JP6718210B2 - オフセット印刷用インキ組成物及びその製造方法、並びにオフセット印刷用インキ組成物調製用のゲル化ワニスの製造方法 - Google Patents

オフセット印刷用インキ組成物及びその製造方法、並びにオフセット印刷用インキ組成物調製用のゲル化ワニスの製造方法 Download PDF

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本発明は、オフセット印刷用インキ組成物及びその製造方法、並びにオフセット印刷用インキ組成物調製用のゲル化ワニスの製造方法に関するものである。
オフセット印刷は、油性であるオフセット印刷用インキ組成物(以下、「インキ組成物」又は「インキ」と適宜省略する。)が水に反発する性質を利用した印刷方式であり、凹凸を備えた印刷版を用いる凸版印刷方式とは異なり、凹凸のない印刷版を用いることを特徴とする。この印刷版は、凹凸の代わりに親油性の画像部と親水性の非画像部とを備える。そして印刷に際しては、まず、湿し水によって印刷版の非画像部が湿潤されてその表面に水膜が形成され、次いでインキ組成物が印刷版に供給される。このとき、供給されたインキ組成物は、水膜の形成された非画像部には反発して付着せず、親油性の画像部のみに付着する。こうして、印刷版の表面にインキ組成物による画像が形成され、次いでそれがブランケット及び印刷用紙に順次転移することにより印刷が行われる。
そして、オフセット印刷は、印刷版の作製が比較的簡単でありながら、高い美粧性を備えた印刷物を得たり、大量の印刷物を短時間で得たりする分野に適するという特性を備える。そこで、オフセット印刷は、パンフレット、ポスター、カレンダー等といった高い美粧性が要求される分野から、新聞、雑誌、電話帳等といった高速かつ大量に印刷されることが要求される分野まで広く利用されている。
上記のように、オフセット印刷においては、ブランケットに転写されたインキ組成物による画像が、ブランケットと印刷用紙とが接触した際に印刷用紙へと転写される。この転写が行われた直後、ブランケットと印刷用紙との間の接触が解除される(すなわちブランケットが印刷用紙から剥離される)が、その際、インキ組成物の粘着性に由来する剥離抵抗をブランケットと印刷用紙との間に生じる。すると、印刷用紙から剥離してゆくブランケットにより印刷用紙の表面がわずかに毟られて紙粉がブランケットの表面に滞留し、これが印刷部数の増加とともに蓄積されブランケットの表面に紙粉の堆積を生じることがある。このような紙粉の堆積はパイリングと呼ばれ、これを生じるとかすれたような状態でインキ組成物が印刷用紙に転写されるようになり、印刷物の商品価値が低下する。したがって、パイリングを抑制しながら印刷を行うということがオフセット印刷における重要な課題の一つになっている。
このような背景から、例えば特許文献1には、インキ組成物の処方における工夫でパイリングを抑制することが提案されており、例えば特許文献2には、インキ組成物とともに用いられる湿し水の処方における工夫でパイリングを抑制することが提案されている。
特開2007−254629号公報 特開2009−78437号公報
ところで、オフセット印刷には、墨又は他の色のインキ組成物を一色だけ用いて行う単色印刷と、二色以上のインキ組成物を用いて行う多色印刷とがある。そして、多色印刷の中でも黄色、紅色、藍色及び墨色の四色のインキ組成物を用いて印刷を行うとフルカラーを再現することが可能であり、このような印刷はフルカラー印刷と呼ばれる。多色印刷では、印刷版及びブランケットの組である胴がインキの色数分だけ用意され、印刷用紙がこれらの胴を順次移動して印刷されることにより各色のインキ組成物がその表面に転写され、所望の印刷物が得られることになる。例えば、フルカラー印刷の場合には、墨色→藍色→紅色→黄色の順、又は藍色→紅色→黄色→墨色の順で印刷されることが一般的である。
印刷用紙に転写されたインキ組成物はその乾燥にある程度の時間を要するものなので、このような多色印刷を行う場合、前の胴で印刷されたインキ組成物が次の胴のブランケットに付着しがちである。そして、印刷を続けるうちにこれが積み重なるとブランケットの表面に前の胴で印刷されたインキ組成物が徐々に固着し、前の胴で印刷された画像に対応した固着物をブランケットの表面に生じる、セカンダリーパイリングと呼ばれる現象を生じることがある。セカンダリーパイリングを生じると、やはり印刷画像の不良につながるし、ブランケットの表面に固着したインキ組成物を印刷終了後に除去するために大変な労力を要する結果にもなり得る。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、印刷を行った際のセカンダリーパイリングを抑制することのできるオフセット印刷用インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、極性基を備えた液状ゴム化合物をインキ組成物中に0.5〜10質量%程度添加することにより、多色のオフセット印刷を行った際のセカンダリーパイリングを顕著に抑制できることを見出した。本発明は、以上の知見によりなされたものであり、具体的には以下のようなものを提供する。
本発明は、着色顔料と、バインダー樹脂と、油成分と、を含んでなるオフセット印刷用インキ組成物であって、さらに、極性基を備えた液状ゴム化合物を組成物中に0.5〜2質量%含み、前記液状ゴム化合物が、前記バインダー樹脂と前記油成分と2価以上の金属のアルコキシ化合物とともに混合及び加熱されてゲル化ワニスとなった状態で組成物に添加されたものであることを特徴とし、前記液状ゴム化合物が、ポリイソプレン、及びポリブタジエン−スチレン共重合物からなる群より選択される少なくとも1つであるオフセット印刷用インキ組成物である。
上記極性基は、カルボキシル基、2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
また本発明は、極性基を備えた液状ゴム化合物の存在下で、着色顔料、バインダー樹脂及び油成分を含む混合物を混練する混練工程を備え、組成物中の前記液状ゴム化合物の含有量が0.5〜2質量%であり、前記バインダー樹脂、前記油成分及び前記極性基を備えた液状ゴム化合物が、2価以上の金属のアルコキシ化合物の存在下で混合及び加熱されるワニス調製工程を経てゲル化ワニスとされ、その状態で前記混練工程に供されることを特徴とし、前記液状ゴム化合物が、ポリイソプレン、及びポリブタジエン−スチレン共重合物からなる群より選択される少なくとも1つであるオフセット印刷用インキ組成物の製造方法でもある。
上記極性基は、カルボキシル基、2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
また本発明は、極性基を備えた液状ゴム化合物の存在下で、バインダー樹脂、油成分及び2価以上の金属のアルコキシ化合物を混合及び加熱し、前記液状ゴム化合物が、ポリイソプレン、及びポリブタジエン−スチレン共重合物からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とするオフセット印刷用インキ組成物調製用のゲル化ワニスの製造方法でもある。
上記極性基は、カルボキシル基、2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本発明によれば、印刷を行った際のセカンダリーパイリングを抑制することのできるオフセット印刷用インキ組成物が提供される。
以下、本発明のオフセット印刷用インキ組成物の一実施形態、オフセット印刷用インキ組成物の製造方法の一実施態様、及びオフセット印刷用インキ組成物調製用のゲル化ワニスの製造方法の一実施態様についてそれぞれ説明するが、本発明は以下の実施形態及び実施態様に何ら限定されるものではない。
<オフセット印刷用インキ組成物>
まずは、本発明のオフセット印刷用インキ組成物の一実施形態について説明する。本発明のオフセット印刷用インキ組成物は、着色顔料と、バインダー樹脂と、油成分と、を含んでなるオフセット印刷用インキ組成物であって、さらに、極性基を備えた液状ゴム化合物を組成物中に0.5〜10質量%含むことを特徴とする。
既に述べたように、多色のオフセット印刷においてセカンダリーパイリングを生じる直接の原因は、前の胴で印刷され未乾燥状態であるインキ組成物が印刷用紙からブランケットへ逆転写され、それが固着することである。しかしながら、オフセット印刷用のインキ組成物は速乾性ではないため、印刷用紙が次の胴へ移動するような短い期間に乾燥することはあり得ず、このような逆転写は避けられないものである。したがって、インキ組成物がブランケットへ逆転写されてもそれが固着しないような組成上の工夫が必要になる。
本発明者らは、ブランケットにインキ組成物が逆転写された際に、そのインキ組成物中に十分な油成分が含まれていれば、ブランケットに転写されたインキ組成物が常に油分を帯びた状態となってそれが固着するのを抑制できると考えた。すなわち、インキ組成物のセット(印刷後にインキ組成物が粘着性を失って乾燥した状態となるまでの時間)を遅くすることで、ブランケット上におけるインキ組成物の固着を抑制しようと考え、そのようなことを実現できる処方を探していたところ、意外にも、インキ組成物に極性基を備えた液状のゴム化合物を添加すれば十分にセットを遅くでき、多色印刷を行った際のセカンダリーパイリングを効果的に抑制できることを見出した。
本発明のオフセット印刷用インキ組成物は、このような知見をもとに完成されたものであり、極性基を備えた液状ゴム化合物を必須成分として含むことを特徴とする。以下、各成分について説明する。
[着色顔料]
着色顔料は、インキ組成物に着色力を付与するための成分である。着色顔料としては、従来からインキ組成物に使用される有機及び/又は無機顔料を特に制限無く挙げることができる。
このような着色顔料としては、ジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー等のイエロー顔料、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウオッチングレッド等のマゼンタ顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー等のシアン顔料、カーボンブラック等の黒色顔料等が例示される。
着色顔料の添加量としては、インキ組成物の全体に対して8〜30質量%程度が例示されるが、特に限定されない。なお、イエロー顔料を使用してイエローインキ組成物を、マゼンタ顔料を使用してマゼンタインキ組成物を、シアン顔料を使用してシアンインキ組成物を、黒色顔料を使用して墨インキ組成物をそれぞれ調製する場合には、補色として、他の色の顔料を併用したり、他の色のインキ組成物を添加したりすることも可能である。
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂は、印刷用紙の表面で上記顔料を固定するバインダーとして機能する成分であり、また、上記顔料をインキ組成物中に分散させるために用いられる成分でもある。このようなバインダー樹脂としては、インキ組成物の分野で通常使用されるものを特に制限なく挙げることができ、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、アクリル変性フェノール樹脂、アルキド樹脂、植物油変性アルキド樹脂、石油樹脂等が例示される。これらの樹脂の重量平均分子量としては、1000〜30万程度を好ましく例示することができる。これらのバインダー樹脂は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、良好な顔料分散性及び印刷品質、並びに長時間にわたる安定な印刷適性といった観点からは、バインダー樹脂として、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂及びアルキド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、ロジン変性フェノール樹脂を含むことがより好ましい。ロジン変性フェノール樹脂及びロジン変性マレイン酸樹脂の重量平均分子量としては、特に限定されないが、1万〜30万程度を例示することができ、アルキド樹脂の重量平均分子量としては、特に限定されないが、1000〜3万程度を例示することができる。なお、樹脂の添加量としては、印刷インキ組成物全体に対して、10〜45%程度を好ましく例示できる。
バインダー樹脂は、後述する油成分とともに加熱されることにより溶解又は分散され、ワニスとされた状態で使用される。ワニスを調製する際、樹脂を溶解させて得られた溶解ワニス中に2価以上の金属アルコキシ化合物をゲル化剤として投入し、ゲル化ワニスとしてもよい。バインダー樹脂からゲル化ワニスを調製し、これをインキ組成物の調製に用いることにより、インキ組成物に適度な粘弾性を付与することができるので好ましい。
[油成分]
油成分は、バインダー樹脂を溶解させてワニスとしたり、インキ組成物の粘度を調節したりするために使用される。油成分としては、植物油及び/又は鉱物油を挙げることができ、これまでインキ組成物の調製に用いられてきたものを特に制限なく使用できる。
本発明において、植物油には、植物油の他に植物油由来の脂肪酸エステル化合物が含まれてもよい。植物油としては、大豆油、綿実油、アマニ油、サフラワー油、桐油、トール油、脱水ヒマシ油、カノーラ油等の乾性油や半乾性油等が例示される。また、植物油由来の脂肪酸エステル化合物としては、上記植物油に由来する脂肪酸のモノアルキルエステル化合物等が例示される。この脂肪酸モノアルキルエステル化合物を構成する脂肪酸としては、炭素数16〜20の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく例示され、このような飽和又は不飽和脂肪酸としては、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸等が好ましく例示される。脂肪酸モノアルキルエステル化合物を構成するアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく例示され、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が好ましく例示される。
これらの植物油は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。植物油としては、大豆油、大豆油脂肪酸エステル等が好ましく例示される。インキ組成物における植物油の含有量としては、インキ組成物全体に対して20〜60質量%程度を例示することができる。
本発明において、鉱物油としては、溶剤とも呼ばれる軽質の鉱物油や、潤滑油状である重質の鉱物油等が挙げられる。
軽質の鉱物油としては、沸点160℃以上、好ましくは沸点200℃以上の非芳香族系石油溶剤が例示される。このような非芳香族系石油溶剤としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製の0号ソルベント、同AFソルベント5号、同AFソルベント6号、同AFソルベント7号等が例示される。
重質の鉱物油としては、スピンドル油、マシン油、ダイナモ油、シリンダー油等として分類されてきた各種の潤滑油を挙げることができる。これらの中でも、米国におけるOSHA基準やEU基準に適応させるとの観点からは、縮合多環芳香族成分の含有量が抑制されたものであることが好ましい。このような鉱物油としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製のインクオイルH8、同インクオイルH35(いずれも商品名)、三共油化工業株式会社製のSNH8、同SNH46、同SNH220、同SNH540(いずれも商品名)等が例示される。
これらの鉱物油は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。インキ組成物における鉱物油の含有量としては、インキ組成物全体に対して0〜50質量%程度を例示することができる。
[極性基を備えた液状ゴム化合物]
極性基を備えた液状ゴム化合物は、ゴムとして用いられる公知のポリマーの主鎖に極性基、又は極性基を有する置換基が結合されたポリマーであり、液状を呈する化合物である。このようなポリマーは、例えば、イソプレン又はブタジエンのホモポリマーやこれらとスチレンとを共重合させて得たコポリマーに、無水マレイン酸のような酸無水物を作用させてカルボン酸変性を行うことや、カルボキシル基等といった極性基を有するイソプレン又はブタジエンを重合させること等のような公知の手法で得ることができる。また、例えば株式会社クラレからLIRシリーズやLシリーズとして市販されているものや、CRAY VALLEY社からRICONシリーズとして市販されているものを用いてもよい。なお、液状ゴム化合物における「液状」とは、固体でないとの意味であり、分子量が高く極めて粘性が高いものであったとしても、何らかの流動性を備えたものであればよい。
極性基は、やはり極性基を備えた上記バインダー樹脂と液状ゴム化合物との相溶性を高める働きを備えたものであれば特に限定されず、このような極性基の一例として、カルボキシル基、水酸基、及び2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基からなる群より選択されるものを好ましく挙げることができる。液状のゴム化合物には、これらの極性基が1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基としては、無水マレイン酸から誘導される、下記化学式(1)で表す基が好ましく挙げられる。
Figure 0006718210
液状ゴム化合物としては、ゴムとして用いられる公知のポリマーを挙げることができ、これらの中でも、イソプレン又はブタジエンのホモポリマーやこれらとスチレンとを共重合させて得たコポリマーである、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましく挙げられる。これらのゴム化合物は、液状を呈する程度の重合度であることが必要である。
以上をまとめると、極性基を有する液状ゴム化合物として、カルボキシル基を有するポリイソプレン、ポリブタジエン及びブタジエン−スチレン共重合体;2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基を有するポリイソプレン、ポリブタジエン及びブタジエン−スチレン共重合体;並びに水酸基を有するポリイソプレン、ポリブタジエン及びブタジエン−スチレン共重合体が好ましく例示される。
インキ組成物中における、極性基を備えた液状ゴム化合物の含有量は、0.5〜10質量%であり、0.5〜5質量%がより好ましく、0.5〜2質量%がさらに好ましい。インキ組成物中における、極性基を備えた液状ゴム化合物の含有量がこれらの範囲であることにより、セカンダリーパイリングを効果的に抑制できるとともに、液状ゴム化合物の添加に伴う印刷物の耐摩擦性低下を抑制することができて好ましい。
既に説明したように、上記バインダー樹脂は、上記油成分に溶解させて溶解ワニスとされ、この溶解ワニスへ2価以上の金属アルコキシ化合物をゲル化剤として投入した上で加熱することでゲル化ワニスとされてインキ組成物へ適用されることが好ましい。この場合、極性基を備えた液状ゴム化合物は、上記の溶解ワニス中へ添加され、バインダー樹脂とともに2価以上の金属アルコキシ化合物の存在下で加熱されてゲル化ワニスとされる。つまり、極性基を備えた液状ゴム化合物は、上記バインダー樹脂と上記油成分と2価以上の金属のアルコキシ化合物とともに混合及び加熱されてゲル化ワニスとなった状態で組成物に添加されることになる。極性基を備えた液状ゴム化合物がこのようにしてインキ組成物へ適用されることにより、セカンダリーパイリングを抑制する効果がさらに向上する。
なお、2価以上の金属のアルコキシ化合物としては、バインダー樹脂や液状ゴム化合物に含まれるカルボキシル基や水酸基等の極性基と反応し、これらを分子間架橋させることのできるものであれば特に限定されないが、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートが好ましく例示される。この化合物は市販されており、例えば川研ファインケミカル株式会社からALCHの商品名で販売されているものを容易に入手できる。
[その他の成分]
本発明のインキ組成物には、印刷性能を向上させる等の観点から、必要に応じて上記の各成分の他に各種成分を添加することができる。このような各種成分としては、無色顔料、リン酸塩等の塩類、ポリエチレン系ワックス・オレフィン系ワックス・フィッシャートロプシュワックス等のワックス類、アルコール類、酸化防止剤等が例示される。
無色顔料は、体質顔料とも呼ばれ、顔料成分の一つである。この無色顔料は、インキ組成物における流動性等といった特性を調節するために好ましく使用される。無色顔料としては、クレー、タルク、カオリナイト(カオリン)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、ベントナイト、酸化チタン等が例示される。無色顔料の添加量としては、インキ組成物全体に対して0〜33質量%程度が例示されるが、特に限定されない。
<オフセット印刷用インキ組成物の製造方法>
次に、上記オフセット印刷用インキ組成物の製造方法の一実施態様について説明する。以下に説明するオフセット印刷用インキ組成物の製造方法も本発明の一つである。
本発明のオフセット印刷用インキ組成物の製造方法は、上記のインキ組成物を製造するための方法であり、極性基を備えた液状ゴム化合物の存在下で、着色顔料、バインダー樹脂及び油成分を含む混合物を混練する混練工程を備えるものである。なお、以下の説明において、既に説明した上記インキ組成物と重複する内容についてはその説明を適宜省略する。
本発明の製造方法において、バインダー樹脂及び油成分は、混合及び加熱されることで溶解してワニスとされ、その状態で上記の混練工程に付されることが好ましい。ワニスとなったバインダー樹脂及び油成分は、混練工程にて着色顔料と混合され混練される。バインダー樹脂、油成分及び着色顔料については既に説明した通りである。
ワニスの調製に際しては、油成分及びバインダー樹脂を混合し、これらを撹拌しながら150〜250℃程度まで昇温させ樹脂を溶解させればよい。極性基を備えた液状ゴム化合物は、ワニスと着色顔料との混合物へ直接添加されてもよいが、ワニスを調製する際にバインダー樹脂と油成分との混合物へ添加されてゲル化ワニスとされることが好ましい。この場合、バインダー樹脂、油成分、及び極性基を備えた液状ゴム化合物が、2価以上の金属のアルコキシ化合物の存在下で混合及び加熱されるワニス調製工程を経てゲル化ワニスとされ、その状態で上記の混練工程に供されることになる。すなわち、上記の混練工程に先立ってワニス調製工程を行うことになる。
極性基を備えた液状ゴム化合物については既に説明した通りである。この極性基は、カルボキシル基、2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。また、液状ゴム化合物は、ポリイソプレン、ポリブタジエン、及びポリブタジエン−スチレン共重合物からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本実施態様のワニス調製工程では、まず、バインダー樹脂及び油成分を混合し、これらを撹拌しながら110〜250℃程度まで昇温させ、バインダー樹脂を油成分に溶解させて溶解ワニスを調製する。その際の両者の混合比は、バインダー樹脂及び油成分の総量を100質量部としたときにバインダー樹脂が20〜50質量部程度であることを好ましく例示できる。
調製された溶解ワニスに、2価以上の金属のアルコキシ化合物、及び極性基を備えた液状ゴム化合物を添加し、撹拌しながら100〜200℃程度で加熱を行いゲル化ワニスが調製される。2価以上の金属のアルコキシ化合物の添加量としては、溶解ワニスの総量を100質量部としたときに0.5〜5質量部程度を例示できる。また、極性基を備えた液状ゴム化合物の添加量としては、最終的に調製されたインキ組成物中における液状ゴム化合物の含有量が0.5〜10質量%となることを考慮して適宜決定すればよいが、溶解ワニスの総量を100質量部としたときに1〜20質量部程度が好ましく例示され、溶解ワニスの総量を100質量部としたときに2〜10質量部程度がより好ましく例示される。2価以上の金属のアルコキシ化合物、及び極性基を備えた液状ゴム化合物については、既に説明した通りである。ワニス調製工程で調製されたゲル化ワニスは、混練工程に付される。
混練工程では、上記のゲル化ワニス及び着色顔料を混合し、混練することにより着色顔料を分散させて顔料分散組成物を調製する。既に説明したように、上記のゲルワニスにはバインダー樹脂、油成分、及び極性基を備えた液状ゴム化合物が含まれるので、本工程における操作は、極性基を備えた液状ゴム化合物の存在下で、着色顔料、バインダー樹脂及び油成分を含む混合物を混練するという内容になる。なお、上記のワニス調製工程と異なる手順でワニスを調製した結果、用いるワニスが、極性基を備えた液状ゴム化合物を含まないものである場合、本工程における上記混合物へ直接当該液状ゴム化合物を添加すればよい。この場合の液状ゴム化合物の添加量は、上記のように、最終的なインキ組成物中における液状ゴム化合物の含有量が0.5〜10質量%となるように適宜決定すればよい。
着色顔料とゲル化ワニスとを混合し混練するに際して、用いる着色顔料は、プレスケーキであってもパウダー状のものであってもよい。なお、最終的なインキ組成物における諸特性を考慮して、本工程では、上記ゲル化ワニスに加えて溶解ワニスを組み合わせて用いることができる。そこで、以下の説明では、ゲル化ワニスと溶解ワニスとを併せて単にワニスとも呼ぶ。
着色顔料としてプレスケーキを用いる場合、そのプレスケーキとワニスとを十分に混合させ、その後、プレスケーキに由来する水分を混合物から除去すればよい。プレスケーキとワニスとを混合するには、ニーダーや高速撹拌装置を用いることができる。混合物から水分を除去するには、混合物を密閉容器に収容し減圧状態で加温すればよい。ニーダーや高速撹拌装置を用いて混合するときにプレスケーキに含まれていた水分が分離してきた場合には、減圧状態で水分を除去するのに先立ってこれを傾斜排水しておいてもよい。水分を除去された上記混合物が本工程の目的物となる顔料分散組成物となる。
着色顔料としてパウダー状のものを用いる場合、着色顔料とワニスとを十分に混合させ、得られた混合物を混練して着色顔料の分散を行えばよい。着色顔料とワニスとを混合するには、高速撹拌装置を用いることができる。得られた混合物を混練するには、三本ロールミルやビーズミル等の混練装置を用いることができる。グラインドゲージを用いて顔料分散の程度を適宜調べ、所望の顔料分散となるまで混練を行うことで本工程の目的物となる顔料分散組成物が得られる。
このようにして得られた顔料分散組成物に、必要に応じて、既に説明したその他の成分を加え、さらに上記油成分を添加して組成物が所望の粘度となるまで粘度調製を行うことで、本発明のインキ組成物が調製される。粘度は、インキ組成物が適用される印刷機やハンドリング性等を考慮して適宜設定すればよいが、一例として、ラレー粘度計による25℃での値が2.0〜20Pa・sであることを挙げられるが、特に限定されない。
このように、本発明の製造方法によれば、既に説明した本発明のインキ組成物が得られる。上記の実施態様では、極性基を備えた液状ゴム化合物を含んだ状態でワニスのゲル化を行ったが、これに限らず、混練工程にて極性基を備えた液状ゴム化合物を添加してもよい。ただ、前者の製造方法を採用したほうが、よりセカンダリーパイリングを抑制する効果の高いインキ組成物が得られるので好ましい。
<オフセット印刷用インキ組成物調製用のゲル化ワニスの製造方法>
上記オフセット印刷用インキ組成物の製造方法におけるワニス調製工程で説明した、ゲル化ワニスの製造方法も本発明の一つである。このゲル化ワニスの製造方法は、極性基を備えた液状ゴム化合物の存在下で、バインダー樹脂、油成分及び2価以上の金属のアルコキシ化合物を混合及び加熱することを特徴とする。この製造方法で得られたゲル化ワニスを用いてインキ組成物を調製すると、既に述べたように、セカンダリーパイリングを抑制する効果の高いインキ組成物を得ることができる。
極性基を備えたゴム化合物は既に述べた通りである。この極性基は、カルボキシル基、2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。また、液状ゴム化合物は、ポリイソプレン、ポリブタジエン、及びポリブタジエン−スチレン共重合物からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
本発明のオフセット印刷用インキ組成物調製用のゲル化ワニスの製造方法の詳細、及びそれによりゲル化ワニスの使用方法については、上記オフセットインキ組成物の製造方法にて説明した通りであるのでここでの説明を省略する。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は質量部を意味する。
[インキ組成物用ワニス1の調製(カルボキシル基を有する液状ポリイソプレン8%)]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、重量平均分子量10万のロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業株式会社製)35部、マレイン酸変性液状ポリイソプレン(カルボキシル基を有する液状ポリイソプレン、株式会社クラレ製、商品名:LIR−410)8部、大豆油20部及びAFソルベント7号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)36.5部を仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させ、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.5部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持することでゲル化ワニスであるインキ組成物用ワニス1(以下、ワニス1と呼ぶ。)を得た。
[インキ組成物用ワニス2の調製(カルボキシル基を有する液状ポリイソプレン5.5%)]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、上記ロジン変性フェノール樹脂35部、上記マレイン酸変性液状ポリイソプレン5.5部、大豆油20部及びAFソルベント7号39部を仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させ、上記ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートを0.5部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持することでゲル化ワニスであるインキ組成物用ワニス2(以下、ワニス2と呼ぶ。)を得た。
[インキ組成物用ワニス3の調製(カルボキシル基を有する液状ポリイソプレン3%)]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、上記ロジン変性フェノール樹脂35部、上記マレイン酸変性液状ポリイソプレン3部、大豆油20部及びAFソルベント7号41.4部を仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させ、上記ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートを0.6部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持することでゲル化ワニスであるインキ組成物用ワニス3(以下、ワニス3と呼ぶ。)を得た。
[インキ組成物用ワニス4の調製(カルボキシル基を有する液状ポリイソプレン0%)]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、上記ロジン変性フェノール樹脂35部、大豆油20部及びAFソルベント7号44部を仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させ、上記ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートを1部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持することでゲル化ワニスであるインキ組成物用ワニス4(以下、ワニス4と呼ぶ。)を得た。
[インキ組成物用ワニス5の調製(上記化学式(1)で表す基を有する液状ポリイソプレン3%)]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、上記ロジン変性フェノール樹脂35部、上記化学式(1)で表す基を有する液状ポリイソプレン(株式会社クラレ製、商品名:LIR−403)3部、大豆油20部及びAFソルベント7号41.4部を仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させ、上記ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートを0.6部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持することでゲル化ワニスであるインキ組成物用ワニス5(以下、ワニス5と呼ぶ。)を得た。
[インキ組成物用ワニス6の調製(上記化学式(1)で表す基を有する液状ポリブタジエン3%)]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、上記ロジン変性フェノール樹脂35部、上記化学式(1)で表す基を有する液状ポリブタジエン(CLAY VALLEY社製、商品名:RICON121MA5)3部、大豆油20部及びAFソルベント7号41.4部を仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させ、上記ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートを0.6部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持することでゲル化ワニスであるインキ組成物用ワニス6(以下、ワニス6と呼ぶ。)を得た。
[インキ組成物用ワニス7の調製(上記化学式(1)で表す基を有する液状ブタジエン−スチレン共重合物3%)]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、上記ロジン変性フェノール樹脂35部、上記化学式(1)で表す基を有する液状ブタジエン−スチレン共重合物(CLAY VALLEY社製、商品名:RICON186MA6)3部、大豆油20部及びAFソルベント7号41.4部を仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させ、上記ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートを0.6部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持することでゲル化ワニスであるインキ組成物用ワニス7(以下、ワニス7と呼ぶ。)を得た。
[インキ組成物用ワニス8の調製(水酸基を有する液状ポリブタジエン3%)]
冷却管、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、上記ロジン変性フェノール樹脂35部、水酸基を有する液状ポリブタジエン(株式会社クラレ製、商品名:L−1203)3部、大豆油20部及びAFソルベント7号41.4部を仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させ、上記ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートを0.6部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持することでゲル化ワニスであるインキ組成物用ワニス8(以下、ワニス8と呼ぶ。)を得た。
実施例3、参考例1〜2、及び比較例1のインキ組成物の調製]
表1に示す処方で鉱物油を除く各材料を80℃で20分間混合し、三本ロールで練肉した。その後、表1に示す処方で鉱物油を添加して混合することで実施例3、参考例1〜2、及び比較例1のインキ組成物を調製した。表1に記載した配合量はいずれも質量部である。表1において、「ワニス1」〜「ワニス4」は上記手順にて調製されたワニスであり、「カーボンブラック」は三菱化学株式会社製のカーボンブラックMA−7であり、「炭酸カルシウム」は白石カルシウム株式会社製の白艶華DDであり、「鉱物油」はJX日鉱日石エネルギー株式会社製のAFソルベント7号である。また、表1において「カルボン酸イソプレン含有量」は、インキ組成物中に含まれる、カルボキシル基を有する液状ポリイソプレンの量(質量%)である。
Figure 0006718210
参考例4、及び比較例2〜3のインキ組成物の調製]
表2に示す処方で鉱物油、カルボン酸イソプレン、非カルボン酸イソプレン及びブタジエン−イソプレン共重を除く各材料を80℃で20分間混合し、三本ロールで練肉した。その後、表2に示す処方で鉱物油、カルボン酸イソプレン、非カルボン酸イソプレン及びブタジエン−イソプレン共重を添加して混合することで参考例4、及び比較例2〜3のインキ組成物を調製した。表2に記載した配合量はいずれも質量部である。表2において、「カーボンブラック」、「ワニス4」、「炭酸カルシウム」、「鉱物油」及び「カルボン酸イソプレン含有量」は表1と同様であり、「カルボン酸イソプレン」はマレイン酸変性された液状ポリイソプレン(カルボキシル基を有する液状ポリイソプレン、株式会社クラレ製、商品名:LIR−410)であり、「非カルボン酸イソプレン」は液状ポリイソプレン(カルボキシル基をもたない液状ポリイソプレン、株式会社クラレ製、商品名:LIR−30)であり、「ブタジエン−イソプレン共重」はブタジエン及びイソプレンの液状共重合物(カルボキシル基をもたない液状共重合体、株式会社クラレ製、商品名:LIR−390)である。調製されたインキ組成物のうち、比較例2及び3については油成分が分離しており印刷には適さないものだった。
Figure 0006718210
[実施例5及び7、並びに参考例6及び8のインキ組成物の調製]
表3に示す処方で鉱物油を除く各材料を80℃で20分間混合し、三本ロールで練肉した。その後、表3に示す処方で鉱物油を添加して混合することで実施例5及び7、並びに参考例6及び8のインキ組成物を調製した。表3に記載した配合量はいずれも質量部である。表3において、「ワニス5」〜「ワニス8」は上記手順にて調製されたワニスであり、「カーボンブラック」、「炭酸カルシウム」、「鉱物油」は表1と同様である。また、表3において、「極性ゴム化合物含有量」は、インキ組成物中に含まれる、極性基を備えた液状ゴム化合物の量(質量%)である。各実施例で用いている極性基を有する液状ゴム化合物は、実施例5が上記化学式(1)で表す基を有する液状ポリイソプレンであり、参考例6が上記化学式(1)で表す基を有する液状ポリブタジエンであり、実施例7が上記化学式(1)で表す基を有する液状ブタジエン−スチレン共重合物であり、参考例8が水酸基を有する液状ポリブタジエンである。
Figure 0006718210
[セカンダリーパイリング評価]
二色印刷可能な試験用オフセット輪転機の1胴目(すなわち1色目)として上記実施例3、実施例5、実施例7、参考例1〜2、参考例4、参考例6、参考例8及び比較例1のいずれかのインキ組成物を入れ、2胴目にはインキ組成物を入れずにブランケットを印刷用紙に接触させた状態とし、印刷用紙として塗工紙を用いて2万部の試験印刷を行った。印刷完了後に、2胴目のブランケットに溜まったインキ組成物の状態を目視及び指触で観察し、下記の基準で評価を行った。その結果を表4の「セカンダリーパイリング評価」欄に示す。なお、比較例2及び3のインキ組成物については、上記のように印刷に適さないものだったので本評価を行っていない。
○:ブランケットに溜まったインキ組成物は油状で、固着していない
△:ブランケットへの固着は観察されたが軽度であり、容易に除去できる
×:ブランケットへの著しい固着が観察された
[耐摩擦性評価]
実施例3、実施例5、実施例7、参考例1〜2、参考例4、参考例6、参考例8及び比較例1の各インキ組成物のそれぞれについて展色物を作製し、その耐摩擦性を調べた。まず、インキ組成物の試料0.1ccをRI展色機(2分割ロール、株式会社明製作所製)を用いて塗工紙に展色し、紙面温度が95℃に達する条件で乾燥させた後すぐに学振式耐摩試験機で耐摩擦性の評価を行った。評価の条件は、塗工紙を摩擦材として用い、荷重200g、往復10回の条件とした。その後、摩擦材に付着したインキ組成物の状態を目視で観察し、下記の基準で評価を行った。その結果を表4の「耐摩擦性評価」欄に示す。なお、比較例2及び3のインキ組成物については、上記のように印刷に適さないものだったので本評価を行っていない。
○:摩擦材へのインキ組成物の付着は多くなく、良好である
△:摩擦材へのインキ組成物の付着がある程度観察されたが、展色面への影響はない
×:展色面においてインキ組成物の剥がれが観察された
Figure 0006718210
表4に示すように、本発明のインキ組成物によればセカンダリーパイリングが効果的に抑制され、また、保存中の成分分離が抑制されて保存安定性も良好であることがわかる。さらに、インキ組成物中における液状ゴム化合物の含有量が2質量%以下であれば耐摩擦性も良好な状態に維持できてより好ましいことがわかる。

Claims (6)

  1. 着色顔料と、バインダー樹脂と、油成分と、を含んでなるオフセット印刷用インキ組成物であって、さらに、極性基を備えた液状ゴム化合物を組成物中に0.5〜2質量%含み、前記液状ゴム化合物が、前記バインダー樹脂と前記油成分と2価以上の金属のアルコキシ化合物とともに混合及び加熱されてゲル化ワニスとなった状態で組成物に添加されたものであることを特徴とし、前記液状ゴム化合物が、ポリイソプレン、及びポリブタジエン−スチレン共重合物からなる群より選択される少なくとも1つであるオフセット印刷用インキ組成物。
  2. 前記極性基が、カルボキシル基、2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1つである請求項1記載のオフセット印刷用インキ組成物。
  3. 極性基を備えた液状ゴム化合物の存在下で、着色顔料、バインダー樹脂及び油成分を含む混合物を混練する混練工程を備え、組成物中の前記液状ゴム化合物の含有量が0.5〜2質量%であり、前記バインダー樹脂、前記油成分及び前記極性基を備えた液状ゴム化合物が、2価以上の金属のアルコキシ化合物の存在下で混合及び加熱されるワニス調製工程を経てゲル化ワニスとされ、その状態で前記混練工程に供されることを特徴とし、前記液状ゴム化合物が、ポリイソプレン、及びポリブタジエン−スチレン共重合物からなる群より選択される少なくとも1つであるオフセット印刷用インキ組成物の製造方法。
  4. 前記極性基が、カルボキシル基、2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1つである請求項記載のオフセット印刷用インキ組成物の製造方法。
  5. 極性基を備えた液状ゴム化合物の存在下で、バインダー樹脂、油成分及び2価以上の金属のアルコキシ化合物を混合及び加熱し、前記液状ゴム化合物が、ポリイソプレン、及びポリブタジエン−スチレン共重合物からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とするオフセット印刷用インキ組成物調製用のゲル化ワニスの製造方法。
  6. 前記極性基が、カルボキシル基、2つのカルボキシル基が脱水縮合してなる酸無水物基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1つである請求項記載のオフセット印刷用インキ組成物調製用のゲル化ワニスの製造方法。
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