JP6727864B2 - 投影用フィルム作製用組成物、投影用フィルム及び投影用スクリーン - Google Patents
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Description
本発明者らは、投影用フィルムにおいて耐擦傷性及び光学特性を向上させる手段を種々検討したところ、投影用フィルムの表面に中空粒子と樹脂とを含む樹脂層を形成すればよいことを見出し、本発明の投影用フィルム作製用組成物を完成させた。
本発明で使用する中空粒子の平均粒子径は、30nm以上500nm以下であることが必要であり、50nm以上300nm以下であることが更に好ましい。上記平均粒子径が30nmを下回ると、粒子の比表面積が大きくなり、その粒子を分散させるためにより多くの溶剤が必要となるため、投影用フィルム作製用組成物の粘度が低下して、塗膜の厚さを十分に確保できない場合がある。また、上記平均粒子径が500nmを超えると光の散乱が増すためか、投影用フィルムのヘイズが増加して画像の視認性が向上しない。
本発明で使用する重合性化合物は、各種のモノマー又はオリゴマーを用いることができるが、上記重合性化合物は、少なくとも上記オリゴマーを含むことが好ましい。上記オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート等を好適に用いることができる。上記オリゴマーを用いると、モノマーを単独で用いるより、いわゆる製膜性が向上し、架橋点間分子量が大きくなって作製後のフィルムのそり、いわゆるカールを低減することができる。
本発明の投影用フィルムは、基材と、上記基材の上に形成された樹脂層とを含み、上記基材は、ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムからなり、上記樹脂層は、中空粒子と、樹脂とを含み、上記中空粒子の1次粒子の平均粒子径が、30nm以上500nm以下であり、上記中空粒子の空隙率が、20体積%以上95体積%以下であり、上記中空粒子の含有量が、上記樹脂100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下であり、上記樹脂層の厚さが、上記中空粒子の平均粒子径の2倍以上であることを特徴とする。
本発明で使用する基材は、ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等を使用できるが、その汎用性の点から、PETフィルムが好ましい。ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムを使用することにより、前述のとおり、耐引き裂き性を向上できる。
本発明で使用する樹脂層は、中空粒子と樹脂とを含むものであるが、上記中空粒子については、前述の本発明の投影用フィルム作製用組成物で使用する中空粒子と同じものが使用できる。
本発明の投影用スクリーンは、部材と、上記部材に貼付した投影用フィルムとを備え、上記投影用フィルムが、上記本発明の投影用フィルムであることを特徴とする。本発明の投影用スクリーンは、本発明の投影用フィルムを備えているため、視認性に優れる。
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(ウレタンアクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPHA−40H”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):1379部
(4)中空シリカ粒子のメチルイソブチルケトン溶液(日揮触媒化成社製、商品名“スルーリア”、固形分濃度:25質量%):100部
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、商品名“ルミラー”、ガラス転移温度:70℃)の上に、バーコーターを用いて上記塗布液1を、塗膜厚さが0.15μmとなるよう塗布して乾燥した。次に、高圧水銀灯を用いて積算光量を250mJ/cm2となるように紫外線を照射して上記塗膜の硬化処理を行い、PETフィルムの上に樹脂層を形成して投影用フィルム1を作製した。
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):155部
(4)中空シリカ粒子のメチルイソブチルケトン溶液(日揮触媒化成社製、商品名“スルーリア”、固形分濃度:25質量%):300部
<中空シリカ粒子の作製>
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.1μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を40℃に加温し、その懸濁液を攪拌しながら以下の成分(1)〜(4)を配合し、更に30分攪拌して混合液を調製した。
(1)水:155部
(2)イソプロパノール:800部
(3)アンモニア水(濃度:28%):30部
(4)テトラエトキシシラン:15部
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):290部
<中空シリカ粒子の作製>
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.2μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を用い、テトラエトキシシランの配合量を7部に変更した以外は、実施例3と同様にして中空シリカ粒子を作製した。
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):292部
<中空シリカ粒子の作製>
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.2μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を用い、水の配合量を465部に、イソプロパノールの配合量を2400部に、アンモニア水の配合量を90部に、テトラエトキシシランの配合量を40部に、それぞれ変更した以外は、実施例3と同様にして中空シリカ粒子を作製した。
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):292部
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(ウレタンアクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPHA−40H”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):620部
(4)中実シリカ粒子のメチルエチルケトン溶液(日産化学工業社製、商品名“MEK−ST−ZL”、固形分濃度:30質量%):83.3部
厚さ100μmの環状オレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名“ゼオノアフィルム ZF14−100”、ガラス転移温度:136℃)の上に、バーコーターを用いて上記塗布液6を、塗膜厚さが0.27μmとなるよう塗布して乾燥した。次に、高圧水銀灯を用いて積算光量を250mJ/cm2となるように紫外線を照射して上記塗膜の硬化処理を行い、上記フィルムの上に樹脂層を形成して投影用フィルム6を作製した。
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):292部
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):292部
<中空シリカ粒子の作製>
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.2μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を用い、水の配合量を1550部に、イソプロパノールの配合量を8000部に、アンモニア水の配合量を300部に、テトラエトキシシランの配合量を125部に、それぞれ変更した以外は、実施例3と同様にして中空シリカ粒子を作製した。
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):290部
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.5μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を用い、テトラエトキシシランの配合量を6.0部に変更した以外は、実施例3と同様にして中空シリカ粒子を作製した。
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):194部
PETフィルムに代えて、厚さ100μmの環状オレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名“ゼオノアフィルム ZF14−100”、ガラス転移温度:136℃)を用い、実施例1で作製した塗布液1を用いた以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム11を作製した。
実施例1で用いたPETフィルムのみを投影用フィルムとして用いた。即ち、投影用フィルムには、樹脂層を設けていない。
先ず、投影用フィルムの端面を両手の親指と人差し指でつまむように、親指同士、人差し指同士が接触する位置で保持した。次に、両手を逆方向にひねるようにして投影用フィルムを引き裂いた。その結果、フィルムが切れなかった場合を耐引き裂き性が良好と判断し、フィルムが切れた場合を耐引き裂き性が不良と判断した。
参考例を除き、作製した投影用フィルムを断面加工したサンプルを作製し、そのサンプルをSEM観察し、中空シリカ粒子20個の1次粒子の粒子径及び殻壁の厚さを測定して算術平均することにより、中空シリカ粒子の平均粒子径と殻壁の平均厚さを求め、これらの値から、前述の式(1)から中空シリカ粒子の空隙率を求めた。
評価用サンプルの投影用フィルム側をスキージで3回擦り、傷の有無を確認した。その結果、傷が2本以下の場合を耐擦傷性が良好と判断し、傷が3本以上の場合を耐擦傷性が不良と判断した。
評価用サンプルを、日本電色工業社製の濁度計“NDH2000”を用い、JIS K7361−1に対応した方法で全光線透過率を測定した。
11 投影用フィルム
11a PETフィルム
11b 樹脂層
12 ガラス基板
13 超短焦点プロジェクター
13a 投影方向
14 視認方向
Claims (7)
- 基材と、前記基材の上に形成された樹脂層とを含む投影用フィルムであって、
前記基材は、ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムからなり、
前記樹脂層は、中空粒子と、樹脂とを含み、
前記中空粒子の1次粒子の平均粒子径が、30nm以上500nm以下であり、
前記中空粒子の空隙率が、20体積%以上95体積%以下であり、
前記中空粒子の含有量が、前記樹脂100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下であり、
前記樹脂層の厚さが、前記中空粒子の平均粒子径の2倍以上5μm以下であることを特徴とする投影用フィルム。 - 前記中空粒子が、中空シリカ粒子である請求項1に記載の投影用フィルム。
- 前記樹脂が、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の投影用フィルム。
- 部材と、前記部材に貼付した投影用フィルムとを含む投影用スクリーンであって、
前記投影用フィルムが、請求項1〜3のいずれか1項に記載の投影用フィルムであることを特徴とする投影用スクリーン。 - 前記部材と前記投影用フィルムとは、粘着剤により貼り合わせられている請求項4に記載の投影用スクリーン。
- 前記部材が、ガラス基板、ガラスシート、樹脂基板及び樹脂シートから選ばれる少なくとも一種である請求項4又は5に記載の投影用スクリーン。
- 前記投影用フィルムの前記樹脂層が、最表層に配置されている請求項4〜6のいずれか1項に記載の投影用スクリーン。
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