JP2018027078A - ポリエチレングリコール鎖が導入された化合物の製造方法 - Google Patents

ポリエチレングリコール鎖が導入された化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 糖加水分解酵素を用いた糖転移反応によって、従来は困難であったPEG化された糖誘導体を効率的に製造する方法を提供すること。【解決手段】 糖転移酵素より安価である糖加水分解酵素を用い、糖供与体として糖ヌクレオチドよりも安定なオキサゾリン誘導体を使用することにより従来の問題点を解決した。本発明のPEG鎖が導入された化合物の製造方法は、糖を含む化合物を糖受容体とし、糖部位がポリエチレングリコール(PEG)修飾された糖誘導体を糖供与体として、糖転移活性を有する糖加水分解酵素を用いて糖受容体中の糖部位にPEG修飾した糖を転移させることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、糖転移活性を有する糖加水分解酵素を用いて、従来は困難であった、分子内にPEG鎖が導入された化合物を効率的に合成する方法に関する。
近年、タンパク質やペプチド性薬物分子に水溶性高分子ポリエチレングリコール(PEG)を結合させるPEG化医薬品の研究が盛んに行われている。このPEGは無毒性かつ非免疫原性の高分子であり、PEG化されたタンパク質治療薬は免疫原性の低下、各種酵素による分解からの保護、半減期の増大などにより、生体内での安定性を高める効果が得られることが知られている。
しかし、その主な方法としてはタンパク質の側鎖アミノ基へのPEG鎖の導入が用いられているが、タンパク質上に複数箇所存在するアミノ基にランダムに導入されるため、PEG鎖の導入位置や数の異なる種々のPEG化タンパク質の混合物が生成物として得られる。このようなPEG鎖の導入位置が非選択的な方法ではタンパク質の高次構造の変化や生理活性の低下や喪失が懸念される。
この問題点を解決する方法の1つとして、糖タンパク質上の糖を足掛かりとして、糖転移酵素を用いた糖転移反応により位置選択的にPEG化する方法が既に報告されている(非特許文献1)。この方法は糖の結合した部分にのみ選択的にPEG鎖を導入することができるため、従来のランダムにPEG鎖を導入する方法よりも高い位置選択性を有する利点を持つ。さらにこの手法によりPEG化の導入された糖タンパク質はこれまで研究が行われているPEG化されたタンパクやペプチド性薬剤と同様に生体内半減期が延長されることが明らかになっている。
しかし、糖転移酵素を用いてPEG化された糖タンパク質を合成する場合は、糖供与体としてPEG化された糖ヌクレオチドが必要不可欠となる。当然そのような糖ヌクレオチドは市販されておらず、また合成する場合にもその安定性などから、大量に調製することは非常に困難であると言わざるを得ない。また反応に用いる糖転移酵素自体も高価である。これらの理由からこの方法は大変優れた手法ではあるが、一方で大量調製を考慮した場合、非現実的である。
S.DeFreesら、Glycobiology 16, 833 (2006)
本発明の目的は、糖加水分解酵素を用いた糖転移反応によってPEG化された糖誘導体を効率的に製造する方法を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、糖転移酵素より安価である糖加水分解酵素を用いることを考えた。一般に糖加水分解酵素は糖転移酵素と比べて格段に安価であり、また近年では糖加水分解酵素にも糖転移活性があるものが多く含まれていることが明らかになっている。そのような糖加水分解酵素の中の1つであるエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼ (ENGase)はエンド型加水分解酵素の1つであり、N−結合型糖タンパク質糖鎖のジアセチルキトビオース部分を切断して糖鎖部位とGlcNAc1残基を有する糖タンパク質を生成する機能を有している。さらにある種のENGaseは糖鎖を水酸基を有する化合物に付加するという糖鎖転移活性を有している。また、このENGaseを用いる糖転移反応の基質としては糖オキサゾリン誘導体が有用であることが既に明らかになっている。一般に糖オキサゾリン誘導体は対応する糖ヌクレオチドと比較して合成も容易であり、さらに格段に安定である。この点からも従来の糖転移酵素を用いる手法よりも大量調製が容易になる。以上の点を改良することで本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりの製造方法である。
<1> 糖を含む化合物を糖受容体とし、糖部位がポリエチレングリコール(PEG)修飾された糖誘導体を糖供与体として、糖転移活性を有する糖加水分解酵素を用いて糖受容体中の糖部位にPEG修飾した糖を転移させることを特徴とする、PEG鎖が導入された化合物の製造方法。
<2> 糖転移活性を有する糖加水分解酵素としてエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼを用いる<1>に記載の製造方法。
<3> 糖供与体として下記一般式(1)で表されるオキサゾリン誘導体を用いる<1>または<2>に記載の製造方法。
Figure 2018027078
(式(1)中、Xは存在するか存在せず、存在する場合には酸素、アミノ基、硫黄、有機基、糖を、Yは存在するか存在せず、存在する場合にはPEG鎖もしくは官能基や有機基で誘導化されたPEG鎖を、Zは存在するか存在せず、存在する場合には水素、有機基または官能基を示す。X−Y、Y−Z間の結合は共有結合であり、X、Y、Zはその表示各位において同一である必要はない。ただし、Yが全く存在しない場合は除く。)
<4> 糖供与体として下記一般式(2)で表されるオキサゾリン誘導体を用いる<1>または<2>に記載の製造方法。
Figure 2018027078
(式(2)中、YはPEG鎖もしくは官能基や有機基で誘導化されたPEG鎖を、Zは水素、有機基または官能基を示す。Y−Z間の結合は共有結合であり、Y、Zはその表示各位において同一である必要はない。)
<5> 糖受容体として糖誘導体または複合糖質を用いる<1>または<2>に記載の製造方法。
本発明の製造方法を用いれば、タンパク質上の決まった位置に糖を足掛かりとして決まった構造のPEG鎖を導入できるこれまでにない手法となる。
カイコ絹糸腺産生トラスツズマブアクセプターの3種類の糖鎖構造を示す模式図。 化合物8が転移されたカイコ絹糸腺産生トラスツズマブアクセプターのSDS−PAGE。 PEG化糖残基が導入されたトラスツズマブアクセプター、未反応体の糖鎖構造を示す模式図、およびHPLCによる解析結果。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の糖転移活性を有する糖加水分解酵素を用いる分子内にPEG鎖が導入されている化合物の合成法は、従来の一般的に行われているタンパク質のPEG化とは異なり、糖を足掛かりとすることでタンパク質上の決まった位置のみPEG鎖を導入することが可能になる。さらにすでに報告されている糖転移酵素を用いるPEG化では、高価な糖転移解酵素と不安定な糖ヌクレオチドを使用する問題点があったが、本手法では糖転移反応に安価な糖加水分解酵素を使用し、さらに糖供与体に比較的安定なオキサゾリン誘導体を用いることで従来法の問題点を解決することを特徴とする。
本発明に用いる糖転移活性を有する糖加水分解酵素としては特に制限はないが、GH18、GH20、GH56、GH84、GH85ファミリーが好ましく、特にGH18、GH85ファミリーが好ましい。
本発明に使用する糖加水分解酵素は緩衝溶液中に可溶化していても良いし、不溶性でも良い。また、固体担体に固定化されていても良い。
本発明に使用する緩衝溶液の種類には特に制限はないが、リン酸緩衝溶液、クエン酸緩衝溶液、トリス−塩酸緩衝溶液などが好ましい。
当該反応の際に溶媒となる緩衝溶液に有機溶媒を混合させる場合は、当該反応において不活性な溶媒の1種または2種以上を用いうる。有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの水溶性有機溶媒を使用する。また用いる溶媒の量に特に制限はない。
当該反応のpHには何ら制限はないが、pH3から10が好ましく、特に4から8が好ましい。
当該反応の圧力は、減圧下、大気圧下、または加圧下のいずれであってもよい。
当該反応の反応時間には何ら制限はないが、5分〜72時間が好ましい。
当該反応の反応温度には何ら制限はないが、0℃〜60℃が好ましい。
本発明に用いる糖供与体として、下記一般式(1)で表されるオキサゾリン誘導体を用いることが好ましい。
Figure 2018027078
一般式(1)においてXは存在するか存在せず、存在する場合には酸素、アミノ基、硫黄、有機基、糖を示す。糖の構造に特に制限はないが、ヘキソース、ヘキソサミンが好ましい。
一般式(1)においてYは存在するか存在せず、存在する場合にはポリエチレングリコール鎖もしくは官能基や有機基で誘導化されたポリエチレングリコール鎖を示す。ポリエチレングリコール鎖の構造としては直鎖構造でも分岐構造であっても特に制限はない。ポリエチレングリコール鎖の重合度についても特に制限はないが、重合度3から10000が好ましく、特に重合度5から2000が好ましい。
一般式(1)においてZは存在するか存在せず、存在する場合には水素または有機基または官能基である。
一般式(1)のX、Y、Zにおいて有機基とは、炭素原子を必須とする原子の集合体であり、例えばアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられ、特にアルキル基、アルキニル基が好ましい。アルキル基、アルケニル基の構造に特に制限はなく飽和または不飽和の鎖式炭化水素基または脂環式炭化水素基となってもよい。アルキル基、アルケニル基の炭素数に特に制限はないが1〜30が好ましく特に1〜20が好ましい。
一般式(1)のY、Zにおいて官能基とは、有機化合物の性質を決定する原子の集合体であり、例えば水酸基、アミノ基、アジド基、アルデヒド基、ケトン基、ボロン酸、アミド基、チオール基が挙げられ、特に水酸基、アミノ基、アジド基、カルボキシル基、アルデヒド基が好ましい。
X−Y、Y−Z間の結合は共有結合であり、X、Y、Zはその表示各位において同一である必要はない。ただし、Yが全く存在しない場合は除く。
本発明に用いる糖供与体として、下記一般式(2)で表されるオキサゾリン誘導体を用いることが特に好ましい。
Figure 2018027078
一般式(2)においてYはポリエチレングリコール鎖もしくは官能基や有機基で誘導化されたポリエチレングリコール鎖を示す。ポリエチレングリコール鎖の構造としては直鎖構造でも分岐構造であっても特に制限はない。ポリエチレングリコール鎖の重合度についても特に制限はないが、重合度3から10000が好ましく、特に重合度5から2000が好ましい。
一般式(2)においてZは水素または有機基または官能基である。
一般式(2)のY、Zにおいて有機基とは、一般式(1)のX、Y、Zにおける有機基と同様である。
一般式(2)のY、Zにおいて官能基とは、一般式(1)のY、Zにおける官能基と同様である。
Y−Z間の結合は共有結合であり、Y、Zはその表示各位において同一である必要はない。
一般式(1)あるいは(2)で示されるオキサゾリン誘導体に、糖加水分解酵素による糖転移反応を行うことで目的のPEG化された糖誘導体は合成される。
一般式(1)あるいは(2)で示されるオキサゾリン誘導体と反応させる糖受容体の構造、分子サイズに何ら制限はないが、分子内にN−アセチルグルコサミン残基を有していることが好ましい。
糖転移反応の際に使用する一般式(1)あるいは(2)で示されるオキサゾリン誘導体の使用量に特に制限はないが、使用する糖受容体に対してモル比で1.0モルから300モル当量が好ましく、1.0から150モル当量がさらに好ましい。
本発明に用いる糖受容体として、糖誘導体または複合糖質を用いることが好ましい。
以下に、本発明を実施例を用いて更に詳細に説明するが、この実施例は本発明の具体例を示すもので、本発明を何ら限定するものではない。
(1)化合物2の調製
化合物1(3.83 g,11.7 mmol)をジクロロメタン(60 mL)−ピリジン(10 mL)混合溶媒に溶解し、トシルクロライド(3.33 g,17.5 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、残査に水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=1:3)で精製し、化合物2(4.93 g、88%)を得た。
Figure 2018027078
化合物2 H NMR(600MHz, CDCl):δ=2.44(s, 3H), 3.57(s, 4H), 3.59−3.70(m, 14H), 4.15(t, J=4.8 Hz,2H), 4.56(s, 2H), 7.25−7.29(m, 1H), 7.30−7.36(m, 6H), 7.33(d, J=6.9 Hz, 2H).
(2)化合物4の調製
化合物3(182 mg,197 μmol)をメタノール(8 mL)に溶解し、エチレンジアミン(2 mL)を加え、一晩加熱還流した。反応液を濃縮後、残査にピリジン(2 mL)と無水酢酸(1 mL)を加え、室温で一晩撹拌した。反応液にメタノール(2 mL)を加え過剰な試薬を分解した後、酢酸エチルで2回抽出した。有機相を1N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、化合物4(160 mg,88%)を得た。
Figure 2018027078
化合物4 H NMR(600MHz, CDCl):δ=1.69(s, 3H), 1.91(s, 3H), 1.92(s, 3H), 3.36(ddd, J=2.8 Hz,4.8 Hz,9.6 Hz, 1H), 3.64−3.75(m, 3H), 3.81(dd, J=3.4 Hz, 10.3 Hz, 1H), 3.84(t, J=9.6 Hz, 1H), 3.93(d, J=3.4 Hz, 1H), 3.98(t, J=6.9 Hz, 1H), 4.04(t, J=6.9 Hz, 1H), 4.18(dd, J=4.8 Hz, 11.7 Hz, 1H), 4.21(dd, J=2.1 Hz, 11.7 Hz, 1H), 4.47−4.68(m, 8H), 4.76(dd, J=3.4 Hz, 8.9 Hz, 1H), 4.78(d, J=11.7 Hz, 1H), 4.85(d, J=13.1 Hz, 1H), 4.87(d, J=12.1 Hz, 1H), 4.88(d, J=6.2 Hz, 1H), 5.76(d, J=8.2 Hz, 1H), 7.17−7.39(m, 25H).
(3)化合物5の調製
化合物4(159 mg, 173 μmol)をメタノール(10 mL)に溶解し、触媒量の28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液を滴下し、室温で一晩撹拌した。反応液にAmberlite IR−120(H fоrm)を加えて中和後、樹脂を濾別した。濾液を減圧濃縮し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、化合物5(132 mg,92%)を得た。
Figure 2018027078
化合物5 H NMR(600MHz,CDCl):δ=1.76(s, 3H), 2.06(brs, 1H), 2.30(d, J=8.9 Hz, 1H), 3.08−3.14(m, 1H), 3.41−3.53(m, 4H), 3.60−3.66(m, 2H), 3.69(dd, J=2.1 Hz, 11.7 Hz, 1H), 3.72(dd, J=4.1 Hz, 11.0 Hz, 1H), 3.77(dd,J=2.7 Hz, 10.3 Hz, 1H), 3.90(t, J=8.2 Hz, 1H), 4.49(d,J=12.3 Hz, 1H), 4.54−4.62(m, 5H), 4.64(d, J=12.3 Hz, 1H), 4.82(d, J=11.0 Hz, 1H), 4.89(d, J=11.7 Hz, 1H), 4.94(d, J=11.7 Hz, 1H), 4.94(d, J=11.6 Hz, 1H), 4.98(d, J=6.8 Hz, 1H), 5.62(d, J=7.6 Hz, 1H), 7.19−7.42(m, 25H).
(4)化合物6の調製
化合物5(132 mg,158 μmol)および化合物2(306 mg,633 μmol)をDMF(0.6 mL)に溶解し、水素化ナトリウム(16.6 mg,380 μmol)を加え、0 ℃で15分、次いで室温で一晩撹拌した。反応液に5%クエン酸水溶液(1 mL)を加え反応を停止させた後、水を加え酢酸エチルで2回抽出した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順で洗浄後、硫酸マグネシウムを加え乾燥させた。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:酢酸エチル=1:5)で精製し、化合物6(147 mg,64%)を得た。
Figure 2018027078
化合物6 H NMR(600MHz,CDCl):δ=1.65(s, 3H), 3.22−3.30(m, 2H), 3.38−3.76(m, 45H), 3.77−3.82(m, 2H), 3.84(q, J=6.2 Hz, 1H), 3.91(t, J=6.2 Hz, 1H), 4.06(t, J=6.2 Hz, 1H), 4.45(d, J=11.7 Hz, 1H), 4.48(s, 1H), 4.51−4.61(m, 7H), 4.64(d, J=11.7 Hz, 1H), 4.73−4.94(m, 6H), 6.11(d, J=8.9 Hz, 1H), 7.19−7.36(m, 33H), 7.40(d, J=7.6 Hz, 2H).
(5)化合物7の調製
化合物6(147 mg,101 μmol)を1,4−ジオキサン(10 mL)に溶解し、Pd/C(125 mg)の1,4−ジオキサン懸濁液(2 mL)に加えた後、水(3 mL)を加え、水素雰囲気下、室温にて一晩撹拌した。固形物を濾別し、50%1,4−ジオキサン水溶液で洗浄後、濾液と洗液を合わせて減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 クロロホルム:メタノール:水=7:3:0.4)で精製し、化合物7(60.9 mg,73%)を得た。
Figure 2018027078
化合物7 13C NMR(150MHz,DO):δ=22.02, 22.33, 53.84, 56.22, 60.24, 60.37, 60.49, 60.61, 65.85, 65.88, 67.18, 67.21, 68.30, 69.24, 69.57, 69.69, 69.71, 69.76, 69.84, 69.99, 70.03, 70.08, 70.16, 71.70, 71.84, 71.98, 72.48, 74.67, 74.76, 79.60, 79.83, 81.31, 90.92, 95.02, 100.28, 100.32.
(6)化合物8の調製
化合物7(60.9 mg,11.2 μmol)に0.760 Mの2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド水溶液(3.02 mL,2.29 mmol)およびトリエチルアミン(804 μL,5.77 mmol)を加え、0 ℃で一晩撹拌した。反応液をゲルろ過クロマトグラフィー(展開溶媒 0.05%トリエチルアミン水溶液)で精製し、化合物8(57.8 mg, 96%)を得た。
Figure 2018027078
化合物8 H NMR(600MHz,DO):δ=1.95(s, 3H), 3.28−3.31(m, 1H), 3.33(dd, J=3.4 Hz, 9.6 Hz, 1H), 3.37−3.44(m, 1H), 3.47−3.69(m, 44H), 3.71−3.81(m, 2H), 4.04−4.10(m, 2H), 4.24(t, J=2.1 Hz, 1H), 4.58(brs, 1H), 5.97(d, J=6.9 Hz, 1H).
(7)化合物10の調製
N−結合型糖鎖に作用するMucor hiemalis 由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼ(Endo−M)を酵素触媒として用いた。糖供与体は50 mMの化合物8水溶液を50 μL使用した。糖受容体には15 mMの化合物9の10%DMSO水溶液55.5 μLを使用した。この混合溶液に1.0 MのpH7.0リン酸緩衝溶液12.5 μL、水107 μLおよびEndo−M酵素溶液(2 mU/μL)25 μLを加えた。これを1バイアルとして10バイアル並列して30 ℃で30分間反応させた。その後反応液を65 ℃で10分間加熱して反応を停止させた後、すべてのバイアルをまとめてHPLCで精製し、化合物10(3.9 mg,41%)を得た。
HPLC条件は以下の通りである。カラム:Inertsil ODS−3(10 mmID ×250 mm、ジーエルサイエンス株式会社),流量:4.7 ml/min,溶出液:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液−0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液(95:5→30:70、30分、リニアグラジエント),検出波長301nm
Figure 2018027078
化合物10 MALDI−TOF MS. : Calcd fоr C488128Na m/z [M+Na]:1171.2, Found:1170.6.
カイコ絹糸腺産生トラスツズマブのPEG化
N−結合型糖鎖に作用するStreptcoccus pyogenes由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼ(Endo−S)を酵素触媒として用いた。糖供与体は50 mMの化合物8水溶液を1.1 μL使用した。糖受容体には特開2016−82962の実施例9に記載の方法で調製したカイコ絹糸腺産生トラスツズマブアクセプターを使用した。本カイコ絹糸腺産生トラスツズマブアクセプターは、2つのFc部位の両方にN−アセチルグルコサミン残基を有するFully型と、2つのFc部位の片方のみにN−アセチルグルコサミン残基を有するHemi型と、Fc部位にN−アセチルグルコサミン残基が存在しないAglycosylated型の3種類の混合物であり、それらの割合はFully型が73%、Hemi型が23%、Aglycosylated型が4%である(図1)。このカイコ絹糸腺産生トラスツズマブアクセプター(21.2 μg/μL)水溶液を3.8 μLに1.0 MのpH7.0トリス塩酸緩衝液1.0 μL、水10.1 μLおよびEndo−S酵素溶液(1.0 μg/μL)4.0 μLを加え、37 ℃で3時間反応させた。その後反応液を−20 ℃で凍結させて反応を停止させた。
反応液の一部(0.18 μL)を10%SDS−PAGEにかけたところ、化合物8がカイコ絹糸腺産生トラスツズマブアクセプターに転移されたために高分子側にシフトしたことが確認された(図2)。
さらに反応液の一部(2.5 μg)をトリプシン処理の後、Zorbax Extend−C18 1.0X150mmカラムを繋げたThermoScientific製LC−ESI MS装置(LTQ−VelosPro)を用いてMS測定を行ったところ、Glu−Glu−Gln−Tyr−Asn−Ser−Thr−Tyr−ArgのAsn側鎖にPEG化マンノシルキトビオースが結合した化合物m/z=2196.98が検出され、トラスツズマブアクセプターにPEG化糖残基が導入されたことが確認された。
さらに、反応液の一部(3.8 μL)を用いてHPLCによる解析を行った。分析条件は以下の通りである。カラム:ProPac WCX−10(4 mmID×250 mm、ThermoFisher Scientific Inc.,CA.,USA),流量:1.0 ml/min,溶出液A[10 mM酢酸ナトリウム水溶液(pH4.3)]―溶出液B[10 mM酢酸ナトリウム水溶液(pH4.3)+1.0 M NaCl水溶液],A:B=100:0(0−5分),100:0→0:100%(5−105分、リニアグラジエント),0:100(105−120分、洗浄),100:0(120−140分、平衡化),検出波長280nm、分析温度25℃。その結果、抗体の2つの重鎖部位の両方にPEG鎖が導入されたFully PEGylated型トラスツズマブの収率が55%であることが確認された(図3)。
本発明によって糖を足掛かりとして、分子内の決まった位置に決まった長さのPEG鎖を導入した化合物を容易に製造できる。この手法を応用すればタンパク質製剤の合成にも応用することが可能であり、従って本発明化合物の工業的価値や波及効果は極めて大である。

Claims (5)

  1. 糖を含む化合物を糖受容体とし、糖部位がポリエチレングリコール(PEG)修飾された糖誘導体を糖供与体として、糖転移活性を有する糖加水分解酵素を用いて糖受容体中の糖部位にPEG修飾した糖を転移させることを特徴とする、PEG鎖が導入された化合物の製造方法。
  2. 糖転移活性を有する糖加水分解酵素としてエンド−β−N−アセチルグルコサミニダ−ゼを用いる請求項1に記載の製造方法。
  3. 糖供与体として下記一般式(1)で表されるオキサゾリン誘導体を用いる請求項1または2に記載の製造方法。
    Figure 2018027078
    (式(1)中、Xは存在するか存在せず、存在する場合には酸素、アミノ基、硫黄、有機基、糖を、Yは存在するか存在せず、存在する場合にはPEG鎖もしくは官能基や有機基で誘導化されたPEG鎖を、Zは存在するか存在せず、存在する場合には水素、有機基または官能基を示す。X−Y、Y−Z間の結合は共有結合であり、X、Y、Zはその表示各位において同一である必要はない。ただし、Yが全く存在しない場合は除く。)
  4. 糖供与体として下記一般式(2)で表されるオキサゾリン誘導体を用いる請求項1または2に記載の製造方法。
    Figure 2018027078
    (式(2)中、YはPEG鎖もしくは官能基や有機基で誘導化されたPEG鎖を、Zは水素、有機基または官能基を示す。Y−Z間の結合は共有結合であり、Y、Zはその表示各位において同一である必要はない。)
  5. 糖受容体として糖誘導体または複合糖質を用いる請求項1または2に記載の製造方法。
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