JP6727882B2 - ケーキ用乳化起泡剤 - Google Patents

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本発明は、ケーキ用乳化起泡剤に関する。
従来、スポンジケーキ等のケーキ類の生地を製造する方法として、卵の起泡力のみを用いた「別立て法」や「共立て法」等があるが、これらの方法は起泡の安定性に乏しく、熟練した技術者が必要であり、大量生産には適していない。そこで、ケーキ類を工業的に大量生産するため、起泡剤を用いて全ての原材料を同時に混合する「オールインミックス法」が行われている。
オールインミックス法に適した起泡剤としては、水やソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール等を水相とし、グリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルを主体とした食品用乳化剤を油相とするゲル状又はペースト状の乳化起泡剤が使用されている。
この種の乳化起泡剤としては、例えば、炭素数16〜24の飽和脂肪酸からなるポリグリセリン脂肪酸エステルを必須成分として含有することを特徴とする芯抑制効果に優れたケーキ用乳化起泡剤(特許文献1)、ショ糖脂肪酸エステルと糖アルコールとのラメラ液晶構造体中に、グリセリン脂肪酸モノエステル及びジグリセリン脂肪酸モノエステルが、重量比でグリセリン脂肪酸モノエステル:ジグリセリン脂肪酸モノエステル=55:45〜10:90の割合で含有されていることを特徴とする食用起泡剤(特許文献2)等が開示されている。
これら起泡剤は、通常油脂を含有しないため、油脂の含有量が比較的少ないケーキ類の製造に特に好ましく用いられる。しかし、この種の起泡剤は、物性が硬く取扱いが難しいだけでなく、ケーキ生地に対する分散性やケーキ生地の起泡性において必ずしも満足できるものではないのが実状である。
特開2002−247952号公報 特開2006−246800号公報
本発明は、硬さが低減されており、ケーキ生地に対する分散性及びケーキ生地の起泡性に優れたケーキ用乳化起泡剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、食品用乳化剤を構成する脂肪酸組成に着目し、ケーキ用乳化起泡剤の配合を特定の組合せとすることにより、上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、下記(A)〜(C)を含有し、且つ油脂を実質的に含有しないことを特徴とするケーキ用乳化起泡剤:
(A)グリセリン飽和脂肪酸エステル、
(B)ショ糖飽和脂肪酸エステル、並びに
(C)グリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、グリセリン有機酸不飽和脂肪酸エステル、ショ糖不飽和脂肪酸エステル及びソルビタン不飽和脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上、
から成っている。
本発明のケーキ用乳化起泡剤は、硬さが低減されているため取扱いが容易であるとともに、ケーキ生地に対する分散性及びケーキ生地の起泡性に優れている。
本発明のケーキ用乳化起泡剤は、食品用乳化剤として、(A)グリセリン飽和脂肪酸エステル、(B)ショ糖飽和脂肪酸エステル、並びに(C)グリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、グリセリン有機酸不飽和脂肪酸エステル、ショ糖不飽和脂肪酸エステル及びソルビタン不飽和脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上(以下、それぞれ「(A)成分」、「(B)成分」、「(C)成分」ともいう)を含有する。
本発明において(A)成分として用いられるグリセリン飽和脂肪酸エステルは、グリセリンと飽和脂肪酸とのエステル化生成物である。グリセリン飽和脂肪酸エステルを構成する飽和脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする飽和脂肪酸であれば特に制限はないが、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和脂肪酸が挙げられ、炭素数12〜22の直鎖の飽和脂肪酸(例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等)が好ましく、特に、パルミチン酸及び/又はステアリン酸を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有する飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸の混合物が好ましい。
また、本発明に用いられるグリセリン飽和脂肪酸エステルとしては、ケーキ生地の起泡性向上の観点から、モノエステル体を90質量%以上含むものが好ましく用いられる。その製法の概略は以下の通りである。即ち、グリセリンと飽和脂肪酸とのエステル化反応又はグリセリンと飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂(トリアシルグリセリン)とのエステル交換反応により、グリセリン、グリセリンモノ飽和脂肪酸エステル、グリセリンジ飽和脂肪酸エステル及びグリセリントリ飽和脂肪酸エステル等を含む混合物が得られる。次に、該混合物から自体公知の方法、例えば低真空度での蒸留などで未反応のグリセリン等を除き、さらに、例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置等を用いて分子蒸留することにより、留分として、モノエステル体を90質量%以上含む、グリセリン飽和脂肪酸エステルが得られる。
本発明において(B)成分として用いられるショ糖飽和脂肪酸エステルは、ショ糖と飽和脂肪酸とのエステル化生成物である。ショ糖飽和脂肪酸エステルを構成する飽和脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする飽和脂肪酸であれば特に制限はないが、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和脂肪酸が挙げられ、炭素数12〜22の直鎖の飽和脂肪酸(例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等)が好ましく、特に、パルミチン酸及び/又はステアリン酸を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有する飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸の混合物が好ましい。
また、本発明に用いられるショ糖飽和脂肪酸エステルは、ケーキ生地の起泡性及び気泡安定性向上の観点から、HLBが7〜13のものが好ましく、HLBが11〜13のものがより好ましい。ここで、HLBは、製造メーカーが公表している数値を採用することができる。
本発明の(C)成分は、グリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、グリセリン有機酸不飽和脂肪酸エステル、ショ糖不飽和脂肪酸エステル及びソルビタン不飽和脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上である。
本発明において(C)成分として用いられるグリセリン不飽和脂肪酸エステルは、グリセリンと不飽和脂肪酸とのエステル化生成物である。グリセリン不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする飽和脂肪酸であれば特に制限はないが、ケーキ用乳化起泡剤の硬さを低減させる観点から、例えば炭素数16〜22の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられ、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸及びエルシン酸等が好ましく、特に、オレイン酸を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有する不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の混合物が好ましい。
また、本発明に用いられるグリセリン不飽和脂肪酸エステルとしては、ケーキ生地の起泡性向上の観点から、モノエステル体を90質量%以上含むものが好ましく用いられる。その製法の概略は以下の通りである。即ち、グリセリンと不飽和脂肪酸とのエステル化反応又はグリセリンと不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂(トリアシルグリセリン)とのエステル交換反応により、グリセリン、グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル、グリセリンジ不飽和脂肪酸エステル及びグリセリントリ不飽和脂肪酸エステル等を含む混合物が得られる。次に、該混合物から自体公知の方法、例えば低真空度での蒸留などで未反応のグリセリン等を除き、さらに、例えば流下薄膜式分子蒸留装置または遠心式分子蒸留装置等を用いて分子蒸留することにより、留分として、モノエステル体を90質量%以上含むグリセリン不飽和脂肪酸エステルが得られる。
本発明において(C)成分として用いられるポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと不飽和脂肪酸とのエステル化生成物である。ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、通常グリセリンまたはグリシドールあるいはエピクロルヒドリン等を加熱し、重縮合反応させて得られる重合度の異なるポリグリセリンの混合物である。本発明で用いられるポリグリセリンとしては平均重合度が2〜10程度のもの、例えば、ジグリセリン(平均重合度2)、トリグリセリン(平均重合度3)、テトラグリセリン(平均重合度4)、ヘキサグリセリン(平均重合度6)、オクタグリセリン(平均重合度8)またはデカグリセリン(平均重合度10)等が挙げられ、中でも、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、デカグリセリンが好ましく、デカグリセリンがより好ましい。また、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸は食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であれば特に制限はないが、例えば炭素数16〜22の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられ、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸及びエルシン酸等が好ましく、特に、オレイン酸を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有する不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の混合物が好ましい。
また、本発明に用いられるポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルとしては、ジグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ペンタグリセリン不飽和脂肪酸エステル、デカグリセリン不飽和脂肪酸エステル等が挙げられ、中でも、ケーキ用乳化起泡剤の硬さを低減させる観点から、デカグリセリン不飽和脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
本発明において(C)成分として用いられるグリセリン有機酸不飽和脂肪酸エステルは、グリセリンと有機酸と不飽和脂肪酸のエステル化生成物である。グリセリン有機酸不飽和脂肪酸エステルを構成する有機酸に特に制限はないが、例えば、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸及びジアセチル酒石酸等が挙げられ、ケーキ生地の起泡性向上及び風味への影響の観点から、好ましくはクエン酸である。また、グリセリン有機酸不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする飽和脂肪酸であれば特に制限はないが、例えば炭素数16〜22の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられ、ケーキ用乳化起泡剤の硬さを低減させる観点から、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸及びエルシン酸等が好ましく、特に、オレイン酸を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有する不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の混合物が好ましい。
本発明において(C)成分として用いられるショ糖不飽和脂肪酸エステルは、ショ糖と不飽和脂肪酸のエステル化生成物である。ショ糖不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする飽和脂肪酸であれば特に制限はないが、例えば炭素数16〜22の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられ、ケーキ用乳化起泡剤の硬さを低減させる観点から、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸及びエルシン酸等が好ましく、特に、オレイン酸を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有する不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の混合物が好ましい。
本発明において(C)成分として用いられるソルビタン不飽和脂肪酸エステルは、ソルビタンを主成分とするソルビトールの分子内縮合物と不飽和脂肪酸とのエステル化生成物である。ソルビタン不飽和脂肪酸エステルを構成する不飽和脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする不飽和脂肪酸であれば特に制限はないが、例えば炭素数16〜22の直鎖の不飽和脂肪酸が挙げられ、ケーキ用乳化起泡剤の硬さを低減させる観点から、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸及びエルシン酸等が好ましく、特に、オレイン酸を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有する不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の混合物が好ましい。
本発明のケーキ用乳化起泡剤は、上記(A)〜(C)成分を含有する乳化組成物であり、該(A)〜(C)成分を水及び/又は多価アルコール中に分散することにより調製される。即ち、本発明のケーキ用乳化起泡剤は、上記(A)〜(C)成分が油相を構成し、水及び/又は多価アルコールが水相として連続相を構成する。
上記水としては、飲用可能なものであれば特に制限はなく、例えば蒸留水、イオン交換樹脂処理水、逆浸透膜(RO)処理水又は限外ろ過膜(UF)処理水等の精製水、水道水、地下水あるいは涌水等の天然水又はアルカリイオン水等が挙げられる。
上記多価アルコールは、1分子中に2つ以上のヒドロキシ基をもつ化合物であれば特に制限はなく、例えば、キシロース、ブドウ糖、果糖等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖等のオリゴ糖類、デキストリンあるいは水飴等のでん粉分解物、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース等のマルトオリゴ糖類、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖等の異性化糖、蜂蜜等の転化糖、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元水飴等の糖アルコール類、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、ソルビトール及びプロピレングリコールが好ましい。これら多価アルコールは、一種類のみを単独で用いてもよく、二種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
上記水及び/又は多価アルコールは、いずれか一方のみを用いてもよく、製剤の粘度調整等の目的でこれらを併用し、多価アルコール水溶液として用いてもよい。
本発明のケーキ用乳化起泡剤の製造方法に特に制限はないが、その好ましい製造方法の概略は以下の通りである。
即ち、油相として(A)〜(C)成分を65〜90℃に加熱し、該油相を攪拌しながら、この中に60〜90℃に加熱し溶解した水及び/又は多価アルコールを含有する水相をゆっくり加え乳化する。次に、必要であれば得られた乳化液を冷却し、本発明のケーキ用乳化起泡剤を得る。得られた起泡剤の性状は乳化剤の濃度等により異なり一様ではないが、ペースト状又はゲル状を呈する。
本発明のケーキ用乳化起泡剤を製造するための装置としては特に限定されず、例えば、攪拌機、加熱用のジャケット又は邪魔板等を備えた通常の攪拌・混合槽を用いることができる。攪拌機に装備する攪拌翼の形状はプロペラ型、かい十字型、ファンタービン型、ディスクタービン型又はいかり型のいずれでも良いが、好ましくはディスクタービン型又はいかり型である。また、TKホモミクサー(製品名;プライミクス社製)、クレアミックス(製品名;エムテクニック社製)等の高速回転式ホモジナイザーも使用することができる。乳化液の冷却は、前記加熱用のジャケットに水又は冷媒を通すことにより行われてもよいが、工業的には、攪拌・混合槽より乳化液を抜き出し、ボテーター(ケメトロン社製)、オンレーター(桜製作所社製)又はコンサーム(アルファ・ラバル社製)等の掻きとり式の急冷混捏装置を用いて行われるのが好ましい。
本発明のケーキ用乳化起泡剤100質量%中の油相及び水相の割合は特に制限されないが、例えば、油相が9〜34質量%、好ましくは19〜28質量%、より好ましくは21〜26質量%であり、残余が水相となるように調製することが好ましい。
本発明のケーキ用乳化起泡剤100質量%中の(A)〜(C)成分の配合割合は特に制限されないが、例えば(A)成分が5〜12質量%、好ましくは7〜10質量%であり、(B)成分が3〜13質量%、好ましくは5〜11質量%であり、(C)成分が0.1〜3.0質量%、好ましくは0.1〜1.0質量%である。
本発明のケーキ用乳化起泡剤について「油脂を実質的に含有しない」とは、油脂を全く含有しないことのみならず、油脂をわずかに含有するがその含有量が十分に少ないことをも意味する。より具体的には、ケーキ用乳化起泡剤100質量%中の油脂の含有量が2質量%未満であること、好ましくは1質量%未満であることをいう。
本発明のケーキ用乳化起泡剤には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、上記油相に、β−カロテン等の着色料、抽出トコフェロール、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル等の油溶性の酸化防止剤、ソルビタン飽和脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の食品用乳化剤、ミルクフレーバー、バニラ香料、オレンジオイル等の着香料、pH調製剤として炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩等を添加してもよい。これらの中でも、本発明のケーキ用乳化起泡剤により生成された気泡の安定性を高める観点から、プロピレングリコール脂肪酸エステル又はソルビタン飽和脂肪酸エステルを使用することが好ましく、ソルビタン飽和脂肪酸エステルを使用することがより好ましい。ソルビタン飽和脂肪酸エステルを構成する飽和脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする飽和脂肪酸であれば特に制限はないが、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和脂肪酸が挙げられ、炭素数12〜22の直鎖の飽和脂肪酸(例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等)が好ましく、特に、パルミチン酸及び/又はステアリン酸を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有する飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸の混合物が好ましい。本発明のケーキ用乳化起泡剤100質量%中のソルビタン飽和脂肪酸エステルの含有量に特に制限はないが、例えば1〜6質量%、好ましくは3〜6質量%とすることができる。
また、上記水相に、乳清蛋白質、脱脂粉乳等の乳蛋白質、卵黄又は卵白由来の蛋白質、リン酸架橋澱粉等の加工澱粉、アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の食品用乳化剤、キサンタンガム、カラギーナンあるいはタマリンド種子多糖類等の増粘安定剤、クエン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、酒石酸水素カリウム等の有機酸塩、クエン酸、コハク酸、酒石酸等の有機酸等を添加してもよい。これらの中でも、ケーキ用乳化起泡剤の硬さを低減させる観点から、有機酸を使用してもよい。
本発明のケーキ用乳化起泡剤は、スポンジケーキ、ロールケーキ、バタースポンジケーキ、パウンドケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ、蒸しケーキ等のケーキ類を製造する際の起泡剤として、生地に添加して用いられる。本発明のケーキ用乳化起泡剤の生地への添加量は、その生地配合又は使用する機械等により異なるが、例えば、一般的なオールインミックス法によるスポンジケーキの製造において、小麦粉100質量部に対して5〜10質量部が好ましい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ケーキ用乳化起泡剤の製造]
(1)原材料
1)グリセリン飽和脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;脂肪酸組成:パルミチン酸及びステアリン酸;モノエステル体含有量95質量%;理研ビタミン社製)
2)ショ糖飽和脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS−1170;HLB11;ショ糖ステアリン酸エステル;三菱化学フーズ社製)
3)グリセリン不飽和脂肪酸エステル(商品名:エマルジーOL−100H;グリセリンオレイン酸エステル;モノエステル体含有量90質量%;理研ビタミン社製)
4)ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル(商品名:ポエムJ−0381V;ポリグリセリンオレイン酸エステル;理研ビタミン社製)
5)グリセリン有機酸不飽和脂肪酸エステル(商品名:ポエムK−37V;クエン酸;グリセリンオレイン酸エステル;理研ビタミン社製)
6)ショ糖不飽和脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルO−1570;ショ糖オレイン酸エステル;三菱化学フーズ社製)
7)ソルビタン不飽和脂肪酸エステル(商品名:ポエムO−80V;ソルビタンオレイン酸エステル;理研ビタミン社製)
8)ソルビタン飽和脂肪酸エステル(商品名:ポエムS−60V;ソルビタンステアリン酸エステル;理研ビタミン社製)
9)炭酸ナトリウム(高杉製薬社製)
10)菜種サラダ油(ボーソー油脂社製)
11)ソルビトール(商品名:ソルビトールF;三菱商事フードテック社製)
12)プロピレングリコール(ADEKAケミカルサプライ社製)
13)エタノール
14)水
15)L−酒石酸(大日本住友製薬社製)
(2)ケーキ用乳化起泡剤の配合
上記原材料を用いて作製したケーキ用乳化起泡剤1〜12の配合組成を表1に示した。この内、ケーキ用乳化起泡剤1〜9は本発明に係る実施例であり、ケーキ用乳化起泡剤10〜12はそれらに対する比較例である。なお、各ケーキ用乳化起泡剤は、原材料の合計が400gとなる分量で調製した。
Figure 0006727882
(3)ケーキ用乳化起泡剤の製造方法
1)1L容ステレンス製ビーカーに油相の原材料のうち菜種サラダ油及び炭酸ナトリウム以外を入れ80℃で混合及び溶解した。
2)1)で得た溶解物に残りの油相の原材料を加え、80℃で混合及び溶解し、油相とした。
3)一方、別の1L容ステレンス製ビーカーに水相の原材料を全て入れ、80℃で混合及び溶解し、水相とした。
4)2)で得た油相をスリーワンモーター(型式:BL−600;5cm径4枚羽根型;新東科学社製)を用いて250rpmで撹拌しながらこれに3)で得た水相を徐々に入れ、入れ終わってから更に30分間撹拌を続け、ペースト状の組成物を得た。
5)3)で得た組成物を静置して放冷し、ケーキ用乳化起泡剤を得た。
[ケーキ用乳化起泡剤の硬さの評価試験]
製造後24時間経過したケーキ用乳化起泡剤を円柱型のプラスチック製容器(深さ11mm、内径40mm)に充填して得たサンプルについて、レオメーター(商品名:FUDOHレオメーター;型式:RT−2002J 2kg型;レオテック社製)を用いて硬さを測定した。測定は、該レオメーターにプランジャー(型式:アダプターNO.10 応力緩和用;底部直径約25mm;レオテック社製)を装着し、該サンプルの表面から侵入速度5cm/minにて該プランジャーを4mm押し込んだ時点の応力(g)を硬さの指標として測定し、以下の基準にしたがって記号化した。結果を表2に示す。
○:良好 応力(g)が250g未満である
△:やや悪い 応力(g)が250g以上、300g未満である
×:悪い 応力(g)が300g以上である
Figure 0006727882
表2の結果より、本発明のケーキ用乳化起泡剤1〜9は、比較例のケーキ用乳化起泡剤10〜12に比べて硬さが低減されていた。
[スポンジケーキの製造における評価試験]
(1)原材料
1)液全卵(製品名:エクセルエッグHV;キューピータマゴ社製)
2)薄力粉(製品名:バイオレット;日清製粉社製)
3)上白糖(製品名:上白糖ST;大日本明治製糖社製)
4)菜種サラダ油(ボーソー油脂社製)
5)ベーキングパウダー(オリエンタル酵母社製)
6)還元水飴(製品名:アマミール;三菱商事フードテック社製)
7)水
8)ケーキ用乳化起泡剤1〜12
(2)スポンジケーキ生地の配合
上記原材料を用いて作製したスポンジケーキ生地の配合組成を表3に示した。ここで、表3の配合割合は、使用する小麦粉の全量を100質量部に換算する「ベーカーズパーセント」により表記した。なお、スポンジケーキ生地は、原材料の合計が924gとなる分量で作製した。
Figure 0006727882
(3)スポンジケーキ生地の調製
ミキサー(型式:万能混合攪拌機5DMr;ワイヤーホイッパー装着;品川工業所社製)に全ての原材料を入れ、低速で1分間攪拌し、次いで高速で6分間撹拌し、ケーキ生地を得た。
(4)分散性の評価
(3)の製造工程において、原材料を低速で1分間撹拌した後、高速で2分間撹拌した直後のスポンジケーキ生地の比重(g/mL)を「ケーキ用乳化起泡剤のスポンジケーキ生地に対する分散性」とみなして測定し、以下の基準にしたがって記号化した。結果を表4に示す。
○:良好 比重(g/mL)が0.78未満である
△:やや悪い 比重(g/mL)が0.78以上、0.83未満である
×:悪い 比重(g/mL)が0.83以上である
(5)起泡性の評価
(3)の製造工程において、高速で6分間撹拌して調製された直後のスポンジケーキ生地の比重(g/mL)を測定し、以下の基準にしたがって記号化した。結果を表4に示す。
○:良好 比重(g/mL)が0.45未満である
△:やや悪い 比重(g/mL)が0.45以上、0.55未満である
×:悪い 比重(g/mL)が0.55以上である
Figure 0006727882
表4の結果より、本発明のケーキ用乳化起泡剤1〜9は、比較例のケーキ用乳化起泡剤10〜12に比べて分散性及び起泡性に優れていた。

Claims (1)

  1. 下記(A)〜(並びに水及び/又は多価アルコールを含有し、且つ油脂を実質的に含有しないペースト状又はゲル状の乳化組成物であることを特徴とするケーキ用乳化起泡剤:
    (A)グリセリン飽和脂肪酸エステルを7〜12質量%
    (B)ショ糖飽和脂肪酸エステルを3〜13質量%、
    (C)グリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、グリセリン有機酸不飽和脂肪酸エステル、ショ糖不飽和脂肪酸エステル及びソルビタン不飽和脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上を0.1〜3.0質量%、並びに
    (D)ソルビタン飽和脂肪酸エステルを1〜6質量%。
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