JP6731381B2 - ポリエチレングリコール鎖が導入された化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
<1> 糖を含む化合物を糖受容体とし、糖部位がポリエチレングリコール(PEG)修飾された糖誘導体を糖供与体として、糖転移活性を有する糖加水分解酵素を用いて糖受容体中の糖部位にPEG修飾した糖を転移させることを特徴とする、PEG鎖が導入された化合物の製造方法。
<2> 糖転移活性を有する糖加水分解酵素としてエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼを用いる<1>に記載の製造方法。
<3> 糖供与体として下記一般式(1)で表されるオキサゾリン誘導体を用いる<1>または<2>に記載の製造方法。
<4> 糖供与体として下記一般式(2)で表されるオキサゾリン誘導体を用いる<1>または<2>に記載の製造方法。
<5> 糖受容体として糖誘導体または複合糖質を用いる<1>または<2>に記載の製造方法。
本発明の糖転移活性を有する糖加水分解酵素を用いる分子内にPEG鎖が導入されている化合物の合成法は、従来の一般的に行われているタンパク質のPEG化とは異なり、糖を足掛かりとすることでタンパク質上の決まった位置のみPEG鎖を導入することが可能になる。さらにすでに報告されている糖転移酵素を用いるPEG化では、高価な糖転移解酵素と不安定な糖ヌクレオチドを使用する問題点があったが、本手法では糖転移反応に安価な糖加水分解酵素を使用し、さらに糖供与体に比較的安定なオキサゾリン誘導体を用いることで従来法の問題点を解決することを特徴とする。
本発明に使用する糖加水分解酵素は緩衝溶液中に可溶化していても良いし、不溶性でも良い。また、固体担体に固定化されていても良い。
当該反応の際に溶媒となる緩衝溶液に有機溶媒を混合させる場合は、当該反応において不活性な溶媒の1種または2種以上を用いうる。有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの水溶性有機溶媒を使用する。また用いる溶媒の量に特に制限はない。
当該反応の圧力は、減圧下、大気圧下、または加圧下のいずれであってもよい。
当該反応の反応時間には何ら制限はないが、5分〜72時間が好ましい。
当該反応の反応温度には何ら制限はないが、0℃〜60℃が好ましい。
本発明に用いる糖供与体として、下記一般式(1)で表されるオキサゾリン誘導体を用いることが好ましい。
一般式(1)においてYは存在するか存在せず、存在する場合にはポリエチレングリコール鎖もしくは官能基や有機基で誘導化されたポリエチレングリコール鎖を示す。ポリエチレングリコール鎖の構造としては直鎖構造でも分岐構造であっても特に制限はない。ポリエチレングリコール鎖の重合度についても特に制限はないが、重合度3から10000が好ましく、特に重合度5から2000が好ましい。
一般式(1)においてZは存在するか存在せず、存在する場合には水素または有機基または官能基である。
一般式(1)のY、Zにおいて官能基とは、有機化合物の性質を決定する原子の集合体であり、例えば水酸基、アミノ基、アジド基、アルデヒド基、ケトン基、ボロン酸、アミド基、チオール基が挙げられ、特に水酸基、アミノ基、アジド基、カルボキシル基、アルデヒド基が好ましい。
X−Y、Y−Z間の結合は共有結合であり、X、Y、Zはその表示各位において同一である必要はない。ただし、Yが全く存在しない場合は除く。
本発明に用いる糖供与体として、下記一般式(2)で表されるオキサゾリン誘導体を用いることが特に好ましい。
一般式(2)においてZは水素または有機基または官能基である。
一般式(2)のY、Zにおいて有機基とは、一般式(1)のX、Y、Zにおける有機基と同様である。
一般式(2)のY、Zにおいて官能基とは、一般式(1)のY、Zにおける官能基と同様である。
Y−Z間の結合は共有結合であり、Y、Zはその表示各位において同一である必要はない。
一般式(1)あるいは(2)で示されるオキサゾリン誘導体と反応させる糖受容体の構造、分子サイズに何ら制限はないが、分子内にN−アセチルグルコサミン残基を有していることが好ましい。
糖転移反応の際に使用する一般式(1)あるいは(2)で示されるオキサゾリン誘導体の使用量に特に制限はないが、使用する糖受容体に対してモル比で1.0モルから300モル当量が好ましく、1.0から150モル当量がさらに好ましい。
本発明に用いる糖受容体として、糖誘導体または複合糖質を用いることが好ましい。
化合物1(3.83 g,11.7 mmol)をジクロロメタン(60 mL)−ピリジン(10 mL)混合溶媒に溶解し、トシルクロライド(3.33 g,17.5 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残査に水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=1:3)で精製し、化合物2(4.93 g、88%)を得た。
化合物3(182 mg,197 μmol)をメタノール(8 mL)に溶解し、エチレンジアミン(2 mL)を加え、一晩加熱還流した。反応液を濃縮後、残査にピリジン(2 mL)と無水酢酸(1 mL)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液にメタノール(2 mL)を加え過剰な試薬を分解した後、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、化合物4(160 mg,88%)を得た。
化合物4(159 mg, 173 μmol)をメタノール(10 mL)に溶解し、触媒量の28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液を滴下し、室温で一晩撹拌した。反応液にAmberlite IR−120(H+ fоrm)を加えて中和後、樹脂を濾別した。濾液を減圧濃縮し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、化合物5(132 mg,92%)を得た。
化合物5(132 mg,158 μmol)および化合物2(306 mg,633 μmol)をDMF(0.6 mL)に溶解し、水素化ナトリウム(16.6 mg,380 μmol)を加え、0 ℃で15分、次いで室温で一晩撹拌した。反応液に5%クエン酸水溶液(1 mL)を加え反応を停止させた後、水を加え酢酸エチルで2回抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:酢酸エチル=1:5)で精製し、化合物6(147 mg,64%)を得た。
化合物6(147 mg,101 μmol)を1,4−ジオキサン(10 mL)に溶解し、Pd/C(125 mg)の1,4−ジオキサン懸濁液(2 mL)に加えた後、水(3 mL)を加え、水素雰囲気下、室温にて一晩撹拌した。固形物を濾別し、50%1,4−ジオキサン水溶液で洗浄後、濾液と洗液を合わせて減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.4)で精製し、化合物7(60.9 mg,73%)を得た。
化合物7(60.9 mg,11.2 μmol)に0.760 Mの2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド水溶液(3.02 mL,2.29 mmol)およびトリエチルアミン(804 μL,5.77 mmol)を加え、0 ℃で一晩撹拌した。反応液をゲルろ過クロマトグラフィー(展開溶媒 0.05%トリエチルアミン水溶液)で精製し、化合物8(57.8 mg, 96%)を得た。
N−結合型糖鎖に作用するMucor hiemalis 由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼ(Endo−M)を酵素触媒として用いた。糖供与体は50 mMの化合物8水溶液を50 μL使用した。糖受容体には15 mMの化合物9の10%DMSO水溶液55.5 μLを使用した。この混合溶液に1.0 MのpH7.0リン酸緩衝溶液12.5 μL、水107 μLおよびEndo−M酵素溶液(2 mU/μL)25 μLを加えた。これを1バイアルとして10バイアル並列して30 ℃で30分間反応させた。その後反応液を65 ℃で10分間加熱して反応を停止させた後、すべてのバイアルをまとめてHPLCで精製し、化合物10(3.9 mg,41%)を得た。
N−結合型糖鎖に作用するStreptcoccus pyogenes由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼ(Endo−S)を酵素触媒として用いた。糖供与体は50 mMの化合物8水溶液を1.1 μL使用した。糖受容体には特開2016−82962の実施例9に記載の方法で調製したカイコ絹糸腺産生トラスツズマブアクセプターを使用した。本カイコ絹糸腺産生トラスツズマブアクセプターは、2つのFc部位の両方にN−アセチルグルコサミン残基を有するFully型と、2つのFc部位の片方のみにN−アセチルグルコサミン残基を有するHemi型と、Fc部位にN−アセチルグルコサミン残基が存在しないAglycosylated型の3種類の混合物であり、それらの割合はFully型が73%、Hemi型が23%、Aglycosylated型が4%である(図1)。このカイコ絹糸腺産生トラスツズマブアクセプター(21.2 μg/μL)水溶液を3.8 μLに1.0 MのpH7.0トリス塩酸緩衝液1.0 μL、水10.1 μLおよびEndo−S酵素溶液(1.0 μg/μL)4.0 μLを加え、37 ℃で3時間反応させた。その後反応液を−20 ℃で凍結させて反応を停止させた。
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