JP6727864B2 - 投影用フィルム作製用組成物、投影用フィルム及び投影用スクリーン - Google Patents

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Description

本発明は、投影用フィルム作製用組成物とその投影用フィルム作製用組成物を用いて作製した投影用フィルム、及びその投影用フィルムを用いた投影用スクリーンに関する。
ホームシアターといった個人用途、商品広告等のデジタルサイネージ、更に会議室等での資料投影といった企業内活動等の様々な用途で、プロジェクターが用いられている。このようなプロジェクターの投影用スクリーンには、投影用スクリーンの背面に映像を投影し透過光を視認する透過型スクリーンと、投影用スクリーンの前面に映像を投影して反射光を視認する反射型スクリーンの2つのタイプがある。それぞれのタイプのスクリーンで重要なことは、投影画像が明確に確認できること、即ち視認性である。視認性を良好とするには透過型スクリーンでは、特に透過光が明るいことが必要である。
近年、省スペース化のため、プロジェクターと投影用スクリーンとの距離を短縮した超短焦点プロジェクターが商品化されてきている。超短焦点プロジェクターは、従来のプロジェクターと画像の投影角が異なる。従来のプロジェクターは投影用スクリーンに対し正面方向から画像を投影するのに対し、超短焦点プロジェクターは、投影用スクリーンにプロジェクターを近接して設置するため、極端に斜め方向から画像を投影することになる。このように超短焦点プロジェクターを用いると、投影用スクリーンに対する投影光の入射角が大きくなるためスクリーンを透過する光量が減少し、投影画像が従来のプロジェクターを用いた場合に比べて暗くなり、視認性が劣ることになる。
超短焦点プロジェクターを用い、透過型スクリーンにおいて視認性の良好な画像を得るには、従来のプロジェクターより光量を増加させる方法、あるいは投影用スクリーンの光透過率を高める方法を採用することが考えられる。本発明者らは、投影用スクリーンの光透過率を高める方法を採用し、そのための検討を始めた。その結果、投影用スクリーンの光透過率を増すには、投影用スクリーンに用いる投影用フィルムの表面に中空粒子を含む層を設ければよいことを見出した。
ところで、投影用フィルムに中空粒子を用いる例として、例えば、特許文献1では、環状オレフィン系樹脂と、環状オレフィン系樹脂と親和性に優れる中空で平均粒子径が2.0μm以上の有機架橋粒子とを含む樹脂組成物を用いることが提案されている。この樹脂組成物は成型性に優れており、この樹脂組成物を用いることにより、明るさと像の鮮明さとが向上した透過型スクリーン用拡散板を提供できるとしている。しかし、このような環状オレフィン系樹脂は引き裂き強度が低く、また衝撃にも弱いため、投影用フィルムに用いた場合に、その取扱いが難しい。
また、本発明に関連する先行技術文献としては、特許文献2〜6及び非特許文献1及び2がある。
特開2008−64951号公報 特許第4046921号公報(特開2001−233611号公報) 特許第4654428号公報(特開2005−263550号公報) 特許第4861634号公報(特開2006−256921号公報) 特許第4853662号公報(特開2008−247664号公報) 特許第5194935号公報(特開2009−234848号公報)
藤 正督 他、名古屋工業大学先進セラミックス研究センター年報、2、25(2013) 酒井 秀樹 他、Material Technology、30、147(2012)
本発明は、ガラス基板等への貼付け作業前の投影用フィルムの裁断、加工等の際に、投影用フィルムの引き裂きが生じにくく、また、スキージ等を用いて貼付け作業を行っても投影用フィルムの表面に傷つきが生じにくく、更に視認性が良好な投影用フィルムを提供するものである。
本発明の投影用フィルム作製用組成物は、中空粒子と、重合性化合物とを含む投影用フィルム作製用組成物であって、前記中空粒子の1次粒子の平均粒子径が、30nm以上500nm以下であり、前記中空粒子の空隙率が、20体積%以上95体積%以下であり、前記中空粒子の含有量が、前記中空粒子以外の、前記重合性化合物を含む固形成分100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下であることを特徴とする。
また、本発明の投影用フィルムは、基材と、前記基材の上に形成された樹脂層とを含む投影用フィルムであって、前記基材は、ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムからなり、前記樹脂層は、中空粒子と、樹脂とを含み、前記中空粒子の1次粒子の平均粒子径が、30nm以上500nm以下であり、前記中空粒子の空隙率が、20体積%以上95体積%以下であり、前記中空粒子の含有量が、前記樹脂100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下であり、前記樹脂層の厚さが、前記中空粒子の平均粒子径の2倍以上であることを特徴とする。
また、本発明の投影用スクリーンは、部材と、前記部材に貼付した投影用フィルムとを含む投影用スクリーンであって、前記投影用フィルムが、上記本発明の投影用フィルムであることを特徴とする。
本発明によれば、耐引き裂き性、耐擦傷性及び光学特性に優れた投影用フィルムを提供できる。
図1は、本発明の投影用スクリーンの一例を示す模式断面図である。 図2は、本発明の投影用スクリーンに超短焦点プロジェクターを用いて映像を投影している状態の一例を示す模式図である。
(本発明の投影用フィルム作製用組成物)
本発明者らは、投影用フィルムにおいて耐擦傷性及び光学特性を向上させる手段を種々検討したところ、投影用フィルムの表面に中空粒子と樹脂とを含む樹脂層を形成すればよいことを見出し、本発明の投影用フィルム作製用組成物を完成させた。
即ち、本発明の投影用フィルム作製用組成物は、中空粒子と、重合性化合物とを含み、上記中空粒子の1次粒子の平均粒子径は、30nm以上500nm以下であり、上記中空粒子の空隙率は、20体積%以上95体積%以下であり、上記中空粒子の含有量は、上記中空粒子以外の、上記重合性化合物を含む固形成分100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下であることを特徴とする。
本発明の投影用フィルム作製用組成物は、1次粒子の平均粒子径が30nm以上500nm以下であり、且つ、空隙率が20体積%以上95体積%以下の中空粒子を含んでいるため、耐擦傷性及び光学特性に優れた投影用フィルムを提供できる。
また、上記中空粒子の含有量は、上記中空粒子以外の、上記重合性化合物を含む固形成分100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下に設定する必要があり、20質量部以上120質量部以下がより好ましい。上記中空粒子の含有量が10質量部を下回ると、投影用フィルムの光透過率の向上効果が小さくなり、上記中空粒子の含有量が150質量部を超えると、投影用フィルムの耐擦傷性が低下する。
以下、本発明の投影用フィルム作製用組成物の各成分について詳細に説明する。
<中空粒子>
本発明で使用する中空粒子の平均粒子径は、30nm以上500nm以下であることが必要であり、50nm以上300nm以下であることが更に好ましい。上記平均粒子径が30nmを下回ると、粒子の比表面積が大きくなり、その粒子を分散させるためにより多くの溶剤が必要となるため、投影用フィルム作製用組成物の粘度が低下して、塗膜の厚さを十分に確保できない場合がある。また、上記平均粒子径が500nmを超えると光の散乱が増すためか、投影用フィルムのヘイズが増加して画像の視認性が向上しない。
また、上記中空粒子の空隙率は、20体積%以上95体積%以下であることが必要である。上記空隙率が20体積%を下回ると、投影用フィルムの光透過率が向上せず、画像の視認性が劣る。また、上記空隙率が95体積%を超えると、粒子の殻壁が薄くなり、破砕されやすくなるためか、投影用フィルムの光透過率が向上せず、画像の視認性が劣る。
上記中空粒子の平均粒子径及び空隙率は、中空粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して算出できる。上記観察では、上記中空粒子を直接観察してもよいし、上記中空粒子をイオンミリングで断面加工して観察してもよく、また、上記中空粒子を樹脂包埋した後にミクロトーム等で断面加工して観察してもよい。いずれにしても、上記中空粒子の10個以上の粒子について、その粒子径、殻壁の厚さを測定し、その平均粒子径及び殻壁の平均厚さを求め、下記式(1)から空隙率を求めればよい。ここで、上記中空粒子の粒子径は、いわゆる1次粒子の大きさを指し、上記中空粒子が長軸長と短軸長の比が1〜3.5である球状ないし楕円体状の場合は最大差し渡し径をその粒子径とし、それ以外の粒子の場合には長軸径をその粒子の粒子径とする。
空隙率(%)=[(平均粒子径−殻壁の平均厚さ×2)/平均粒子径]3×100 (1)
本発明の投影用フィルム作製用組成物に含まれる中空粒子の含有量は、前述のとおり、上記中空粒子以外の上記重合性化合物を含む固形成分100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下に設定されるが、上記重合性化合物を除く固形成分としては、例えば、光重合開始剤、樹脂ポリマー、分散剤、粘着付与剤等の任意成分が該当する。また、上記中空粒子の含有量は、例えば、熱分析法により測定できる。即ち、上記投影用フィルム作製用組成物を加熱して溶剤等の非固形成分を除去した後、残りの固形成分の質量を測定し、更に700℃付近まで加熱して、中空粒子以外の固形成分を焼失させた後の残渣の質量を測定する。その残渣の質量は中空粒子の質量と考えられるため、その残渣の質量と上記固形成分の質量から、投影用フィルム作製用組成物に含まれる中空粒子の含有率を求めることができる。
上記中空粒子の材質は限定されず、中空無機粒子及び中空有機粒子のいずれも使用できるが、中空無機粒子である中空シリカ粒子が特に好ましい。上記中空シリカ粒子は、物理的強度が大きく、投影用フィルム作製用組成物中での分散性に優れているからである。上記中空シリカ粒子は、その構成成分としてSiO2以外に他の金属元素を含んでいてもよく、また、含水化合物であってもよい。
上記平均粒子径が30nm以上500nm以下の中空シリカ粒子の作製方法は特に限定されないが、例えば、前述の非特許文献1に記載されているようなテンプレート法により作製できる。より具体的には、前述の非特許文献2に記載の気泡をテンプレートとして用いる方法、前述の特許文献2、3、4に記載の無機粒子を鋳型とする無機テンプレート法、前述の特許文献5、6に記載の有機粒子を鋳型とする有機テンプレート法等により作製できる。
更に、上記中空シリカ粒子には、上記重合性化合物を重合して形成する樹脂との馴染みをよくするため、表面処理を施してもよい。上記表面処理は、例えば中空シリカ粒子の分散液又は懸濁液にシリコンカップリング剤を添加して行ってもよい。用いるシリコンカップリング剤により、中空シリカ粒子の表面を修飾する有機官能基は異なるが、メチル基、フェニル基等で修飾して表面処理することが好ましい。
<重合性化合物>
本発明で使用する重合性化合物は、各種のモノマー又はオリゴマーを用いることができるが、上記重合性化合物は、少なくとも上記オリゴマーを含むことが好ましい。上記オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート等を好適に用いることができる。上記オリゴマーを用いると、モノマーを単独で用いるより、いわゆる製膜性が向上し、架橋点間分子量が大きくなって作製後のフィルムのそり、いわゆるカールを低減することができる。
上記モノマーとしては、従来公知の紫外線硬化型樹脂モノマーを用いることが好ましい。例えば、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーを使用してもよい。
上記重合性化合物は、ガンマー線、電子線、紫外線等の放射線を照射すると反応する官能基を含むものであり、放射線照射で反応する官能基としては、アクリル基、メタクリル基が好ましい。上記放射線として紫外線を用いる場合は、本発明の投影用フィルム作製用組成物は上記重合性化合物と共に光重合開始剤を含むことが好ましい。上記光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等を好適に用いることができる。上記光重合開始剤の添加量は、上記重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部とすればよく、0.3〜5質量部が好ましい。
本発明の投影用フィルム作製用組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、上記各成分を必要に応じて溶剤と混合して、各固形成分を十分に分散すればよい。上記混合方法は特に限定されないが、例えば、ディスパー、ホモミキサー、リボンミキサー、パドルミキサー、プラネタリミキサー、ロールミル、ニーダー、ボールミル、サンドミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を用いて混合することができる。
上記溶剤としては、従来公知のものを用いてもよい。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、ヘキサン、オクタン等の脂肪族系、トルエン、キシレン等の芳香族系、エチレングリコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、リモネン等のテルペン系、メチルグリコール、イソプロピルグリコール、メチルプロピレングリコール、プロピルプロピレングリコール、ブチルプロピレングリコール、メチルプロピレングリコールアセテート、ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール等のグリコールエーテル系の溶剤を単独もしくは混合して用いてもよい。上記溶剤の使用量は、上記投影用フィルム作製用組成物を塗布に適した流動性を与えるに必要量を使用すればよい。
(本発明の投影用フィルム)
本発明の投影用フィルムは、基材と、上記基材の上に形成された樹脂層とを含み、上記基材は、ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムからなり、上記樹脂層は、中空粒子と、樹脂とを含み、上記中空粒子の1次粒子の平均粒子径が、30nm以上500nm以下であり、上記中空粒子の空隙率が、20体積%以上95体積%以下であり、上記中空粒子の含有量が、上記樹脂100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下であり、上記樹脂層の厚さが、上記中空粒子の平均粒子径の2倍以上であることを特徴とする。
本発明の投影用フィルムの基材は、ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムからなるため、ガラス基板等への貼付け作業前の投影用フィルムの裁断、加工等の際に、投影用フィルムの引き裂きが生じにくい。
また、本発明の投影用フィルムの樹脂層は、1次粒子の平均粒子径が30nm以上500nm以下であり、且つ、空隙率が20体積%以上95体積%以下の中空粒子を含んでいるため、耐擦傷性及び光学特性に優れた投影用フィルムを提供できる。
また、上記樹脂層における上記中空粒子の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下に設定する必要があり、20質量部以上120質量部以下がより好ましい。上記中空粒子の含有量が10質量部を下回ると、投影用フィルムの光透過率の向上効果が小さくなり、上記中空粒子の含有量が150質量部を超えると、投影用フィルムの耐擦傷性が低下する。
本発明の投影用フィルムの樹脂層に含まれる中空粒子の含有量は、上記樹脂100質量部に対して、10質量部以上150質量部に設定されるが、その含有量は、例えば、熱分析法により測定できる。即ち、上記基材から剥がした上記投影用フィルムの樹脂層を700℃付近まで加熱して、残渣の質量を測定し、その残渣の質量から上記樹脂層に含まれる中空粒子の質量を求めて、その中空粒子の質量から上記樹脂層に含まれる中空粒子の含有率を求めることができる。
更に、上記樹脂層の厚さは、上記中空粒子の平均粒子径の2倍以上とする必要がある。上記樹脂層の厚さを上記中空粒子の平均粒子径の2倍以上とすることにより、上記樹脂層の表面を平滑にでき、投影用フィルムをガラス基板等に貼り付ける時に、スキージ等で擦ってもフィルム表面に傷が付かない。
以下、本発明の投影用フィルムの各構成部材について詳細に説明する。
<基材>
本発明で使用する基材は、ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等を使用できるが、その汎用性の点から、PETフィルムが好ましい。ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムを使用することにより、前述のとおり、耐引き裂き性を向上できる。
上記基材の厚さは特に限定されず、例えば10〜200μmとすることができる。
一方、ガラス転移温度が95℃を超える、例えば環状オレフィン系樹脂フィルムを用いると、高弾性率である反面、耐引き裂き性が低くなる。
<樹脂層>
本発明で使用する樹脂層は、中空粒子と樹脂とを含むものであるが、上記中空粒子については、前述の本発明の投影用フィルム作製用組成物で使用する中空粒子と同じものが使用できる。
上記樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂等を用いることができる。また、上記樹脂として、前述の本発明の投影用フィルム作製用組成物で使用する重合性化合物を重合した樹脂を使用することもできる。
上記樹脂層の厚さは、上記中空粒子の平均粒子径の2倍以上であれば、その上限値は特に限定されず、例えば5μm以下とすることができる。
本発明の投影用フィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、上記空粒子と上記樹脂と溶剤とを含む塗布液を調製し、その塗布液を上記基材に塗布して乾燥して、上記基材の上に上記樹脂層を形成することにより製造できる。
また、上記塗布液を塗布する方法は、平滑な塗膜を形成しうる塗布方法であれば特に制限されるものではなく、例えば、グラビアロール法、マイクログラビアロール法、マイクログラビアコータ法、スリットダイコート法、コンマコート法、スピン法、ナイフ法、キス法、スクイズ法、リバースロール法、ディップ法、バーコート法等が挙げられる。
また、本発明の投影用フィルムは、前述の本発明の投影用フィルム作製用組成物を上記基材に塗布した後、上記投影用フィルム作製用組成物に含まれる重合性化合物を重合して、上記基材の上に上記樹脂層を形成することによっても製造できる。上記重合性化合物を重合する方法は特に限定されないが、塗膜に紫外線等の電離放射線を照射する方法を用いることができる。
上記電離放射線としては、例えば、紫外線、電子線、β線等を用いることができるが、簡便に利用できることから、紫外線が多用される。紫外線の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線LEDランプ等が使用できる。上記電離放射線として紫外線を用いる場合には、前述のとおり上記投影用フィルム作製用組成物には光重合開始剤を含めることが好ましい。
(本発明の投影用スクリーン)
本発明の投影用スクリーンは、部材と、上記部材に貼付した投影用フィルムとを備え、上記投影用フィルムが、上記本発明の投影用フィルムであることを特徴とする。本発明の投影用スクリーンは、本発明の投影用フィルムを備えているため、視認性に優れる。
本発明の投影用スクリーンは、透過型スクリーンとしても、反射型スクリーンとしても用いることができるが、透過型スクリーンとして使用した場合に、特に視認性に優れる。
上記部材と上記投影用フィルムとは、粘着剤により貼り合わせられていることが好ましい。これにより、上記投影用フィルムの上記基材からの剥離を防止できる。また、上記粘着剤は、特に限定されない。
上記部材としても特に限定されないが、例えば、ガラス基板、ガラスシート、樹脂基板、樹脂シート等を使用できる。
また、上記投影用フィルムの上記樹脂層は、最表層に配置されていることが好ましい。これにより、スクリーンの視認性をより向上できる。
本発明の投影用スクリーンの製造方法は特に限定されず、例えば、上記部材に上記投影用フィルムを粘着剤等により貼り合わせればよい。
次に、本発明の投影用スクリーンを図面に基づき説明する。図1は、本発明の投影用スクリーンの一例を示す模式断面図である。図1において、本発明の投影用スクリーン10は、投影用フィルム11とガラス基板12とを備え、投影用フィルム11は、ガラス基板12の上に粘着剤(図示せず。)を介して貼り合わされている。投影用フィルムは、PETフィルム11aと、PETフィルム11aの上に配置された樹脂層11bとからなる。樹脂層11bは、中空粒子と樹脂とから形成され、投影用スクリーンの最表層に配置されている。
また、図2は、図1に示した投影用スクリーンを透過型スクリーンとして用いて、超短焦点プロジェクターにより映像を投影している状態の一例を示す模式図である。図2において、投影用スクリーン10は、その投影用フィルム11側を超短焦点プロジェクター13側に向けて配置されている。図2において、超短焦点プロジェクター13からの投影光は、投影方向13a側に投光され、映像の視認者は視認方向14側から視認する。また、図2において、投影用フィルム11は、図1と同様に、PETフィルム11aと、PETフィルム11aの上に配置された樹脂層11bとからなり、ガラス基板12に貼付されている。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例では「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(ウレタンアクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPHA−40H”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):1379部
次に、上記混合液に下記成分(4)を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら混合液に対し超音波分散処理を行い、最後に孔径1μmのフィルターを通してろ過して塗布液1を得た。
(4)中空シリカ粒子のメチルイソブチルケトン溶液(日揮触媒化成社製、商品名“スルーリア”、固形分濃度:25質量%):100部
<投影用フィルムの作製>
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、商品名“ルミラー”、ガラス転移温度:70℃)の上に、バーコーターを用いて上記塗布液1を、塗膜厚さが0.15μmとなるよう塗布して乾燥した。次に、高圧水銀灯を用いて積算光量を250mJ/cm2となるように紫外線を照射して上記塗膜の硬化処理を行い、PETフィルムの上に樹脂層を形成して投影用フィルム1を作製した。
(実施例2)
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):155部
次に、上記混合液に下記成分(4)を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら混合液に対し超音波分散処理を行い、最後に孔径1μmのフィルターを通してろ過して塗布液2を得た。
(4)中空シリカ粒子のメチルイソブチルケトン溶液(日揮触媒化成社製、商品名“スルーリア”、固形分濃度:25質量%):300部
上記塗布液2を用い、塗膜厚さを1.7μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム2を作製した。
(実施例3)
<中空シリカ粒子の作製>
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.1μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を40℃に加温し、その懸濁液を攪拌しながら以下の成分(1)〜(4)を配合し、更に30分攪拌して混合液を調製した。
(1)水:155部
(2)イソプロパノール:800部
(3)アンモニア水(濃度:28%):30部
(4)テトラエトキシシラン:15部
続いて、上記混合液を40℃で10時間静置した後、室温に戻した。その後、遠心分離により、生成した粒子を回収し、水に分散させた。上記遠心分離、粒子回収、水分散を2回繰り返し、フィルターでろ過した後、遠心分離により粒子を回収した。その後、回収した粒子を100℃で5時間乾燥した後、得られた粉末を焼成炉に入れてエアフローしながら1℃/分の速度で500℃まで昇温し、500℃で3時間焼成した。更に、5℃/分の速度で900℃まで昇温し、900℃で3時間焼成した後、徐々に室温まで冷却し、中空シリカ粒子を得た。
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):290部
次に、上記で作製した中空シリカ粒子:45部と、溶剤(メチルエチルケトン):255部とを十分に攪拌・混合して、中空シリカ粒子懸濁液を作製した。次に、上記混合液に上記中空シリカ粒子懸濁液を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら超音波分散処理を行い、塗布液3を得た。
上記塗布液3を用い、塗膜厚さを2.5μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム3を作製した。
(実施例4)
<中空シリカ粒子の作製>
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.2μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を用い、テトラエトキシシランの配合量を7部に変更した以外は、実施例3と同様にして中空シリカ粒子を作製した。
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):292部
次に、上記で作製した中空シリカ粒子:7.5部と、溶剤(メチルエチルケトン):42.5部とを十分に攪拌・混合して、中空シリカ粒子懸濁液を作製した。次に、上記混合液に上記中空シリカ粒子懸濁液を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら超音波分散処理を行い、塗布液4を得た。
上記塗布液4を用い、塗膜厚さを2.8μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム4を作製した。
(実施例5)
<中空シリカ粒子の作製>
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.2μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を用い、水の配合量を465部に、イソプロパノールの配合量を2400部に、アンモニア水の配合量を90部に、テトラエトキシシランの配合量を40部に、それぞれ変更した以外は、実施例3と同様にして中空シリカ粒子を作製した。
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):292部
次に、上記で作製した中空シリカ粒子:15部と、溶剤(メチルエチルケトン):85部とを十分に攪拌・混合して、中空シリカ粒子懸濁液を作製した。次に、上記混合液に上記中空シリカ粒子懸濁液を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら超音波分散処理を行い、塗布液5を得た。
上記塗布液5を用い、塗膜厚さを2.4μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム5を作製した。
(比較例1)
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(ウレタンアクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPHA−40H”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):620部
次に、上記混合液に下記成分(4)を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら混合液に対し超音波分散処理を行い、最後に孔径2μmのフィルターを通してろ過して塗布液6を得た。
(4)中実シリカ粒子のメチルエチルケトン溶液(日産化学工業社製、商品名“MEK−ST−ZL”、固形分濃度:30質量%):83.3部
<投影用フィルムの作製>
厚さ100μmの環状オレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名“ゼオノアフィルム ZF14−100”、ガラス転移温度:136℃)の上に、バーコーターを用いて上記塗布液6を、塗膜厚さが0.27μmとなるよう塗布して乾燥した。次に、高圧水銀灯を用いて積算光量を250mJ/cm2となるように紫外線を照射して上記塗膜の硬化処理を行い、上記フィルムの上に樹脂層を形成して投影用フィルム6を作製した。
(比較例2)
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):292部
次に、実施例3で作製した中空シリカ粒子:80部と、溶剤(メチルエチルケトン):453部とを十分に攪拌・混合して、中空シリカ粒子懸濁液を作製した。次に、上記混合液に上記中空シリカ粒子懸濁液を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら超音波分散処理を行い、塗布液7を得た。
上記塗布液7を用い、塗膜厚さを2.6μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム7を作製した。
(比較例3)
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):292部
次に、実施例3で作製した中空シリカ粒子:2.5部と、溶剤(メチルエチルケトン):15部とを十分に攪拌・混合して、中空シリカ粒子懸濁液を作製した。次に、上記混合液に上記中空シリカ粒子懸濁液を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら超音波分散処理を行い、塗布液8を得た。
上記塗布液8を用い、塗膜厚さを2.8μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム8を作製した。
(比較例4)
<中空シリカ粒子の作製>
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.2μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を用い、水の配合量を1550部に、イソプロパノールの配合量を8000部に、アンモニア水の配合量を300部に、テトラエトキシシランの配合量を125部に、それぞれ変更した以外は、実施例3と同様にして中空シリカ粒子を作製した。
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):290部
次に、上記で作製した中空シリカ粒子:50部と、溶剤(メチルエチルケトン):285部とを十分に攪拌・混合して、中空シリカ粒子懸濁液を作製した。次に、上記混合液に上記中空シリカ粒子懸濁液を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら超音波分散処理を行い、塗布液9を得た。
上記塗布液9を用い、塗膜厚さを2.4μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム9を作製した。
(比較例5)
ポリスチレン粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、アミノ基修飾、粒子の平均粒子径:0.5μm、固形分濃度:2.5質量%)75部を用い、テトラエトキシシランの配合量を6.0部に変更した以外は、実施例3と同様にして中空シリカ粒子を作製した。
<投影用フィルム作製用組成物(塗布液)の調製>
先ず、以下の成分(1)〜(3)をステンレス鋼製容器に入れて攪拌・混合して混合液を調製した。
(1)重合性化合物(多官能アクリレート:日本化薬社製、商品名“KAYARAD DPCA−60”):50部
(2)光重合開始剤〔2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン〕:1.5部
(3)溶剤(メチルエチルケトン):194部
次に、上記で作製した中空シリカ粒子:7.5部と、溶剤(メチルエチルケトン):42.5部とを十分に攪拌・混合して、中空シリカ粒子懸濁液を作製した。次に、上記混合液に上記中空シリカ粒子懸濁液を配合して攪拌・混合した後、更に容器を水冷しながら超音波分散処理を行い、塗布液10を得た。
上記塗布液10を用い、塗膜厚さを0.78μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム10を作製した。
(比較例6)
PETフィルムに代えて、厚さ100μmの環状オレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製、商品名“ゼオノアフィルム ZF14−100”、ガラス転移温度:136℃)を用い、実施例1で作製した塗布液1を用いた以外は、実施例1と同様にして投影用フィルム11を作製した。
(参考例)
実施例1で用いたPETフィルムのみを投影用フィルムとして用いた。即ち、投影用フィルムには、樹脂層を設けていない。
次に、実施例1〜5及び比較例1〜6で作製した投影用フィルムを用いて下記特性を評価した。
<耐引き裂き性>
先ず、投影用フィルムの端面を両手の親指と人差し指でつまむように、親指同士、人差し指同士が接触する位置で保持した。次に、両手を逆方向にひねるようにして投影用フィルムを引き裂いた。その結果、フィルムが切れなかった場合を耐引き裂き性が良好と判断し、フィルムが切れた場合を耐引き裂き性が不良と判断した。
<中空シリカ粒子の平均粒子径及び空隙率>
参考例を除き、作製した投影用フィルムを断面加工したサンプルを作製し、そのサンプルをSEM観察し、中空シリカ粒子20個の1次粒子の粒子径及び殻壁の厚さを測定して算術平均することにより、中空シリカ粒子の平均粒子径と殻壁の平均厚さを求め、これらの値から、前述の式(1)から中空シリカ粒子の空隙率を求めた。
続いて、実施例1〜5、比較例1〜6及び参考例で作製した投影用フィルムを、縦50mm、横50mm、厚さ3mmのフロートガラス板に、樹脂層を外側にして貼り付け、評価用サンプルとした。上記貼り付けには、厚さ20μmの基材レスの光学用粘着テープ(日立マクセル社製、“高透明基材レス両面テープNo.5075”)を用いた。上記評価用サンプルの特性を下記のように評価した。
<耐擦傷性>
評価用サンプルの投影用フィルム側をスキージで3回擦り、傷の有無を確認した。その結果、傷が2本以下の場合を耐擦傷性が良好と判断し、傷が3本以上の場合を耐擦傷性が不良と判断した。
<光学特性>
評価用サンプルを、日本電色工業社製の濁度計“NDH2000”を用い、JIS K7361−1に対応した方法で全光線透過率を測定した。
以上の結果を表1に示す。また、表1には、用いた中空シリカ粒子の含有量、種類及び塗膜厚さも示した。
Figure 0006727864
表1から、実施例1〜5では、投影用フィルムの樹脂層において、平均粒子径が30〜500nmで、空隙率が20〜95体積%の中空粒子を用い、上記中空粒子の添加量を上記樹脂100質量部に対して10〜150質量部としたので、作製した評価用サンプルの全光線透過率は92%以上となり、基材のみを用いた参考例と比べて視認性が良好な投影用フィルムが得られた。また、実施例1〜5では、投影用フィルムの基材にPETフィルムを用いたので、耐引き裂き性が良好となり、塗膜厚さ(樹脂層厚さ)を中空粒子の平均粒子径の2倍以上としたので、耐擦傷性が良好となった。
一方、比較例1は、基材に環状オレフィン系樹脂フィルムを用いたので、耐引き裂き性が劣り、また、中実粒子を用いたので、実施例1〜5に比べて光学特性が劣った。比較例2は、中空粒子の添加量が150質量部を超えたので、耐擦傷性が劣った。比較例3は、中空粒子の添加量が10質量部を下回ったため、実施例1〜5に比べて光学特性が劣った。比較例4は、中空粒子の空隙率が20体積%を下回ったため、実施例1〜5に比べて光学特性が劣った。比較例5は、中空粒子の平均粒子径が500nmを超えたため、光学特性が劣り、塗膜厚さが中空粒子の2倍を下回ったため、耐擦傷性が劣った。比較例6は、投影用フィルムの基材に、ガラス転移温度が95℃を超える環状オレフィン系樹脂フィルムを用いたので、耐引き裂き性が劣った
本発明は、耐引き裂き性、耐擦傷性及び光学特性に優れた投影用フィルムを提供でき、視認性に優れた投影用スクリーンを実現でき、各種プロジェクターのスクリーンとして対応できる。
10 投影用スクリーン
11 投影用フィルム
11a PETフィルム
11b 樹脂層
12 ガラス基板
13 超短焦点プロジェクター
13a 投影方向
14 視認方向

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材の上に形成された樹脂層とを含む投影用フィルムであって、
    前記基材は、ガラス転移温度が95℃以下の樹脂フィルムからなり、
    前記樹脂層は、中空粒子と、樹脂とを含み、
    前記中空粒子の1次粒子の平均粒子径が、30nm以上500nm以下であり、
    前記中空粒子の空隙率が、20体積%以上95体積%以下であり、
    前記中空粒子の含有量が、前記樹脂100質量部に対して、10質量部以上150質量部以下であり、
    前記樹脂層の厚さが、前記中空粒子の平均粒子径の2倍以上5μm以下であることを特徴とする投影用フィルム。
  2. 前記中空粒子が、中空シリカ粒子である請求項に記載の投影用フィルム。
  3. 前記樹脂が、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも一種である請求項又はに記載の投影用フィルム。
  4. 部材と、前記部材に貼付した投影用フィルムとを含む投影用スクリーンであって、
    前記投影用フィルムが、請求項のいずれか1項に記載の投影用フィルムであることを特徴とする投影用スクリーン。
  5. 前記部材と前記投影用フィルムとは、粘着剤により貼り合わせられている請求項に記載の投影用スクリーン。
  6. 前記部材が、ガラス基板、ガラスシート、樹脂基板及び樹脂シートから選ばれる少なくとも一種である請求項又はに記載の投影用スクリーン。
  7. 前記投影用フィルムの前記樹脂層が、最表層に配置されている請求項のいずれか1項に記載の投影用スクリーン。
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