以下、本発明に係る樹脂モールド装置の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。以下では、ワークとして、8インチや12インチといった大型の半導体ウエハや金属キャリヤといった丸形ワークや、例えば1辺が300mmを超えるような大型の矩形パネル、或いは樹脂基板等のワークを用いるものとし、フィルムとしてはそれ以上の大きさの枚葉フィルムを用いて圧縮成形する樹脂モールド装置を用いて説明する。
尚、枚葉フィルムとは、予め所定のサイズに形成された個別のフィルムの他に長尺状或いは大判サイズのフィルムから所定サイズに裁断されて形成されるフィルムを含むものとする。
また、樹脂モールド装置は一例として下型を可動型、上型を固定型として説明するものとする。また、樹脂モールド装置は、型開閉機構を備えているが図示を省略するものとしモールド金型の構成を中心に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、樹脂モールド装置の概略構成について図1を参照して説明する。この樹脂モールド装置では、制御部(図示せず)が後述する各部を制御して各種の動作を行うと共に、作業者からの操作を操作部(図示せず)によって受け付け、表示部(図示せず)によって表示し通知する。本実施例における樹脂モールド装置は、ワーク処理ユニットUw(ワーク処理部)、プレスユニットUp、樹脂供給ユニットUd(樹脂供給部)が連結されており、装置内におけるワークWに対する樹脂モールドを自動的に行う構成である。
プレスユニットUpの構成について説明する。
ワークW及び樹脂Rをクランプして樹脂モールドする第一プレス部P1と第二プレス部P2が搬送部Cの搬送方向と交差(直交)するように対向配置されている。
具体的には、搬送部Cは平面視矩形状に形成され、第一プレス部P1は搬送部Cのレール短手方向の第一側面(図1上側面)に接続され、第二プレス部P2は、第一側面と搬送部Cのレール短手方向に対向する第二側面(図1下側面)に接続されている。搬送部Cには、ワークローダ1と、樹脂ローダ6と、ワークローダ1と樹脂ローダ6が移動可能なレール2が設けられている。ワークローダ1は、第一プレス部P1及び第二プレス部P2のいずれかにワークWを供給すると共に、第一プレス部P1及び第二プレス部P2のいずれかから成形された成形品Mを取り出す。また、搬送部Cには、第一側面と第二側面とに挟まれた長手方向の第三側面(図1左右側面)に後述する他のユニット(ワーク処理ユニットUw、樹脂供給ユニットUd)が接続される。
ここで、図11及び図12を参照し、プレスユニットUpに設けられるモールド金型の構成例について説明する。プレスユニットUpにおける第一プレス部P1及び第二プレス部P2は、四隅に設けたガイドポスト20に対してプラテンを昇降させる公知の型開閉機構に開閉する圧縮成形用のモールド金型21を備えている。図11は、半導体ウエハやキャリヤのような丸形のワークWを想定したモールド金型21である。上型固定プラテン22には上型23が設けられている。ワークWは後述するワークローダ1によって搬送され、ワークハンド4(図2参照)から上型23のクランプ面に受け渡されてワークWが吸着保持される。
下型可動プラテン24には、下型ベース25が搭載されている。下型ベース25の中央部には下型キャビティ駒26が支持されている。下型キャビティ駒26の上面は下型キャビティ底部を構成する。下型キャビティ駒26の周囲には環状の下型可動クランパ27がコイルばね28によりフローティング支持されている。下型可動クランパ27の下型キャビティ駒26との摺動面(内周面)は、下型キャビティ側部を形成している。下型キャビティ駒26及びこれを囲んで配置された下型可動クランパ27により下型29が構成される。このような構成により、同図に示す構成は、下型にキャビティを有する「下キャビティタイプ」の金型構成といえる。
下型29には、後述する樹脂ローダ6により枚葉フィルムFに樹脂Rが搭載されたまま引き渡される。枚葉フィルムFは樹脂搭載面を下型キャビティ底部(下型キャビティ駒26の上面)となるように位置合わせして下型29に受け渡され、枚葉フィルムFが下型クランプ面及び下型キャビティ底部に吸着保持される。
尚、下型可動プラテン24の背面側(図面下方)には、当該下型可動プラテン24と連係し上型固定プラテン22との間でモールド金型21を型締め力まで型閉じする公知のボールねじ機構が設けられている。このボールねじ機構は例えばガイドポスト20の内側において複数(例えば4箇所)設けられて、例えば図11内の矢印として示すように伸縮し加圧する。これにより、下型可動プラテン24を所定の傾斜状態で昇降させることができ、複数のワークWをモールドする場合各ワークの厚みのばらつきに応じて下型可動プラテン24の傾きを調整して型締めが行える。
また、図1に示す第一プレス部P1と第二プレス部P2の操作は、それぞれに操作部(図示せず)を設け個別に行えるようにしてもよいが、作業者の負担を軽減するには、一方側の操作で他方側の操作を可能にしたり、一方側の操作部で他方側の操作部の側のプレス部P1,P2の内部を監視したりするようにしてもよい。
図12は、ワークWとして複数の基板を同時に圧縮成形するモールド金型21の構成例を示す。図11と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとする。
ワークWは、いわゆる300mm×100mm程度までの大きさのインタポーザ基板を想定しており、上型23のクランプ面に複数(2組)の基板が吸着保持されている。ワークWは後述するワークローダ1によって搬送され、ワークハンド4(図2参照)から上型23のクランプ面に受け渡されてワークWが吸着保持され、一度に複数枚の基板が圧縮成形されることになる。
下型29は、下型ベース25に、下型キャビティ駒26と下型可動クランパ27が2セット分支持されている。下型29には、後述する樹脂ローダ6により枚葉フィルムFに樹脂Rが搭載されたまま引き渡される。樹脂ローダ6は、樹脂Rを2セット分搭載した枚葉フィルムFを搬送する。各枚葉フィルムFは樹脂搭載面を下型キャビティ底部(下型キャビティ駒26の上面)となるように位置合わせして下型29に受け渡され、枚葉フィルムFが下型クランプ面及び下型キャビティ底部に各々吸着保持される。
ここで、ワークWとして、例えば240mm×80mm程度の一般的な大きさの基板を用いた圧縮成形を行う場合に、これらを所定の隙間を空けた状態で金型内に配置したとしても、3枚までであれば、12インチ(300mm)のウエハを成形する金型の範囲内に収まるため、装置そのものの構造を大きく変更することなく、ウエハ等の大型のワークWを1枚成形することや、インタポーザ基板のようなワークWを複数枚成形することを行うことができる。また、上述の通り、下型可動プラテン24の傾きを調整して型締めが行えるプレスを用いているため、順次供給される複数のワークWをモールドする場合の各ワークの厚みのばらつきに応じて成形ができるだけでなく、1度の圧縮成形において同時に成形される複数(例えば2枚又は3枚)のワークWの厚みが異なる場合でも、下型可動プラテン24の傾きを調整して適切なクランプ力で型締めを行うことができる。
図2に示すように、ワークローダ1は、レール2上を往復動するワークローダ本体3と、ワークW及び成形品Mのいずれかを保持するワークハンド4と、ワークハンド4をワークローダ本体3に対して回転させ、各プレス部に対して進退動させるハンド駆動部5を備えている。ハンド駆動部5は、ワークローダ本体3に対して回転軸3aを中心に回転可能に支持されている。ハンド駆動部5は、回転軸3aを中心に回転可能である共に、ワークWを金型へ受け渡しするための上下動機構(例えばシリンダ駆動、ソレノイド駆動等)が設けられており、ワークハンド4をハンド駆動部5に対して上下動させることができるようになっている。
また、ワークハンド4は、ハンド駆動部5の上面側に設けられた直動レール5aに直動ガイド4aを介して往復移動するように連繋している。また、ワークハンド4の上面には、成形面(半導体素子搭載面)を下向きにしてワークWを保持するワーク保持部4bが設けられている。またワークハンド4の下面側には、後述するフィルム回収用の吸着パッド4cが設けられている。尚、吸着パッド4cは、他のフィルム回収手段を設けた場合には省略することもできる。
図1において、搬送部Cは、第一プレス部P1及び第二プレス部P2のいずれかに樹脂Rを供給する樹脂ローダ6を備えている。
樹脂ローダ6は、図3に示すように、レール2を共用して移動可能に構成された樹脂ローダ本体7と、樹脂Rを保持する樹脂ハンド8と、樹脂ハンド8を樹脂ローダ本体7に対して回転させ、各プレス部に対して進退動させるハンド駆動部9を備えている。ハンド駆動部9は、樹脂ローダ本体7に対して回転軸7aを中心に回転可能に支持されている。ハンド駆動部9は、回転軸7aを中心に回転可能である共に、樹脂Rを金型へ受け渡しするための上下動機構(例えばシリンダ駆動、ソレノイド駆動等)が設けられており、樹脂ハンド8をハンド駆動部9に対して上下動させることができるようになっている。
また、樹脂ハンド8は、ハンド駆動部9の上面側に設けられた直動レール9aに直動ガイド8aを介して往復移動するように連繋している。また、樹脂ハンド8の下面には、後述するフィルムF上に樹脂Rを搭載した搬送治具12を保持する治具保持部8bが設けられている。治具保持部8bは矩形環状に形成された搬送治具12の対向部を掴んで搬送する。
次に、図1において樹脂モールド装置の構成例について説明する。
上述したようにプレスユニットUpと、プレスユニットUpに樹脂Rを供給する樹脂供給ユニットUdと、プレスユニットUpにワークWを供給すると共に成形品Mを収容するワーク処理ユニットUwを備えている。また、樹脂モールド装置は、プレスユニットUpのレール2の長手方向一端側にワーク処理ユニットUwが長手方向他端側に樹脂供給ユニットUdが各々接続するように配置されている。
樹脂供給ユニットUdの構成例について説明する。樹脂搬送ユニットUdは、搬送部Cの長手方向の一側面(図1右側面)に搬送部Cからレール2が延設されるように接続される。この延設されたレール2を挟んで、第一樹脂供給部10と第二樹脂供給部11が対向配置されている。
第一樹脂供給部10の構成例について説明する。
ロールフィルム10aから引き出されたフィルムFを短冊状に切断するフィルム切出し部10bと、フィルム切出し部10bに切断されたフィルムFに顆粒状、粉末状、液状、ゲル状、又はシート状のいずれかの樹脂Rを搭載する樹脂搭載部10cを備えている。樹脂ローダ6は、樹脂搭載部10cから樹脂Rが搭載されたフィルムFを受け取り、レール2を共用して第一プレス部P1及び第二プレス部P2のいずれかに供給する。
フィルム切出し部10bには、長尺状のフィルムFがロール状に巻かれたロールフィルム10aが設けられている。このロールフィルム10aよりフィルム端が引き出された状態で、任意のサイズの矩形状に切断(裁断)して枚葉フィルムFとして樹脂搭載部10c上に準備する。そして、搬送治具12を用いて枚葉フィルムFに所要の張力(テンション)を付与して支持した状態で樹脂Rが供給される。
具体的には、枚葉フィルムF上に下型キャビティ凹部を囲む下型クランプ面に対応した所定形状の枠体(例えば外形矩形枠体)状の搬送治具12を重ね合わせる。このとき枚葉フィルムF外周位置に設けられた複数のフィルムチャックにて矩形状の枚葉フィルムFの外周縁部を各辺において挟み込んで保持し、フィルムチャックを支持する一対の回転レバーの回転角度を変えて枚葉フィルムFに対向辺から各々テンションを付与した状態で保持する。この状態でホッパー10dに貯留された樹脂R(顆粒状、粉末状、液状、ゲル状、又はシート状のいずれか)を、搬送治具12に設けられた所定形状の孔部(例えば円形孔)を介して供給して枚葉フィルムF上に1回の樹脂モールドに必要な樹脂R(例えば顆粒状樹脂)を供給する。ここで、樹脂Rは、X−Y方向に走査可能なトラフ10eにて供給してもよいし、枚葉フィルムFを保持した搬送治具12を回転させながら、供給してもよい。
枚葉フィルムFは、耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するもの、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEPフィルム、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニリジン等を主成分とした単層膜又は複層膜が好適に用いられる。
次に第二樹脂供給部11の構成例について説明する。
第二樹脂供給部11も上述した第一樹脂供給部10と同様の構成を設けてもよい。しかしながら、異なる構成のユニットを設けることも可能である。例えば、液状樹脂を供給するディスペンスユニット11aを設けてもよい。ディスペンスユニット11aは、複数のシリンジ11bを回転可能に保持したリボルバ式(リボルバ構造)のシリンジ供給部11cから供給される。ディスペンスユニット11aは、ロールフィルム10aよりフィルム端が引き出された状態で、任意のサイズの矩形状に切断(裁断)して枚葉フィルムFとして樹脂搭載部10c上に準備する。そして枚葉フィルムFを搬送治具12によって所要の張力(テンション)を付与して支持した状態で、樹脂Rが供給される。ディスペンスユニット11aはX−Y方向に走査しながら枚葉フィルムF上に1回の樹脂モールドに必要な樹脂R(例えば液状樹脂)を供給する。なお、枚葉フィルムF及び搬送治具12を回転させながらディスペンスユニット11aを前後方向に移動させ、渦巻き状に必要な樹脂Rを供給してもよい。
樹脂ローダ6は、第一樹脂供給部10と第二樹脂供給部11のうちいずれかから樹脂Rが搭載された枚葉フィルムFを搬送治具12と共に受け取り、レール2を共用して第一プレス部P1及び第二プレス部P2のいずれかに供給する。樹脂ローダ6は、樹脂ハンド8(治具保持部8b)によって搬送治具12の対向辺を把持して搬送する。このとき、レール2を共用するワークローダ1は、レール2上を樹脂ローダ6の搬送動作に干渉しない位置に退避している。
尚、第一樹脂供給部10と第二樹脂供給部11は必ずしも併存するように設ける必要があるものではなく、第一樹脂供給部10のみをレール2を介して2セット設けてもよい(図10参照)。また、第一樹脂供給部10に対して搬送治具12を供給するための治具保管部30を設けてもよい(図10参照)。即ち、同種の樹脂Rを供給する供給部を複数設けてもよい。搬送治具12は、樹脂ローダ6によって各樹脂搭載部10cに搬送されてもよい。この場合、搬送治具12は、樹脂ハンド8の治具保持部8bによって樹脂搭載部10cに搬送するようにしてもよい。
図1において、ワーク処理ユニットUwの構成例について説明する。ワーク処理ユニットUwは、搬送部Cの長手方向の他側面(図1左側面)に接続される。ワーク処理ユニットUwは、複数の成形前のワークW(半導体ウエハ、キャリヤ、基板等)を収容し保持するワーク収容部13と、複数の成形後の成形品Mを収容する成形品収容部14と、ワーク収容部13から成形前のワークWを取り出しワークローダ1に引き渡すと共に、成形品Mを当該ワークローダ1から引き取り成形品収容部14に収容するロボット搬送装置15(第二搬送部)を備えている。
ワーク収容部13には、例えばワークWとして、半導体ウエハ、矩形パネル(基板、キャリヤ、サブストレート基板等)等がフープマガジン、スタックマガジン又はスリットマガジン等のマガジン内に、半導体チップ搭載面が上向きの状態で収納されている。成形品収容部14には、各プレスにおいて樹脂モールドされた成形品Mがマガジン内に収納される。なお、ワーク収容部13及び成形品収容部14は、別の構成を有するものを示すものでなく、ワークWを収容するときにはワーク収容部13であり、成形品Mを収容するときには成形品収容部14となる。このため、図1に示すようにワークW又は成形品Mを収容する収容部をそれぞれ別個に設けてもよいし、いずれも収容できる収容部を複数設けてもよい。また、ワーク収容部13等に対するマガジンの設置及び取り外しは、装置前方から行ってもよいし、装置上方から行ってもよい。
ロボット搬送装置15は、例えば水平多関節型の多関節型ロボットと昇降機構が組み合わされて用いられ、ロボットハンド15aにワークWや成形品Mを把持又は機械的保持と吸着を併用して搬送する。図1は、ワークとして円形(丸形)の半導体ウエハを保持する例を示している。ワークWは、ロボットハンド15aに3カ所設けられた保持爪15bに当接した状態で少なくとも1箇所の保持爪を押圧することで把持されるようになっている。また、ロボットハンド15aは、ワークWを金型にセットする向きと、各収容部に収容する向きが180度異なるため、アームに対して回転可能に接続されている。
また、ワーク処理ユニットUwは、ワーク収容部13から取り出された成形前のワークWに対する前処理として、ワークWの厚み測定(ダイカウント、半導体チップの高さ計測等)、ワークWの配列(複数のワークを整列、アライナ等)又はワークWの表裏反転のうち少なくとも1つの処理を行う前処理ユニット16を備えた構成とすることができる。この場合、ワークWの厚み計測により、樹脂供給ユニットUdによる樹脂供給量が決まるようになっていてもよいし、ワークWに予め付与された識別マーク(スクウェア型二次元コード、バーコード等)を読み取ることで事前に測定された半導体チップの高さなどを読み出し樹脂供給量を決めるようになっていてもよい。ロボット搬送装置15は、ワーク収容部13からワークWを前処理ユニット16へ引き渡し、前処理ユニット16で前処理されたワークWをワークローダ1に引き渡すようになっている。
また、ワーク処理ユニットUwは、ワークローダ1から引き取った成形品Mに対する後処理として、成形品Mの表裏反転、成形品Mの検査、成形品のポストキュア又は成形品Mの冷却、使用後フィルムの収容のうち少なくとも1つの処理を行う後処理ユニット17を備えていてもよい。
例えば、成形品Mの検査と冷却を行う後処理ユニット17を備える構成とすることができる。また、後処理ユニット17としてキュア炉を設けて、各プレス部で樹脂モールドされた成形品Mを炉内に設けた多段の棚に各別に収納してアフターキュアすることで樹脂パッケージ部を加熱硬化させる。また、後処理ユニット17として、成形品Mを冷却する冷却部や、成形品Mの外観検査などを行う検査部等を配置してもよい。ロボット搬送装置15は、ワークローダ1より成形品Mを受け取って後処理ユニット17へ引き渡し、後処理ユニット17により後処理された成形品Mを成形品収容部14に収容するようになっている。
尚、ワーク処理ユニットUwの構成は上述した態様に限らず、例えば図10に示すように、第一処理部18と第二処理部19とで分けて構成されるようにしてもよい。この場合、第一処理部18は、ワーク収容部13と、成形品収容部14と、前処理ユニット16及び後処理ユニット17のうち少なくとも1処理を行う機能ユニットとを備える構成としてもよい。例えば、第一処理部18に、ワーク収容部13、前処理ユニット16、後処理ユニット17(冷却部)を配置し、第二処理部19に、成形品収容部14、後処理ユニット17(キュア炉)を配置してもよい。
また、第一処理部18は、プレスユニットUpに接続されると共に、第二処理部19は第一処理部18に接続されている。この場合には、ロボット搬送装置15は、ベース部15cがレール15d上を往復移動できる構成になっていることが望ましい。
尚、後処理ユニット17としてフィルム回収部を設けた場合には、ワークローダ1は、ワークハンド4が成形品Mをモールド金型21から取り出す際に、使用済みの枚葉フィルムFも吸着パッド4cに吸着保持して取り出し、取り出された枚葉フィルムFは図示しないフィルム回収部へ回収されるようにしてもよい。
また、後処理ユニット17にフィルム回収部を設ける代わりに、各プレス部のモールド金型21の近傍にフィルム回収機構を設けて、ワークローダ1による枚葉フィルムFの回収動作を省略してもよい。
次に樹脂モールド装置のモールド動作の一例について図4乃至図9を参照して説明する。尚、ワークWとしては一例として半導体ウエハを想定して説明する。
図4は、ロボット搬送装置15により、ワーク収容部13へ成形前のワークWを前処理ユニット16へ搬送する動作を示す。ロボットハンド15aによりマガジンよりワークWが把持されて前処理ユニット16へ搬送される。前処理ユニット16では、ワークWは、マガジンにおいては任意の方向を向いた状態で保管されているため、ワークWを回転させて向きを揃えるアライナにより向きが一定に揃えられることで、均一な成形が可能となる。また、ワークWのダイカウントやワークWの厚さ計測等が行われる。このとき、ワークWはマガジンに収容されている時と同様に半導体チップ搭載面が上向きの状態にある。
次に、図5に示すように、ロボット搬送装置15は、前処理ユニット16よりワークWを受け取って、レール2のワーク処理ユニット側端部に待機したワークローダ1へワークWを受け渡す。このとき、ハンド駆動部5は、回転軸3aを中心にワークローダ本体3の長手方向に対して反時計回り方向へ90度回転して、ワークハンド4がレール2に倣った向きで待機している。一方、ロボット搬送装置15では、ワークWを保持したロボットハンド15aを180度回転させて、半導体チップ搭載面を上向きから下向きに姿勢変更した後に、ワークハンド4のワーク保持部4bにワークWの外周を保持させることで引き渡す。
また、図5に示すワーク処理ユニットUwの前処理動作と樹脂供給ユニットUdにおける樹脂供給動作を並行するようになっている。即ち、ワーク処理ユニットUwで前処理動作が行われている間に、樹脂供給ユニットUdで樹脂供給動作が重畳的に行われる。具体的には、フィルム切出し部10bにおいて、ロールフィルム10aよりフィルム端が引き出された状態で、任意のサイズの矩形状に切断(裁断)され、枚葉フィルムFとして樹脂搭載部10c上に切り出される。この枚葉フィルムFに矩形状の搬送治具12を重ね合わせて当該枚葉フィルムFに所要の張力(テンション)を付与して支持した状態で、ホッパー10dに貯留された樹脂R(顆粒状樹脂)をX−Y方向に走査可能なトラフ10eを通じて枚葉フィルムF上に1回の樹脂モールドに必要な樹脂Rを一様に供給する。例えば、円形の範囲内で平行線を並べた形状、同心円形状、渦巻き形状といった形状にトラフ10eを移動させることで一様の樹脂Rの供給が可能である。このとき、樹脂ローダ6は、樹脂供給ユニットUd側に延設されたレール2の端部に待機している。
次に図6に示すように、ワークWを受け渡されたワークローダ1は、レール2に沿って第一プレス部P1と第二プレス部P2と対向する位置(中間位置)に移動する。ハンド駆動部5が回転軸3aを中心に時計回り方向に90度回転してワークハンド4がワークローダ本体3と重なる位置に姿勢変更する。そして、ワークハンド4をハンド駆動部5に設けた直動レール5a上を第一プレス部P1の型開きしたモールド金型21に向かって進入させる。ワークハンド4のワーク保持部4bに保持されたワークWは、上型23のクランプ面と位置合わせして引き渡される。具体的にはワークハンド4が上型クランプ面に対して上昇することでワークWの半導体素子を搭載していない面を吸引孔が設けられた上型クランプ面に押し当てることで吸着保持される(図2参照)。
このとき、樹脂供給ユニットUdでは、樹脂ローダ6のハンド駆動部9上に設けた樹脂ハンド8が、直動レール9a上を移動して樹脂搭載部10cに進入する。そして、例えば爪状等の治具保持部8bによって樹脂Rが供給された枚葉フィルムFを搬送治具12の両側対向辺を把持することで樹脂Rが樹脂ローダ6に受け渡される。搬送治具12を介して樹脂Rと枚葉フィルムFを保持した樹脂ハンド8は、樹脂搭載部10cからハンド駆動部9上に退避する。
次に、図7において、第一プレス部P1の型開きしたモールド金型21に進入していたワークハンド4をハンド駆動部5上に退避させ、ワークローダ1をレール2に沿ってワーク処理ユニットUw側に移動させて待機させる。
この状態で、樹脂ローダ6による樹脂供給動作を開始する。樹脂ローダ本体7をレール2に沿って第一プレス部P1と第二プレス部P2と対向する位置(中間位置)まで移動させる。樹脂ローダ6は、ハンド駆動部9上に設けた樹脂ハンド8を直動レール9aに沿って移動させて型開きした第一プレス部P1に進入させる。そして、治具保持部8bによって、搬送治具12と下型29を位置合わせして樹脂ハンド8を下降させて搬送治具12による枚葉フィルムFのチャックを解除すると共に下型クランプ面及び下型キャビティ内に吸着保持することで、枚葉フィルムFと共に樹脂Rが下型29に受け渡される。
枚葉フィルムF及び樹脂Rを引き渡した樹脂ローダ6は、樹脂ハンド8が搬送治具12を保持したまま第一プレス部P1よりハンド駆動部9上に退避する。樹脂ハンド8がハンド駆動部9上に戻った状態で樹脂ローダ6は、再度樹脂ローダ本体7がレール2に沿って樹脂供給ユニットUd側へ移動する。また、図7の矢印に示すように、ロボット搬送装置15は、ワーク収容部13から次のワークWを保持して前処理ユニット16に搬送して前処理を行うことが好ましい。
尚、詳述しないが、樹脂ローダ6の樹脂ハンド8に保持された搬送治具12は、次の樹脂搬送に用いてもよいし、搬送治具12の治具保管部30(図10参照)に次の樹脂供給動作に備えてストックしたり冷却したりしておいてもよい。
第一プレス部P1において、図11に示すように上型23にワークWが供給され下型29に樹脂Rが供給されると、モールド金型21は型閉じを行ない、圧縮成形が行われる。具体的には上型固定プラテン22に対して下型可動プラテン24を上昇させて、上型23と下型29を型閉じしてワークWをクランプしたまま樹脂Rを加熱硬化させる。
第一プレス部P1で樹脂モールド動作を行なっている間に、第二プレス部P2に対するワーク供給動作が行われる。図8の矢印に示すように、ロボット搬送装置15は、前処理ユニット16より前処理が行われた次のワークWを受け取って、レール2のワーク処理ユニット側端部に待機したワークローダ1(ワークハンド4)へワークWを受け渡す。またこのとき、樹脂供給ユニットUdにおいて、樹脂搭載部10cにセットされた搬送治具12に保持されたフィルムFに樹脂Rが供給される。
ワークWを受け渡されたワークローダ1は、図9に示すようにレール2に沿って第一プレス部P1と第二プレス部P2と対向する位置(中間位置)に移動する。図の矢印に示すようにハンド駆動部5が回転軸3aを中心に反時計回り方向に90度回転してワークハンド4がワークローダ本体3と重なるように姿勢変更する。そして、ワークハンド4をハンド駆動部5に設けた直動レール5a上を第二プレス部P2の型開きしたモールド金型21に向かって進入させる。ワークハンド4のワーク保持部4bに保持されたワークWは、上型23のクランプ面と位置合わせして引き渡される。
また、このとき、樹脂供給ユニットUdでは、樹脂ローダ6のハンド駆動部9上に設けた樹脂ハンド8が直動レール9a上を移動して樹脂搭載部10cに進入する。そして、治具保持部8bによって、樹脂Rが供給された枚葉フィルムFを搬送治具12の両側対向辺を把持したまま、樹脂ハンド8がハンド駆動部9に重なる位置まで退避して樹脂Rが樹脂ローダ6に受け渡される。
ワークローダ1をレール2に沿ってワーク処理ユニットUw側に移動させて待機させる。この状態で、樹脂ローダ6による第二プレス部P2への樹脂供給動作を開始する。樹脂ローダ本体7をレール2に沿って第一プレス部P1と第二プレス部P2と対向する位置(中間位置)まで移動させる。そして、ハンド駆動部9を回転軸7aを中心に180度時計回り方向に回転させて姿勢変更した後、ハンド駆動部9上に設けた樹脂ハンド8を直動レール9aに沿って移動させて型開きした第二プレス部P2に進入させる。そして、搬送治具12と下型29を位置合わせして樹脂ハンド8を下降させて搬送治具12による枚葉フィルムFのチャックを解除すると共に枚葉フィルムFを下型クランプ面及び下型キャビティ内に吸着保持することで、枚葉フィルムFと共に樹脂Rが下型29に受け渡される。
第二プレス部P2において、図11に示すように上型23にワークWが供給され下型29に樹脂Rが供給されると、モールド金型21は型閉じを行ない、圧縮成形が行われる。具体的には上型固定プラテン22に対して下型可動プラテン24を上昇させて、上型23と下型29を型閉じしてワークWをクランプしたまま樹脂Rを加熱硬化させる。
一方、第一プレス部P1において、圧縮成形後の成形品Mは、図4に示すように第一プレス部P1と第二プレス部P2と対向する位置(中間位置)に待機するワークローダ1によって、型開きしたモールド金型21にワークハンド4が進入して、上型23よりワーク保持部4bに成形品Mを受け渡され、吸着パッド4cによって下型29より枚葉フィルムFを吸着して回収する。そして、図5に示すように、ワークローダ1をレール2に沿ってワーク処理ユニットUw側に移動させてハンド駆動部5を反時計回り方向に90度回転させて待機する。ロボット搬送装置15は、ロボットハンド15aによりワークハンド4から成形品Mを受け取り、180度反転させてモールド面を上側に向けて後処理ユニット17に搬送する。尚、吸着パッド4cによって吸着された使用済み枚葉フィルムFは、別途回収ボックスに回収されることが望ましい。
後処理ユニット17において成形品Mは外観検査(必要に応じてポストキュアが行われ)や冷却が行われて、後処理された成形品Mは、ロボット搬送装置15によって保持されて成形品収容部14に備えたマガジンに収容される。
第二プレス部P2で圧縮成形された成形品Mも同様にワークローダ1によって取り出され、ワーク処理ユニットUwに備えたロボット搬送装置15によって後処理ユニット17を経て成形品収容部14に収容される。
以下、第一プレス部P1に対するワーク搬送動作と樹脂供給動作が並行し、同様の樹脂モールド動作が繰り返し行われる。
以上説明したように、プレスユニットUpは、第一プレス部P1と第二プレス部P2が搬送部Cの搬送方向と交差(直交)するように対向配置された構成であるので、設置面積が長手方向に長くなることを防止し、コンパクトに配置することができる。
また、第一ブレス部P1と第二プレス部P2とでワークローダ1がレール2上を移動する距離は同じであるので、ワークW及び成形品Mの搬送距離が短くなる。
また、樹脂モールド装置において、第一プレス部P1と第二プレス部P2が搬送部Cのレール2と交差(直交)するように対向配置され、ワーク処理ユニットUwと樹脂供給ユニットUdがプレスユニットUpのレール2の両側に接続するように配置されているので、第一プレス部P1と第二プレス部P2とでワーク搬送及び樹脂搬送のためレール2を共用することができる。よって、ワーク処理ユニットUwから第一,第二プレス部P1,P2に対するワーク供給動作及び成形品収納動作に要するワークローダ1の搬送距離が同じく短時間で処理でき、樹脂供給ユニットUdから第一,第二プレス部P1,P2に対する樹脂供給動作に要する樹脂ローダ6の搬送距離が同じく、短時間で処理することができる。また、ワーク処理ユニットUwにおける前処理機能若しくは後処理機能の拡張性は高く、樹脂供給ユニットUdの樹脂Rの種類や供給方式も任意に選択できるので、汎用性が向上する。
上述したプレスユニットUpによれば、設置面積をコンパクトに抑え、作業領域を減らして操作性を向上させ、ワークWや樹脂Rの搬送距離を均一にすることで成形品質を向上させることができる。また、上述したプレスユニットUpを備えることで、コンパクトで多機能を有する拡張性の高い樹脂モールド装置を提供することができる。
また、上述した実施形態は、モールド金型の下型キャビティが形成された下型クランプ面に、枚葉フィルムFを搬送して受け渡す場合について説明したが、上型キャビティが形成された上型クランプ面に対して枚葉フィルムFを搬送して受け渡すようにしてもよい。
また、上述した搬送治具12は、適宜、外形円形状や外形矩形状といった任意形状のワークWを樹脂モールドするために用いることができる。例えば、外形矩形状のワークWの樹脂モールドするために、上述した構成では円形または環状に構成した各部を矩形状とすることで、樹脂Rを矩形状に供給して、矩形状のキャビティに収容された矩形状のワークWに対してモールド成形することもできる。
また、例えばワークWは、ワークWの両面に樹脂モールド成形してもよい。この場合、ワークWの一方の面に樹脂モールド成形をした後にワーク処理ユニットUwに戻し、成形品Mをロボット搬送装置15のロボットハンド15aで反転させてからワークW(成形品M)の他方の面に樹脂モールド成形をしてもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明における第2の実施形態としての樹脂モールド装置の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。本実施形態では、第1の実施形態において説明した構成と同趣旨の構成については、実質的に異なる部分がある場合でも第1の実施形態と同一の符号を付して説明を援用するものとし、相違点を中心に説明する。
先ず、樹脂モールド装置の概略構成について図13を参照して説明する。この樹脂モールド装置においても、装置全体の長さの増大を防止することを目的とした構成としては第1の実施形態と共通する部分を有するものの、作業性や操作性の向上するためにプレスユニットUpや第二樹脂供給部11のレイアウトが第1の実施形態と大きく異なる。
本実施形態におけるプレスユニットUpの構成について説明する。このプレスユニットUpでは、ワークW及び樹脂Rをクランプして樹脂モールドする第一プレス部P1と第二プレス部P2が搬送部Cの搬送方向と平行に隣接して配置されている。搬送部Cには、ワークローダ1と、樹脂ローダ6と、ワークローダ1及び樹脂ローダ6がそれぞれ移動可能なレール2a、2bと、が設けられている。具体的には、ワークローダ1が移動可能なレール2aと、樹脂ローダ6が移動可能なレール2bとを重複して設けることで、ワークローダ1の移動範囲と樹脂ローダ6の移動範囲とが重複するように設けられている。なお、レールを1組のみ設け、ワークローダ1及び樹脂ローダ6が移動可能な1組のレールとすることもできる。ワークローダ1は、第一プレス部P1及び第二プレス部P2のいずれかにワークWを供給すると共に、第一プレス部P1及び第二プレス部P2のいずれかで成形されたワークである成形品Mを取り出す。また、樹脂ローダ6は、第一プレス部P1及び第二プレス部P2のいずれかに樹脂Rを供給する。なお、第一プレス部P1及び第二プレス部P2に設けられるモールド金型の構成は、第1の実施形態と同様のため、ここでの説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態におけるワークローダ1は、レール2a上を往復動するワークローダ本体3と、ワークW及び成形品Mのいずれかを保持するワークハンド4と、ワークハンド4を各プレス部P1、P2の方向に進退動させるハンド駆動部5を備えている。また、ワークハンド4をハンド駆動部5に対して上下動させることができるようになっている。樹脂ローダ6は、レール2b上を往復動する樹脂ローダ本体7と、搬送治具12を介して樹脂R及び枚葉フィルムFを保持する樹脂ハンド8と、樹脂ハンド8を各プレス部P1、P2の方向に対して進退動させるハンド駆動部9を備えている。また、ハンド駆動部9は、樹脂Rを金型へ受け渡し等のための上下動機構(例えばシリンダ駆動、ソレノイド駆動等)が設けられており、樹脂ハンド8をハンド駆動部9に対して上下動させることができるようになっている。
次に、図13において全自動型の樹脂モールド装置の構成例について説明する。本実施形態においても、上述のプレスユニットUpと、プレスユニットUpに樹脂Rを供給する樹脂供給ユニットUdと、プレスユニットUpにワークWを供給すると共に成形品Mを収容するワーク処理ユニットUwを同様の並び順で備えている点では第1の実施形態と共通する。ただし、樹脂Rの供給のみを自動化する半自動型の樹脂モールド装置の構成として、ワーク処理ユニットUwを必ずしも設ける必要は無い。
ここで、樹脂供給ユニットUdの構成について説明する。樹脂搬送ユニットUdは、搬送部Cの長手方向の一側面(図1右側面)に搬送部Cからレール2bが延設されるように接続される。この延設されたレール2bに対し同一方向において隣接するように、第一樹脂供給部10と第二樹脂供給部11とが配置されている。第一樹脂供給部10の構成は、搬送部Cに対するレイアウトが異なる以外の機能などについて第1の実施形態と同等であるのでここでの説明は省略する。
本実施形態における第二樹脂供給部11は、枚葉フィルムF上に樹脂Rを供給できる点では第1実施形態における第二樹脂供給部11と同等の機能を備えるものの、設置面積削減の観点から内部構造の配置が大きく異なるので、詳細に説明する。
即ち、第二樹脂供給部11では、図14に示すように、ロールフィルム10aを収容するロールフィルム収容部10Aと、複数のシリンジ11bを回転可能に保持したリボルバ式のシリンジ供給部11cとを上下に重ねて設けている。ロールフィルム10aから引き出されたフィルムFはフィルム切出し部10bにおいて短冊状に切断される。これにより、ロールフィルム10aとシリンジ11bとを装置正面(装置前面)から交換可能であり、装置面積を低減することができる。また、上下に重ね合わせたシリンジ供給部11c及びロールフィルム収容部10Aと、搬送部C(レール2b)との間(装置内側)に、フィルム切出し部10bと該フィルム切出し部10bに切断されたフィルムFに液状の樹脂Rを搭載(供給)する樹脂搭載部10cを備えている。
図14に示すように、フィルム切出し部10bは、樹脂搭載部10cよりも下方に設けられたロールフィルム10aから複数の案内ローラ10fを介して上方に案内し、樹脂搭載部10cにフィルムを供給する。また、ロールフィルム10aの設置位置の近傍には、ロールフィルム10aの残量を検知する残量センサ10gが設けられている。例えば、残量センサ10gはロールフィルム10aにおける径方向の任意位置を発光素子と受光素子とを挟み込むように設ける構成とすることができる。この場合、残量センサ10gは、ロールフィルム10aの残量(外周位置)が所定位置を下回ったときに検知信号を発生してロールフィルム10aの交換等を促す。
一方、シリンジ供給部11cは、複数のシリンジ11bを回転可能に保持したリボルバ構造を昇降して複数のシリンジ11bを任意の高さに保持可能に構成されている。換言すれば、第二樹脂供給部11は、シリンジ供給部11cを昇降するシリンジ昇降部11dを備えている。シリンジ昇降部11dは、例えばリニアガイド、ボールネジ及びモータで構成される直動機構を縦向きに配置して構成される。これにより、複数のシリンジ11bを備えたリボルバ構造を保持する枠体11eを昇降させることが可能となる。ここで、枠体11eは、第二樹脂供給部11の前面側と、装置内側において開口して、前面方向(紙面左側)と、内側方向(紙面右側)にシリンジ11bの受け渡しができる構成とすることができる。
また、図14(A)(B)に示すように、第二樹脂供給部11は、シリンジ11bを保持して樹脂Rを吐出させるディスペンサ11fと、ディスペンサ11fをXYZ方向(前後左右上下方向)に移動させるディスペンサ駆動機構11gとを更に備える。ディスペンサ11fは、シリンジ供給部11cに保持されたシリンジ11bを、柱状のディスペンサ本体に設けられたシリンジ把持部が受け取って保持し、ピストンをシリンジ11b内で前進させることでシリンジ11b先端(下端)のノズルから樹脂Rを吐出させる。また、シリンジ11b先端のノズルに弾性体のチューブを設け、このチューブを挟み込んで樹脂Rの吐出を規制するピンチバルブを設けてもよい。また、ノズル先端からの樹脂の垂れ下がりによって装置内を汚染しないように、ノズル下方を閉塞するシャッタ(図示せず)を備えてもよい。
ディスペンサ駆動機構11gは、ディスペンサ11fのディスペンサ本体の上方に連結されるように設けられて、直動機構を複数備えることでディスペンサ11fをXYZ座標における任意の位置に移動可能に構成される。また、ディスペンサ駆動機構11gは、直動機構に替えてパラレルリンク機構を備える構造としていてもよい。これによれば、安価にディスペンサ11fをXYZ座標上で任意の位置に移動可能に構成できる。
樹脂ローダ6は、第一樹脂供給部10と第二樹脂供給部11のうちいずれかから樹脂Rが搭載された枚葉フィルムFを搬送治具12と共に受け取り、レール2b上を移動して第一プレス部P1及び第二プレス部P2のいずれかに供給する(図13参照)。樹脂ローダ6は、樹脂ハンド8(治具保持部8b)によって搬送治具12の対向辺を把持して搬送する。このとき、レール2a,2bが重複して設けられることで樹脂ローダ6と移動範囲が重複するワークローダ1は、レール2a上を樹脂ローダ6の搬送動作に干渉しない位置(第一プレス部P1及び第二プレス部P2の正面を避けた位置)に退避する。尚、第一樹脂供給部10と第二樹脂供給部11は必ずしも併存するように設ける必要があるものではなく、1台の第二樹脂供給部11のみをレール2bを介して設けてもよく、第二樹脂供給部11のみをレール2bを介して複数並べて設けてもよい。
図13において、ワーク処理ユニットUwの構成例について説明する。ワーク処理ユニットUwは、搬送部Cの長手方向の他側面(図1左側面)に接続される。ワーク処理ユニットUwは、ワーク収容部13、成形品収容部14、ロボット搬送装置15、前処理ユニット16及び後処理ユニット17を備える点は、第1の実施形態と同様であるが、使用済みの枚葉フィルムFを回収するフィルム回収部17aを独立して備える点で相違する。本実施形態におけるフィルム回収部17aは、ロボット搬送装置15とプレス部P1との間に挟まれて設けられる。また、フィルム回収部17aには、プレス部P1のレール2aと連結してワークローダ1が移動可能なレール2aが設けられる。
このため、フィルム回収部17aに設けられたレール2aも搬送部Cの一部を構成する。また、フィルム回収部17aにおいて、プレス部P1から延在するレール2aと重複する領域でその上方において、ワークW又は成形品Mを一時的に保持する受渡し部2cが設けられている。具体的には、受渡し部2cは、レール2a上を移動するワークローダ1がフィルム回収部17aのレール2a上に移動した際に、ワークハンド4に保持されたワークW及び成形品Mが通過する位置に設けられている。
受渡し部2cは、ワークW及び成形品Mの保持及び昇降を可能に構成され、ロボットハンド15aとワークハンド4との間におけるワークW及び成形品Mの受け渡しを中継する。すなわち、受渡し部2cは、前処理が完了したワークWをロボットハンド15aから受け取り、ワークローダ1のワークハンド4に引き渡す。また、受渡し部2cは、モールド金型21において樹脂モールドされた成形品Mをワークローダ1のワークハンド4から受け取り、ロボットハンド15aに引き渡す。このように、ワークW及び成形品Mの受け渡しにおいて、ロボット搬送装置15のロボットハンド15aとワークローダ1のワークハンド4とが直接受け渡しを行わないようにすることで、ロボットハンド15aとワークハンド4とを同時期に受け渡しする位置に移動させる必要がない。従って、これらの待ち時間を発生させずに、複数のワークW及び成形品Mの搬送を効率的に行うことができる。
ロボット搬送装置15は、ロボットハンド15aの構造が第1の実施形態とは異なり、ワークWや成形品Mの表裏反転の際にこれらが脱落してしまうのをより確実に防止するための構成を備える。すなわち、図15に示すように、ロボットハンド15aは、ハンド本体151、固定爪部(保持爪)152、可動爪部(保持爪)153、爪駆動機構154、吸引回路155、吸引孔156およびパッド部157を備える。ここで、図15(A)は、ロボットハンド15aの平面視での構成を示し、図15(B)は、ロボットハンド15aの側面視での構成を示す。
ハンド本体151は、例えば、複数本(例えば2本)の爪状に枝分かれて設けられ、ワークWや成形品Mを全体として支持する。このハンド本体151は、水平多関節型のロボット搬送装置15において垂直軸に対して回転するアーム15eの先端において、そのアーム15eの周(ロール)方向Drに回転可能に構成される。固定爪部152は、ハンド本体151の枝分かれした先端部分にそれぞれ立設されることで複数設けられる。また、固定爪部152は、その先端の拡径することで、保持するワークWや成形品Mの外縁における主面(表面)を押圧して保持する保持爪として機能する。
可動爪部153は、固定爪部152と同様の形状を有し、ハンド本体151の根元側に複数設けられる。なお、固定爪部152及び可動爪部153の形状は、ワークWや成形品Mの外縁における主面(表面)を押圧して保持できれば、図示した形状以外の構成(フック状)でもよい。また、可動爪部153は、固定爪部152(換言すれば保持するワークWや成形品M)に対して進退することで、可動爪部153と固定爪部152との間隔を可変としている。
爪駆動機構154は、図示しないエアシリンダ等の駆動源を備えて構成され、可動爪部153をワークWや成形品Mに対し進退方向に駆動させる。爪駆動機構154が可動爪部153を進退させることで、ワークW及び成形品Mの保持及び解放の切り替えが可能となっている。
吸引回路155は、ハンド本体151内に設けられ、減圧装置(図示せず)に接続される。吸引孔156は、ハンド本体151のワークWや成形品Mの保持面において複数個所で開口し、吸引回路155を介してエア吸引してワークWや成形品Mを吸着する。パッド部157は、例えばOリングやゴムシートなどの弾性体で構成されて、吸引孔156を囲うように設けられる。これにより、パッド部157は、保持するワークW又は成形面Mと吸引孔156との弾性的に隙間を塞いで、これらの吸着状態を維持する。
なお、これらの構成は全て一体として用いることが後述する効果の観点からいえば好ましいが、ロボットハンド15aの変形例として、ハンド本体151、固定爪部152、可動爪部153、及び、爪駆動機構154のみを備えた機械的保持構造としてもよい。また、ロボットハンド15aの他の変形例として、ハンド本体151、吸引回路155、及び、吸引孔156のみを備える吸着保持構造としてもよい。これらの場合、薄型の構成でワークWや成形品Mを保持することができる。
また、ワーク処理ユニットUwは、前処理ユニット16や後処理ユニット17については第1実施形態と同様の構成を備える。本実施形態に示すワーク処理ユニットUwにおいても、例えば図10に示すように、第一処理部18と第二処理部19とに分けて配置構成されるようにしてもよい。
次に樹脂モールド装置のモールド動作の一例について図13から図15を参照して説明する。尚、ワークWとしては一例として表面にチップが搭載された丸形ワーク(半導体ウエハ、キャリア)を想定して説明するものとし、ワーク処理ユニットUw内での動作については、基本的に同様であるので第1の実施形態における各図を参照しながら説明する。まず、ロボット搬送装置15が、ワーク収容部13へ成形前のワークWを前処理ユニット16へ搬送する(図4参照)。この動作において、まずハンド本体151をワーク収容部13へ挿入してワークWを保持する。
ここで、図15(A)(B)に示すロボットハンド15aを用いたワークWの保持動作を説明する。まず、図13に示すワーク収容部13においてスリットマガジンに収容されたワークWの下側に重ね合わせるようにハンド本体151が挿入される。具体的には、後述するワークWの吸着時に固定爪部152の拡径部がワークWに接触しない程度に若干前進させた位置までハンド本体151を挿入する。次いで、ハンド本体151を上昇させることでワークWの裏面(チップ非搭載面)に接近させ、固定爪部152の拡径部がワークWの表面を越える高さまでハンド本体151を移動させる。続いて、爪駆動機構154により可動爪部153をワークW(固定爪部152)に接近させるように押し付けることで、固定爪部152と可動爪部153とでワークWを挟み込む。この場合、固定爪部152と可動爪部153の拡径部がワークWに平面視で重ね合わされる位置に配置されることにより、ワークWが固定爪部152と可動爪部153とによって機械的に保持され、ワークWが確実に保持される(図15(A)(B)参照)。
続いて、ロボット搬送装置15に接続された減圧装置(図示せず)によって吸引回路155を介し吸引孔156からワークWの裏面を吸着することにより、ワークWの複数個所で吸着されることで全面が保持される。ここで、弾性体で形成されたパッド部157を設けていることで、ワークWの吸着不良を防止できる。
このように保持されたワークWがロボットハンド15aによって把持されたまま前処理ユニット16へ搬送される。前処理ユニット16では、所定の処理が行われるが、ワークWはマガジンに収容されているときと同様に半導体チップ搭載面が上向きの状態にある。
次に、ロボット搬送装置15は、前処理ユニット16よりワークWを受け取って、反転したワークWを受渡し部2cに引き渡す(図13参照)。これにより、ロボットハンド15aのワークWの引渡し動作が完了する。このように、ワークハンド4の到着を待つことなく受渡し部2cにおけるワークWの引渡し動作を完了できるため、ロボットハンド15aの待ち時間が不要となり、他のワークWや成形品Mの搬送を行うことができる。なお、ロボットハンド15aを用いたワークWの保持を解除する動作は、ワークWの保持動作を逆に行うことで実施可能である。
このとき、ロボット搬送装置15では、ワークWを保持したロボットハンド15aをアーム15eの周方向Drに180度回転させて、半導体チップ搭載面を上向きから下向きとなるように姿勢変更する。この際に、ワークWが固定爪部152と可動爪部153とによって機械的に保持されているため、仮に吸着が十分でないなどの理由によりワークWの保持が不十分であっても脱落を確実に防止できる。具体的には、それぞれ2本設けた固定爪部152と可動爪部153によってこれらの4つの支点間の距離がワークWの直径よりも小さくなり、ロボットハンド15aを傾けてもその側面方向からワークWが抜け落ちて脱落するのを防止することができる。また、ワークWの裏面を吸着保持しているため、仮に固定爪部152と可動爪部153とによる機械的な保持力が十分でなくなってしまった場合に、ロボットハンド15aが傾けられてワークWが脱落しやすい姿勢になっても、ワークWの複数個所で吸着され全面を保持しているため、ワークWの脱落を確実に防止できる。
続いて、ワークローダ1は、ワークハンド4が受渡し部2cに重複する位置まで移動する。次いで、ワークハンド4が、受渡し部2cに対して昇降方向で相対的に接近し、ワークWを保持し受け取る。
一方、ワーク処理ユニットUwの前処理動作と樹脂供給ユニットUdにおける樹脂供給動作を並行するようになっている。即ち、ワーク処理ユニットUwで前処理動作等が行われている間に、樹脂供給ユニットUdで樹脂供給動作が重畳的に行われる。具体的には、第二樹脂供給部11の装置下方に設けられたロールフィルム10aは案内ローラ10fを介して上方に案内され、樹脂搭載部10cにフィルムが供給される。ここで、フィルム切出し部10bにおいて、ロールフィルム10aよりフィルム端が引き出された状態で、任意のサイズの矩形状に切断(裁断)され、枚葉フィルムFとして樹脂搭載部10c上に切り出される。なお、装置下方に設けられたロールフィルム10aの残量を残量センサ10gが検知し、残量(交換時期、使用不可)に応じた通知を表示部に表示する。このため、作業者はロールフィルム10aのフィルム残量を確認するために装置下方を目視で確認動作が不要である。
なお、第二樹脂供給部11の装置下方に設けられたロールフィルム10aは、表示部における通知がされた後に任意のタイミングで交換される。この場合、第二樹脂供給部11の正面カバー(図示せず)を開放して、残量の無くなったロールフィルム10a(フィルムロール)を取り外し、未使用のロールフィルム10aをセットする。ここで、このロールフィルム10aのフィルム端を引き出して案内ローラ10fを通過させながらセットし、樹脂搭載部10cまで到達させる。このように、本実施形態における第二樹脂供給部11によれば、ロールフィルム10aを第二樹脂供給部11の正面側から交換でき、プレス部P1,P2の操作などの他の作業と同じ面からのアクセスを可能としているため、作業性・操作性に優れる。また、シリンジ供給部11cが昇降可能な構成であるため、ロールフィルム10aの交換を行う際には、図14(A)に示すように、シリンジ供給部11cを上昇させて、ロールフィルム10aや案内ローラ10fにアクセスしやすいように位置させておくことができる。また、ロールフィルム10aの上方を覆って交換時のみ取り外し可能な保護カバー10hを備えてもよい。
一方、第二樹脂供給部11では、シリンジ11bから樹脂Rを吐出させるディスペンサ11fを、ディスペンサ駆動機構11gによってXYZ方向に移動させることで、樹脂搭載部10c上において切り出された枚葉フィルムFに対して、樹脂Rが任意形状に搭載(塗布)される。
本実施形態の半導体ウエハのような丸形のワークWを圧縮成形するための樹脂Rとしては、例えば渦巻き状(又は同心円状)に塗布(供給)することが好ましい。具体的には、ディスペンサ駆動機構11gによりディスペンサ11fのXY方向(水平方面における前後方向)の位置を制御することでディスペンサ11fを渦巻きの軌跡に沿って内側から外側へ(又は外側から内側へ)動作させる。この際に、シリンジ11bに挿入されたピストンを所定量ずつ下降させてディスペンサ11fのノズルから樹脂Rを所定量ずつ吐出させる。これにより、枚葉フィルムFには、渦巻き状の樹脂Rが塗布されることになる。なお、ノズルから樹脂Rの吐出を停止(液切り)する際には、ノズルに設けたチューブをピンチバルブで挟み込んで樹脂Rの吐出経路を閉塞して吐出を停止させた状態で、樹脂Rの供給領域の外周を倣わせるように、シリンジ11bを回転させる動作を行うこともできる。また、ノズル下方を閉塞するシャッタのような構成によりノズルから垂れ下がった樹脂Rを強制的に液切りするようにしてもよい。
ここで、図14(A)(B)を参照して、ディスペンサ11fに対するシリンジ11bの交換の動作と、シリンジ供給部11cに対するシリンジ11bの交換の動作とについて説明する。
シリンジ11bには、所定量の液状樹脂Rが充填されているため、所定回数の成形のたびに、ディスペンサ11fは、シリンジ供給部11cに保持された未使用のシリンジ11bから受け取る必要がある。この場合、まずシリンジ供給部11cが、ディスペンサ11fにシリンジ11bを引き渡せる高さ位置に昇降移動する。すなわち、図14(B)に示すように、シリンジ供給部11cで保持されたシリンジ11bの高さと、ディスペンサ11fで保持されたシリンジ11bの高さとを同じ高さとする。次いで、ディスペンサ11fが、ディスペンサ駆動機構11gによってシリンジ供給部11cに接近し、使用済みで樹脂Rが残っていないシリンジ11bをシリンジ供給部11cに引き渡す。続いて、シリンジ供給部11cはリボルバ構造により未使用のシリンジ11bをディスペンサ11fに対面する位置に向けるように回転させる。次いで、ディスペンサ11fは、ディスペンサ駆動機構11gによってシリンジ供給部11cに接近し、未使用のシリンジ11bをシリンジ供給部から受け取る。このような動作により、ディスペンサ11fに対するシリンジ11bの交換の動作が完了する。続いて、樹脂Rを塗布すべき全量に対しての不足分を、新しいシリンジ11bから供給することで、無駄なく樹脂Rの供給を行うこともできる。
一方、シリンジ供給部には、複数(例えば8本)のシリンジ11bを保持可能であるが、上述の動作を繰り返すことにより、シリンジ供給部11cに保持されたシリンジ11bの全てが使用済みになると、シリンジ供給部11cに対するシリンジ11bの交換の動作(作業)が必要となる。この場合、まずシリンジ供給部11cを、例えば図14(B)の位置より下方の位置まで下げることで、作業者がシリンジ供給部11cにシリンジ11bをセットしやすい高さに昇降移動させる。次いで、作業者が第二樹脂供給部11の正面カバー(図示せず)を開放し、シリンジ供給部11cを露出させる。続いて、リボルバ構造を回転させながら使用済みのシリンジ11bを未使用のシリンジ11bに交換していく。シリンジ11bの交換が完了したら、第二樹脂供給部11の正面カバーを閉じ、シリンジ供給部11cに対するシリンジ11bの交換が完了する。
これらのシリンジ11bの交換動作(作業)においては、シリンジ供給部11cが任意の位置に昇降可能と構成されていることで、それぞれの交換動作に応じた位置に移動させることができる。また、上述の通り、ロールフィルム10aの交換の際にも図14(A)に示すようにシリンジ供給部11cを上昇させておき作業の妨げとならないようにすることもできる。なお、これらの交換作業の他にも、シリンジ11bから樹脂Rを吐出させる定常の動作を行うときには、図14(A)の位置にシリンジ供給部11cを上昇させて、シリンジ供給部11cを樹脂搭載部10cの正面から移動させておくことで、作業者の視界を確保し第二樹脂供給部11(例えば透明部を備えた正面カバー)の外側からディスペンサ11fによる樹脂Rの塗布形状を視認できるようにしてもよい。
ところで、モールド動作としてワークローダ1において引き続き行われる動作として、ワークWを受け渡されたワークローダ1は、レール2aに沿って第一プレス部P1と対面する位置に移動する。ハンド駆動部5は、第1の実施形態のように回転動作を行なうことなく、ワークハンド4をハンド駆動部5に設けた直動レール5a上を第一プレス部P1の型開きしたモールド金型21に向かって進入させる。ワークハンド4のワーク保持部4bに保持されたワークWは、上型23のクランプ面と位置合わせして引き渡される。具体的にはワークハンド4が上型クランプ面に対して上昇することでワークWの半導体素子を搭載していない面を吸引孔が設けられた上型クランプ面に押し当てることで吸着保持される(図2参照)。次に、モールド金型21に進入していたワークハンド4をハンド駆動部5上に退避させ、ワークローダ1をレール2aに沿ってワーク処理ユニットUw側に移動させて待機させる。
一方、第二樹脂供給部11に設けられたレール2bに待機している樹脂ローダ6が、直動レール9a上を移動して樹脂搭載部10cに進入する。そして、例えば樹脂Rが供給された枚葉フィルムFを爪等の治具保持部8bによって搬送治具12の両側対向辺を把持することで樹脂Rが樹脂ローダ6に受け渡される。搬送治具12を介して樹脂Rと枚葉フィルムFを保持した樹脂ハンド8は、樹脂搭載部10cからハンド駆動部9上に退避する。
この状態で、樹脂ローダ6による樹脂供給動作を開始する。樹脂ローダ6は、レール2bに沿って第一プレス部P1に対面する位置まで移動させる。樹脂ローダ6は、ハンド駆動部9上に設けた樹脂ハンド8を直動レール9aに沿って移動させて型開きした第一プレス部P1に進入させる。そして、治具保持部8bによって、搬送治具12と下型29を位置合わせして樹脂ハンド8を下降させて搬送治具12による枚葉フィルムFのチャックを解除すると共に下型クランプ面及び下型キャビティ内に吸着保持することで、枚葉フィルムFと共に樹脂Rが下型29に受け渡される。なお、この第一プレス部P1及び第二プレス部P2におけるワークWの成形動作については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
枚葉フィルムF及び樹脂Rを引き渡した樹脂ローダ6は、樹脂ハンド8が搬送治具12を保持したまま第一プレス部P1よりハンド駆動部9上に退避する。樹脂ハンド8がハンド駆動部9上に戻った状態で樹脂ローダ6は、再度樹脂ローダ本体7がレール2bに沿って第二樹脂供給部11側へ移動する。第一プレス部P1で樹脂モールド動作を行なっている間に、第二プレス部P2に対するワークW、枚葉フィルムF及び樹脂Rの供給動作が行われるが、これらの動作についても第一プレス部P1に対する供給動作と同様であるのでここでの説明は省略する。
続いて、第一プレス部P1では、モールド金型21が型開きされ、第一プレス部P1に対面する位置に待機するワークローダ1によって、圧縮成形後の成形品Mが受け取られ、使用済みの枚葉フィルムFが回収される。次いで、ワーク処理ユニット側端部(フィルム回収部17aの背面位置)にワークローダ1を移動させる。ここで、ワークローダ1は、ワークハンド4が受渡し部2cに重複する位置まで移動する。次いで、ワークハンド4が、受渡し部2cに対して相対的に接近し、成形品Mを引き渡す。続いて、ワークローダ1は、吸着パッド4cに吸着した使用済みの枚葉フィルムFをフィルム回収部17aに設けた回収ボックスに投入する。続いて、上下反転したロボットハンド15aが、受渡し部2cに接近して成形品Mを受け取る。このように、ワークローダ1(ワークハンド4)を待たせることなく、ロボットハンド15aが成形品Mを受け取ることができるため、他のワークWや成形品Mの搬送を円滑に行うことができる。
次に、成形品Mを受け取ったロボット搬送装置15では、成形品Mを保持したロボットハンド15aをアーム15eの周方向Drに180度回転させて、半導体チップ搭載面が下向きから上向きとなるように姿勢変更する。ロボットハンド15aが上述したような構成であるため、この際にもワークWを回転させるときと同様に、成形品Mが脱落してしまうのを確実に防止できる。また、成形品MはワークWと比べて重いため、例えば吸着機能のみを備えたハンドで成形品Mを保持して反転しようとすると成形品Mが脱落し易くなることが考えられる。また、成形品Mにおいては樹脂Rの材質によってその熱収縮で反りが発生することもあり、吸着のみで成形品Mを保持する構成では確実な保持が困難である場合がある。しかしながら、本発明におけるロボットハンド15aによれば、固定爪部152と可動爪部153の拡径部で成形品Mを表面で押さえ込んで保持しながら、吸着パッド4cにより確実に成形品Mの裏面を吸引孔156での吸着状態を確保して成形品Mの脱落を防止している(図15(A)(B)参照)。
次いで、ロボットハンド15aにより成形品Mが後処理ユニット17に受け渡され、後処理が行われる。続いて、ロボットハンド15aにより成形品Mが後処理ユニット17から成形品収容部14に受け渡されて成形品Mが収容され、1個のワークWに対するモールド工程が完了する。なお、第二プレス部P2を用いたワークWに対するモールド工程も順次行われて行くが、その動作については第一プレス部P1における動作と同様のため、ここでの説明は省略する。
以上説明したように、装置各部において装置全体の面積を削減させる構成となっており、設置面積が長手方向に長くなることを防止し、作業性や操作性を確保しながらコンパクトに配置することができる。すなわち、ロボット搬送装置15では、ワークWや成形品Mを保持したロボットハンド15aを回転させて姿勢変更する構成を備えることで、ワークWや成形品Mの姿勢変更する別途の構成を不要として、その機能のための設置面積を不要とすることができる。また、第二樹脂供給部11においてロールフィルム収容部10Aと、シリンジ供給部11cとを上下に重ね合わせて設けることにより、ロールフィルム10aとシリンジ11bとを装置正面から交換可能に構成しながら、装置面積を低減することができるようにしている。
また、本実施形態における樹脂モールド装置は、ワークWと樹脂Rをクランプし樹脂モールド成形するプレス部P1,P2が配置されたプレスユニットUpと、ワークWを収容するワーク収容部13と、樹脂モールド成形後のワークWである成形品Mを収容する成形品収容部14と、樹脂モールド成形の前後においてワークWに対する前処理又は成形品Wに対する後処理を行う処理ユニット16,17と、収容部と前記処理ユニットとの間でワークW又は成形品Mを搬送する水平多関節ロボットであるロボット搬送装置15とを有するワーク処理ユニットUwとを備える。また、樹脂モールド装置は、プレスユニットUpに対して進退してワークW及び成形品Mの受け渡しを行うワークローダ1と、ワークローダ1がワークW又は成形品Mを搬送する搬送領域と、ロボット搬送装置15がワークW又は成形品Mを搬送する搬送領域との重複した領域に、ワークW又は成形品Mを一時的に保持する受渡し部2cも備えた構成となっている。
このような構成によれば、ロボット搬送装置15及びワークローダ1に待ち時間を発生させずに、複数のワークW及び成形品Mの搬送を効率的に行うことができる。
また、本実施形態における樹脂モールド装置は、プレス部P1,P2が隣接して複数設けられたプレスユニットUpと、複数の前記プレスユニットUpのいずれにも隣接する領域に設けられ、ワークローダ1の進退方向に直行する方向にワークローダ1を搬送する搬送部Cとを備え、搬送部Cにおける一端側に受渡し部2cを備えると共に、搬送部Cにおける当該一端側にワーク処理ユニットUwが接続されている構成となっている。これにより、ワークW及び成形品Mの搬送を効率的に行うことができる構成でありながら、受渡し部2cを併用しながらプレス部P1,P2の設置台数を任意に増加することができる。また、必要に応じて、搬送部Cにおける他端側に樹脂ユニットUrを設置することで、上述する実施形態における効果と同様の効果を奏することもできる。
また、設置面積のコンパクト化できる樹脂モールド装置の変形例として、図16に示すような構成とすることもできる。同図に示す変形例としての樹脂モールド装置では、第2の実施形態における樹脂モールド装置における各ユニット構成を組み替え、ユニット内で機能を付加することにより、簡易な構成となっている。
具体的には、本変形例における樹脂モールド装置は、第2の実施形態におけるプレスユニットUpに機能を付加・転換したプレスユニットUpと、第2の実施形態におけるワーク処理ユニットUwに樹脂供給ユニットUdの一部の機能を統合したワーク処理ユニットUwを供えた構成となっている。このため、樹脂供給ユニットUdの装置部分を削減して設置面積のコンパクト化を図っている。
具体的には、本変形例におけるプレスユニットUpは、図17に示すように、ロールフィルム10aの送出し軸201と巻取り軸202とをモールド金型21を挟んで対向させて設け、フィルムFを送出し軸201から巻取り軸202へ金型面を通過させながら送ることで、外径円形のキャビティ203(金型面)をフィルムFで覆った状態で樹脂モールドを行うフィルムハンドラ204を備える。また、本変形例におけるモールド金型は、図11同図に示すモールド金型21の構成を上下反転させて上型23にキャビティ203を有する「上キャビティタイプ」の金型構成といえる。このため、本変形例においては、図17に示すように、樹脂RはワークW上に供給された状態で下型29に供給されることになる。
このため、本変形例におけるワーク処理ユニットUwは、図16に示すように、液状の樹脂Rの供給装置をワーク処理ユニットUwに設ける構成としている。換言すれば、ワーク処理ユニットUwと樹脂供給ユニットUdを一体化した構成としている。これにより、ワーク処理ユニットUwでは、ワークWの前処理としてワークW上に樹脂Rを供給する樹脂供給ユニット16aを備える。
樹脂供給ユニット16aは、対象が枚葉フィルムFとワークWとで異なるものの、被塗布物に樹脂Rを供給できる点では第2実施形態における第二樹脂供給部11と同等の機能を備える。このため、樹脂供給ユニット16aは、ロールフィルム10aに関わる機構を省いた構成とすることができる。例えば、樹脂供給ユニット16aは、複数のシリンジ11bを装置側面に近接した位置において回転可能に保持したリボルバ式のシリンジ供給部11cとシリンジ11bを保持して樹脂Rを吐出させるディスペンサ11fと、ディスペンサ11fをXYZ方向(前後左右上下方向)に移動させるディスペンサ駆動機構11gとを備える構成とすることができる(図14参照)。
本変形例におけるワーク処理ユニットUwでは、第2の実施形態において説明したモールド動作において、例えば前処理ユニット16としてのアライナにより向きが一定に揃えられたワークWをロボットハンド15aが受け取り、樹脂Rの供給を行う樹脂供給ユニット(樹脂供給装置)に搬送する。
ここで、ディスペンサ11fは、ノズルの軌跡を所定の形状に沿うようにシリンジ11bを移動させながら液状の樹脂RをワークW上に吐出する。例えば、ワークW上に渦巻きの軌跡に沿うように樹脂Rを吐出して塗布することで、略円形の領域に樹脂Rを供給することができる。この場合、樹脂Rを塗布する軌跡の間隔が塗布された幅を樹脂Rよりも小さいときには、樹脂Rの供給領域においてワークWの面を露出させることなく、樹脂Rの供給をすることができる。
この場合、ワークWの中心から塗布し始め、渦巻きの軌跡に沿ってシリンジ11bのノズルを外側に移動させるようにディスペンサ11fを移動させることで、略円形の領域に樹脂Rを供給してもよい。このように樹脂Rを塗布する塗布(供給)方法とすることで、所定量の樹脂を供給して終えるまでシリンジ11から樹脂Rを吐出する動作を続ければよく、簡易に樹脂Rを供給することができる。
なお、例えばワークWの外周から塗布し始め、渦巻きの軌跡に沿ってシリンジ11bのノズルを内側に移動させるようにディスペンサ11fを移動するような方法としてもよいが、このような塗布方法を採用するためには、樹脂Rの粘度、樹脂Rの全供給量、樹脂Rを供給する領域の面積、又は、シリンジ11bに対するピストンの動作量等といった設定値を精密に制御する必要があり、塗布する領域の全面に均等に供給する制御が困難となり易い。このため、例えば、設定値が適当でないと、樹脂Rを供給する領域の面積の中心において樹脂Rが不足してしまい、未充填のような問題を招くおそれもある。このため、ワークWの中心から塗布し始め、渦巻きの軌跡に沿ってシリンジ11bのノズルを外側に移動させるようにディスペンサ11fを移動する塗布方法のほうが好ましい。なお、ワークWの中心に樹脂Rを確実に塗布することを考慮すると、ディスペンサ11fでは、シリンジ11bを移動させずに液状の樹脂RをワークWの中心位置に吐出して供給してもよい。
続いて、ロボットハンド15aが、樹脂Rが供給されたワークWを受け取り、受渡し部2cを介して、ワークローダ1に引渡す。次いで、ワークローダ1が、図17に示すように、このワークWをモールド金型21の下型29の上面に受け渡される。なお、本変形例においては、ワークW上に樹脂Rが供給されているので、ワークWの反転は行わない。
ここで、本変形例のモールド金型21として、図17に示すように、減圧成形可能な構成とすることができる。具体的には、本変形例のモールド金型21では、この下型29には、上型クランパ208に対向し、ワークWの搭載領域を囲うように設けられたシールリング205が設けられている。これにより、上型23と下型29を型閉じしたときには、シールリング205の内部に密閉空間が形成される。また、ワークWの搭載領域の外側でシールリング205で囲われた領域内に開口した吸引孔206を介してこの密閉空間を減圧する減圧装置207を備えている。
この場合、仮に液状の樹脂RをワークWの中心位置に対して全量を塗布するような場合には、樹脂RがワークWの中央部分に厚く供給された状態となる。このため、モールド金型21の減圧空間においてこのように供給された樹脂Rからエアやガス(エア等)が減圧により外側に引き寄せられる。この際に、樹脂R内をエア等が流動しながら集まり大きなエア等となって樹脂Rから排出されることになるため、エア等が樹脂Rから放出されるときに表面の樹脂Rが大きく波打ち不均一な形状に変形してしまう。このため、モールド成形の工程において樹脂Rが外形円形のキャビティ203内に充填されるときに、樹脂Rがキャビティ外周に到達するタイミング(充填タイミング)が異なってしまい、キャビティ外周(すなわち成形品Mの外周)における未充填や樹脂漏れといった不具合の発生を招くおそれがある。
これに対し、上述したように液状の樹脂Rを渦巻き状に薄く供給したワークWを用いたモールド成形を行うときには、モールド金型21の減圧空間においてこのように供給された樹脂Rからエア等が減圧により外側に引き寄せられても、樹脂R内をエア等が流動せず小さなエア等としてとなって樹脂Rから排出されることになるため、樹脂Rの形状はほとんど変形せず、樹脂Rの充填タイミングを均一として、キャビティ外周(すなわち成形品M)における未充填や樹脂漏れといった不具合の発生を防止して、高品質な成形が可能となる。
続いて、成形品Mがワークローダ1及びロボット搬送装置15により搬送され、後処理ユニット17で後処理された後、成形品収容部14に収容する工程については、前述の実施形態とほぼ同様の動作が行われるので、ここでの説明を省略する。
このように、本変形例における樹脂モールド装置では、樹脂供給ユニットUdに替えて、ワーク処理ユニットUwに樹脂供給ユニット16aを設けることで、本変形例として示す構成及び方法による作用効果を奏することができることのみならず、樹脂供給ユニットUdを不要として、設置面積をコンパクト化することができる。
なお、上述した各実施形態や変形例の構成は、装置の導入目的や用途に合わせて任意に組み合わせて使用することもできる。すなわち、上述した構成例では、設置面積をコンパクト化することを主目的とした発明を説明するために、それぞれの目的に沿った構成例を示した。しかしながら、例えば「液状の樹脂R」と「顆粒状の樹脂R」のいずれも選択的に使用或いは併用することができ、かつ、「上キャビティタイプ」と「下キャビティタイプ」の金型構成のいずれも選択的に使用或いは併用することが可能である。この場合、例えば、図13に示す第2の実施形態の樹脂モールド装置において、プレス部P1,P2を図16に示す変形例のフィルムハンドラ204を備えたプレス部P1,P2に切り替え、前処理ユニット16に図16に示す変形例における樹脂供給ユニット16aを更に追加した構成とする。これによれば、関連する各部(モールド金型21やワークハンド4等)の部材を適宜交換したり、機能を不使用としたりしてユニット単位での組み替えや追加といった大掛かりな対応を行うことなく、これらの樹脂Rやキャビティのタイプを組み合わせたモールド成形を実施することもできる。