JP2005187440A - 糖鎖構築用新規リンカー - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は固相コンビナトリアル合成を用いる糖鎖ライブラリーの構築において,固相上で脱ベンジルを行ない,その後糖鎖を回収するためのリンカーを提供することにある。
【解決手段】 上記課題解決の手段として,モノアセチルアルカンジオールを出発原料として一端がテトラヒドロピラニル基,他端のカルボキシル基はN−ヒドロキシスクシイミドで活性エステル体とした新規なリンカーを合成した。
【選択図】 なし

Description

本発明は新規リンカーに関するものであり,有機合成およびその他の分野において要求されている固相合成に供するものである。
糖鎖はタンパク質や核酸についで第3の生命鎖と呼ばれ,近年糖鎖工学は急激な発展を遂げている。糖鎖が細胞社会における発生,分化,老化,免疫,癌化などの多面的な生命現象に深く関与している事が明らかになりつつあり,この糖鎖の機能解明,機能と構造の関係の解明を始めとする様々の研究が活発に行なわれている。糖鎖の機能と構造の関係を解明するための一つのアプローチとして構造の明確な糖鎖を合成し,その機能を評価することが行なわれている。系統だてた機能解明のためには一群の構造の明確な糖鎖が必要である。近年,一群の化合物を同時に合成するコンビナトリアル合成法が開発され,糖鎖合成にも応用されつつある。糖鎖の合成は保護,グリコシル化,脱保護をグリコシド結合の数だけ繰り返し行なわれなければならず,コンビナトリアル合成の最も一般的な固相合成法では樹脂への担持,切り出し操作が加わる。糖鎖合成における最も広く利用されている保護基としてベンジル基があり,糖鎖のコンビナトリアル合成においてもこのベンジル基が多用されている。しかしながら,脱ベンジルの最も一般的なパラジウム触媒による水素添加反応では,脱ベンジル化と共に糖鎖が切り出されてしまい,パラジウム触媒による水素添加反応は使用出来ないことが知られている。樹脂に担持させたまま脱ベンジルする手法が求められており,盛んに研究されている。
こうした中,保護糖鎖をリンカーを介して固相と結び,脱保護を行った後,樹脂より切り離し,脱保護糖を得るという試みがなされている。最近蟹江らは,ベンジル基で保護した単糖担持固相体を,触媒としてパラジウム微粒子を用いて接触水素化を行ない,その後,切り出してリンカー付きの脱保護糖を得ている[Kanie,O.;Grotenbreg,G.;Wong,H.Angew.Chem.Int.Ed.,39,4545(2000)]。しかしながら,反応時間が60時間と長く,満足出来るものではない。また,Iadonisiらは,固相担体としてCPG(controlled pore grass)樹脂を用い,NaBrO/Naを用いた水−酢酸エチル2相系の反応により,グルコースに導入されたベンジル基を固相上で脱ベンジルさせている[Adinolfi,M.;Barone,G.;Iadonisi,A.;chiattarella,M.Tetrahedron Letters,42,5971,(2001)]。しかしながら,処理量は極端に少なく,また,ポリスチレンタイプの樹脂を用いた場合,ベンジル位のブロモ化が副反応として起こってしまうという課題が残っている。これらの研究は固相反応による糖鎖ライブラリー構築の進展を示唆する事例であるが,必ずしも満足出来るものではない。保護糖鎖と固相担体をそれぞれ導入出来る反応点を二つ持ち,脱保護の際の還元条件に耐えられ,脱保護糖を壊す事なく,温和な条件で切り出しが出来るようなリンカーの出現が望まれている。そこで,発明者らは鋭意研究を重ね,本発明を完成するに至った。
すなわち,本発明は下記構造式
Figure 2005187440
(式中R,Rはそれぞれ独立に直鎖または分枝アルキレン基,ポリオキシアルキレン基から選択され,Xはヒドロキシスクシンイミド基や他の活性エステル,m,nはそれぞれ独立に0または1から選択される。)で示される新規リンカーで,糖鎖の固相合成に供するものである。
本発明の代表例として下記構造式(1)
Figure 2005187440
で示される化合物を取り上げ,本発明の有用性を明らかにする。
構造式(1)で示される化合物は文献未載の新規化合物であり,下記反応式に従って合成される。これは例示であり,本発明を制限するものではない。本発明に係る化合物(1)は下記反応式に従って3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボキシアルデヒドから5工程で得ることが出来る。
Figure 2005187440
上記反応式において,第I工程で使用し得る還元剤として水素化アルミニウムリチウム,水素化アルミニウムナトリウム,水素化トリエトキシアルミニウムナトリウム,水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム等が挙げられ,好ましくは水素化アルミニウムリチウムである。使用しうる溶媒の例として,第I工程はテトラヒドロフラン,エーテル,ジオキサン等,あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。第II工程はDMF,テトラヒドロフラン,エーテル,トルエン,ベンゼン,ジオキサン等が挙げられ,第III工程はトルエン,キシレン,ベンゼン,ヘキサン,ヘプタン等と水との混合溶媒が挙げられ,好ましくはトルエン−水系である。第IV工程は塩化メチレン,クロロホルム,トルエン,ベンゼン等,あるいはこれらの混合溶媒が挙げられる。第V工程はトルエン,テトラヒドロフラン,酢酸エチル,エーテル等が挙げられる。反応温度は各工程それぞれ通常−100〜100℃の範囲内で行なうことが出来るが,好ましくは第I工程が0℃付近,第II工程が−20℃付近,第III工程が100℃付近,第IV工程,第V工程は0℃〜室温である。反応に要する時間は使用する溶媒,塩基,反応温度により異なる。第I工程,第II工程,第IV工程は1〜5時間の範囲内で適宜選択される。第III工程,第V工程は通常6〜48時間の範囲内であるが,好ましくは第III工程は20〜26時間,第V工程は9〜13時間の範囲内で適宜選択される。反応混合物からの目的物の単離,精製は,常法に従って容易に行なうことが出来る。例えば,ろ過,あるいはエーテル,ベンゼン,トルエン,塩化メチレン,酢酸エチルのごとき有機溶媒による抽出,またはシリカゲル,活性アルミナあるいはスチレン,アクリル酸エステルの多孔質重合体等を用いた各種クロマトグラフィーを行なうことにより,単離,精製することが出来る。
本発明化合物(1)は容易に保護糖担持固相体を生成し,容易に脱保護し,その後切り出しが可能である。下記反応式に内容を示し,本発明の有用性を明らかにする。
Figure 2005187440
本発明化合物(1)のビニルエーテル部位は,ベンジル基を有した保護グルコース(2)の6位水酸基を容易に補足し,固定化前駆体(3)を生成する。固相担体として,ポリスチレン−ジビニルベンゼンにより高度に架橋され,反応点が表出しているArgo−Pore樹脂を用いると,固定化前駆体(3)は固相担体に容易に担持して保護単糖担持固相体(4)を生成する。(4)の脱ベンジルはBirch還元によりスムーズに進行し,脱保護糖を担持した固相単体(5)が得られる。固相担体(5)は,10%TFA−塩化メチレンを用いて切り出した後,一部生成したトリフルオロアセチル体を塩基のポリスチレン樹脂NMMに作用させ,完全に脱保護したグルコース(6)を収率良く得る事が出来る。
次に二糖を用いた固相合成を下記反応式に例示する。
Figure 2005187440
本発明化合物(1)のビニルエーテル部位は,保護基としてベンジル基,p−トルオイル基およびフタロイル基を有した二糖(7)の1級水酸基を容易に補足して,固定化前駆体を生成する。続いて固定化前駆体はArgo−pofe樹脂と反応して二糖担持固相体(8)を生成する。(8)にヒドラジンを反応させて脱フタロイル化,脱p−トルオイル化を行うと固相体(9)が生成する。(9)に無水酢酸−ピリジンを反応させ,アセチル化体(10)が生成する。(10)の脱ベンジルはBirch還元で進行し,脱保護化された固相体(11)が生成する。最後に(11)の切り出しを行い,脱保護糖(12)が得られる。三糖についても同様の手法で応用出来る。このように本発明化合物(1)を使用して合成した糖担持固相体は,固相合成における諸反応に耐えられる事が明らかになった。以下に参考例として本発明化合物(1)を使った固相合成を示すが,これは例示の目的であり,この参考例に限定されるものではない。
参考例1
メチル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−[5−(N−スクシンアミド酸−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)−ペンチルオキシメチル]テトラヒドロピラニル]−α−D−グルコピラノシド(3)の合成
メチル2,3,4−トリ−O−ベンジル−α−グルコピラノシド(2)0.54g(1.16mmol)と塩化メチレン5.8mlの溶液に触媒量の(+)−10−カンファースルホン酸を加え,0℃でリンカー(1)0.940g(2.37mmol)の塩化メチレン溶液を滴下後室温で12時間攪拌し,後内容物を飽和重曹水中に注ぎ酢酸エチルで2回抽出した。溶媒層を重曹水,飽和食塩水で洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去,残留物を得た。残留物を塩化メチレン−メタノール(98.5:15)系でシリカゲルクロマトグラフにかけ,メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−[5−(N−スクシンアミド酸−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ペンチルオキシメチル]テトラヒドロピラニル]−α−D−グルコピラノシド(3)0.9g(1.05mmol)を得た。収率90%。
H NMR(400MHz,CDCl)δ7.37−7.25(m,15H),5.75(brs,1H),5.00−4.55(m,7H),4.02−3.27(m,15H)3.21(m,2H),2.96(t,2H,J=7.25Hz),2.79(s,4H),2.54(m,2H),1.90−1.33(m,12H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ169.7,169.0,168.2,138.8,138.5,138.4,138.2,128.5,128.4,128.1x2,128.0x2,127.9,127.8,127.7,127.6x2,98.0,97.9,97.7,82.2x2,80.1,78.0,77.9,77.6,75.8,75.0,74.9,74.1x2,73.3x2,71.3x2,70.2,69.9,68.1,67.8,65.7,65.5,55.1,55.0,39.7,30.9,29.5x2,29.3,29.2,27.4,27.0,25.6,23.5,17.8,17.7;IR(neat)3334,2938,1815,1786,1740,1668,1542,1455,1361,1205,1070,735,699
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−[5−(N−スクシンアミド酸−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ペンチルオキシメチル]テトラヒドロピラニル]−α−D−グルコピラノシド(3)の固相担持
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−[5−(N−スクシンアミド酸−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ペンチルオキシメチル]テトラヒドロピラニル]−α−D−グルコピラノシド(3)49.7mg(0.058mmol)とDMF3.2mlの溶液に樹脂としてArgo−Pore607mg(0.17mmol)を加え,触媒量のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え室温で16時間振とうした。反応混合物をろ過し,それぞれ3mlのDMFで2回,3mlの塩化メチレンで2回,3mlのメタノールで2回,3mlの塩化メチレンで2回洗浄し,固相担体を真空乾燥して単糖担持固相体(4)を得た。固相担持体の一部47.8mgをTFA0.2mlと塩化メチレン2mlの溶液で室温下2時間処理後,ろ過し,3mlのメタノールで2回処理し濃縮した。残留物はアセトニトリルで3回共沸留去し,塩基のポリスチレン樹脂(N−メチルモルホリン)を作用させ,グルコース(2)2.0mgを得た。付加量0.09mmol/g,収率80%。
固相担持体(4)のBirch還元と切り出しによるα−D−グルコピラノシド(6)の合成
単糖担持固相体(4)を3mlの乾燥THFと共に室温で30分間攪拌後,−78℃に冷却し液体アンモニアとリチウム顆粒50mgを加え,同温度で15時間攪拌した。後−30℃で1.5時間かけて液体アンモニアを留去後,反応混合物を少量のメタノールを加えた後ろ過し,固相体をそれぞれ3mlのDMFで2回,3mlの塩化メチレンで2回,3mlのメタノールで2回,3mlの塩化メチレンで2回洗浄し,真空乾燥して脱保護された固相体(5)を得た。固相体(5)はTFA0.2mlと塩化メチレン2mlの溶液で室温下2時間処理後,ろ過し,3mlのメタノールで2回処理し濃縮する。残留物はアセトニトリルで3回共沸留去し,塩基のポリスチレン樹脂(N−メチルモルホリン)を作用させ,完全脱保護したα−D−グルコピラノシド(6)を収率75%で得た。
H NMR(400MHz,.CDCl)δ4.66(d,1H,J=3.84Hz),3.80(d d,1H,J=2.41,11.6Hz),3.66(dd,1H,J=5.82,12.1Hz),3.60(d d,1H,J=9.18,9.66Hz),3.51(m,1H),3.38(d d,1H,J=3.88,9.66Hz),3.27(d d,1H,J=9.18,10.2Hz)
参考例2
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−デオキシ−2−フタルイミド−3,4−ジ−O−(p−トルオイル)−6−O−[2−[5−(N−スクシンアミド酸−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ペンチルオキシメチル]テトラヒドロピラニル]−β−D−グルコピラノシル]−α−D−グルコピラノシドの合成
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−デオキシ−2−フタルイミド−3,4−ジ−O−(p−トルオイル)−β−D−グルコピラノシル]−α−D−グルコピラノシド(7)0.100g(0.104mmol)と塩化メチレン0.6mlの溶液に触媒量の(+)−10−カンファースルホン酸を加え,0℃にて合成したリンカー(1)0.0824g(0.208mmol)と塩化メチレン0.6mlの溶液を滴下する。後室温で12時間攪拌し,後内容物を飽和重曹水中に注ぎ酢酸エチルで2回抽出した。溶媒層を重曹水,飽和食塩水で洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去,残留物を得た。残留物を塩化メチレン−メタノール(98.5:1.5)系でシリカゲルクロマトグラフにかけ,メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−デオキシ−2−フタルイミド−3,4−ジ−O−(p−トルオイル)−6−O−[2−[5−(N−スクシンアミド酸−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ペンチルオキシメチル]テトラヒドロピラニル]−β−D−グルコピラノシル]−α−D−グルコピラノシド0.104g(0.0824mmol)を得た。収率79%。
H NMR(400MHz,.CDCl)δ7.81−7.03(m,27H),6.18(d d,1H,J=9.66,10.6Hz),5.85(br,1H),5.59(d,1H,j=8.71Hz),5.49(d d,1H,j=9.66,9.70Hz),4.87−3.23(m,25H),3.18(s,3H),2.95(t,2H,J=7,24Hz),2.81(s,4H),2.52(t,2H,J=7.24Hz),2.34(s,3H),2.28(s,3H),1.76−1.25(m,12H)
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−デオキシ−2−フタルイミド−3,4−ジ−O−(p−トルオイル)−6−O−[2−[5−(N−スクシンアミド酸−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ペンチルオキシメチル]テトラヒドロピラニル]−β−D−グルコピラノシル]−α−D−グルコピラノシドの固相への担持
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−デオキシ−2−フタルイミド−3,4−ジ−O−(p−トルオイル)−6−O−[2−[5−(N−スクシンアミド酸−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ペンチルオキシメチル]テトラヒドロピラニル]−β−D−グルコピラノシル]−α−D−グルコピラノシド38.0mg(0.0301mmol)と乾燥THFの溶液に樹脂Argo−Pore300mg(0.084mmol)と触媒量のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え,室温で16時間振とうする。反応混合物をろ過し,それぞれ3mlのDMFで2回,3mlの塩化メチレンで2回,3mlのメタノールで2回,3mlの塩化メチレンで2回洗浄し,固相担体を真空乾燥して二糖担持固相体(8)を得た。この固相体45.mを参考例1と同様の処理を行って二糖3.4mgを得た。付加量0.078mmol/g,収率62%。
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[2−デオキシ−2−フタルイミド−3,4−ジ−O−(p−トルオイル)−β−D−グルコピラノシル]−α−D−グルコピラノシド(8)の固相上におけるフタルイミド基脱保護化
二糖担持固相体235mgにヒドラジン一水和物0.7mlとエタノール35mlの溶液を加え,100℃で24時間煮沸する。後反応混合物をろ過し,それぞれ3mlのエタノールで2回,3mlのDMFで2回,3mlの塩化メチレンで2回,3mlのメタノールで2回洗浄した後,3mlのエーテルで2回すすいだ。固相担体を真空乾燥してメチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−(2−デオキシ−2−アミノ−β−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシド担持固相体(9)を得た。固相体(9)は参考例1と同様の処理を行ってメチル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−(2−デオキシ−2−アミノ−β−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシドを得た。
MS(ESI−TOF)Found:626.37(M+H)Calculated:626.30(M+H)純度90%。
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−(2−デオキシ−2−アミノ−β−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシド担持固相体のアセチル化
固相担持体(9)に無水酢酸1.39ml(14.7mmol),ピリジン4.82ml(59.6mmol)を加え室温で12時間攪拌する。反応混合物をろ過し,それぞれ3mlのDMFで2回,3mlの塩化メチレンで2回,3mlのメタノールで2回,3mlの塩化メチレンで2回洗浄し,固相担体を真空乾燥して2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−(2−デオキシ−2−N−アセチル−3,4−ジ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシド担持固相体(10)を得た。固相体(10)の一部を参考例1と同様の処理を行いメチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−(2−デオキシ−2−N−アセチル−3,4−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシドを得た。
MS(ESI−TOF)モノ−O−アセチル Found:710.41(M+H)Calculated:710.32(M+H)ジ−O−アセチルFound:752.42(M+H)Calculated:752.33(M+H)純度63%。
メチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−(2−デオキシ−2−N−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシド(12)の合成
メチル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−(2−デオキシ−2−N−アセチル−3,4−ジ−O−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシド担持固相体(10)145mgを乾燥THF3mlと共に室温で15分攪拌後−78℃に冷却し,液体アンモニアとリチウム顆粒50mgを加えて同温度で1.5時間反応した。後−30℃で1.5時間かけて液体アンモニアを留去後,反応混合物を少量のメタノールを加えた後ろ過し,固相体をそれぞれ3mlのDMFで2回,3mlの塩化メチレンで2回,3mlのメタノールで2回,3mlの塩化メチレンで2回洗浄し,真空乾燥して脱保護された固相体(11)を得た。固相体の切り出しは参考例1と同様の処理を行いメチル 2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−(2−デオキシ−2−N−アセチル−β−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシド(12)を得た。
MS(ESI−TOF)Found:398.21(M+H)Calculated:398.17(M+H)。
発明の効果
以上のように本発明化合物を使用することにより,糖鎖の固相合成が極めて容易になった。
本発明に係るリンカーは反応性の異なる反応点を両末端に有しており,一方は糖の水酸基と,他方は固相担体のアミノ基と反応結合する。これら結合は種々の保護基の導入条件や脱保護条件に安定である。そして,トリフルオロ酢酸酸性下で糖部分を固相担体から回収することが出来る。ことに従来困難であった脱ベンジル条件下でも安定である。本発明化合物を使った糖鎖の固相合成により,糖鎖ライブラリー構築が飛躍的に向上し,糖鎖の構造と物性の相関を分子レベルで理解する研究にも威力を発揮するものと期待出来る。
以下に本発明に係る実施例を記載するが,これは例示の目的であり,本発明を制限するものではない。本発明の範囲内では変形が可能な事は当業者には明らかであろう。
実施例1
1−アジド−5−メタンスルホニルペンタンの合成
塩化メチレン82.2mlと1−アセチル−1,5−ペンタンジオール6.0g(41.1mmol)の溶液にピリジン16.5ml(205mmol),触媒量のN,N−ジメチルアミノピリジンを加え0℃でメタンスルホニルクロライド3.18ml(205mmol)を滴下した。0℃で2時間攪拌後,内容物を氷水中に注ぎ酢酸エチルで2回抽出した。溶媒層を1N塩酸で洗浄,次いで重曹水,飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去,残留物を得た。残留物とDMF82.2mlの溶液に50℃でアジ化ソーダ4.01g(61.6mmol)を加え,同温度で10時間攪拌した後水に注ぎ酢酸エチルで2回抽出した。溶剤層は水,次いで飽和重曹水,飽和食塩水の順で洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶剤を留去し残留物を得,これは次工程にそのまま使用した。この残留物6.05gとメタノール70.8mlの溶液にナトリウム0.0814g(3.54mol)を加え,室温で30分攪拌後温度を0℃とし,アセチルクロライドで中和後,内容物を水に注ぎ,酢酸エチルで2回抽出した。溶媒層は飽和重曹水,飽和食塩水で洗浄後無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶剤を留去,残留物を得た。この残留物3.51gと塩化メチレン54.4mlの溶液にピリジン11.0ml,触媒量のN,N−ジメチルアミノピリジンを加え,0℃にてメタンスルホニルクロライド2.11ml(27.2mmol)を滴下した。0℃で2時間攪拌後,内容物を氷水中に注ぎ酢酸エチルで2回抽出した。溶媒層を1N塩酸で洗浄,次いで重曹水,飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去,残留物を得た。残留物を酢酸エチル−ヘキサン(1:4)系でシリカゲルクロマトグラフにかけ,1−アジド−5−メタンスルホニルペンタン4.16g(20.1mmol)を得た。収率49%。
H NMR(400MHz,.CDCl):δ4.19(t,2H,J=6.28),3.26(t,2H,J=6.77Hz),2.97(s,3H),1.75(m,2H),1.60(m,2H),1.47(m,2H);
13C NMR(100MHz,.CDCl):δ69.6,51.0,37.2,28.6,28.2,22.8;IR(neat)2944,2871,2100,1458,1353,1174,952,919,831,529(cm−1
実施例2
2−(5−アジドペンチルオキシメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピランの合成
乾燥THF20mlとリチウムアルミニウムハイドライド0.541g(14.6mmol)の混合物中に0℃で3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボキシアルデヒド1.49g(13.3mmol)とTHF20.0mlの溶液を滴下する。0℃で2.5時間攪拌後,反応混合物をエーテルで希釈し,0℃で飽和食塩水中にゆっくり加えた。溶剤層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去,残留物を得る。水素化ナトリウム0.799g(18.3mmol)を2mlのヘキサンで2回洗浄後,−20℃に冷却し,先の残留物1.56gと乾燥DMF30mlの溶液を滴下した。同温度で30分間攪拌した後,この混合物に1−アジド−5−メタンスルホニルペンタン4.16g(20.1mmol)と乾燥THF20mlの溶液を滴下した。室温で2時間攪拌後内容物に塩化アンモニウム水溶液を加え,エーテル抽出する。溶媒層を飽和重曹水,飽和食塩水で洗浄し,無水硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去,残留物を酢酸エチル−ヘキサン(1:9)系でシリカゲルクロマトグラフにかけ2−(5−アジドペンチルオキシメチル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン2.20gを得た。収率74%。
H NMR(400MHz,.CDCl)δ6.38(d,J=1.93Hz,1H),4.67(m,1H),3.97(m,1H),3.57−3.45(m,4H),3.26(t,J=6.77Hz,2H),2.09(m,1H),1.97(m,1H),1.84(m,1H),1.71−1.58(m,5H),1.44(m,2H);13C NMR(100MHz,.CDCl3)δ143.7,100.5,74.1,73.5,71.4,51.4,29.2,28.7,24.7,23.4,19.4;IR(neat)2938,2866,1651,1455,1242,1128,1071,729(cm−1
実施例3
N−[5−(3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イルメトキシ)ペンチル]スクシンアミド酸 2,5−ジオキソピロリジン1−イルの合成
実施例2で得たピラン2.11g(8.89mmol),トルエン59.3ml,水29.7mlの混合物にトリフェニルホスフィン23.3g(88.9mmol)を加え100℃で24時間反応後,内容物を水に注ぎ,酢酸エチルで2回抽出した。溶剤層を飽和食塩水で洗浄後無水硫酸マグネシウムで乾燥し後溶媒を留去,残留物を得た。残留物と塩化メチレン45mlの溶液に,0℃でピリジン3.60ml(44.4mmol),触媒量のN,N−ジメチルアミノピリジン,無水コハク酸2.66g(26.6mmol)を加え,後室温で3時間攪拌反応した。内容物は塩化アンモニウム水溶液に加え,酢酸エチルで2回抽出した。溶剤層を飽和食塩水で洗浄後無水硫酸マグネシウムで乾燥し後溶媒を留去,残留物を得た。残留物とトルエン45mlの溶液中にN−ヒドロキシスクシンイミド1.53g(13.3mmol)と1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド2.74g(13.3mmol)を加え,室温で11時間反応した。後内容物を飽和重曹水中に注ぎ酢酸エチルで2回抽出した。溶剤層は重曹水次いで飽和食塩水で洗浄後,無水硫酸マグネシウムで乾燥し後溶媒を留去,残留物を得た。残留物を塩化メチレン−メタノール(98.5:1.5)系でシリカゲルクロマトグラフにかけN−[5−(3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−イルメトキシ)ペンチル]スクシンアミド酸 2,5−ジオキンピロリジン 1−イル2.77g(6.99mmol)を得た。収率79%。
H NMR(400MHz,.CDCl)δ6.36(d,1H,J=6.28Hz),5.84(brs,1H),4.66(m,1H),3.96(m,1H),3.48(m,4H),3.23(m,2H),2.96(t,2H,J=7.25Hz),2.81(s,4H),2.55(t,2H,J=7.25Hz),2.07(m,1H),1.95(m,1H),1.81(m,1H),1.69−1.55(m,3H),1.50(m,2H),1.35(m,2H)13CNMR(100MHz,.CDCl)δ169.8,169.1,168.2,143.6,100.5,74.1,73.4,71.5,39.7,30.9,29.2,29.1,27.0,25.6,24.6,23.5,19.4;IR(neat)3319,2939,2865,1816,1786,1739,1652,1551,1370,1206,1048,752,648(cm−1

Claims (2)

  1. 下記構造式
    Figure 2005187440
    (式中R,Rはそれぞれ独立に直鎖または分枝アルキレン基,ポリオキシアルキレン基から選択され,Xはヒドロキシスクシンイミド基や他の活性エステル,m,nはそれぞれ独立に0または1から選択される)で示される新基リンカー。
  2. が1,5−ペンタメチレン基,Rがエチレン基,Xがヒドロキシスクシンイミド基,mが1,nが1である請求項1記載の新規リンカー。
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