JP6738019B2 - 送信機および歪補正方法 - Google Patents

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Description

本発明は、増幅器において生じる歪を抑制するための歪補正処理を行う送信機、および増幅器において生じる歪を抑制するための歪補正方法に関する。
送信機においては、増幅器によって生じる非線形歪を抑制するために、歪補正係数を用いて送信信号を補正する、DPD(Digital Pre-Distortion)処理が行われる。DPD処理においては、LUT(Look-Up Table)に格納されたデジタル音声信号の振幅に対応する歪補正ベクトルがデジタル音声信号に乗算される。
特許文献1に開示されるOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調器は、入力信号に応じたベースバンド信号と増幅器からのフィードバック信号との誤差である誤差信号を所定のサンプル毎に抽出して誤差信号の平均値を算出し、平均値の間を補間する。該OFDM変調器は、補間された誤差信号の平均値に基づいて歪を推定し、その歪から歪補償用のデータを生成する。
特許文献2に開示される非線形歪み補償送信装置は、入力信号とA−D(Analogue-to-Digital)変換器の出力信号とを比較し、差異である歪成分を検出する。非線形歪み成分を打ち消すための補償データを更新する際には、近似計算区間がシフトされ、シフトされた近似計算区間の補償データについて関数近似計算が行われ、補償データが更新される。
歪補正値の演算時間を短縮するため、特許文献3に開示される無線機は、送信増幅器の出力と送信部に入力する入力信号とを比較することにより送信増幅器の補正すべき歪量を出力し、さらに歪量を使用して補間処理により一括して歪補正値を求める。歪補正値であらかじめ変調信号を補正して送信増幅器へ入力することにより、送信増幅器で発生する出力歪が補正される。
特開2011−188093号公報 特開2004−343594号公報 特開平08−079143号公報
時間経過にともない増幅器の温度が変化すると、非線形歪の量が変化する。非線形歪の量の変化に対応するため、LUTに格納された歪補正ベクトルは、送信機の運用中に随時更新される必要がある。送信機の運用中のデジタル音声信号の振幅値にはばらつきがある。そのため、LUTの全てのアドレス、すなわち音声信号の振幅値が取り得る全ての値に対応する、歪補正ベクトルの算出に用いられる歪特性データの収集に時間を要し、歪補正ベクトルが更新されるまでに時間を要する場合がある。LUTの一部のアドレスについて得られた歪特性データに基づいて歪補正ベクトルを更新すると、歪補正ベクトルが更新されるまでの時間を短縮することが可能であるが、歪補正特性が劣化することがある。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、歪補正特性を維持しながら、歪補正ベクトルの更新処理に要する時間を短縮することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る送信機は、
入力される信号を増幅する増幅器と、
送信信号の電力に応じた送信電力アドレスごとに、歪補正ベクトルが記憶されているLUTと、
前記送信信号を、前記送信信号の電力に応じた前記送信電力アドレスに対して前記LUTに記憶されている前記歪補正ベクトルに応じて補正して、前記増幅器に入力するDPD処理部と、
前記送信信号を遅延した信号である遅延送信信号、および前記増幅器で増幅された前記送信信号のフィードバックである帰還信号に基づいて、前記遅延送信信号の電力の算出、および前記遅延送信信号の複素共役と前記帰還信号との乗算値の算出をサンプリング時間ごとに繰り返すデータ算出部と、
前記遅延送信信号の電力に応じた遅延電力アドレスごとに、繰り返し算出された、前記遅延送信信号の電力の総和である第1の総和値、および前記乗算値の総和である第2の総和値が記憶されるメモリと、
前記第1の総和値および前記第2の総和値が存在する前記遅延電力アドレスである基準アドレスの内、最大値である最大基準アドレスに応じて、判定基準範囲の上限値を調節する範囲調節部と、
前記最大基準アドレスが前記判定基準範囲の前記上限値以上である場合に、前記データ算出部における前記遅延送信信号の電力の算出および前記乗算値の算出のデータ量が十分であると判定する判定部と、
前記判定部で前記繰り返し回数が十分であると判定された場合に、前記基準アドレスにおける前記第1の総和値と前記第2の総和値の比から算出される歪ベクトルに基づき、前記歪補正ベクトルを算出して出力するベクトル算出部と、
前記ベクトル算出部が出力する前記歪補正ベクトルに基づき、前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルを更新する更新部と、
を備え、
前記更新部の処理が完了した後に、前記メモリに記憶されている前記第1の総和値および前記第2の総和値を破棄する。
好ましくは、前記範囲調節部は、前記最大基準アドレスから前記上限値を引いた差分が正の場合に、前記上限値を増大させ、前記差分が負の場合に、前記上限値を減少させ、
前記差分に対する前記上限値の増大量は、該差分と絶対値が同じである前記差分に対する前記上限値の減少量以上である。
好ましくは、前記範囲調節部は、前記差分が正の場合に、前記上限値以上の前記基準アドレスの平均値より大きい最小の自然数を前記上限値とし、前記差分が負の場合に、前記上限値に対して、前記上限値を減少させる定められた演算を行った結果以下の最大の自然数を前記上限値とする。
好ましくは、前記範囲調節部は、前記判定基準範囲の下限値を、前記上限値に応じて調節する。
好ましくは、前記判定部は、前記最大基準アドレスが前記上限値以上であり、かつ、前記基準アドレスの内、最小値である最小基準アドレスが前記判定基準範囲の下限値以下である場合に、前記繰り返し回数が十分であると判定する。
好ましくは、前記判定部は、前記最大基準アドレスが前記上限値以上であり、かつ、前記最小基準アドレスが前記判定基準範囲の前記下限値以下であり、かつ、前記基準アドレスの個数が、前記最大基準アドレスと前記最小基準アドレスとの差に定められた1未満の正数を乗算した値以上である場合に、前記繰り返し回数が十分であると判定する。
好ましくは、前記更新部は、前記ベクトル算出部が出力する前記歪補正ベクトルと前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルとの差分ベクトルを構成する複数のベクトルに応じて、複数回にわけて前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルを更新する。
好ましくは、前記ベクトル算出部が出力する前記歪補正ベクトルの位相を定められた量だけ回転させ、位相回転された前記歪補正ベクトルを出力する位相回転部をさらに備え、
前記更新部は前記位相回転部で位相回転された前記歪補正ベクトルに基づいて前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルを更新する処理を行う。
好ましくは、前記位相回転部は、前記歪補正ベクトルの位相を、共通の前記定められた量だけ回転させる。
好ましくは、前記ベクトル算出部は、前記基準アドレスにおける前記歪ベクトルに基づく補間処理を行って、前記基準アドレスの最小値である最小基準アドレス以上、かつ、前記最大基準アドレス以下であって、前記第1の総和値および前記第2の総和値が存在しない前記遅延電力アドレスごとに前記歪ベクトルの推定値を算出し、前記最小基準アドレスに対応する前記歪ベクトルを前記最小基準アドレス未満の前記遅延電力アドレスに対応する前記歪ベクトルの推定値とし、前記最大基準アドレスに対応する前記歪ベクトルを前記最大基準アドレスより大きい前記遅延電力アドレスに対応する前記歪ベクトルの推定値とし、前記歪ベクトルの推定値から前記歪補正ベクトルを算出する。
好ましくは、前記ベクトル算出部は、前記送信電力アドレスの最大値から連続する複数の前記送信電力アドレスにおける、前記歪補正ベクトルの利得の最大値が、前記送信電力アドレスの最大値における前記歪補正ベクトルの利得より大きい場合、前記歪補正ベクトルの利得の最大値に対応する前記送信電力アドレスにおける前記歪補正ベクトルを、該送信電力アドレスより大きい前記送信電力アドレスにおける前記歪補正ベクトルとする。
好ましくは、前記ベクトル算出部から出力される前記歪補正ベクトルの利得が利得閾値以下であるか否かを判定する利得判定部をさらに備え、
前記利得判定部において前記歪補正ベクトルの利得が前記利得閾値以下であると判定された場合に、前記更新部の処理を行い、
前記利得判定部において前記歪補正ベクトルの利得が前記利得閾値より大きいと判定された場合に、前記更新部の処理を行わず、前記メモリに記憶されている前記第1の総和値および前記第2の総和値を破棄する。
好ましくは、前記利得判定部において前記歪補正ベクトルの利得が前記利得閾値より大きいと判定された場合に、前記帰還信号の利得を増大させる利得調節部をさらに備える。
本発明の第2の観点に係る歪補正方法は、送信信号を、前記送信信号の電力に応じた送信電力アドレスに対してLUTに記憶されている歪補正ベクトルに応じて補正して、増幅器で増幅する送信機が行う歪補正方法であって、
前記送信信号を遅延した信号である遅延送信信号、および前記増幅器で増幅された前記送信信号のフィードバックである帰還信号に基づいて、前記遅延送信信号の電力の算出、および前記遅延送信信号の複素共役と前記帰還信号との乗算値の算出をサンプリング時間ごとに繰り返すデータ算出ステップと、
前記遅延送信信号の電力に応じた遅延電力アドレスごとに、繰り返し算出された、前記遅延送信信号の電力の総和である第1の総和値、および前記乗算値の総和である第2の総和値を算出する総和値算出ステップと、
対応する前記第1の総和値および前記第2の総和値が存在する前記遅延電力アドレスである基準アドレスの内、最大値である最大基準アドレスに応じて、判定基準範囲の上限値を調節する範囲調節ステップと、
前記最大基準アドレスが前記判定基準範囲の前記上限値以上である場合に、前記データ算出ステップにおける前記遅延送信信号の電力の算出および前記乗算値の算出のデータ量が十分であると判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記繰り返し回数が十分であると判定された場合に、前記基準アドレスにおける前記第1の総和値と前記第2の総和値の比から算出される歪ベクトルに基づき、前記歪補正ベクトルを算出するベクトル算出ステップと、
前記ベクトル算出ステップで算出される前記歪補正ベクトルに基づき、前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルを更新する更新ステップと、
を備える。
本発明によれば、判定基準範囲の上限値を最大基準アドレスに応じて調節することで、歪補正特性を維持しながら、歪補正ベクトルの更新処理に要する時間を短縮することが可能である。
本発明の実施の形態1に係る送信機の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る歪解析部の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係るデータ算出部の構成例を示すブロック図 実施の形態1における歪ベクトル推定値の算出例を示す図 実施の形態1における送信電力アドレスの最大値付近での歪補正ベクトルの利得低下の例を示す図 実施の形態1に係る歪解析部の他の構成例を示すブロック図 実施の形態1に係る送信機が行う歪補正ベクトル算出処理の動作の一例を示すフローチャート 本発明の実施の形態2に係る歪解析部の構成例を示すブロック図 実施の形態2に係る歪解析部の他の構成例を示すブロック図 実施の形態2に係る送信機が行う歪補正ベクトル算出処理の動作の一例を示すフローチャート
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る送信機の構成例を示すブロック図である。送信機1は、入力される送信信号を増幅し、増幅された送信信号をアンテナ10から送信する。送信機1は、増幅時に生じる送信信号の歪を予め補正するプリディストーション処理を行う。送信機1の各部は、コントローラ30によって制御される。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)31、RAM(Random Access Memory)33、およびROM(Read-Only Memory)34を備える。複雑化を避け、理解を容易にするために、コントローラ30から各部への信号線が省略されている。コントローラ30は送信機1の各部にI/O(Input/Output)32を介して接続しており、それらの処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。ROM34は、コントローラ30が送信機1の動作を制御するための制御プログラムを格納する。コントローラ30は、制御プログラムに基づいて、送信機1を制御する。送信機1の各部について説明する。
図示しない送信源から送信機1に入力される送信信号は、DPD(Digital Pre-Distortion)処理部2、電力算出部3およびLUT更新部20に入力される。送信信号は、2信号またはSSB(Single Side Band:単側波帯)方式の音声信号などのI(In-phase)Q(Quadrature)信号である。電力算出部3は、下記(1)式で表されるように、送信信号の電力を算出し、アドレス検出部4に送る。下記(1)式において、s(t)は複素送信信号であり、s(t)はs(t)の複素共役である複素共役信号であり、s(t)はs(t)のI成分であり、s(t)はs(t)のQ成分であり、jは虚数単位である。
Figure 0006738019
アドレス検出部4は、下記(2)式で表されるように、送信信号の電力に応じた送信電力アドレスa(s)を検出し、LUT(Look Up Table)5に送る。下記(2)式において、Pmaxは、DPD処理部2で処理を行う前の送信信号s(t)の最大電力であり、Nは、D−A(Digital-to-Analogue)変換器6のビット数である。
Figure 0006738019
LUT5は、アドレス検出部4から送られた送信電力アドレスに対応する歪補正ベクトルをDPD処理部2に出力する。DPD処理部2は、下記(3)式で表されるように、送信信号s(t)に歪補正ベクトルを複素乗算することで、送信信号を歪補正ベクトルに応じて補正する歪補正処理を行い、歪補正処理が行われた送信信号sDPD(t)を、D−A変換器6に送る。下記(3)式において、L(a)は、送信電力アドレスa(s)に応じてLUT5が出力する歪補正ベクトルである。L(a)は、L(a)のI成分であり、L(a)は、L(a)のQ成分である。
Figure 0006738019
D−A変換器6は、歪補正処理が行われた送信信号sDPD(t)をデジタル信号からアナログ信号に変換して、ミキサ7に送る。ミキサ7は、局部発振器8が出力する信号である基準信号に応じてアナログに変換された送信信号を直交変調し、増幅器9に送る。増幅器9は、直交変調された送信信号を増幅してアンテナ10に出力し、アンテナ10から増幅された送信信号が出力される。増幅器9が出力する送信信号のフィードバックである帰還信号は利得調節部11に入力される。利得調節部11は、増幅器および減衰器の少なくともいずれかで構成される。利得調節部11は、帰還信号の利得を調節し、ミキサ12に送る。ミキサ12は、局部発振器8が出力する基準信号に応じて帰還信号を直交復調し、A−D(Analogue-to-Digital)変換器13に送る。A−D変換器13は、直交復調された帰還信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してLUT更新部20に送る。
D−A変換器6、D−A変換器6からA−D変換器13までのアナログ回路、およびA−D変換器13を通ることで、帰還信号には遅延が生じる。そのため、LUT更新部20は、帰還信号に生じる遅延に応じて遅延された送信信号と、帰還信号との誤差に応じて、増幅器9における歪を補正する歪補正ベクトルを算出する。LUT更新部20は、送信信号を遅延させる遅延部21、遅延された送信信号と、帰還信号との誤差に応じて、歪補正ベクトルを算出する歪解析部22、ならびに、遅延された送信信号、および帰還信号に応じて帰還信号に生じる遅延時間を検出する遅延検出部23を備える。遅延検出部23で検出された遅延時間が遅延部21に設定され、歪解析部22に入力される送信信号は、帰還信号に生じる遅延と同じ遅延時間だけ遅延される。歪解析部22は、算出した歪補正ベクトルに基づき、LUT5に記憶される歪補正ベクトルを更新する。歪解析部22は、定められた間隔で歪補正ベクトルを算出し、LUT5に記憶される歪補正ベクトルを更新する。
図2は、実施の形態1に係る歪解析部の構成例を示すブロック図である。歪解析部22は、遅延された送信信号である遅延送信信号s(t)および帰還信号r(t)に基づいて、歪ベクトルの算出に必要なデータの算出を繰り返すデータ算出部41、ならびにデータ算出部41で繰り返し算出されたデータの総和値を記憶するメモリ42を備える。歪解析部22はさらに、後述する判定基準範囲の上限値を調節する範囲調節部43、および、判定基準範囲に基づいてデータ算出部41のデータ算出の繰り返し回数が十分であるか否かを判定する判定部44を備える。歪解析部22は、判定部44で繰り返し回数が十分であると判定されるまで、データ算出部41の処理を繰り返し行う。歪解析部22はさらに、メモリ42に記憶された総和値から算出される歪ベクトルに基づき、増幅器9における歪を補正する歪補正ベクトルを算出して出力するベクトル算出部45およびベクトル算出部45が出力する歪補正ベクトルに基づいてLUT5に記憶される歪補正ベクトルを更新する更新部46をさらに備える。更新部46の更新処理が完了した後に、メモリ42に記憶されている総和値は破棄される。ベクトル算出部45は、歪ベクトルを算出する歪ベクトル算出部451、歪ベクトルに基づく推定処理を行って歪ベクトル推定値を算出する推定処理部452、歪ベクトル推定値から歪補正ベクトルを算出する歪補正ベクトル算出部453を備える。歪解析部22の各部について説明する。
図3は、実施の形態1に係るデータ算出部の構成例を示すブロック図である。データ算出部41は、サンプリング時間ごとに、歪ベクトルの算出に必要なデータを算出することを繰り返す。遅延送信信号s(t)は、共役変換部51および乗算器52に入力される。共役変換部51は、遅延送信信号の複素共役である複素共役信号s (t)を乗算器52,53に出力する。乗算器52は、上記(1)式と同様に複素乗算を行い、遅延送信信号s(t)の電力を係数乗算器57およびアドレス検出部55に出力する。乗算器53は、複素共役信号s (t)と帰還信号r(t)とを複素乗算し、複素共役信号s (t)と帰還信号r(t)との乗算値s (t)r(t)を係数乗算器58に出力する。アドレス検出部55は、アドレス検出部4と同様に、遅延送信信号s(t)の電力に対応する遅延電力アドレスa(s)を検出し、メモリ42を構成するメモリ42a,42bに送る。
メモリ42aには、遅延送信信号s(t)の電力の総和である第1の総和値が記憶され、メモリ42bには、複素共役信号s (t)と帰還信号r(t)との乗算値s (t)r(t)の総和である第2の総和値が記憶されている。メモリ42aは、送られた遅延電力アドレスa(s)に対応する第1の総和値を係数乗算器59に出力し、メモリ42bは、送られた遅延電力アドレスa(s)に対応する第2の総和値を係数乗算器60に出力する。
係数乗算器57は、乗算器52が出力する遅延送信信号s(t)の電力に係数を乗算して加算器54に出力する。係数乗算器59は、メモリ42aが出力する第1の総和値に係数を乗算して加算器54に出力する。加算器54は、係数乗算器57で係数が乗算された遅延送信信号s(t)の電力を係数乗算器59で係数が乗算された遅延電力アドレスa(s)に対応する第1の総和値に加算し、メモリ42aに記憶する。係数乗算器57,59の係数をともに1とした場合、第1の総和値は、遅延電力アドレスごとの遅延送信信号s(t)の総和電力を示す。また係数乗算器57の係数を1未満の正数であるαとし、係数乗算器59の係数を(1−α)としてもよい。この場合、加算器54はα倍された遅延送信信号s(t)の電力を、(1−α)倍された第1の総和値に加算し、メモリ42aに記憶する。これにより、飽和を抑制すること、および、第1の総和値を、遅延送信信号s(t)が新しいほど大きな重みをつけた遅延送信信号s(t)の電力の総和値とすることが可能である。
同様に、係数乗算器58は、乗算器53が出力する複素共役信号s (t)と帰還信号r(t)との乗算値s (t)r(t)に係数を乗算して加算器56に出力する。係数乗算器60は、メモリ42bが出力する第2の総和値に係数を乗算して加算器56に出力する。加算器56は、係数乗算器58で係数が乗算された複素共役信号s (t)と帰還信号r(t)との乗算値s (t)r(t)を、係数乗算器60で係数が乗算された遅延電力アドレスa(s)に対応する第2の総和値に加算し、メモリ42bに記憶する。係数乗算器58,60の係数をともに1とした場合、第2の総和値は、遅延電力アドレスごとの位相歪および振幅歪に対応した値の総和を示す。また係数乗算器58の係数を1未満の正数α、係数乗算器60の係数を(1−α)としてもよい。この場合、加算器56は、α倍された、複素共役信号s (t)と帰還信号r(t)との乗算値s (t)r(t)を、(1−α)倍された第2の総和値に加算し、メモリ42bに記憶する。これにより、飽和を抑制すること、および第2の総和値を、遅延送信信号s(t)が新しいほど大きな重みをつけた遅延電力アドレスごとの位相歪および振幅歪に対応した値の総和値とすることが可能である。
図2の範囲調節部43は、第1の総和値および第2の総和値が存在する遅延電力アドレスである基準アドレスの内、最大値である最大基準アドレスに応じて、判定部44で用いられる判定基準範囲の上限値を調節する。判定部44は、最大基準アドレスが判定基準範囲の上限値以上である場合に、データ算出部41の繰り返し回数が十分である、すなわちメモリ42に記憶された第1の総和値および第2の総和値のデータ量が十分であると判定する。送信機1は、後述する歪ベクトル算出部451において算出される歪ベクトルのばらつきを低減するため、判定部44でデータ算出部41の繰り返し回数が十分であると判定されるまで、データ算出部41の処理を繰り返し行う。また送信機1は、データ算出部41の上述の処理を所定の回数、例えば1000回繰り返すたびに、判定部44の処理を行ってもよい。実施の形態1において、範囲調節部43は、最大基準アドレスから判定基準範囲の上限値を引いた差分が正の場合に、該上限値を増大させ、差分が負の場合に、該上限値を減少させる。差分に対する上限値の増大量は、該差分と絶対値が同じである差分に対する上限値の減少量以上である。例えば、βが正数であり、最大基準アドレスが上限値+βである場合の上限値の増大量は、最大基準アドレスが上限値−βである場合の上限値の減少量以上である。
実施の形態1においては、範囲調節部43は、最大基準アドレスが上限値より大きい場合に、上限値以上の基準アドレスの平均値より大きい最小の自然数を判定基準範囲の上限値とする。基準アドレスにアドレス値128,130,132,135が含まれ、最大基準アドレスが135である場合を例にして説明する。この場合に、判定基準範囲の上限値が128であるとすると、範囲調節部43は、128,130,132,135の平均値131.25より大きい最小の自然数132を判定基準範囲の上限値とする。すなわち、範囲調節部43は、判定基準範囲の上限値を128から132に増大させる。
また範囲調節部43は、最大基準アドレスが上限値より小さい場合に、上限値に対して、上限値を減少させる定められた演算を行った結果以下の最大の自然数を判定基準範囲の上限値とする。例えば、範囲調節部43は、上限値に対して、定められた正数を減算または定められた1未満の正数を乗算する演算を施した結果以下の最大の自然数を判定基準範囲の上限値とする。最大基準アドレスが125であって、判定基準範囲の上限値が128である場合を例にして説明する。この場合、範囲調節部43は、128から定められた正数である1を減算する演算を行い、127を判定基準範囲の上限値とする。あるいは、範囲調節部43は、128に定められた1未満の正数である0.99を乗算した結果である126.72以下の最大の自然数である126を判定基準範囲の上限値とする。すなわち、範囲調節部43は、判定基準範囲の上限値を128から127または126に減少させる。
判定基準範囲の上限値が小さくなるにつれて、歪ベクトル算出部451における歪ベクトルの算出に用いられるデータ量が少なくなる。そこで、判定基準範囲の上限値の最小値を予め定めておき、範囲調節部43は、該最小値以上の範囲で、判定基準範囲の上限値を決定する。判定基準範囲の下限値は定められた値でもよいし、範囲調節部43が、判定基準範囲の下限値を、判定基準範囲の上限値に応じて調節してもよい。例えば、範囲調節部43は、判定基準範囲の下限値を上限値に1/2を乗算した値以下の最大の自然数とする。判定基準範囲の上限値が128であれば、範囲調節部43は、判定基準範囲の下限値を64とする。
判定部44は、最大基準アドレスが判定基準範囲の上限値以上である場合に、データ算出部41の繰り返し回数が十分であると判定する。判定部44は、判定結果を歪ベクトル算出部451に通知する。判定部44は、最大基準アドレスが判定基準範囲の上限値以上であり、かつ、基準アドレスの内、最小値である最小基準アドレスが判定基準範囲の下限値以下である場合に、データ算出部41の繰り返し回数が十分であると判定してもよい。また判定部44は、最大基準アドレスが判定基準範囲の上限値以上であり、かつ、最小基準アドレスが判定基準範囲の下限値以下であり、かつ、基準アドレスの個数が最大基準アドレスと最小基準アドレスとの差に定められた1未満の正数、例えば1/4を乗算した値以上である場合に、データ算出部41の繰り返し回数が十分であると判定してもよい。
上述のように範囲調節部43が判定基準範囲を調節することで、送信信号の電力が大きくなるにつれて、判定基準範囲の上限値が大きくなり、送信信号の電力が小さくなるにつれて、判定基準範囲の下限値が、上限値が大きくなる場合よりも緩やかに小さくなる。判定部44が、送信信号の電力に応じて変化する判定基準範囲に基づいてデータ量が十分であるか否かを判定することで、歪補正特性を維持しながら、歪補正ベクトルの更新処理に要するデータの算出時間を短縮することが可能である。
ベクトル算出部45は、判定部44でデータ算出部41の繰り返し回数が十分であると判定された場合に、基準アドレスにおける第1の総和値と第2の総和値の比から算出される歪ベクトルに基づき、送信電力アドレスごとの歪補正ベクトルを算出して出力する。ベクトル算出部45の各部について説明する。歪ベクトル算出部451は、判定部44でデータ算出部41の繰り返し回数が十分であると判定された場合に、下記(4)式で表されるように、第1の総和値d(a)と第2の総和値d(a)の比から歪ベクトルを算出する。
Figure 0006738019
送信信号は、音声信号などのデータから生成されているため、歪ベクトル算出部451において、全ての遅延電力アドレスに対して歪ベクトルが得られるとは限らない。そのため、推定処理部452は、歪ベクトル算出部451で算出された歪ベクトルに基づいて、第1の総和値d(a)および第2の総和値d(a)が存在しない遅延電力アドレスごとの歪ベクトルの推定値を算出する。データがない遅延電力アドレスについても推定処理を行って歪ベクトルの推定値を算出することで、後述する歪補正ベクトルの算出を行うことができ、歪補正ベクトルの更新処理に要する時間を短縮することが可能である。
推定処理部452は、最小基準アドレスamin以上であって、最大基準アドレスamax以下の第1の総和値および第2の総和値が存在しない遅延電力アドレスの歪ベクトルを推定し、amin以上であって、amax以下の遅延電力アドレスごとに歪ベクトル推定値d’(a)を算出する。図4は、実施の形態1における歪ベクトル推定値の算出例を示す図である。図4において、横軸は遅延電力アドレスであり、縦軸は歪ベクトルの振幅である。図4において、黒丸が基準アドレスにおける歪ベクトルを示す。図4に示すように、実施の形態1では、推定処理部452は、基準アドレスにおける歪ベクトルd(a)に基づいて直線補間を行うことで、amin以上であって、amax以下の第1の総和値および第2の総和値が存在しない遅延電力アドレスの歪ベクトルを推定し、遅延電力アドレスごとの歪ベクトル推定値d’(a)を算出する。また推定処理部452は、amin未満の遅延電力アドレスに対応する歪ベクトル推定値d’(a)=d(amin)とし、amaxより大きい遅延電力アドレスに対応する歪ベクトル推定値d’(a)=d(amax)としてもよい。推定処理部452は、歪ベクトル推定値d’(a)を出力する。直接補間を行う場合、基準アドレスにおいては、推定処理部452が出力する歪ベクトル推定値d’(a)は歪ベクトルd(a)である。補間処理として、直線補間を行うことで、演算量を削減し、歪補正ベクトルの更新処理に要する時間を短縮することが可能である。
歪補正ベクトル算出部453は、歪ベクトル推定値から送信電力アドレスごとの歪補正ベクトルを算出して更新部46に出力する。歪補正ベクトル算出部453は、推定処理部452が出力する歪ベクトル推定値d’(a)に基づき、歪補正ベクトルの誤差を逐次的に小さくする、歪補正ベクトルを算出する。歪補正ベクトル算出部453は、算出対象となる送信電力アドレスに一致する遅延電力アドレスにおける歪ベクトル推定値d’(a)に基づき、該送信電力アドレスにおける歪補正ベクトルを算出する。歪補正ベクトル算出部453は、現時点、すなわちn回目の歪補正ベクトルL(a)および推定処理部452が出力する歪ベクトル推定値d’(a)を用いて、下記(5)式のように、次回、すなわちn+1回目の歪補正ベクトルLn+1(a)を算出する。初期値L(a)には予め定められた値が入力され、例えばL(a)=1である。下記(5)式を用いて歪補正ベクトルを算出することを繰り返すことで、d’(a)は、1に収束し、増幅器9における歪が補正される。
Figure 0006738019
歪補正ベクトル算出部453は、上述の処理により算出した歪補正ベクトルのスムージング処理を行ってもよい。歪補正ベクトルの更新処理において適切な歪補正ベクトルが得られず、歪が増大することがある。歪補正ベクトル算出部453において、歪補正ベクトルのスムージング処理を行うことで、歪の増大を抑制することが可能である。歪補正ベクトル算出部453は、歪補正ベクトルから、例えば9次の近似式を算出することで、歪補正ベクトルのスムージング処理を行う。
遅延電力アドレスの最大値2−1までデータが得られておらず、かつ、amaxより大きい遅延電力アドレスに対応する歪ベクトル推定値d’(a)=d(amax)とした場合に、スムージング処理により、送信電力アドレス2−1付近で歪補正ベクトルの利得が大きく低下することがある。図5は、実施の形態1における送信電力アドレスの最大値付近での歪補正ベクトルの利得低下の例を示す図である。横軸は、送信電力アドレスであり、縦軸は歪補正ベクトルの利得である。図5において、スムージング前の歪補正ベクトルの利得を実線で示す。ここでは、歪ベクトルのデータが遅延電力アドレスa=232までしか得られておらず、遅延電力アドレスa=233からa=255に対応する歪ベクトル推定値を、遅延電力アドレスa=232の歪ベクトルとする場合を例にして説明する。上述のように算出された歪ベクトル推定値に基づいて算出された歪補正ベクトルに対して、多項式近似、図5の例では6次の多項式近似、でスムージング処理を行うと、図5において点線で示されるような歪補正ベクトルの利得が得られる。
増幅器9は送信電力アドレス2−1付近で飽和するため、歪ベクトルの大きさは送信電力アドレス2−1付近で小さくなる。一方、逆関数である歪補正ベクトルは送信電力アドレス2−1付近で大きくなる。歪補正ベクトルは、図5の例では、送信電力アドレスa=224あたりから急激に大きくなる。歪補正ベクトルが急激に大きくなる送信電力アドレスa=224付近の領域に対応する、遅延電力アドレスa=amax=233以降の領域において歪ベクトルのデータが得られていない。上述のように算出された歪ベクトル推定値に基づいて算出された歪補正ベクトルに対して多項式近似でスムージング処理を行うことで、図5に示すように歪補正ベクトルの利得が送信電力アドレス2−1付近で低下する。
図5において、点線で示す最大アドレスa=255における歪補正ベクトルの利得は、それより前の送信電力アドレスであるa=243における歪補正ベクトルの利得よりも低下している。このような状態でLUT5の更新を繰り返すと、送信電力アドレスa=255における歪補正ベクトルの利得の低下がさらに顕著になり、送信信号が最大電力付近で歪んでしまう。そこで、歪補正ベクトル算出部453は、送信電力アドレス2−1から連続する複数の送信電力アドレスにおける、歪補正ベクトルの利得の最大値が、送信電力アドレス2−1における歪補正ベクトルの利得より大きい場合、歪補正ベクトルの利得の最大値に対応する送信電力アドレスにおける歪補正ベクトルを、該送信電力アドレスより大きい送信電力アドレスにおける歪補正ベクトルとする。送信電力アドレス2−1から連続する複数の送信電力アドレスは、増幅器9の特性に応じて任意に定めることができる。例えば、送信電力アドレス2−1から連続する複数の送信電力アドレスは、送信電力アドレス2N−1から送信電力アドレス2・(3/4)までの複数の送信電力アドレスである。上述の処理により送信電力アドレス2−1付近での歪補正ベクトルの利得の急激な低下を防止することができる。
図5を例にして、歪補正ベクトル算出部453の処理について説明する。歪補正ベクトル算出部453は、スムージング処理後の歪補正ベクトルに基づき、送信電力アドレス2−1と送信電力アドレス2−1における歪補正ベクトルの利得を、「最大利得アドレス」および「最大利得」として記憶する。図5の例では、「最大利得アドレス」が255で「最大利得」が1.05である。次に、歪補正ベクトル算出部453は、送信電力アドレス255から所定の送信電力アドレス、例えば送信電力アドレスa=192までの利得を順次算出し、算出対象の送信電力アドレスにおける利得が「最大利得」より大きければ、「最大アドレス」および「最大利得」を算出対象の送信電力アドレスと算出対象の送信電力アドレスにおける利得で更新する。
上述の処理を所定の送信電力アドレスa=192まで繰り返した時、「最大利得アドレス」が255のまま、あるいは192である場合、歪補正ベクトル算出部453は、歪補正ベクトルの利得が単調増加または単調減少していると判断する。この場合、歪補正ベクトル算出部453は、上述の歪補正ベクトルの利得の最大値に対応する送信電力アドレスにおける歪補正ベクトルを、該送信電力アドレスより大きい送信電力アドレスにおける歪補正ベクトルとする処理を行わない。一方、「最大利得アドレス」が192より大きく、かつ、255未満である場合、例えば送信電力アドレス250である場合には、歪補正ベクトル算出部453は、送信電力アドレス250における歪補正ベクトルの利得がピーク値であると判断する。この場合、歪補正ベクトル算出部453は、送信電力アドレスa=250の歪補正ベクトルを、送信電力アドレスa=251からa=255までの歪補正ベクトルとする。
更新部46は、歪補正ベクトル算出部453が出力する歪補正ベクトルでLUT5に記憶される歪補正ベクトルを更新する。更新部46の更新処理が完了すると、送信機1は、メモリ42に記憶されている第1の総和値および第2の総和値を破棄する。すなわち、送信機1はメモリ42の第1の総和値および第2の総和値の記憶領域に初期値をセットする。
歪補正ベクトル算出部453が出力する歪補正ベクトルとLUT5に記憶される歪補正ベクトルとの差が大きくなるにつれ、より大きなスプリアスが生じ得る。そこで、更新部46は、歪補正ベクトル算出部453が出力する歪補正ベクトルとLUT5に記憶される歪補正ベクトルとの差分ベクトルを構成する複数のベクトルに応じて、複数回にわけてLUT5に記憶された歪補正ベクトルを更新してもよい。LUT5に記憶されているn回目の歪補正ベクトルL(a)に対し、歪補正ベクトル算出部453がn+1回目の歪補正ベクトルLn+1(a)を出力した場合を例にして説明する。Ln_i(a)は、L(a)のI成分であり、Ln_q(a)は、L(a)のQ成分である。Ln+1_i(a)は、Ln+1(a)のI成分であり、Ln+1_q(a)は、Ln+1(a)のQ成分である。更新部46が、M回にわけて歪補正ベクトルを更新する場合、k(1≦k≦M)回目の更新後の歪補正ベクトルのI成分は、下記(6)式で表され、Q成分は、下記(7)式で表される。複数回にわけて歪補正ベクトルを更新することで、スプリアスの発生を抑制することが可能である。LUT5が例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)で実現されており、歪解析部22とは異なるハードウェアで動作している場合には、更新部46は、歪補正ベクトルをLUT5に送り、LUT5が複数回にわけて歪補正ベクトルを更新してもよい。
Figure 0006738019
Figure 0006738019
上述の処理によって、LUT5に記憶される歪補正ベクトルが更新され、DPD処理部2において、更新された歪補正ベクトルに基づいてプリディストーション処理が行われることで、送信機1の運用中に増幅器9において生じる歪の量が変化しても、増幅器9における歪を抑制することが可能である。
図6は、実施の形態1に係る歪解析部の他の構成例を示すブロック図である。図6に示す歪解析部22は、図2に示す歪解析部22の構成に加えて、ベクトル算出部45が出力する歪補正ベクトルの利得が、定められた閾値である利得閾値以下であるか否かを判定する利得判定部47をさらに備える。プリディストーションされた信号がD−A変換器6の最大入力レベルを超える、すなわち飽和すると、アナログ信号に歪みが生じてしまう。送信機1は、利得判定部47で歪補正ベクトルの利得が利得閾値以下であると判定された場合には、更新部46の処理を行う。上述したように、更新部46の更新処理が完了した後に、送信機1は、メモリ42に記憶されている第1の総和値および第2の総和値を破棄する。また送信機1は、利得判定部47で歪補正ベクトルの利得が利得閾値より大きいと判定された場合に、更新部46の処理を行わず、メモリ42に記憶されている第1の総和値および第2の総和値を破棄する。これによりDPD処理部2でプリディストーション処理された送信信号がD−A変換器6の最大入力レベルを超えて、飽和状態となることを抑制する。利得閾値は、DPD処理部2に入力される信号の最大電力とD−A変換器6の最大入力電力の比である。また送信機1は、利得判定部47で歪補正ベクトルの利得が利得閾値より大きいと判定された場合に、利得調節部11を調節して帰還利得を上げる。利得調節部11は、LUT更新部20とA−D変換器13の間に設けてもよい。この場合、利得調節部11は、A−D変換された帰還信号r(t)に係数乗算することで、帰還利得を調節する。帰還利得が上がると、上記(5)式における歪ベクトル推定値d’(a)の利得が上がり、歪補正ベクトルの利得が下がる。利得判定部47を設けることで、D−A変換器6の飽和を抑制することが可能である。
図7は、実施の形態1に係る送信機が行う歪補正ベクトル算出処理の動作の一例を示すフローチャートである。データ算出部41は、遅延送信信号s(t)の電力を算出してメモリ42aに記憶されている第1の総和値に加算し、複素共役信号s (t)と帰還信号r(t)との乗算値s (t)r(t)を算出し、メモリ42bに記憶されている第2の総和値に加算する(ステップS11)。範囲調節部43は、最大基準アドレスに応じて、判定基準範囲の上限値を調節する(ステップS12)。判定部44は、最大基準アドレスおよび判定基準範囲に基づき、データ算出部41の繰り返し回数が十分であるか否かを判定する(ステップS13)。最大基準アドレスが判定基準範囲の上限値未満である場合、判定部44は、データ算出部41の繰り返し回数が十分でないと判定し(ステップS13;N)、ステップS11の処理に戻り、上述の処理が繰り返される。
最大基準アドレスが判定基準範囲の上限値以上である場合、判定部44は、データ算出部41の繰り返し回数が十分であると判定し(ステップS13;Y)、歪ベクトル算出部451は、第1の総和値と第2の総和値の比から歪ベクトルを算出する(ステップS14)。推定処理部452は、基準アドレスにおける歪ベクトルに基づいて、amin以上であって、amax以下の第1の総和値および第2の総和値が存在しない遅延電力アドレスについて、歪ベクトルを推定し、遅延電力アドレスごとに歪ベクトル推定値を算出する(ステップS15)。推定処理部452は、amin未満の遅延電力アドレスに対応する歪ベクトル推定値をaminにおける歪ベクトル推定値とし、amaxより大きい遅延電力アドレスに対応する歪ベクトル推定値をamaxにおける歪ベクトル推定値として、amin未満、およびamaxより大きい遅延電力アドレスにおける歪ベクトル推定値を算出する(ステップS16)。
歪補正ベクトル算出部453は、歪ベクトル推定値から送信電力ごとの歪補正ベクトルを算出する(ステップS17)。歪補正ベクトル算出部453は、歪補正ベクトルのスムージング処理を行う(ステップS18)。歪補正ベクトル算出部453は、送信電力アドレス2−1から連続する複数の送信電力アドレスにおける、歪補正ベクトルの利得の最大値が、送信電力アドレス2−1における歪補正ベクトルの利得より大きい場合、歪補正ベクトルの利得の最大値に対応する送信電力アドレスにおける歪補正ベクトルを、該送信電力アドレスより大きい送信電力アドレスにおける歪補正ベクトルとする。これにより、歪補正ベクトル算出部453は、送信電力アドレス2−1付近の歪補正ベクトルを調節する(ステップS19)。
利得判定部47は、スムージング処理された歪補正ベクトルの利得が、利得閾値以下であるか否かを判定する(ステップS20)。利得判定部47で歪補正ベクトルの利得が利得閾値以下であると判定された場合には(ステップS20;Y)、更新部46は、LUT5に記憶される歪補正ベクトルを更新する(ステップS21)。送信機1は、利得判定部47で歪補正ベクトルの利得が利得閾値より大きいと判定された場合には(ステップS20;N)、ステップS21の更新部46の処理を行わず、利得調節部11を調節して帰還信号の利得を上げる(ステップS23)。ステップS21およびS23の処理が完了した後に、送信機1は、メモリ42に記憶されている第1の総和値および第2の総和値を破棄する(ステップS22)。ステップS22の処理が完了すると、送信機1は歪補正ベクトル算出処理を終了する。送信機1は上述の歪補正ベクトル算出処理を定められた間隔で繰り返し行う。
以上説明したとおり、実施の形態1に係る送信機1によれば、判定基準範囲の上限値を最大基準アドレスに応じて調節することで、歪補正特性を維持しながら、歪補正ベクトルの更新処理に要する時間を短縮することが可能である。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る歪解析部の構成例を示すブロック図である。実施の形態2に係る送信機1が有する歪解析部22は、図2に示す実施の形態1に係る送信機1が有する歪解析部22の構成に加えて、位相回転部48を備える。D−A変換器6、D−A変換器6からA−D変換器13までのアナログ回路、およびA−D変換器13を通ることで、帰還信号には位相の回転が生じる。歪補正ベクトルには、歪による送信電力アドレスごとの位相回転と全送信電力アドレス共通の位相回転とが含まれる。全送信電力アドレス共通の位相回転が大きくなるにつれ、LUT5を更新する際の位相変化が大きくなり、スペクトラムの広がりおよび異音の発生が起こり得る。そこで、実施の形態2においては、歪解析部22が有する位相回転部48が、算出した歪補正ベクトルの位相を定められた量だけ回転させ、位相回転された歪補正ベクトルを出力することで、LUT5を更新する際の位相変化を低減する。
例えば、位相回転部48は、歪補正ベクトル算出部453で送信電力アドレスごとに算出された歪補正ベクトルの位相を、共通の定められた量だけ回転させる。共通の定められた量は、例えば、全送信電力アドレスの歪補正ベクトルの平均を示すベクトルの位相、定められた範囲内の送信電力アドレスの歪補正ベクトルの平均を示すベクトルの位相、定められた送信電力アドレスの歪補正ベクトルの位相などである。定められた送信電力アドレスとして、例えば基準アドレスの中央値、送信電力アドレスの中央値などを用いることができる。共通の定められた量として、全送信電力アドレスの歪補正ベクトルの平均を示すベクトルの位相を用いる場合を例にして説明する。全送信電力アドレスの歪補正ベクトルの平均を示すベクトルをLavgとし、LavgのI成分をLavg_iとし、LavgのQ成分をLavg_qとすると、位相補正ベクトルCのI成分Cおよび位相補正ベクトルCのQ成分Cは、下記(8)式および下記(9)式で表される。
Figure 0006738019
Figure 0006738019
位相回転部48は、位相補正ベクトルCを全ての送信電力アドレスの歪補正ベクトルL(a)に対し複素乗算することで、送信電力アドレスごとに算出した歪補正ベクトルの位相を、共通の定められた量だけ回転させる。全送信電力アドレスの歪補正ベクトルの平均を示すベクトルおよび全送信電力アドレスの歪補正ベクトルのそれぞれについて逆正接を算出し、全送信電力アドレスの歪補正ベクトルの平均を示すベクトルと、全送信電力アドレスの歪補正ベクトルのそれぞれとの位相差を算出してもよい。位相回転部48は、算出された位相差に応じて、送信電力アドレスごとに算出した歪補正ベクトルの位相を、共通の定められた量だけ回転させる。位相回転部48は、位相回転された歪補正ベクトルを出力する。更新部46は、位相回転された歪補正ベクトルでLUT5に記憶される歪補正ベクトルを更新する。実施の形態1と同様に、更新部46の処理が完了すると、送信機1は、メモリ42に記憶されている第1の総和値および第2の総和値を破棄する。
図9は、実施の形態2に係る歪解析部の他の構成例を示すブロック図である。図9に示す歪解析部22は、図6に示す実施の形態1に係る歪解析部22の構成に加え、位相回転部48を備える。図9の例では、送信機1は、利得判定部47で歪補正ベクトルの利得が利得閾値以下であると判定された場合に、位相回転部48および更新部46の処理を行う。また送信機1は、利得判定部47で歪補正ベクトルの利得が利得閾値より大きいと判定された場合に、位相回転部48および更新部46の処理を行わず、メモリ42に記憶されている第1の総和値および第2の総和値を破棄する。
図10は、本発明の実施の形態2に係る送信機が行う歪補正ベクトル算出処理の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS11〜S20の処理は、図7に示す実施の形態1に係る送信機1が行う処理と同じである。利得判定部47で歪補正ベクトルの利得が利得閾値以下であると判定された場合には(ステップS20;Y)、位相回転部48は、歪補正ベクトルの位相を定められた量だけ回転させる(ステップS201)。更新部46は、位相回転された歪補正ベクトルでLUT5に記憶される歪補正ベクトルを更新する(ステップS21)。ステップS22,S23の処理は、図7に示す実施の形態1に係る送信機1が行う処理と同じである。
以上説明したとおり、実施の形態2に係る送信機1によれば、歪補正ベクトルの位相を回転させることで、LUT5を更新する際の位相の変化を低減することが可能である。これにより、スペクトラムの広がりおよび異音の発生を抑制することが可能である。
本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。上述の実施の形態における回路構成は一例である。
1 送信機
2 DPD処理部
3 電力算出部
4、55 アドレス検出部
5 LUT
6 D−A変換器
7、12 ミキサ
8 局部発振器
9 増幅器
10 アンテナ
11 利得調節部
13 A−D変換器
20 LUT更新部
21 遅延部
22 歪解析部
23 遅延検出部
30 コントローラ
31 CPU
32 I/O
33 RAM
34 ROM
41 データ算出部
42、42a、42b メモリ
43 範囲調節部
44 判定部
45 ベクトル算出部
46 更新部
47 利得判定部
48 位相回転部
51 共役変換部
52、53 乗算器
54、56 加算器
57、58、59、60 係数乗算器
451 歪ベクトル算出部
452 推定処理部
453 歪補正ベクトル算出部

Claims (14)

  1. 入力される信号を増幅する増幅器と、
    送信信号の電力に応じた送信電力アドレスごとに、歪補正ベクトルが記憶されているLUTと、
    前記送信信号を、前記送信信号の電力に応じた前記送信電力アドレスに対して前記LUTに記憶されている前記歪補正ベクトルに応じて補正して、前記増幅器に入力するDPD処理部と、
    前記送信信号を遅延した信号である遅延送信信号、および前記増幅器で増幅された前記送信信号のフィードバックである帰還信号に基づいて、前記遅延送信信号の電力の算出、および前記遅延送信信号の複素共役と前記帰還信号との乗算値の算出をサンプリング時間ごとに繰り返すデータ算出部と、
    前記遅延送信信号の電力に応じた遅延電力アドレスごとに、繰り返し算出された、前記遅延送信信号の電力の総和である第1の総和値、および前記乗算値の総和である第2の総和値が記憶されるメモリと、
    前記第1の総和値および前記第2の総和値が存在する前記遅延電力アドレスである基準アドレスの内、最大値である最大基準アドレスに応じて、判定基準範囲の上限値を調節する範囲調節部と、
    前記最大基準アドレスが前記判定基準範囲の前記上限値以上である場合に、前記データ算出部における前記遅延送信信号の電力の算出および前記乗算値の算出のデータ量が十分であると判定する判定部と、
    前記判定部で前記繰り返し回数が十分であると判定された場合に、前記基準アドレスにおける前記第1の総和値と前記第2の総和値の比から算出される歪ベクトルに基づき、前記歪補正ベクトルを算出して出力するベクトル算出部と、
    前記ベクトル算出部が出力する前記歪補正ベクトルに基づき、前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルを更新する更新部と、
    を備え、
    前記更新部の処理が完了した後に、前記メモリに記憶されている前記第1の総和値および前記第2の総和値を破棄する送信機。
  2. 前記範囲調節部は、前記最大基準アドレスから前記上限値を引いた差分が正の場合に、前記上限値を増大させ、前記差分が負の場合に、前記上限値を減少させ、
    前記差分に対する前記上限値の増大量は、該差分と絶対値が同じである前記差分に対する前記上限値の減少量以上である、
    請求項1に記載の送信機。
  3. 前記範囲調節部は、前記差分が正の場合に、前記上限値以上の前記基準アドレスの平均値より大きい最小の自然数を前記上限値とし、前記差分が負の場合に、前記上限値に対して、前記上限値を減少させる定められた演算を行った結果以下の最大の自然数を前記上限値とする請求項2に記載の送信機。
  4. 前記範囲調節部は、前記判定基準範囲の下限値を、前記上限値に応じて調節する請求項1から3のいずれか1項に記載の送信機。
  5. 前記判定部は、前記最大基準アドレスが前記上限値以上であり、かつ、前記基準アドレスの内、最小値である最小基準アドレスが前記判定基準範囲の下限値以下である場合に、前記繰り返し回数が十分であると判定する請求項1から4のいずれか1項に記載の送信機。
  6. 前記判定部は、前記最大基準アドレスが前記上限値以上であり、かつ、前記最小基準アドレスが前記判定基準範囲の前記下限値以下であり、かつ、前記基準アドレスの個数が、前記最大基準アドレスと前記最小基準アドレスとの差に定められた1未満の正数を乗算した値以上である場合に、前記繰り返し回数が十分であると判定する請求項5に記載の送信機。
  7. 前記更新部は、前記ベクトル算出部が出力する前記歪補正ベクトルと前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルとの差分ベクトルを構成する複数のベクトルに応じて、複数回にわけて前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルを更新する請求項1から6のいずれか1項に記載の送信機。
  8. 前記ベクトル算出部が出力する前記歪補正ベクトルの位相を定められた量だけ回転させ、位相回転された前記歪補正ベクトルを出力する位相回転部をさらに備え、
    前記更新部は前記位相回転部で位相回転された前記歪補正ベクトルに基づいて前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルを更新する処理を行う、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の送信機。
  9. 前記位相回転部は、前記歪補正ベクトルの位相を、共通の前記定められた量だけ回転させる請求項8に記載の送信機。
  10. 前記ベクトル算出部は、前記基準アドレスにおける前記歪ベクトルに基づく補間処理を行って、前記基準アドレスの最小値である最小基準アドレス以上、かつ、前記最大基準アドレス以下であって、前記第1の総和値および前記第2の総和値が存在しない前記遅延電力アドレスごとに前記歪ベクトルの推定値を算出し、前記最小基準アドレスに対応する前記歪ベクトルを前記最小基準アドレス未満の前記遅延電力アドレスに対応する前記歪ベクトルの推定値とし、前記最大基準アドレスに対応する前記歪ベクトルを前記最大基準アドレスより大きい前記遅延電力アドレスに対応する前記歪ベクトルの推定値とし、前記歪ベクトルの推定値から前記歪補正ベクトルを算出する請求項1から9のいずれか1項に記載の送信機。
  11. 前記ベクトル算出部は、前記送信電力アドレスの最大値から連続する複数の前記送信電力アドレスにおける、前記歪補正ベクトルの利得の最大値が、前記送信電力アドレスの最大値における前記歪補正ベクトルの利得より大きい場合、前記歪補正ベクトルの利得の最大値に対応する前記送信電力アドレスにおける前記歪補正ベクトルを、該送信電力アドレスより大きい前記送信電力アドレスにおける前記歪補正ベクトルとする請求項1から10のいずれか1項に記載の送信機。
  12. 前記ベクトル算出部から出力される前記歪補正ベクトルの利得が利得閾値以下であるか否かを判定する利得判定部をさらに備え、
    前記利得判定部において前記歪補正ベクトルの利得が前記利得閾値以下であると判定された場合に、前記更新部の処理を行い、
    前記利得判定部において前記歪補正ベクトルの利得が前記利得閾値より大きいと判定された場合に、前記更新部の処理を行わず、前記メモリに記憶されている前記第1の総和値および前記第2の総和値を破棄する、
    請求項1から11のいずれか1項に記載の送信機。
  13. 前記利得判定部において前記歪補正ベクトルの利得が前記利得閾値より大きいと判定された場合に、前記帰還信号の利得を増大させる利得調節部をさらに備える請求項12に記載の送信機。
  14. 送信信号を、前記送信信号の電力に応じた送信電力アドレスに対してLUTに記憶されている歪補正ベクトルに応じて補正して、増幅器で増幅する送信機が行う歪補正方法であって、
    前記送信信号を遅延した信号である遅延送信信号、および前記増幅器で増幅された前記送信信号のフィードバックである帰還信号に基づいて、前記遅延送信信号の電力の算出、および前記遅延送信信号の複素共役と前記帰還信号との乗算値の算出をサンプリング時間ごとに繰り返すデータ算出ステップと、
    前記遅延送信信号の電力に応じた遅延電力アドレスごとに、繰り返し算出された、前記遅延送信信号の電力の総和である第1の総和値、および前記乗算値の総和である第2の総和値を算出する総和値算出ステップと、
    対応する前記第1の総和値および前記第2の総和値が存在する前記遅延電力アドレスである基準アドレスの内、最大値である最大基準アドレスに応じて、判定基準範囲の上限値を調節する範囲調節ステップと、
    前記最大基準アドレスが前記判定基準範囲の前記上限値以上である場合に、前記データ算出ステップにおける前記遅延送信信号の電力の算出および前記乗算値の算出のデータ量が十分であると判定する判定ステップと、
    前記判定ステップで前記繰り返し回数が十分であると判定された場合に、前記基準アドレスにおける前記第1の総和値と前記第2の総和値の比から算出される歪ベクトルに基づき、前記歪補正ベクトルを算出するベクトル算出ステップと、
    前記ベクトル算出ステップで算出される前記歪補正ベクトルに基づき、前記LUTに記憶された前記歪補正ベクトルを更新する更新ステップと、
    を備える歪補正方法。
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