JP6733314B2 - 高純度銅電解精錬用添加剤と高純度銅製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硫黄や銀濃度などの不純物を大幅に低減した、反りの小さい、好ましくは反りの無い高純度銅を製造する銅電解精錬用の添加剤と該添加剤を用いた高純度銅の製造方法に関する。
高純度銅の製造方法として、特許文献1に記載されているように、硫酸銅水溶液を電解し、陰極に析出した銅を陽極にしてさらに硝酸銅水溶液中において100A/m以下の低電流密度で再電解する二段階の電解を行う方法が知られている。
また、特許文献2に記載されているように、塩素イオン、ニカワ等、および活性硫黄成分を含む硫酸銅電解液にPEG(ポリエチレングリコール)等のポリオキシエチレン系界面活性剤を併用することによって機械的特性とカソード密着性を高めた電解銅箔の製造方法が知られている。さらに、特許文献3に記載されているように、PVA(ポリビニルアルコール)等の平滑化剤とPEGなどのスライム促進剤を併用することによって銅表面が平滑で銀や硫黄の不純物量が少ない高純度電気銅を製造する方法が知られている。
特公平08−990号公報 特開平2001−123289号公報 特開2005−307343号公報 特開2011−32509号公報 特許第5297481号公報 特開2014−80419公報
「新版有機概念図基礎と応用」、甲田善生、佐藤四郎、本間善夫、三共出版、2008年11月30日発行
特許文献1の製造方法のように、硫酸銅浴による電解と硝酸銅浴による電解を二段階行う製造方法では電解に手間がかかる問題がある。また、硝酸の使用は環境負荷が高く、排水処理が煩雑になる問題がある。さらに、硝酸は銅自体を溶解するため、カソードとアノードの双方の溶解によって歩留まりが低下し、さらに液中の銅濃度が徐々に高くなるため、定期的に銅濃度を下げるための希釈処理が必要になる。
従来の添加剤(PVA,PEG等)を用いると電流密度を上げることが難しく、電流密度を上げるために液撹拌を行うとスライムが舞い上がり、これがカソードに付着して電気銅の純度が低下する。しかも、添加剤がアノードの溶解を強く抑制するため、アノード溶解過電圧が上昇してアノード溶解の際にスライムが大量に発生し、カソードの歩留まりが低下すると共にカソードに付着するスライム量が多くなる。また、従来の添加剤はカソードの析出反応を抑制するため、電解液が硫酸根を含んでいると電着銅の硫黄濃度が上昇して純度が低下する問題があった。
また、PEGやPVA等の水溶性高分子の添加剤は親水性が極めて高く、さらに紫外線吸収性が乏しく、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量分析が困難であり、また分解速度が速いことから、正確な濃度管理が難しい。さらに、PEGを用いると電気銅表面の樹枝状突起が生じやすく、電気銅の硫黄含有量等が高いと云う問題があり、その問題を解決するためにPVAを用いると電気銅の表面は平滑になるが不純物の銀が十分に低減されない。
また、添加剤によってカソードの析出反応を抑制すると、析出中の電気銅内部に応力が発生してカソードから剥離したり、電極の湾曲による端部への電流集中によってデンドライトが生じたり粗雑な析出による純度の低下が生じる問題がある。
さらに、カソードに銀が共析するのを防ぐため、電解液に塩化物イオンを添加して液中の銀を塩化銀にして沈澱除去することが知られているが、塩化物イオン自体がカソードの電気銅中に共析して塩化物濃度が増加し、電気銅の純度が低下し、さらに電気銅の鋳造時に危険な塩素ガスが発生するなどの問題がある。
本発明は、高純度銅の製造について、従来の製造方法における上記問題を解消したものであり、有機概念図のIOBを指標にして特定した有機化合物からなる添加剤を用いることによって、硫黄および銀の含有量が大幅に少ない高純度な銅を製造できるようにしたものであり、さらに上記添加剤と共に応力緩和剤を併用することによって、反りの少ない高純度銅を製造できるようにしたものである。本発明は高純度銅製造用の添加剤、ないし該添加剤と応力緩和剤、およびこれらの添加剤を用いた高純度銅の製造方法を提供する。
本発明は、以下の構成を有する高純度銅電解精錬用添加剤と高純度銅の製造方法に関する。
〔1〕銅表面の光沢度が1以上であって銀および硫黄の含有量が1ppm以下の高純度銅を製造するための添加剤であり、有機概念図のIOB値が1.3〜1.6であって平均分子量が150〜20000であるエチレンオキシド付加物を含み、さらに上記IOB値が2.0〜9.5であって平均分子量が6000〜150000のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン変性ポリビニルアルコールから選択される応力緩和剤を含み、銅電解精錬の電解液に添加して使用されることを特徴とする高純度銅電解精錬用添加剤。
〔2〕上記エチレンオキシド付加物に対する上記応力緩和剤の濃度比(応力緩和剤/エチレンオキシド付加物)が0.005〜1.5である上記[1]に記載する高純度銅電解精錬用添加剤。
〔3〕有機概念図のIOB値が1.3〜1.6であって平均分子量が150〜20000であるエチレンオキシド付加物を主剤として含み、さらに上記IOB値が2.0〜9.5であって平均分子量が6000〜150000のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン変性ポリビニルアルコールから選択される応力緩和剤を含む添加剤を銅電解精錬の電解液に添加して銅電解精錬を行い、銅表面の光沢度が1以上であって銀および硫黄の含有量が1ppm以下の高純度銅を製造する方法。
〔4〕上記エチレンオキシド付加物に対する上記応力緩和剤の濃度比(応力緩和剤/エチレンオキシド付加物)が0.005〜1.5である添加剤を用いる上記[3]に記載する高純度銅の製造方法。
〔5〕上記エチレンオキシド付加物の銅電解液中の濃度が2〜500mg/Lである上記[3]または上記[4]に記載する高純度銅の製造方法。
〔6〕銅電解液が、硫酸銅水溶液、硝酸銅水溶液、塩化銅水溶液、またはピロリン酸銅水溶液である上記[3]〜上記[5]の何れかに記載する高純度銅の製造方法。
〔具体的な説明〕
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の添加剤は、銅表面の光沢度が1以上であって銀および硫黄の含有量が1ppm以下の高純度銅を製造するための添加剤であり、有機概念図のIOB値が1.3〜1.6であって平均分子量が150〜20000であるエチレンオキシド付加物を含み、さらに上記IOB値が2.0〜9.5であって平均分子量が6000〜150000のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン変性ポリビニルアルコールから選択される応力緩和剤を含み、銅電解精錬の電解液に添加して使用されることを特徴とする高純度銅電解精錬用添加剤である。
また、本発明の高純度銅の製造方法は、上記添加剤を銅電解精錬の電解液に添加し、銅電解精錬によって銅表面の光沢度が1以上であって銀および硫黄の含有量が1ppm以下の高純度銅を製造する方法である。
有機概念図とは、有機化合物を有機性値(OV)と無機性値(IV)の二つの指標を用いて特徴づけ、有機性値のX軸と無機性値のY軸の平面座標上に示したものである。有機性値(OV)は共有結合に基づいた有機性を示しており、無機性値(IV)はイオン結合に基づいた無機性を示しており、有機化合物が座標に占める位置によって、その物性を判断することができる。一般に、X軸(有機軸)に近い化合物ほど疎水性が高く、Y軸(無機軸)に近い化合物ほど親水性が高い。
有機概念図は上記非特許文献1に詳しく説明されている。また、上記特許文献3,特許文献4,および特許文献5には、有機概念図の有機性値および無機性値を指標として特定した物質が記載されている。なお、上記特許文献3〜4は銅電解精錬に関するものではない。
有機性値(OV)と無機性値(IV)は化合物の構造式に基づいて求められる。具体的には、有機性値(OV)はその化合物の炭素数に20を乗じた値であり、無機性値(IV)はその化合物に含まれる各置換基に与えられている無機性値(IV)の合計値である。置換基ごとの無機性値表が一般に公表されており、この表に基づいて化合物に含まれる置換基の無機性値(IV)を合計すればよい。
例えば、エチレングリコールは炭素数2なので有機性値(OV)は40、無機性値(IV)はOH基について100、CH基について0であり、この合計が200である。また、重合度が10のポリオキシエチレングリコールは非特許文献1のp.97に記載されているエチレンオキサイド1ユニットの有機性値30および無機性値60を採用し、重合度10を乗じ、有機性値(OV)300、無機性値(IV)600である。
有機概念図のIOB(Inorganic/organic Balance)は、有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比(IV/OV)である。例えば、ポリオキシエチレングリコールのIOB値は、IOB=(IV60)/(OV30)=2.0である。有機概念図上、IOB値が1以上の化合物はY軸側(無機軸側)に位置し、IOBが1未満の化合物はX軸側(有機軸側)に位置する。以下、有機概念図のIOB値を単にIOB値と云う。
本発明において、添加剤分子の有機性と無機性の比により銅表面と添加剤分子の相互作用が異なり、このため有機性と無機性の比により添加剤の作用機構が変化することを見出し、有機性値と無機性値の比が特定の範囲の有機分子を添加剤として用いることにより、高純度でありながら反りのない高純度銅を製造できることを見出した。本発明は上記知見に基づく。
本発明の添加剤は、銀および硫黄の含有量が1ppm以下であって表面の光沢度が1以上の高純度銅を製造するための添加剤であり、有機概念図のIOB値が1.3〜1.6であって平均分子量が150〜20000であるエチレンオキシド付加物を主剤として含む。
上記エチレンオキシド付加物は、例えば、ポリオキシエチレンモノフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールなどである。
IOB値が1〜2と比較的低い物質(エチレンオキシド付加物)は、銅電解液に添加したときに、カソード表面に密な吸着層を形成するため、カソード表面に析出する電気銅を緻密にする働きがあり、表面が平滑でコンタミの少ない電気銅を得ることができる。また、IOB値が1〜2のエチレンオキシド付加物はアノードスライムを抑制し、カソードに析出する電気銅に含まれる硫黄量を大幅に低減することができる。一方、IOB値が1未満では、電解液に対する添加剤の溶解性が著しく低下し、IOB値が2を上回ると、アノード溶解抑制効果が高まりすぎて、カソードに析出する電気銅表面が粗雑になり、またアノードスライムが増加する傾向があるので、好ましくない。
本発明の添加剤として使用するエチレンオキシド付加物は、平均分子量は150〜20000のものが好ましい。平均分子量が150未満では、電析抑制効果が乏しく、カソードに析出する電気銅表面を平滑にする作用が不十分であり、また析出する銅結晶粒子が肥大化して液中の硫黄を取り込みやすくなる。一方、平均分子量が20000を上回ると、アノード溶解抑制効果が高まりすぎて、カソードに析出する電気銅表面が粗雑になり、またアノードスライムが増加する傾向がある。さらに、フェノールやナフトールといった芳香族化合物を有すると分析が容易になるため好ましい。なお、上記平均分子量とは、JIS規格(JIS K 7252-1:2008の3.3.3項)に定義される高分子の平均分子量のことである。
本発明の添加剤は、有機概念図のIOB値が1.3〜1.6であって平均分子量が150〜20000であるエチレンオキシド付加物を主剤として含み、さらに上記IOB値が2.0〜9.5であって平均分子量が6000〜150000の応力緩和剤を含む。
IOB値が2.0〜9.5と比較的高い物質(応力緩和剤)は親水性が比較的高いため、カソード表面の吸着した応力緩和剤が水をよく含み、粗な吸着層を形成するため、カソード表面に析出する電気銅を緻密にする作用は乏しいが、主剤のエチレンオキシド付加物の作用を緩和して電着応力を低減し(応力緩和効果)、カソードに析出する電気銅の反りを抑制する。
応力緩和剤の平均分子量が6000未満および150000超では、何れも応力緩和効果が乏しく、カソードに析出する電気銅の反りが発生しやすい。
応力緩和剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン変性ポリビニルアルコールなどを用いることができる。
上記エチレンオキシド付加物に対する応力緩和剤の濃度比(応力緩和剤/エチレンオキシド付加物)は0.005〜1.5が好ましい。この濃度比が0.005未満および1.5超では何れも応力緩和効果が乏しく、カソードに析出する電気銅の反りが発生しやすい。
本発明の添加剤は、銅電解精錬の電解液に添加して使用される。本発明の添加剤は、硫酸銅水溶液、硝酸銅水溶液、塩化銅水溶液、またはピロリン酸銅水溶液の何れの銅電解液についても使用することができる。なお、一般に電解液中の銅濃度は5〜90g/Lが好ましい。添加剤に関する条件以外は通常の銅電解精錬と同様に実施することができる。
本発明の添加剤は、銅電解液において上記エチレンオキシド付加物の濃度は2〜500mg/Lの範囲が好ましく、10〜300mg/Lの範囲がより好ましい。該添加剤の濃度が2mg/Lを下回ると効果が乏しいため電気銅表面の平滑性が低下し、電気銅表面に電解液中の硫黄成分が付着して取り込まれ易くなる。一方、上記濃度が500mg/Lを上回るとアノード表面の付着が強すぎてスライムの発生量が増える傾向がある。
本発明のエチレンオキシド付加物からなる添加剤は、銅電解精錬において、スライム発生率を30%以下に抑制することができ、銅表面の光沢度が1以上であって、銀および硫黄の含有量が1ppm以下の高純度銅を製造することができる。さらに上記添加剤と共に応力緩和剤を併用することによって、反りの少ない高純度銅を製造することができる。
従来のPEG添加剤を用いる電解精錬では、電気銅表面の樹枝状突起が生じやすく、PVA添加剤を用いると電気銅の表面は平滑になるものの銀のコンタミが多くなるが、本発明の添加剤は、電気銅表面に樹枝状突起が生じることが無く、かつ銀の含有量も1ppm以下である。また、従来の銅電解精錬では、銅電解液に塩化物イオンを添加して液中の銀を塩化銀にして沈澱させて除去することが知られているが、本発明の添加剤を用いる銅電解精錬では塩化物イオンを添加する必要が無い。
本発明の添加剤を用いる銅電解精錬は、添加剤以外の電解条件は通常の銅電解と同様に実施することができるので、既存の銅電解設備を利用して容易に実施することができる。また、本発明の添加剤であるエチレンオキシド付加物は、例えば、ポリオキシエチレンモノフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどの芳香族環を有するものは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量分析を行うことができるので、添加剤の管理を迅速かつ正確に行うことができる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示す。
実施例および比較例において、(イ)電気銅の硫黄濃度および銀濃度はGD−MS(グロー放電質量分析法)によって電気銅の中央部を測定した。(ロ)銅表面の光沢度は日本電色社製品(HANDY GLOSSMETER PG-1M)を用いて角度60°の条件で測定した。光沢度が2より低いと電気銅表面に付着した電解液を十分に水洗洗浄し難いために電気銅表面に電解液が残留し易くなり、電気銅の純度が低下する。(ハ)電気銅の反りを目視観察によって判断した。反りが見られないものを○印、反りが小さいものを△、反りが大きく剥離が見られるものを×印で示した。(ニ)スライム発生率は次式によって求めた。
スライム発生率(%)=100−(析出した電気銅の重量)/(アノードの溶解量)×100
〔実施例1〕
下記エチレンオキシド付加物(A、B、C、D)を用い、酸濃度50g/L、銅濃度50g/L、塩酸以外は塩化物イオン濃度100mg/Lの硫酸銅水溶液、塩化銅水溶液、硝酸銅水溶液、またはピロリン酸銅水溶液を銅電解液として用い、該銅電解液に、上記エチレンオキシド付加物(A、B、C、D)を濃度30mg/Lになるように加え、アノードには硫黄濃度5ppmおよび銀濃度8ppmの電気銅を用い、電流密度を200A/m2、浴温30℃にて銅電解を行ない、12時間ごとにODSカラムを用いたHPLCによって添加剤濃度を測定し、添加剤濃度が30mg/Lを維持するように減少分を補給して電気銅を電解製造した。この結果を表1に示した。
使用したエチレンオキシド付加物(A、B、C、D)を以下に示す。
A:ポリオキシエチレンモノフェニルエーテル
B:ポリオキシエチレンナフチルエーテル
C:ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル
D:ポリオキシエチレングリコール
表1に示すように、電気銅の硫黄および銀の含有量は1ppm以下であり、光沢度は1以上であり、スライム発生率は30%以下である。また、電気銅の反りは小さい。
Figure 0006733314
〔比較例1〕
有機概念図のIOB値ないし平均分子量が本発明の範囲を外れる添加剤A、添加剤D、添加剤E、エチレンオキシド付加物以外の添加剤F、添加剤Gを用い、実施例1と同様の条件で銅電解精錬を行い、電気銅を製造した。使用した添加剤E〜Gを以下に示す。この結果を表2に示した。
添加剤E:ポリオキシエチレンアルキルエーテル
添加剤F:ドデシル硫酸ナトリウム
添加剤G:ヘプタデンカン酸ナトリウム
表2に示すように、電気銅の銀含有量は0.2〜2ppmであるが、硫黄含有量は1.1〜6ppmと多く、光沢度は低く1未満であり、スライム発生率は31%〜45%と高い。また、電気銅には反りによる剥離が見られた。
Figure 0006733314
表3に示すIOB値と平均分子量のエチレンオキシド付加物A〜Dを主剤とし、表3に示すIOB値と平均分子量の応力緩和剤(D、H、I、J、K、L)を併用し、実施例1と同様の条件で銅電解精錬を行い、電気銅を製造した。使用した応力緩和剤D〜Lを以下に示す。この結果を表3に示した。
応力緩和剤H:ポリビニルアルコール
応力緩和剤I:ポリアクリル酸ナトリウム
応力緩和剤J:エチレン変性ポリビニルアルコール
応力緩和剤K:カルボキシ変性ポリビニルアルコール
応力緩和剤L:ポリオキシエチレン変性ポリビニルアルコール
表3に示すように、電気銅の硫黄および銀の含有量は0.9ppm以下と少なく、光沢度は1以上であり、スライム発生率は30%以下であった。また、電気銅の反りは小さいか、または反りが見られない。

Figure 0006733314

Claims (6)

  1. 銅表面の光沢度が1以上であって銀および硫黄の含有量が1ppm以下の高純度銅を製造するための添加剤であり、有機概念図のIOB値が1.3〜1.6であって平均分子量が150〜20000であるエチレンオキシド付加物を主剤として含み、さらに上記IOB値が2.0〜9.5であって平均分子量が6000〜150000のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン変性ポリビニルアルコールから選択される応力緩和剤を含み、銅電解精錬の電解液に添加して使用されることを特徴とする高純度銅電解精錬用添加剤。
  2. 上記エチレンオキシド付加物に対する上記応力緩和剤の濃度比(応力緩和剤/エチレンオキシド付加物)が0.005〜1.5である請求項1に記載する高純度銅電解精錬用添加剤。
  3. 有機概念図のIOB値が1.3〜1.6であって平均分子量が150〜20000であるエチレンオキシド付加物を主剤として含み、さらに上記IOB値が2.0〜9.5であって平均分子量が6000〜150000のポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン変性ポリビニルアルコールから選択される応力緩和剤を含む添加剤を銅電解精錬の電解液に添加して銅電解精錬を行い、銅表面の光沢度が1以上であって銀および硫黄の含有量が1ppm以下の高純度銅を製造する方法。
  4. 上記エチレンオキシド付加物に対する上記応力緩和剤の濃度比(応力緩和剤/エチレンオキシド付加物)が0.005〜1.5である添加剤を用いる請求項3に記載する高純度銅の製造方法。
  5. 上記エチレンオキシド付加物の銅電解液中の濃度が2〜500mg/Lである請求項3または請求項4に記載する高純度銅の製造方法。
  6. 銅電解液が、硫酸銅水溶液、硝酸銅水溶液、塩化銅水溶液、またはピロリン酸銅水溶液である請求項3〜請求項5の何れかに記載する高純度銅の製造方法。
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