JP6728635B2 - 収納家具本体の補強構造 - Google Patents
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Description
その過程で、特許文献1及び2のような従来構造では、左右の前補強体において、一方には引出しを閉じた状態でラッチを掛けるラッチ装置の機能を奏するための専用形状が形成され、他方には複数段の引出しを同時に施解錠するロック装置の機能を奏するための専用形状が形成されていること等から、左右の前補強体の形状が大きく異なっていることに着目した。例えば、特許文献2の構成では、左前補強体にラッチ装置の機能を奏するための専用形状である掛止突起(符号122参照)が形成され、右前補強体にロック機構の機能を奏するため専用形状である案内溝及び連係具取付孔(特許文献3の案内溝132及び連係具取付孔133参照)が形成されており、左右の前補強体の形状が大きく異なっている。
このような左右の前補強体の形状の相違により部品点数が増加することから、製造コストが上昇する。その上、部品点数が増加することにより、設計、調達、製造及び保管等における管理が複雑になっているため、管理コストも上昇している。
しかしながら、左右セット取りでは、金型構造が複雑になって投資が嵩む懸念や工程が複雑になる懸念があるとともに、部品点数の削減には繋がらない。
また、抜き形状共通化によっても部品点数の削減には繋がらないとともに、抜き形状共通化では板金打抜き加工により形成されるバリの方向が左右で逆になるという品質面の問題点も生じる。
そして、側框部材が、左右方向内面側の平板状の内フランジと左右方向外面側の平板状の外フランジを平板状のウェブで繋いだ形状を成す、前方又は後方を開口した平面視コ字状のものであるので、板金プレス加工等により容易に製造できる。
その上、左前補強体及び右前補強体で同一形状の側框部材を使用するので、部品点数の削減により製造コスト及び管理コストを低減できる。
その上さらに、引出しを前後方向へ開閉可能に案内する案内手段を支持するために用いる支持孔を、側框部材の内フランジの前後方向中央の鉛直面を対称面とした面対称の周壁により形成していることから、左前補強体及び右前補強体で同一形状の側框部材を使用した際における支持孔の前後位置が左右で同じになるので、引出しを案内する左右の案内手段の前後位置がずれることがなく、左右の案内手段の支持を安定かつ確実に行うことができる。
その上、側框部材の内フランジに設けた係止突起にラッチ装置のラッチ板が係止するので、引出しを閉じた状態でラッチを掛けるラッチ装置が機能する。
その上さらに、側框部材に設けた支持部により本体側ロック部材を支持し、内フランジに設けた切欠から本体側ロック部材の係止爪が出没するので、複数段の引出しを同時に施解錠するロック装置が機能する。
すなわち、左前補強体及び右前補強体の一方に特有の機能であるラッチ機能(前記ラッチ装置の機能)を持つように側框部材が形成されとともに、左前補強体及び右前補強体の他方に特有の機能であるロック機能(前記ロック装置の機能)を持つように側框部材が形成されている。
よって、左前補強体及び右前補強体の両方で同一形状の側框部材を使用しても、左前補強体特有の機能及び右前補強体特有の機能を両立できる。
このような構成によれば、左前補強体及び右前補強体において、側框部材及び上框連結体が一体に形成されるとともに、それらが左前補強体及び右前補強体で同一形状になる。
よって、部品点数の削減により製造コスト及び管理コストを一層低減できる。
(1)左前補強体及び右前補強体の両方で同一形状の側框部材を使用するので、部品点数の削減により製造コスト及び管理コストを低減できること、
(2)左前補強体及び右前補強体の両方で同一形状の側框部材を使用しても、左前補強体特有の機能及び右前補強体特有の機能を両立できること、
等の顕著な効果を奏する。
なお、本明細書においては、引出しを引き出す方向側(引出しを開ける方向側)を前、その反対側(引出しを閉じる方向側)を後とし、後方に向かった状態における左右方向側を左右とする。
また、各構成部品の方向の定義は、各構成部品を組み付けた状態で前記方向の定義に従うものとする。
図2の斜視図に示すように、ワゴン本体2は、左右側板8,9及び後側板18からなる前側を開放してなる平面視略コ字状の鋼製の側板体I、側板体Iの上部前端に配置された鋼製の上框16、側板体Iの下部前後端に配置された鋼製の下框17及び底板19、側板体Iの上面開口を塞ぐ鋼製又は木製の天板20、並びに下框17及び底板19の下面に取付けられた、図1に示すキャスター21,21,…等により構成される。キャスター21,21,…により、ワゴン1の移動が容易となっている。
また、図6の右方から見た縦断面図に示す天板20の後側左右の係止片20A,20Aを図2の斜視図に示す後側板18の上端部を前方へ折り曲げ形成した折曲片の左右の係合凹部18A,18Aに係合させるとともに、図6に示す天板20の前側左右のボルト20B,20Bの首部を図2の上框16の前側左右の係合凹部16A,16Aに係合させることにより、天板20の取付けが完了する。よって、天板20の取付け作業を容易に行うことができる。
また、ワゴン1は、上下3段の引出し3,4,5を同時に施解錠するロック装置を備える。よって、キー孔Kにキーを挿入して回転(例えば、時計回りに180°回転)することにより引出3,4,5を同時に施錠できるとともに、施錠状態でキー孔Kにキーを挿入して回転(例えば、反時計回りに180°回転)することにより引出3,4,5を同時に解錠できる。
ここで、縦長の左前補強体L及び右前補強体Rにおける、ワゴン本体2の左右の側板8,9に沿って上下方向へ伸び、側板8,9の内面に溶着される側框部材10,10は同一形状のものである。
また、左前補強体Lの側框部材10の上端部の上框連結体14、及び右前補強体Rの側框部材10の上端部の上框連結体14は、鋼製の側框部材10と一体に、側框部材10の上端部から左右方向内側へ折り曲げ形成されたものであり、同一形状のものである。
よって、左前補強体L及び右前補強体Rで、側框部材10及び上框連結体14を共通化している。
そして、左前補強体Lを構成する側框部材10の下端部に鋼製の下框連結体15Lが溶着されて左前補強体Lとなり、右前補強体Rを構成する側框部材10の下端部に鋼製の下框連結体15Rが溶着されて右前補強体Rとなる。
次に、図3に示すように、下框17を、左前補強体L下端部の下框連結体15L及び右前補強体R下端部の下框連結体15Rに載せ、下框17を下框連結体15L及び下框連結体15Rに溶着するとともに、図2に示す底板19を側板体Iの下部後端に溶着する。
以上の組み付け手順により、左右の前補強体L,Rが左右の側板8,9に強固に固定されるとともに、左右の前補強体L,R及び上下の框体16,17が強固に固定され、これらによるワゴン本体2の前補強構造が完成する。
例えば、以下のような組み付け手順であってもよい。
先ず、図3に示すような上框16をワゴン本体2に取り付ける。
次に、上框16の左方の係合孔16L,16Lに、下方から左前補強体L上端部の上框連結体14の切起し片14A,14Aを係合させて左前補強体Lの位置決めをした状態で、左前補強体Lの上框連結体14を上框16に溶着し、左前補強体Lの側框部材10を側板8(図1及び図2参照)の内面に溶着することにより、左前補強体Lを上框16及び側板8に強固に固定する。
次に、上框16の右方の係合孔16R,16Rに、下方から右前補強体R上端部の上框連結体14の切起し片14A,14Aを係合させて右前補強体Rの位置決めをした状態で、右前補強体Rの上框連結体14を上框16に溶着し、右前補強体Rの側框部材10を側板9(図2参照)の内面に溶着することにより、右前補強体Rを上框16及び側板9に強固に固定する。
そして、下框17を、左前補強体L下端部の下框連結体15L及び右前補強体R下端部の下框連結体15Rに載せ、下框17を下框連結体15L及び下框連結体15Rに溶着することにより、それらが強固に固定されたワゴン本体2の前補強構造が完成する。
よって、板金プレス加工等により側框部材10を容易に製造できる。
図4に示すように、内フランジ11には、外フランジ12を側板8,9の内面に溶着するための作業孔A,A,…が上下方向に並設される。
よって、内フランジ11の作業孔A,A,…から、例えばスポット溶接用電極を挿通できるので、ワゴン本体2の側板8,9に側框部材10を溶着する作業を容易に行うことができる。
なお、作業孔A,A,…の個数は、本実施の形態では7個であるが、溶着により所要の強度及び剛性を確保できる個数の作業孔を形成すればよい。要求仕様等によって、例えば、5個ないし8個程度の作業孔A,A,…が上下方向に設けられる。
以上における鋼製部材同士を連結固定する「溶着」には、スポット溶接、アーク溶接又はレーザ溶接等が用いられる。
図5(a)及び図5(b)に示すように、支持孔B2は、内フランジ11の前後方向中央の鉛直面Vを対称面とした面対称の周壁Pにより形成され、支持孔B2を形成する周壁Pの下壁には、図7の後方又は前方から見た要部拡大部分縦断面図に示す案内手段G2の掛止片Hが掛止する。
また、図4に示す支持孔B1,B3も支持孔B2と同様に形成される。
よって、左前補強体L及び右前補強体Rで同一形状の側框部材10を使用した際における支持孔B1,B2,B3の前後位置が左右で同じになるので、引出し3,4,5を案内する左右の案内手段G1,G1、G2,G2及びG3,G3の前後位置がずれることがなく、前記左右の案内手段の支持を安定かつ確実に行うことができる。
そして、内フランジ11の取付孔C1,C2,C3に取り付けられた係止突起6A,6A,6Aには、引出し3,4,5を閉じた状態でラッチ装置6の図示しないラッチ板(例えば、特許文献2のラッチ装置31におけるラッチ板33参照)が係止するので、引出し3,4,5を閉じた状態でラッチを掛ける各引出しのラッチ装置6が機能する。
なお、内フランジ11から左右方向内方へ突出する前記係止突起を内フランジ11と一体に形成してもよい。
図9(b)の本体側ロック部材7Aが取り付けられた右前補強体Rを左方から見た図に示すように、本体側ロック部材7Aの上下端の合成樹脂製の回動支持体22A,22Bを側框部材10の上下の支持部D1,D2に装着する。それにより、側框部材10(右前補強体R)に対して、鋼製の回動板23及び合成樹脂製の係止爪7B,7B,7Bが上下方向軸まわりに回動可能になるとともに、ねじりコイルばね24(図8(a)及び図8(b)参照)により弾性支持される。
また、図4、図9(a)及び図9(b)に示すように、内フランジ11の上部には、後述するロック装置の図10に示すロック杆25が進入する開口部Fが設けられる。なお、図4、図6、図9(a)及び図9(b)には、内フランジ11の上部に上下2個の開口部F,Fを設けた例を示している。上側の開口部Fは本実施の形態のワゴン1用のものであり、下側の開口部Fは別の実施の形態(別機種)用のものである。
それにより、回動板23及び係止爪7B,7B,7Bがねじりコイルばね24(図8(b)参照)の弾性付勢力に抗して回動し、係止爪7B,7B,7Bが図9(b)に示す切欠E1,E2,E3から左方へ突出し、引出し3,4,5の胴板の右側面から右方へ突出するように取り付けられたストッパーS,S,Sの前面を当止する。よって、引出3,4,5を同時に施錠できる。
また、図10(b)に示すロック装置7の施錠状態において、錠前Mのキー孔K(図1参照)にキーを挿入して回転(例えば、反時計回りに180°回転)すると、図10(a)に示す位置までロック杆25が左方へ移動し、ロック杆25の先端が側框部材10(右前補強体R)の開口部Fから退出する。よって、コイルばね24(図8(b)参照)の弾性付勢力により、回動板23及び係止爪7B,7B,7Bが回動して図10(a)に示す位置まで復帰するので、引出3,4,5を同時に解錠できる。
その上、左前補強体L及び右前補強体Rにおいて、側框部材10及び上框連結体14が一体に形成されるとともに、それらが左前補強体L及び右前補強体Rで同一形状になるので、部品点数の削減により製造コスト及び管理コストを一層低減できる。
また、側框部材10に、左前補強体L特有の機能(本実施の形態ではラッチ装置6の機能)を奏するための形状が左前補強用に用いたときに機能するように形成されるとともに、右前補強体R特有の機能(本実施の形態ではロック装置7の機能)を奏するための形状が右前補強用に用いたときに機能するように形成されているので、左前補強体L及び右前補強体Rの両方で同一形状の側框部材10を使用しても、左前補強体L特有の機能及び右前補強体R特有の機能を両立できる。
3,4,5 引出し 6 ラッチ装置
6A 係止突起 7 ロック装置
7A 本体側ロック部材 7B 係止爪
8,9 側板 10 側框部材
11 内フランジ 12 外フランジ
13 ウェブ 14 上框連結体
14A 切起し片 15L,15R 下框連結体
16 上框 16A 係合凹部
16L,16R 係合孔 17 下框
18 後側板 18A 係合凹部
19 底板 20 天板
20A 係止片 20B ボルト
21 キャスター 22A,22B 回動支持体
23 回動板 23A 被操作部
24 ねじりコイルばね 25 ロック杆
A 作業孔 B1,B2,B3 支持孔
C1,C2,C3 取付孔 D1,D2 支持部
E1,E2,E3 切欠 F 開口部
G1,G2,G3 案内手段 H 掛止片
I 側板体 J 引手開口
K キー孔 L 左前補強体
M 錠前 P 周壁
R 右前補強体 S ストッパー
V 前後方向中央の鉛直面
Claims (2)
- 収納家具本体及び上下複数段の引出しを有する収納家具における、前端部左右に配置した左前補強体及び右前補強体による前記収納家具本体の補強構造であって、
前記左前補強体及び前記右前補強体における、前記収納家具本体の左右の側板に沿って上下方向へ伸びる側框部材が、左右方向内面側の平板状の内フランジと左右方向外面側の平板状の外フランジを平板状のウェブで繋いだ形状を成す、前方又は後方を開口した平面視コ字状のものであり、
前記引出しを前後方向へ開閉可能に案内する案内手段を支持するために用いる支持孔を、前記内フランジの前後方向中央の鉛直面を対称面とした面対称の周壁により形成し、
前記左前補強体及び前記右前補強体で同一形状の前記側框部材を使用し、
前記収納家具が、前記引出しを閉じた状態でラッチを掛けるラッチ装置、及び前記複数段の引出しを同時に施解錠するロック装置を備えたものであり、
前記外フランジを前記側板に溶着するための作業孔を前記内フランジに上下複数設け、
前記引出しを閉じた状態で前記ラッチ装置のラッチ板が係止する係止突起を取り付ける取付孔、又は前記引出しを閉じた状態で前記ラッチ装置のラッチ板が係止する係止突起を前記内フランジに設け、
前記ロック装置の施解錠操作により上下軸まわりに回動する本体側ロック部材を支持する支持部を前記側框部材に設けるとともに、前記ロック装置の施錠操作により左右方向内方へ突出する、前記本体側ロック部材に設けられた係止爪が出没する切欠を前記内フランジに設けてなることを特徴とする収納家具本体の補強構造 - 前記左前補強体及び前記右前補強体における、前記側框部材と一体に、前記側框部材の上端部から左右方向内側へ折り曲げ形成された、前記収納家具本体の上框が溶着される上框連結体を共通化してなる請求項1記載の収納家具本体の補強構造。
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