JP5485610B2 - 浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物 - Google Patents

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本発明は、新聞、コミック、週刊誌、電話帳等の低い紙質の印刷用紙に印刷するための浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物に関する。
さらに詳しくは、印刷時、版面に残った余剰のインキ組成物が水付けゴムローラー等に堆積し、さらに堆積したインキの粘度が上昇することにより発生する印刷物の汚れを抑制することができる浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物に関する。
オフセット印刷は、油性インキが水と反発する性質を利用して、凹凸のない印刷版で印刷することを特徴とした印刷方式である。
上記印刷版は、親油性の画像部と、親水性の非画像部とが形成され、画像部には油性インキ、非画像部には湿し水と呼ばれる水性成分がそれぞれ付着する。
このような印刷版を用いてオフセット印刷は、以下のように行われる。
先ず、湿し水が、水付けクロムローラー、ゴムローラー(ない場合もある)、水付けゴムローラーの順に伝播して印刷版に供給され、非画像部が湿し水で湿潤された状態となる。
次に、油性インキが、インキ壷から、インキ壷ローラー、複数のインキ練りローラー、インキ付けローラーの順に伝播して印刷版に供給される。このとき、湿し水で湿潤された親水性の非画像部では、油と水の反発からインキが付着せず、画像部のみに油性インキが付着するため、印刷版面にインキ画像が形成される。
更に、その印刷版のインキ画像を、ブランケット、紙に順次転移させて印刷が行われる。
そして、オフセット印刷方式は、印刷版の製版が比較的簡単で、得られる印刷物は美粧性が高く、さらに高速で大量の印刷物を印刷するのに適するという特徴がある。そこで、この様な特徴を生かして、オフセット印刷方式は、パンフレット、ポスター、カレンダーなどの高い美粧性が要求される分野から、新聞、雑誌、電話帳など、そこそこの印刷品質であっても大量に印刷される分野まで広く利用されている。
またオフセット印刷用インキの乾燥形態としては、酸化重合、溶剤成分の蒸発、流動成分の浸透、活性エネルギー線照射による硬化反応等に大別される。新聞や電話帳の印刷は、コストを抑えて大量に印刷するという特徴から、被印刷体としては一般的に繊維が粗く多孔質の紙が利用される。それに応じて、印刷後すぐに流動成分が紙中に浸透することにより、高速印刷の間でもセットあるいは乾燥することが可能な浸透乾燥型のインキが利用されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、オフセット印刷方式では、版面に供給されたインキがブランケットに接触した際に全て転移するわけではなく、ブランケットに転移する分と版面に付着したまま残る分の両方に分配される。そして、版面と水付けゴムローラーとは常に接触しているため、印刷後に版面に付着したまま残った余剰のインキが水付けゴムローラー側に堆積するという現象が起こることがあった。特に印刷速度が高速になると、インキの構造粘性が崩れて低粘度化し、転移量が低下する傾向があるため、版面にインキの供給量を多くして対応しようとすると、余剰のインキ量も増加することになり、水付けゴムローラー側により堆積しやすくなるという問題があった。
以上のような状況で、従来の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物を使用して印刷を行うと、さらに堆積したインキの粘度が上昇して固着し、その固着したインキが版やブランケットに転移し汚れや着肉不良等による印刷品質の著しい低下がみられるようになるという問題があった。
この問題を解決するために、従来、低粘度のインキ組成物を利用する方法等で対応しているが、汚れなどが発生する粘度まで増粘の間の時間が延びることはあっても、根本的な問題の解決には至っていない。したがって、汚れなどが発生する粘度に近づくと、印刷を停止してゴムローラーや水付けゴムローラーの洗浄を余儀なくされるという問題を有していた。
特開2003−253164号公報
そこで本発明の課題は、オフセット印刷において、余剰のインキが水付けゴムローラー側に堆積しても、該堆積したインキの粘度上昇を抑えることができ、印刷品質の低下を充分に抑制できる浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物を得ることである。
そこで、本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物中の顔料に対して、特定量のカシューナットシェルオイルを含有させることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)少なくとも、顔料、バインダー樹脂、および油性分を含有する浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物であって、さらにカシューナットシェルオイルを上記顔料100質量部に対して、0.5〜6.0質量部含有することを特徴とする浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物に関する。
また、本発明は、(2)上記カシューナットシェルオイルの含有量が、上記顔料100質量部に対して、1.0〜5.0質量部である上記(1)項に記載の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物に関する。
また、本発明は、(3)上記カシューナットシェルオイルの含有量が、上記顔料に対して、2.0〜5.0質量部である上記(1)項または(2)項に記載の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物に関する。
以下、本発明の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物について具体的に説明する。
本発明は、顔料、バインダー樹脂、油性分、およびカシューナットシェルオイルを含有する浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物である。
本発明の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物を構成する顔料としては、従来からこのタイプのインキに使用されている有機、無機顔料が使用できる。
上記顔料としては、具体的には、イエロー顔料としては、例えば、ジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー等が挙げられる。
また、マゼンタ顔料としては、例えば、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド等が挙げられる。
また、シアン顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー等が挙げられる。
また、ブラック顔料としては、例えば、ファーネスカーボンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
なお、イエロー顔料を使用してイエロー印刷インキ組成物を、マゼンタ顔料を使用してマゼンタ印刷インキ組成物を、シアン顔料を使用してシアン印刷インキ組成物を、ブラック顔料を使用してブラック印刷インキ組成物を得る場合は、補色顔料として他の顔料を併用することも可能である。
上記顔料の使用量は、浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物中に、5〜30質量%の範囲で使用することが好ましい。上記顔料が5質量%未満であると、充分な濃度の印刷物を得ることができないことがあり、30質量%を超えると、流動性不良などを引き起こす場合があり、より好ましい下限は質量10%、より好ましい上限は25質量%である。
また、顔料固形分の増加、増粘および水幅調整のため、上記顔料以外に、必用に応じて、着色力のないクレー、タルク、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、ベントナイト、酸化チタンなどの体質顔料を浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物中に0〜35質量%の範囲で併用してもよい。
次に、本発明の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物を構成するバインダー樹脂としては、従来からこのタイプの印刷インキ組成物に使用されているバインダー樹脂が使用できる。
上記バインダー樹脂として、具体的には、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、石油樹脂、ロジン変性石油樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、アクリル変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂(アルキッド樹脂としては、植物油変性アルキッド樹脂も含む)、ギルソナイト樹脂(ギルソナイト樹脂としては、ギルソナイトつまり天然アスファルタムから抽出された軟化点120〜125℃の炭化水素樹脂も含む)などが挙げられる。
次に、本発明の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物を構成する油性分としては、従来からこのタイプの印刷インキ組成物に使用されている植物油成分及び/又は鉱物油成分が使用できる。
上記植物油成分としては、植物油および/または植物油由来の脂肪酸エステルが好適である。植物油としては、例えば、大豆油、綿実油、アマニ油、サフラワー油、桐油、トール油、脱水ヒマシ油、カノーラ油などの乾性油または半乾性油が例示でき、また、植物油由来の脂肪酸エステル化合物としては、例えば、上記植物油由来の脂肪酸のモノアルキルエステル化合物が挙げられる。
上記脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数16〜20の飽和または不飽和脂肪酸が好ましく、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸などが例示できる。上記脂肪酸エステルを構成するアルコール由来のアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシルなどのアルキル基が例示できる。
これら植物油や植物油由来の脂肪酸エステルからなる植物油成分は、要求される溶解性や性能に応じて、単独で、または、2種以上を組み合わせて使用できる。好ましい植物油成分は、大豆油および/または大豆油脂肪酸エステルである。
また、上記鉱物油成分としては、水と相溶しない沸点160℃以上、好ましくは沸点200℃以上の非芳香族系石油溶剤が使用できる。非芳香族系石油溶剤の具体例としては、0号ソルベント、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号(以上、いずれも新日本石油(株)製)などが挙げられる。
これら鉱物油成分は、要求される溶解性や性能に応じて、単独で、または、2種以上を組み合わせて使用できる。
次に、本発明の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物を構成するカシューナットシェルオイルは、カシューナットの実の殻に含まれる油状の液体であり、カシューナットシェルリキッドや簡略的にカシューオイルとも呼ばれている。
上記カシューナットシェルオイルの製法としては、溶剤による抽出法と加熱法があるが、加熱法が一般的である。なお、加熱法の場合の主成分はカルダノールとカルドールである。
本発明において、上記カシューナットシェルオイルの含有量は、浸透乾燥型オフセット印刷用インク組成物に使用する顔料100質量部に対して、0.5〜6質量部であり、好ましくは1.0〜5.0質量部、より好ましくは2.0〜5.0質量部である。上記含有量が0.5質量部未満では、本発明の効果が十分に得られない。一方、上記含有量が6質量部を超えると、ローラースリップ等が発生する。
次に、本発明の浸透乾燥型印刷用インキ組成物には、上記構成成分以外に、必要に応じて、界面活性剤、リン酸塩などの整面助剤、ポリエチレン系ワックス、オレフィン系ワックス、フィッシャートロプシュワックスなどのワックス類、アルコール類、酸化防止剤などの添加剤を使用することができる。さらに、ゲル化剤を使用して、バインダー樹脂の全部または一部をゲル化して使用してもよい。
上記構成材料を用いて、本発明の浸透乾燥型印刷用インキ組成物を製造するには、従来公知の方法が使用できる。例えば、顔料、バインダー樹脂、油成分、カシューナットシェルオイル、必要に応じて体質顔料を、ビーズミルや3本ロールミルなどで練肉分散させた後、必要に応じて油成分、カシューナットシェルオイル、添加剤(酸化防止剤、アルコール類、ワックス類など)などを加えて、好ましくは、ラレー粘度(25℃)8〜15Pa・sとなるように調整することにより製造する方法などが挙げられる。
本発明の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物は、上述した構成からなるので、オフセット印刷において、余剰のインキが水付けゴムローラー側に堆積しても、該堆積したインキの粘度上昇を抑えることができ、印刷品質の低下を充分に抑制できる。
実施例1〜4及び比較例1に係る流動性の結果を示すグラフである。
以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は質量部を意味する。
<油性印刷用ワニスの調製>
コンデンサー、温度計、及び撹拌機を装着した四つ口フラスコにロジン変性フェノール樹脂(星光ポリマー(株)製OR−357、分子量78,000、酸価15.0)41質量部、大豆油58質量部を仕込み、230℃に昇温した後、同温度で60分間撹拌して油性印刷用ワニスを得た。
<オフセット印刷用インキベースの調製>
油性印刷用ワニス52部質量部に、アルキッド樹脂3質量部、紅顔料(ブリリアントカーミン6B)を25質量%含有するプレスケーキ(住化カラー(株)製)108質量部、酸化防止剤2質量部及び大豆油16質量部を加え、フラッシャー(ニーダー)でフラッシングし、フラッシングして得られる組成物中の水の含有量が、2質量%以下になるまで脱水し、オフセット印刷用インキベースを得た。
<オフセット印刷用体質ベースの調製>
油性印刷用ワニス40部質量部に、炭酸カルシウム顔料を50質量部、酸化防止剤2質量部及び大豆油8質量部を加え、その後、45℃の3本ロールミル(井上機械製)を用いて、グラインドメーターによる粒子径測定で5μm以下となるまで練肉分散を行ないオフセット印刷用インキベースを得た。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
上記オフセット印刷用のインキベースおよび体質ベースを用いて、以下の表1に従って各材料を混合攪拌し、実施例1〜4、比較例1〜3の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物を調製した。なお、カシューナットシェルオイル(表中、CNSLと記載)は東振化学株式会社製のものを使用した。
Figure 0005485610
(評価)
実施例及び比較例に係る浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物を用いて以下の評価を行った。
(流動性)
実際の印刷時にインキと湿し水が乳化することを想定し、リソブレイクテスター(THWING ALBERT INSTRUMENT COMPANY社製)を用いて、湿し水(サイファ TP−3(サカタインクス(株)製)のイオン交換水による100倍希釈液)100質量部を実施例1〜4、比較例1〜3の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物1.0質量部に加えて、常温下、10分間180rpmで乳化させた後、その浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物を採取して、レオメーターでせん断速度に対する浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物のせん断応力を測定した。
なお、せん断応力測定は以下の条件で測定した。
レオメーター:TA INSTRUMENTS AR 2000 RHEOMETER
プレート:コーン20mm
測定温度:50℃
実施例1〜4及び比較例1に係る結果を図1に示す。
ここで、新聞印刷等において、インキ組成物が水付けゴムローラーに堆積した後に増粘し、汚れが発生する現象をそのまま再現させる印刷試験は、超高速印刷機と多量の印刷用紙を必要とするため、設備的にも困難である。しかしながら、増粘する傾向は流動特性の一つであるせん断速度−せん断応力曲線の挙動と高い相関関係を示し、せん断速度の低い領域から高い領域にかけてせん断応力の変化が少ないインキ組成物は増粘が抑えられるという知見が得られている。なお、せん断速度−せん断応力曲線において、曲線上のある点に対して、接線の傾きがそのせん断速度におけるインキ組成物の粘度に相当することから、せん断応力の変化が少ないことは、接線の傾き、すなわち粘度の変化も少ないことを意味する。
インキ組成物は固体と液体の材料の混合物であり、時間とともに疑似架橋と推測される構造を形成して見かけの粘度が高くなる。しかし、せん断速度の低い領域から高い領域に移行するにつれて、疑似架橋構造が崩れてインキ組成物は低粘度化し、逆にせん断速度の高い領域から低い領域に戻ると、時間とともに疑似架橋構造が再構築されて高粘度化するようになる。したがって、せん断速度の低い領域と高い領域で粘度変化の大きなインキ組成物ほど、せん断速度の低い領域に戻ったときの増粘の割合は大きくなると言える。
実際の印刷に当てはめてみると、まず、版面に供給されたインキ組成物が水付けゴムローラーに堆積する場合、せん断速度の高い領域から低い領域に移行すると考えられる。先に記載したとおり、せん断速度の低い領域から高い領域にかけてせん断応力の変化(粘度の変化)が少ない(かつ、全領域で低いせん断応力を示す)インキ組成物は、時間が経過しても増粘が起こりにくいことは上記の理屈に適合する。そこで、この様な観点から、簡易的な試験としてレオメーターを用いた時の、各インキ組成物の各せん断速度に対するせん断応力の測定結果から次のように判断した。
図1より、カシューナットシェルオイルなしの比較例1のインキ組成物は、せん断速度の高い領域から低い領域に移行すると粘度の変化(増粘)が大きく、通常のインキ材料では低粘度維持の効果が認められないのに対して、カシューナットシェルオイルを添加した実施例1〜4はせん断速度の高い領域から低い領域に移行しても、粘度の変化が少ないことが確認された。そして、特に効果が大きいのは2%以上である。
<オフセット印刷用インキ組成物の印刷適性>
実施例1〜4、比較例1〜3のオフセット印刷用インキ組成物の印刷適性(耐汚れ性)は、東浜輪転印刷機(東浜精機(株))で実際に印刷して調べた。印刷試験は、湿し水供給ダイヤルを30と60とにした状態で実施し、印刷紙面に汚れが生じるか否かによって判定した。試験の結果を表2に示す。表中の印刷適性を以下の評価基準で評価した。
なお、印刷試験を実施した際の条件は以下の通りである。
印刷機:東浜輪転印刷機(東浜精機(株))
湿し水:サイファTP−3(湿し水中濃度 1%)(サカタインクス(株)製)
印刷速度:6万部/時
温度/湿度:25℃/60%
印刷用紙:王子SL新聞巻き取り紙(王子製紙(株))
評価基準
○:非画線部全体に占める汚れの部分の面積が10%未満
△:汚れの部分の面積が10%以上30%未満
×:汚れの部分の面積が30%以上
Figure 0005485610
実施例の結果より、カシューナットシェルオイルが顔料100質量部に対して0.5〜6.0質量部の範囲内にあると、余剰のインキが水付けゴムローラー側に堆積しても粘度上昇することに由来する汚れに効果があり、2〜5質量部の範囲内であると、更に良好な効果を示した。一方、比較例の結果より、カシューナットシェルオイルの含有量が上記範囲を外れると、乳化率の上昇により汚れが目立つようになる。0.5%未満では粘度上昇により汚れが際立つ。
通常、高い乳化率に由来する印刷汚れの場合は、印刷水量を増やすことよって汚れは解消するが、版やブランケットに硬く固着したインキに由来する場合は、水を増やしても汚れが解消することがなく、印刷機を止めて洗浄をする必要がある。顔料に対するカシューナットシェルオイルが2質量部未満では(実施例1、2)、無添加のもの(比較例1)と乳化率はほぼ同じであるが、無添加のものに比べ汚れの改善が見られた。しかしながら、水量を増やしても汚れは解消しなかった。
顔料に対するカシューナットシェルオイルが2〜5質量部の範囲内では(実施例3、4)、無添加のもの(比較例1)と乳化率はほぼ同じであるが、汚れの解消が確認できた。顔料に対するカシューナットシェルオイルが10%、20%のもの(比較例2、3)は、無添加のもの(比較例1)に対して乳化率が高く汚れが確認されたが、水量を増やすと汚れの解消が確認された。
本発明の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物は、上述した構成からなるので、オフセット印刷において、余剰のインキが水付けゴムローラー側に堆積しても、該堆積したインキの粘度上昇を抑えることができ、印刷品質の低下を充分に抑制できる。

Claims (3)

  1. 少なくとも、顔料、バインダー樹脂、および油性分を含有する浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物であって、
    さらにカシューナットシェルオイルを前記顔料100質量部に対して、0.5〜6.0質量部含有することを特徴とする浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物。
  2. 前記カシューナットシェルオイルの含有量が、前記顔料100質量部に対して、1.0〜5.0質量部である請求項1に記載の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物。
  3. 前記カシューナットシェルオイルの含有量が、前記顔料100質量部に対して、2.0〜5.0質量部である請求項1または2に記載の浸透乾燥型オフセット印刷用インキ組成物。
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