図1Aには、本発明の一形態の外装ルーバー1(以下「ルーバー1」と記載する。)の取付構造が示されている。図3に示すように、ルーバー1は、ビル等の建物2に取り付けられることで、建物2に差し込む日射を遮る。ルーバー1は、自身の長手方向が鉛直方向に対して平行となる起立姿勢で設置される。
本形態の取付構造は、図1A,Bに示すように、ルーバー1の上端部を建物2に取り付ける上取付構造3と、ルーバー1の下端部を建物2に取り付ける下取付構造4を備える。
以下では、図1A,Bに示す状態を基準として、ルーバー1の厚み方向を前後方向とし、平面視においてこの前後方向に直交する方向を左右方向として、各構成について説明する。各図において、矢印X1で示す方向が前方であり、矢印Y1で示す方向が右方であり、矢印Z1で示す方向が上方である。
図1A,B及び図2Aに示すように、ルーバー1は、互いに対向する前後一対のパネル5,6と、パネル5,6の間に位置し、パネル5,6のそれぞれに固定される、スペーサーユニット7及び芯材8を含む。さらに、ルーバー1は、スペーサーユニット7の外側に設けられる左右一対の化粧カバー9を含む。
一対のパネル5,6のうちの前側に位置するパネル5は、スペーサーユニット7及び芯材8の前方に配される前面部50と、スペーサーユニット7の左方に配される側面部51と、スペーサーユニット7の右方に配される側面部52を含む。さらに、パネル5は、スペーサーユニット7の上方に配される上面部53と、スペーサーユニット7の下方に配される下面部54を含む。
左の側面部51は、前面部50の左端部から後方に突出し、前面部50の左端部に上下方向に亘って設けられている。右の側面部52は、前面部50の右端部から後方に突出し、前面部50の右端部に上下方向に亘って設けられている。上面部53は、前面部50の上端部から後方に突出し、前面部50の上端部に左右方向に亘って設けられている。下面部54は、前面部50の下端部から後方に突出し、前面部50の下端部のうち、左右両端部を除く残りの部分に左右方向に亘って設けられている。面部51,52,53,54のそれぞれは、前面部50に対して略垂直である。
一対のパネル5,6のうちの後側に位置するパネル6は、スペーサーユニット7及び芯材8の後方に配される後面部60と、スペーサーユニット7の左方に配される側面部61と、スペーサーユニット7の右方に配される側面部62を含む。さらに、パネル6は、スペーサーユニット7の上方に配される上面部63と、スペーサーユニット7の下方に配される下面部64を含む。
左の側面部61は、後面部60の左端部から前方に突出し、後面部60の左端部に上下方向に亘って設けられている。右の側面部62は、後面部60の右端部から前方に突出し、後面部60の右端部に上下方向に亘って設けられている。上面部63は、後面部60の上端部から前方に突出し、後面部60の上端部に左右方向に亘って設けられている。下面部64は、後面部60の下端部から前方に突出し、後面部60の下端部のうち、左右両端部を除く残りの部分に左右方向に亘って設けられている。面部61,62,63,64のそれぞれは、後面部60に対して略垂直である。
パネル5,6のそれぞれは、例えば、金属板を折り曲げて形成される。金属板は、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、エスジーエル(登録商標)鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム鋼板、チタン板等であるが、これらに限定されない。金属板の厚みは、例えば0.5mm〜5.0mmである。なお、パネル5,6は、合成樹脂製であってもよい。
スペーサーユニット7は、互いに剛接合されていない複数のスペーサーを矩形枠状(本形態では、略長方形枠状)に配置して構成されている。スペーサーユニット7は、スペーサーユニット7の左右の枠部を構成する左右一対の側部スペーサー70,71と、スペーサーユニット7の上側の枠部を構成する上部スペーサー72と、スペーサーユニット7の下側の枠部を構成する下部スペーサー73を含む。
スペーサー70,71,72,73のそれぞれは、直管状であり、長手方向の両端部が開口している。スペーサー70,71,72,73のそれぞれは、長手方向に直交する断面の形状が、略矩形枠状(本形態では略正方形枠状)である。スペーサー70,71,72,73のそれぞれは、本形態では、角形鋼管である。スペーサー70,71,72,73は、正面視矩形枠状に配置されている。なお、スペーサー70,71,72,73のそれぞれは、アルミ合金等で形成されたものでもよい。
上部スペーサー72は、左端が左側の側部スペーサー70の上端部の右側面に当たり、右端が右側の側部スペーサー71の上端部の左側面に当たるように配置されている。下部スペーサー73は、左端が左側の側部スペーサー70の下端部の右側面に当たり、右端が右側の側部スペーサー71の下端部の左側面に当たるように配置されている。
スペーサー70,71,72,73は、長手方向の端部同士が、溶接による固定や、ねじやリベットによる機械的固定がなされておらず、すなわち、互いに剛接合されていない。
芯材8は、例えば、ロックウールやグラスウールなどの繊維状無機材をバインダー等で固めて形成したブロック体を、複数並べて1枚の板状に配置したものである。板状に配置された芯材8の厚みは、スペーサーユニット7の厚みと同じである。
芯材8は、スペーサーユニット7で囲まれる領域の全体に配される。なお、芯材8は、スペーサーユニット7で囲まれる領域の全体に、注入されたウレタンフォームでもよい。
本形態では、パネル5の前面部50は、芯材8の前面全体とスペーサー70,71,72,73の前面全体に接着されている。パネル5の左の側面部51は、左側の側部スペーサー70の左側面の前部に、ねじ等の金属製の固定具10で固定されている(図2A参照)。側面部51は、側部スペーサー70の全長に亘って固定される。パネル5の右の側面部52は、右側の側部スペーサー71の右側面の前部に、固定具10で固定されている。側面部52は、側部スペーサー71の全長に亘って固定される。
パネル5の上面部53は、上部スペーサー72の上面の前半部に、接着により固定されている。上面部53は、上部スペーサー72の全長に亘って固定される。パネル5の下面部54は、下部スペーサー73の下面の前半部に、接着により固定されている。下面部54は、下部スペーサー73の全長に亘って固定される。なお、上面部53と下面部54は、スペーサー72,73に対して、接着されたうえで、ねじ等の金属製の固定具で固定されていてもよい。
パネル6の後面部60は、芯材8の後面全体とスペーサー70,71,72,73の後面全体に接着されている。パネル6の左の側面部61は、左側の側部スペーサー70の左側面の後部に、ねじ等の金属製の固定具11で固定されている。側面部61は、側部スペーサー70の全長に亘って固定される。パネル6の右の側面部62は、右側の側部スペーサー71の右側面の後部に、固定具11で固定されている。側面部62は、側部スペーサー71の全長に亘って固定される。
パネル6の上面部63は、上部スペーサー72の上面の後半部に、接着により固定されている。上面部63は、上部スペーサー72の全長に亘って固定される。パネル6の下面部64は、下部スペーサー73の下面の後半部に、接着により固定されている。下面部64は、下部スペーサー73の全長に亘って固定される。なお、上面部63と下面部64は、スペーサー72,73に対して接着されたうえで、ねじ等の金属製の固定具で固定されていてもよい。
パネル5の上面部53とパネル6の上面部63は、スペーサーユニット7の上面に左右方向の全長に亘って位置する。つまり、上面部53,63は、左側の側部スペーサー70の上端開口上と上部スペーサー72上と右側の側部スペーサー71の上端開口上に位置する。上面部53,63は、左右の側部スペーサー70,71の上端開口を略閉塞している。パネル5の下面部54とパネル6の下面部64は、下部スペーサー73の下方にのみ位置し、左右の側部スペーサー70,71の下端開口を閉塞していない。パネル5の各面部51,52,53,54とパネル6の各面部61,62,63,64とはそれぞれ、前後方向に離れている。
パネル5,6のそれぞれは、前面部50及び後面部60が芯材8に固定されることで、前面部50及び後面部60に熱伸びによる撓みが生じにくくなっている。
一対の化粧カバー9のそれぞれは、上下方向に長い部材であり、本形態ではアルミの押出成形材である。各化粧カバー9は、側部スペーサー70,71と略同じ上下長さである。なお、化粧カバー9は、アルミ以外の他の金属製のものや、木製や樹脂製であってもよい。
図2A及び図2Bに示すように、各化粧カバー9は、側部スペーサー70,71にねじ固定されるベース90と、ベース90に取り付けられるカバー本体91を含む。ベース90は、側部スペーサー70,71と略同じ上下長さである。ベース90は、側部スペーサー70,71に重ねられる略矩形板状の底壁部900と、底壁部900の前後の端部から左右方向外側に突出した略矩形板状の前後一対の側壁部901を含む。
前後一対の側壁部901のそれぞれの左右方向外側の端部には、前後方向内側に突出した被引っ掛け部902が設けられている。なお、ベース90は、側部スペーサー70,71よりも短い部材であってもよく、この場合、側部スペーサー70,71のそれぞれには、全長に亘って複数の短いベース90が固定される。
カバー本体91は、側部スペーサー70,71と略同じ上下長さである。カバー本体91は、略矩形板状の化粧部910と、化粧部910の前後方向の中央部から左右方向内側に突出した一対の取付片部911と、化粧部910の前後の端部のそれぞれから左右方向内側に突出した一対の突片部912を含む。化粧部910、一対の取付片部911、及び一対の突片部912は、押出成形により一体に設けられる。
各取付片部911の基部(左右方向外側の端部)には、前後方向外側に突出した引っ掛け部913が設けられている。一対の突片部912のそれぞれには、上下方向の両端部のうち少なくとも一方に、貫通孔が設けられている。なお、この貫通孔は、現場での施工の際に形成されてもよい。
各化粧カバー9は、ねじ等の金属製の固定具12によってベース90の底壁部900が側部スペーサー70の左側面あるいは側部スペーサー71の右側面にねじ固定される。そして、各化粧カバー9は、ねじ固定されたベース90の前後一対の側壁部901の被引っ掛け部902に、カバー本体91の前後一対の取付片部911の引っ掛け部913が引っ掛けられることで、側部スペーサー70,71の外側に設置される。
さらに、各化粧カバー9は、ねじ等の金属製の止め具13によって前後一対の取付片部911のそれぞれが前後一対の側壁部901のそれぞれにねじ固定される。このとき、止め具13は、突片部912に設けた貫通孔を通じて、固定箇所まで挿入される。このように、止め具13によって止め付けることで、カバー本体91がベース90から抜け落ちることが防止される。
なお、化粧部910は、略矩形板状ではなく、略半円筒状や略三角筒状等の他の形状でもよい。また、化粧部910の左右方向外側の面は、多数の凹凸が設けられた凸凹面でもよい。
建物2は、図3に示すように、建物2の外装構造として設けられる枠組み20を備える。枠組み20は、ルーバー1の上方に位置する上枠材21と、ルーバー1の下方に位置する下枠材22を含む。枠材21,22は、互いに略平行である。枠組み20は、さらにルーバー1の側方に位置する左右一対の側枠材23,24を含む。左右一対の側枠材23,24は、上枠材21と下枠材22のそれぞれと一体である。ルーバー1は、上下の枠材21,22と左右の側枠材23,24とで囲まれる空間に設置される。上枠材21と下枠材22と左右一対の側枠材23,24のそれぞれは、例えば、コンクリート製であり、略板状である。
枠組み20は、ルーバー1が配される空間を、上下方向に複数有し、上枠材21と下枠材22を複数組み有する。上下に隣接する2つの空間のうち上側の空間の下方に位置する下枠材22は、下側の空間の上方に位置する上枠材21を兼ねる。なお、枠組み20は、ルーバー1が配される空間を、上下方向に複数ではなく1つだけ有してもよい。
本形態では、下枠材22は、その上面のうちルーバー1が載置される部位に、上方に突出した載置部25を有する(図1A,B参照)。載置部25は、平面視におけるサイズが、ルーバー1よりも若干大きく、略直方体状である。上枠材21の下面は、平坦である。なお、下枠材22は、載置部25を有さず、上面が平坦でもよい。
載置部25の上面のうちルーバー1が取り付けられる部位には、金属製の固定板26が埋め込まれている。固定板26の上面とその周囲の載置部25の上面とは、略面一である。本形態では、上枠材21の下面には、固定板が埋め込まれていない。
上取付構造3は、建物2の上枠材21にねじ固定される第一固定部材3aと、スペーサーユニット7の上部スペーサー72に固定される第二固定部材3bと、第一固定部材3aと第二固定部材3bを連結するねじ部材3cを含む。第一固定部材3aと第二固定部材3bは、ねじ部材3cを介して回転自在に連結される。固定部材3a,3b及びねじ部材3cのそれぞれは、例えば、金属製である。
図4A,Bに示すように、第一固定部材3aは、固定部30と、固定部30から下方に突出した左右一対の突片31と、固定部30のうち左右一対の突片31の間の部分から下方に突出した連結部32を含む。
固定部30は、本形態では矩形板状であり、左右方向が長手方向であり、前後方向が短手方向であり、上下方向が厚み方向である。固定部30の左右の端部のそれぞれには、上下方向に貫通した貫通孔300が設けられている。各貫通孔300には、固定部30を上枠材21に固定するねじ14が挿通される。
連結部32は、固定部30の左右方向の中央部分から下方に突出している。連結部32は、本形態では略矩形板状である。連結部32には、前後方向に貫通した挿通孔320が設けられている。挿通孔320は、左右方向を長手方向とする長孔である。
左右一対の突片31のそれぞれは、本形態では正面視略L字状である。左右一対の突片31のそれぞれは、固定部30から下方に延びた縦片部310と、縦片部310の先端部(下端部)から左右方向内側に延びた横片部311を含む。左右一対の横片部311間の中間部分に、連結部32の挿通孔320の中心が位置する。左右一対の横片部311は、互いに上下位置が同じであり、固定部30に対して略平行である。
図1A,Bに示すように、第一固定部材3aは、固定部30の上面が上枠材21の下面に当たる状態で、ねじ14により固定部30が上枠材21に固定される。
図5A,Bに示すように、第二固定部材3bは、固定部33と、固定部33の左右の端縁部から上方に突出した左右一対の凸片34と、固定部33のうち左右方向の中央部分から上方に突出した連結部35を含む。
固定部33は、本形態では矩形板状であり、左右方向が長手方向であり、前後方向が短手方向であり、上下方向が厚み方向である。固定部33の左右の端部のそれぞれには、上下方向に貫通した貫通孔330が設けられている。固定部33の左右の端部のそれぞれには、複数(本形態では2つずつ)の貫通孔330が設けられている。各貫通孔330には、固定部33をスペーサーユニット7の上部スペーサー72に固定するねじ15が挿通される(図1A,B参照)。
連結部35は、本形態では略矩形板状である。連結部35には、前後方向に貫通した挿通孔350が設けられている。挿通孔350は、本形態では丸孔である。
左右一対の凸片34のそれぞれは、本形態では正面視略L字状である。左右一対の凸片34のそれぞれは、固定部33の左右の端縁部から上方に延びた縦片部340と、縦片部340の先端部(上端部)から左右方向外側に延びた横片部341を含む。左右一対の横片部341間の中間部分に、連結部35の挿通孔350の中心が位置する。左右一対の横片部341は、互いに上下位置が同じである。
図1A,Bに示すように、第二固定部材3bは、ねじ15により固定部33が上面部53,63を介して上部スペーサー72に固定されることで、ルーバー1に取り付けられる。
図6に示すように、ねじ部材3cは、ボルト36とナット37とワッシャー38を含む。ボルト36は、第一固定部材3aの連結部32の挿通孔320と、第二固定部材3bの連結部35の挿通孔350に挿通され、ボルト36の先端部(後端部)にナット37が取り付けられる。ワッシャー38は、ボルト36の先端部(後端部)が挿通され、連結部35とナット37の間に取り付けられる。
図9Aに示すように、固定部材3a,3bは、ねじ部材3cで連結された状態において、第二固定部材3bの左右一対の横片部341のそれぞれが、第一固定部材3aの左右一対の横片部311のそれぞれの上方に隙間を介して位置するように、構成されている。そのため、ねじ部材3cで固定部材3a,3bが連結された状態では、第一固定部材3aの左右一対の突片31は、第二固定部材3bを支持しない。
図1Aに示すように、下取付構造4は、左右一対の取付部材4aと、支持部材4bを含む。左右一対の取付部材4aは、大きさと形状が互いに同じである。左右一対の取付部材4aと、支持部材4bのそれぞれは、例えば、金属製である。
図7A,Bに示すように、左右一対の取付部材4aのそれぞれは、建物2(詳しくは、下枠材22の載置部25の固定板26)に固定される固定部40と、固定部40から上方に突出した嵌め込み部41を含む。固定部40は、本形態では矩形板状であり、前後方向が長手方向であり、左右方向が短手方向であり、上下方向が厚み方向である。固定部40の前後方向の長さは、ルーバー1の前後方向の長さ(つまり厚み)よりも長い。固定部40の前後の端部のそれぞれには、上下方向に貫通した貫通孔400が設けられている。各貫通孔400には、固定部40を固定板26に固定するねじ16が挿通される。
左右一対の取付部材4aのそれぞれの嵌め込み部41は、固定部40から上方に突出した突出部42と、突出部42の外周面に設けられた弾性部43で構成される。
突出部42は、角筒状であり、上下方向が長手方向である。突出部42の長手方向(上下方向)に直交する断面形状は、略矩形枠状(本形態では略正方形枠状)である。
弾性部43は、突出部42の上端部の前後左右の面のそれぞれに設けられている。つまり、本形態では、突出部42には、計4つの弾性部43が設けられている。弾性部43は、本形態では、クロロプレンゴム、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)等の合成ゴムである。弾性部43は、突出部42に接着されている。なお、弾性部43は、突出部42の前後の面にのみ、あるいは突出部42の左右の面にのみ設けてもよい。弾性部43は、板バネやコイルバネ等の他の弾性部材でもよい。板バネは、突出部42の上端部の周壁を挟み込む構造であることが好ましい。
図1A,Bに示すように、左右一対の取付部材4aのそれぞれは、嵌め込み部41が、側部スペーサー70(71)の下端の開口を通じて、側部スペーサー70(71)の下端部の内側に嵌め込まれることで、ルーバー1に取り付けられる。左右一対の取付部材4aのそれぞれは、固定部40の下面が、下枠材22の載置部25に埋め込まれた固定板26の上面に当たる状態で、ねじ16により固定部40が下枠材22の固定板26に固定される。このように、左右一対の取付部材4aのそれぞれが、ルーバー1に取り付けられ、かつ下枠材22に固定されることで、ルーバー1の下端部が下枠材22に取り付けられる。
支持部材4bは、スペーサーユニット7の下部スペーサー73から下方に突出し、先端(下端)が建物2の一部(詳しくは、下枠材22の載置部25の固定板26)に当たるように、構成されている。支持部材4bは、下方への突出量が調整自在である。
支持部材4bは、本形態では、金属製のボルト44である。ボルト44の頭部は、本形態では六角柱状である。ボルト44は、ボルト44の頭部が下端に位置する姿勢で、下部スペーサー73の左右方向の中央部の下側の壁を上下方向に貫通するように設置される。下部スペーサー73の下側の壁には、ナット45が固定されている。ナット45に対するボルト44のねじ込み量を調整することで、下部スペーサー73よりも下方へのボルト44の突出量を調整することができる。なお、ボルト44は、ボルト44の頭部が下端に位置する姿勢で、下部スペーサー73の左右方向の中央部を上下方向に貫通するように設置されてもよく、この場合、ナット45は、例えば、下部スペーサー73の上面に固定される。
続いて、上述したルーバー1を建物2に取り付ける施工手順の一例について説明する。
まず、建物2の枠組み20の上枠材21の下面のうちルーバー1の取付箇所に、左右一対の穴を形成し、この左右一対の穴のそれぞれにアンカーを埋め込む。次いで、上枠材21の下面に、第一固定部材3aの固定部30の上面を当て、各貫通孔300を通じて各アンカーにねじ14を打ち込み、第一固定部材3aを上枠材21に固定する。
次いで、ルーバー1の上部スペーサー72上の上面部53,63の上面に、第二固定部材3bの固定部33の下面を当て、固定部33の各貫通孔330にねじ15を打ち込んで、ルーバー1に第二固定部材3bを固定する。
次いで、ルーバー1の左右の側部スペーサー70,71のそれぞれの下端の開口に、取付部材4aの嵌め込み部41を挿入する。このとき、各突出部42の前後左右のそれぞれの面の弾性部43が、側部スペーサー70,71の下端部の内周面の前後左右のそれぞれの面に当たることで、各取付部材4aはルーバー1に取り付けられる。
次いで、ルーバー1の下部スペーサー73に、下方からボルト44を挿通させ、下部スペーサー73に固定したナット45にボルト44を捻じ込み、支持部材4bをルーバー1に取り付ける。
次いで、上枠材21に固定された第一固定部材3aの左右一対の突片31のそれぞれの横片部311上に、ルーバー1に固定された第二固定部材3bの左右一対の凸片34のそれぞれの横片部341を載せ、第一固定部材3aの連結部32の前面に、第二固定部材3bの連結部35の後面を当てる。このとき、第二固定部材3bの連結部35の挿通孔350は、第一固定部材3aの連結部32の挿通孔320よりも下方に位置する。
次いで、左右一対の取付部材4aの固定部40の下面を、下枠材22の載置部25に埋め込まれた固定板26の上面に当て、固定部40の各貫通孔400にねじ16を打ち込んで、各取付部材4aを下枠材22に固定する。
次いで、下部スペーサー73から下方に突出するボルト44の頭部を、レンチ等の工具を用いて回転させて、ボルト44の下方への突出量を調整する。このとき、第二固定部材3bの連結部35の挿通孔350が、第一固定部材3aの連結部32の挿通孔320と同じ上下位置となるまで、ボルト44の下方への突出量を増やす。
次いで、第二固定部材3bの連結部35の挿通孔350と、第一固定部材3aの連結部32の挿通孔320に、前方からボルト36を挿入し、ボルト36の先端部(後端部)にワッシャー38とナット37を取り付けることで、第一固定部材3aと第二固定部材3bをねじ部材3cで連結する。この連結状態において、第二固定部材3bの左右一対の凸片34のそれぞれの横片部341は、第一固定部材3aの左右一対の突片31のそれぞれの横片部311の上方に隙間を介して位置する。
次いで、ルーバー1と上枠材21との間の隙間と、ルーバー1と下枠材22の載置部25との隙間のそれぞれにコーキング剤を充填して、これらの隙間を埋める。各隙間に充填されたコーキング剤は、弾性変形可能である。
同様の手順で、ルーバー1を枠組み20に対して複数枚取り付ける。このようにすることで、例えば、図3に示すように、建物2に複数枚のルーバー1を設置することができる。
なお、ルーバー1を建物2に取り付ける施工手順は、上述の例に限らず、適宜変更可能である。例えば、第二固定部材3bは、施工現場ではなく工場でルーバー1にねじ固定してもよい。また、支持部材4bは、施工現場ではなく工場でルーバー1に取り付けてもよい。また、第二固定部材3bと取付部材4aと支持部材4bは、どの順に取り付けてもよい。
以上のようにして施工された、図1Aに示す本形態のルーバー1の取付構造では、第一固定部材3aの建物2(上枠材21)への固定と、第二固定部材3bのルーバー1への固定と、2つの固定部材3a,3bの連結と、取付部材4aの建物2(下枠材22)への固定と、支持部材4bのルーバー1への固定がいずれも、ねじによる固定である。そのため、本形態のルーバー1の取付構造では、上記の各固定を溶接で行う場合に比べて、簡単に施工することが可能である。本形態のルーバー1の取付構造では、溶接棒がルーバー1の表面に溶け落ちたり、溶接の際に生じる火花が飛び散ってルーバー1の表面の塗装を溶かす等の問題の発生を抑制することができる。
また、本形態のルーバー1の取付構造では、図9A〜Cに示すように、ルーバー1に固定された第二固定部材3bが、建物2の上枠材21に固定された第一固定部材3aに対して、ねじ部材3cを中心に回転自在に支持されている。そのため、本形態のルーバー1の取付構造では、地震が起こった場合などに、層間変位に追従してルーバー1が回転することができ、ルーバー1の脱落や崩壊を抑制することができる。
また、本形態のルーバー1の取付構造では、ルーバー1は、第二固定部材3bの一方の凸片34が、その下方に位置する第一固定部材3aの一方の突片31に当たる角度(図9B参照)から、第二固定部材3bの他方の凸片34が、その下方に位置する第一固定部材3aの他方の凸片34に当たる角度(図9C参照)までの範囲で、回転可能となっている。これにより、本形態のルーバー1の取付構造では、第一固定部材3aに設けた左右一対の突片31によって第二固定部材3bの回転の範囲を規制することができ、ルーバー1が回転して上枠材21に衝突することを防止することができる。
また、本形態のルーバー1の取付構造では、第一固定部材3aの連結部32に設けた挿通孔320が左右方向に長い孔であるため、この孔に挿通されるねじ部材3cを介して、ルーバー1は、左右方向に移動可能に支持される。これにより、本形態のルーバー1の取付構造では、地震が起こった場合などに、層間変位に追従してルーバー1が水平方向へ移動することも可能である。このとき、本形態のルーバー1の取付構造では、第一固定部材3aの左右一対の縦片部310によって第二固定部材3bの左右方向の移動範囲を規制することができる。
また、本形態のルーバー1の取付構造では、左右一対の取付部材4aのそれぞれが、側部スペーサー70,71に対して内側から弾性的に当たっているため、ルーバー1の下端部が層間変位に追従して動くことを許容することができる。
また、本形態のルーバー1の取付構造では、下部スペーサー73の左右方向の中央部から支持部材4bが下方に突出し、支持部材4bの下端部が下枠材22の固定板26に当たっているため、ルーバー1と下枠材22との間に隙間を確保することができる。これにより、本形態のルーバー1の取付構造では、ルーバー1が層間変位に追従して回転する際に、ルーバー1が下枠材22に衝突して破損することを抑制することができる。
また、本形態のルーバー1の取付構造では、左右一対の取付部材4aが、合成ゴムからなる弾性部43を含むため、層間変位に追従して、左右一対の取付部材4aが側部スペーサー70,71内で動いても、側部スペーサー70,71の内周面が削られる等の問題の発生を抑制することができる。
続いて、本形態のルーバー1の取付構造の変形例について説明する。
第二固定部材3bは、スペーサーユニット7の上部スペーサー72に、ねじ固定ではなく溶接等の他の方法で固定されてもよい。
第一固定部材3aと第二固定部材3bは、ねじ部材3cを介して回転自在に連結される構造に限らず、ねじ部材3cにより回転不可に連結され、かつルーバー1の短手方向に沿ってスライド移動自在に連結されることで、層間変位に追従する構造であってもよい。
支持部材4bは、下部スペーサー73に移動不可に固定されてもよい。
下取付構造4は、左右一対の取付部材4aと支持部材4bのうち、一方のみを含んでもよい。また、下取付構造4は、ルーバー1の下端部を建物2の下枠材22に対して回転自在または移動自在に取り付ける構造であればよく、取付部材4aや支持部材4b以外の他の構造であってもよい。
第一固定部材3aは、固定部30と連結部32のみを含み、左右一対の突片31を含まなくてもよい。
左右一対の取付部材4aは、建物2の下枠材22の固定板26に、ねじ固定ではなく溶接等の他の方法で固定されてもよい。
また、上取付構造3の固定部材3a,3bは、図4A、図4B、図5A、及び図5Bに示す形状に限らず、図10A、図10B、図11A、図11B、及び図12に示す形状であってもよい。この場合、第一固定部材3aの連結部32には、2つの挿通孔320が左右方向に距離をおいて設けられ、同様に、第二固定部材3bの連結部35には、2つの挿通孔350が左右方向に距離をおいて設けられている。連結部32,35は、左右一対の挿通孔320,350のそれぞれに挿通される2つのねじ部材3cを介して、回転自在に連結される。
以上説明した一形態のルーバー1の取付構造は、以下の構成を備えることを特徴とする。
すなわち、一形態のルーバー1の取付構造は、ルーバー1の上端部を建物2に取り付ける上取付構造3と、ルーバー1の下端部を建物2に取り付ける下取付構造4を備える。ルーバー1は、互いに対向する前後一対のパネル5,6と、前後一対のパネル5,6の間に位置し、前後一対のパネル5,6のそれぞれに固定されるスペーサーユニット7を含む。上取付構造3は、建物2にねじ固定される第一固定部材3aと、スペーサーユニット7に固定される第二固定部材3bと、第一固定部材3aと第二固定部材3bを連結するねじ部材3cを含む。
一形態のルーバー1の取付構造では、ルーバー1の上端部を建物2に取り付ける上取付構造3を、建物2にねじ固定される第一固定部材3aと、ルーバー1のスペーサーユニット7に固定される第二固定部材3bと、この2つの固定部材3a,3bを連結するねじ部材3cを含むものとしている。そのため、一形態のルーバー1の取付構造では、溶接により第一固定部材3aを建物2に固定したり、溶接により2つの固定部材3a,3bを連結する場合に比べて、簡単に施工することができるといった利点がある。特に、一形態のルーバー1の取付構造では、ルーバー1の前後の面がパネル5,6であるため、パネル5,6の表面の塗装が溶ける等の問題の発生も回避することができる。
さらに、一形態のルーバー1の取付構造は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、一形態のルーバー1の取付構造では、第一固定部材3aと第二固定部材3bは、ねじ部材3cを介して回転自在に連結される。
上記の付加的な構成を備えることで、一形態のルーバー1の取付構造では、地震が起こった場合などに、ねじ部材3cを軸に第二固定部材3b及びルーバー1が層間変位に追従して回転することができ、ルーバー1の脱落や崩壊を抑制することができる。
さらに、一形態のルーバー1の取付構造は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、一形態のルーバー1の取付構造では、スペーサーユニット7は、直管状の左右一対の側部スペーサー70,71を含む。下取付構造4は、左右一対の取付部材4aを含む。左右一対の取付部材4aのそれぞれは、建物2に固定される固定部40と、固定部40から上方に突出した嵌め込み部41とを含む。左右一対の取付部材4aのそれぞれの嵌め込み部41が、左右一対の側部スペーサー70,71のそれぞれの下端部の内側に嵌め込まれた状態で位置する。
上記の付加的な構成を備えることで、一形態のルーバー1の取付構造では、嵌め込みにより取付部材4aをルーバ−1に固定することができるため、溶接により取付部材4aをルーバー1に固定する場合に比べて、簡単に施工することができる。また、一形態のルーバー1の取付構造では、地震が起こった場合などに、嵌め込み部41の側部スペーサー70,71への嵌め込み長さが層間変位に追従して変化することができ、ルーバー1の脱落や崩壊を抑制することができる。
さらに、一形態のルーバー1の取付構造は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、一形態のルーバー1の取付構造では、左右一対の取付部材4aのそれぞれの嵌め込み部41は、固定部40から上方に突出した突出部42と、突出部42の外周面に設けられた弾性部43とで構成される。左右一対の取付部材4aのそれぞれの突出部42が、左右一対の側部スペーサー70,71のそれぞれの下端部の内周面に弾性部43を介して当たる。
上記の付加的な構成を備えることで、一形態のルーバー1の取付構造では、簡単な構造で、嵌め込み部41を構成することができ、また、層間変位に追従するルーバー1の動きを許容することができる。
さらに、一形態のルーバー1の取付構造は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、一形態のルーバー1の取付構造では、下取付構造4は、スペーサーユニット7から下方に突出し、先端が建物2に当たる支持部材4bをさらに含む。
上記の付加的な構成を備えることで、一形態のルーバー1の取付構造では、支持部材4bによりルーバー1は、その下方に位置する建物2の構造の一部(下枠材22)との間に隙間を介して位置することになるため、地震が起こった場合などに、ルーバー1がその下方に位置する建物2の一部に接触して破損することを抑制することができる。
さらに、一形態のルーバー1の取付構造は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、一形態のルーバー1の取付構造では、支持部材4bは、下方への突出量が調整自在である。
上記の付加的な構成を備えることで、一形態のルーバー1の取付構造では、支持部材4bの突出量を調整することで、ルーバー1の設置高さの調整が可能となる。
さらに、一形態のルーバー1の取付構造は、上記の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
すなわち、一形態のルーバー1の取付構造では、第一固定部材3aは、左右一対の突片31を含む。左右一対の突片31のそれぞれが、第二固定部材3bの左右の端部の下方にそれぞれ隙間を介して位置する。
上記の付加的な構成を備えることで、一形態のルーバー1の取付構造では、左右一対の突片31によって第二固定部材3b及びルーバー1の回転の範囲を規制することができ、地震が起こった場合などに、ルーバー1がその上方に位置する建物2の一部に接触して破損することを抑制することができる。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。