JP6719130B2 - 延伸ポリアミドフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、延伸ポリアミドフィルムに関するものである。
テレフタル酸と1,10−デカンジアミンからなるポリアミドは、機械的特性や耐熱性が優れることから、そのフィルムは、電気電子分野への応用が検討されている。電気電子分野においては、リフロー処理されることが多いことから、リフロー処理時に溶融しないことが求められている。
テレフタル酸と1,10−デカンジアミンからなるポリアミドのフィルムとしては、例えば、特許文献1に、ホモポリマーの延伸フィルムが開示されている。
特開2013−127062号公報
しかしながら、特許文献1のフィルムは、連続延伸時に途中で切断が発生しやすい。また、ホモポリマーの延伸フィルムは、結晶化速度が速く、結晶化度が高いため、弛みが発生しやすく、平坦性を維持したまま熱収縮率を小さくすることができなかった。
本発明は、上記課題を解決するものであって、優れた機械的特性、耐熱性、平坦性、低熱収縮性を有し、かつ、連続生産性にも適した延伸ポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、このような問題を解決するために鋭意研究の結果、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンのほかに、脂肪族ジカルボン酸を特定量共重合したポリアミドを用いることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)下記の要件を満たすポリアミドからなることを特徴とする延伸ポリアミドフィルム。
(i)融点が300℃以上である。
(ii)ジカルボン酸成分と、1,10−デカンジアミンを主成分とする脂肪族ジアミン成分から構成され、ジカルボン酸成分において、テレフタル酸/脂肪族ジカルボン酸のモル比率が90/10〜97/3(モル比)である。
(2)脂肪族ジカルボン酸がセバシン酸であることを特徴とする(1)に記載の延伸ポリアミドフィルム。
(3)JIS K7133に従って、250℃で5分間熱処理をした際のフィルムの収縮率が1.0%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の延伸ポリアミドフィルム。
(4)示差走査型熱量計を用いて測定される溶融開始温度が285℃以上であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の延伸ポリアミドフィルム。
本発明によれば、優れた機械的特性、耐熱性、平坦性、低熱収縮性を有し、かつ、連続生産性にも適した延伸ポリアミドフィルムを提供することができる。
本発明の延伸ポリアミドフィルムは、ジカルボン酸成分と、1,10−デカンジアミンを主成分とする脂肪族ジアミン成分から構成されるポリアミドからなる。
本発明に用いるポリアミドのジカルボン酸成分は、テレフタル酸と脂肪族ジカルボン酸を含有する必要がある。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸が挙げられ、中でも、比較的安価のことから、アジピン酸、セバシン酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
ジカルボン酸成分において、テレフタル酸と脂肪族ジカルボン酸のモル比率(テレフタル酸/脂肪族ジカルボン酸)は、90/10〜97/3(モル比)であることが必要で、92/8〜95/5(モル比)であることが好ましい。テレフタル酸と脂肪族ジカルボン酸の合計に対するテレフタル酸の含有比率が97モル%を超える場合、フィルムの連続延伸時に途中で切断しやすくなるので好ましくない。一方、前記テレフタル酸の含有比率が90モル%未満の場合、熱収縮率を小さくすることができないので好ましくない。
ジカルボン酸成分には、テレフタル酸と脂肪族ジカルボン酸以外の他のジカルボン酸を含んでいてもよい。他のジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。テレフタル酸と脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸の含有量は、ジカルボン酸成分において、10モル%以下であることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
脂肪族ジアミン成分としては、1,10−デカンジアミンを主成分とすることが必要である。なお、本発明において、「1,10−デカンジアミンを主成分とする」とは、ジアミン成分において、1,10−デカンジアミンを60モル%以上含むことをいう。ジアミン成分において、1,10−デカンジアミンの含有量は、70モル%以上であることが好ましく、耐熱性の観点から、85モル%であることがより好ましい。
ジアミン成分には、1,10−ドデカンジアミン以外の他のジアミンを含んでいてもよい。他のジアミンとしては、例えば、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の1,10−ドデカンジアミン以外の脂肪族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミンや、キシリレンジアミン、ベンゼンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
本発明に用いるポリアミドには、分子量の調整を目的に、モノカルボン酸を含んでいてもよい。モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、アルキル安息香酸類、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸等の芳香族モノカルボン酸、酢酸、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪族モノカルボン酸、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸が挙げられる。モノカルボン酸の含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下とすることが好ましい。
本発明に用いるポリアミドには、必要に応じて、カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等のω−アミノカルボン酸を含んでいてもよい。ラクタム類やアミノカルボン酸の含有量は、原料モノマーの総モル数に対し、5モル%以下とすることが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
本発明に用いるポリアミドの相対粘度は、引張強度の観点から、2.0〜4.0とすることが好ましく、2.3〜3.5とすることがより好ましい。
本発明に用いるポリアミドは、従来から知られている加熱重合法や溶液重合法の方法を用いて製造することができる。工業的に有利である点から、加熱重合法が好ましく用いられる。加熱重合法としては、ジカルボン酸成分と、ジアミン成分とから反応物を得る工程(i)と、得られた反応物を重合する工程(ii)とからなる方法が挙げられる。
工程(i)としては、例えば、ジカルボン酸粉末を予めジアミンの融点以上、かつジカルボン酸の融点以下の温度に加熱し、この温度のジカルボン酸粉末に、ジカルボン酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含有させずに、ジアミンを添加する方法が挙げられる。あるいは、別の方法としては、溶融状態のジアミンと固体のジカルボン酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得た後、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で、ジカルボン酸とジアミンの反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る方法が挙げられる。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。工程(i)としては、反応物の形状の制御が容易な前者の方が好ましい。
工程(ii)としては、例えば、工程(i)で得られた反応物を、最終的に生成するポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、ポリアミドを得る方法が挙げられる。固相重合は、重合温度180〜270℃、反応時間0.5〜10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
ポリアミドの製造において、重合の効率を高めるため重合触媒を用いてもよい。重合触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられる。重合触媒の添加量は、通常、原料モノマーの総モル数に対し、2モル%以下とすることが好ましい。
本発明に用いるポリアミドには、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、顔料・染料等の着色剤、着色防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候性改良剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、強化剤、改質剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、各種ポリマーが挙げられる。
本発明の延伸ポリアミドフィルムは、未延伸ポリアミドフィルムを延伸することにより得られる。延伸は、未延伸ポリアミドフィルムの成膜後に、連続しておこなってもよいし、また、一旦巻き取った未延伸ポリアミドフィルムを巻き出しておこなってもよい。
未延伸ポリアミドフィルムの製造方法は、特に限定されず、ポリアミドをフィルム化する公知の方法を適用することができる。例えば、ポリアミドと各種の添加剤を押出機で溶融混練し、フィルターで濾過し、Tダイを用いてフィルム状に押出し、その後、冷却ロールやスチールベルト等の移動冷却体に接触させて冷却する方法が挙げられる。押出温度は、ポリアミドの融点(Tm)以上350℃以下であることが好ましい。押出温度が350℃を超えると、ポリアミドの分解や熱劣化が促進される場合がある。
未延伸フィルムの延伸方法は、一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸いずれであってもよいが、同時二軸延伸が好ましい。具体的には、ロール式一軸延伸法、テンター式逐次二軸延伸法、テンター式同時二軸延伸法、チューブラー延伸法等の公知の延伸方法が挙げられる。延伸倍率は、使用用途によって異なるが、ロール式一軸延伸法の場合、1.5〜5倍とすることが好ましく、1.8〜3.5倍とすることがより好ましい。テンター式二軸延伸法の場合、巻取方向(MD)は1.5〜10倍、巻取方向と直角の方向(TD)は1.5〜5倍とすることが好ましい。チューブラー延伸法の場合、MDは1.5〜4倍、TDは1.5〜4倍とすることが好ましい。延伸温度は、ガラス転移点(Tg)以上であることが好ましく、Tgを超え(Tg+50℃)以下とすることが好ましい。熱固定温度は、200℃〜(Tm−5℃)とすることが好ましく、240℃〜(Tm−10℃)とすることがより好ましい。例えば、後述する熱収縮率を1.0%以下とするには、熱固定温度を275℃以上とすることが好ましく、280℃以上とすることがより好ましい。熱固定時には、フィルムを把持したまま、必要に応じて1〜10%の弛緩処理をおこなうことが好ましく、3〜8%の弛緩処理をおこなうことがより好ましい。弛緩処理をおこなうことにより、熱収縮率を低減することができる。
本発明の延伸ポリアミドフィルムのTmは、300℃以上であることが必要であり、305℃以上とあることが好ましい。Tmが300℃未満の場合には、耐熱収縮性が低下するので好ましくない。また、前記延伸ポリアミドフィルムのΔHは、40J/g以上であることが好ましく、40〜80J/gであることがより好ましい。
本発明の延伸ポリアミドフィルムは、MD、TDの250℃での熱収縮率を、いずれも1%以下とすることができ、より好ましくは0.5%以下とすることができる。ポリアミドフィルムの製造においては、一般に、同じ延伸倍率の場合、延伸による配向度を小さくし、熱固定温度を高くし、熱固定時の弛緩率を高くした方が、熱収縮率を小さくすることができる。しかしながら、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンのホモポリマーは、延伸時の結晶化速度が速く、結晶化度も高いため、延伸フィルムの配向度が非常に高い。そのため、285℃で熱固定しても十分に配向を緩和することができず、熱収縮率を2%以下とすることができない。しかしながら、本発明の延伸ポリアミドフィルムは、テレフタル酸と1,10−デカンジアミンのほかに、脂肪族ジカルボン酸を特定量共重合したポリアミドを用いることにより、延伸による配向度を小さくすることができる。その結果、275℃以上で熱固定温度することにより熱収縮率を1%以下とすることができる。なお、延伸倍率を低くしても、熱収縮率を下げることができるが、その場合、延伸フィルムの平坦性が低下する場合がある。
本発明の延伸ポリアミドフィルムは、優れた機械的特性、耐熱性、低熱収縮性を有するため、医薬品包装材料、レトルト食品等の食品包装材料、半導体パッケージ用等の電子部品包装材料、モーター、トランス、ケーブル等のための電気絶縁材料、コンデンサ用途等の誘電体材料、カセットテープ、デジタルデータストレージ向けデータ保存用磁気テープ、ビデオテープ等の磁気テープ用材料、太陽電池基板、液晶板、導電性フィルム、表示機器等の保護板、LED実装基板、フレキシブルプリント配線板、フレキシブルフラットケーブル等の電子基板材料、フレキシブルプリント配線用カバーレイフィルム、耐熱マスキング用テープ、工業用工程テープ等の耐熱粘着テープ、耐熱バーコードラベル、耐熱リフレクター、各種離型フィルム耐熱粘着ベースフィルム、写真フィルム、成形用材料、農業用材料、医療用材料、土木、建築用材料、濾過膜用途、家庭用途、産業資材用のフィルムとして、好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.評価方法
実施例および比較例に用いた評価方法は、以下のとおりである。
(1)ポリアミドの相対粘度
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定した。
(2)熱特性(Tm、ΔH)
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7を用い、昇温速度20℃/分で25℃から350℃まで昇温した。得られたDSCチャートにおいて、吸熱ピークのうち最も大きなピークのトップを融点(Tm)、そのピーク面積から換算される熱量を試料の質量で除した値を融解熱量(ΔH)とした。
(3)フィルムの厚み
厚み計(HEIDENHAIN社製、「MT12B」)を用い、フィルムの厚みを測定した。
(4)連続延伸性
実施例、比較例の延伸工程において、30mの未延伸フィルムを、3.3×3.0倍に同時二軸延伸した際の切断状況を以下の基準で判断した。
◎:切断が発生しなかった。
○:切断はしたが、切断しなかった部分が長さ方向(MD)の80%以上であった。
×:切断しなかった部分が長さ方向(MD)の80%未満であった。
(5)フィルムの溶融開始温度
(2)で得られたDSCチャートを微分し、スムージング処理をおこなった。得られたチャートにおいて、最も大きな吸熱ピークである融点のピークが、ベースラインから立ち上がった温度を溶融開始温度とした。
実用上、溶融開始温度は285℃以上であることが好ましい。
(6)フィルムの引張強度
250℃の熱風乾燥機中に5分間静置した前後のフィルムのMDおよびTDについて、JIS K7127に従って測定した。サンプルの大きさは10mm×150mm、チャック間の初期距離は100mm、引張速度は500mm/分とした。
実用上、MD、TDいずれも、200MPa以上であることが好ましい。
(7)フィルムの熱収縮率
実施例、比較例で得られた延伸フィルムについて、JIS K7133に従って、250℃で5分間熱処理をした際のフィルムの収縮率を、MDおよびTDについて、それぞれ測定した。
実用上、MD、TDいずれも、絶対値が3.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。
(8)フィルムの平坦性
実施例、比較例で得られた延伸フィルムについて、以下の基準で評価した。
◎:全く弛みがみられない。
○:弛みはみられるが、伸ばせば弛みが残らない。
×:フィルムに弛みがみられ、伸ばしても弛みが残る。
2.原料
実施例および比較例に用いた原料は、以下のとおりである。
・ポリアミド(A)
ジカルボン酸成分として粉末状のテレフタル酸(TPA)435質量部と、モノカルボン酸として分子量284のステアリン酸(STA)24質量部と、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(SHP)1.6質量部とを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、ジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)499質量部を、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し、さらに、ジカルボン酸成分としてセバシン酸(SEA)40質量部を添加し、反応物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:SEA:DDA:STA=47.6:1.5:49.7:1.3(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:SEA:DDA:STA=47.9:1.5:50.0:0.65)であった。
その後、得られた反応物を、同じ反応装置で、窒素気流下、240℃、回転数30rpmで8時間固相重合し、ポリアミド組成物を得た。
・ポリアミド(B)〜(H)
樹脂組成を表1のように変更する以外は、ポリアミド(A)を製造したときと同様の操作をおこなって、ポリアミド(B)〜(H)を得た。
実施例1
ポリアミド(A)を加熱乾燥し、水分率を200ppm以下とした。
シリンダーが330℃の一軸押出機(スクリュー径50mm)で溶融し、330℃にしたTダイより溶融ポリマーをフィルム状に押出し、フィルム状の溶融物とした。該溶融物を50℃に設定した冷却ロール上に静電印加法により密着させて冷却し、実質的に無配向の未延伸フィルム(平均厚み:250μm)を得た。
得られた未延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら、テンター方式同時二軸延伸機にて、二軸延伸をおこなった。予熱温度は115℃、延伸温度は130℃、MDの延伸歪み速度は1904%/分、TDの延伸歪み速度は3286%/分、MDの延伸倍率は3.0倍、TDの延伸倍率は3.3倍であった。延伸に引き続いて、二軸延伸機の同じテンター内で285℃にて熱固定をおこない、TDに8%のリラックス処理を施し、平均厚み26μmの延伸フィルムを得た。
実施例2〜5、比較例1〜8
未延伸フィルムの樹脂組成、延伸条件を変更する以外は、実施例1と同様に、延伸フィルムを得た。
実施例、比較例の未延伸フィルムの樹脂組成およびその評価、延伸フィルムの延伸条件およびその評価を表2に示す。
実施例1〜5の延伸ポリアミドフィルムは、引張強度、溶融開始温度が高く、熱収縮率の絶対値が小さく、連続生産性、平坦性に優れていた。
比較例1の延伸ポリアミドフィルムは、用いたポリアミドの融点が低く、ジカルボン酸成分においてテレフタル酸の含有量が本発明で規定する範囲よりも低かったため、溶融開始温度が低かった。また、引張強度が低かった。
比較例2の延伸ポリアミドフィルムは、用いたポリアミドのジカルボン酸成分においてテレフタル酸の含有量が本発明で規定する範囲よりも高かったため、連続延伸性、平坦性がともに悪く、熱収縮率の絶対値もMD、TDともに1.0%以上であった。
比較例3の延伸ポリアミドフィルムは、用いたポリアミドのジカルボン酸成分において脂肪族ジアミン成分を用いなかったため、連続延伸性、平坦性がともに悪く、熱収縮率の絶対値もMD、TDともに1.0%以上であった。
比較例4の延伸ポリアミドフィルムは、用いたポリアミドのジカルボン酸成分において脂肪族ジアミン成分を用いなかったため、溶融開始温度が低かった。また、MDの熱収縮率の絶対値が3.0%以上であった。
比較例5の延伸ポリアミドフィルムは、用いたポリアミドのジカルボン酸成分において脂肪族ジアミン成分を用いなかったため、溶融開始温度が低かった。また、平坦性が悪く、MDの熱収縮率の絶対値が2.0%以上であった。
比較例6の延伸ポリアミドフィルムは、用いたポリアミドのジカルボン酸成分においてテレフタル酸の含有量が本発明で規定する範囲よりも高かったため、連続延伸性、平坦性がともに悪く、TDの熱収縮率の絶対値が3.0%以上であった。
比較例7の延伸ポリアミドフィルムは、用いたポリアミドのジカルボン酸成分においてテレフタル酸の含有量が本発明で規定する範囲よりも高かったため、連続延伸性が悪く、MDの熱収縮率の絶対値が3.0%以上であった。
比較例8の延伸ポリアミドフィルムは、用いたポリアミドのジカルボン酸成分においてテレフタル酸の含有量が本発明で規定する範囲よりも高く、ジアミン成分において1,10−デカンジアミンが主成分でなかったため、溶融開始温度が低く、平坦性が悪かった。

Claims (4)

  1. 下記の要件を満たすポリアミドからなることを特徴とする延伸ポリアミドフィルム。
    (i)融点が300℃以上である。
    (ii)ジカルボン酸成分と、1,10−デカンジアミンを主成分とする脂肪族ジアミン成分から構成され、ジカルボン酸成分において、テレフタル酸/脂肪族ジカルボン酸のモル比率が90/10〜97/3(モル比)である。
  2. 脂肪族ジカルボン酸がセバシン酸であることを特徴とする請求項1に記載の延伸ポリアミドフィルム。
  3. JIS K7133に従って、250℃で5分間熱処理をした際のフィルムの収縮率が1.0%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の延伸ポリアミドフィルム。
  4. 示差走査型熱量計を用いて測定される溶融開始温度が285℃以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の延伸ポリアミドフィルム。
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