JP6719193B2 - 焙煎コーヒー豆の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、焙煎コーヒー豆の製造方法に関する。
コーヒー飲料は嗜好飲料として広く愛好されており、コーヒー飲料の風味は、原料として使用するコーヒー豆の種類や焙煎方法によって特徴付けられる。しかしながら、コーヒー豆の焙煎においては、クロロゲン酸類の相当量が分解するだけでなく、新たに生成する夾雑物により雑味が増強され風味バランスが損なわれやすい。そこで、雑味の抑制されたコーヒー飲料の原料として有用な焙煎コーヒー豆として、例えば、L値が20超25未満であり、焙煎コーヒー豆1kgあたりのハイドロキノンの含有量が10mg以上、且つヒドロキシヒドロキノンの含有量が50mg以下である焙煎コーヒー豆(特許文献1)、L値が25〜38であり、焙煎コーヒー豆1kgあたりのハイドロキノンの含有量が7.1mg以上、且つヒドロキシヒドロキノンの含有量が38mg以下である焙煎コーヒー豆(特許文献2)が提案されている。
また、コーヒー飲料に含まれるクロロゲン酸類は生理効果を有することが知られているが、クロロゲン酸類の生理効果は共存するヒドロキシヒドロキノンにより阻害されるとの報告がある。そこで、クロロゲン酸類を豊富に含み、ヒドロキシヒドロキノンの低減された焙煎コーヒー豆として、L値が10〜20であり、ヒドロキシヒドロキノン/ハイドロキノンの質量比が3.5以下であり、且つクロロゲン酸類の含有量が焙煎コーヒー豆100g当たり0.3〜1.5gである焙煎コーヒー豆が提案されている(特許文献3)。
一方、5−ヒドロキシメチルフルフラールは、生体内において5−ヒドロキシメチルフラン−2−カルボン酸に代謝され、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、血栓、肝炎等の生活習慣病の原因の発生を予防し健康を維持し得る成分であるとの報告がある(特許文献4)。
また、コーヒー濃縮組成物において5−ヒドロキシメチルフルフラールが飲用後の口内に残る雑味に関与することが報告されている(特許文献5)。
更に、カフェインはコーヒー飲料の苦味成分として知られており、湿った状態の生コーヒー豆を超臨界二酸化炭素抽出すると、生コーヒー豆からカフェインを除去できることが報告されている(特許文献6〜8)。一方、焙煎コーヒー豆を超臨界二酸化炭素抽出すると、コーヒーの香味成分が除去されるとの報告もある(特許文献9)。
特開2012−183035号公報 特開2013−110972号公報 特開2011−223996号公報 特開2008−193933号公報 特開2012−095647号公報 特開平3−160949号公報 特開平1−309640号公報 特開平2−20249号公報 特開平3−127973号公報
本発明の課題は、雑味が抑制され、後味がスッキリして飲みやすいコーヒー飲料の原料として有用な焙煎コーヒー豆の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み検討した結果、未粉砕の原料焙煎コーヒー豆に微量の水を添加して加熱し、次いで超臨界二酸化炭素抽出することで、雑味が抑制され、後味がスッキリして飲みやすいコーヒー飲料の原料として有用な未粉砕の焙煎コーヒー豆が得られることを見出した。ここで、「後味」とは、JIS Z 8144:2004に記載の「口内に残る感覚」をいう。
すなわち、本発明は、未粉砕の原料焙煎コーヒー豆に水を添加して加熱する第1の工程と、第1の工程後の原料焙煎コーヒー豆を超臨界二酸化炭素抽出する第2の工程を含む、焙煎コーヒー豆の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、雑味が抑制され、後味がスッキリして飲みやすいコーヒー飲料の原料として有用な未粉砕の焙煎コーヒー豆を簡便な操作で効率よく製造することができる。
〔焙煎コーヒー豆の製造方法〕
本発明の焙煎コーヒー豆の製造方法は、第1の工程と、第2の工程を含むものである。
以下、各工程について詳細に説明する。
(第1の工程)
第1の工程は、未粉砕の原料焙煎コーヒー豆に水を添加して加熱する工程である。これにより、クロロゲン酸類の含有量を損なうことなく、原料焙煎コーヒー豆からヒドロキシヒドロキノンを選択的に除去することができる。
本工程においては、原料焙煎コーヒー豆として、粉砕されていない全粒の焙煎コーヒー豆を使用する。
原料焙煎コーヒー豆の豆種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種等が挙げられる。また、コーヒー豆の産地としては特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム、インドネシア等を挙げることができる。
原料焙煎コーヒー豆は、生コーヒー豆を焙煎したものでも、焙煎コーヒー豆を更に焙煎したものでもよい。コーヒー豆の焙煎方法は特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することが可能であり、また焙煎条件は所望の焙煎度となるように適宜選択することができる。
原料焙煎コーヒー豆のL値は、ヒドロキシヒドロキノン量の低減の観点から、15以上が好ましく、15.5以上がより好ましく、16以上が更に好ましく、16.5以上がより更に好ましく、17以上がより更に好ましく、また風味の観点から、50以下が好ましく、45以下がより好ましく、43以下が更に好ましく、40以下がより更に好ましく、35以下がより更に好ましい。かかるL値の範囲としては、好ましくは15〜50、より好ましくは15〜45、更に好ましくは15.5〜43、更に好ましくは16〜40、更に好ましくは16.5〜35、より更に好ましくは17〜35である。ここで、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。色差計として、例えば、スペクトロフォトメーター SE2000((株)日本電色社製)を用いることができる。
原料焙煎コーヒー豆は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。2種以上の原料焙煎コーヒー豆を使用する場合、豆種や産地の異なるコーヒー豆だけでなく、焙煎度の異なるコーヒー豆を使用することも可能である。焙煎度の異なるコーヒー豆を使用する場合、L値が上記範囲外のものを用いても差し支えないが、L値の平均値が上記範囲内となるように適宜組み合わせて使用することが好ましい。L値の平均値は、使用する原料焙煎コーヒー豆のL値に、当該原料焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和として求められる。
原料焙煎コーヒー豆に添加する水は特に限定されず、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、天然水等を適宜選択して使用することができる。
水の添加は、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれでもよいが、添加のし易さの観点から常圧下がよい。また、水を添加する際の焙煎コーヒー豆の温度は、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜70℃、更に好ましくは15〜30℃、殊更に好ましくは18〜25℃である。
水の添加量は、原料焙煎コーヒー豆を水に浸漬させるのに十分な量である必要はなく、原料焙煎コーヒー豆の表面の一部に水を接触させて湿潤状態にすることができる量であればよい。具体的には、水の添加量は、ヒドロキシヒドロキノン量の低減、雑味抑制の観点から、原料焙煎コーヒー豆に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、20質量%以上がより更に好ましく、またクロロゲン酸類の溶出防止の観点から、110質量%以下が好ましく、100質量%以下がより好ましく、90質量%以下が更に好ましく、80質量%以下が更に好ましく、70質量%以下がより更に好ましく、60質量%以下がより更に好ましく、50質量%以下が殊更に好ましい。水の添加量の範囲としては、原料焙煎コーヒー豆に対して、好ましくは5〜110質量%、より好ましくは10〜100質量%、更に好ましくは15〜90質量%、更に好ましくは15〜80質量%、更に好ましくは15〜60質量%、より更に好ましくは20〜50質量%である。
水の添加方法は原料焙煎コーヒー豆を湿潤状態にすることができれば特に限定されないが、例えば、原料焙煎コーヒー豆に水を直接投入する方法、原料焙煎コーヒー豆に水を噴霧する方法、原料焙煎コーヒー豆にスチームを接触させる方法等を挙げることができる。
なお、水の添加は、全量を連続的に添加しても、複数回に分けて添加してもよい。
添加する水の温度は、水の添加方法に応じて適宜選択することが可能であるが、水温調整のし易さの観点から、通常10〜100℃、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜70℃、更に好ましくは18〜50℃、より更に好ましくは18〜25℃である。
なお、水を添加する際の雰囲気温度も水の添加方法に応じて適宜選択することができるが、後述する加熱温度に近い温度がよい点から、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜140℃、更に好ましくは70〜130℃、より更に好ましくは80〜120℃であり、一方温度調整のし易さの観点からは、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜70℃、更に好ましくは18〜50℃、より更に好ましくは18〜25℃である。
水の添加後、あるいは水を添加しながら、原料焙煎コーヒー豆を撹拌混合することが好ましい。これにより、原料焙煎コーヒー豆全体に水を浸透させて湿潤状態にすることができる。
加熱処理は、常圧下、加圧下又は減圧下で行うことが可能であるが、原料焙煎コーヒー豆の内部に十分水分を浸透させる観点から、加圧下で行うことが好ましい。
また、加熱処理は、解放状態で行っても、密封状態で行ってもよいが、加圧条件へ設定しやすい点から、密封状態で行うことが好ましい。ここで「密閉状態」とは、蒸気や空気等のガスの流通が遮断され、開放大気系に直接接触しないことをいう。密閉容器はガスの流通を遮断できれば、その形状及び材質は特に限定されないが、加熱により変質せず、かつ加圧に耐え得る容器が好ましく、例えば、金属製容器、ガラス製容器等を挙げることができる。密閉容器の具体例としては、例えば、金属製耐圧容器、ガラス製耐熱耐圧容器、レトルトパウチ、缶、耐熱耐圧ビン等が挙げられ、金属製耐圧容器、ガラス製耐熱耐圧容器、缶及び耐熱耐圧ビンは、栓や蓋により密閉可能で、かつ開閉自在なものが好ましい。
加熱処理方法としては、例えば、原料焙煎コーヒー豆を容器内に収容し水を添加して密封した後、所定温度にて所定時間加熱する方法、原料焙煎コーヒー豆にスチームを接触させた後、それを容器内に収容して密封し所定温度にて所定時間加熱する方法、原料焙煎コーヒー豆にスチームを所定時間接触させる方法等を挙げることができるが、これらに限定されない。
加熱温度は、ヒドロキシヒドロキノン量の低減、生産効率の観点から、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が更に好ましく、80℃以上がより更に好ましく、また風味バランスの観点から、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下が更に好ましく、120℃以下がより更に好ましい。加熱温度の範囲としては、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜140℃、更に好ましくは70〜130℃、より更に好ましくは80〜120℃である。
加熱時間は、原料焙煎コーヒー豆を十分に湿潤状態に保持する観点、及びヒドロキシヒドロキノン量の低減の観点から、0.1分間以上が好ましく、0.2分間以上がより好ましく、0.5分間以上が更に好ましく、1分間以上がより更に好ましく、0.1時間以上がより更に好ましく、0.2時間以上がより更に好ましく0.5時間以上がより更に好ましく、1時間以上がより更に好ましく、また風味バランスの観点から、10時間以下が好ましく、8時間以下がより好ましく、6時間以下が更に好ましく、4時間以下がより更に好ましく、3時間以下がより更に好ましい。加熱時間の範囲としては、好ましくは0.1分間〜10時間、より好ましくは0.2分間〜10時間、更に好ましくは0.5分間〜8時間、より更に好ましくは1分間〜8時間、より更に好ましくは0.1〜6時間、より更に好ましくは0.2〜6時間、より更に好ましくは0.5〜4時間、より更に好ましくは1〜3時間である。ここでいう「加熱時間」は、予め所定の温度に制御された装置を使用する場合は、当該装置に原料焙煎コーヒー豆を収容してからの経過時間であり、また装置に原料焙煎コーヒー豆を収容後に温度設定する場合は、所定の温度に到達してからの経過時間である。加熱装置としては、例えば、恒温槽、乾燥機、オートクレーブ等の装置を加熱処理条件に応じて適宜選択することができる。
加熱時間は加熱温度により適宜選択することが可能であり、例えば、加熱温度が100〜120℃である場合、加熱時間は、好ましくは0.2〜4時間、更に好ましくは0.5〜3時間である。
第1の工程後、装置から未粉砕の焙煎コーヒー豆を取り出し、冷却してもよく、また冷却することなく、次工程に供しても差し支えない。
(第2の工程)
第2の工程は、第1の工程後の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆を超臨界二酸化炭素抽出する工程である。これにより、カフェインや、焙煎により生成した5−ヒドロキシメチルフルフラール等の夾雑物を原料焙煎コーヒー豆から除去することができる。
ここで「超臨界二酸化炭素」とは、7MPa以上の圧力及び31℃以上の温度の条件下で流体状態になった二酸化炭素を意味する。また、「超臨界二酸化炭素抽出」とは、このような超臨界状態の二酸化炭素を抽出媒体として用いる抽出方法をいう。抽出操作は公知の方法を採用することが可能であり、一般的に行われているような抽出装置を用いることができる。
超臨界二酸化炭素抽出における圧力条件は、雑味抑制、後味改善の観点から、8MPa以上が好ましく、12MPa以上がより好ましく、20MPa以上が更に好ましく、そして50MPa以下が好ましく、40MPa以下がより好ましく、35MPa以下が更に好ましい。かかる圧力の範囲としては、好ましくは8〜50MPa、より好ましくは12〜40MPa、更に好ましくは20〜35MPaである。
また、抽出温度は、雑味抑制、後味改善の観点から、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、75℃以上が更に好ましく、85℃以上がより更に好ましく、90℃以上が殊更に好ましく、そして150℃以下が好ましく、145℃以下がより好ましく、140℃以下が更に好ましく、135℃以下がより更に好ましく、130℃以下が更に好ましい。かかる抽出温度の範囲としては、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜145℃、更に好ましくは75〜140℃、より更に好ましくは85〜135℃、殊更に好ましくは90〜130℃である。
抽出時間は、雑味抑制、後味改善の観点から、0.5時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましく、4時間以上が更に好ましく、7時間以上が更に好ましく、9時間以上が更に好ましく、そして20時間以下が好ましく、18時間以下がより好ましく、16時間以下が更に好ましく、14時間以下がより更に好ましい。かかる抽出時間の範囲としては、好ましくは0.5〜20時間、より好ましくは2〜18時間、更に好ましくは4〜16時間、より更に好ましくは7〜16時間、殊更に好ましくは9〜14時間である。
抽出倍率(二酸化炭素(気体換算、常温・常圧)/原料焙煎コーヒー豆)は、雑味抑制、後味改善の観点から、0.01(m3/g)以上が好ましく、0.02(m3/g)以上がより好ましく、0.04(m3/g)以上が更に好ましく、0.06(m3/g)以上がより更に好ましく、そして0.20(m3/g)以下が好ましく、0.16(m3/g)以下がより好ましく、0.12(m3/g)以下が更に好ましい。かかる抽出倍率の範囲としては、好ましくは0.01〜0.20(m3/g)、より好ましくは0.02〜0.16(m3/g)、更に好ましくは0.04〜0.12(m3/g)、より更に好ましくは0.06〜0.12(m3/g)である。ここで、本明細書において「常温・常圧」とは、
温度20±15℃、圧力101325Pa(標準大気圧)の状態を意味する(財団法人 日本規格協会編、「JIS工業用語大辞典」、第5版、財団法人 日本規格協会、2001年3月30日)。
また、抽出槽に超臨界二酸化炭素を通過させて原料焙煎コーヒー豆に接触させる際の二酸化炭素の流量(気体換算、常温・常圧)は、抽出槽の容量によっても異なるが、雑味抑制、後味改善の観点から、1.0m3以上が好ましく、2.0m3以上がより好ましく、4.0m3以上が更に好ましく、7.0m3以上がより更に好ましく、そして50m3以下が好ましく、30m3以下がより好ましく、15m3以下が更に好ましい。超臨界二酸化炭素の流量(気体換算、常温・常圧)の範囲としては、好ましくは1.0〜50m3、より好ましくは2.0〜30m3、更に好ましくは4.0〜15m3、より更に好ましくは7.0〜15m3である。
また、本工程においては、超臨界二酸化炭素抽出をエントレーナーの存在下で行うことが好ましい。ここで、超臨界二酸化炭素に第2の抽出媒体を加えると、特定の溶質に対する溶解度が大きく変化することが知られている。これをエントレーナー効果といい、第2の抽出媒体をエントレーナーという。
エントレーナーとしては、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、天然水等の水が挙げられる。
なお、エントレーナー存在下で超臨界二酸化炭素抽出する方法としては、エントレーナー及び超臨界二酸化炭素の混合媒体を抽出媒体として用いれば特に限定されないが、例えば、エントレーナーを充填した充填槽に超臨界二酸化炭素を通液し、エントレーナー及び超臨界二酸化炭素の混合媒体を抽出槽に供給して抽出する方法が挙げられる。
第2の工程後、焙煎コーヒー豆を乾燥してもよい。乾燥方法としては、例えば、送風ファンを用いて乾燥する方法、減圧乾燥する方法、凍結乾燥する方法等を挙げることができる。
乾燥後の焙煎コーヒー豆の含水率は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、5質量%以下がより更に好ましい。なお、含水率は、常圧加熱乾燥法により測定することが可能であり、例えば、試料約1gを秤量し、それを105℃で6時間加熱処理した後、加熱処理後の試料を秤量し、加熱処理前後の試料の質量から算出することができる。具体的には以下の式を用いて算出することができる。
含水率(質量%)=([加熱処理前の焙煎コーヒー豆の質量(g)]−[加熱処理後の焙煎コーヒー豆の質量(g)])/[加熱処理前の焙煎コーヒー豆の質量(g)]×100
このようにして本発明の未粉砕の焙煎コーヒー豆を製造することができるが、得られた焙煎コーヒー豆は、以下の特性を具備することができる。
(1)焙煎コーヒー豆中の(A)クロロゲン酸類の含有量は、生理効果の観点から、焙煎コーヒー豆1kgあたり、2.0g以上が好ましく、3.0g以上がより好ましく、10.0g以上が更に好ましく、20.0g以上がより更に好ましく、また風味バランスの観点から、80.0g以下が好ましく、75.0g以下がより好ましく、70.0g以下が更に好ましく、65.0g以下がより更に好ましい。かかる(A)クロロゲン酸類の含有量の範囲としては、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは2.0〜80.0g、より好ましくは3.0〜75.0g、更に好ましくは10.0〜70.0g、より更に好ましくは20.0〜65.0gである。ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称であり、本発明においては上記9種のクロロゲン酸類のうち少なくとも1種を含有すればよいが、上記9種全てを含有することが好ましい。なお、クロロゲン酸類量は上記9種の合計量に基づいて定義される。
(2)焙煎コーヒー豆中の(B)ヒドロキシヒドロキノンの含有量は、生理効果、雑味抑制の観点から、焙煎コーヒー豆1kgあたり、50mg以下が好ましく、40mg以下がより好ましく、30mg以下が更に好ましく、20mg以下がより更に好ましく、10mg以下が殊更に好ましい。かかる(B)ヒドロキシヒドロキノンの含有量の下限値は特に限定されず、0mgであってもよいが、生産効率の観点から、焙煎コーヒー豆1kgあたり、0.001mg以上が好ましく、0.01mg以上が更に好ましい。かかる(B)ヒドロキシヒドロキノンの含有量の範囲としては、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは0.001〜40mg、より好ましくは0.001〜30mg、更に好ましくは0.001〜20mg、より更に好ましくは0.001〜10mg、殊更に好ましくは0.01〜10mgである。ここで、「(B)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が0mg」とは、後掲の実施例に記載の「ヒドロキシヒドロキノンの分析」において、(B)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が検出限界以下である場合も包含する概念である。
(3)焙煎コーヒー豆中の(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールの含有量は、雑味抑制の観点から、焙煎コーヒー豆1kgあたり、70mg以下が好ましく、65mg以下がより好ましく、60mg以下が更に好ましく、55mg以下が更に好ましく、50mg以下が更に好ましく、40mg以下がより更に好ましく、30mg以下が殊更に好ましい。
かかる(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールの含有量の下限値は特に限定されず、0mgであってもよいが、生産効率の観点から、焙煎コーヒー豆1kgあたり、0.01mg以上が好ましく、0.1mg以上が更に好ましい。かかる(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールの含有量の範囲としては、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは0.01〜65mg、より好ましくは0.01〜60mg、更に好ましくは0.01〜55mg、更に好ましくは0.01〜50mg、より更に好ましくは0.01〜40mg、殊更に好ましくは0.1〜30mgである。ここで、「(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールの含有量が0mg」とは、後掲の実施例に記載の「5−ヒドロキシメチルフルフラールの分析」において、(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールの含有量が検出限界以下である場合も包含する概念である。
(4)焙煎コーヒー豆中の(A)クロロゲン酸類と(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールとの質量比[(C)/(A)]は、雑味抑制、後味改善の観点から、0.006以下が好ましく、0.005以下がより好ましく、0.0037以下が更に好ましく、0.0015以下がより更に好ましい。かかる質量比[(C)/(A)]の下限値は特に限定されず、0であってもよいが、生産効率の観点から、0.00001以上が好ましく、0.0001以上が更に好ましい。かかる質量比[(C)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.00001〜0.006、より好ましくは0.00001〜0.005、更に好ましくは0.00001〜0.0037、より更に好ましくは0.00001〜0.0015、殊更に好ましくは0.0001〜0.0015である。
(5)焙煎コーヒー豆中の(D)カフェインの含有量は、雑味抑制、後味改善の観点から、焙煎コーヒー豆1kgあたり、10.0g以下が好ましく、8.0g以下がより好ましく、6.0g以下が更に好ましく、5.0g以下がより更に好ましく、また適度な苦味付与の観点から、0.1g以上が好ましく、0.2g以上がより好ましく、0.5g以上が更に好ましく、1.0g以上がより更に好ましい。かかる(D)カフェインの含有量の範囲としては、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは0.1〜10.0g、より好ましくは0.2〜8.0g、更に好ましくは0.5〜6.0g、より更に好ましくは1.0〜5.0gである。
なお、本明細書における、焙煎コーヒー豆中の(A)クロロゲン酸類、(B)ヒドロキシヒドロキノン、(C)5−ヒドロキシメチルフルフラール及び(D)カフェインの各含有量は、焙煎コーヒー豆から後述の条件で抽出して得られたコーヒー抽出液中の(A)クロロゲン酸類、(B)ヒドロキシヒドロキノン、(C)5−ヒドロキシメチルフルフラール及び(D)カフェインの各含有量に基づいて下記式(i)〜(iv)により求めたものである。
(i)焙煎コーヒー豆中のクロロゲン酸類含有量[g/kg]=[コーヒー抽出液中のクロロゲン酸類含有量(g/kg)]×[コーヒー抽出液の質量(g)]/[焙煎コーヒー豆の質量(g)]
(ii)焙煎コーヒー豆中のヒドロキシヒドロキノン含有量(mg/kg)=[コーヒー抽出液中のヒドロキシヒドロキノン含有量(mg/kg)]×[コーヒー抽出液の質量(g)]/[焙煎コーヒー豆の質量(g)]
(iii)焙煎コーヒー豆中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量(mg/kg)=[コーヒー抽出液中の5−ヒドロキシメチルフルフラール含有量(mg/kg)]×[コーヒー抽出液の質量(g)]/[焙煎コーヒー豆の質量(g)]
(iv)焙煎コーヒー豆中のカフェイン含有量(g/kg)=[コーヒー抽出液中のカフェイン含有量(g/kg)]×[コーヒー抽出液の質量(g)]/[焙煎コーヒー豆の質量(g)]
なお、コーヒー抽出液の分析条件は、次のとおりである。平均粒径0.030mmに粉砕した焙煎コーヒー豆0.5gに、抽出用水(リン酸1gと、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDPO)0.03gをイオン交換水1Lに溶解した液)を80g加え、95〜99℃の間に保持しながら10分間浸漬抽出を行う。次に、コーヒー抽出液の上清を採取し、それを後掲の実施例の記載の方法に供して、(A)クロロゲン酸類、(B)ヒドロキシヒドロキノン、(C)5−ヒドロキシメチルフルフラール及び(D)カフェインの各含有量を分析する。
本発明により得られた未粉砕の焙煎コーヒー豆のL値は、雑味抑制の観点から、15以上が好ましく、15.5以上がより好ましく、16以上が更に好ましく、16.5以上がより更に好ましく、17以上が殊更に好ましく、また後味改善の観点から、45以下が好ましく、43以下がより好ましく、40以下が更に好ましく、35以下がより更に好ましく、30以下がより更に好ましい。かかるL値の範囲としては、好ましくは15〜43、より好ましくは15.5〜40、更に好ましくは16〜35、より更に好ましくは16.5〜35、より更に好ましくは17〜30である。
本発明により得られた未粉砕の焙煎コーヒー豆は、1種単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。2種以上の焙煎コーヒー豆の混合物である場合、豆種や産地の異なるコーヒー豆だけでなく、焙煎度の異なるコーヒー豆の組み合わせであってもよい。
焙煎度の異なるコーヒー豆の混合物である場合、L値が上記範囲外のものが含まれていても差し支えないが、L値の平均値が上記範囲内であり、かつ(A)クロロゲン酸類、(B)ヒドロキシヒドロキノン、(C)5−ヒドロキシメチルフルフラール、及び(D)カフェインの各含有量が後述する範囲内となるように適宜組み合わせられる。L値の平均値は、使用する焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和として求められる。
本発明により得られた未粉砕の焙煎コーヒー豆は、粉砕して使用してもよい。焙煎コーヒー豆の粉砕には、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミル、インパクトミル、ウィレー粉砕機等の粉砕装置を使用することができる。
粉砕された焙煎コーヒー豆の平均粒径は、ヒドロキシヒドロキノン量の低減の観点から、5mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましく、また生産効率の観点から、0.001mm以上が好ましく、0.01mm以上がより好ましく、0.05mm以上が更に好ましい。かかる平均粒径の範囲としては、好ましくは0.001〜5mm、より好ましくは0.01〜2.5mm、更に好ましくは0.05〜1.5mmである。ここで、本明細書において「平均粒径」とは、レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積粒度分布曲線において50%(d50)に相当する粒子径である。なお、Tyler標準篩、ASTM標準篩、JIS標準篩等を用いて平均粒径が上記範囲内となるように分級することも可能であり、また所望する平均粒径がレーザ回折・散乱法粒度分布測定装置の測定範囲外である場合にも前記篩を用いて分級することができる。
前述の実施形態に関し、本発明は更に以下の製造方法を開示する。
<1>
未粉砕の原料焙煎コーヒー豆に水を添加して加熱する第1の工程と、
第1の工程後の原料焙煎コーヒー豆を超臨界二酸化炭素抽出する第2の工程
を含む、焙煎コーヒー豆の製造方法。
<2>
未粉砕の原料焙煎コーヒー豆が、好ましくは粉砕されていない全粒の焙煎コーヒー豆である、前記<1>記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<3>
原料焙煎コーヒー豆の豆種が、好ましくはアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種から選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>又は<2>記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<4>
原料焙煎コーヒー豆の産地が、好ましくはブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム及びインドネシアから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>〜<3>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<5>
原料焙煎コーヒー豆が、好ましくは生コーヒー豆を焙煎したもの、焙煎コーヒー豆を更に焙煎したもの、又はそれらの混合物である、前記<1>〜<4>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<6>
原料焙煎コーヒー豆のL値が、好ましくは15以上、より好ましくは15.5以上、更に好ましくは16以上、更に好ましくは16.5以上、より更に好ましくは17以上であって、好ましくは50以下、より好ましくは45以下、更に好ましくは43以下、更に好ましくは40以下、より更に好ましくは35以下である、前記<1>〜<5>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<7>
原料焙煎コーヒー豆のL値が、好ましくは15〜50、より好ましくは15〜45、更に好ましくは15.5〜43、更に好ましくは16〜40、更に好ましくは16.5〜35、より更に好ましくは17〜35である、前記<1>〜<6>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<8>
原料焙煎コーヒー豆が、好ましくは1種単独であるか、あるいは焙煎度、豆種、産地及びL値のうちの1以上が異なる混合物である、前記<1>〜<7>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<9>
第1の工程において、添加する水が、好ましくは水道水、蒸留水、イオン交換水及び天然水から選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>〜<8>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<10>
第1の工程において、水の添加を、好ましくは常圧下、減圧下又は加圧下で行うか、更に好ましくは常圧下で行う、前記<1>〜<9>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<11>
第1の工程において、水を添加する際の焙煎コーヒー豆の温度が、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜70℃、更に好ましくは15〜30℃、より更に好ましくは18〜25℃である、前記<1>〜<10>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<12>
第1の工程に係る水の添加量が、原料焙煎コーヒー豆に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であって、好ましくは110質量%以下、より好ましくは100質量%以下、更に好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下である、前記<1>〜<11>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<13>
第1の工程に係る水の添加量が、原料焙煎コーヒー豆に対して、好ましくは5〜110質量%、より好ましくは10〜100質量%、更に好ましくは15〜90質量%、更に好ましくは15〜80質量%、更に好ましくは15〜60質量%、より更に好ましくは20〜50質量%である、前記<1>〜<12>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<14>
第1の工程に係る水の添加方法が、好ましくは原料焙煎コーヒー豆に水を直接投入する方法、原料焙煎コーヒー豆に水を噴霧する方法、又は原料焙煎コーヒー豆にスチームを接触させる方法である、前記<1>〜<13>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<15>
第1の工程において、好ましくは全量の水を、連続的に添加するか、又は複数回に分けて添加する、前記<1>〜<14>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<16>
第1の工程において、添加する水の温度が、好ましくは10〜100℃、より好ましくは10〜80℃、更に好ましくは15〜70℃、更に好ましくは18〜50℃、より更に好ましくは18〜25℃である、前記<1>〜<15>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<17>
第1の工程において、水を添加する際の雰囲気温度が、好ましくは加熱温度に近い温度、より好ましくは50〜150℃、更に好ましくは60〜140℃、更に好ましくは70〜130℃、より更に好ましくは80〜120℃である、前記<1>〜<16>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<18>
第1の工程において、水を添加する際の雰囲気温度が、好ましくは10〜80℃、より好ましくは15〜70℃、更に好ましくは18〜50℃、より更に好ましくは18〜25℃である、前記<1>〜<16>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<19>
第1の工程において、水の添加後、あるいは水を添加しながら、好ましくは原料焙煎コーヒー豆を撹拌混合する、前記<1>〜<18>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<20>
第1の工程に係る加熱処理を、好ましくは常圧下、加圧下又は減圧下で行うか、更に好ましくは加圧下で行う、前記<1>〜<19>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<21>
第1の工程に係る加熱処理を、好ましくは解放状態、又は密封状態で行うか、更に好ましくは密封状態で行う、前記<1>〜<20>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<22>
第1の工程に係る加熱処理を、好ましくは金属製耐圧容器、ガラス製耐熱耐圧容器、レトルトパウチ、缶及び耐熱耐圧ビンから選ばれる密閉容器に原料焙煎コーヒー豆を充填して行うか、更に好ましくは金属製耐圧容器、ガラス製耐熱耐圧容器、缶及び耐熱耐圧ビンから選ばれる密閉容器に原料焙煎コーヒー豆を充填して行う、前記<1>〜<21>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<23>
第1の工程に係る加熱処理方法が、好ましくは原料焙煎コーヒー豆を容器内に収容し水を添加して密封した後、所定温度にて所定時間加熱する方法、原料焙煎コーヒー豆にスチームを接触させた後、それを容器内に収容して密封し所定温度にて所定時間加熱する方法、又は原料焙煎コーヒー豆にスチームを所定時間接触させる方法である、前記<1>〜<22>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<24>
第1の工程に係る加熱温度が、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上、より更に好ましくは80℃以上であって、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下、より更に好ましくは120℃以下である、前記<1>〜<23>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<25>
第1の工程に係る加熱温度が、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜140℃、更に好ましくは70〜130℃、より更に好ましくは80〜120℃である、前記<1>〜<24>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<26>
第1の工程に係る加熱時間が、好ましくは0.1分間以上、より好ましくは0.2分間以上、更に好ましくは0.5分間以上、更に好ましくは1分間以上、更に好ましくは0.1時間以上、更に好ましくは0.2時間以上、更に好ましくは0.5時間以上、より更に好ましくは1時間以上であって、好ましくは10時間以下、より好ましくは8時間以下、更に好ましくは6時間以下、更に好ましくは4時間以下、より更に好ましくは3時間以下である、前記<1>〜<25>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<27>
第1の工程に係る加熱時間が、好ましくは0.1分間〜10時間、より好ましくは0.2分間〜10時間、更に好ましくは0.5分間〜8時間、より更に好ましくは1分間〜8時間、より更に好ましくは0.1〜6時間、より更に好ましくは0.2〜6時間、より更に好ましくは0.5〜4時間、より更に好ましくは1〜3時間である、前記<1>〜<26>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<28>
第1の工程に係る加熱温度が、好ましくは100〜120℃であり、第1の工程に係る加熱時間が、好ましくは0.2〜4時間、更に好ましくは0.5〜3時間である、前記<1>〜<27>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<29>
超臨界二酸化炭素抽出における圧力条件が、好ましくは8MPa以上、より好ましくは12MPa以上、更に好ましくは20MPa以上であって、好ましくは50MPa以下、より好ましくは40MPa以下、更に好ましくは35MPa以下である、前記<1>〜<28>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<30>
超臨界二酸化炭素抽出における圧力条件が、好ましくは8〜50MPa、より好ましくは12〜40MPa、更に好ましくは20〜35MPaである、前記<1>〜<29>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<31>
第2の工程に係る抽出温度が、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは75℃以上、更に好ましくは85℃以上、より更に好ましくは90℃以上であって、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、更に好ましくは140℃以下、更に好ましくは135℃以下、より更に好ましくは130℃以下である、前記<1>〜<30>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<32>
第2の工程に係る抽出温度が、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜145℃、更に好ましくは75〜140℃、より更に好ましくは85〜135℃、殊更に好ましくは90〜130℃である、前記<1>〜<31>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<33>
第2の工程に係る抽出時間が、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは2時間以上、更に好ましくは4時間以上、更に好ましくは7時間以上、より更に好ましくは9時間以上であって、好ましくは20時間以下、より好ましくは18時間以下、更に好ましくは16時間以下、より更に好ましくは14時間以下である、前記<1>〜<32>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<34>
第2の工程に係る抽出時間が、好ましくは0.5〜20時間、より好ましくは2〜18時間、更に好ましくは4〜16時間、より更に好ましくは7〜16時間、殊更に好ましくは9〜14時間である、前記<1>〜<33>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<35>
第2の工程に係る抽出倍率(二酸化炭素(気体換算、常温・常圧)/原料焙煎コーヒー豆)が、好ましくは0.01(m3/g)以上、より好ましくは0.02(m3/g)以上、更に好ましくは0.04(m3/g)以上、より更に好ましくは0.06(m3/g)以上であって、好ましくは0.20(m3/g)以下、より好ましくは0.16(m3/g)以下、更に好ましくは0.12(m3/g)以下である、前記<1>〜<34>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<36>
第2の工程に係る抽出倍率(二酸化炭素(気体換算、常温・常圧)/原料焙煎コーヒー豆)が、好ましくは0.01〜0.20(m3/g)、より好ましくは0.02〜0.16(m3/g)、更に好ましくは0.04〜0.12(m3/g)、より更に好ましくは0.06〜0.12(m3/g)である、前記<1>〜<35>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<37>
第2の工程において、原料焙煎コーヒー豆に接触させる際の二酸化炭素の流量(気体換算、常温・常圧)が、好ましくは1.0m3以上、より好ましくは2.0m3以上、更に好ましくは4.0m3以上、より更に好ましくは7.0m3以上であって、好ましくは50m3以下、より好ましくは30m3以下、更に好ましくは15m3以下である、前記<1>〜<36>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<38>
第2の工程において、原料焙煎コーヒー豆に接触させる際の二酸化炭素の流量(気体換算、常温・常圧)が、好ましくは1.0〜50m3、より好ましくは2.0〜30m3、更に好ましくは4.0〜15m3、より更に好ましくは7.0〜15m3である、前記<1>〜<37>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<39>
第2の工程に係る超臨界二酸化炭素抽出を、好ましくはエントレーナーの存在下で行う、前記<1>〜<38>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<40>
エントレーナーが、好ましくは水であり、更に好ましくは水道水、蒸留水、イオン交換水及び天然水から選ばれる1種又は2種以上である、前記<39>記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<41>
エントレーナー存在下で超臨界二酸化炭素抽出する方法が、好ましくはエントレーナーを充填した充填槽に超臨界二酸化炭素を通液し、エントレーナー及び超臨界二酸化炭素の混合媒体を抽出槽に供給して抽出する方法である、前記<39>又は<40>記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<42>
第2の工程後、焙煎コーヒー豆を乾燥する工程を含む、前記<1>〜<41>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<43>
乾燥方法が、好ましくは送風ファンを用いて乾燥する方法、減圧乾燥する方法、及び凍結乾燥する方法から選ばれる1種又は2種以上である、前記<42>記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<44>
焙煎コーヒー豆の含水率が、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である、前記<1>〜<43>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<45>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(A)クロロゲン酸類の含有量が、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは2.0g以上、より好ましくは3.0g以上、更に好ましくは10.0g以上、より更に好ましくは20.0g以上であって、好ましくは80.0g以下、より好ましくは75.0g以下、更に好ましくは70.0g以下、より更に好ましくは65.0g以下である、前記<1>〜<44>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<46>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(A)クロロゲン酸類の含有量が、焙煎コーヒー豆1kgあたり、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは2.0〜80.0g、より好ましくは3.0〜75.0g、更に好ましくは10.0〜70.0g、より更に好ましくは20.0〜65.0gである、前記<1>〜<45>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<47>
(A)クロロゲン酸類が、好ましくは3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは前記9種全てである、前記<45>又は<46>記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<48>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(B)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは50mg以下、より好ましくは40mg以下、更に好ましくは30mg以下、更に好ましくは20mg以下、より更に好ましくは10mg以下であって、好ましくは0.001mg以上、更に好ましくは0.01mg以上ある、前記<1>〜<47>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<49>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(B)ヒドロキシヒドロキノンの含有量が、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは0.001〜40mg、より好ましくは0.001〜30mg、更に好ましくは0.001〜20mg、更に好ましくは0.001〜10mg、より更に好ましくは0.01〜10mgであり、また0mgであってもよい、前記<1>〜<48>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<50>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールの含有量が、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは70mg以下、より好ましくは65mg以下、更に好ましくは60mg以下、更に好ましくは55mg以下、更に好ましくは50mg以下、更に好ましくは40mg以下、より更に好ましくは30mg以下であって、好ましくは0.01mg以上、更に好ましくは0.1mg以上である、前記<1>〜<49>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<51>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールの含有量が、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは0.01〜65mg、より好ましくは0.01〜60mg、更に好ましくは0.01〜55mg、更に好ましくは0.01〜50mg、より更に好ましくは0.01〜40mg、殊更に好ましくは0.1〜30mgであり、また0mgであってもよい、前記<1>〜<50>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<52>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(A)クロロゲン酸類と(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールとの質量比[(C)/(A)]が、好ましくは0.006以下、より好ましくは0.005以下、更に好ましくは0.0037以下、より更に好ましくは0.0015以下であって、好ましくは0.00001以上、更に好ましくは0.0001以上である、前記<1>〜<51>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<53>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(A)クロロゲン酸類と(C)5−ヒドロキシメチルフルフラールとの質量比[(C)/(A)]が、好ましくは0.00001〜0.006、より好ましくは0.00001〜0.005、更に好ましくは0.00001〜0.0037、更に好ましくは0.00001〜0.0015、より更に好ましくは0.0001〜0.0015であり、また0であってもよい、前記<1>〜<52>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<54>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(D)カフェインの含有量が、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは10.0g以下、より好ましくは8.0g以下、更に好ましくは6.0g以下、より更に好ましくは5.0g以下であって、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.2g以上、更に好ましくは0.5g以上、より更に好ましくは1.0g以上である、前記<1>〜<53>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<55>
当該焙煎コーヒー豆は、焙煎コーヒー豆中の(D)カフェインの含有量が、焙煎コーヒー豆1kgあたり、好ましくは0.1〜10.0g、より好ましくは0.2〜8.0g、更に好ましくは0.5〜6.0g、より更に好ましくは1.0〜5.0gである、前記<1>〜<54>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<56>
当該焙煎コーヒー豆のL値が、好ましくは15以上、より好ましくは15.5以上、更に好ましくは16以上、更に好ましくは16.5以上、より更に好ましくは17以上であって、好ましくは45以下、より好ましくは43以下、更に好ましくは40以下、更に好ましくは35以下、より更に好ましくは30以下である、前記<1>〜<55>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<57>
当該焙煎コーヒー豆のL値が、好ましくは15〜43、より好ましくは15.5〜40、更に好ましくは16〜35、より更に好ましくは16.5〜35、より更に好ましくは17〜30である、前記<1>〜<56>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<58>
当該焙煎コーヒー豆が、好ましくは粉砕されたものである、前記<1>〜<57>のいずれか一に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<59>
粉砕された焙煎コーヒー豆の平均粒径が、好ましくは5mm以下、より好ましくは2.5mm以下、更に好ましくは1.5mm以下であって、好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.05mm以上である、前記<58>記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
<60>
粉砕された焙煎コーヒー豆の平均粒径が、好ましくは0.001〜5mm、より好ましくは0.01〜2.5mm、更に好ましくは0.05〜1.5mmである、前記<58>又は<59>記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
1.焙煎コーヒー豆及びコーヒー飲料の分析
後述の方法に従い、焙煎コーヒー豆からコーヒー抽出液を得た。得られたコーヒー抽出液に基づいて、実施例、参考例及び比較例で得られた焙煎コーヒー豆について次の分析を行った。同様に実施例、参考例及び比較例で得られたコーヒー飲料についても次の分析を行った。
(1)クロロゲン酸類(CGA)、カフェイン(Caf)、5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF)の分析
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)
・ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)
・オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・UV検出器設定波長:325nm(CGA)
270nm(Caf、5−HMF)
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM HEDPO、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液
・溶離液B:アセトニトリル
溶離液Aの調製には、高速液体クロマトグラフィー用蒸留水(関東化学社製)、高速液体クロマトグラフィー用アセトニトリル(関東化学社製)、酢酸(特級、和光純薬社製)、1−ヒドロキシエタン−1、1−ジホスホン酸(60%水溶液、東京化成工業社製)を用いた。
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
HPLCでは、コーヒー抽出液又はコーヒー飲料を、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A、孔径0.45μm、ジーエルサイエンス社製)にて濾過後、分析に供した。
クロロゲン酸類の保持時間(単位:分)
・モノカフェオイルキナ酸:6.4、11.3、15.0の計3点
・モノフェラキナ酸:16.2、21.6、22.8の計3点
・ジカフェオイルキナ酸:39.6、40.4、41.0の計3点
ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、クロロゲン酸類含量(g/kg)を求めた。
HPLCの上記の条件における分析において、カフェインの保持時間は20.4分であった。得られたピークの面積値から、カフェイン(特級、和光純薬社製)を標準物質とし、カフェイン含量(g/kg)を求めた。
HPLCの上記の条件における分析において、5−HMFの保持時間は6.1分であった。得られたピークの面積値から、5−HMF(東京化成工業社製)を標準物質とし、5−HMF含量(mg/kg)を求めた。
(2)ヒドロキシヒドロキノン(HHQ)の分析
分析機器はHPLC−電気化学検出器(クーロメトリック型)であるクーロアレイシステム(モデル5600A、米国ESA社製)を使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・アナリティカルセル:モデル5010、クーロアレイオーガナイザー
・クーロアレイエレクトロニクスモジュール・ソフトウエア:モデル5600A
・溶媒送液モジュール:モデル582、グラジエントミキサー
・オートサンプラー:モデル542、パルスダンパー
・デガッサー:Degasys Ultimate DU3003
・カラムオーブン:505
・カラム:CAPCELL PAK C18 AQ 内径4.6mm×長さ250mm、粒子径5μm(資生堂社製)
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・電気化学検出器の印加電圧:200mV
・カラムオーブン設定温度:40℃
・溶離液C:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM HEDPO、5(V/V)%メタノール溶液
・溶離液D:0.1(W/V)%リン酸、0.1mM HEDPO、50(V/V)%メタノール溶液
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液C 溶離液D
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
10.1分 0% 100%
20.0分 0% 100%
20.1分 100% 0%
50.0分 100% 0%
コーヒー抽出液又はコーヒー飲料をボンドエルートSCX(固相充填量:500mg、リザーバ容量:3mL、ジーエルサイエンス社製)に通液し、初通過液約0.5mLを除いて通過液を得た。この通過液について、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A、孔径0.45μm、ジーエルサイエンス社製)にて濾過し、速やかに分析に供した。
HPLC−電気化学検出器の上記の条件における分析において、ヒドロキシヒドロキノンの保持時間は6.1分であった。得られたピークの面積値からヒドロキシヒドロキノン(和光純薬工業社製)を標準物質とし、ヒドロキシヒドロキノン含量(mg/kg)を求めた。
2.L値の測定
試料を、色差計(日本電色社製 スペクトロフォトメーター SE2000)を用いて測定した。
3.官能評価
実施例、比較例及び参考例で得られたコーヒー飲料の雑味、後味のスッキリ感、及び酸味について、専門パネル3名が下記の基準に基づいて評価し、専門パネル3名の評点から平均値を算出した。そして、その平均値から最終スコアを下記表1に基づいて決定した。
Figure 0006719193
雑味の評価基準
実施例7のコーヒー飲料の雑味を評点5とし、参考例3のコーヒー飲料の雑味を評点1として、下記の5段階で評価を行った。
5:雑味を感じない
4:僅かに雑味を感じる
3:雑味を感じる
2:やや強く雑味を感じる
1:強く雑味を感じる
後味のすっきり感の評価基準
実施例7のコーヒー飲料の後味のすっきり感を評点5とし、参考例3のコーヒー飲料の後味のすっきり感を評点1として、下記の5段階で評価を行った。なお、後味のスッキリ感とは、後味として不快な苦味が残らないことをいう。
5:後味が非常にすっきりしていると感じる
4:後味がすっきりしていると感じる
3:後味がややすっきりしていると感じる
2:後味がややすっきりしていないと感じる
1:後味がすっきりしていないと感じる
酸味の評価基準
参考例3のコーヒー飲料の酸味を評点5とし、比較例3のコーヒー飲料の酸味を評点1として、下記の5段階で評価を行った。
5:酸味を感じない
4:僅かに酸味を感じる
3:酸味を感じ、バランスが良い
2:やや強く酸味を感じる
1:強く酸味を感じる
実施例1
(第1の工程)
L27の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆(ベトナム産ロブスタ種)10gをSOT缶(容量190mL)に投入し、次いでイオン交換水4g加えて混合した後、開口部を密封した。この操作を繰り返し行い、原料焙煎コーヒー豆及びイオン交換水を充填し、開口部を密閉したSOT缶を13個作製した。次いで、それらを105℃にて2時間オートクレーブで加熱処理した。
(第2の工程)
次いで、加熱後の原料焙煎コーヒー豆166g(加熱前の原料焙煎コーヒー豆120g相当)を、超臨界抽出装置(日東高圧社製)の抽出槽に封入し、28MPaの加圧下、100℃にて10時間、超臨界状態の二酸化炭素を供給した。その際、エントレーナーとして水を充填したタンク内に超臨界二酸化炭素を通液させ、超臨界二酸化炭素と水との混合媒体を抽出槽に供給した。抽出操作での超臨界二酸化炭素の供給量(気体換算、常温・常圧)は12.1m3であった。
(後処理)
処理後の焙煎コーヒー豆を凍結乾燥機(FDU−2100、東京理化器械社製)にて48時間乾燥し、未粉砕の焙煎コーヒー豆を得た。
(分析・評価)
得られた未粉砕の焙煎コーヒー豆を粉砕機(ワンダーブレンダ―WB−01、大阪ケミカル社製)にて粉砕し、平均粒径0.030mmの粉砕物0.5gに、抽出用水(リン酸1gと、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDPO)0.03gをイオン交換水1Lに溶解した液)を80g加え、95〜99℃の間に保持しながら10分間浸漬抽出を行い、上清を採取し、コーヒー抽出液を得た。得られたコーヒー抽出液に基づいて成分分析を行った。更に、焙煎コーヒー豆5gに熱水(98〜100℃)100gを加え、10分間撹拌し、市販コーヒー用フィルターにて濾過し、コーヒー飲料を得た。得られたコーヒー飲料について官能試験を行った。これらの結果を表2に示す。
実施例2
L30の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆(ベトナム産ロブスタ種)を用い、第2の工程における圧力条件を16Mpaに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕焙煎コーヒー豆を得た。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例3
L29の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆(ベトナム産ロブスタ種)を用い、第2の工程における抽出温度を70℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕焙煎コーヒー豆を得た。抽出操作での超臨界二酸化炭素の供給量(気体換算、常温・常圧)は12.0m3であった。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例4
第2の工程における抽出時間を12時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕焙煎コーヒー豆を得た。抽出操作での超臨界二酸化炭素の供給量(気体換算、常温・常圧)は14.3m3であった。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例5
L30の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆(ベトナム産ロブスタ種)を用い、第1の工程における水添加量を焙煎コーヒー豆に対して80質量%、加熱時間を60分に変更し、第2の工程においてエントレーナーを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕焙煎コーヒー豆を得た。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例6
第2の工程の超臨界二酸化炭素による抽出時間を5時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕の焙煎コーヒー豆を得た。抽出操作での超臨界二酸化炭素の供給量(気体換算、常温・常圧)は6.6m3であった。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例7
L27の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆(ブラジル産アラビカ種)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕の焙煎コーヒー豆を得た。抽出操作での超臨界二酸化炭素の供給量(気体換算、常温・常圧)は12.8m3であった。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例8
L18の未粉砕原料焙煎コーヒー豆(ブラジル産アラビカ種)を用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕焙煎コーヒー豆を得た。抽出操作での超臨界二酸化炭素の供給量(気体換算、常温・常圧)は11.8m3であった。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
実施例9
L15.5の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆(ブラジル産アラビカ種)用いたこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕の焙煎コーヒー豆を得た。抽出操作での超臨界二酸化炭素の供給量(気体換算、常温・常圧)は12.5m3であった。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表3に示す。
参考例1
L27の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆を粉砕機(ワンダーブレンダ―WB−01、大阪ケミカル社製)にて粉砕し、平均粒径0.030mmの微粉砕焙煎コーヒー豆を得た。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
参考例2
L27の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆ブラジル産アラビカ種)を粉砕機(ワンダーブレンダ―WB−01、大阪ケミカル社製)にて粉砕し、平均粒径0.030mmの微粉砕焙煎コーヒー豆を得た。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
参考例3
L15.5の未粉砕の原料焙煎コーヒー豆(ブラジル産アラビカ種)を粉砕機(ワンダーブレンダ―WB−01、大阪ケミカル社製)にて粉砕し、平均粒径0.030mmの微粉砕焙煎コーヒー豆を得た。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
比較例1
第2の工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕の焙煎コーヒー豆を得た。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
比較例2
第1の工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作により未粉砕の焙煎コーヒー豆を得た。抽出操作での超臨界二酸化炭素の供給量(気体換算、常温・常圧)は12.3m3であった。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
比較例3
第2の工程を行わなかったこと以外は、実施例7と同様の操作により未粉砕の焙煎コーヒー豆を得た。得られた焙煎コーヒー豆について、実施例1と同様の操作にて成分分析と官能試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0006719193
表2から、未粉砕の原料焙煎コーヒー豆に水を添加して加熱し、次いで超臨界二酸化炭素抽出に供することで、雑味が抑制され、酸味のバランスが良く、後味がスッキリして飲みやすいコーヒー飲料の原料として有用な焙煎コーヒー豆が得られることがわかる。

Claims (5)

  1. 未粉砕の原料焙煎コーヒー豆に、原料焙煎コーヒー豆に対して20〜110質量%の水を添加し、50〜150℃にて0.5〜10時間加熱する第1の工程と、
    第1の工程後の原料焙煎コーヒー豆を超臨界二酸化炭素抽出する第2の工程
    を含む、焙煎コーヒー豆の製造方法。
  2. 第2の工程において、超臨界二酸化炭素抽出をエントレーナーの存在下で行う、請求項1記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  3. 第2の工程の超臨界二酸化炭素抽出における抽出温度が50〜150℃である、請求項1又は2記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  4. 第2工程の超臨界二酸化炭素抽出における抽出時間が0.5〜20時間である、請求項1〜のいずれか1項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
  5. 原料焙煎コーヒー豆のL値が15〜50である、請求項1〜のいずれか1項に記載の焙煎コーヒー豆の製造方法。
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