JP6724617B2 - 鋼管の製造方法及び焼入れ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼管の製造方法及び焼入れ装置に関する。
鋼管の焼入れは、焼入れ組織の確保と生産性向上の要請とから、設備仕様の最大冷却速度で急冷することで実施される。しかし、C含有量の高い鋼管は、焼割れ感受性が高いため、単純な冷却手段では冷却速度が大きすぎると焼割れが発生する。一方、冷却速度が小さすぎると焼入れ組織が得られず、所望の特性が得られない。
特開昭60−190524号公報には、連続的に配設した冷却媒体噴射ノズル列内を移動させることにより鋼管を焼入れする方法が記載されている。
特開昭61−281823号公報には、求心状に複数のミスティングジェットノズルを備え、鋼管の移送方向に複数縦列配置された冷却ヘッダ内を順次通過させて鋼管を冷却する方法が記載されている。同文献には、冷却後の鋼管に要求される金属組織及び機械的性質によって定まる冷却時の鋼管温度履歴に合致させるように、冷却ヘッダごとにその冷却水供給量及びエア供給量を設定し、かつ鋼管の移送速度を設定し冷却を行うことが記載されている。
特開昭62−192535号公報には、水量と気水比とが調整可能なミスティングジェットノズルを用いて構成された冷却能が可変で、かつ速度可変ローラコンベア中に鋼管移動方向に複数個連設された環状冷却ヘッダ内に、所定温度に加熱した鋼管を挿通移動させて冷却するに際し、その鋼管の移動速度と各冷却ヘッダの冷却能とを、所定の冷却速度パターン及び温度差が得られるように各々設定し、冷却することを特徴とする鋼管の冷却方法が記載されている。
特開平9−104925号公報には、重量%で、0.2〜1.2%のCを含有する鋼管の焼割れを防止する焼入れ方法であって、焼入れにおいて冷却を鋼管の内面だけから行うことを特徴とする中・高炭素鋼の焼入れ方法が開示されている。
特開昭60−190524号公報 特開昭61−281823号公報 特開昭62−192535号公報 特開平9−104925号公報 特開2003−4707号公報 特公平4−26903号公報 特開2012−172173号公報
鋼管に割れが発生する場合、多くは管端部を起点とし、管軸方向にき裂が進展する。これは管端部に応力が集中するためである。管端に面取り加工を実施することで、応力集中を緩和し、焼割れを防止することができる。しかし、熱処理対象の鋼管すべてに面取り加工を実施すると、生産性が低下する。
また、鋼管を水冷によって焼入れする場合、冷却水の一部が管端から鋼管の内側に侵入する場合がある。鋼管の内側に冷却水が浸入すると、内面の円周方向に不均一な熱応力が生じ、焼割れが起こりやすくなる。これを防ぐため、管端に蓋を溶接することも考えられる。しかし、面取り加工と同様、熱処理対象の鋼管すべてに蓋を取り付けると、生産性が低下する。
上記の特許文献には、管端部から発生する割れ、及び鋼管内部へ冷却水が浸入することによる割れへの、特別な対応は検討されていない。
本発明の目的は、焼割れの防止と焼入れ組織の確保とを両立することができる、鋼管の製造方法及び焼入れ装置を提供することである。
本発明の一実施形態による鋼管の製造方法は、素管を焼入れして、管端部を除いてマルテンサイトの体積率が90%以上である鋼管を製造する方法であって、加熱装置で前記素管を加熱する工程と、前記素管をその軸方向に搬送する工程と、前記素管の軸方向に沿って配置され、各々が前記素管を検出する複数のセンサによって前記素管を監視する工程と、前記素管の軸方向に沿って配置され、加熱された前記素管に冷媒を噴射する1個以上の冷却リングを各々が含むN個の冷却ユニットよって前記素管を冷却する工程とを備える。前記複数のセンサは、少なくとも、前記加熱装置側から1番目の前記冷却ユニットと前記加熱装置との間、前記各冷却ユニットの間、及び前記加熱装置側からN番目の前記冷却ユニットよりも前記加熱装置から遠い位置、に1つずつ配置され、前記冷却する工程では、前記各冷却ユニットは、前記複数のセンサのうち当該冷却ユニットよりも前記加熱装置に近い側において当該冷却ユニットに最も近接したセンサ、及び前記複数のセンサのうち当該冷却ユニットよりも前記加熱装置から遠い側において前記冷却ユニットに最も近接したセンサ、の両方が前記素管を検出しているときに冷媒を噴射する。ただし、Nは1以上の整数である。
本発明の一実施形態による焼入れ装置は、鋼管を加熱する加熱装置と、前記鋼管をその軸方向に一定の搬送速度で搬送する搬送装置と、前記鋼管の軸方向に沿って配置され、各々が前記素管を検出する複数のセンサと、前記鋼管の軸方向に沿って配置され、加熱された前記鋼管に冷媒を噴射する1個以上の冷却リングを各々が含むN個の冷却ユニットと、前記冷却ユニットの各々が噴射する冷媒の量を制御する制御装置とを備える。前記複数のセンサは、少なくとも、前記加熱装置側から1番目の前記冷却ユニットと前記加熱装置との間、前記各冷却ユニットの間、及び前記加熱装置側からN番目の前記冷却ユニットよりも前記加熱装置から遠い位置、に1つずつ配置される。前記制御装置は、前記各冷却ユニットに、前記複数のセンサのうち当該冷却ユニットよりも前記加熱装置に近い側において当該冷却ユニットに最も近接したセンサ、及び前記複数のセンサのうち当該冷却ユニットよりも前記加熱装置から遠い側において前記冷却ユニットに最も近接したセンサ、の両方が前記鋼管を検出しているときに冷媒を噴射させる。前記制御装置はさらに、前記加熱装置側から1〜k番目の前記冷却ユニットの各々が冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量を第1冷媒量に設定し、前記加熱装置側から(k+1)番目の冷却ユニットが冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量を前記第1冷媒量未満であって、前記(k+1)番目の冷却ユニットの最終の冷却リングの位置における前記鋼管の表面温度がマルテンサイト変態開始温度点以上になり、かつ、前記加熱装置から(k+2)番目の冷却ユニットの最初の冷却リングの位置における前記鋼管の表面温度がマルテンサイト変態開始温度以下になる量である第2冷媒量に設定し、前記加熱装置側から(k+2)〜N番目の冷却ユニットの各々が冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量を前記第2冷媒量以下の量である第3冷媒量に設定する。ただし、Nは3以上の整数であり、kは1以上N−2以下の整数である。
本発明によれば、焼割れの防止と焼入れ組織の確保とを両立することができる、鋼管の製造方法及び焼入れ装置が得られる。
図1は、本発明の一実施形態による熱処理ラインの機能的構成を示すブロック図である。 図2は、冷却装置の模式的平面図である。 図3は、冷却装置の模式的正面図である。 図4Aは、制御装置の動作を説明するための図である。 図4Bは、制御装置の動作を説明するための図である。 図4Cは、制御装置の動作を説明するための図である。 図4Dは、制御装置の動作を説明するための図である。 図4Eは、制御装置の動作を説明するための図である。 図5は、軸方向に沿った鋼管の表面温度の分布と、冷却ユニットの位置との関係を示す図である。 図6は、本計算例で用いる鋼管のシミュレーションモデルを説明するための図である。 図7は、図6の矩形領域VIIの拡大図である。 図8は、マルテンサイト変態を伴う鋼のCCT曲線を模式的に示す図である。 図9は、シミュレーションによって求めた、管端部を冷却した場合における鋼管の周方向の残留応力の分布を示す図である。 図10は、シミュレーションによって求めた、管端部を冷却しなかった場合における鋼管の周方向の残留応力の分布を示す図である。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[熱処理ラインの構成]
図1は、本発明の一実施形態による熱処理ライン100の機能的構成を示すブロック図である。熱処理ライン100は、焼入れ装置1、及び焼戻し装置40を備えている。焼入れ装置1は、加熱装置10、冷却装置20、及び浸漬槽30を備えている。各装置の間には、搬送ローラ60(搬送装置)が配置されている。
搬送ローラ60は、加熱装置10から冷却装置20へ、冷却装置20から浸漬槽30へ、浸漬槽30から焼戻し装置40へ、鋼管を順次搬送する。鋼管は、加熱装置10で加熱され、冷却装置20及び/又は浸漬槽30によって冷却される。鋼管はその後、焼戻し装置40によって加熱される。
熱処理ライン100の構成によれば、加熱装置10によって鋼管をAc点以上に加熱した後、冷却装置20及び/又は浸漬槽30によって鋼管を冷却することによって、鋼管を焼入れすることができる。さらに、焼戻し装置40によって鋼管を所定の温度に加熱することによって、鋼管を焼戻しすることができる。焼戻しされた鋼管は例えば、図示しない冷却装置によって冷却された後、探傷装置などに搬送される。
熱処理ライン100の構成によれば、鋼管に焼入れ焼戻しの熱処理を連続して実施することができる。ただし、焼入れ焼戻しは連続して実施されなくてもよく、焼戻し装置40は、熱処理ライン100に配置されていなくてもよい。
冷却装置20は、後述するように、冷媒を噴射して鋼管を冷却する。冷却装置20が噴射する冷媒の量は、焼割れの防止と焼入れ組織の確保とを両立できるように制御される。
浸漬槽30には、冷媒が充填されており、鋼管を浸漬させることで内外面から急冷することができる。熱処理対象の鋼管が焼割れ感受性の低い低中炭素鋼管(C含有量0.30%未満)の場合、冷却装置20を使用せず、浸漬槽30だけを使用して鋼管を冷却することもできる。この場合、処理速度を大きくすることができる。一方、熱処理対象の鋼管が焼割れ感受性の高い鋼管の場合でも、冷却装置20によって鋼管を十分に冷却しておけば、浸漬槽30に浸漬させても焼割れが発生することはない。
すなわち、焼入れ装置1の構成によれば、対象となる鋼管の性質に応じて、冷却装置20による焼入れと浸漬槽30による焼入れとを選択的に実施することができる。一方、焼割れ感受性の高い鋼管だけを対象とする場合、浸漬槽30は設置しなくてもよい。
[冷却装置20の構成]
次に、冷却装置20の構成を説明する。図2は、冷却装置20の模式的平面図である。図3は、冷却装置20の模式的正面図である。
冷却装置20は、鋼管Pの軸方向に沿って配置されたN個の冷却ユニット21(1)、21(2)、…、21(N)を備えている。ここで、Nは1以上の整数である。冷却ユニット21(1)、21(2)、…、21(N)は、加熱装置10(図1)側から、この順番で配置されている。
冷却ユニット21(1)、21(2)、…、21(N)の各々(以下、各冷却ユニット21と呼ぶ。)は、3個の冷却リング211を備えている。冷却リング211の各々は、鋼管Pの周りに配置された12本のノズル2111(図3)を備えている。冷却リング211は、ノズル2111から鋼管Pに冷媒を噴射する。
鋼管Pは、搬送ローラ60(図1)によって、管軸方向に所定の搬送速度vで搬送される。鋼管Pは、冷却装置20内を所定の搬送速度vで通過する。このとき、各冷却ユニット21は、ノズル2111から鋼管Pの外面に冷媒を噴射することで、鋼管Pを冷却する。
各冷却ユニット21は、制御弁212をさらに備えている。制御弁212の各々は、制御装置23によって制御される。この構成によれば、制御装置23は、各冷却ユニット21から噴射される冷媒の量を独立して制御することができる。
冷媒は、例えば、水、油、ミストであり、好ましくはミストである。図2では、図の簡略化のため、各冷却ユニット21に1つの制御弁212が設けられているように図示している。しかし、各冷却ユニット21には、2つ以上の制御弁が設けられていてもよい。この場合、冷却ユニット21(1)、21(2)、…、21(N)の冷媒の混合比(例えば、ミストの気水比)を独立して制御することができる。
上記では、各冷却ユニット21が3個の冷却リング211を備えている構成を示したが、冷却リングの数は任意であり、1個であってもよい。各冷却ユニット21が備える冷却リング211の数は、好ましくは2〜4個である。
上記では、各冷却リング211が12個のノズル2111を備えている構成を示したが、ノズル2111の数は任意である。各冷却リング211が備えるノズル2111の数は、好ましくは8〜18個である。
冷却装置20は、(N+1)個のセンサをさらに備えている。冷却装置20は、具体的には、センサ22(1)、22(2)、…、22(N+1)を備えている。
センサ22(1)は、冷却ユニット21(1)と加熱装置10(図1)との間に配置されている。センサ22(2)は、冷却ユニット21(1)と冷却ユニット21(2)との間に配置されている。以下同様に、センサ22(n)(2≦n≦N)は、冷却ユニット21(n−1)と冷却ユニット21(n)との間に配置されている。センサ22(N+1)は、冷却ユニット21(N)よりも加熱装置10(図1)から遠い位置に配置されている。
センサ22(1)、センサ22(1)、22(2)、…、22(N+1)の各々は、鋼管Pを検出し、検出結果を制御装置23に送信する。センサ22(1)、22(2)、…、22(N+1)の各々は、より具体的には、当該センサ位置に鋼管が存在するかどうかを判定して、判定結果を制御装置23に送信する。
センサ22(1)、22(2)、…、22(N+1)は例えば、各々が発光素子と受光素子とを備えた構成とすることができる。この場合。発光素子からの光を受光素子が検出している間は、当該センサ位置に鋼管Pが存在しないと判定する。一方、発光素子からの光が鋼管Pに遮られて受光素子で検出されなくなれば、当該センサ位置に鋼管Pが存在すると判定する。センサ22(1)、22(2)、…、22(N+1)の構成はこれに限定されず、例えば、パイロメータや、機械的なスイッチとすることもできる。
[制御装置23の動作]
制御装置23は、センサ22(1)、22(2)、…、22(N+1)から送信される情報に基づいて、冷却ユニット21(1)、21(2)、…、21(N)を制御する。
制御装置23は、より具体的には、冷却ユニット21(n)よりも加熱装置10(図1)に近い側において冷却ユニット21(n)に最も近接したセンサ、及び冷却ユニット21(n)よりも加熱装置10(図1)から遠い側において冷却ユニット21(n)に最も近接したセンサの両方が鋼管Pを検出しているときに、冷却ユニット21(n)から冷媒を噴射させる。すなわち、制御装置23は、センサ22(n)及びセンサ22(n+1)の両方が鋼管Pを検出しているときに、冷却ユニット21(n)から冷媒を噴射させる。換言すれば、制御装置23は、センサ22(n)及びセンサ22(n+1)のいずれか一方が鋼管Pを検出していないときは、冷却ユニット21(n)から冷媒を噴射させない。
以下、図4A〜図4Eを参照して、制御装置23の動作をより具体的に説明する。図4A〜図4Eは、冷却装置20から、n番目の冷却ユニット21(n)の近傍を抜き出して模式的に示す図である。
図4Aは、鋼管Pの先端がセンサ22(n)よりも加熱装置10(図1)に近い側にある状態を示している。この状態では、センサ22(n)及び22(n+1)の両方が鋼管Pを検出しない。そのため、制御装置23は、冷却ユニット21(n)から冷媒を噴射させない。すなわち、制御装置23は、冷却ユニット21(n)の制御弁212を「閉」にする。
図4Bは、鋼管Pの先端が、センサ22(n)とセンサ22(n+1)との間にある状態を示している。この状態では、センサ22(n)は鋼管Pを検出するが、センサ22(n+1)は鋼管Pを検出しない。そのため、制御装置23は、冷却ユニット21(n)から冷媒を噴射させない。すなわち、制御装置23は、冷却ユニット21(n)の制御弁212を「閉」にする。
図4Cは、鋼管Pの先端がセンサ22(n+1)よりも加熱装置10(図1)から遠い側にあり、かつ、鋼管Pの後端がセンサ22(n)よりも加熱装置10(図1)に近い側にある状態を示している。この状態では、センサ22(n)及び22(n+1)の両方が鋼管Pを検出する。そのため、制御装置23は、冷却ユニット21(n)から冷媒を噴射させる。すなわち、制御装置23は、冷却ユニット21(n)の制御弁212を「開」にする。
図4Dは、鋼管Pの後端が、センサ22(n)とセンサ22(n+1)との間にある状態を示している。この状態では、センサ22(n+1)は鋼管Pを検出するが、センサ22(n)は鋼管Pを検出しない。そのため、制御装置23は、冷却ユニット21(n)から冷媒を噴射させない。すなわち、制御装置23は、冷却ユニット21(n)の制御弁212を「閉」にする。
図4Eは、鋼管Pの後端が、センサ22(n+1)よりも加熱装置10(図1)から遠い側にある状態を示している。この状態では、センサ22(n)及び22(n+1)の両方が鋼管Pを検出しない。そのため、制御装置23は、冷却ユニット21(n)から冷媒を噴射させない。すなわち、制御装置23は、冷却ユニット21(n)の制御弁212を「閉」にする。
以上、制御装置23の動作を説明した。この構成によれば、鋼管Pの先端が冷却ユニット21(n)に侵入しても、鋼管Pの先端がセンサ22(n+1)に到達するまでは冷媒が噴射されない。そのため、鋼管Pの先端は冷却されない。また、鋼管Pの後端がセンサ22(n)を通過すると冷媒が噴射されなくなる。そのため、鋼管Pの後端は冷却されない。本実施形態による冷却装置20の構成によれば、鋼管Pの管端部を冷却しないことによって、管端部の応力集中に起因する焼割れを抑制することができる。
鋼管Pの管端部には冷媒が噴射されないので、鋼管Pの内側に冷媒が侵入するのを抑制することができる。鋼管Pの内側に冷媒が侵入すると、面内の円周方向に不均一な熱応力が生じ、焼割れが起こりやすくなる。本実施形態によれば、鋼管Pの内側に冷媒が侵入することに起因する焼割れも抑制することができる。また、冷媒が鋼管Pの内面を伝って加熱装置10(図1)に到達し、加熱装置10を損傷することも抑制することができる。
本実施形態によれば、搬送距離をエンコーダ等から算出して冷却ユニット21(n)を制御する方式と比較して、冷媒を噴射するタイミングを正確に制御することができる。鋼管Pには、加熱・冷却の影響によって曲がりが生じている場合がある。また、鋼管Pと搬送装置60との間にすべりが生じたり、鋼管Pが脱線したりする場合がある。これらによって、鋼管Pの実際の先端・後端の位置は、エンコーダ等から算出された位置と一致しない場合がある。本実施形態によれば、センサ22(n)及び22(n+1)によって鋼管Pの実際の先端・後端の位置を検出するため、冷媒を噴射するタイミングを正確に制御することができる。
本実施形態によれば、焼割れの発生を抑制しつつ、管端部を除いて焼入れ組織の体積率の高い鋼管を得ることができる。管端部では焼入れ組織が得られないが、この部分は切断すればよい。管端部の冷却しない領域の長さは、冷却ユニット21(n)とセンサ22(n)との距離、及び冷却ユニット21(n)とセンサ22(n+1)との距離によって調整することができる。
本実施形態では、(N+1)個のセンサが配置されている場合を説明した。具体的には、冷却ユニット21(1)と加熱装置10(図1)との間、各冷却ユニット21の間、及び冷却ユニット21(N)よりも加熱装置10(図1)から遠い位置、のそれぞれに1つずつセンサが配置されている場合を説明した。しかし、センサの数は、(N+1)よりも多くてもよい。例えば、各冷却ユニット21の間に2つのセンサが配置されていてもよい。この場合、冷却しない領域の長さをより短くすることができる。
[冷媒量の設定]
次に、図2及び図5を参照して、制御装置23の動作をさらに説明する。制御装置23は、冷却ユニット21(1)、21(2)、…、22(N)が冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量をそれぞれ設定する。以下の説明では、Nは3以上の整数とし、鋼管Pを冷却している間の搬送速度vは一定であるとする。
図5は、軸方向に沿った鋼管Pの表面温度(外面の表面温度)の分布と、冷却ユニット21(1)、21(2)、…、21(N)の位置との関係を示す図である。図5では、センサ22(1)、22(2)、…、22(2)等の図示は省略している。
制御装置23(図2)は、制御弁212を制御して、冷却ユニット21(1)〜22(k)に供給される冷媒の量をW1(第1冷媒量)に設定する。ここで、kは1以上(N−2)以下の整数である。図5は、k=2の場合を示している。制御装置23はさらに、冷却ユニット21(k+1)に供給される冷媒の量をW2(第2冷媒量)に設定し、冷却ユニット21(k+2)〜22(N)に供給される冷媒の量をW3(第3冷媒量)に設定する。
冷媒量W2は、冷媒量W1未満である。冷媒量W3は、冷媒量W2以下である。冷媒量W3は、好ましくは冷媒量W2未満である。なお、図5には、仮にW2=W1とした場合の、鋼管の表面温度の分布を、二点鎖線で模式的に示している。
冷媒量W2はさらに、冷却ユニット21(k+1)の最終の冷却リング211(加熱装置10(図1)から最も遠い冷却リング211)の位置における鋼管Pの表面温度がマルテンサイト変態開始温度(以下、Ms点という。)以上であり、かつ、冷却ユニット21(k+2)の最初の冷却リング211(加熱装置10(図1)に最も近い冷却リング211)の位置における鋼管Pの表面温度がMs点以下になるように設定される。換言すれば、冷媒量W2は、鋼管の表面温度がMs点を通過する位置が、冷却ユニット21(k+1)と冷却ユニット22(k+2)の間になるように設定される。
冷媒量W2は、好ましくは、冷却ユニット21(k+1)の最終の冷却リング211の位置における鋼管Pの表面温度がMs点よりも高くなり、かつ、冷却ユニット21(k+2)の最初の冷却リング211の位置における鋼管Pの表面温度がMs点よりも低くなるように設定される。
冷媒量W3は、好ましくは、冷却ユニット21(N)の最終の冷却リング211の位置における鋼管Pの内面温度がマルテンサイト変態終了温度(以下、Mf点という。)以下になるように設定される。これは、冷却終了時の温度がMf点以下になっていないと、鋼管Pの組成によっては残留オーステナイト相が増加する場合があるためである。また、操業効率の面から速やかに変態を完了させるためでもある。
冷媒量W3は、さらに好ましくは、冷却ユニット21(N)の最終の冷却リング211の位置における鋼管Pの肉厚内最高温度がMf点以下になるように設定される。なお、本実施形態では、鋼管Pの外面にだけ冷媒を噴射する。そのため、肉厚内最高温度は、鋼管Pの内面又は内面から少し内側の位置になる。
[冷媒量の決定方法]
冷媒量W1、W2、W3は、鋼管の表面温度がMs点になる位置をシミュレーションによって予測して決定することができる。以下では、鋼管の温度分布を計算する方法の一例(以下、本計算例と呼ぶ。)を説明する。
本計算例は、有限要素法による数値解析である。本計算例では、計算の便宜のため、各ゾーンの冷媒量W1、W2、W3に代えて、鋼管表面と冷媒との界面の熱伝達率h1、h2、h3を用いる。冷媒量と熱伝達率との関係は、実測定から求めることができる。なお熱伝達率は、冷媒量の0.5〜0.8乗に比例する。したがって、冷媒量を最大値WMAXにして測定したときの熱伝達率をhMAXとすると、冷媒量Wと熱伝達率hの関係は、次式によって求めることもできる。指数部の0.65は、0.5〜0.8の中間値である。
(W/WMAX0.65=h/hMAX
図6は、本計算例で用いる鋼管Pのシミュレーションモデルを説明するための図である。図7は、図6の矩形領域VIIの拡大図である。本計算例では、鋼管Pを軸対称とみなし、肉厚方向に沿って整列した節点を持つモデルを用いる。モデル上面は平面を保持する(一様変位が起こる)ものとし、肉厚方向の熱の移動を計算する。
初期条件は、全節点で同一温度(加熱装置10(図1)の温度)、同一組織(オーステナイト組織)とする。冷却条件は、加熱装置10と冷却装置20との間では内外面ともに空冷、冷却装置20内では内面空冷、外面強制冷却、冷却装置20通過後は内外面空冷とする。強制冷却時における鋼管表面と冷媒との界面の熱伝達率として、上述の熱伝達率h1、h2、h3を用いる。空冷時における鋼管表面と空気との熱伝達率は例えば、5(W/(m・K))とする。
本計算例では、組織変態を考慮した温度−変位連成解析を行う。組織変態の予測モデルとして、拡散変態はLiの拡散型変態予測モデル(M.V.Li et al. Metall. Mater. Trans. B, 29(3) 661-672, 1998)を用いてモデル化し、無拡散変態はK−M式(D. P. Koistinen and R. E. Marburger, ActaMetall., 7, 59-60, 1959)を用いてモデル化する。熱膨張係数及び変態膨張係数は、Miettinenの密度式(J. Miettinen, Metall. Mater. Trans. B, vol. 28B, 281-297, 1997)を用いて、各相の密度差から予測する。
混合相の材料特性は、線形混合則の成立を仮定して、下記の式(1)から求める。
Figure 0006724617


ここで、Pmixture、P、PF/P、P、及びPはそれぞれ、混合相、オーステナイト相、フェライト/パーライト相、ベイナイト相、及びマルテンサイト相の材料特性である。ξ、ξF/P、ξ、及びξはそれぞれ、オーステナイト相、フェライト/パーライト相、ベイナイト相、及びマルテンサイト相の体積率である。
Liの拡散型変態予測モデルによれば、オーステナイトから各拡散変態組織へ等温変態する場合の時間τは、変態率Xと温度Tの関数として、下記の式(2)のように表される。
Figure 0006724617

ここで、Fは合金元素の含有量(C、Mn、Si、Ni、Cr、Mo、単位は質量%)及びASTMオーステナイト粒度番号Gの関数である。ΔTは過冷却度(=変態点−T)、nは実験的に決定された定数、Qは拡散変態の活性化エネルギー(27500(cal/mol))、Rは気体定数(1.987(cal/mol/K))である。また、S(X)は変態速度を表わす関数であり、下記の式(3)で与えられる。
Figure 0006724617

なお、フェライト、パーライト、及びベイナイトの各変態組織へ変態する場合の具体形τ、τ、及びτはそれぞれ、下記の式(4)〜式(6)で与えられる。
Figure 0006724617

Figure 0006724617

Figure 0006724617

ここで、Aeはフェライトの存在上限を定義する平衡温度、Aeはオーステナイトの存在下限を定義する平衡温度、Bsはベイナイト変態開始温度である。
上記の拡散型変態予測モデルから、連続冷却中の相変態予測を考える。ある微小時間dτの間温度が一定であると仮定すると、時刻τにおける変態速度式は式(2)を変態率Xで微分して逆数をとることで、下記の式(7)のように表される。
Figure 0006724617

時刻τにおける変態率Xが既知であれば、時刻τi+1=τ+dτにおける変態率Xi+1は、式(7)から求めることができる。これを時刻0からτ(i=1,2,3…)まで繰り返す。これは、加算則を用いて連続冷却変態を予測することに相当する。
無拡散変態は、下記の式(8)によって表されるK−M式によって、温度のみの関数として取り扱う。
Figure 0006724617

上記のモデルを用いて、搬送速度v、熱伝達率h1、h2、h3を所与の条件として鋼管の温度分布を計算し、鋼管の表面温度がMs点となる位置を求める。鋼管の表面温度がMs点となる位置が冷却ユニット21(k+1)と冷却ユニット21(k+2)との間となるように、熱伝達率h2を調整する。そして、得られた熱伝達率h2を冷媒量W2に換算する。
同様に、冷却ユニット21(N)の最終の冷却リング211の位置における鋼管Pの表面温度をMf点以下にする場合は、当該温度を上記のモデルで計算し、当該温度がMf点以下になるように熱伝達率h3を調整する。そして、得られた熱伝達率h3を冷媒量W3に換算すればよい。
同様に、冷却ユニット21(N)の最終の冷却リング211の位置における鋼管Pの肉厚内最高温度をMf点以下にする場合は、当該温度を上記のモデルで計算し、当該温度がMf点以下になるように熱伝達率h3を調整する。そして、得られた熱伝達率h3を冷媒量W3に換算すればよい。
以下、上記のように冷媒量を設定することの効果を説明する。図8は、マルテンサイト変態を伴う鋼のCCT曲線を模式的に示す図である。
曲線C1のように冷却開始から終了まで一貫して急冷すると、変態応力によって割れが発生する場合がある。炭素含有量の高い鋼ほど変態膨張量が大きくなり、割れが発生しやすくなる。また、炭素含有量の高い鋼ほどMs点が低くなり、さらにMs点とMf点との間隔が狭くなるため、急激な変態膨張が起こり、割れが発生しやすくなる。
一方、曲線C2のように冷却開始から終了まで一貫して緩冷すると、ベイナイト等の中間相が混入し、マルテンサイト体積率の高い組織が得られない場合がある。
そのため、曲線C3のように、Ms点の直上までを急冷し、Ms点以下を緩冷することが好ましい。これによって、焼割れの防止と焼入れ組織の確保とを両立できる。
これを実現するためには、鋼管の表面温度がMs点になる位置を境界として、この位置よりも上流側(加熱装置10(図1)側)の冷却ユニットが噴射する冷媒の量を多くし、この位置よりも下流側(浸漬槽30(図1)側)の冷却ユニットが噴射する冷媒の量を少なくすればよい。
しかしながら、鋼管の表面温度がMs点となる位置が、必ずしも冷却ユニットと冷却ユニットとの間になるとは限らない。鋼管の表面温度がMs点となる位置が上流側にずれれば、マルテンサイト変態領域の一部を強冷することになり、焼割れが発生する可能性がある。一方、鋼管の表面温度がMs点となる位置が下流側にずれれば、Ms点よりも高い領域の一部を緩冷することになり、中間相が混入する可能性がある。また、生産効率の点でも好ましくない。
鋼管Pの搬送速度vを変更することで、鋼管の表面温度がMs点となる位置を調整することが考えられる。しかしながら、搬送速度vを変更すれば、鋼管Pの軸方向全体にわたって冷却速度が変化し、冷却曲線が大きく変化するという問題がある。
冷却ユニットを細かく分割することで、鋼管の表面温度がMs点となる位置が冷却ユニットと冷却ユニットとの間になるように調整することも考えられる。しかしながら、最も細かく分割しても、冷却リング211の幅の単位でしか調整することができない。また、冷却ユニットの数を増やすと、装置の構成が複雑になる。
本実施形態では、冷却ユニット21(k+1)の冷媒の量を冷媒量W2に設定する。本実施形態では、冷媒量W2を制御することで、鋼管の表面温度がMs点となる位置が、冷却ユニット21(k+1)と冷却ユニット21(k+2)との間になるように調整する。
この構成によれば、Ms点の直上までを急冷し、Ms以下の温度を緩冷することができる。これによって、焼割れの防止と焼入れ組織の確保とを両立し、かつ効率よく鋼管を熱処理することができる。
本実施形態による焼入れ装置は、管端部を除いてマルテンサイトの体積率が90%以上の鋼管を製造する場合に、特に好適に用いることができる。本実施形態による焼入れ装置は、C含有量が0.50質量%以上の素管を焼入れして鋼管を製造する場合に、特に好適に用いることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、この実施例は本発明を限定するものではない。
有限要素法によるシミュレーションを実施し、鋼管の温度分布、及び冷却後の特性を計算した。より具体的には、組織変態を考慮した温度−変位連成解析を行い、冷却後の鋼管の周方向残留応力、マルテンサイト相の体積率等を計算した。
[実施例1]
まず、管端部を冷却する場合と冷却しない場合との残留応力の変化を調査した。
焼入れ装置1(図1)で焼入れすることを想定してシミュレーションモデルを設定した。加熱装置10の温度は900℃、搬送速度vは17m/分、供給可能な最大総水量は5760L/分とした。このシミュレーションでは、全冷却ユニットから最大の冷媒量を噴射するものとした。
鋼管のサイズは、外径244.48×肉厚15mmに設定した。鋼管の化学組成(単位は質量%)は、C:0.60%、Si:0.27%、Mn:0.43%、P:0.001%、S:0.001%、Cu:0.02%、Cr:0.52%、Ni:0.02%、Mo:0.68%、V:0.088%、残部Fe及び不純物とした。
図9は、管端部を冷却した場合における鋼管の周方向の残留応力の分布を示す図である。図10は、管端部を冷却しなかった場合における鋼管の周方向の残留応力の分布を示す図である。図9及び図10において、残留応力の値が正の場合は引張応力であることを、値が負の場合は圧縮応力であることを示す。
図9に示すように、管端部を冷却した場合、管端部に400MPaを超える引張応力が発生した。一方、図10に示すように、管端部を冷却しなかった場合、管端部の残留応力は圧縮応力となった。このことから、管端部を冷却しないようにすることによって、管端部を起点とする焼割れを抑制できることが確認された。
[実施例2]
次に、第1〜第3冷媒量を制御して、低残留応力と高マルテンサイト率を両立できる条件を探索した。具体的には、冷却後の鋼管の周方向残留応力(肉厚方向の最大値)σθが200MPa以下で、かつ、マルテンサイト相の体積率ξが90%以上になることを目標とした。
実施例1と同様に、焼入れ装置1(図1)で焼入れすることを想定してシミュレーションモデルを設定した。このシミュレーションでは、急冷する冷却ユニットを個数は2(k=2)とし、第1冷媒量W1、第2冷媒量W2、第3冷媒量W3を変更して周方向残留応力σθ及びマルテンサイト相の体積率ξを計算した。
鋼管のサイズは、外径244.48×肉厚8mmに設定した。鋼管の化学組成(単位は質量%)は、C:0.53%、Si:0.27%、Mn:0.43%、P:0.001%、S:0.001%、Cu:0.02%、Cr:0.52%、Ni:0.02%、Mo:0.68%、V:0.088%、残部Fe及び不純物とした。この鋼管のMs点は298℃、Mf点は100℃であった。
結果を表1に示す。表1において、T3は3番目(k+1番目)の冷却ユニット21の最終の冷却リングの位置における鋼管の表面温度であり、T4は4番目(k+2番目)の冷却ユニットの最初の冷却リングの位置における鋼管の表面温度である。
Figure 0006724617
Case1は、T3≧Ms、かつMs≧T4であった。すなわち、鋼管の表面温度がMs点となる位置が、3番目の冷却ユニットと4番目の冷却ユニットとの間であった。Case1では、冷却後の鋼管の周方向残留応力σθが200MPa以下であり、マルテンサイト相の体積率ξが90%以上であった。
Case2は、T3<Msであった。すなわち、鋼管の表面温度がMs点となる位置が、3番目の冷却ユニットの内側であった。Case2では、冷却後の鋼管の周方向残留応力σθが200MPaを超えた。
Case3は、Ms<T4であった。すなわち、鋼管の表面温度がMs点となる位置が、4番目の冷却ユニットの内側であった。Case3では、冷却後の鋼管のマルテンサイト相の体積率ξが90%未満であった。
100 熱処理ライン
1 焼入れ装置
10 加熱装置
20 冷却装置
21(1)、21(2)、…、21(N) 冷却ユニット
211 冷却リング
2111 ノズル
212 制御弁
22(1)、22(2)、…、22(N+1) センサ
23 制御装置
30 冷却槽
40 焼戻し装置
60 搬送ローラ(搬送装置)

Claims (4)

  1. 素管を焼入れして、管端部を除いてマルテンサイトの体積率が90%以上である鋼管を製造する方法であって、
    加熱装置で前記素管を加熱する工程と、
    前記素管をその軸方向に一定速度で搬送する工程と、
    前記素管の軸方向に沿って配置され、各々が前記素管を検出する複数のセンサによって前記素管を監視する工程と、
    前記素管の軸方向に沿って配置され、加熱された前記素管に冷媒を噴射する1個以上の冷却リングを各々が含むN個の冷却ユニットよって前記素管を冷却する工程とを備え、
    前記複数のセンサは、少なくとも、前記加熱装置側から1番目の前記冷却ユニットと前記加熱装置との間、前記各冷却ユニットの間、及び前記加熱装置側からN番目の前記冷却ユニットよりも前記加熱装置から遠い位置、に1つずつ配置され、
    前記冷却する工程では、前記各冷却ユニットは、前記複数のセンサのうち当該冷却ユニットよりも前記加熱装置に近い側において当該冷却ユニットに最も近接したセンサ、及び前記複数のセンサのうち当該冷却ユニットよりも前記加熱装置から遠い側において前記冷却ユニットに最も近接したセンサ、の両方が前記素管を検出しているときに冷媒を噴射し、
    前記加熱装置側から1〜k番目の前記冷却ユニットの各々が冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量を第1冷媒量に設定し、
    前記加熱装置側から(k+1)番目の冷却ユニットが冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量を前記第1冷媒量未満であって、前記(k+1)番目の冷却ユニットの最終の冷却リングの位置における前記素管の表面温度がマルテンサイト変態開始温度以上になり、かつ、前記加熱装置から(k+2)番目の冷却ユニットの最初の冷却リングの位置における前記素管の表面温度がマルテンサイト変態開始温度以下になる量である第2冷媒量に設定し、
    前記加熱装置側から(k+2)〜N番目の冷却ユニットの各々が冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量を前記第2冷媒量未満の量である第3冷媒量に設定する、鋼管の製造方法。
    ただし、Nは3以上の整数であり、kは1以上N−2以下の整数である。
  2. 請求項に記載の鋼管の製造方法であって、
    前記冷却する工程では、前記第3冷媒量を、前記加熱装置側からN番目の冷却ユニットの最終の冷却リングの位置における前記素管の肉厚内最高温度がマルテンサイト変態終了温度以下になる量に設定する、鋼管の製造方法。
  3. 鋼管を加熱する加熱装置と、
    前記鋼管をその軸方向に一定の搬送速度で搬送する搬送装置と、
    前記鋼管の軸方向に沿って配置され、各々が前記鋼管を検出する複数のセンサと、
    前記鋼管の軸方向に沿って配置され、加熱された前記鋼管に冷媒を噴射する1個以上の冷却リングを各々が含むN個の冷却ユニットと、
    前記冷却ユニットの各々が噴射する冷媒の量を制御する制御装置とを備え、
    前記複数のセンサは、少なくとも、前記加熱装置側から1番目の前記冷却ユニットと前記加熱装置との間、前記各冷却ユニットの間、及び前記加熱装置側からN番目の前記冷却ユニットよりも前記加熱装置から遠い位置、に1つずつ配置され、
    前記制御装置は、
    前記各冷却ユニットに、前記複数のセンサのうち当該冷却ユニットよりも前記加熱装置に近い側において当該冷却ユニットに最も近接したセンサ、及び前記複数のセンサのうち当該冷却ユニットよりも前記加熱装置から遠い側において前記冷却ユニットに最も近接したセンサ、の両方が前記鋼管を検出しているときに冷媒を噴射させ、
    前記加熱装置側から1〜k番目の前記冷却ユニットの各々が冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量を第1冷媒量に設定し、
    前記加熱装置側から(k+1)番目の冷却ユニットが冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量を前記第1冷媒量未満であって、前記(k+1)番目の冷却ユニットの最終の冷却リングの位置における前記鋼管の表面温度がマルテンサイト変態開始温度以上になり、かつ、前記加熱装置から(k+2)番目の冷却ユニットの最初の冷却リングの位置における前記鋼管の表面温度がマルテンサイト変態開始温度以下になる量である第2冷媒量に設定し、
    前記加熱装置側から(k+2)〜N番目の冷却ユニットの各々が冷媒を噴射する場合の単位時間に噴射する冷媒の量を前記第2冷媒量未満の量である第3冷媒量に設定する、焼入れ装置。
    ただし、Nは3以上の整数であり、kは1以上N−2以下の整数である。
  4. 請求項に記載の焼入れ装置であって、
    前記制御装置は、前記第3冷媒量を、前記加熱装置側からN番目の冷却ユニットの最終の冷却リングの位置における前記鋼管の肉厚内最高温度がマルテンサイト変態終了温度以下になる量に設定する、焼入れ装置。
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