JP6731868B2 - 撮像方法および撮像装置 - Google Patents

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Description

この発明は、被撮像物からの反射光と参照光との干渉光成分を検出して撮像を行う技術に関し、特に光透過性を有する容器の壁部を介して被撮像物を撮像する技術に関するものである。
医学や生化学の技術分野では、容器中で培養された細胞や微生物を観察することが行われる。観察対象となる細胞等に影響を与えることなく観察を行う方法として、顕微鏡等を用いて細胞等を撮像する技術が提案されている。このような技術の1つとして、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography;OCT)技術を利用したものがある。この技術は、光源から出射される低コヒーレンス光を照明光として被撮像物に入射させ、被撮像物からの反射光(信号光)と光路長が既知である参照光との干渉光を検出することで、被撮像物からの反射光の深さ方向における強度分布を求めて断層画像化するものである。
OCT撮像技術においては、画像品質に影響を与える因子として、被撮像物から反射される信号光を集光する物体光学系の焦点の設定位置と、信号光の光路上において信号光の光路長が参照光の光路長と等しくなる仮想的な面である参照基準面(コヒーレンスゲートとも呼ばれる)の設定位置とがある。すなわち、信号光に被撮像物の鮮明な情報が含まれるのは焦点位置の近傍であり、干渉光の強度が強くなり被撮像物の情報を精度よく取り出せるのは参照基準面の近傍である。良好な画像品質を得るためにはこれらの設定位置の調整が必要となる。しかしながら、撮像されたときの焦点位置および参照基準面の位置がどこにあったについては、撮像により得られた断層画像からは読み取れない。このため、詳しい知識を有していないユーザがこれらの設定を適切に行うことは容易でない。
信号光の光路長と参照光の光路長との光路長差を調整することで所期の品質の断層画像を得ようとする技術としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。この技術は、コヒーレンスゲートの位置を多段階に変更しながら撮像を行い、それぞれで得られた画像からコヒーレンスゲートの最適位置を求めるというものである。この技術は眼科用機器を想定したものであり、開示されている装置は網膜を撮像するものである。
特開2016−019635号公報
容器中に担持された細胞等を被撮像物とする場合、光透過性を有する容器の壁部(例えば底部)を介して撮像が行われる場合がある。このような場合、信号光は容器壁部を介して集光されることとなり、容器での信号光の屈折により、被撮像物における焦点位置は容器を介さない場合の焦点位置とは異なったものとなる。そして、容器としては壁部の厚さや屈折率において種々のものが使用され得る。このような場合の断層画像における焦点位置を把握する方法は確立されておらず、焦点位置および参照光路長の調整がさらに困難になっているという問題があった。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、被撮像物からの反射光と参照光との干渉を利用して容器内の被撮像物を撮像する技術において、容器の壁部を介して撮像される断層画像における焦点位置を特定することのできる技術を提供することを目的とする。
この発明の一の態様は、光透過性の壁部を有する容器に担持された媒質内の被撮像物を断層撮像する撮像方法であって、光源から出射される低コヒーレンス光が分岐された一の分岐光を前記被撮像物に入射させその反射光を前記壁部を介して物体光学系により集光した信号光と、他の一の分岐光から生成され参照ミラーで反射された参照光とが干渉して生じる干渉光を検出し、検出された前記干渉光に応じた干渉信号を出力する工程と、前記干渉信号に基づき前記被撮像物の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から断層画像を作成する工程とを備えている。
また、この発明の他の態様は、光透過性の壁部を有する容器に担持された媒質内の被撮像物を断層撮像する撮像装置であって、上記目的を達成するため、光源から出射される低コヒーレンス光が分岐された一の分岐光を前記被撮像物に入射させその反射光を前記壁部を介して物体光学系により集光した信号光と、他の一の分岐光から生成され参照ミラーで反射された参照光とが干渉して生じる干渉光を検出し、検出された前記干渉光に応じた干渉信号を出力する検出手段と、前記干渉信号に基づき前記被撮像物の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から断層画像を作成する信号処理手段と、前記物体光学系の光軸方向における前記物体光学系の焦点位置を変更する焦点位置調整手段と、前記参照方向の光路に沿った方向における前記参照ミラーの位置を変更するミラー位置調整手段と、前記断層画像における前記物体光学系の焦点位置を算出する焦点位置算出手段とを備えている。
そして、これらの発明では、上記目的を達成するため、前記信号光の光路長を物体光路長、前記参照光の光路長を参照光路長と称するとき、前記物体光学系が前記壁部の主面のうち前記物体光学系側の第1主面に合焦するときの前記物体光学系の焦点位置調整量を第1調整量とし、前記物体光学系の焦点位置調整量が前記第1調整量であるときの前記第1主面までの前記物体光路長と前記参照光路長とが等しくなる位置に前記参照ミラーを位置決めしたときに、前記壁部の主面のうち前記被撮像物側の第2主面からの反射光の強度が最大となる前記物体光学系の焦点位置調整量を第2調整量とし、前記干渉信号から求められる前記反射光強度分布における、前記物体光学系の光軸方向の前記第1主面と前記第2主面との距離を第1距離として、前記物体光学系の焦点位置調整量が前記第1調整量との間で前記第2調整量を挟む第3調整量に設定されて取得された前記干渉信号から求められる前記反射光強度分布において、前記光軸方向の前記第1主面との距離が、前記第3調整量と前記第2調整量との差に前記媒質の屈折率の2乗を乗じた値と、前記第1距離との和で表される第2距離である位置が、前記物体光学系の焦点位置とされる。
ここで、「焦点位置調整量」とは、物体光学系を操作することで得られる空気中での焦点位置の移動量を意味している。例えば焦点位置調整量を第1調整量から第2調整量に変更した場合、空気中であれば、焦点位置は第1調整量と第2調整量との差に相当する量だけ変化する。一方、容器の壁部を介して容器内の媒質中で合焦させる場合の焦点位置は、容器および媒質の屈折率の影響により空気中での焦点位置および変化量とは一致しない。
光が容器の壁部を通過する場合、その光路長と物理的な長さとは容器の屈折率を介して相互に変換され得る。本発明の場合、焦点位置調整量の変化量と焦点位置の変化量とが容器の屈折率を介して相互に変換可能ということになるが、容器壁部の厚さや屈折率は様々であるため、断層画像における焦点位置を正しく特定することが困難となっている。
本発明では、以下のようにして断層画像における焦点位置を特定することができる。まず、物体光学系が壁部の主面のうち物体光学系側の第1主面に合焦するときの物体光学系の焦点位置調整量を第1調整量とする。第1主面からの反射光は容器内を通過していないから、そのときの物体光路長は容器の屈折率に影響されない。したがって、このときの物体光路長と参照光路長とを一致させるための参照ミラーの位置も容易に求められる。
このような位置に参照ミラーを位置決めした状態で検出される干渉光から求められる反射光強度分布においては、深さ0の位置に第1主面からの反射光に対応する成分が現れる。また、壁部の主面のうち第1主面とは反対側の主面、つまり被撮像物側の第2主面からの反射光に対応する成分が、第1主面から壁部の厚さに対応する距離だけ離れた位置に現れるはずである。この距離は、第1主面と第2主面との間の光路長の差、つまり壁部の光学的な厚さを表し、壁部の物理的な厚さに屈折率を乗じたものとなる。この値が本発明の第1距離である。
また、参照ミラーの位置を固定したとき、反射光強度分布において第2主面からの反射光に対応する成分が最大となるのは物体光学系が第2主面に合焦したときである。このような条件が得られる焦点位置調整量を求めれば、物体光学系を第2主面に合焦させるための焦点位置調整量を特定することができる。これを第2調整量とする。第1調整量と第2調整量との差に屈折率を乗じた値が第1主面および第2主面それぞれに合焦するときの焦点位置間の物理的な距離、つまり壁部の厚さを表す。
これらの情報から、焦点位置調整量が第3調整量に設定された状態で取得された断層画像において、実際の焦点位置がどこにあったかを特定することを考える。なお、断層画像における被撮像物の深さ方向位置は撮像時の参照光路長の設定によって変動する。より一般的には、断層画像の基となる反射光強度分布において、物理的な位置が既知である基準物に対応する成分の位置に対する相対位置として焦点位置が特定されれば足りる。これらの相対位置は両者間の物体光路長の差によって決まり、参照光路長の設定によらないからである。
ここでは、容器の第1主面を基準として用いる。物体光学系を第1主面に合焦させるための焦点位置の位置調整量およびそのときの物体光路長と参照光路長とを一致させるための参照ミラーの位置は既に判っている。したがって、第1主面を基準として焦点位置を表すことができれば、このときの参照ミラーの位置と撮像時の参照ミラーの位置との関係から、断層画像中における絶対的な焦点位置を特定することが可能である。
まず反射光強度分布における第2主面と焦点位置との距離を考える。第2主面と焦点位置との間に容器の壁部は存在しないので、容器に担持された媒質を通過する光だけを考えればよい。位置調整量を第2主面に合焦する第2調整量から第3調整量に変化させたときの媒質内における焦点位置の物理的な変化量は、第2調整量と第3調整量との差に媒質の屈折率を乗じたものである。
一方、反射光強度分布において、第2主面に対応する成分の現れる位置と焦点位置との距離は、両者の物理的な距離と媒質の屈折率との積により表される。上記のように両者の物理的距離は第2調整量と第3調整量との差に媒質の屈折率を乗じたものであるから、第2調整量と第3調整量との差に媒質の屈折率の2乗を乗じた値が、反射光強度分布における第2主面と焦点位置との距離を表す。これに反射光強度分布における第1主面と第2主面との距離である第1距離を加算することで、第1主面を基準としたときの焦点位置が求められる。
このようにして反射光強度分布における焦点位置が特定されれば、例えば断層画像においてどの位置に合焦しているかを明示することが可能となる。これにより、例えばユーザが断層画像を見ながら被撮像物中の所望の位置に焦点位置を移動させるという操作が可能となる。また、断層画像中で焦点位置がどこに表示されるかは撮像時の参照光路長に依存するので、参照光路長の変更設定により、断層画像中における焦点位置の表示位置を任意に設定することが可能となる。
上記のように、本発明によれば、反射光強度分布における焦点位置を、第1主面の位置に対する相対位置として特定することが可能である。実際に検出される光から得られる情報に基づき焦点位置が特定されるので、この方法は、容器壁部の厚さや屈折率が未知であっても成立する。
本発明にかかる撮像装置の一実施形態を示す図である。 この撮像装置における撮像原理を説明する図である。 OCT装置の具体的構成例を示す図である。 物体光学系の焦点深さと参照基準面との位置関係を模式的に示す図である。 参照基準面の位置と反射光強度分布との関係を示す図である。 容器を介して集光する場合の光路を模式的に示す図である。 焦点位置特定処理の原理を示す図である。 物体光学系が容器の下部底面に合焦する条件を特定する処理を示す図である。 物体光学系が容器の上部底面に合焦する条件を特定する処理を示す図である。 参照光路長と焦点位置との関係を示す図である。 焦点位置と参照光路長との関係を特定するための処理を示すフローチャートである。 容器底部が厚い場合の光学的厚さの求め方を示す図である。 この撮像装置における撮像処理を示すフローチャートである。
図1は本発明にかかる撮像装置の一実施形態を示す図である。この撮像装置1は、培地M中で培養された細胞や、多数の細胞からなるスフェロイド(細胞集塊)、組織様構造体など(以下、「細胞等」と総称する)を被撮像物として断層撮像し、得られた断層画像を画像処理して、被撮像物の立体像を作成する。なお、ここでは培地中のスフェロイドを被撮像物とした例を説明するが、被撮像物はこれに限定されない。以下の各図における方向を統一的に示すために、図1に示すようにXYZ直交座標軸を設定する。ここでXY平面が水平面を表す。また、Z軸が鉛直軸を表し、より詳しくは(−Z)方向が鉛直下向き方向を表している。
撮像装置1は保持部10を備えている。保持部10は、ガラス製または樹脂製の透明で均質な平底を有する浅皿状のディッシュと呼ばれる容器11を、その開口面を上向きにして略水平姿勢に保持する。容器11には予め適宜の培地Mが所定量注入されており、培地中では容器11の底部111付近にスフェロイドSpが培養されている。図1では1つのスフェロイドSpのみが記載されているが、1つの容器11内で複数のスフェロイドSpが培養されていてもよい。
保持部10により保持された容器11の下方に、撮像ユニット20が配置される。撮像ユニット20には、被撮像物の断層画像を非接触、非破壊(非侵襲)で撮像することが可能な光干渉断層撮像(Optical Coherence Tomography;OCT)装置が用いられる。詳しくは後述するが、OCT装置である撮像ユニット20は、被撮像物への照明光を発生する光源21と、ビームスプリッタ22と、物体光学系23と、参照ミラー24と、分光器25と、光検出器26とを備えている。
また、撮像装置1はさらに、装置の動作を制御する制御ユニット30と、撮像ユニット20の可動機構を制御する駆動制御部40とを備えている。制御ユニット30は、CPU(Central Processing Unit)31、A/Dコンバータ32、信号処理部33、3D復元部34、インターフェース(IF)部35、画像メモリ36およびメモリ37を備えている。
CPU31は、所定の制御プログラムを実行することで装置全体の動作を司り、CPU31が実行する制御プログラムや処理中に生成したデータはメモリ37に保存される。A/Dコンバータ32は、撮像ユニット20の光検出器26から受光光量に応じて出力される信号をデジタルデータに変換する。信号処理部33は、A/Dコンバータ32から出力されるデジタルデータに基づき後述する信号処理を行って、被撮像物の断層画像を作成する。3D復元部34は、撮像された複数の断層画像の画像データに基づいて、撮像された細胞集塊の立体像(3D像)を作成する機能を有する。信号処理部33により作成された断層画像の画像データおよび3D復元部34により作成された立体像の画像データは、画像メモリ36により適宜記憶保存される。
インターフェース部35は撮像装置1と外部との通信を担う。具体的には、インターフェース部35は、外部機器と通信を行うための通信機能と、ユーザからの操作入力を受け付け、また各種の情報をユーザに報知するためのユーザインターフェース機能とを有する。この目的のために、インターフェース部35には、装置の機能選択や動作条件設定などに関する操作入力を受け付け可能な例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどの入力デバイス351と、信号処理部33により作成された断層画像や3D復元部34により作成された立体像など各種の処理結果を表示する例えば液晶ディスプレイからなる表示部352とが接続されている。
また、CPU31は駆動制御部40に制御指令を与え、これに応じて駆動制御部40は撮像ユニット20の可動機構に所定の動作を行わせる。次に説明するように、駆動制御部40により実行される撮像ユニット20の走査移動と、光検出器26による受光光量の検出との組み合わせにより、被撮像物であるスフェロイド(細胞集塊)の断層画像が取得される。
図2はこの撮像装置における撮像原理を説明する図である。より具体的には、図2(a)は撮像ユニット20における光路を示す図であり、図2(b)はスフェロイドの断層撮像の様子を模式的に示す図である。前記したように、撮像ユニット20は光干渉断層撮像(OCT)装置として機能するものである。
撮像ユニット20では、例えば発光ダイオードまたはスーパールミネッセントダイオード(SLD)などの発光素子を有する光源21から、広帯域の波長成分を含む低コヒーレンス光ビームL1が出射される。光ビームL1はビームスプリッタ22に入射して分岐し、破線矢印で示すように一部の光L2が容器11に向かい、一点鎖線矢印で示すように一部の光L3が参照ミラー24に向かう。
容器11に向かった光L2は、物体光学系23を経て容器11に入射する。より具体的には、ビームスプリッタ22から出射される光L2は、物体光学系23を介して容器底部111に入射する。物体光学系23は、ビームスプリッタ22から容器11に向かう光L2を容器11内の被撮像物(この場合にはスフェロイドSp)に収束させる機能と、被撮像物から出射される反射光を集光してビームスプリッタ22に向かわせる機能とを有する。図では物体光学系23は単一の対物レンズにより代表的に表されているが、複数の光学素子が組み合わされたものであってもよい。
物体光学系23は、駆動制御部40に設けられた焦点調整機構41により、Z方向に移動可能に支持されている。これにより、被撮像物に対する物体光学系23の焦点位置がZ方向に変更可能となっている。以下、深さ方向(Z方向)における物体光学系23の焦点位置を「焦点深さ」と称することがある。物体光学系23の光軸は鉛直方向と平行であり、したがって平面状の容器底部111に垂直である。また、物体光学系23への照明光の入射方向は光軸と平行であり、その光中心が光軸と一致するように、物体光学系23の配置が定められている。
ユーザが入力デバイス351を介して焦点深さの設定情報を与えることにより、焦点調整機構41は設定情報に応じて物体光学系23の焦点位置を変更する。具体的には、ユーザは設定入力として、焦点位置調整量、つまり物体光学系23の焦点位置を所定の初期位置からどれだけ移動させるかを入力する。焦点調整機構41は、例えば物体光学系23に含まれる対物レンズを光軸方向に移動させることにより、焦点位置を変更することができる。この場合、対物レンズの移動量を焦点位置調整量とすることができる。1ステップ当たりの焦点位置の変化量が予め定められたステップ単位で焦点位置を調整する構成であってもよい。
スフェロイドSpが光L2に対する透過性を有するものでなければ、容器底部111を介して入射した光L2はスフェロイドSpの表面で反射される。一方、スフェロイドSpが光L2に対してある程度の透過性を有するものである場合、光L2はスフェロイドSp内まで進入してその内部の構造物により反射される。光L2として例えば近赤外線を用いることで、入射光をスフェロイドSp内部まで到達させることが可能である。スフェロイドSpからの反射光は散乱光として種々の方向に放射される。そのうち物体光学系23の集光範囲内に放射された光L4が、物体光学系23で集光されてビームスプリッタ22へ送られる。
参照ミラー24は、駆動制御部40に設けられたミラー駆動機構42により、その反射面を光L3の入射方向に対し垂直姿勢に、しかも、該入射方向に沿った方向(図ではY方向)に移動可能に支持されている。参照ミラー24に入射した光L3は反射面で反射されて、入射光路を逆向きに辿るように進む光L5としてビームスプリッタ22に向かう。この光L5が参照光となる。ミラー駆動機構42により参照ミラー24の位置が変更されることにより、参照光の光路長が変化する。参照ミラー24の位置は撮像の用途に応じて自動的に設定されるほか、入力デバイス351を介したユーザからの設定入力に応じて適宜変更される。
参照光L3,L5の光路上には開閉自在のシャッター27が設けられている。より具体的には、シャッター27は駆動制御部40により制御されており、駆動制御部40からの制御指令によりシャッター27が閉じられた状態では、シャッター27は参照光L3の光路上で参照光L3を遮蔽する。したがって参照ミラー24による反射光L5のビームスプリッタ22への入射がなくなる。一方、シャッター27が開かれた状態では、参照光L3が参照ミラー24で反射され、反射光L5としてビームスプリッタ22に入射する。
スフェロイドSpの表面もしくは内部の反射面で反射された反射光L4と、参照ミラー24で反射された参照光L5とは、ビームスプリッタ22を介して光検出器26に入射する。このとき、反射光L4と参照光L5との間で位相差に起因する干渉が生じるが、干渉光の分光スペクトルは反射面の深さにより異なる。つまり、干渉光の分光スペクトルは被撮像物の深さ方向の情報を有している。したがって、干渉光を波長ごとに分光して光量を検出し、検出された干渉信号をフーリエ変換することにより、被撮像物の深さ方向における反射光強度分布を求めることができる。このような原理に基づくOCT撮像技術は、フーリエドメイン(Fourier Domain)OCT(FD−OCT)と称される。
この実施形態の撮像ユニット20では、ビームスプリッタ22から光検出器26に至る干渉光の光路上に分光器25が設けられている。分光器25としては、例えばプリズムを利用したもの、回折格子を利用したもの等を用いることができる。干渉光は分光器25により波長成分ごとに分光されて光検出器26に受光される。
光検出器26が検出した干渉光に応じて光検出器26から出力される干渉信号をフーリエ変換することで、スフェロイドSpのうち、光ビームL2の入射位置における深さ方向、つまりZ方向の反射光強度分布が求められる。容器11に入射する光ビームL2をX方向に走査することで、XZ平面と平行な平面における反射光強度分布が求められ、その結果から当該平面を断面とするスフェロイドSpの断層画像を作成することができる。以下、本明細書では、X方向へのビーム走査によってXZ平面と平行な断面における1つの断層画像Itを取得する一連の動作を、1回の撮像と称することとする。
また、Y方向におけるビーム入射位置を多段階に変更しながら、その都度断層画像の撮像を行うことで、図2(b)に示すように、スフェロイドSpをXZ平面と平行な断面で断層撮像した多数の断層画像Itを得ることができる。Y方向の走査ピッチを小さくすれば、スフェロイドSpの立体構造を把握するのに十分な分解能の画像データを得ることができる。X方向およびY方向へのビーム走査は、例えば図示しないガルバノミラー等の光路を変化させる光学部品を用いてビーム入射位置をXY方向に変化させる方法、スフェロイドSpを担持する容器11と撮像ユニット20とのいずれかをXY方向に移動させてこれらの相対位置を変化させる方法などにより実現可能である。
なお、上記の原理説明では、撮像ユニット20において光源21からの光を照明光と参照光とに分岐させる分波機能、および信号光と参照光とを合成して干渉光を生じさせる機能がビームスプリッタ22により実現されている。一方、近年では、OCT装置においてこのような分波・合波機能を担うものとして、以下に例示するような光ファイバカプラが用いられる場合がある。
図3はOCT装置の具体的構成例を示す図である。なお、理解を容易にするために、以下の説明では、上記した原理図の構成と同一のまたは相当する構成に同一符号を付すものとする。その構造および機能は、特に説明のない限り上記原理図のものと基本的に同じであり、詳しい説明は省略する。また、光ファイバカプラによる干渉光を検出するOCT撮像原理も基本的に上記と同じであるので、詳しい説明を省略する。
図3(a)に示す構成例では、撮像ユニット20aは、ビームスプリッタ22に代わる分波・合波器として光ファイバカプラ220を備えている。光ファイバカプラ220を構成する光ファイバの1つ221は光源21に接続されており、光源21から出射される低コヒーレンス光は、光ファイバカプラ220により2つの光ファイバ222,223への光に分岐される。光ファイバ222は物体系光路を構成する。より具体的には、光ファイバ222の端部から出射される光はコリメータレンズ223を介して物体光学系23に入射する。被撮像物からの反射光(信号光)は物体光学系23、コリメータレンズ223を介して光ファイバ222に入射する。
他の光ファイバ224は参照系光路を構成する。より具体的には、光ファイバ224の端部から出射される光はコリメータレンズ225を介して参照ミラー24に入射する。参照ミラー24からの反射光(参照光)はコリメータレンズ225を介して光ファイバ224に入射する。光ファイバ222を伝搬する信号光と光ファイバ224を伝搬する参照光とが光ファイバカプラ220において干渉し、干渉光が光ファイバ226および分光器25を介して光検出器26に入射する。光検出器26により受光された干渉光から被撮像物における反射光の強度分布が求められることは上記原理通りである。
図3(b)に示す例でも、撮像ユニット20bに光ファイバカプラ220が設けられる。ただし光ファイバ224は使用されず、光ファイバ222から出射される光の光路に対してコリメータレンズ223およびビームスプリッタ227が設けられる。そして、前述の原理通り、ビームスプリッタ227により分岐される2つの光路にそれぞれ物体光学系23、参照ミラー24が配置される。このような構成ではビームスプリッタ227により信号光と参照光とが合成され、それにより生じた干渉光が光ファイバ222,226を通って光検出器26へ導かれる。
これらの例では、図1では空間中を進行する各光の光路の一部が光ファイバに置き換えられているが動作原理は同じである。これらの例においても、焦点調整機構41が物体光学系23を容器11に対し接近・離間方向に移動させることにより、被撮像物に対する物体光学系23の焦点深さを調整することが可能である。また、ミラー駆動機構42が参照ミラー24を光の入射方向に沿って移動させることにより、参照光の光路長を変更可能である。
以下、この画像処理装置1による撮像動作について説明する。撮像ユニットの構成は、上記したビームスプリッタを用いるもの、光ファイバカプラを用いるもののいずれであっても同じ撮像動作が可能である。
図4は物体光学系の焦点深さと参照基準面との位置関係を模式的に示す図である。また、図5は参照基準面の位置と反射光強度分布との関係を示す図である。OCT撮像装置では、その原理上、信号光の光路長が参照光の光路長と同じになる位置が、画像における深さ方向の基準位置となる。
以下の説明では、図4に示すように、物体光学系23を介して照明光L2および信号光L4が伝搬する物体系光路において、参照系光路における参照ミラー24の反射面と対応する、つまり互いの光路長が等しくなる位置にある仮想的な平面を参照基準面Srと称する。また、容器11の底部111のうち物体光学系23い近い側の表面を下部底面Sa、これとは反対側の表面、つまり被撮像物であるスフェロイドSpに近い側の培地と接触する内底面を上部底面Sbと称する。さらに、物体光学系23の焦点面、つまり物体光学系23の物体側焦点FPを含み物体光学系23の光軸AXに垂直な平面を符号Sfにより表す。また、以下では物体系光路における光路長を「物体光路長」、参照系光路における光路長を「参照光路長」と称する。
また、後の説明のために、下部底面Saと上部底面Sbとの距離、つまり容器底部111の厚さを符号Tにより表す。また、上部底面Sbと焦点面Sfとの距離、つまり容器11の内底面から焦点FPまでの距離を符号Dにより表す。この距離Dは、容器11の内底面(上部底面Sb)を起点としたときの物体光学系23の焦点深さであるということもできる。
物体系光路において参照基準面Srに仮想的な反射面があるとき、当該反射面で反射される光の光路長(物体光路長)は、参照ミラー24の反射面で反射される光の光路長(参照光路長)と等しくなる。被撮像物近傍にある各反射面の深さ方向位置は、参照基準面SrからのZ方向距離により表される。
被撮像物(スフェロイドSp)が焦点面Sfに反射面を有するとき、フーリエ変換後の反射光強度分布においては、当該反射面からの反射光強度に対応する大きさの信号が、参照基準面Srから当該反射面(すなわち焦点面Sf)までの距離に対応する深さの位置に現れる。実際の被撮像物においては、種々の深さにある反射面からの反射光に対応する信号が各位置に現れ、反射光強度分布はそれらの信号が重畳されたものなる。ただし、ここでは理解を容易にするために、焦点面Sfにある反射面からの信号のみを考えることとする。
容器底部111の平坦な表面Sa、Sbも強い反射面であり、反射光強度分布においては、これらに対応する信号が参照基準面Srからの距離に応じた位置にそれぞれ現れる。例えば図5に示すように、反射光強度分布においては焦点面Sfに対応する信号Pf、下部底面Saに対応する信号Pa、上部底面Sbに対応する信号Pbが、それぞれ参照基準面Srからの距離に応じた位置に現れる。
この場合の「距離」は、厳密に言えば光路長の差である。このため、空気の屈折率とは異なる屈折率を有する容器11および培地Mを通る物体系光路上の各面の物理的距離と、反射光強度分布に示される各面の光学的距離とは必ずしも同じではない。空気中の屈折率はほぼ1である。一方、容器11の材料として広く使用されるガラスやアクリル樹脂等の屈折率はこれより大きく1.5程度、一般的な培地Mの主成分である水の屈折率は1.33程度である。
以下では、空気の屈折率を1と近似し、容器11の屈折率を符号Nc、培地Mの屈折率を符号Nsにより表す。また、被撮像物が細胞等である場合、その屈折率は水とほとんど変わらないことが知られている。そこで、以下では被撮像物であるスフェロイドSpの屈折率も培地Mと等しいものとする。
図6は容器を介して集光する場合の光路を模式的に示す図である。上記したように、容器11の屈折率Ncは空気中よりも高く、また培地MおよびスフェロイドSpの屈折率Nsは容器11の屈折率Ncよりも小さい。このため、図6に示すように、光は容器11の下部底面Saと空気との界面および上部底面Sbと培地Mとの界面でそれぞれ屈折し、物体光学系23から見たときの物体光学系23の焦点面Sfの深さは、空気中での焦点距離FDとは異なる深さになる。
このように、容器11表面での屈折により焦点位置が変動し、しかもその変動の態様は容器底部111の材料や厚さによって変わる。このため、ユーザは撮像により得られた断層画像においてどの位置に合焦しているかを正しく知ることができない。また物体光学系23における焦点位置の調整量と被撮像物における焦点位置の変化量とが一致しないため、ユーザは所望の位置に焦点を合わせるために物体光学系23にどのような設定入力を与えればよいのかがわからない。
断層画像がどの位置に合焦して撮像されたかが明らかになると、ユーザが焦点位置や参照光路長の調整を行う上で便宜である。この目的のために、容器11を介した撮像において、屈折の影響も加味して断層画像中の焦点位置を特定することが必要となる。以下、これを可能とする本実施形態の焦点位置特定処理の原理および具体的な処理内容について説明する。
図7は焦点位置特定処理の原理を示す図である。図7に示すように、物体光学系23が容器11の下部底面Sa内の点F1に合焦するケース、容器11の上部底面Sb内の点F2に合焦するケース、および、培地M内の任意の点F3に合焦するケースを仮想的に考える。点F3を含む水平面が培地内に合焦するときの焦点面Sfに相当する。そして、点F1、点F2、点F3にそれぞれ合焦させるための物体光学系23の焦点位置調整量をそれぞれOP1、OP2、OP3とする。
図4に示したように、容器底部111の物理的厚さは符号T、容器11の上部底面Sbと焦点面Sfとの物理的距離は符号Dによりそれぞれ表される。また、容器11の屈折率は符号Nc、培地M(およびスフェロイドSp)の屈折率は符号Nsにより表される。
なお、前記した通り、屈折率の異なる物質を介して進む光においては、光路の物理的な長さと光路長とが必ずしも一致しない。このため、以下では必要に応じて、Z方向における物理的な距離を表す座標軸をZo、光路長に対応する光学的な距離を表す座標軸をZrとして区別することとする。
物体光学系23が容器11の下部底面Saに合焦した状態から焦点位置を変更し、上部底面Sbに合焦させた場合を考えると、このときの焦点位置の移動量は容器底部111の厚さTと等しい。一方、この移動を実現するための物体光学系23の焦点位置調整量は、この間を埋める物質の屈折率Ncを用いて次式:
|OP2−OP1|=T/Nc … (1)
により表される。
同様に、物体光学系23が容器11の上部底面Sbの点F2に合焦した状態から点F3に合焦した状態に変化させた場合を考えると、このときの焦点位置の移動量は容器11の上部底面Sbと焦点面Sfとの距離Dと等しい。一方、この移動を実現するための物体光学系23の焦点位置調整量は、この間を埋める物質の屈折率Nsを用いて次式:
|OP3−OP2|=D/Ns … (2)
により表される。
次に、検出された干渉光から求められる反射光強度分布のプロファイルにおいて各面Sa、Sb、Sfに対応する信号成分が現れる位置を考える。各成分間の間隔は各面間の光路長に相当するから、下部底面Saに対応する信号Paと上部底面Sbに対応する信号Pbとの距離は、両者の物理的距離Tにこの間の屈折率Ncを乗じた値T・Ncとなる。同様に、上部底面Sbに対応する信号Pbと焦点面Sfに対応する信号Pfとの距離は、両者の物理的距離Dにこの間の屈折率Nsを乗じた値D・Nsとなる。
反射光強度分布を表す座標軸Zrにおいて各信号成分が出現する絶対的な位置は基準参照面の位置により変化するが、各信号成分間の距離は変化しない。したがって、反射光強度分布のプロファイル中における焦点位置については、プロファイル中に現れる特定の信号成分に対する相対位置として表すことができれば足りる。例えば容器11の下部底面Saの位置を基準として表すことができる。この位置を原点とするとき、図7から明らかなように、焦点位置Zrfは次式:
Zrf=D・Ns+T・Nc … (3)
により表すことができる。これに式(2)を代入して、次式:
Zrf=|OP3−OP2|・Ns2+T・Nc … (4)
が得られる。式(4)の右辺第1項は、容器11の上部底面Sbから焦点面Sfまでの距離が、容器11の上部底面Sbに合焦した状態からの撮像時の焦点位置調整量と培地Mの屈折率Nsとにより表されることを意味している。また、右辺第2項は容器底部111の光学的厚さを表している。
屈折率Nsは培地Mの種類によって決まり培地Mが特定されればその値は既知である。したがって、任意の容器11について、上部底面Sbに合焦させるための焦点位置調整量OP2、容器底部111の光学的厚さT・Ncが特定されれば、任意の焦点位置調整量OP3で撮像された断層画像における焦点位置Zrfを式(4)により求めることができる。以下、これらの値を特定するための具体的な処理内容の流れについて順に説明する。
図8は物体光学系が容器の下部底面に合焦する条件を特定する処理を示す図である。最初に、物体光学系23が容器11の下部底面Saに合焦するための条件、具体的にはこのための焦点位置調整量OP1が求められる。図8(a)に示すように、物体光学系23と下部底面Saとの距離が焦点距離FDと等しいとき、物体光学系23は下部底面Saに合焦する。このような焦点位置調整量OP1を求める。
図8(a)に点線矢印で示すように、下部底面Saの近傍で物体光学系23の焦点位置調整量を変化させながら、信号光の強度が検出される。例えば、焦点位置が下部底面Saよりも手前にある状態から物体光学系23を下部底面Saに近づけてゆくことで、焦点位置を走査することができる。この状態では空気中での光の伝搬のみを考えればよいから、物体光学系23の焦点距離FDが既知であれば比較的容易に位置調整を行うことが可能である。
信号光の検出は、参照光の光路を遮蔽するシャッター27が閉じられた状態で実行される。したがって、光検出器26に入射する光は信号光と参照光との干渉光ではなく、信号光のみである。分光器25から光検出器26に入射する光のうち特定の波長成分の強度、または各成分の強度の合計、積分値等により信号光の強度を評価することができる。図8(b)に示すように、物体光学系23が下部底面Saに合焦するときに信号光の強度は最大となる。つまり、信号光の強度が最大となる状態を合焦状態とみなすことができ、このときの焦点位置調整量OP1が特定される。この値OP1を、以下では「第1調整量」と称する。
図9は物体光学系が容器の上部底面に合焦する条件を特定する処理を示す図である。図9(a)に示すように、上記のようにして見出された物体光学系23が下部底面Saに合焦した状態における物体光路長と、参照光路長とが一致するように、参照ミラー24の位置が調整される。このときの物体系光路には容器11は含まれないので、焦点調整機構41による焦点位置調整量とミラー駆動機構42によるミラー位置調整量とを適宜に設定することで、それぞれの光路長を一致させることは容易である。これにより、参照基準面Srが下部底面Saに設定される。
この状態で光検出器26による検出を行う。このときシャッター27は開かれており、光検出器26には信号光と参照光との干渉光が入射する。受光された干渉光から反射光強度分布を求めると、図9(c)に示すように、物体系光路において参照基準面Srの位置にある下部底面Saからの信号Paが深さ0の位置に現れ、これに次ぐ位置に上部底面Sbからの信号Pbが現れる。このようなプロファイルから座標軸Zrにおける信号Paと信号Pbとの距離が両者の光学的距離、すなわち容器底部111の光学的厚さに相当する。こうして求められる値が式(4)の右辺第2項の値T・Ncである。
また、信号Pbの強度は物体光学系23が上部底面Sbに合焦した状態のときに最大となる。そこで、物体光学系23の焦点位置調整量を変化させながら干渉光を検出し反射光強度分布の算出を行い、信号Pbの強度が最大となるときの物体光学系23の焦点位置調整量を特定することができる。このときの焦点位置調整量が値OP2である。この値OP2を、以下では「第2調整量」と称する。
このようにしてOP1、OP2およびT・Ncの各値が求められれば、それらの値および式(1)から容器底部111の厚さTと屈折率Ncとをそれぞれ一意に求めることが可能である。ただし、式(4)で示される焦点位置を特定するという目的からは、容器底部111の光学的厚さT・Ncが求められば足り、厚さTと屈折率Ncとを個別に特定する必要は必ずしもない。
撮像時の焦点位置調整量OP3はユーザにより適宜設定される値である。以下では、この値OP3を「第3調整量」と称する。これまでの処理により値OP2、T・NcおよびNsが既に判っているから、任意に設定される焦点位置調整量OP3に対して、式(4)より反射光強度分布における焦点位置Zrfを特定することができる。なお、撮像時においては基準参照面Srの位置、つまり参照光路長を焦点位置とは独立して設定することが可能である。任意の焦点位置調整量(第3調整量)OP3および参照光路長の設定値について成立する一般式は、次のようにして求めることが可能である。
図10は参照光路長と焦点位置との関係を示す図である。基本的な考え方は上記と同じであるが、参照基準面Srの位置、つまり参照光路長Lrが任意に設定され得る。反射光強度分布において参照基準面Srを基準としたときの焦点位置までの距離Zfを求める。物体系光路における容器11の下部底面Saまでの物体光路長をLoとするとき、図10(a)に示す関係から明らかなように、
Lr+Zf=Lo+Zrf=Lo+D・Ns+T・Nc
=Lo+|OP3−OP2|・Ns2+T・Nc … (5)
である。この式(5)の意義は次の通りである。
図10(b)に示すように、反射光強度分布から得られる断層画像Itは、参照基準面Srを画像の一端として所定の撮像範囲内の被撮像物の像を含む。この断層画像Itにおいて、参照基準面Srに対応する画像端から焦点位置までの距離、つまり画像中での焦点深さが式(5)における値Zfにより表される。このように、式(5)により、断層画像It中における物体光学系23の焦点深さZfと撮像時の焦点位置調整量OP3および参照光路長Lrとが関連付けられる。
このため、例えば断層画像中における合焦位置を撮像時の条件から特定することが可能であり、表示される断層画像に焦点位置を表す情報を付加することができる。FD−OCT撮像装置では被撮像物への光走査から断層画像化までの時間遅れを小さくすることができ、実質的にリアルタイムでの表示が可能である。リアルタイム表示される断層画像に合焦位置を示すラインやマーカー等を表示するようにすれば、ユーザは、顕微鏡観察の場合と同様に画像を見ながら焦点位置の調整を行うことが可能である。
また、例えば撮像範囲を変更する目的で参照光路長が変更された場合でも、参照基準面Srに対応する画像端と焦点位置との関係が求められるため、変更後に表示される断層画像においても焦点位置を正しく指摘することが可能である。すなわち、参照光路長の変更により断層画像に含まれる範囲が変化する場合でも、これに追従して焦点位置の表示位置を変化させることができる。
逆に言えば、画像端と表示上の焦点位置との距離を一定に維持した状態で焦点位置を移動させることも可能である。すなわち、物体光学系23の位置調整量OP3が変更されたときに、式(5)に基づき画像内での焦点位置Zfが一定となるように参照光路長Lrを変化させることで、断層画像中における焦点位置を常に一定とすることができる。これにより、例えば常に画像中の特定位置(例えば中央)が焦点位置となるようにしたいという要求に応えることが可能である。
具体的には、焦点位置を断層画像中のどこに設定した画像を撮像するかを例えばユーザ設定により決定することが可能である。すなわち、画像端から焦点位置までの距離をユーザが設定しておけば、焦点位置を移動させたとしても画像内での焦点位置は変わらないようにすることができる。この場合、ユーザが焦点位置を変更する操作を行うと、被撮像物に対する合焦位置は移動するが断層画像内での焦点位置は変わらないので、焦点位置の変更に伴って被撮像物の像が深さ方向にスクロールすることになる。
また、OCT撮像においては参照基準面の近傍において最も画像品質が良好である。焦点位置と参照基準面の位置との関係が明確になり両者の距離が管理されることで、これらの乖離に起因する画像品質の劣化を抑制することができる。特に、分解能を高くするために開口数の大きな物体光学系が使用される場合、被写界深度の範囲から外れることで参照基準面の近傍でも画像が不鮮明となることがあり得る。式(5)により焦点位置と参照基準面の位置とが明示されることにより、このような問題を未然に回避することが可能となる。例えばユーザの操作に応じて焦点位置および参照光路長が変更される撮像装置において、焦点位置と参照基準面との距離の上限を定めておき、これを超えるような設定を禁止するといった運用が可能である。
このように、容器底部111の厚さや屈折率等がわかっていない場合でも、撮像に供される容器11に照明光を入射させて各種の計測を行うことにより、断層画像中における焦点位置を特定するための情報を取得することが可能である。以下、このための処理の具体的内容について説明する。
図11は焦点位置と参照光路長との関係を特定するための処理を示すフローチャートである。後述するように、この処理は、被撮像物を含む培地Mが担持された容器11が撮像装置1にセットされた後に撮像の前処理として実行される。最初に物体光学系23の焦点位置が初期設定される(ステップS101)。初期状態の焦点位置は適宜の位置に自動設定されてもよく、またユーザによる概略の調整操作により設定されてもよい。自動設定の場合には、容器11の下部底面Saよりもさらに下方で合焦するような設定が望ましい。また、シャッター27が参照系光路上で参照光を遮蔽する遮蔽位置に位置決めされる(ステップS102)。
この状態から、焦点調整機構41が物体光学系23を駆動して焦点位置を多段階に変更設定しながら、その都度光検出器26が検出を行う(ステップS103)。このとき参照系光路の光は遮蔽されているため、物体系光路上の反射面からの反射光、つまり信号光のみが光検出器26により検出される。物体系光路において最も強い反射光を生じさせるのは容器11の下部底面Saであり、物体光学系23が下部底面Saに合焦するとき反射光強度が最大となる。そこで、検出される光の強度が最大となるとき下部底面Saに合焦したものとみなし、そのときの焦点位置調整量を第1調整量OP1として記憶する(ステップS104)。
次に、シャッター27を参照系光路から外れて参照光を通過させる通過位置に位置決めする(ステップS105)。そして、物体光学系23の焦点位置調整量を第1調整量OP1に設定するとともに、このときの物体光路長と参照光路長とが同じになるように、参照ミラー24の位置を設定する(ステップS106)。このときの参照光路長が、式(5)における値Loに相当する。下部底面Saまでの物体系光路は容器内部を含まないので、物体光路長と参照光路長とを一致させるための条件は撮像ユニット20各部の機械的寸法から予め求めておくことができる。また、反射光強度分布において下部底面Saの位置と参照基準面の位置とが一致するときの焦点位置調整量と参照ミラー位置との機械的位置関係から求めることもできる。
そして、物体光学系23の焦点位置を上方へ、つまり容器11の下部底面Sa側から上部底面Sb側へ向けて多段階に変化させながら、光検出器26による検出を行う。このときに検出されるのは信号光と参照光とが合成された干渉光であり、信号処理部33は検出された干渉光のスペクトルから深さ方向の反射光強度分布を算出する(ステップS107)。
下部底面Saに最も近い反射面は容器11の上部底面Sbであり、物体光学系23が上部底面Sbに合焦するとき反射光強度分布において上部底面Sbに対応する位置に最も強い信号成分が現れる。したがって、焦点位置を順次変化させて反射光強度分布を求めたとき、上部底面Sbに対応する信号成分の強度は上部底面Sbに合焦した状態で極大となる。このような極大値が検出されれば(ステップS108においてYES)、上部底面Sbに合焦したものとみなし、そのときの焦点位置調整量を第2調整量OP2として記憶する(ステップS110)。また、反射光強度分布において下部底面Saに対応する信号成分Paと上部底面Sbに対応する信号成分Pbとの距離を容器底部111の光学的厚さ(T・Nc)として記憶しておく(ステップS111)。
ただし、容器底部111が厚い場合には極大値が検出されないことがあり得る。というのは、この段階では容器11の下部底面Saに参照基準面Srが設定されており、信号光と参照光との干渉を生じさせることができる範囲よりも遠くに上部底面Sbがある場合には、上部底面Sbに対応する反射光を検出することができないからである。このような場合には(ステップS108においてNO)、参照ミラー24の位置が変更されて再び光検出が行われる(ステップS109)。
図12は容器底部が厚い場合の光学的厚さの求め方を示す図である。図12(a)に示すように、OCT撮像では参照基準面Srから所定の撮像範囲R内の反射面からの反射光が検出される。なおここでは複素共役信号の影響については考えないものとする。容器底部111の厚さTが撮像範囲Rの寸法より大きいとき、参照基準面Srを下部底面Saと一致させた状態では上部底面Sbからの反射光を検出することができない。この場合、図12(b)に示すように、参照ミラー24を距離ΔMだけシフト移動させて参照光路長を変化させることにより、上部底面Sbを撮像範囲Rに含ませて、上部底面Sbからの反射光を検出することが可能となる。
図12(c)に示すように、反射光強度分布のプロファイルにおいては参照光路長のシフト量だけ原点がシフトするので、シフト後のプロファイルにおいて上部底面Sbに対応する信号成分Pbの位置と原点との距離Z2に、シフト量ΔMを加算することで、下部底面Saと上部底面Sbとの光路長差、つまり容器底部111の光学的厚さT・Ncを算出することが可能である。一方、物体光学系23が上部底面Sbに合焦する条件は参照光路長の影響を受けないので、シフト量と関係なく信号成分Pbが極大となる焦点位置調整量を第2調整量OP2とすることができる。
図11に戻って説明を続ける。ここまでの処理により、式(5)に含まれるパラメータOP2、Lo、T・Ncがそれぞれ求められる。他のパラメータLr、Zf、OP3は撮像時に決定され、屈折率Nsは使用される培地Mに固有の値を有する。したがって、撮像前に取得しておくべきパラメータは全て取得された状態となる。
以下は撮像において必須の処理ではないが、値OP1、OP2、T・Ncが特定されていることから、これらの値と式(1)とを用いて容器11の厚さTおよび屈折率Ncをそれぞれ算出することが可能である(ステップS112)。
図13はこの撮像装置における撮像処理を示すフローチャートである。培地M中に被撮像物を含む容器11が保持部10にセットされると(ステップS201)、CPU31が予め記憶された制御プログラムを実行し装置各部に以下に示す動作を行わせることで、撮像処理が実現される。まず、容器11中の培地Mに関する培地情報の設定入力をユーザから受け付ける(ステップS202)。培地情報は使用されている培地Mの屈折率を特定するために必要な情報であり、屈折率の数値そのものであってもよく、また培地の種類を特定するものであってもよい。培地の種類と屈折率とを対応付けたテーブルを準備しておけば、これを参照することで、入力された培地の種類から屈折率を特定することが可能である。
また、細胞や組織の培養を目的として一般的に使用される培地の屈折率は概ね1.33ないし1.37程度であり、培地の種類による差異はさほど大きくない。したがって、培地Mの屈折率については予め定められた規定値が用いられてもよい。
次に、焦点位置と参照光路長との関係を特定するための撮像前処理が実行される(ステップS203)。撮像前処理の具体的な処理の流れについては先に説明した通りである。撮像前処理により、使用される容器11に応じて各パラメータ、すなわち第1調整量OP1、第2調整量OP2および容器11の光学的厚さT・Ncが特定される。
撮像前処理が終了すると、容器11中の被撮像物の撮像が可能な状態となる。まず撮像時の条件に関するユーザからの設定入力が受け付けられる(ステップS204)。設定されるべき撮像条件は主として物体光学系23の焦点位置調整量、つまり第3調整量OP3と参照ミラー24の位置、つまり参照光路長Lrとである。ただしこの時点では仮設定値であってよく、特に参照光路長Lrについては予め定められた初期値が用いられてもよい。例えば画像中での焦点深さZfを画像の高さの半分としておけば、断層画像では焦点位置を中心として上下方向に同程度の広がりを有する範囲が表示されることとなるので、ユーザによる焦点位置の微調整がしやすくなる。これらの設定に応じて焦点調整機構41が物体光学系23を駆動して焦点位置を設定するとともに、ミラー駆動機構42が参照ミラー24の位置を設定する(ステップS205)。
そして、撮像ユニット20がX方向に光走査しながら干渉光のスペクトル情報を取得し(ステップS206)、それに基づき信号処理部33が反射光強度分布を算出し(ステップS207)、被撮像物のうち光が走査された1つのXZ断面における断層画像を作成する。作成された断層画像については、焦点位置を示すマーカーとともに表示部352に表示することで(ステップS208)、ユーザに提示される。
ユーザは、表示される画像を見て撮像範囲および焦点位置を調整することが可能である。すなわち、断層画像には被撮像物のうち撮像範囲内に含まれる部分の像が現れ、しかも焦点位置がマーカーにより明示されている。これを見てユーザが焦点位置や撮像範囲を変更したい場合には、入力デバイス351を介してその旨の設定入力を行うことができる。また、画像内での焦点位置が固定される表示態様がユーザにより選択されると、式(5)に基づき、焦点位置の設定に応じて参照ミラー24の位置が自動的に調整される。ユーザがこれらの撮像条件の変更を希望するときにはステップS104に戻り(ステップS209においてYES)、撮像条件が再設定される。
このような撮像条件の調整を繰り返し変更が不要となれば(ステップS209においてNO)、引き続き最終的な撮像が行われる(ステップS210)。このときの撮像は、1つのXZ断面についての撮像であってもよく、また照明光の入射位置をY方向に異ならせた複数のXZ断面についての撮像であってもよい。撮像により得られた断層画像のデータは画像メモリ36に保存される。複数のXZ断面について撮像が行われた場合、それらの断層画像データから、3D復元部34は必要に応じて被撮像物の立体像を作成する。
以上のように、この実施形態は、照明光に対する光透過性の壁部(底部111)を有する容器11に担持された培地M中の被撮像物をOCT撮像する撮像装置1である。この撮像装置1では、撮像前処理によって容器11に関する各種情報を取得することにより、容器11による屈折の影響を排除して、断層画像における撮像光学系23の合焦位置を特定することが可能である。
そのためユーザは、得られた断層画像がどの位置に合焦して撮像されたものかを知ることができ、画像の的確な評価が可能となる。また、リアルタイム表示される断層画像において合焦位置がマーカーにより示されることにより、被撮像物に対する焦点位置の調整や、断層画像内での焦点位置の設定を容易に行うことが可能となる。また、断層画像内に表示される焦点位置を予め設定しておけば、ユーザによる被撮像物に対する焦点位置の調整に応じて参照光路長を自動的に設定することができる。このように、本実施形態の撮像装置1は、ユーザが撮像原理に関する詳しい知識を有していなくても、その希望に応じた適切な断層画像を提供することができるものである。
以上説明したように、上記実施形態の撮像装置1においては、撮像ユニット20が本発明の「検出手段」として機能しており、焦点調整機構41およびミラー駆動機構42がそれぞれ本発明の「焦点位置調整手段」および「ミラー位置調整手段」として機能している。また、信号処理部33が本発明の「信号処理手段」として機能し、CPU31が本発明の「焦点位置算出手段」として機能している。また、表示部352が本発明の「表示手段」および「表示装置」として機能する一方、入力デバイス351が本発明の「受付手段」として機能している。またシャッター27が本発明の「シャッター部材」に相当している。
また、上記実施形態においては、容器11の下部底面Saが本発明の「第1主面」および「第1反射面」に相当する一方、上部底面Sbが「第2主面」および「第2反射面」に相当している。また、計測により得られる容器11の光学的厚さT・Ncが本発明の「第1距離」に相当し、式(3)または式(4)で表される値Zrfが本発明の「第2距離」に相当している。また、上記実施形態の培地Mが、本発明の「媒質」に相当している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態の説明では、容器11の下部底面Saを位置基準として焦点位置を導出し式(3)および式(4)を得ている。これは、容器11の下部底面Saの位置が容器底部111の厚さや屈折率に影響されずに特定可能であるため、直接的な位置基準として適切であると考えられるからである。しかしながら、上記したように、撮像前処理によって容器11の上部底面Sbの位置についても間接的に特定可能であることから、上部底面Sbを位置基準として焦点位置を特定するようにしてもよい。この場合、式(4)の右辺第1項によって焦点位置を表すことができる。どの位置を基準として焦点位置を表すかは任意であり、基準位置に応じて各式を適宜改変することにより、上記技術思想と実質的に等価な処理を実現することが可能である。
また、上記実施形態では、被撮像物を担持する容器11の底部111を介して撮像ユニット20が下方から撮像を行うが、撮像の方向は上記に限定されず任意である。例えば容器の側壁を介して撮像が行われる場合にも、上記手法を適用可能である。
また、上記実施形態の撮像装置1はFD−OCT撮像原理に基づく撮像装置であるが、FD−OCTに限定されず、光干渉を利用した種々の断層撮像技術に対し本発明の技術思想を適用可能である。
また、上記実施形態では、容器11の上部底面Sbへの物体光学系23の合焦位置を特定するために、光検出器26が出力する干渉信号から求められる反射光強度分布において信号成分が極大になる位置が探索される。これに代えて、下部底面Saへの合焦位置を探索する場合と同様に、参照光をシャッター27により遮蔽して上部底面Sbからの反射光を直接検出するようにしてもよい。ただし、下部底面Saからの反射光が重畳されることにより検出が難しくなると考えられるため、安定した検出という点では上記実施形態がより好ましい。
また例えば、上記実施形態の被撮像物は浅皿型のディッシュと呼ばれる容器11に担持されたスフェロイドSpであるが、被撮像物およびそれを担持する容器の種類はこれに限定されない。例えば、試料を担持可能な複数のウェルが1つのプレートに設けられたウェルプレートで培養された細胞等が被撮像物とされてもよい。
また上記実施形態では、被撮像物であるスフェロイドSpの全体が撮像ユニット20の深さ方向における撮像範囲内に収まるという前提で説明した。一方で、深さ方向に撮像範囲を変えて撮像された部分画像を合成することで広範囲の断層画像を得る方法もある。特に物体光学系23に高倍率、高分解能を求めると物体光学系の被写界深度が浅くなるため、本来的には深さ方向に広く撮像可能なFD−OCT装置であっても、1回の撮像で得られる画像の深さ方向の範囲は限定される。このような場合にも、上記手法でそれぞれ撮像された部分画像を合成することにより、広範囲をカバーし画像品質の良好な断層画像を得ることが可能となる。
また、上記実施形態の制御ユニット30としては、パーソナルコンピュータやワークステーション等の一般的な構成の汎用処理装置を用いることも可能である。すなわち、撮像ユニット20、駆動制御部40およびこれらの動作させるための最小限の制御機能を有する撮像装置と、上記処理内容を記述した制御プログラムを実行することで制御ユニット30として機能するパーソナルコンピュータ等との組み合わせにより、画像処理装置1が構成されてもよい。
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、この発明にかかる撮像方法においては、例えば、物体光学系の光軸方向の焦点位置調整量を変更しながら信号光を検出して、信号光の強度が最大となる第1反射面を探索し、該第1反射面を第1主面とみなしてよい。このような構成によれば、未知の容器についても、屈折率の影響を受けず容易に第1主面を特定することができる。
また例えば、物体光学系の焦点位置調整量が前記第1調整量であるときの第1主面までの物体光路長と参照光路長とが等しくなる位置に参照ミラーを位置決めし、物体光学系の焦点位置調整量を変更しながら干渉光を検出して、第1反射面より被撮像物側で反射光の強度が極大となる第2反射面を探索し、該第2反射面を第2主面とみなしてよい。このような構成によれば、第2主面からの反射光を第1主面からの反射光とは分離して検出することが可能であり、第2主面に合焦する条件を精度よく見つけることができる。
この場合において、第2反射面からの反射光が検出されないとき、例えば参照ミラーの位置を参照光路長が長くなる方向に変更して探索を行う構成であってよい。このような構成によれば、容器の壁部厚さが信号光と参照光とが干渉し得る光路長差よりも大きい場合でも、参照光路長を変更することで確実に第2反射面を見つけることができる。
また例えば、本発明にかかる撮像装置は、参照光の光路に開閉可能なシャッター部材が設けられた構成であってよい。このような構成によれば、シャッター部材が参照光を通過させる開状態で、信号光との干渉光を生成させることが可能である。また、シャッター部材が参照光を遮蔽する閉状態では信号光のみを検出することが可能となり、例えば物体光学系が容器の第1主面に合焦する条件を容易に見出すことが可能になる。
また例えば、本発明にかかる撮像方法は、焦点位置を示す情報が付加された断層画像を表示装置に表示させる構成であってよい。また、本発明にかかる撮像装置は、例えば焦点位置を示す情報が付加された断層画像を表示する表示手段を備える構成であってよい。このような構成によれば、撮像時の合焦位置をユーザに提示することができる。
また例えば、第3調整量に関する設定入力を受け付け、該設定入力に応じて物体光学系の焦点位置調整量を設定する構成であってよい。このような構成によれば、ユーザが撮像時の焦点位置を所望の位置に設定して撮像を行うことができる。
また例えば、第3調整量をユーザから受け付けた設定入力に応じて設定し、参照ミラーの位置を第3調整量の設定値に応じて変更する構成であってよい。このような構成によれば、ユーザが焦点位置を調整することで参照光路長が自動的に設定されるので、ユーザによる調整操作を効果的に支援することができる。
この発明は、OCT撮像技術全般に適用することができる。特に、ディッシュ等の容器中で培養された細胞や細胞集塊を撮像する医学・生化学・創薬の分野において好適に適用することができる。
1 画像処理装置(撮像装置)
11 容器
20 撮像ユニット(検出手段)
27 シャッター(シャッター部材)
31 CPU(焦点位置算出手段)
33 信号処理部(信号処理手段)
40 駆動制御部
41 焦点調整機構(焦点位置調整手段)
42 ミラー駆動機構(ミラー位置調整手段)
111 (容器11の)底部(壁部)
Sa (容器11の)下部底面(第1主面、第1反射面)
Sb (容器11の)上部底面(第2主面、第2反射面)
Sf 焦点面
Sp スフェロイド(被撮像物)
Sr 基準参照面

Claims (11)

  1. 光透過性の壁部を有する容器に担持された媒質内の被撮像物を断層撮像する撮像方法において、
    光源から出射される低コヒーレンス光が分岐された一の分岐光を前記被撮像物に入射させその反射光を前記壁部を介して物体光学系により集光した信号光と、他の一の分岐光から生成され参照ミラーで反射された参照光とが干渉して生じる干渉光を検出し、検出された前記干渉光に応じた干渉信号を出力する工程と、
    前記干渉信号に基づき前記被撮像物の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から断層画像を作成する工程と
    を備え、
    前記信号光の光路長を物体光路長、前記参照光の光路長を参照光路長と称するとき、
    前記物体光学系が前記壁部の主面のうち前記物体光学系側の第1主面に合焦するときの前記物体光学系の焦点位置調整量を第1調整量とし、
    前記物体光学系の焦点位置調整量が前記第1調整量であるときの前記第1主面までの前記物体光路長と前記参照光路長とが等しくなる位置に前記参照ミラーを位置決めしたときに、前記壁部の主面のうち前記被撮像物側の第2主面からの反射光の強度が最大となる前記物体光学系の焦点位置調整量を第2調整量とし、
    前記干渉信号から求められる前記反射光強度分布における、前記物体光学系の光軸方向の前記第1主面と前記第2主面との距離を第1距離として、
    前記物体光学系の焦点位置調整量が前記第1調整量との間で前記第2調整量を挟む第3調整量に設定されて取得された前記干渉信号から求められる前記反射光強度分布において、前記光軸方向の前記第1主面との距離が、前記第3調整量と前記第2調整量との差に前記媒質の屈折率の2乗を乗じた値と、前記第1距離との和で表される第2距離である位置を、前記物体光学系の焦点位置とする撮像方法。
  2. 前記物体光学系の光軸方向の焦点位置調整量を変更しながら前記信号光を検出して、前記信号光の強度が最大となる第1反射面を探索し、前記第1反射面を前記第1主面とみなす請求項1に記載の撮像方法。
  3. 前記物体光学系の焦点位置調整量が前記第1調整量であるときの前記第1主面までの前記物体光路長と前記参照光路長とが等しくなる位置に前記参照ミラーを位置決めし、前記物体光学系の焦点位置調整量を変更しながら前記干渉光を検出して、前記第1反射面より前記被撮像物側で前記反射光の強度が極大となる第2反射面を探索し、前記第2反射面を前記第2主面とみなす請求項1または2に記載の撮像方法。
  4. 前記第2反射面からの前記反射光が検出されないとき、前記参照ミラーの位置を前記参照光路長が長くなる方向に変更して探索を行う請求項3に記載の撮像方法。
  5. 前記焦点位置を示す情報が付加された前記断層画像を表示装置に表示させる請求項1ないし4のいずれかに記載の撮像方法。
  6. 前記第3調整量をユーザから受け付けた設定入力に応じて設定し、前記参照ミラーの位置を前記第3調整量の設定値に応じて変更する請求項1ないし5のいずれかに記載の撮像方法。
  7. 光透過性の壁部を有する容器に担持された媒質内の被撮像物を断層撮像する撮像装置において、
    光源から出射される低コヒーレンス光が分岐された一の分岐光を前記被撮像物に入射させその反射光を前記壁部を介して物体光学系により集光した信号光と、他の一の分岐光から生成され参照ミラーで反射された参照光とが干渉して生じる干渉光を検出し、検出された前記干渉光に応じた干渉信号を出力する検出手段と、
    前記干渉信号に基づき前記被撮像物の反射光強度分布を求め、該反射光強度分布から断層画像を作成する信号処理手段と、
    前記物体光学系の光軸方向における前記物体光学系の焦点位置を変更する焦点位置調整手段と、
    前記参照方向の光路に沿った方向における前記参照ミラーの位置を変更するミラー位置調整手段と、
    前記断層画像における前記物体光学系の焦点位置を算出する焦点位置算出手段と
    を備え、
    前記信号光の光路長を物体光路長、前記参照光の光路長を参照光路長と称するとき、
    前記物体光学系が前記壁部の主面のうち前記物体光学系側の第1主面に合焦するときの前記焦点位置調整手段による焦点位置調整量を第1調整量とし、
    前記ミラー位置変更手段が、前記物体光学系の焦点位置調整量が前記第1調整量であるときの前記第1主面までの前記物体光路長と前記参照光路長とが等しくなる位置に前記参照ミラーを位置決めしたときに、前記壁部の主面のうち前記被撮像物側の第2主面からの反射光の強度が最大となる前記焦点位置調整手段による焦点位置調整量を第2調整量とし、
    前記信号処理手段が前記干渉信号から求めた前記反射光強度分布における、前記物体光学系の光軸方向の前記第1主面と前記第2主面との距離を第1距離として、
    前記焦点位置算出手段は、前記焦点位置調整手段が焦点位置調整量を前記第1調整量との間で前記第2調整量を挟む第3調整量に設定して取得された前記干渉信号から求められる前記反射光強度分布において、前記光軸方向の前記第1主面との距離が、前記第3調整量と前記第2調整量との差に前記媒質の屈折率の2乗を乗じた値と、前記第1距離との和で表される第2距離である位置を、前記物体光学系の焦点位置とする撮像装置。
  8. 前記参照光の光路に、開閉可能なシャッター部材が設けられた請求項7に記載の撮像装置。
  9. 前記焦点位置を示す情報が付加された前記断層画像を表示する表示手段を備える請求項7または8に記載の撮像装置。
  10. 前記第3調整量に関する設定入力を受け付ける受付手段を備え、
    該設定入力に応じて、前記焦点位置調整手段が前記物体光学系の焦点位置調整量を設定する請求項7ないし9のいずれかに記載の撮像装置。
  11. 前記受付手段は、前記参照ミラーの位置を変更するための設定入力を受け付け、該設定入力に応じて、前記ミラー位置調整手段が前記参照ミラーの位置を設定する請求項10に記載の撮像装置。
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