図1〜図10を参照して、図1に示すクレーン1、図2に示すクレーン1に用いられるテンションメンバ支持装置50、および図10に示すサポート部材90について説明する。
クレーン1は、図1に示すように、ブーム15を用いて吊荷を吊り上げる作業などを行う建設機械である。クレーン1は、下部走行体11と、旋回フレーム13と、ブーム15と、ガントリ20と、起伏装置40と、を備える。
下部走行体11は、クレーン1を走行させる。下部走行体11は、例えばクローラを備えてもよく、例えばホイールを備えてもよい。
旋回フレーム13は、下部走行体11に対して旋回可能であり、下部走行体11よりも上側Z1に配置される。旋回フレーム13には、ブーム15などが取り付けられる。下部走行体11に対する旋回フレーム13の回転軸の方向を上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、下部走行体11から旋回フレーム13に向かう側を上側Z1とし、その逆側を下側Z2とする。旋回フレーム13の長手方向を前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、テンションメンバ取付部13a(後述)から、旋回フレーム13へのブーム15の取付部に向かう側を前側X1とし、その逆側を後側X2とする。上下方向Zおよび前後方向Xに直交する方向を横方向Yとする。旋回フレーム13は、テンションメンバ取付部13aを備える。
テンションメンバ取付部13aは、旋回フレーム13の後側X2端部に配置される。テンションメンバ取付部13aは、テンションメンバ25(後述)の下部(下側Z2部分)が取り付けられる部分である。テンションメンバ取付部13aは、テンションメンバ接続ピン13bを差し込み可能なピン孔を有する。テンションメンバ接続ピン13bは、旋回フレーム13にテンションメンバ25を取り付けるためのピンである。
ブーム15は、旋回フレーム13に対して回転(起伏)可能に、旋回フレーム13の前側X1部分に取り付けられる。旋回フレーム13に対するブーム15の回転軸の方向は、横方向Yである。以下、各部材の回転の回転軸の方向は、横方向Yである。
ガントリ20は、ブーム15を後側X2から支持する構造物である。ガントリ20は、旋回フレーム13に取り付けられる。ガントリ20は、コンプレッションメンバ21と、テンションメンバ25と、を備える。
コンプレッションメンバ21は、旋回フレーム13に対して回転(起伏)可能に、旋回フレーム13に取り付けられる。コンプレッションメンバ21は、図7に示す伸縮シリンダ23の伸縮により、旋回フレーム13に対して起伏可能である。伸縮シリンダ23は、旋回フレーム13に取り付けられる。
テンションメンバ25は、図1に示すように、コンプレッションメンバ21の先端部(後側X2端部)と、テンションメンバ取付部13aと、につながれる。テンションメンバ25は、複数のリンク部材が連結されたものである。テンションメンバ25は、横方向Yの両側に(左右に)1本ずつ、合計2本設けられる。図1では、2本のテンションメンバ25うち、1本のテンションメンバ25のみを図示している。2本のテンションメンバ25のそれぞれは、上部テンションメンバ27と、下部テンションメンバ30と、を備える。図2に示すように、テンションメンバ25は、前後方向Xに折れ曲がり可能である。テンションメンバ25は、横方向Yに延びる回転軸を中心に折れ曲がり可能である。
上部テンションメンバ27は、図1に示すように、ガントリ20が組み立てられた状態のときの、テンションメンバ25の上側Z1部分(例えば上半分)を構成する。上部テンションメンバ27は、コンプレッションメンバ21の上側Z1端部に、回転可能につながれる。
下部テンションメンバ30は、ガントリ20が組み立てられた状態のときの、テンションメンバ25の下側Z2部分(例えば下半分)を構成する。下部テンションメンバ30は、上部テンションメンバ27の下側Z2端部に、回転可能につながれる。図2に示す下部テンションメンバ30は、上部テンションメンバ27に対して、後側X2および前側X1に折れ曲がり可能である。下部テンションメンバ30は、複数のリンク部材が連結されたものである(図示なし)。下部テンションメンバ30を構成する複数のリンク部材が組み立てられた状態では、下部テンションメンバ30は、折れ曲がり不可能である。下部テンションメンバ30の長手方向に延びる下部テンションメンバ30の中心軸を、中心軸30aとする。図3に示すように、下部テンションメンバ30は、下部テンションメンバ本体31と、テンションメンバ下部ピン孔33と、を備える。
下部テンションメンバ本体31は、例えば2枚の板状構造物31aを備える。2枚の板状構造物31a・31aは、横方向Yに間隔をあけて配置され、横方向Yに互いに対向する。なお、下部テンションメンバ本体31は、1枚の板状構造物により構成されてもよい。図9に示すように、下部テンションメンバ本体31は、輪郭構成面32を備える。
輪郭構成面32は、横方向Yから見たときに、下部テンションメンバ30の輪郭を構成する面である。輪郭構成面32は、支持装置接続ピン71(後述)の径方向外側に向く。輪郭構成面32には、例えば、軸方向延在面32aと、軸直交方向延在面32bと、斜面32cと、がある。軸方向延在面32aは、中心軸30aと平行(ほぼ平行でもよい)に延びる。軸方向延在面32aは、テンションメンバ25が垂下した状態(図7参照)のときの、下部テンションメンバ30の前側X1の面である。軸直交方向延在面32bは、横方向Yから見たときに、中心軸30aに直交する方向(ほぼ直交する方向でもよい)に延びる。軸直交方向延在面32bは、テンションメンバ25が垂下した状態のときの、下部テンションメンバ30の下側Z2の面である。斜面32cは、軸方向延在面32aと軸直交方向延在面32bとにつながれ、中心軸30aに対して傾いた方向に延びる。斜面32cは、テンションメンバ25が垂下した状態のときの、下部テンションメンバ30の下側Z2の面と前側X1の面とにつながれる面である。
テンションメンバ下部ピン孔33は、図3に示すように、下部テンションメンバ本体31の、上部テンションメンバ27(図2参照)が接続される側とは反対側の端部に形成される。「端部」は、端およびその近傍の部分を意味する(以下同様)。テンションメンバ下部ピン孔33は、2つの用途に兼用される。具体的には、テンションメンバ下部ピン孔33は、図1に示すように、下部テンションメンバ30を旋回フレーム13に接続するための、テンションメンバ接続ピン13bが差し込まれるピン孔である。また、図3に示すように、テンションメンバ下部ピン孔33は、下部テンションメンバ30にテンションメンバ支持装置50を接続するための、支持装置接続ピン71が差し込まれるピン孔でもある。テンションメンバ下部ピン孔33は、長孔である。テンションメンバ下部ピン孔33の長手方向は、中心軸30a(図2参照)が延びる方向と一致する。テンションメンバ下部ピン孔33が長孔であることにより、テンションメンバ下部ピン孔33と、他のピン孔との位置合わせなどが容易になる。なお、テンションメンバ下部ピン孔33は、長孔でなくてもよい。
起伏装置40は、図1に示すように、旋回フレーム13に対してブーム15を起伏させる。起伏装置40は、シーブ41と、スプレッダ43と、ガイライン45と、起伏ロープ47と、を備える。シーブ41は、コンプレッションメンバ21の先端部に設けられる滑車装置である。スプレッダ43は、クレーン1が作業姿勢のときにシーブ41よりも上側Z1に配置される滑車装置である。ガイライン45は、スプレッダ43とブーム15の先端部とにつながれる。ガイライン45は、リンク部材(ガイリンク)およびロープ(ガイロープ)の少なくともいずれかを備える。起伏ロープ47は、シーブ41とスプレッダ43とに掛けられる。起伏ロープ47は、旋回フレーム13に設けられたウインチ(図示なし)により、繰り出しおよび巻き取りされる。起伏ロープ47が繰り出しおよび巻き取りされることで、シーブ41からスプレッダ43までの距離が変わり、旋回フレーム13に対してブーム15が起伏する。
なお、ブーム15とガントリ20との間に、マストが設けられてもよい。このマストは、旋回フレーム13に起伏可能に取り付けられ、ブーム15を後側X2から支持する。この場合、ガントリ20は、マストを後側X2から支持する結果、ブーム15を後側X2から支持する。また、この場合、起伏装置40は、マストを起伏させる結果、ブーム15を起伏させる。
テンションメンバ支持装置50は、図2に示すように、ガントリ20の組立時および分解時に、テンションメンバ25を下側Z2から支持する装置である。テンションメンバ支持装置50は、下部テンションメンバ30に取り付けられる。テンションメンバ支持装置50は、下部テンションメンバ30に対して着脱可能である。図4に示すように、テンションメンバ支持装置50は、フレーム部60と、ピン部70と、ローラ80と、を備える。
フレーム部60は、フレーム61と、フレームピン孔62(ピン孔)と、ストッパ63と、フレーム吊環64と、脚65と、フレーム取っ手66と、を備える。フレーム61、ストッパ63、フレーム吊環64、脚65、およびフレーム取っ手66は、互いに固定され、一体的に設けられる。
フレーム61は、下部テンションメンバ30の下側Z2部分に取り付けられる。フレーム61は、テンションメンバ25が垂下した状態(図7参照)のときの下部テンションメンバ30の下側Z2部分に取り付けられる。また、フレーム61は、テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がった状態(図2参照)のときの下部テンションメンバ30の後側X2部分かつ下側Z2部分に取り付けられる。下部テンションメンバ30に対するフレーム61の回転は、規制される。例えば、図5に示すように、フレーム61は、下部テンションメンバ本体31の2枚の板状構造物31a・31aの横方向Yにおける間に配置される。例えば、図5に示すように、フレーム61は、フレーム側板61aと、フレーム中央部61bと、を備える。フレーム側板61aは、フレーム61の左右(横方向Y外側の両側)の側面を構成する板である。フレーム中央部61bは、フレーム側板61aどうしを横方向Yにつなぐ部分である。フレーム中央部61bは、例えば板状部材などにより構成される。
フレームピン孔62(ピン孔)は、フレーム61に形成され、支持装置接続ピン71(後述)を差し込み可能なピン孔である。図6に示すように、例えば、フレームピン孔62は、2枚のフレーム側板61a・61aに形成された孔(の内面)と、2枚のフレーム側板61a・61aに形成された孔どうしをつなぐ筒(の内面)(フレーム中央部61bの一部)と、により構成される。
ストッパ63は、図3に示すように、下部テンションメンバ30に対するフレーム61の、支持装置接続ピン71を中心とする回転を規制する。ストッパ63は、フレーム61に固定され、例えばフレーム61に溶接される。図5に示すように、ストッパ63は、フレーム61から左右(横方向Yの両側)に突出する。ストッパ63は、例えば板状部材を備えてもよく、板状部材を補強するリブが設けられてもよい。ストッパ63は、例えばブロック状などの部材でもよい。図4に示すように、ストッパ63は、下部テンションメンバ30の輪郭構成面32に接触可能である。ストッパ63は、図4に示す例では軸方向延在面32aに接触し、例えば軸直交方向延在面32bに接触してもよく、斜面32cに接触してもよい。ストッパ63による回転の規制は、下部テンションメンバ30に対してフレーム61が所定範囲内で回転可能となるような規制でもよい。例えば、ストッパ63が軸方向延在面32aに接する状態(図4に示すような状態)から、ストッパ63が斜面32cに接する状態(図示なし)までの間で、テンションメンバ25に対してフレーム61が回転可能でもよい。
フレーム吊環64は、テンションメンバ支持装置50を吊り上げる吊り具を掛けることが可能な部分である。フレーム吊環64は、フレーム61に固定され、例えばフレーム61に溶接される(脚65およびフレーム取っ手66も同様)。脚65は、テンションメンバ支持装置50を地面Gに対して保持(支持)する。例えば、脚65は、フレーム取っ手66がローラ80よりも上側Z1に突出した状態で、テンションメンバ支持装置50を地面Gに対して保持する。フレーム取っ手66は、作業者がテンションメンバ支持装置50を運びやすくするための取っ手である。
軸部67は、図5に示すように、フレーム61に対してローラ80を支持する。軸部67は、フレーム61に固定され、例えばフレーム側板61aに固定される。軸部67は、フレーム61よりも横方向Yの外側の両側(左右)に突出する。
ピン部70は、フレーム部60に対して着脱可能である。ピン部70は、支持装置接続ピン71と、抜止部材73と、ワッシャ75と、を備える。
支持装置接続ピン71は、図3に示すように、下部テンションメンバ30にフレーム61を着脱可能に接続する。図5に示すように、支持装置接続ピン71は、フレームピン孔62およびテンションメンバ下部ピン孔33(図3参照)に差し込み可能である。支持装置接続ピン71は、人力で扱える程度に軽量であることが好ましい。例えば、支持装置接続ピン71は、ピン本体部71aと、板状部71bと、ピン取っ手71cと、を備える。ピン本体部71aは、フレームピン孔62に差し込まれる部分である。図6に示すように、ピン本体部71aは、中空であり、筒状である。この場合、ピン本体部71aが中実である場合よりも、ピン本体部71aを軽量にできる。なお、ピン本体部71aは中実でもよい。板状部71bは、ピン本体部71aの軸方向の端部に設けられ、ピン本体部71aに固定(例えば溶接)される。板状部71bは、下部テンションメンバ本体31の側面(横方向Y外側の面)に接触可能である。図5に示すように、ピン取っ手71cは、作業者が支持装置接続ピン71を運びやすくするための取っ手である。
抜止部材73は、テンションメンバ下部ピン孔33(図3参照)およびフレームピン孔62から支持装置接続ピン71が抜けることを防ぐ部材(抜止ピン)である。抜止部材73は、ピン本体部71aの先端部に着脱可能に取り付けられる。抜止部材73は、ピン本体部71aから、ピン本体部71aの径方向外側に突出する。
ワッシャ75は、図6に示すように、抜止部材73が下部テンションメンバ30に干渉することを防ぐ部材である。ワッシャ75は、下部テンションメンバ30に傷が付くことを防ぐ部材である。テンションメンバ下部ピン孔33(図4参照)が長孔である場合、ワッシャ75は、テンションメンバ下部ピン孔33の内側に抜止部材73が入ることを防ぐ。ワッシャ75は、下部テンションメンバ本体31の側面と抜止部材73との間に配置される。ワッシャ75は、ピン本体部71aに着脱可能に差し込まれる。ワッシャ75は、板状であり、リング状である。
ローラ80は、図4に示すように、下部テンションメンバ30を支持しながら、地面Gを転がる(転動する)。ローラ80は、フレーム61に回転可能に取り付けられる。ローラ80の少なくとも一部は、テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がった状態のときの、下部テンションメンバ30の下側Z2端部よりも下側Z2に配置される。図9に示すように、ローラ80の少なくとも一部は、テンションメンバ25を垂下させた状態(図7参照)のときの、下部テンションメンバ30の下側Z2端部よりも下側Z2に配置される。
このローラ80は、横方向Yの安定性ができるだけ高くなるように構成(配置)されることが好ましい。図6に示すように、ローラ80は、複数設けられ、例えば2つ設けられる。ローラ80は、下部テンションメンバ本体31の左右の側面よりも横方向Y外側の両側(左側面よりも左、右側面よりも右)に配置される。
このローラ80は、図4に示すように、横方向Yから見たとき、ローラ80の一部と下部テンションメンバ30とが重なるように配置される。この場合、横方向Yから見てローラ80と下部テンションメンバ30とが重ならない場合に比べ、下部テンションメンバ30を地面Gに近い位置(下側Z2)で支持できる。フレーム61に対するローラ80の回転軸を、回転軸80aとする。ローラ80は、軸受部81と、ホイール83と、タイヤ85と、を備える。
回転軸80aは、1つのフレーム61に(1つのテンションメンバ支持装置50に)、1軸のみ設けられる。図2に示すように、テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がった状態のとき、図4に示すように、回転軸80aは、中心軸30aよりも下側Z2に配置される。図7に示すように、テンションメンバ25を垂下させた状態のとき、図9に示すように、回転軸80aは、中心軸30aよりも前側X1に配置される。例えば、テンションメンバ25を垂下させた状態のとき、回転軸80aの上下方向Zの位置は、軸直交方向延在面32bとほぼ同じ上下方向Zの位置である。例えば、テンションメンバ25を垂下させた状態のとき、回転軸80aの前後方向Xの位置は、下部テンションメンバ30の軸方向延在面32aとほぼ同じ前後方向Xの位置であり、例えば、軸方向延在面32aよりも前側X1である。
軸受部81は、図6に示すように、軸部67に対してローラ80が回転可能になるように、軸部67に取り付けられる。ホイール83は、軸受部81とタイヤ85との間に配置され、タイヤ85を径方向内側(ローラ80の径方向内側)から支持する。図4に示すように、タイヤ85は、地面Gに接触する部分であり、ホイール83の径方向外側部分に取り付けられる。タイヤ85の材質は、ゴムであることが好ましい。この場合、地面Gに小石などの突起物があっても、ローラ80が突起物に引っ掛かりにくい。図6に示すように、タイヤ85は、中実であることが好ましい。この場合、タイヤ85の空気圧をメンテナンスする必要がなく、また、タイヤ85がパンクすることがない。なお、タイヤ85の材質はゴムでなくてもよい。タイヤ85に代えて、例えば金属製などの車輪が設けられてもよい。また、タイヤ85は、中空でもよい。
サポート部材90は、図10に示すように、ガントリ20の分解時に使用される。サポート部材90は、サポート部材90よりも上側Z1の位置から下部テンションメンバ30およびテンションメンバ支持装置50を下げたときに、下部テンションメンバ30の下側Z2端部およびテンションメンバ支持装置50を後側X2に移動させる。なお、サポート部材90は、ガントリ20の組立時には使用されない。サポート部材90は、傾斜面91を備える。
傾斜面91(スロープ)は、後側X2ほど下側Z2に配置されるように、水平方向に対して傾斜する(後側X2に向かって下る)。ローラ80は、傾斜面91上を転がる。傾斜面91は、第1傾斜面91aと、第2傾斜面91bと、を備える。第1傾斜面91aは、横方向Yから見て直線状に延びる。第2傾斜面91bは、ローラ80が傾斜面91から前側X1に落ちることを抑制する。第2傾斜面91bは、第1傾斜面91aよりも前側X1に配置される。前後方向Xに対する第2傾斜面91bの傾きは、前後方向Xに対する第1傾斜面91aの傾きよりも大きい(傾斜が急である)。なお、サポート部材90を用いずに、例えば傾斜のある地面Gを利用して傾斜面91が設けられてもよい。例えば、後側X2に向かって下るように傾斜する地面Gを傾斜面91としてもよい。例えば、後側X2に向かって下るように傾斜する地面Gの上に置いた板の表面を傾斜面91としてもよい。
(ガントリ20の組立)
ガントリ20(図1参照)の組立について、組立の手順に沿って説明する。なお、手順は変更されてもよい。
図2に示す状態では、コンプレッションメンバ21は、旋回フレーム13に取り付けられている。テンションメンバ25は、コンプレッションメンバ21に取り付けられ、後側X2に折れ曲がっている。上部テンションメンバ27は、コンプレッションメンバ21から垂下した状態である。下部テンションメンバ30は、上部テンションメンバ27の下側Z2端部から後側X2に延びる。
テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がった状態で、テンションメンバ支持装置50が、左右の下部テンションメンバ30のそれぞれに取り付けられる。この取り付けの詳細は次の通りである。
まず、一方の(例えば右側の)下部テンションメンバ30が、補助クレーンなどで吊り上げられる。次に、下部テンションメンバ30に対するテンションメンバ支持装置50の位置が合わせられる。このとき、例えば、テンションメンバ支持装置50の移動は、作業者の人力により行われる(人力により行われなくてもよい)。このとき、例えば、図4に示すように、ストッパ63が、下部テンションメンバ30の下側Z2の面(軸方向延在面32a)よりも下側Z2に配置される。そして、下部テンションメンバ30を下ろし、下部テンションメンバ30をストッパ63に載せるだけで、テンションメンバ支持装置50に対する下部テンションメンバ30の上下方向Zの位置合わせを行える。また、テンションメンバ下部ピン孔33とフレームピン孔62との位置が合わせられる(連通させられる)。ここで、テンションメンバ下部ピン孔33が、中心軸30aの方向(ほぼ前後方向X)に長い長孔である場合、下部テンションメンバ30に対するテンションメンバ支持装置50の、中心軸30aの方向の位置合わせが容易である。
次に、支持装置接続ピン71が、テンションメンバ下部ピン孔33およびフレームピン孔62に差し込まれる。例えば、支持装置接続ピン71の差し込みは、作業者の人力により行われる(人力により行われなくてもよい)。このとき、例えば、図6に示すように、板状部71bが、下部テンションメンバ本体31の側面(横方向Y外側の面)に接触する。次に、ワッシャ75が、ピン本体部71aの先端部に取り付けられる。次に、抜止部材73が、ピン本体部71aに取り付けられる。これにより、図2に示すように、一方の(例えば右側の)下部テンションメンバ30へのテンションメンバ支持装置50の取り付けが完了する。同様に、もう一方の(例えば左側の)下部テンションメンバ30に、テンションメンバ支持装置50が取り付けられる。
次に、スプレッダ43が、補助クレーンなどで吊り上げられる。ここで、テンションメンバ支持装置50を下部テンションメンバ30に取り付けた後に、スプレッダ43を吊り上げる場合は、下部テンションメンバ30を吊り上げた補助クレーンを使って、スプレッダ43を吊り上げることができる。
次に、コンプレッションメンバ21が、起こされる。すると、上部テンションメンバ27が、上側Z1に移動する。すると、下部テンションメンバ30の、上部テンションメンバ27側(前側X1)の端部が、上側Z1に移動する。すると、下部テンションメンバ30の、上部テンションメンバ27側とは反対側(先端側、後側X2)の端部、およびテンションメンバ支持装置50が、前側X1に移動する。このとき、ローラ80が、地面Gを転がる。このとき、下部テンションメンバ30は、テンションメンバ支持装置50に下側Z2から支持されながら、前側X1に移動する。よって、下部テンションメンバ30が地面Gに干渉することがない。
コンプレッションメンバ21が、さらに起こされ、必要に応じて起伏させられる(起伏角度が調整される)。そして、図7に示すように、テンションメンバ25の全体が垂下し、かつ、ローラ80が地面Gに預けられた状態(状態Aとする)になる。ここで、図9に示すように、テンションメンバ下部ピン孔33が、中心軸30aの方向に長い長孔である場合は、図7に示す状態Aとなるようなコンプレッションメンバ21の起伏角度の調整を容易に行える。
次に、テンションメンバ支持装置50が、下部テンションメンバ30から取り外される。この取り外しは、テンションメンバ支持装置50の下部テンションメンバ30への取り付けとは逆(またはほぼ逆)の手順により行われる。なお、図2に示すテンションメンバ支持装置50の取り付け時には、下部テンションメンバ30が、補助クレーンで吊り上げられた。一方、図7に示す状態Aのときの、テンションメンバ支持装置50の取り外し時には、下部テンションメンバ30は、コンプレッションメンバ21により吊り上げられているため、下部テンションメンバ30を吊り上げる補助クレーンは不要である。
次に、図1に示すように、コンプレッションメンバ21が、さらに起こされることで、テンションメンバ25が、上側Z1に移動する。そして、テンションメンバ下部ピン孔33の位置と、図1に示すテンションメンバ取付部13aのピン孔の位置とが合うように、コンプレッションメンバ21が起伏させられる。そして、テンションメンバ接続ピン13bが、テンションメンバ下部ピン孔33と、テンションメンバ取付部13aのピン孔と、に差し込まれる。その結果、テンションメンバ25が、旋回フレーム13に接続される。その後、例えばブーム15などが組み立てられ、クレーン1が作業姿勢になる。
(ガントリ20の分解)
ガントリ20の分解は、基本的には上記のガントリ20の組立とは逆の手順により行われる。以下では、主に、ガントリ20の分解について、ガントリ20の組立とは逆の手順に対して、異なる点を説明する。
テンションメンバ25が旋回フレーム13から取り外された状態で、コンプレッションメンバ21が伏せられ、テンションメンバ25が下ろされる(下側Z2に移動させられる)。そして、図7に示すように、テンションメンバ支持装置50が、左右の下部テンションメンバ30のそれぞれに取り付けられる。この取り付けの詳細は次の通りである。
下部テンションメンバ30の下側Z2端部が、地面Gよりも上側Z1の、地面Gの近傍に配置される。テンションメンバ支持装置50を移動させ、また、コンプレッションメンバ21を起伏させることで、下部テンションメンバ30に対するテンションメンバ支持装置50の位置が合わせられる。このとき、例えば、図9に示すように、ストッパ63が、下部テンションメンバ30の軸方向延在面32aよりも前側X1に配置される。また、テンションメンバ下部ピン孔33とフレームピン孔62との位置が合わせられる。ここで、テンションメンバ下部ピン孔33が、中心軸30aの方向(上下方向Z)に長い長孔である場合、テンションメンバ下部ピン孔33とフレームピン孔62との上下方向Zの位置合わせが容易である。次に、ガントリ20(図1参照)の組立時と同様に、支持装置接続ピン71が、テンションメンバ下部ピン孔33およびフレームピン孔62に取り付けられる。これにより、テンションメンバ支持装置50の、下部テンションメンバ30への取り付けが完了する。
次に、図10に示すように、コンプレッションメンバ21が起こされることで、テンションメンバ25およびテンションメンバ支持装置50が上げられる。次に、傾斜面91(例えばサポート部材90)が、ローラ80よりも下側Z2、かつ、ローラ80と上下方向Zに対向する位置(ローラ80の真下)に配置される。例えば、サポート部材90の配置は、作業者の人力により行われる(人力により行われなくてもよい)。
次に、コンプレッションメンバ21が伏せられることで、テンションメンバ25が下げられる。すると、ローラ80が、傾斜面91を転がり、後側X2に移動する。なお、このときに、ローラ80が、後側X2に傾斜面91を転がることが可能となるように、傾斜面91の構成(傾斜の角度や長さなど)が設定される。ローラ80が後側X2に移動する結果、下部テンションメンバ30の先端部(下側Z2端部)が、後側X2に移動する。その結果、上部テンションメンバ27に対して、下部テンションメンバ30が、後側X2に折れ曲がる。このとき、作業者は、下部テンションメンバ30およびテンションメンバ支持装置50の少なくともいずれか(以下「下部テンションメンバ30など」)に、後側X2に人力を作用させる(例えば、手で押すまたは引く)必要はない。一旦、テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がると、コンプレッションメンバ21をさらに伏せるだけで、下部テンションメンバ30の先端部(後側X2端部)がさらに後側X2に移動する。なお、作業者は、下部テンションメンバ30などに人力を作用させてもよい。この場合、傾斜面91を用いない場合に比べ、下部テンションメンバ30などに作用させる必要のある、作業者の人力を軽くできる。
(ローラ80などが設けられない場合の問題)
図2に示す下部テンションメンバ30を下側Z2から支持する装置が設けられない場合は、次の[問題1]の問題がある。[問題1]この場合、テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がった状態でコンプレッションメンバ21を起伏させるときに、下部テンションメンバ30が地面Gに干渉する。すると、下部テンションメンバ30に傷が付くおそれがある。
また、コンプレッションメンバ21を起伏させるときに、下部テンションメンバ30が地面Gに干渉しないように、下部テンションメンバ30を補助クレーンなどで吊り上げる(上側Z1から支持する)ことが考えられる。この吊り上げを行う場合、下記の[問題2−1]〜[問題2−4]の問題がある。[問題2−1]下部テンションメンバ30の吊り上げ用の補助クレーンと、スプレッダ43の吊り上げ用の補助クレーンと、の2台の補助クレーンが必要になる。[問題2−2]また、コンプレッションメンバ21の起伏と、下部テンションメンバ30を吊り上げている補助クレーンとを、協調動作させる必要があり、手間がかかる。[問題2−3]また、テンションメンバ25は、左右に設けられる(2本設けられる)。そのため、2本の下部テンションメンバ30を吊り上げる必要がある。そこで、左右の下部テンションメンバ30を同時に吊り上げるために、吊りビームなどの吊り具を使うことが考えられる。この場合、吊りビームなどを用意する必要が生じる。[問題2−4]また、吊りビームなどを用意できない場合は、下部テンションメンバ30の吊り上げ用に、2台の補助クレーンが必要になる。すると、スプレッダ43の吊り上げ用と下部テンションメンバ30の吊り上げ用とで、3台の補助クレーンが必要になる。
一方、本実施形態では、テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がった状態でコンプレッションメンバ21を起伏させるときに、ローラ80が、下部テンションメンバ30を支持しながら地面G(または傾斜面91(図10参照))を転がる。よって、下部テンションメンバ30を補助クレーンで吊り上げなくても、テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がった状態でコンプレッションメンバ21を起伏させることができる。よって、上記[問題1]、[問題2−1]〜[問題2−4]が生じない。
(ローラ支持体が下部テンションメンバ30に接続されない場合の問題)
下部テンションメンバ30を支持するローラ支持体(例えば特許文献1の図16を参照)に、下部テンションメンバ30が載せられるのみで、下部テンションメンバ30に接続されない場合、下部テンションメンバ30が、ローラ支持体から落ちるおそれがある。すると、下部テンションメンバ30が地面Gに干渉し、下部テンションメンバ30に傷が付くおそれがある。また、ローラ支持体から落ちた下部テンションメンバ30を、補助クレーンなどで吊り上げ、ローラ支持体に載せる作業を行うと、手間がかかる。
(ローラ支持体が下部テンションメンバ30に対して回転自在である場合の問題)
下部テンションメンバ30に対するローラ支持体の回転が規制されない場合は、次の問題がある。この場合、ローラ80が地面Gを前後方向Xに転がっているときなどに、下部テンションメンバ30に対してローラ支持体が回転する可能性がある。すると、ローラ支持体が下部テンションメンバ30を支持できなくなり、下部テンションメンバ30が地面Gに干渉し、下部テンションメンバ30に傷が付くおそれがある。また、下部テンションメンバ30に対して回転したローラ支持体を元の位置に戻すために、下部テンションメンバ30を補助クレーンなどで吊り上げる作業を行うと、手間がかかる。
また、下部テンションメンバ30に対するローラ支持体の回転が規制されず、かつ、ローラ80が2軸設けられる場合は、次の問題がある。この場合、ローラ80が地面Gを前後方向Xに転がっているときなどに、2軸のローラ80が接地するとは限らない。1軸のローラ80が、地面Gから浮き上がる(地面Gよりも上側Z1配置される)可能性がある。すると、2軸のローラ80のそれぞれが、下部テンションメンバ30の荷重を適切に支持できるような強度を有する必要がある。そのため、ローラ80が2軸設けられるにもかかわらず、1軸のみローラ80が設けられる場合に比べ、ローラ80およびローラ80を支持する構造物を小さくすることはできない。そのため、ローラ支持体が大型化するおそれがある。
(ローラ支持体が下部テンションメンバ30に対して回転規制され、ローラ80が2軸設けられる場合の問題)
下部テンションメンバ30に対するローラ支持体の回転が規制され、かつ、ローラ80が中心軸30aを挟むように2軸設けられる場合は、次の問題がある。この場合、図7に示すように、テンションメンバ25の全体を垂下させた状態で、コンプレッションメンバ21を伏せ、テンションメンバ25を下げると、2軸のローラ80が接地する場合がある。この状態では、コンプレッションメンバ21をさらに伏せても、ローラ支持体は、前後方向Xに移動しない。すると、ローラ支持体にかかる荷重は、下部テンションメンバ30の質量による荷重よりも大きい荷重となる。例えば、ローラ支持体にかかる荷重は、テンションメンバ25全体の質量、および、コンプレッションメンバ21の先端側部分の質量による荷重となる。そのため、下部テンションメンバ30の質量による荷重のみがローラ支持体にかかる場合に比べ、ローラ80およびローラ80を支持する構造物を大きくする必要がある。そのため、ローラ支持体が大型化するおそれがある。
また、下部テンションメンバ30に対するローラ支持体の回転が規制され、かつ、ローラ80が中心軸30aを挟むように2軸設けられる場合は、次の問題がある。この場合、ローラ80が地面Gを前後方向Xに転がっているときに、1軸のローラ80のみが接地し、もう1軸のローラ80は地面Gから浮き上がる。このような、地面Gから浮き上がる側のローラ80を設けても、単にローラ支持体が大型化するのみとなってしまう。
一方、本実施形態のテンションメンバ支持装置50では、上記の各問題を、下記のように抑制できる。なお、テンションメンバ支持装置50は、上記の各問題のうち一部の問題のみを抑制できてもよい。
(効果)
図2に示すテンションメンバ支持装置50による効果は次の通りである。
(第1の発明の効果)
テンションメンバ支持装置50は、旋回フレーム13の前後方向Xに折れ曲がり可能なテンションメンバ25を、ガントリ20の組立時および分解時に下側Z2から支持する。テンションメンバ25は、クレーン1の旋回フレーム13に取り付けられるガントリ20を構成する。図4に示すように、テンションメンバ支持装置50は、フレーム61と、ローラ80と、を備える。
[構成1−1]フレーム61は、図1に示すテンションメンバ25の下部(下側Z2部分)を構成する下部テンションメンバ30に取り付けられる。図4に示すように、フレーム61は、下部テンションメンバ30に対する回転が規制される。ローラ80は、フレーム61に回転可能に取り付けられる。
[構成1−2]ローラ80は、1つのフレーム61に1軸のみ設けられる。
[構成1−3]図7に示すように、ローラ80は、テンションメンバ25を垂下させた状態のときの下部テンションメンバ30よりも下側Z2に配置される。図2に示すように、ローラ80は、テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がった状態のときの下部テンションメンバ30よりも下側Z2に配置される。
[構成1−4]図9に示すように、フレーム61に対するローラ80の回転軸80aは、テンションメンバ25を垂下させた状態のときの、下部テンションメンバ30の長手方向に延びる中心軸30aよりも前側X1に配置される。
上記[構成1−1]では、図4に示すように、フレーム61は、下部テンションメンバ30に対する回転が規制される。よって、下部テンションメンバ30に対してフレーム61が回転し、ローラ80が地面Gから浮き上がり、下部テンションメンバ30が地面Gに干渉する、という問題を抑制できる。よって、テンションメンバ支持装置50は、安定してテンションメンバ25を(下部テンションメンバ30を)支持できる。
上記[構成1−2]により、ローラ80が、1つのフレーム61に2軸以上設けられる場合に比べ、テンションメンバ支持装置50を小型化できる。
ローラ80は、上記[構成1−3]のように配置される。よって、ローラ80は、図7に示すように、テンションメンバ25が垂下した状態でも、図2に示すように、テンションメンバ25が後側X2に折れ曲がった状態でも、下部テンションメンバ30を下側Z2から支持できる。よって、テンションメンバ支持装置50は、安定してテンションメンバ25を支持できる。
テンションメンバ支持装置50は、上記[構成1−2]および[構成1−4]を備える。よって、図7に示すように、平らな地面Gにローラ80が接触した状態で、下部テンションメンバ30が下がると、ローラ80が、前側X1に移動する。すると、下部テンションメンバ30が、上部テンションメンバ27に対して前側X1に折れ曲がる。よって、ローラ80には、下部テンションメンバ30の質量による荷重よりも大きい荷重がかかりにくい(いわば荷重が逃げやすい)。よって、下部テンションメンバ30の質量による荷重よりも大きい荷重がローラ80にかかる場合に比べ、ローラ80およびローラ80を支持する構造物(フレーム部60)の必要な強度を減らすことができる。よって、テンションメンバ支持装置50を小型化できる。
(第2の発明の効果)
[構成2−1]図3に示すように、ローラ80は、複数設けられる。
[構成2−2]ローラ80は、下部テンションメンバ30の横方向Y外側の面よりも横方向Y外側の両側(左右両側)に配置される。
上記[構成2−1]により、ローラ80が1つのみ設けられる場合に比べ、1つのローラ80にかかる荷重を小さくできる。よって、ローラ80およびローラ80を支持する構造物(フレーム部60)の必要な強度を減らすことができ、テンションメンバ支持装置50を小型化できる。
上記[構成2−2]により、下部テンションメンバ30の横方向Y外側の面よりも横方向Y内側にのみローラ80が配置される場合に比べ、テンションメンバ支持装置50の横方向Yの安定度を高くできる。よって、テンションメンバ支持装置50は、テンションメンバ25をより安定して支持できる。
テンションメンバ支持装置50は、上記[構成2−1]および[構成2−2]を備える。よって、下部テンションメンバ30の右側面よりも右側から、下部テンションメンバ30の左側面よりも左側にわたって(連続して)、1つのローラ80が設けられる場合(場合αとする)に比べ、次の効果が得られる。場合αに比べ、ローラ80の横方向Yの幅を狭く(薄く)できる。よって、テンションメンバ支持装置50を小型化できる。また、場合αに比べ、ローラ80の回転軸80a(図4参照)を下部テンションメンバ30に近い位置に配置しやすい。よって、テンションメンバ支持装置50は、下部テンションメンバ30をより安定して支持できる。
(第3の発明の効果)
[構成3]図4に示すように、テンションメンバ支持装置50は、支持装置接続ピン71を備える。支持装置接続ピン71は、下部テンションメンバ30に形成されたテンションメンバ下部ピン孔33(ピン孔)、および、フレーム61に形成されたフレームピン孔62(ピン孔)に差し込み可能である。支持装置接続ピン71は、下部テンションメンバ30にフレーム61を着脱可能に接続する。
テンションメンバ支持装置50は、上記[構成3]を備える。よって、テンションメンバ支持装置50を使用しないときに、下部テンションメンバ30からテンションメンバ支持装置50を容易に取り外せる。また、テンションメンバ支持装置50を使用する前に、下部テンションメンバ30からテンションメンバ支持装置50を容易に取り付けることができる。
(第4の発明の効果)
[構成4]テンションメンバ支持装置50は、フレーム61に固定されるストッパ63を備える。ストッパ63は、横方向Yから見たときに下部テンションメンバ30の輪郭を構成する面(輪郭構成面32)に接触し、下部テンションメンバ30に対するフレーム61の支持装置接続ピン71を中心とする回転を規制する。
上記[構成4]では、ストッパ63により、下部テンションメンバ30に対するフレーム61の回転が規制される。よって、下部テンションメンバ30に対するフレーム61の回転を規制するために、支持装置接続ピン71とは別のピン(以下「他のピン」)を用いる必要がない。よって、下部テンションメンバ30にテンションメンバ支持装置50を取り付ける際に、他のピンのピン孔の位置合わせを行う必要がない。よって、他のピンを用いる必要がある場合に比べ、下部テンションメンバ30へのテンションメンバ支持装置50の取り付け作業を容易に行える。また、他のピンを用いる必要がないので、他のピンの抜き忘れや差し忘れが生じない。よって、他のピンの抜き忘れや差し忘れにより、他のピンやフレーム61などが壊れる(例えば曲がる)、といった問題が生じない。よって、下部テンションメンバ30へのテンションメンバ支持装置50の着脱作業を容易に行える。また、他のピンを用いる必要がないので、他のピンを差しこむためのピン孔を、下部テンションメンバ30およびフレーム61に設ける必要がない。よって、下部テンションメンバ30およびフレーム61を簡素に構成できる。
上記[構成4]では、ストッパ63は、下部テンションメンバ30の輪郭構成面32に接触する。よって、ストッパ63に接触させるための専用の部材を、下部テンションメンバ30に設ける必要がない。
(第5の発明の効果)
[構成5]支持装置接続ピン71は、下部テンションメンバ30に形成されたピン孔(テンションメンバ下部ピン孔33)に差し込み可能である。図1に示すように、テンションメンバ下部ピン孔33は、旋回フレーム13に下部テンションメンバ30を取り付けるためのピン(テンションメンバ接続ピン13b)を差し込み可能なピン孔である。
上記[構成5]では、テンションメンバ下部ピン孔33は、テンションメンバ接続ピン13bの差し込み用と、図4に示す支持装置接続ピン71の差し込み用と、に兼用される。よって、支持装置接続ピン71の差し込み専用(テンションメンバ支持装置50の取り付け専用)のピン孔を、下部テンションメンバ30に設ける必要がない。
本実施形態のテンションメンバ25分解方法による効果は次の通りである。
(第6の発明の効果)
[構成6]図10に示すように、テンションメンバ支持装置50が下部テンションメンバ30に取り付けられた状態で、テンションメンバ25が下げられる。テンションメンバ25が下げられることで、ローラ80が、傾斜面91を後側X2に転がる。傾斜面91は、後側X2ほど下側Z2に配置されるように水平面に対して傾斜する。
上記[構成1−2]および[構成1−4]では、ローラ80の回転軸80aが、テンションメンバ25が垂下した状態のときの中心軸30aよりも前側X1に、1軸のみ設けられる。そのため、図7に示すように、平らな地面Gにローラ80が接触した状態で、テンションメンバ25が下がると、ローラ80が、前側X1に移動する。一方で、通常、図2に示すテンションメンバ25の分解作業は、上部テンションメンバ27に対して下部テンションメンバ30が後側X2に折り曲げられた状態で行われる。そこで、本実施形態のテンションメンバ25分解方法は、上記[構成6]を備える。よって、図10に示すように、テンションメンバ25を下げるだけで、ローラ80が後側X2に移動し、下部テンションメンバ30が、上部テンションメンバ27に対して後側X2に折れ曲がる(または折れ曲がりやすい)。よって、作業者は、下部テンションメンバ30およびテンションメンバ支持装置50の少なくともいずれかに、人力を後側X2に作用させる必要がない。または、下部テンションメンバ30などに作用させる必要のある、作業者の人力を、軽くできる。
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。
例えば、図4に示すフレーム部60の各構成要素の形状や有無などは変更されてもよい。例えば、ストッパ63に代えて、上記「他のピン」が設けられてもよい。例えば、ストッパ63は、下部テンションメンバ30に固定された部材などに接触することで、下部テンションメンバ30に対するフレーム61の回転を規制してもよい。例えば、フレーム吊環64、脚65、およびフレーム取っ手66の少なくともいずれかは、設けられなくてもよい。