JP6740973B2 - 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
近年、環境問題への意識の高まりから、自動車に対する二酸化炭素の排出規制が厳しくなっている。また、自動車の衝突安全性の規制も強化されるなど、従来以上に車体の安全性が求められている。そこで、軽量化と強度向上を両立させるため、自動車メーカ各社は、車体への溶融亜鉛めっき高張力鋼板の適用拡大を推進している。
溶融亜鉛めっき鋼板は、以下の手法によって製造される。冷延後のコイルを、連続式溶融亜鉛めっきライン(Continuous galvanizing line:CGL)に通板させ、最初に、予熱炉内で母材表面の油分の燃焼除去を行う。その後、酸化性雰囲気または還元性雰囲気で加熱を行い、鋼板を再結晶させる。さらに、酸化性雰囲気または還元性雰囲気で、鋼板をめっきに適した温度になるよう冷却を行い、溶融亜鉛へと浸漬させる。
鋼板の高張力化には、Si、Mn、P、Alなどの固溶強化元素の添加が行われることが多い。特に、Siは添加コストが他の元素と比較して低く、かつ鋼の延性を損なわずに高強度化できる利点がある。そのため、Si含有鋼は高張力鋼板として有望である。しかし、Siを鋼中に多量に添加すると、以下の問題が生じる。
高張力鋼板は、還元雰囲気中で、600〜900℃の温度域で焼鈍される。SiはFeと比較して易酸化元素であるため、この時に、Siが鋼板表面へ濃化する。その結果、鋼板表面にSi酸化物が形成され、このSi酸化物が亜鉛との濡れ性を著しく悪化させ、不めっきを生じさせる。
さらに、Siが表面に濃化すると、亜鉛めっきが付着したとしても溶融亜鉛めっき後の合金化過程において、著しい合金化の遅延を生じる。その結果、生産性が悪化する。
このような問題に対して、直火バーナーによって加熱帯で鋼板を加熱し、鋼板表面に酸化膜を形成した後、還元焼鈍で鋼板表面に還元鉄を形成させることによって亜鉛との濡れ性を改善する手法が特許文献1に開示されている。特許文献2では、直火バーナーを使用して、加熱帯の雰囲気の酸化性ガス(O、CO、HO)の濃度を規定して、酸化膜厚を均一に保つ手法が開示されている。特許文献3では、直火バーナーを利用して高効率に均一な酸化膜を鋼板表面に形成させることを目的として、加熱帯を2つに分割し、前段の加熱帯で鋼板に付着している圧延油を除去した後に、鋼板温度が高い後段の加熱帯で酸化膜を鋼板表面に形成させる手法が開示されている。
また、近年操業のし易さやピックアップが発生しにくい等により低コストで高品質なめっき鋼板を製造できるなどの理由から、オールラジアントチューブ型の加熱炉を備えるCGLの建設が増加している。しかしながら、DFF(直火型)、NOF型(無酸化型)と異なり、オールラジアントチューブ型の加熱炉は焼鈍直前に酸化工程がないため、Si、Mn等の易酸化性元素を含む鋼板のめっき性確保の点で不利である。
特許文献4には、オールラジアントチューブ型の連続式溶融亜鉛めっき装置を対象に、不めっきの発生防止を目的として、Siの内部酸化を促進させるために、加熱帯と均熱帯におけるHO分圧とH分圧の比を制御して、めっき性を改善する技術が開示されている。
また、過熱蒸気を利用して鋼板を焼鈍する技術が特許文献5に開示されている。
さらに、Si添加鋼の内部酸化量確保を目的として、焼鈍炉の一部で過熱水蒸気を鋼板表面に噴射する技術が特許文献6に開示されている。
特開平4−202630号公報 特開平6−306561号公報 特開2006−283109号公報 特開2009−68041号公報 特開平9−241734号公報 特開2014−122390号公報
特許文献1では加熱帯の雰囲気を空気比によって管理している。この手法では、制御上不可避的に生じる空気比の変動に対応して、加熱帯内の酸化性のガス(O、CO、HO)濃度が変化し、加熱帯内で濃度ムラが生じる。そのため、最終的な酸化膜がコイルで均一とならない。したがって、酸化膜が薄い部分では、SiやMnが表面に濃化して不めっきが生じ、酸化膜が厚い部分では、過剰な酸化膜が炉内のロールにピックアップするという問題がある。
特許文献2では、炉内雰囲気を直接制御するために、直火バーナーの燃焼ガスとは別に、ガスを炉内に導入して、雰囲気の制御を試みている。この手法では、直火バーナーの配置に起因して、鋼板に温度ムラが生じる。そのため、特許文献1と同様に最終的な酸化膜がコイルで均一とならず、不めっきやピックアップが生じる。さらに、酸化性のガスは3種(O、CO、HO)存在するため、炉内の酸素ポテンシャルを制御するためには、3種のガス濃度を管理しなければならず、複雑な制御システムを構築する必要がある。これに加えて、加熱帯では、下流から上流へのガス流れが存在するため、直火バーナーの燃焼ガスと別途導入したガスの混合が十分に行われず、炉内雰囲気が均一とならないため、不めっきやピックアップが発生する。
特許文献3では、鋼板表面に付着した圧延油を無酸化炉によって除去した後、酸化膜を後段の酸化炉で形成させる手法が提案されている。この手法では、無酸化炉と酸化炉で直火バーナーが使用される。そのため、空気と燃料ガスであるCガスの成分変動および流量変動により、炉内の酸化性ガス濃度が一定とならない。したがって、不めっきやピックアップが発生するという問題がある。
特許文献4では、請求項1において、均熱帯の上部のHOとH分圧の比(HO/H)U、均熱帯下部のHOとH分圧の比(HO/H)Lが下記のように規定されている。
1≧(HO/H)U≧10−(0.5Si−3.25)・・・(1)
1≧(HO/H)L≧10−(0.5Si−3.25)・・・(2)
ここで、式(1)、(2)のSiは鋼中のSi添加量で、Si=0.3〜2.5mass%である。体積分率は分圧に比例するので、式(1)、(2)は均熱帯のHOとHの体積分率を定義した式と読み替えられる。式(1)、(2)において、HO体積分率が最も高くなる場合はHO=Hであることから、均熱帯の最高のHO濃度は50%である。そのため、炉内のHO濃度は50%を超えない。このようなHO濃度では、SiやMnの内部酸化物が十分に形成されず、SiやMnが表面に濃化して、不めっきが生じる。
特許文献5では、過熱蒸気で鋼板を過熱する際の蒸気圧力(0.5〜5kg/cm)、蒸気温度(150〜500℃)および加熱時間(5〜60分)が規定されている。この手法で鋼板を加熱すると、SiやMnの表面濃化の抑制に必要な酸化膜に対して、鋼板表面に形成される酸化膜が過大となり、酸化膜の一部が鋼板から剥離して、ロールにピックアップするという問題がある。
特許文献6では、過熱蒸気を噴霧する予備加熱装置の雰囲気ガス組成が規定されていない。また、特許文献6の場合、例えばライン速度が変化した時に、鋼板の随伴流に伴って外気が予備加熱装置に侵入する量が変化し、予備加熱装置内のHO濃度が変化した結果、酸化膜が一定厚とならず、不めっきやピックアップが生じる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、不めっきの無い美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
良好なめっき性を得るには、最適な酸化量を確保する必要がある。本発明者らは、オールラジアントチューブ型の連続式溶融亜鉛めっき設備において、直火バーナーを使用せずとも、炉内の雰囲気制御が容易で、かつ鋼板表面に均一な酸化膜が形成される手法について鋭意検討を行った。その結果、加熱帯に所定の温度の過熱水蒸気を投入し、加熱帯の主なガス成分をHOとして高Si添加鋼を酸化させることにより、鋼板表面に均一な酸化膜が形成されることを明らかにした。
本発明は上記知見に基づくものであり、その特徴は以下の通りである。
[1]加熱帯と、均熱帯と、冷却帯とがこの順に配置された焼鈍炉と、前記冷却帯に隣接した溶融亜鉛めっき装置とを有するオールラジアントチューブ方式の連続溶融亜鉛めっき設備を用いて、溶融亜鉛めっき鋼板を製造する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記加熱帯に450〜1200℃の過熱水蒸気を投入し、50vol%以上のHOおよび残部Nおよび不可避的不純物からなる雰囲気中で、鋼板温度を700℃以下に加熱することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[2]前記鋼板温度および加熱帯のHO濃度が下記式(1)を満たすことを特徴とする[1]に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
Figure 0006740973
ただし、式(1)において
f(x)=9.8×10−4x:調整係数(x:加熱帯のHO濃度[vol%])
R=8.314:ガス定数[J/mol・K]
Q:酸化反応の活性化エネルギー[J/mol]
T:鋼板温度[K]
τ:加熱帯での鋼板加熱時間[sec]
である。
[3]前記過熱水蒸気は、鋼板長手方向に千鳥配置されたノズルにより前記加熱帯に投入されることを特徴とする[1]または[2]に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、不めっきのない美麗な表面外観を有する優れた溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。本発明は、溶融亜鉛めっき処理が困難である高Si添加鋼板を母材とする場合に特に有効であり、高Si添加溶融亜鉛めっき鋼板の製造におけるめっき品質を改善する方法として有用である。
図1は、本発明の一実施形態に係る加熱帯および均熱帯の概略図である。 図2は、過熱水蒸気噴霧ノズルの配置を示す模式図である。
本発明の実施形態について、図1〜2に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る、オールラジアントチューブ式の連続式溶融亜鉛めっき設備100における加熱帯1および均熱帯2の概略図である。なお、均熱帯2の下流には、冷却帯、溶融亜鉛めっき装置、合金化処理装置などが配置される(図示しない)。均熱帯2、冷却帯、溶融亜鉛めっき装置、合金化処理装置などは特に限定されず、通常採用されているもので良い。
鋼板Sは連続式溶融亜鉛めっき設備100において、熱処理を施される。加熱帯1には過熱水蒸気発生装置3が接続されている。過熱水蒸気発生装置3の入側には配管4が接続されており、配管4を介して水が過熱水蒸気発生装置3に投入される。投入された水は所定の温度まで昇温されて過熱水蒸気となる。その後、過熱水蒸気は過熱水蒸気配管5により輸送されて加熱帯1に投入される。なお、輸送中に過熱水蒸気の温度が低下しないように、配管加熱装置6により過熱水蒸気配管5は加熱され、過熱水蒸気の温度が一定に保たれるようになっている。
また、加熱帯1の下流側には過熱水蒸気を排気する排気用配管7が接続されており、排気用配管7から過熱水蒸気発生装置3へ過熱水蒸気が循環する仕組みになっている。また、加熱帯1内の雰囲気(HO濃度)が均一になっていることが確認できるように、加熱帯1の長手方向に沿って露点計8が均等に配置されている。また、加熱帯1と均熱帯2の間には、ロール9が配置されている。これは、通常使用される加熱帯であれば、均熱帯の炉圧は加熱帯の炉圧より高く設定され、均熱帯のガスが加熱帯に流れ込み、排気される。本発明では加熱帯と均熱帯の間にロール9を設置することにより、均熱帯のガスが加熱帯へ流入することを抑制している。また、HNxガスの排気系統を確保するために、加熱帯の下部にはHNxガスの排気配管10を設ける。
良好なめっき性を得るには、最適な酸化量を確保する必要があり、本発明においては、加熱帯のHO濃度を調整する必要がある。加熱帯1に投入する過熱水蒸気の温度は450〜1200℃とし、50%以上のHOおよび残部Nおよび不可避的不純物からなる雰囲気中で、鋼板を加熱する。酸化量は加熱帯のHO濃度、鋼板の温度、鋼板が加熱帯に滞在する時間から決定される。過熱水蒸気温度が450℃より低くなると、鋼板を長時間加熱帯に滞在させる必要があり、設備の規模が大きくなるため、建設のコスト的な観点から望ましくない。また、過熱水蒸気温度が1200℃を超えると、過熱水蒸気を発生させるために必要な熱量が多大に必要となり、設備コストが莫大な金額となる。したがって、過熱水蒸気の温度は450〜1200℃とする。
加熱帯1の雰囲気は、50vol%以上のHOおよび残部Nおよび不可避的不純物からなる。加熱帯1に所定の温度の過熱水蒸気を投入し、加熱帯1の主なガス成分をHOとして高Si添加鋼を酸化させることにより、鋼板表面に均一な酸化膜が形成される。その結果、不めっきの無い美麗な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。HO濃度が50vol%未満では、SiやMnの内部酸化物が十分に形成されず、SiやMnが表面に濃化して、不めっきが生じる。なお、残部はNおよび不可避的不純物からなり、HO濃度が50vol%以上になるようにNを供給する。なお、加熱帯が所定のHO濃度となるようにするには、例えば、過熱蒸気発生装置から加熱帯へ過熱蒸気を輸送する配管の途中にN配管(図示しない)を取り付けることで、過熱蒸気とNの混合ガスを加熱帯に導入すればよい。
加熱帯1のHO濃度の制御方法については特に制限されない。例えば、長手方向に3分割し、露点計8にてそれぞれ排ガスの露点を測定し、各露点計8で測定された値から、HO濃度をそれぞれ求め、HO濃度が50vol%以上となるように、加熱帯1に投入する過熱水蒸気の流量を適宜調整すればよい。直火バーナーの場合、燃料ガスであるCガスの流量変動と、空気比の変動による投入空気量の変化によって、燃焼ガスのガス濃度が変動する。これに対し、本発明では投入するガスが過熱水蒸気、すなわちHOが主体であるため、直火バーナーと比較して、炉内の濃度管理が容易である。
なお、露点計8の露点測定方式は特に限定しない。
鋼板Sは加熱帯1に続く、還元雰囲気中で600〜900℃の温度域で焼鈍される。加熱帯1で鋼板Sを700℃超えで加熱すると鋼板の酸化量が過剰になり、酸化物の一部がロールにピックアップする。そのため、加熱帯1では鋼板温度が700℃以下に加熱する。
良好なめっき性を得るには、最適な酸化量を確保する必要があり、実操業においては、鋼成分、鋼板サイズ、ライン速度に応じて加熱帯出側鋼板温度と、加熱帯のHO濃度を調整する必要がある。本発明者らが鋭意検討した結果、本発明のような高Si鋼のめっきに必要な酸化量は0.1〜0.6g/mであることがわかったため、当該範囲に酸化量が収まるように加熱帯の操業を行うことが好ましい。そこでさらに検討した結果、下記式(1)を満たすように鋼板温度および加熱帯のHO濃度を制御することにより、最適なFe酸化量を予測できることを見出した。
Figure 0006740973
ただし、式(1)において
f(x)=9.8×10−4x:調整係数(x:加熱帯のHO濃度[vol%])
R=8.314:ガス定数[J/mol・K]
Q:酸化反応の活性化エネルギー[J/mol]
T:鋼板温度[K]
τ:加熱帯での鋼板加熱時間[sec]
である。
式(1)を0.1以上0.6以下に収めることにより、高Si鋼のめっきに必要な酸化量である0.1〜0.6g/mを確保することができる。
なお、活性化エネルギーQについては、鋼種ごとに定まるものであり、適宜酸化実験により求めることができる。
過熱水蒸気は、例えばノズル(過熱水蒸気噴霧ノズル)を用いて鋼板Sに対して噴霧すれば良い。効率的に鋼板Sを加熱するために、鋼板Sに対して過熱水蒸気噴霧ノズルの噴射孔を垂直に配置し、噴霧することが望ましい。また、過熱水蒸気噴霧ノズルは、鋼板Sの進行方向に対して、多段に配置することが好ましい。また、過熱水蒸気噴霧ノズルは、鋼板Sの進行方向、すなわち鋼板長手方向に対して、千鳥配置となっていることが好ましく、例えば、図2に示すように、過熱水蒸気噴霧ノズルが取り付けられた過熱水蒸気配管5を鋼板表裏で幅方向に千鳥配置することが好ましい。いずれも、鋼板Sを温度ムラなく、高効率に加熱するためである。
加熱帯1と均熱帯2の間に設置されるロール9としては、セラミックロールを使用することが好ましい。これは、鋼板表面からロールへの酸化物のピックアップを防止するためである。セラミックロールの溶射材の材質としては、Al、Cr、ZrOまたはこれらから選ばれる2種以上を焼結させたものが好ましい。さらに、還元炉から加熱帯へのガス流入を抑制するために、加熱帯と均熱帯の間にシールロールを配置することが好ましい。
過熱水蒸気発生装置3には、高い効率で水蒸気を発生させることが可能な誘導加熱方式を利用することが好ましい。誘導加熱方式であれば、過熱水蒸気を効率的に生成することが可能である。また、過熱蒸気発生装置3に投入する水は、液体、気体(水蒸気)のどちらでもよい。また、過熱水蒸気を輸送する過熱水蒸気配管5については、耐腐食性があり、かつ耐熱性も兼ね備えたSUS鋼が好ましい。
本発明が対象とする鋼板は、高Si鋼であることが好ましく、具体的には、Siの含有量が0.3質量%以上であることが好ましい。
Siは、脱酸剤として、あるいは高強度化を図るための固溶強化元素として、または、磁気特性を改善するための元素として含有される。特に、Siは、高強度化する効果が大きい割りに、加工性等の機械的特性劣化が比較的小さい元素であるため、好ましく用いることができる。しかし、0.3質量%未満の含有量では、焼鈍時における鋼板表層への濃化は少なく、本発明を適用する必要がない。よって、Si含有量は0.3質量%以上が好ましい。なお、Siの含有量が3.0質量%を超えると、本手法で形成される酸化膜のみでは、Siの表層への拡散を抑えきれず、表層濃化してしまう鋼板の割合が多くなってしまうため、上限は3.0質量以下とするのが好ましい。より好ましいSiの範囲は0.8〜1.5質量%である。
なお、Si以外の元素は、通常の冷延鋼板に含まれる範囲で含有することができる。例えば、C、Mn、Al、PおよびSは、本発明が解決しようとしている炉内ロールへの酸化物付着にほとんど影響しないため、機械的強度特性や製造性等から要求される成分範囲であるC:0.05〜0.25質量%、Mn:0.5〜3.0質量%、Al:0.01〜3.00質量%、P:0.001〜0.10質量%、S:0.200質量%以下の範囲で含有することができる。
オールラジアントチューブ型のCGLにおいて、図1に示すように、CGLの入側に過熱水蒸気による加熱帯1を設置し、鋼板温度、HO濃度を変化させてめっき性を評価する試験を行った。なお、加熱帯1の鋼板温度は、加熱帯1の出側での鋼板温度を測定することで、加熱帯1の鋼板温度とした。
試験に用いた鋼板の化学成分を表1に示す。鋼板の幅は1m、板厚は1mmとした。また、加熱帯1の炉長は35mであり、ライン速度は100mpmとした。
Figure 0006740973
加熱帯1には、所定のHO濃度となるように、過熱水蒸気とNを混合した気体を噴霧した。加熱帯1には総合で、質量流量740kg/hの過熱水蒸気を投入した。また、加熱帯が所定のHO濃度となるように、過熱蒸気発生装置から加熱帯へ過熱蒸気を輸送する配管の途中に、N配管を取り付け、過熱蒸気とNの混合ガスを加熱帯に導入した。
露点計8には静電容量式露点計を用いた。加熱帯1の上部、中部および下部にそれぞれ露点計8を設置し、それぞれの位置における露点を測定し、HO濃度を求めた。
過熱水蒸気は、過熱水蒸気噴霧ノズルが取り付けられた過熱水蒸気配管5を鋼板表裏の幅方向に配置して噴霧した。過熱水蒸気配管5は、鋼板長手方向に0.3mピッチで加熱帯1上部から下部まで配置した(格子配置)。さらに、一部の鋼板については、図2に示すような、鋼板の表裏で千鳥配置となった過熱水蒸気噴霧ノズルを使用して、噴霧した。
過熱水蒸気発生装置3には、誘導加熱方式を利用した加熱装置を用いた。配管4を介して、過熱水蒸気発生装置3に水を供給した。また、過熱水蒸気を輸送する過熱水蒸気配管5にはSUS316L鋼を用いた。また、配管加熱装置6は誘導加熱方式を利用した加熱装置を用いた。
加熱帯1と均熱帯2の間のロール9には、セラミックロールを配置した。セラミックロールの材質はZrOとした。均熱帯の露点は−40〜−10℃の範囲に制御した。
製造条件を表2に示す。なお、焼鈍温度は830℃、めっき浴温は460℃、めっき浴中のAl濃度0.130%、付着量はガスワイピングにより、片面あたり45g/mに調整した。また、溶融亜鉛めっきを施した後に合金化温度530℃で合金化処理を行った。
得られためっき鋼板について、めっき外観、めっき密着性を下記のようにして評価した。
(1)めっき外観
めっき外観の評価は、不めっき、合金ムラの有無に基づき下記のように評価した。1、2が合格である。
1 不めっき、過酸化および合金化ムラがないもの
2 不めっき、過酸化がなく合金化ムラがわずかにあるもの
3 不めっきまたは/及び合金化ムラがあるもの
4 過酸化または/及び合金化ムラがあるもの
(2)めっき密着性
合金化処理した溶融亜鉛めっき鋼板(GA)にテープ幅24mm、単位長さ1mのセロテープ(登録商標)を貼りテープ面を90°曲げ曲げ戻しをした時の単位長さあたりの剥離量を蛍光X線によりZnカウント数を測定し、下記基準でランク分けした。ランク1、2が合格である。
1 0−500未満(良)
2 500以上−1000未満
3 1000以上−2000未満
4 2000以上−3000未満
製造条件および結果を表2に示す。
Figure 0006740973
本発明例である条件1〜3では、加熱帯のHO濃度、鋼板温度を適正範囲に制御することにより、めっき外観とめっき密着性に優れた鋼板の製造を可能にしている。
1 加熱帯
2 均熱帯
3 過熱水蒸気発生装置
4 配管
5 過熱水蒸気配管
6 配管加熱装置
7 排気用配管
8 露点計
9 ロール
10 HNx排気配管
100 連続式溶融亜鉛めっき設備
S 鋼板

Claims (3)

  1. 加熱帯と、均熱帯と、冷却帯とがこの順に配置された焼鈍炉と、前記冷却帯に隣接した溶融亜鉛めっき装置とを有するオールラジアントチューブ方式の連続溶融亜鉛めっき設備を用いて、Siの含有量が0.3質量%以上である溶融亜鉛めっき鋼板を製造する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、前記加熱帯に450〜1200℃の過熱水蒸気を投入し、50vol%以上のHOおよび残部Nおよび不可避的不純物からなる雰囲気中で、鋼板温度を700℃以下に加熱することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼板温度および加熱帯のHO濃度が下記式(1)を満たすことを特徴とする請求
    項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
    Figure 0006740973
    ただし、式(1)において
    f(x)=9.8×10−4x:調整係数(x:加熱帯のHO濃度[vol%])
    R=8.314:ガス定数[J/mol・K]
    Q:酸化反応の活性化エネルギー[J/mol]
    T:鋼板温度[K]
    τ:加熱帯での鋼板加熱時間[sec]
    である。
  3. 前記過熱水蒸気は、鋼板長手方向に千鳥配置されたノズルにより前記加熱帯に投入され
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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