筒本体１の後端側）に移動し、前記貫通穴１０ａを閉じるように動作する。
尚、図１において、符号１３はキャップであり、符号１４はフォロアである。このフォロアは塗布液追従体であり、一般的なインク追従体と同様な構成を備えている。

次に、実施形態にかかる塗布具を構成する各部材について詳細に説明する。
（軸筒本体１）
軸筒本体２は、図３に示すように円筒状に形成され、軸筒本体２の長さ寸法の３／４程度の長さを有する塗布液貯留部（収容部）３が設けられている。この軸筒本体２の後端部は開放されており、塗布液貯留部（収容部）３内に収容された塗布液の後端部にフォロア１３を配置する（図１参照）ことにより、塗布液貯留部（収容部）３を密閉するように構成されている。
また、軸筒本体２の貯留部３の壁部２ａには貫通穴２ｂが設けられ、前記第２の弁９の弁軸９ｂが挿通する。また、前記壁部２ａの弁室Ａ側には、第１の弁９の弁体９ａが着座する弁座２ｃが設けられている。

更に、軸筒本体２の内周面には、前方側端部から弁室Ａ側に向かって、溝部２ｄが形成されている。この溝部２は、１８０度の間隔をもって相対向して形成されている。
この溝部２ｄには、前記ピストン１０の外周面に設けられた突起１０ｂ（図６参照）が挿入（収容）され、前記ピストン１０は回転することなく、軸筒本体２の軸線方向に直線的に摺動するように構成されている。

また、軸筒本体２の前方側（操作部側）端部の内周面には、内方に突出する突起部２ｅ１、２ｅ２が内周面上に４対形成されている。
この突起部２ｅ１、２ｅ２の間に、前記操作部４の突起部４ｂが嵌入することにより、前記操作部４は、軸筒本体２に対して回動自在に取り付けられる。
尚、前記突起部２ｅ１、２ｅ２によって、前記操作部４の軸筒本体２の軸線方向の移動は阻止される。

（第２の弁９）
第２の弁９は、図４に示すように、前記軸筒本体２の貫通穴２ｂを開閉する弁体９ａと、前記弁体９ａの後端部側に形成されたガイド棒９ｂを備えている。このガイド棒９ｂは、平板状部９ｃと、架橋部９ｄとを備え、前記架橋部９ｄの外周面には係止突起９ｅが設けられている。
そして、軸筒本体１の前方側（弁室Ａ側）から、前記第１の弁９のガイド棒９ｂを貫通穴２ａに挿入すると、前記架橋部９ｄが撓み、係止突起９ｃが貫通穴２ａを通過する。その結果、前記壁部２ａが弁体９ａと係止突起９ｃに間に位置した状態で、第２の弁９は前記軸筒本体１に取り付けられる。

このとき、前記弁体９ａの裏面と係止突起９ｃの間の寸法は、前記壁部２ａの厚さ寸法よりも大きく形成されているため、前記第１の弁９は、軸筒本体１の前後方向に移動可能に取り付けられる。
即ち、前記第１の弁９は、弁座２ｃと当接し貫通穴２ａを閉じる状態と、弁座２ｃから離れ貫通穴２ａを開く状態をとることができる。

（操作部４）
操作部４は、図５（ａ）に示すように、使用者が摘み、回動動作を行う操作面４Ａと、前記操作面４Ａの前方側（先軸側）に設けられた先軸取付け部４Ｂと、前記操作面４Ａの後方側（軸筒本体側）に設けられた軸筒本体取付け部４Ｃと、前記軸筒本体取付け部４Ｃの軸筒本体側（後方側）に設けられたカム溝部４Ｄとを備えている。

前記軸筒本体取付け部４Ｃの外周面には、前記したように、軸筒本体１の突起部２ｅ１、２ｅ２の間に嵌合する突起部４ｂが設けられている。
この嵌合によって、前記操作部４は軸筒本体１に対して回動できるが、軸筒本体１の軸線方向（前後方向）の移動が規制される。
また、前記カム部４Ｄには、外周面上に、前後方向に振幅する正弦波形状のカム溝４ｃが形成されている。このカム溝４ｃ内に、ピストン１０に形成されたカム１０ｃが収容される。

しがって、前記操作部４が回動することによって、ピストン１０に形成されたカム１０ｃ（図６参照）が前記カム溝４ｃ内を相対的に移動する。
これにより、ピストン１０は操作部４（弁室Ａ）に対して前後方向に移動する。尚、このカム溝４ｃは、カム溝部４Ｄの外周面に２周期分形成され、操作部４を１回転させると、ピストン１０は操作部４（弁室Ａ）に対して２往復、前後方向に移動するように形成されている。

また、前記カム溝部４Ｄには、弁室側端部からカム溝４ｃに向かって徐々に登る傾斜面を有する挿入溝４ｄが形成されている。
この挿入溝４ｄ内に、ピストン１０のカム１０ｃを入れ、挿入溝４ｄ上を移動させることにより、前記カム１０ｃはカム溝４ｃ内に収容（装着）される。
更に、前記貫通穴４ａの内部には、前記スプリング１２の一端部を係止する係止壁部４ｅが設けられている。

（ピストン１０）
ピストン１０は、図６に示すように、後方側（弁室Ａ側）にピストン部１０Ａ、前方側（操作部４）側にカム部１０Ｂを備えている。
前記ピストン部１０Ａは有底円筒状に形成され、外周面が前記弁室Ａを構成する軸筒本体１の内周面に隙間なく接し、ピストン１０が摺動することにより、弁室Ａ内を加圧するように構成されている。

また、前記したように、前記ピストン部１０Ａの底面部中央部には、貫通穴１０ａが形成されている。また、前記底面部中央部の前方側には弁座１０ｄが設けられ、第１の弁体１１が、スプリング１２の反発力により着座するように構成されている。

前記カム部１０Ｂは、一端部が前記ピストン部１０Ａの底面外周部に連結された脚部１０ｅを備えている。この脚部１０ｅは、９０度の間隔をもって４つ設けられている。
前記脚部１０ｅのうち２つの脚部１０ｅ（１８０度の間隔をもって設けられた脚部）における、先端部内周面には、前記カム１０ｃが設けられている。また、前記カム１０ｃが設けられた脚部１０ｅの外周面には、突起１０ｂが形成されている。

前記突起１０ｂは、軸筒本体２の溝部２ｄ内に嵌入し、前記溝部２ｄ内を摺動する。
そのため、前記操作部４（カム溝４ｃ）が回動しても、前記ピストン１０は回転することなく、前記操作部４のカム溝部４Ｄ（カム溝４ｃ）と前記カム１０ｃによって、ピストン１０は、弁室Ａ内を前後方向に移動する。
尚、カム１０ｃとカム溝４ｃによって構成されるカム機構部は、カムの動きが規制されるため、確動カムである。

（第１の弁１１）
第１の弁１１は、図７に示すように、前記ピストン１０の貫通穴１０ａを開閉する弁体１１ａと、前記弁体１１ａの後端部側に形成されたガイド棒１１ｂを備えている。
また、前記第１の弁１１は、前記弁体１１ａの前端部側に位置決め棒１１ｃを備えている。この位置決め棒１１ｃは、前記スプリング１２内に挿入され、スプリング１２と第１の弁１１との位置ずれを防止する。
尚、前記スプリング１２は、コイルスプリングが用いられ、前記位置決め棒１１ｃは、コイルスプリングの中央部の空間内に収容される。

（操作部４、ピストン１０、第１の弁１１、スプリング１２の組付け体）
図８に、操作部４、ピストン１０、第１の弁１１、スプリング１２の組付け体を示す。
前記操作部４、ピストン１０、第１の弁１１、スプリング１２を組み立てるには、まずスプリング１２を操作部４の貫通孔４ａ内に挿入し、更に前記スプリング１２内に第１の弁１１の位置決め棒１１ｃを挿入する。
そして、ピストン１０のカム１０ｃを操作部４の挿入溝４ｄ上を摺動させ、前記カム１０ｃをカム溝４ｃ内に収容する。
このとき、前記カム１０ｃが形成されたピストン１０の脚部１０ｅは、外方向に開拡し、前記カム１０ｃがカム溝４ｃ内に収容されると、前記脚部１０ｅは元の状態に戻る。

また、前記カム１０ｃをカム溝４ｃ内に収容する際、第１の弁１１のガイド棒１１ｂは、ピストンの貫通穴１０ａ内に挿入される。
そして、前記カム１０ｃがカム溝４ｃ内に収容された状態にあっては、スプリング１２の反発力によって、第１の弁１１の弁体１１ａは、ピストン１０に形成された弁座１０ｄに着座した状態になされる。

（塗布具１の組み立て）
続いて、塗布具１の組み立てについて説明する。
前記第２の弁９が装着された軸筒本体１の前方端部から、前記組付け体を装着する。
このとき、操作部４の突起部４ｂを軸筒本体１の突起部２ｅ１、２ｅ２の間に嵌入させる。これにより、前記操作部４は、軸筒本体２に対して、前後方向に移動することなく、回動自在に取り付けられる。
また、前記ピストン１１の突起１０ｂを、軸筒本体２の溝部２ｄ内に収容する。これにより、前記ピストン１１は、前記操作部４が回動しても、軸筒本体２に対して回動することなく、前後方向に移動するように取り付けられる。

その後、前記操作部４の前方端部に、パイプ８が装着された継手７、穂首６が装着された先軸５を取り付ける。
一方、軸筒本体２の後端部から塗布液貯留部３内に、所定の塗布液を導入し、収容した後、フォロアを挿入して、塗布具１が完成する。

次に、塗布具１の動作、作用について、図９乃至図１３に基づいて説明する。尚、図９乃至図１３において、符号Ｐは、図９に示すピストン位置を基準とした基準位置を示している。
図９に示す状態は、塗布液が弁室Ａ内に充填されている状態である。
また図９に示す状態は、弁室Ａの圧力は塗布液貯留部３内の圧力と一致し、塗布液貯留部から弁室内への塗布液の流入が停止し、第２の弁９は開いた状態にある。
尚、第１の弁１１は、スプリング１２によって閉じている。

この図９に示す状態から、操作部４を図９の矢印方向に回動させる。
この回動によって、カム溝４ｃに沿ってカム１０ｃが移動し、ピストン１０は後方へ移動し（図９にあっては下方に移動し）、図１０に示す状態となる。
図１０に示す状態にあっては、このピストン１０の移動によって、弁室Ａは加圧され（正圧になり）、前記圧力によって、前記第２の弁９は貫通穴２ｂ内を移動し、前記貫通穴２ｂを閉じる。即ち、前記弁室Ａから塗布液貯留部３への逆流を防止する。
一方、第２の弁１１は、弁室Ａ内の圧力により、スプリング１２の反発力に抗して、開き、弁室Ａ内の塗布液が貫通穴１０ａ、パイプ８、穂首６に供給される。

続いて、この図１０に示す状態から、操作部４を図１０の矢印方向に回動させる。
この回動によって、カム溝４ｃに沿ってカム１０ｃが移動し、ピストン１０は後方へ移動し（下方に移動し）、図１１に示す状態となる。この図１１に示す状態が、ピストン１０が最も後方へ移動した状態である。
このピストン１０の移動により、更に、弁室Ａ内の塗布液が貫通穴１０ａ、パイプ８、穂首６に供給され、弁室Ａ内に充填された塗布液の吐出が終了する。

そして、図１１に示す状態から操作部４を回動し、図１２に示す状態になす。
即ち、前記操作部４の回動により、カム溝４ｃに沿ってカム１０ｃが移動し、ピストン１０が前方へ移動する（図１２にあっては上方に移動する）。
このピストン１０の移動により、弁室Ａは減圧（負圧）となり、前記圧力によって、前記第２の弁９は貫通穴２ｂ内を移動し、前記貫通穴２ｂを開き、塗布液貯留部３内の塗布液が弁室Ａ内に流入し始める。
尚、このとき、第１の弁１１はスプリング１２によって閉じられている。

更に、図１２に示す状態から図１３に示す状態へ操作部４を回動すると、カム溝４ｃに沿ってカム１０ｃが移動し、ピストン１０は前方へ移動する（図１２にあっては上方に移動する）。
このピストン１０の移動により、塗布液貯留部３内の塗布液が、更に弁室Ａ内に流入し、弁室Ａ内が塗布液で充填される。
そして、ピストン１０の前方への移動が停止すると、前記塗布液の流入が停止し、図９に示す状態となる。

このような一連の動作を、操作部４を回動することによって繰り返し行うことにより、布液貯留部３内の塗布液を吐出することができる。
尚、図９乃至図１３に、操作部４を一方向に回動させる場合を示したが、他の方向に回動させた場合であっても、同様な作用効果を得ることができる。

本発明にかかる塗布具は、マニキュア液等の塗布液を収容する化粧用塗布具、育毛剤等の塗布液を収容する塗布具、墨汁等の塗布液を収容する文房具、靴墨等の塗布液を収容する靴用清掃具、醤油などの調味料収容容器、歯磨き粉などの口腔用薬剤収容容器等、各種用途に用いることができる。また前記塗布液は低粘性から高粘性の塗布液を用いることができる。

また、上記実施形態では、円筒状の軸筒本体を例にとって説明したが、いわゆる軸筒本体をボトル形状に塗布液収容部の体積を大きくしてしても良い。このとき、第２の弁９を前記ボトルの口元部に設け、操作部４、ピストン１０、第１の弁１１、スプリング１２等の組付け体を、前記口元部に装着するようにしても良い。
また、上記実施形態では、軸筒本体内を塗布液貯留部３としたものを例にとって説明したが、塗布液を収容したタンクを軸筒本体内に収容してものであっても良い。

１塗布具
２軸筒本体
２ａ壁部
２ｂ貫通穴
２ｃ弁座
２ｄ溝部
２ｅ１，２ｅ２突起部
３塗布液貯留部
４操作部
４Ａ操作面
４Ｂ先軸取付け部
４Ｃ軸筒本体取付け部
４Ｄカム溝部
４ａ貫通穴
４ｂ突起部
４ｃカム溝
４ｄ挿入溝
９第２の弁
９ａ弁体
９ｃ係止突起
１０ピストン
１０ａ貫通穴
１０ｂ突起
１０ｃカム
１０ｄ弁座
１０ｅ脚部
１１第１の弁
１１ａ弁体
１１ｂガイド棒
１１ｃ位置決め棒
１２スプリング
１３フォロア

Claims

軸筒本体に取り付けられた操作部を回動させることにより、塗布液を吐出する塗布具において、
内部に塗布液が収容された塗布液貯留部が設けられた軸筒本体と、
前記軸筒本体の前方側に、前記軸筒本体に対して回動可能に設けられた操作部と、
前記操作部に取り付けられ、操作部の回動により、前記軸筒本体の前後方向に摺動するピストンと、
前記操作部とピストンとに形成された、カム及びカム溝からなるカム機構部と、
前記ピストンに設けられた貫通穴と、
前記ピストンの貫通穴に接続された、塗布部へ塗布液を供給する塗布液供給路と、
前記ピストンの貫通穴を開閉する第１の弁と、
前記軸筒本体の内部の壁部に仕切れた、前方側の空間に形成された、前記ピストンが前後動する弁室と、
前記壁部によって後方側の空間に形成された前記塗布液貯留部と、
前記壁部に形成された、前記塗布液貯留部と前記弁室とを連通する貫通穴と、
前記壁部の貫通穴を開閉する第２の弁と、
を備え、
前記操作部を回動させ、前記カム機構部によって前記ピストンを前後方向に摺動させることにより、第１の弁、塗布液供給路を介して、塗布液を吐出し、
前記ピストンの移動によって弁室内が負圧の場合に、前記第２の弁が前記貫通穴を移動することにより開放され、前記塗布液貯留部の塗布液が前記弁室に供給され、
前記ピストンの移動によって弁室内が正圧の場合に、前記第２の弁が前記貫通穴を移動することにより閉じられ、前記塗布液貯留部の塗布液の前記弁室への供給が遮断されることを特徴する塗布具。
操作部の前方端部に先軸を介して塗布液貯留部からの塗布液が供給される塗布部が装着されることを特徴とする請求項１記載の塗布具。
前記ピストンの貫通穴を閉方向に、前記第１の弁を付勢するスプリングと、
を備え、
前記カム機構部によって前記ピストンを摺動させ、
第１の弁に作用する圧力がスプリングの付勢力以上の場合に、第１の弁が開放され、塗布液が前記塗布液供給路を介して塗布部へ供給され、
前記第１の弁に作用する圧力がスプリングの付勢力未満の場合に、第１の弁が閉じられ、塗布部へ塗布液の供給が遮断されることを特徴する請求項２記載の塗布具。