次に、本発明に係る押釦スイッチの各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る押釦スイッチの縦端面図を示す。なお、本願において、「上」、「上方」あるいは「上側」は、押釦スイッチを押込む方向と逆方向を意味し、「下」、「下方」あるいは「下側」は、押釦スイッチを押込む方向を意味する。また、「径方向外側」は、特定の対象物の平面視にて中心から仮想円を描いたときの仮想円の拡径方向を意味する。「径方向内側」は、上述の仮想円の縮径方向を意味する。さらに、「平面視」とは、押釦スイッチを、キートップ部側から見た状態を意味する。また、「透明」あるいは「透光性」とは、光を透過する性質を意味し、透過する光量の多寡を問わない。したがって、本願では、「透明」あるいは「透光性」を、光を全く透過しない性質(不透明)の反対の意味で用いられる。上記定義は、以後の各実施形態においても同様である。
第1実施形態に係る押釦スイッチ1は、回路基板(基板の一例)11に離間配置されている複数(2個とする)の第1電極12,13と、第1電極12,13と対向かつ離間配置され、回路基板11の方向への押込み操作およびその解除によって回路基板11との間隔を変化させるように往復動可能なキートップ部15と、キートップ部15と回路基板11との間に介在され、頂点を含む所定範囲が開口16となっているドーム部17と、を備えている。ここで、第1電極12,13は、陽極と陰極とを対とする形態であることから、複数個存在していることになる。
キートップ部15は、第1実施形態および後述する他の実施形態においては、円柱形状の構成部材であり、当該キートップ部15の回路基板11側の面(以下、回路基板11側の面を「下面」と表記する場合もある)に、キートップ部15を回路基板11の方向に押込み操作したときに第1電極12,13を電気的に接続可能な第2電極18を有している。より具体的には、キートップ部15は、当該キートップ部15の下面に、ドーム部17の開口16を挿通可能な突出部19をさらに有しており、当該突出部19の下面に第2電極18が設けられている。なお、キートップ部15の形状は、円柱形状に限られるものではなく、例えば、角柱形状でも良い。
突出部19は、第1電極12,13のそれぞれの少なくとも一部を同時に覆うことができる径を持つ円柱形状の構成部材である。なお、突出部19の形状は、円柱形状に限られるものではなく、例えば、角柱形状でも良い。突出部19は、第1実施形態においては、キートップ部15と一体成型によって形成されているが、キートップ部15とは別部品として形成され、キートップ部15に接着されてもよい。このことは、後述の各実施形態のうち、突出部19が存在する各実施形態においても同様である。
第1電極12,13は、平面視形状が長方形または正方形などの角型の2枚のプレートが離間配置されている形態、平面視形状が円弧を描く2枚のプレートが円弧の凹部が対向するように離間配置されている形態、さらには、略円環形状の外側電極と当該外側電極の内側に離間配置される略円形状の内側電極とからなる形態、2つの櫛歯が互いに非接触状態で噛み合っている形態、2つの半月状のものが水平線部分を互いに向き合わせて非接触状態にある形態などの種々の形態のものを用いることができる。
ところで、キートップ部15は、操作部20の構成要素の1つであり、当該操作部20は、キートップ部15の他に、回路基板11に保持される保持部21と、保持部21とキートップ部15とを連結して、キートップ部15の押込み操作を可能にさせる連結部22とを備える。
操作部20を構成するキートップ部15、保持部21および連結部22は、この実施形態および後述する他の実施形態においては、ゴム状弾性体によって一体成型されたものとなっている。ゴム状弾性体としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー;ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を例示できるが、特に、シリコーンゴムが好ましい。
なお、少なくとも連結部22をゴム状弾性体にて構成している限り、この実施形態および後述する他の実施形態の変形例として、連結部22以外の操作部20の部位(キートップ部15および保持部21)を樹脂、ガラス、セラミックス等のゴム以外の材料にて構成することも可能である。
連結部22は、キートップ部15の外周縁と保持部21とを連結する部分であって、キートップ部15および保持部21よりも薄肉にて形成される。このため、キートップ部15を押込み操作したときに、当該連結部22が変形し、この結果、キートップ部15は、ドーム部17を押圧する。また、キートップ部15の押込み操作を解除すると、連結部22が元の形状に戻り、この結果、キートップ部15は、ドーム部17を押圧しない状態に戻る。
次に、ドーム部17について詳細に説明する。ドーム部17は、当該ドーム部17の内側凹面が回路基板11に対向し、かつ、当該ドーム部17を平面視したときに、開口16となっている側の開口側縁部17aが第1電極12,13を包囲するように配置されている。そして、キートップ部15が回路基板11の方向に押込み操作されたときには、回路基板11の方向への押圧を受けて、第1電極12,13と非接触状態を維持しつつ座屈変形する。
ドーム部17は、平面視形状が円環状をなす鍔状プレート23を介して保持部21に取り付けられている。具体的には、鍔状プレート23は、保持部21と連結部22との略境界部から回路基板11の面に平行に第1電極12,13に向かって延出するように設けられており、当該鍔状プレート23の延出方向先端部にはドーム部17の下端側縁部17bに繋がっている。
また、鍔状プレート23の延出方向先端部と回路基板11との間には脚部24が設けられている。このため、ドーム部17は、その下端側縁部17bが回路基板11に対して脚部24の高さの分だけ離間した位置となっている。この脚部24は、キートップ部15が押込み操作されたときに、キートップ部15の押圧を受けてドーム部17が座屈変形するまでの距離(ストローク)を確保するためのものであり、当該脚部24が存在することによってドーム部17のストロークをより大きく確保できる。なお、図1を含む各図においては、脚部24の高さは誇張して描かれている。また、ドーム部17、鍔状プレート23および脚部24は同じ材料により一体成型されたもの、あるいはドーム部17、鍔状プレート23および脚部24の内の少なくとも2以上を接続したものであってもよい。
このように配置されているドーム部17は、キートップ部15が押込み操作されたときに、第1電極12,13と非接触状態を維持しつつ、キートップ部15の回路基板11方向への押圧を受けて座屈変形するものである。具体的には、キートップ部15が押込み操作されると、キートップ部15の突出部19がドーム部17の開口16を挿通し、キートップ部15の下面(この場合は、突出部19との付け根部付近の面)がドーム部17の開口側縁部17aに当接し、キートップ部15がさらに押し込まれると、キートップ部15の押圧を受けて、ドーム部17は座屈変形する。
ここで、ドーム部17は、第1電極12,13を電気的に接続(以下、「電気的に接続」を「導通」と表記する場合もある)させる可動電極としての役目は果たさず、屈座変形することによって操作者にクリック感を与える役目のみを果たすものである。このため、ドーム部17は必ずしも導電部材である必要はなく、バネ性を有する部材であれば非導電部材であってもよいが、この実施形態および後述する他の実施形態においては、ドーム部17を、バネ性を有する金属製のドーム(メタルドーム)の例として説明する。このように、ドーム部17を導電部材で構成する場合には、回路基板11に設けられている回路や電子部品などに対して電気的に非接触となるように配置する必要がある。
続いて、押釦スイッチ1を操作者が押込み操作したときの各部の動作について説明する。図2は、第1実施形態に係る押釦スイッチ1を操作者が押込み操作したときの各部の動作を示す。図2(a)は操作者が押込み操作を行う前の状態であり、この状態を初期状態とする。この初期状態から操作者がキートップ部15を押込み操作すると(すなわち、白抜き矢印の方向に押す操作を行うと)、図2(b)に示すように、連結部22が弾性変形し始めるとともに、突出部19がドーム部17の開口16を挿通して行く。
図2(b)の状態からさらにキートップ部15が押込み操作されると、図2(c)に示すように、連結部22の弾性変形の度合いが大きくなるとともに、キートップ部15の下面(突出部19との付け根部付近の面)がドーム部17の開口側縁部17aに当接し、ドーム部17を押圧し始める。
図2(c)の状態からさらにキートップ部15が押込み操作されると、図2(d)に示すように、連結部22の弾性変形の度合いがさらに大きくなるとともに、ドーム部17がキートップ部15からの押圧を受けて、その押圧に抗しながら変形して行く。なお、この段階では、突出部19に設けられている第2電極18は、第1電極12,13とは離間した位置にあり、当該第1電極12,13と非接触状態となっている。
図2(d)の状態からさらにキートップ部15が押込み操作されると、図2(e)に示すように、ドーム部17は座屈変形して、突出部19に設けられている第2電極18は、第1電極12,13に接触し、当該第1電極12,13は導通し、当該押釦スイッチ1は「オン」状態となる。押釦スイッチ1が「オン」状態となると、ここでは図示されない何らかの動作部が所定の動作を行う。なお、キートップ部15の押込み操作が解除されると、弾性変形していた連結部22は復元力が働いて、キートップ部15は初期状態の位置に復帰する。
図2に示すように、押釦スイッチ1においては、ドーム部17は、第1電極12,13を導通させる可動電極としての役目は果たさず、屈座変形することによって操作者にクリック感を与える役目のみを果たすものである。このため、図15により説明した従来の押釦スイッチ(第1〜第4押釦スイッチ100A〜100D)が有する課題を解消することができる。すなわち、押釦スイッチ1によれば、キートップ部15を押込み操作したときに、操作不良や接触不良の発生を防止できる。また、押釦スイッチ1の組み立て時においては、キートップ部15とドーム部17とを高精度に位置合わせする必要が無い。この結果、組み立て工程の簡易化を図ることができ、それによって、組み立て効率の向上を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る押釦スイッチについて説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、同一の文言および/または符号を付し、その説明を第1実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
図3は、第2実施形態に係る押釦スイッチの縦端面図を示す。図4は、第2実施形態に係る押釦スイッチの変形例の縦端面図を示す。
図3の押釦スイッチ1aは、第1実施形態に係る押釦スイッチ1(図1参照)と比べて、回路基板11に発光素子31を設けるとともに、キートップ部15が透光性を有している点が異なる以外は、第1実施形態に係る押釦スイッチ1と同一構成を有する。なお、図3の押釦スイッチ1aを押込み操作したときの各部の動作は、第1実施形態に係る押釦スイッチ1と同様である。このため、押釦スイッチ1aを押込み操作したときの各部の動作を説明する必要がある場合には、図2を参照して説明する。
押釦スイッチ1aは、図3に示すように、回路基板11に発光素子31が設けられている。具体的には、第1電極12,13間(第1電極12と第2電極13との間)に発光素子31(LEDとする)が設けられている。発光素子31は回路基板11に取り付けられており、第1電極12,13が導通(押釦スイッチ1aがオン)すると、発光するようになっている。なお、発光素子31は、LED以外にも、例えば、フィラメント発熱型の電球、有機EL、無機ELなどを用いてもよい。
このように、回路基板11に発光素子(LEDとする)が設けられていることから、第2電極18には、当該発光素子31が発する光を通過可能とするために、発光素子31に対向する箇所に光通過部としての貫通孔18aが形成されている。また、キートップ部15は、透光性を有する材料(例えば透明度の高いシリコーンゴム)で形成されている。なお、押釦スイッチ1aにおいては、操作部20全体が透光性を有する材料で形成されているものとする。
このように構成されている押釦スイッチ1aは、キートップ部15が押込み操作されて図2(e)の状態となると、第1電極12,13が導通するとともに発光素子31が発光する。発光素子31が発光すると、当該発光素子31が発した光は、第2電極18に形成されている貫通孔18aを通過し、さらに、透光性を有する材料で形成されているキートップ部15を透過する。これにより、操作者は押釦スイッチ1aがオンしたことがわかり、押込み操作が正しく行われたということを認識できる。
なお、発光素子31は、押釦スイッチ1aの用途によって、例えば,R(赤)、G(緑)、B(青)などの色を発光可能な発光素子のうちのいずれかを選択して用いることができる。また、キートップ部15は、透光性を損なうことがなければ、押釦スイッチ1aの用途に応じて任意の色に着色してもよい。
以上説明したように、押釦スイッチ1aは、当該当該押釦スイッチ1aがオンすると、発光素子31が発光して、発光素子31が発した光が第2電極18を通過し、さらに、キートップ部15を透過して外部に発せられる。このため、押釦スイッチ1aによれば、第1実施形態に係る押釦スイッチ1が有する効果に加えて、押釦スイッチ1aがオンとなったことを操作者に示すことができるとともに、操作者は、キートップ部15の押込み操作が正しく行われたということを認識できるという効果も得られる。なお、発光素子31の発光のタイミングは、第1電極12,13と第2電極18との接続時と異なっていても良い。
続いて、押釦スイッチ1aの変形例である押釦スイッチ1bについて説明する。図4に示す押釦スイッチ1bは、先に説明した押釦スイッチ1aと比べて、キートップ部15に光拡散物質を含む点が押釦スイッチ1aと異なる以外は、押釦スイッチ1aと同一の構成を有する。なお、押釦スイッチ1bにおいては、キートップ部15だけではなく、操作部20全体に光拡散物質が含まれているものとする。なお、図4においては、操作部20全体が灰色で示されているが、これは、光拡散物質が含まれていることを示すものである。光拡散効果の発現は、平行線透過率を低下させヘーズ(くもり価)を増加させるように顔料等を添加する手法が簡易で好適である。好適な光拡散物質としては、酸化チタン系の顔料(例:石原産業株式会社製 A−100)や酸化チタン系顔料を主とする着色材(例:信越化学工業株式会社製 KE−COLOR−W−2)、あるいは炭酸カルシウム(例:シプロ化成株式会社製 シプロンB)、シリカ(例:エボニック ジャパン株式会社 ACEMATT OK412)などを例示できる。
押釦スイッチ1bは、キートップ部15に光拡散物質が含まれているため、第1電極12,13が導通(当該押釦スイッチ1bがオン)して発光素子31が発光すると、発光素子31が発した光は第2電極18の貫通孔18aを通過し、さらに、キートップ部15内で拡散して外部に発せられる。このため、押釦スイッチ1bによれば、先に説明した押釦スイッチ1aと同様に、押釦スイッチ1bがオン状態となったことを操作者に視認させることができることは勿論、押釦スイッチ1bは、キートップ部15全体が発光しているかのように見えるため、操作者は、キートップ部15の押込み操作が正しく行われたということをより認識し易くなるという効果も得られる。なお、光拡散物質は、キートップ部15のみに含まれ、連結部22および/または保持部21に含まれていなくとも良い。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る押釦スイッチについて説明する。なお、第3実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同一の文言および/または符号を付し、その説明を前述の各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
図5は、第3実施形態に係る押釦スイッチの縦端面図を示す。図6は、第3実施形態に係る押釦スイッチの変形例の縦端面図を示す。
図5の押釦スイッチ1cは、第1実施形態に係る押釦スイッチ1(図1参照)と比べて、キートップ部15の下面において少なくともドーム部17の開口側縁部17aが接触する箇所に、当該キートップ部15よりも硬度の高い部材が当該キートップ部15の下面を保護するための第1保護部材41として設けられている点が異なる以外は、第1実施形態と同一の構成を有する。なお、押釦スイッチ1cの基本的な構成としては、第1実施形態に係る押釦スイッチ1を例示するが、他の実施形態に係る押釦スイッチの構成であってもよい。また、押釦スイッチ1cを押込み操作したときの各部の動作は、第1実施形態に係る押釦スイッチ1と同様である。このため、押釦スイッチ1cを押込み操作したときの各部の動作を説明する必要がある場合には、図2を参照して説明する。
図5の押釦スイッチ1cにおいては、第1保護部材41は、キートップ部15の下面の径方向の縁部付近を除く略全面に設けられている。また、押釦スイッチ1cにおいては、突出部19は、第1保護部材41に一体形成されているものとする。このような第1保護部材41をキートップ部15の下面に設けたのは、次のような理由によるものである。
すなわち、各実施形態において用いているドーム部17がメタルドームである場合には、当該ドーム部17は金属板をプレスによる打ち抜き加工することによって形成されることが一般的である。このため、開口側縁部17aは鋭利なものとなっていることも多く、当該ドーム部17を組み込んだ押釦スイッチにおいては、キートップ部15の押込み操作が繰り返し行われると、ドーム部17の開口側縁部17aによって、キートップ部15の下面のうち、ドーム部17の鋭利な開口側縁部17aに接触する箇所が削れたり摩耗したりして、キートップ部15の下面が損傷し易くなる。
このような理由から、キートップ部15の下面には、当該キートップ部15の下面を保護するための第1保護部材41が設けられていることが好ましい。なお、ドーム部17が金属ではなく、バネ性を有する樹脂などで作られている場合であっても、開口側縁部17aは鋭利なものとなり易く、かつ、キートップ部15よりは高い硬度を有するため、ドーム部17がメタルドームである場合とほぼ同様の課題が生じ易い。このため、ドーム部17が樹脂などで作られている場合あっても、キートップ部15の下面には、第1保護部材41が設けられていることが好ましい。
キートップ部15に第1保護部材41を設ける方法は、特に限定されるものではないが、例えば、キートップ部15の径よりもやや小径で、かつ、キートップ部15の上下方向の高さよりも十分小さい深さを有する円形孔を、その中心軸がキートップ部15の中心軸と同軸となるように形成して、当該円形孔に別部品として製造した当該第1保護部材41を埋設する方法、キートップ部15を製造するための金型に、別部品として製造した第1保護部材41をインサートして成型する方法、または、別部品として製造した第1保護部材41をキートップ部15の下面に接着剤などにより接着する方法などを例示できる。かかる第1保護部材41としては、キートップ部15がシリコーンゴムにて構成されている場合には、シリコーンゴムより高硬度のPC、PET、ABS等の樹脂製の板状部材を好適に例示できる。
なお、押釦スイッチ1cにおいては、突出部19は第1保護部材41に一体形成されている場合を例示しているが、突出部19を第1保護部材41とは別体として形成して、当該突出部19を第1保護部材41の下面(回路基板11に対向する側の面)に接着するようにしてもよい。
このように構成されている押釦スイッチ1cは、キートップ部15がドーム部17を押圧する際には、第1保護部材41がドーム部17の開口側縁部17aに当接した状態でドーム部17を押圧することとなり、ドーム部17の開口側縁部17aがキートップ部15の下面に直接的に接触することがない。これにより、キートップ部15の押込み操作が繰り返し行われても、キートップ部15の下面が削れたり摩耗したりすることを防止でき、それによって、キートップ部15の下面を保護することができる。
また、押釦スイッチ1cは、キートップ部15がドーム部17を押圧する際には、キートップ部15よりも高い硬度を有する部材(保護部材)41がドーム部17の開口側縁部17aに当接した状態でドーム部17を押圧するため、ドーム部17を押圧している感触が操作者の指先に伝わり易くなる。これにより、操作者は、キートップ部15を確実に操作したという感触を得やすくなるといった効果も得られる。
押釦スイッチ1cの変形例である押釦スイッチ1dについて説明する。図6の押釦スイッチ1dは、先に説明した押釦スイッチ1c(図5参照)と比べて、キートップ部15の下面における一部の領域(ドーム部17の開口側縁部17aと接触する領域とする)のみに第1保護部材42を設けた点が押釦スイッチ1cと異なる以外は、押釦スイッチ1cと同一の構成を有する。第1保護部材42は、押釦スイッチ1cと同様、キートップ部15よりも硬度の高い材料(例えば、第1保護部材41と同様の樹脂)からなる。図6の押釦スイッチ1dにおいても、押釦スイッチ1cと同様の効果が得られる。
キートップ部15に第1保護部材42を設ける方法も、キートップ部15に第1保護部材41を設ける場合と同様、特に限定されるものではないが、例えば、キートップ部15の下面における一部の領域(ドーム部17の開口側縁部17aと接触する領域)に凹部を形成して、当該凹部に別部品として製造した第1保護部材42を埋設する方法、キートップ部15を製造するための金型に、別部品として製造した第1保護部材42をインサートして成型する方法、または、別部品として製造した第1保護部材42をキートップ部15の下面に接着剤などにより接着する方法などを例示できる。なお、図6の押釦スイッチ1dにおいては、キートップ部15の下面に第1保護部材42を接着した場合が例示されている。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る押釦スイッチについて説明する。なお、第4実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同一の文言および/または符号を付し、その説明を前述の各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
図7は、第4実施形態に係る押釦スイッチの縦端面図を示す。図7の押釦スイッチ1eは、先に説明した押釦スイッチ1c(図5参照)および押釦スイッチ1d(図6参照)と比べて、キートップ部15の下面を保護するための部材がキートップ部15の下面を保護するための第2保護部材43としてドーム部17の側に設けられている以外は、同一の構成を有する。なお、押釦スイッチ1eを押込み操作したときの各部の動作は、第1実施形態に係る押釦スイッチ1と同様である。このため、押釦スイッチ1eを押込み操作したときの各部の動作を説明する必要がある場合には、図2を参照して説明する。
図7の押釦スイッチ1eは、キートップ部15の下面を保護するための第2保護部材43がドーム部17の側に設けられている。第2保護部材43は、ドーム部17よりも硬度の低い材料(例えば、ゴムやウレタン樹脂など)でなり、これらの材料がドーム部17の表面にコーティングされたものとなっている。また、第2保護部材43は、ドーム部17よりも硬度の低い材料であるか否かを問わず、キートップ部15よりも硬度の低い材料からなるものでも良い。なお、第2保護部材43は、ドーム部17の凸側表面全体に設けるようにしてもよいが、ドーム部17において少なくともキートップ部15の下面に接触する箇所に設けるようにすればよい。押釦スイッチ1eにおいては、図7に示すように、ドーム部17において開口側縁部17aを含む一部の領域(この場合は、キートップ部15の下面に接触する領域とする)のみに第2保護部材43を設ける形態が例示されている。
このように構成されている押釦スイッチ1eは、キートップ部15がドーム部17を押圧する際は、ドーム部17に設けられている保護部材43がキートップ部15の下面に接触することとなるため、ドーム部17の鋭利な開口側縁部17aがキートップ部15の下面に直接的に接触することがない。これにより、押釦スイッチ1c,1dと同様に、キートップ部15の下面を保護することができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る押釦スイッチについて説明する。なお、第5実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同一の文言および/または符号を付し、その説明を前述の各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
図8は、第5実施形態に係る押釦スイッチの縦端面図(8A)および図8(8A)における破線枠A内の拡大端面図(8B)をそれぞれ示す。図8の押釦スイッチ1fは、「キートップ部15の下面を保護する」という点では先に説明した押釦スイッチ1c,1d,1e(図5、図6及び図7参照)と同様である。但し、先に説明した押釦スイッチ1c,1dまたは押釦スイッチ1eにおいては、それぞれ第1保護部材41,42または第2保護部材43をキートップ部15またはドーム部17に設けるようにしているが、押釦スイッチ1fにおいては、ドーム部17の開口側縁部17aに曲面部44が形成されている点が、先に説明した押釦スイッチ1c,1d,1eと異なり、それ以外は同一の構成を有する。なお、押釦スイッチ1fを押込み操作したときの各部の動作は、第1実施形態に係る押釦スイッチ1と同様である。このため、押釦スイッチ1fを押込み操作したときの各部の動作を説明する必要がある場合には、図2を参照して説明する。
図8の押釦スイッチ1fにおいては、ドーム部17は、当該ドーム部17の開口側縁部17aに曲面部44が形成されている。このように、押釦スイッチ1fは、ドーム部17の開口側縁部17aに曲面部44が形成されていることによって、キートップ部15がドーム部17を押圧する際は、ドーム部17の開口側縁部17aに形成されている曲面部44がキートップ部15の下面に接触することとなる。これにより、鋭利な開口側縁部17aの接触を回避でき、押釦スイッチ1c,1d,1eと同様に、キートップ部15の下面を保護することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る押釦スイッチについて説明する。なお、第6実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同一の文言および/または符号を付し、その説明を前述の各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
図9は、第6実施形態に係る押釦スイッチの縦端面図を示す。図9の押釦スイッチ1gは、先に説明した第1実施形態に係る押釦スイッチ1(図1参照)と比べて、キートップ部15の下面に設けられている突出部19が存在せずに、第1電極12,13は、回路基板11からキートップ部15の方向の高さが、ドーム部17が座屈変形したときの当該ドーム部17の回路板11からキートップ部15の方向の高さよりも高くなるように設定されている点とが先に説明した第1実施形態に係る押釦スイッチ1と異なる以外は、先に説明した第1実施形態に係る押釦スイッチ1と同一の構成を有する。なお、押釦スイッチ1gの基本的な構成としては、第1実施形態に係る押釦スイッチ1を例示するが、他の実施形態に係る押釦スイッチの構成であってもよい。また、押釦スイッチ1gを押込み操作したときの各部の動作は、第1実施形態に係る押釦スイッチ1と同様である。このため、押釦スイッチ1gを押込み操作したときの各部の動作を説明する必要がある場合には、図2を参照して説明する。
図9の押釦スイッチ1gについて具体的に説明する。図9の押釦スイッチ1gにおいては、第2電極18は、キートップ部15の下面に接着剤又は両面接着テープなどの接着手段51によって接着することによってキートップ部15の下面に設けるようにしている。なお、キートップ部15に第2電極18を設ける方法は、上述の接着手段51による方法以外にも、例えば、キートップ部15の下面にカーボンなどの導電性部材を塗布する方法や、導電エラストマーなどをキートップ部15の製造用の金型にインサートして一体成型する方法などを例示できる。また、押釦スイッチ1gにおいては、第2電極18は、キートップ部15の下面に、好ましくは、当該下面と略同一平面となるように設けられているが、図9において、第2電極18の厚みおよび接着手段51の厚みなどは誇張して描かれている。第2電極18は、好ましくは、キートップ部15の下面と平行な面となるように当該下面に固定できる。
また、第2電極18は、キートップ部15が押し込み操作されたときに、ドーム部17を押圧して当該ドーム部17を座屈変形させることができる大きさを有している。例えば、第2電極18を円形状とした場合には、当該第2電極18は、ドーム部17の開口16の径よりも大径の円形状とすることにより、キートップ部が押し込み操作されたときに、ドーム部17を押圧して当該ドーム部17を座屈変形させることができる。この点において、第6実施形態は、第1〜第5実施形態と異なる。
一方、第1電極12,13は、回路基板11からキートップ部15の方向の高さh1が、ドーム部17が座屈変形したときの当該ドーム部17の回路基板11からキートップ部15の方向の高さh2(すなわち、ドーム部17における下端側縁部17bの回路基板11からキートップ部15の方向の高さh2)よりも高くなるように設定されている(h1>h2)。これにより、ドーム部17が座屈変形したときに、第2電極18が第1電極12.13に確実に接触し、それによって、第1電極12,13を導通させることができる。なお、説明の簡略化のため、第1電極12,13の回路基板11からキートップ部15の方向の高さh1を「第1電極12,13の高さh1」とし、ドーム部17が座屈変形したときの当該ドーム部17の回路基板11からキートップ部15の方向の高さh2を「ドーム部17が座屈変形したときの高さh2」として説明する。
なお、前述したように、各実施形態を説明するための各図において、ドーム部17の下端側縁部17bと回路基板11との間に介在されている脚部24は、その高さが誇張して描かれているため、図19および下記に説明する図10においては、第1電極12,13の回路基板11からの高さが誇張して描かれている。
図10は、第6実施形態に係る押釦スイッチ1gを操作者が押込み操作したときの状態を示す。なお、図10は図2(e)の状態に対応している。
押釦スイッチ1gが押し込み操作されると、図10に示すように、キートップ部15の下面に設けられている第2電極18がドーム部17を押圧して、ドーム部17が座屈変形する。ここで、押釦スイッチ1gにおいては、第1電極12,13の高さh1と、ドーム部17が座屈変形したときの高さh2とが、h1>h2に設定されている。このため、ドーム部17が座屈変形すると、ドーム部17の高さh2が、第1電極12,13の高さh1よりも低い位置となる。これにより、第2電極18は第1電極12,13に接触して、当該第1電極12,13を導通させることができる。
なお、押釦スイッチ1gにおいては、第2電極18は、ドーム部17の開口16の径よりも大径となるようにしたが、第2電極18は、第1電極12,13を導通させることができる大きさを有していればよい。すなわち、第2電極18は、第1電極12.13を導通させることができる大きさとすれば、ドーム部17の開口16を挿通可能な径(ドーム部17の開口16の径よりも小径)であってもよい。
このように、第2電極18がドーム部17の開口16を挿通可能な径(ドーム部17の開口16の径よりも小径)とした場合には、キートップ部15が押込み操作されたときには、第2電極18はドーム部17の開口16を挿通し、キートップ部15の下面がドーム部17を押圧して、ドーム部17を座屈変形させることとなる。この場合も、第1電極12,13の高さh1と、ドーム部17が座屈変形したときの高さh2とが、h1>h2に設定されていることによって、第2電極18は第1電極12,13に接触して、当該第1電極12,13を導通させることができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態に係る押釦スイッチについて説明する。なお、第7実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同一の文言および/または符号を付し、その説明を前述の各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
図11は、第7実施形態に係る押釦スイッチの縦端面図(11A)およびキートップ部を平面視したときの平面図(11B)をそれぞれ示す。図12は、第7実施形態に係る押釦スイッチの変形例を示す。
図11の押釦スイッチ1hは、先に説明した第1実施形態に係る押釦スイッチ1と比べて、キートップ部15の上面(下面と反対側の面)に、当該キートップ部15と同一若しくはそれ以下の硬度を有する第1突起部71が設けられている点が異なる以外は、第1実施形態に係る押釦スイッチ1と同一構成を有する。なお、押釦スイッチ1hの基本的な構成としては、第1実施形態に係る押釦スイッチ1を例示するが、他の実施形態に係る押釦スイッチの構成であってもよい。また、押釦スイッチ1hを押込み操作したときの各部の動作は、第1実施形態に係る押釦スイッチ1と同様である。このため、押釦スイッチ1hを押込み操作したときの各部の動作を説明する必要がある場合に際には、図2を参照して説明する。
図11の押釦スイッチ1hにおいては、第1突起部71は平面視形状が円環状をなし、キートップ部15と一体成型によって形成されている場合が例示されている。しかし、第1突起部71をキートップ部15とは別に製造して、キートップ部15の上面に接着などにより後付けしてもよい。さらに、第1突起部71をキートップ部15よりも硬度の低い材料で形成してもよい。
第1突起部71は、操作者がキートップ部15を押込み操作する際に、第1突起部71を押込み操作することにより、操作者に押し込み量(ストローク)をより多く感じさせる役目を果たすものである。なお、第1突起部71の突出方向(上下方向)の高さは、特に限定されるものではなく、当該押釦スイッチ1hのサイズなどに応じて適宜最適な高さに設定される。このような第1突起部71をキートップ部15の上面に設けることにより、ストロークが小さい押釦スイッチにおいても、操作者にストロークをより多く感じさせることができる。すなわち、第1突起部71を備えることにより、操作者がキートップ部15を押込み操作したときに、キートップ部15を十分に押し込んだという操作感を操作者に与えることができる。
すなわち、操作者がキートップ部15を押込み操作する際に、第1突起部71の上からキートップ部15を押込み操作すると、第1突起部71が潰れる動作とキートップ部15が沈み込む動作の両動作が行われる。このため、キートップ部15の押圧によってドーム部17が座屈変形して、第2電極18が第1電極12,13に接触するまでの間のストロークが操作者には長く感じることとなる。これにより、ストロークが例えば数mm以下の短ストロークの押釦スイッチであっても、キートップ部15を十分に押し込んだという操作感を操作者に与えることができる。
続いて、押釦スイッチ1hの変形例である押釦スイッチ1iについて説明する。図12の押釦スイッチ1iは、先に説明した押釦スイッチ1hに比べて、キートップ部15の下面に第2突起部72が設けられている点以外、同一構成を有する。具体的には、第2突起部72は、キートップ部15の下面で、かつ、ドーム部17の開口側縁部17aを押圧可能な位置に配置されている。なお、第2突起部72の平面視形状は、押釦スイッチ1hに設けられている第1突起部71と同様に円環状とする。また、第2突起部72の突出方向(上下方向)高さは、特に限定されるものではなく、当該押釦スイッチ1iのサイズなどに応じて適宜最適な高さに設定される。
図12に押釦スイッチ1iに設けられている第2突起部72も、図11の押釦スイッチ1hに設けられている第1突起部71と同様に、操作者がキートップ部15を押込み操作する際に、第2突起部72を押込み操作することにより、操作者に押し込み量(ストローク)をより多く感じさせる役目を果たすものである。このような第2突起部72をキートップ部15の下面に設けることにより、ストロークが小さい押釦スイッチにおいても、操作者にストロークをより多く感じさせることができる。
なお、押釦スイッチ1hおよび押釦スイッチ1iにおいては、第1突起部71および第2突起部72は、平面視形状が円環状とした場合を例示したが、これに限られるものではなく、種々の変形実施が可能である。また、第1突起部71および第2突起部72を、それぞれ、キートップ部15の上面および下面に設けても良い。
図13は、図11に示す第1突起部71の第1変形例(13A)および第2変形例(図13B)を示す。なお、図13は、キートップ部15のみを取り出して平面視した図である。第1突起部71の第1変形例(13A)は、複数個(例えば3個)の円筒状の第1突起部71を仮想的な正三角形の頂点となる位置に配置した場合であり、第1突起部71の第2変形例(13B)は、略半円に相当する円弧状の2つの第1突起部71を対向配置した場合である。第1突起部71を第1変形例および第2変形例としても、第1突起部71を円環状とした場合(11B)と同様の効果が得られる。なお、図13においては、図11に示す第1突起部71の変形例を例示したが、第2突起部72においても同様の変形例を例示できる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態に係る押釦スイッチについて説明する。なお、第8実施形態において、前述の各実施形態と共通する構成については、同一の文言および/または符号を付し、その説明を前述の各実施形態における説明に代え、重複した説明を省略する。
図14は、第8実施形態に係る押釦スイッチの縦端面図を示す。第8実施形態に係る押釦スイッチ1jは、先に説明した第1実施形態に係る押釦スイッチ1と比べて、ドーム部17が鍔状プレート23を介さないで操作部20の保持部21に取り付けられている点以外、同一の構成を有する。具体的には、図14に示すように、ドーム部17は、当該ドーム部17の下端側縁部17bが操作部20の保持部21に直接取り付けられている。なお、ドーム部17の下端側縁部17bと回路基板11との間には、ストローク確保のための脚部24が介在されている点は先に説明した押釦スイッチ1と同様である。
このように構成された押釦スイッチ1jは、ドーム部17を支持するための鍔状プレート23が存在しない。このため、ドーム部17のサイズを前述の各実施形態と同じとした場合には、鍔状プレート23が存在しない分だけ操作部20のサイズ(外径)を小型化できる。また、操作部20のサイズを前述の各実施形態と同じとした場合には、鍔状プレート23が存在しない分だけドーム部17のサイズを大きくすることができ、それによって、ストロークをより大きく取ることができる。
(各実施形態の作用・効果)
以上のように、本発明の各実施形態に係る押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)においては、回路基板11に離間配置されている第1電極12,13と、第1電極12,13と対向かつ離間配置され、回路基板11の方向への押込み操作およびその解除によって回路基板11との間隔を変化させるように往復動可能なキートップ部15と、キートップ部15と回路基板11との間に介在され、頂点を含む所定範囲が開口16となっているドーム部17と、を備え、キートップ部15は、下面(回路基板11側の面)に、キートップ部15が回路基板11の方向に押込み操作されたときに第1電極12,13間を電気的に接続可能な第2電極18を有し、ドーム部17は、当該ドーム部17の内側凹面が回路基板11に対向し、かつ、当該ドーム部17をキートップ部15側から平面視したときに開口側縁部17aが第1電極12,13を包囲するように配置されており、ドーム部17は、キートップ部15が回路基板11の方向に押込み操作されたときに、回路基板11の方向への押圧を受けて、第1電極12,13と非接触状態を維持しつつ座屈変形するように構成されている。押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)がこのように構成されていることによって、ドーム部17は、第1電極12,13を導通させる可動電極としての役目は果たさず、屈座変形することによって操作者にクリック感を与える役目のみを果たすものとなる。このため、押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)によれば、キートップ部15を押込み操作したときに、操作不良や接触不良の発生を防止できる。また、押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)の組み立て時においては、キートップ部15とドーム部17とを高精度に位置合わせする必要が無い。この結果、組み立て工程の簡易化を図ることができ、それによって、組み立て効率の向上を図ることができる。
また、本発明の各実施形態に係る押釦スイッチ1(あるいは1a〜1fおよび1h〜1j)においては、キートップ部15は、下面(回路基板11側の面)に開口16を挿通可能な突出部19をさらに有し、当該突出部19の下面には第2電極18が設けられ、回路基板11の方向に押込み操作されたときに、突出部19がドーム部17の開口16を挿通し、ドーム部17は、キートップ部15が回路基板11の方向に押込み操作されたときに、開口側縁部17aにキートップ部15の下面(回路基板11側の面)が当接し、当該キートップ部15の回路基板11の方向への押圧を受けて座屈変形するように構成することができる。押釦スイッチ1(あるいは1a〜1fおよび1h〜1j)がこのように構成されていることによって、第1電極12,13を導通させる役目は、突出部19に設けられている第2電極18が行うため、ドーム部17は、第1電極12,13を導通させる可動電極としての役目は果たさず、屈座変形することによって操作者にクリック感を与える役目のみを果たすものとすることができる。
また、本発明の実施形態に係る押釦スイッチ1gにおいては、キートップ部15は、好ましくは下面(回路基板11側の面)に当該下面と略同一平面となるように第2電極18を備えている。第1電極12,13の高さh1は、ドーム部17が座屈変形したときの高さh2よりも高くなるように設定されている。ドーム部17は、キートップ部15が回路基板11の方向に押込み操作されたときに、当該ドーム部17の開口側縁部17aに、第2電極18またはキートップ部15の下面が当接し、回路基板11の方向への押圧を受けて座屈変形するように構成することができる。このような構成によっても、第1電極12,13を導通させる役目は、キートップ部15の下面に設けられている第2電極18が行うため、ドーム部17は、第1電極12,13を導通させる可動電極としての役目は果たさず、屈座変形によるクリック感を操作者に与える役目のみを果たすものとすることができる。
また、本発明の各実施形態に係る押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)においては、回路基板11には発光素子31が設けられ、キートップ部15は、透光部材からなるとともに、第2電極18には、発光素子31が発する光を通過可能とする光通過部(貫通孔18a)が形成されている構成であってもよい。押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)がこのように構成されていることによって、押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)がオンすると、発光素子31が発光して、発光素子31が発した光が第2電極18を通過し、さらに、キートップ部15を透過して外部に発せられる。このため、押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)によれば、押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)がオン状態となったことを操作者に示すことができるとともに、操作者は、キートップ部15の押込み操作が正しく行われたということを認識できるという効果も得られる。
また、キートップ部15には、光拡散物質が含まれていてもよい。このような構成によって、発光素子31が発した光は、キートップ部15内で拡散(乱反射)して外部に発せられ、キートップ部15全体が発光しているかのようにみえるため、操作者は、キートップ部15の押込み操作が正しく行われたということをより認識し易くなる。
また、本発明の各実施形態に係る押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)においては、キートップ部15は、当該キートップ部15の下面(回路基板11側の面)において少なくともドーム部17の開口側縁部17aが接触する箇所に、当該キートップ部15よりも硬度の高い部材が当該キートップ部15の下面を保護するための第1保護部材41,42として設けられていてもよい。押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)がこのように構成されていることによって、キートップ部15がドーム部17を押圧する際には、第1保護部材41,42がドーム部17の開口側縁部17aに当接した状態でドーム部17を押圧することとなり、ドーム部17の開口側縁部17aがキートップ部15の下面に直接的に接触することがない。これにより、キートップ部15の押込み操作が繰り返し行われても、キートップ部15の下面が削れたり摩耗したりすることを防止でき、それによって、キートップ部15の下面を保護することができる。また、キートップ部15がドーム部17を押圧する際には、キートップ部15よりも高い硬度を有する第1保護部材41,42がドーム部17の開口側縁部17aに当接した状態でドーム部17を押圧するため、ドーム部17を押圧している感触が操作者の指先に伝わり易くなる。これにより、操作者は、キートップ部15を確実に押込み操作したという感触を得やすくなるといった効果も得られる。
また、本発明の各実施形態に係る押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)においては、ドーム部17は、当該ドーム部17において少なくともキートップ部15の下面(回路基板11側の面)に接触する箇所に、ドーム部17より硬度の低い部材がキートップ部15の下面を保護するための第2保護部材43として設けられていてもよい。押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)がこのように構成されていることによって、キートップ部15がドーム部17を押圧する際は、ドーム部17において少なくともキートップ部15の下面に接触する箇所(ドーム部17の開口側縁部17a)に設けられている第2保護部材43がキートップ部15の下面に接触することとなるため、ドーム部17の鋭利な開口側縁部17aがキートップ部15の下面に直接的に接触することがない。これにより、キートップ部15の下面を保護することができる。
また、本発明の各実施形態に係る押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)においては、ドーム部17は、開口側縁部17aに曲面部44を備えてもよい。押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)がこのように構成されていることによって、キートップ部15がドーム部17を押圧する際は、ドーム部17の開口側縁部17aに形成されている曲面部44がキートップ部15の下面に接触することとなる。これにより、キートップ部15の下面を保護することができ、それによって、押釦スイッチ1c,1d,1eと同様に、キートップ部15の下面の摩耗を防止することができる。
また、本発明の各実施形態に係る押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)においては、キートップ部15は、上面(回路基板11側の面とは反対側の面)に、当該キートップ部15と同一若しくはそれ以下の硬度を有する第1突起部71を備えてもよい。第1突起部71は、操作者がキートップ部15を押込み操作する際に、第1突起部71を押込み操作することにより、操作者に押し込み量(ストローク)をより多く感じさせる役目を果たすものである。第1突起部71をキートップ部15の上面に設けることにより、ストロークが小さい押釦スイッチにおいても、操作者にストロークをより多く感じさせることができる。このため、操作者がキートップ部15を押込み操作したときに、キートップ部15を十分に押し込んだという操作感を操作者に与えることができる。
また、キートップ部15は、下面(回路基板11側の面)のドーム部17と接触する箇所に、当該キートップ部15と同一若しくはそれ以下の硬度を有する第2突起部72を備えてもよい。第2突起部72をキートップ部15の下面に設けることにより、ストロークが小さい押釦スイッチにおいても、操作者にストロークをより多く感じさせることができる。このため、操作者がキートップ部15を押込み操作したときに、キートップ部15を十分に押し込んだという操作感を操作者に与えることができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明に係る押釦スイッチは、各実施形態に制約されることなく、例えば、下記のように種々変形して実施可能である。
キートップ部15を含む操作部20の平面視形状は、上述の各実施形態においては、円形の場合を例示したが、円形である必要はなく、四角形、三角形、楕円形など種々の形状とすることができる。また、キートップ部15、保持部21および連結部の平面視形状はそれぞれが同じ形状である必要はなく、例えば、キートップ部15および連結部22の平面視形状は円形であって、保持部21は四角形とするというようにしてもよい。
第1電極12,13は、ドーム部17の座屈変形時に、第2電極18が接触することによって導通するものである限り、如何なる数、形状あるいは分離状態であっても良い。したがって、各図に示す第1電極の数、形状および分離状態は、好適な例示に過ぎない。回路基板11は、基板の一形態に過ぎず、少なくとも第1電極12,13を備えていれば、回路を備えることを必須としない。
各実施形態における押釦スイッチ1(あるいは1a〜1j)の各種構成要素は、組み合わせ不可能な場合を除き、互いに任意に組み合わせることができる。例えば、第2実施形態(その変形例を含む)は、他の実施形態においても適用可能であり、また、第3実施形態(その変形例を含む)、第4実施形態、第5実施形態、第7実施形態(その変形例を含む)および第8実施形態も、組み合わせ不可能な場合を除き、他の実施形態においても適用可能である。