本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、それぞれの実施の形態に係る旋回駆動装置が搭載される旋回式作業機械の一例である油圧クレーン1を示す。この油圧クレーン1は、旋回体10と、当該旋回体10を旋回可能に支持する支持本体と、を備える。当該支持本体は、当該油圧クレーン1においては地面上を走行可能な走行体2である。
前記旋回体10は、前記走行体2に支持される旋回フレーム11と、当該旋回フレーム11の前部に搭載されて運転室を画定するキャブ12と、当該キャブ12の側方で前記旋回フレーム11に起伏可能に連結されるブーム13と、ブーム起伏装置と、吊り荷昇降装置と、を含む。
前記ブーム起伏装置は、前記旋回フレーム11上に立設されるガントリ14と、複数のシーブを含んで前記ガントリ14の頂部に連結される上部スプレッダ15Aと、複数のシーブを含んで前記ブーム13の頂部にガイライン15Cを介して連結される下部スプレッダ15Bと、前記上部スプレッダ15Aに含まれる前記シーブと前記下部スプレッダ15Bに含まれる前記シーブとの間に掛け渡されるブーム起伏ロープ17と、前記旋回フレーム11に搭載されるブーム起伏ウィンチ16と、を有する。当該ブーム起伏ウィンチ16は前記ブーム起伏ロープ17の巻取り及び巻出しを行うことにより前記ブーム13を起伏させる。
前記吊り荷昇降装置は、前記ブーム13の先端に設けられたブームポイントシーブ132から垂下する垂下部分19Aを有する吊り荷ロープ19と、前記垂下部分19Aの下端に接続される吊り荷用フック19Fと、前記旋回フレーム11上に搭載される吊り荷用ウィンチ18と、を有する。当該吊り荷用ウィンチ18は、前記吊り荷ロープ19の巻取り及び巻出しを行うことにより前記吊り荷用フック19F及びこれに係合される吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。
次に、前記油圧式クレーン1に搭載されて前記旋回体10を旋回させる旋回駆動装置であって本発明の第1の実施の形態に係る旋回駆動装置を、図2〜図6を併せて参照しながら説明する。
図2は、前記第1の実施の形態に係る旋回駆動装置の主要な構成要素を示す油圧回路図である。当該旋回駆動装置は、油圧ポンプ20と、旋回モータ22と、パイロット油圧源24と、旋回操作レバー26と、旋回パイロット弁28と、コントロールバルブ30と、左旋回減圧弁36Aと、右旋回減圧弁36Bと、複数のセンサと、コントローラ40と、警告装置50と、を備える。
前記油圧ポンプ20は、図示されない駆動源であるエンジンに連結され、タンク内の作動油を吸入して吐出するように駆動される。
前記旋回モータ22は、油圧モータからなり、前記旋回体10に減速機構を介して連結された出力軸を有する。当該旋回モータ22は、前記油圧ポンプ20により吐出される作動油の供給を受けることにより、当該作動油の流れ方向に対応した旋回方向に当該作動油の流量に対応した速度で前記旋回体10を旋回させるように作動する。具体的に、当該旋回モータ22は、左旋回ポート22a及び右旋回ポート22bを有し、左旋回ポート22aに作動油が供給されると右旋回ポート22bから作動油を排出しながら前記旋回体10を左旋回させるように作動し、逆に右旋回ポート22bに作動油が供給されると左旋回ポート22aから作動油を排出しながら前記旋回体10を右旋回させるように作動する。
前記コントロールバルブ30は、前記油圧ポンプ20と前記旋回モータ22との間に介在し、パイロット圧の供給を受けることにより当該パイロット圧の供給を受けない中立状態から作動して当該油圧ポンプ20から当該旋回モータ22に供給される作動油の流れ方向及び流量を変化させる機能と、逆に前記中立状態に復帰するのに従って前記旋回モータ22に制動を与える機能と、を有する。
具体的に、この実施の形態に係るコントロールバルブ30は、互いに直列に配置された方向制御バルブ部32とブレーキバルブ部34とを有し、これらの方向制御バルブ部32及びブレーキバルブ部34に共通のパイロット圧が供給される。
前記方向制御バルブ部32は、パイロット操作式の3位置方向切換弁からなり、かつ、そのストロークに応じて作動油の流量を変化させる流量調節機能を有する。当該方向制御バルブ部32は、互いに反対の側に配置された左旋回パイロットポート32a及び32bを有する。
前記方向制御バルブ部32は、前記左旋回及び右旋回パイロットポート32a,32bのいずれにもパイロット圧が供給されない状態で中立位置33Nに保持され、この中立位置33Nでは前記旋回モータ22が自由回転をして前記旋回体10の自由旋回を許容するように作動油が周回するための油路を形成する。つまり、この方向制御バルブ部32は、中立フリー式の方向制御弁である。
前記方向制御バルブ部32は、前記左旋回パイロットポート32aにパイロット圧が供給されると、当該パイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置33Nから左旋回位置33Lに切換えられ、この左旋回位置33Lでは前記ストロークに対応した開口面積をもつ油路であって前記油圧ポンプ20から前記旋回モータ22の左旋回ポート22aに作動油が供給されるのを許容する油路を形成する。前記方向制御バルブ部32は、逆に前記右旋回パイロットポート32bにパイロット圧が供給されると、当該パイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置33Nから右旋回位置33Rに切換えられ、この右旋回位置33Rでは前記ストロークに対応した開口面積をもつ油路であって前記油圧ポンプ20から前記旋回モータ22の右旋回ポート22bに作動油が供給されるのを許容する油路を形成する。
前記ブレーキバルブ部34は、パイロット操作式の3位置切換弁からなり、かつ、その中立位置35Nから離れるに従って開口面積が増大するように開弁する特性を有する。換言すれば、前記中立位置35Nに復帰するのに従って流路の開口面積を絞って前記旋回モータ22に制動を与える特性を有する。
具体的に、前記ブレーキバルブ部34は、互いに反対側に配置された左旋回パイロットポート34a及び右旋回パイロットポート34bを有し、当該左旋回及び右旋回パイロットポート34a,34bには前記方向制御バルブ部32の左旋回及び右旋回パイロットポート32a,32bにそれぞれ与えられるパイロット圧と同等のパイロット圧が供給される。当該ブレーキバルブ部34は、前記左旋回及び右旋回パイロットポート34a,34bのいずれにもパイロット圧が供給されない状態で前記中立位置35Nに保持され、この中立位置35Nでは前記方向制御バルブ部32と前記旋回モータ22の左旋回及び右旋回ポート22a,22bとをそれぞれ結ぶ油路の開口面積を最小面積まで絞る一方、前記左旋回パイロットポート34aまたは右旋回パイロットポート34bにパイロット圧が供給されると当該パイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置35Nから左旋回位置35Lまたは右旋回位置35Rに切換えられ、当該ストロークに対応した度合いで前記油路の開口面積を増大させる。
以上のように構成された前記方向制御バルブ部32及びブレーキバルブ部34は、互いに直列に配置されることにより、いわゆる中立ブレーキ方式の前記コントロールバルブ30を構成する。具体的に、左旋回パイロットポート32a,34aまたは右旋回パイロットポート32b,34bにパイロット圧が供給されると、そのパイロット圧に対応した流量で当該作動油が左旋回ポート22aまたは右旋回ポート22bに供給されるのを許容する一方、前記パイロット圧が低下するのにつれて中立状態(方向制御バルブ部32及びブレーキバルブ34がそれぞれ中立位置33N,35Nにある状態)に戻り、当該中立状態への復帰につれて前記旋回モータ22に制動を与える特性を実現する。
なお、前記ブレーキバルブ部34と前記旋回モータ22の左右旋回ポート22a,22bとの間の管路は図示されないリリーフ弁を介してタンクに接続されている。当該リリーフ弁は前記両バルブ部32,34がそれぞれ中立位置33N,35Nに復帰するのに従って前記旋回モータ22から排出される作動油の圧力がリリーフ設定圧まで上昇した時点で開弁し、これにより、当該作動油の圧力の上限値を当該リリーフ設定圧すなわちブレーキ圧に規定する。
本発明に係るコントロールバルブはその中立状態への復帰に伴ってブレーキ作用を発揮するものであればよく、その構成は必ずしも図2に示されるコントロールバルブ30の構成に限定されない。例えば、図2に示される方向制御バルブ部32及びブレーキバルブ部34にそれぞれ個別にパイロット圧が与えられるものでもよい。あるいは、両バルブ部32,34に代えて中立位置で前記旋回モータ22を前記油圧ポンプ20及びタンクからブロックする中立ブロック式の方向制御弁が採用されてもよい。
前記パイロット油圧源24は、前記コントロールバルブ30に前記パイロット圧を与えるための油圧を生成する。当該パイロット油圧源24は、例えば、前記エンジンに連結されて作動油を吐出するように駆動されるパイロットポンプである。
前記旋回操作レバー26及び前記旋回パイロット弁28はともに前記キャブ12内に配置されていわゆる旋回リモコン弁を構成する。当該旋回リモコン弁はオペレータによる旋回指令操作を受けて当該旋回指令操作に対応したパイロット圧が前記コントロールバルブ30に供給されるのを許容する機能を有する。
前記旋回操作レバー26は、前記旋回指令操作を受ける旋回操作部材である。当該旋回操作レバー26は、前記旋回指令操作を受けることにより所定の軸回りに回動することが可能となるように前記旋回パイロット弁28に連結される。前記旋回指令操作は、前記旋回モータ22を左旋回方向に作動させるための左旋回指令操作と、前記旋回モータ22を右旋回方向に作動させるための右旋回指令操作と、を含む。この実施の形態において、前記左旋回指令操作は前記旋回操作レバー26をその中立位置から左方向に傾倒させる操作であり、前記右旋回指令操作は前記旋回操作レバー26をその中立位置から右方向に傾倒させる操作である。しかし、本発明に係る旋回指令操作はこれに限定されない。当該旋回指令操作は、例えば、旋回操作部材をスライド移動させる操作や、旋回操作部材を押圧する操作であってもよい。
前記旋回パイロット弁28は、前記パイロット油圧源24と前記コントロールバルブ30の各パイロットポートとの間に介在し、当該パイロット油圧源24から当該コントロールバルブ30に与えられる前記パイロット圧を前記旋回操作レバー26に与えられる前記旋回指令操作に対応した操作パイロット圧に制御するパイロット圧制御部を構成する。具体的に、前記旋回パイロット弁28は、前記旋回操作レバー26に左旋回指令操作が与えられると、その左旋回指令操作の大きさに対応した開度で開弁し、これにより、前記パイロット油圧源24から前記コントロールバルブ30の左旋回パイロットポート32a,34aのそれぞれにパイロット圧が供給されるのを許容するとともに、当該旋回パイロット弁28の二次側の圧力(パイロット弁二次圧)を前記左旋回指令操作の大きさに対応した操作パイロット圧にする。逆に、前記旋回パイロット弁28は、前記旋回操作レバー26に右旋回指令操作が与えられると、その右旋回指令操作の大きさに対応した開度で開弁し、これにより、前記パイロット油圧源24から前記コントロールバルブ30の右旋回パイロットポート32b,34bのそれぞれにパイロット圧が供給されるのを許容するとともに、当該旋回パイロット弁28の二次側の圧力(パイロット弁二次圧)を前記右旋回指令操作の大きさに対応した操作パイロット圧にする。
前記左旋回減圧弁36Aは、前記旋回パイロット弁28と前記コントロールバルブ30の左旋回パイロットポート32a,34aとの間に介在して当該旋回パイロット弁28から当該左旋回パイロットポート32a,34aに供給されるパイロット圧の上限を制限する機能を有する。同様に、前記右旋回減圧弁36Bは、前記旋回パイロット弁28と前記コントロールバルブ30の右旋回パイロットポート32b,34bとの間に介在して当該旋回パイロット弁28から当該右旋回パイロットポート32b,34bに供給されるパイロット圧の上限を制限する機能を有する。
具体的に、前記左旋回及び右旋回減圧弁36A,36Bのそれぞれは、制限パイロット圧を指定するための制限パイロット圧指令信号の入力を受けることが可能な電磁式の減圧弁により構成される。当該左旋回及び右旋回減圧弁36A,36Bのそれぞれは、前記旋回パイロット弁28の開弁によりその二次側に生成される前記パイロット弁二次圧が前記制限パイロット圧指令信号に対応した前記制限パイロット圧以下の場合には当該パイロット弁二次圧がそのまま前記コントロールバルブ30に入力されるのを許容する一方、前記パイロット弁二次圧が前記制限パイロット圧を超える場合には前記コントロールバルブ30に入力されるパイロット圧を前記制限パイロット圧に制限する特性を有する。
前記複数のセンサは、この実施の形態では、旋回角度センサ23と、左旋回パイロット弁二次圧センサ37Aと、右旋回パイロット弁二次圧センサ37Bと、を含む。前記旋回角度センサ23は、前記走行体2に対する前記旋回体10の相対的な旋回方向の角度である旋回角度を検出し、当該旋回角度に対応する電気信号である旋回角度検出信号を生成して前記コントローラ40に入力する。前記左旋回パイロット弁二次圧センサ37Aは、前記旋回操作レバー26に前記左旋回指令操作が与えられたときに前記旋回パイロット弁28の二次側(換言すれば左旋回減圧弁36Aの一次側)に生成される圧力である左旋回パイロット弁二次圧を検出し、これに対応する電気信号である左旋回パイロット弁二次圧検出信号生成して前記コントローラ40に入力する。同様に、前記右旋回パイロット弁二次圧センサ37Bは、前記旋回操作レバー26に前記右旋回指令操作が与えられたときに前記旋回パイロット弁28の二次側(換言すれば右旋回減圧弁36Bの一次側)に生成される圧力である右旋回パイロット弁二次圧を検出し、これに対応する電気信号である右旋回パイロット弁二次圧検出信号生成して前記コントローラ40に入力する。
前記警告装置50は、前記キャブ12内に配置され、前記コントローラ40から警告指令の入力を受けたときに前記旋回操作レバー26を操作するオペレータに対して所定の警告動作を行うように作動する。当該警告動作は、例えば、警告ランプの点灯やブザーによる警告音の生成である。
前記コントローラ40は、例えばマイクロコンピュータからなる。当該コントローラ40は、前記複数のセンサと、前記左旋回及び右旋回減圧弁36A,36Bと、前記警告装置50と、に電気的に接続され、当該複数のセンサから入力される検出信号に基づいて前記各減圧弁36A,36B及び警告装置50の動作を制御する機能を有する。具体的に、当該コントローラ40は、当該制御に関連する機能として、図3に示すような旋回制動領域設定部42と、制限パイロット圧指令部44と、警告指令部46と、を有する。
前記旋回制動領域設定部42は、作業制限領域が設定されている場合に当該作業制限領域に基づいて旋回制動領域を設定する。前記作業制限領域は、旋回体10と障害物との干渉の防止や、作業員の安全な作業を確保するために設定される領域であり、例えば、オペレータが適当な入力装置を用いて入力を行うことにより設定される。前記旋回制動領域は、前記作業制限領域への前記旋回体10の進入を阻止するために前記旋回体10の旋回方向について当該作業制限領域の手前側に設定される領域、換言すれば、前記旋回体10を前記作業制限領域の手前で安全に(つまり無理のない減速度で)停止させるために前記旋回体10の制動が行われるべき領域である。
図4は、前記作業制限領域及びこれを基準に設定される旋回制動領域の一例を示す。これらの領域の境界は、旋回体10の旋回中心Osを通る旋回半径方向の直線によって特定される。図4では、前記作業制限領域の境界を特定する直線L1と、当該直線L1よりも旋回方向上流側に位置する直線L2と、で挟まれる領域が旋回制動領域である。換言すれば、当該直線L1,L2により形成される角度ALが前記旋回体10の安全な制動及び停止のために必要な制動必要旋回角度である。前記旋回制動領域設定部42は、安全を見越して前記旋回制動領域及び制動必要旋回角度ALを大きめに設定してもよいし、前記旋回体10の現在の旋回速度や慣性モーメント、ブームの構成または姿勢に基づいて前記旋回制動領域及び制動必要旋回角度ALを算定してもよい。
前記制限パイロット圧指令部44は、前記旋回体10が前記旋回制動領域内にあるときに前記制限パイロット圧を特定して当該制限パイロット圧に対応する前記制限パイロット圧指令信号を前記左旋回減圧弁36Aまたは右旋回減圧弁36Bに入力する。前記制限パイロット圧は、前記旋回制動領域において前記旋回体10の旋回を適正な減速度で制動させるために規定されるべき前記パイロット圧の上限値である。この制限パイロット圧を指定する制限パイロット圧指令信号が前記左旋回及び右旋回減圧弁36A,36Bのいずれか一方に入力されると、その減圧弁は、当該減圧弁の一次側の操作パイロット圧が前記制限パイロット圧よりも大きい場合に当該減圧弁の二次圧すなわち前記コントロールバルブ30に与えられるパイロット圧を前記制限パイロット圧に制限する。従って、前記制限パイロット圧指令部44及び前記左旋回及び右旋回減圧弁36A,36Bは、前記旋回体10が前記旋回制動領域にある状態で前記左旋回パイロット弁二次圧または前記右旋回パイロット弁二次圧である操作パイロット圧が前記制限パイロット圧よりも大きい場合に前記旋回指令操作にかかわらず前記コントロールバルブ30に与えられる前記パイロット圧を前記制限パイロット圧に制限するパイロット圧制限部を構成する。
この実施の形態において、前記制限パイロット圧指令部44は、図4に示すような残り旋回角度AN、すなわち、現在の旋回体10の旋回方向の位置から前記作業制限領域の境界(図4では直線L1)に至るまでの角度、をリアルタイムで算定する。そして、当該残り角度ANが前記制動必要旋回角度AL以下となった時点から前記制限パイロット圧の特定及び前記左旋回減圧弁36Aまたは右旋回減圧弁36Bへの制限パイロット圧指令信号の入力を開始する。
前記警告指令部46は、予め設定された制限判定条件を格納し、当該制限判定条件が満たされた時点で前記警告装置50に前記警告指令を入力して前記警告動作を開始させる。前記制限判定条件は、前記コントロールバルブ30に入力される前記パイロット圧が前記パイロット圧制限部によって制限されていること、具体的には前記左旋回減圧弁36Aまたは前記右旋回減圧弁36Bが前記制限パイロット圧指令信号の入力を受けかつその一次側のパイロット弁二次圧を減圧していること、を判定するための条件である。
この実施の形態では、前記制限判定条件として、前記パイロット弁二次圧センサ37A,37Bのうち実際の旋回方向に対応するセンサが検出するパイロット弁二次圧PSが前記制限パイロット圧指令部44により特定される前記制限パイロット圧PLよりも大きいこと、つまり両圧力の差が0よりも大きいこと(PS−PL>0)、が設定されている。
従って、前記警告指令部46は、前記左旋回及び右旋回パイロット弁二次圧センサ37A,37Bとともに、前記警告装置50の警告動作を制御する警告制御部を構成する。
次に、前記コントローラ40が具体的に行う演算制御動作を図5のフローチャートを参照しながら説明する。
前記作業制限領域が設定されていない場合(ステップS1でNO)、当該コントローラ40の旋回制動領域設定部42は旋回制動領域の設定を行わず、制限パイロット圧指令部44は現在の旋回体10の旋回角度にかかわらず左旋回及び右旋回減圧弁36A,36Bへの制限パイロット圧指令信号の入力を常時停止する(ステップS2)。従って、コントロールバルブ30には、常に、前記旋回操作レバー26に与えられる旋回指令操作に対応した操作パイロット圧が入力され、これにより、当該旋回指令操作に対応した旋回体10の旋回駆動が実行される(通常制御)。例えば、前記旋回操作レバー26に左旋回指令操作が与えられた場合、旋回パイロット弁28はその左旋回指令操作の大きさに対応した度合いで開弁して左旋回パイロット弁二次圧を発生させ、当該左旋回パイロット弁二次圧がそのまま操作パイロット圧として前記コントロールバルブ30の左旋回パイロットポート32a,34aに入力される。これにより、当該コントロールバルブ30は、前記操作パイロット圧の大きさに対応した流量で作動油が油圧ポンプ20から旋回モータ22の左旋回ポート22aに供給されることを許容するように開動作し、当該旋回モータ22は当該流量に対応した速度で旋回体10を旋回させる。
このとき、前記コントローラ40の警告指令部46は、警告装置50への警告指令の入力を停止した状態を保つ(ステップS3)。つまり、警告装置50に警告動作は行わせない。
一方、前記作業制限領域が例えばオペレータの入力操作によって設定された場合(ステップS1でYES)、前記コントローラ40の旋回制動領域設定部42は、当該作業制限領域に基づいて旋回制動領域及びこれに対応する制動必要旋回角度ALを設定する(ステップS4)。一方、制限パイロット圧指令部44は旋回角度センサ23から入力される旋回角度検出信号を取り込んで(ステップS5)、当該旋回角度検出信号に基づき作業制限領域までの残り旋回角度ANを演算する(ステップS6)。
前記制限パイロット圧指令部44は、前記残り旋回角度ANが前記制動必要旋回角度ALよりも大きいとき(ステップS7でNO)、つまり、旋回体10が旋回制動領域に未だ進入していない間は、制限パイロット圧指令信号の生成は行わないが(ステップS2)、前記残り旋回角度ANが前記制動必要旋回角度AL以下となった時点(ステップS7でYES)すなわち旋回体10が旋回制動領域に進入した時点から、当該旋回制動領域内で旋回体10を制動させるための制限パイロット圧PLを特定し(ステップS8)、これに対応する制限パイロット圧指令信号を左旋回減圧弁36A及び右旋回減圧弁36Bのうち現在の旋回方向に対応する減圧弁(以下「対応減圧弁」と称する。)に入力する(ステップS9)。
前記対応減圧弁は、当該対応減圧弁に入力される前記操作パイロット圧(つまりパイロット弁二次圧であって減圧弁一次圧)PSが前記制限パイロット圧PL以下のときは当該操作パイロット圧がそのままコントロールバルブ30に入力されることを許容する。しかし、前記操作パイロット圧が前記制限パイロット圧を上回るとき、前記対応減圧弁はその二次圧である減圧弁二次圧を前記操作パイロット圧から前記制限パイロット圧まで減圧するように作動する。つまり、コントロールバルブ30に入力されるパイロット圧を前記制限パイロット圧に制限する。これにより、旋回操作レバー26に実際に与えられる旋回指令操作の大きさにかかわらず、作業制限領域内への旋回体10の進入を阻止するための旋回制動制御が実現される。
一方、前記コントローラ40の警告指令部46は、現在の旋回駆動状態が制限判定条件を満たしているか否か、つまり、前記左旋回及び右旋回パイロット弁二次圧センサ37A,37Bが検出する二次圧のうちの前記対応減圧弁の一次圧に相当するパイロット弁二次圧(操作パイロット圧)PSが前記制限パイロット圧PLよりも大きいか否かを判断する(ステップS10)。当該制限判定条件が満たされた時点で(ステップS10でYES)、当該警告指令部46は、警告装置50に警告指令を入力して警告動作を開始させる(ステップS11)。この警告により、オペレータは自らが旋回操作レバー26に与えている旋回指令操作よりも実際の旋回体10の速度が制限されていることを確実に認知することができる。ここで、前記制限判定条件は、左旋回及び右旋回パイロット弁二次圧センサ37A,37Bの一方により実際に検出されるパイロット弁二次圧センサに基づくものであるので、対応減圧弁の作動誤差にかかわらず、実際にパイロット圧が制限されているか否かを的確に判定することを可能にする。
これに対し、前記警告指令部46は、旋回体10が既に前記旋回制動領域に進入していても、前記制限判定条件が満たされるまでは前記警告装置50への警告指令の入力を保留する(ステップS10でNO、ステップS3)。具体的には、前記制限パイロット圧指令信号が前記対応減圧弁に入力されていても、当該対応減圧弁の一次圧すなわちパイロット弁二次圧である操作パイロット圧PSが制限パイロット圧PL以下であって実質上パイロット圧の制限がされていない場合、警告指令部46は警告装置50に警告動作を行わせない。このことは、オペレータが旋回操作レバー26に与えている旋回指令操作が十分に小さいにもかかわらず警告が行われるのを防ぎ、当該警告が過剰な頻度で実行されることによりオペレータの反応が鈍くなることを有効に抑止する。
また、この実施の形態では、前記警告動作を受けたオペレータが旋回操作レバー26を中立位置に近づける操作を行った場合にその操作によって前記操作パイロット圧PSが制限パイロット圧PL以下まで下がった時点で警告動作が停止される(ステップS10でNO、ステップS11)。このことは、オペレータが制動の必要性を十分に認識しているにもかかわらず警告動作が続行されてオペレータに違和感を与えることを防ぐ。
図6は、前記コントローラ40の制御下での残り旋回角度ANと各圧力との関係の一例を示したものである。図において、実線61は操作パイロット圧に相当するパイロット弁二次圧PS、破線62は制限パイロット圧PL、一点鎖線63は対応減圧弁の二次圧すなわち実際にコントロールバルブ30に入力されるパイロット圧、をそれぞれ示す。実線61に示す操作パイロット圧(パイロット弁二次圧PS)が期間PD1では破線62に示す制限パイロット圧PLに制限されることで、実際には一点鎖線63に示すパイロット圧がコントロールバルブ30に入力される。なお、前記旋回制動領域以外の領域では制限パイロット圧は特定されないが、図6では便宜上、当該領域における破線62は前記制限パイロット圧の最大値を示している。
前記破線62に示されるように、前記旋回体10が旋回制動領域内に進入すると残り旋回角度ANの減少につれて(つまり図6の左側に移行するにつれて)制限パイロット圧PLが減少し、当該制限パイロット圧PLを操作パイロット圧すなわちパイロット弁二次圧PS(実線61)が上回った時点(図6では残り旋回角度AN1)からパイロット圧の実質上の制限が開始される。また、これと同期して、左旋回パイロット弁二次圧センサ37Aまたは右旋回パイロット弁二次圧センサ37Bにより検出されるパイロット弁二次圧(操作パイロット圧の検出値)PSが前記制限パイロット圧PLを上回った時点で警告装置50による警告動作が開始される。
その後、前記警告を受けたオペレータが例えば旋回操作レバー26を中立位置に戻すことにより操作パイロット圧すなわちパイロット弁二次圧PSが急減して前記制限パイロット圧PL以下となった時点、つまり、PS>PLという制限判定条件が満たされなくなった時点、で前記警告動作が停止される。従って、実際に警告動作が行われるのは実質的にパイロット圧が制限されている期間(図6では期間PD1)のみとなる。
前記制限判定条件は、パイロット弁二次圧PSが制限パイロット圧PLを上回ること、つまり、両者の差が0よりも大きいこと(PS>PL)に限定されない。例えば、当該制限判定条件は、両者の差が0に近い所定の値δよりも大きいこと(PS−PL>δ)、換言すれば、パイロット弁二次圧PSが制限パイロット圧PLに前記値δを加えた値を上回ること(PS>PL+δ)であってもよい。
前記値δは、負の値及び正の値のいずれであってもよい。当該値δが負の値である場合、PL+δは例えば図6において点線64で示されるように制限パイロット圧PLよりも低い値となり、よって警告動作は残り旋回角度が前記角度AN1よりも大きい角度AN2に達した時点、つまり前記角度AN1に達するよりも前の時点、で早めに開始される。このことは、実際にパイロット圧の制限が開始される時点よりも僅かに早いタイミングでオペレータに予報的な警告を行うことを可能にする。逆に、前記値δが正の値である場合、警告動作は残り旋回角度ANが前記角度AN1よりも小さい角度に達するまで行われない。このことは、減圧弁等の作動誤差も見越して確実にパイロット圧の制限が行われている時点から警告動作を開始することを可能にする。
前記警告動作を終了するタイミングも適宜設定可能である。例えば、前記警告動作の頻繁なオンオフを避けるために、警告動作を開始するための条件(制限判定条件)と警告動作を終了するための条件との間にヒステリシスが与えられてもよい。この場合も、実質上、制限判定条件が満たされなくなった時点で警告動作を終了することにより、警告が行われる期間を有効に制限することができる。逆に、旋回操作レバー26が中立位置に戻されるまで警告動作が継続されてもよい。この場合、図6において実際に警告が行われる期間は前記期間PD1よりも長い期間PD2となる。
本発明の第2の実施の形態を、図7及び図8を参照しながら説明する。
この実施の形態に係る装置は、第1の実施の形態に係る左旋回パイロット弁二次圧センサ37A及び右旋回パイロット弁二次圧センサ37Bに代えて、左旋回減圧弁二次圧センサ38A及び右旋回減圧弁二次圧センサ38Bを具備する。前記左旋回減圧弁二次圧センサ38Aは、左旋回減圧弁36Aの二次圧すなわち実際にコントロールバルブ30の左旋回パイロットポート32a,34aに入力されるパイロット圧を検出してこれに対応する検出信号をコントローラ40に入力する。同様に、前記右旋回減圧弁二次圧センサ38Bは、右旋回減圧弁36Bの二次圧すなわち実際にコントロールバルブ30の右旋回パイロットポート32b,34bに入力されるパイロット圧を検出してこれに対応する検出信号をコントローラ40に入力する。
前記コントローラ40は、第1の実施の形態と同様に旋回制動領域設定部42、制限パイロット圧指令部44及び警告指令部46を有するが、当該警告指令部46は、前記制限判定条件として、前記制限パイロット圧指令部44が特定する前記制限パイロット圧PLと前記左旋回及び右旋回減圧弁二次圧センサ38A,38Bが検出する減圧弁二次圧のうちの対応減圧弁の二次圧(つまり実際にコントロールバルブ30に入力されるパイロット圧)PCのとの差が所定の値δ以上である(PL−PC>δ)という条件を格納し、当該条件が満たされた時点で警告装置50に警告指令を入力して前記警告動作を開始させる。この態様においても、前記値δは0(つまり制限判定条件がPL>PC)であってもよいし、0に近い負の値あるいは正の値であってもよい。
この第2の実施の形態では、前記警告指令部46は、前記左旋回及び右旋回減圧弁二次圧センサ38A,38Bとともに、前記警告装置50の警告動作を制御する警告制御部を構成する。前記のような制限判定条件を格納する前記警告指令部46は、前記制限パイロット圧PLと実際に検出される減圧弁二次圧PCとの大小関係に基づいて、実際に減圧弁によってコントロールバルブ30のパイロット圧が制限されているか否かの判定を行うことが可能である。
本発明の第3の実施の形態を、図9及び図10を参照しながら説明する。
この実施の形態に係る装置は、前記第1の実施の形態に係る左旋回パイロット弁二次圧センサ37A及び右旋回パイロット弁二次圧センサ37Bと、前記第2の実施の形態に係る左旋回減圧弁二次圧センサ38A及び右旋回減圧弁二次圧センサ38Bと、の双方を具備する。一方、コントローラ40は、第1及び第2の実施の形態と同様に旋回制動領域設定部42、制限パイロット圧指令部44及び警告指令部46を有するが、当該警告指令部46は、前記制限判定条件として、前記左旋回及び右旋回パイロット弁二次圧センサ37A,37Bが検出するパイロット弁二次圧のうち対応減圧弁の一次圧に相当するパイロット弁二次圧すなわち操作パイロット圧PSと、前記左旋回及び右旋回減圧弁二次圧センサ38A,38Bが検出する減圧弁二次圧のうちの対応減圧弁の二次圧PCと、の差が所定の値δ以上である(PS−PC>δ)という条件を格納し、当該条件が満たされた時点で警告装置50に警告指令を入力して前記警告動作を開始させる。この態様においても、前記値δは0(つまり制限判定条件がPS>PC)であってもよいし、0に近い負の値あるいは正の値であってもよい。
この第3の実施の形態では、前記警告指令部46は、前記左旋回及び右旋回パイロット弁二次圧センサ37A,37B及び前記左旋回及び右旋回減圧弁二次圧センサ38A,38Bとともに、前記警告装置50の警告動作を制御する警告制御部を構成する。前記のような制限判定条件を格納する前記警告指令部46は、実際に検出される2つの圧力PS,PC、つまり実際の対応減圧弁の前後差圧、に基づいて、当該減圧弁によって実際にパイロット圧が制限されているか否かの適正な判定を行うことができる。
本発明の第4の実施の形態を図11〜図13を参照しながら説明する。
前記第1〜第3の実施の形態に係るパイロット圧制御部は、旋回操作部材である旋回操作レバー26と機械的に連動してパイロット圧を操作する旋回パイロット弁28により構成されるのに対し、第4の実施の形態に係るパイロット圧制御部は、前記旋回操作レバー26に与えられる旋回指令操作を電気信号である旋回指令信号に変換して操作パイロット圧の電気的な制御を行うように、構成されている。
具体的に、この第4の実施の形態に係る旋回駆動装置は、前記第1の実施の形態に係る装置と次の点において、相違し、それ以外の点で一致するものである。
(a)第4の実施の形態に係る装置は、前記第1の実施の形態に係る旋回パイロット弁28に代え、指令信号出力装置68を具備する。当該指令信号出力装置68は、前記旋回操作レバー26と連結されて当該旋回操作レバー26とともに電気レバー装置を構成する。当該指令信号出力装置68は、当該旋回操作レバー26に与えられる前記旋回指令操作に対応した操作パイロット圧PSについての電気信号である旋回指令信号を生成してこれを出力する。当該指令信号出力装置68は、例えば前記旋回操作レバー26の傾倒角度に対応した電気信号を出力するポテンショメータを内蔵し、当該電気信号を前記旋回指令信号として出力する。
(b)第4の実施の形態に係る装置は、第1の実施の形態に係る左旋回減圧弁36A及び右旋回減圧弁36Bに代えて左旋回減圧弁66A及び右旋回減圧弁66Bを備える。ただし、左旋回減圧弁66A及び右旋回減圧弁66Bは、その目的が前記左旋回減圧弁36A及び右旋回減圧弁36Bと相違するのみであり、当該左旋回減圧弁36A及び右旋回減圧弁36Bと同等の機能及び構成を有する。すなわち、左旋回減圧弁66A及び右旋回減圧弁66Bはいずれもパイロット圧指令信号の入力を受けることが可能な電磁式の減圧弁であり、当該左旋回減圧弁66A及び右旋回減圧弁66Bの二次圧PC、つまりコントロールバルブ30に入力されるパイロット圧、を前記パイロット圧指令信号により指定されるパイロット圧まで減圧するように開弁する。
(c)第4の実施の形態に係る装置は、第1の実施の形態に係るコントローラ40に代えてコントローラ70を備える。当該コントローラ70は、図12に示すようなパイロット圧指令部71、旋回制動領域設定部72、パイロット圧制限指令部74及び警告指令部76を有する。
前記パイロット圧指令部71は、前記指令信号出力装置68からの前記旋回指令信号の入力を受けて前記操作パイロット圧PSに対応するパイロット圧指令信号を生成しかつこれを前記左旋回減圧弁66A及び右旋回減圧弁66Bのうち旋回方向に対応する減圧弁である対応減圧弁に入力する。従って、当該パイロット圧指令部71は、前記左旋回及び右旋回減圧弁66Aとともに、コントロールバルブ30に入力されるパイロット圧を前記旋回指令操作に対応した操作パイロット圧に制御するパイロット圧制御部を構成する。
前記旋回制動領域設定部72は、第1の実施の形態に係る旋回制動領域設定部42と同じく、作業制限領域が設定されている場合に当該作業制限領域に基づいて旋回制動領域を設定する。
前記パイロット圧制限指令部74は、旋回体10が前記旋回制動領域内にあるときに、当該旋回体10を制動させるための制限パイロット圧PLを特定するとともに前記パイロット圧指令部72にパイロット圧制限指令を入力する。ここにおいて、前記パイロット圧指令部72は、前記パイロット圧制限指令の入力を受けかつ前記操作パイロット圧PSが前記制限パイロット圧PLよりも高い場合に当該操作パイロット圧PSに代えて当該制限パイロット圧PLに対応したパイロット圧指令信号を生成してこれを前記対応減圧弁に入力するように構成されている。従って、この第4の実施の形態では前記減圧弁二次圧PCが前記操作パイロット圧PS及び前記制限パイロット圧PLのうち低い方の圧力まで減圧される。
前記警告指令部76は、制限判定条件として、前記パイロット圧指令部71により演算される操作パイロット圧PSが前記パイロット圧制限指令部74により特定される制限パイロット圧PLよりも大きいという条件、換言すれば、両者の差が0よりも大きいという条件(PS−PL>0)を格納する。第1の実施の形態と同様に、前記差が所定の値δ(当該値δは0若しくは0以外の正または負の値)という条件であってもよい。当該警告指令部76は、第1の実施の形態に係る警告指令部46と同様に前記制限判定条件が満たされた時点で警告装置50に警告指令を入力して警告動作を開始させる。
以上の構成は、前記コントロールバルブ30に入力されるパイロット圧の電気的制御を行いながら当該パイロット圧の適正な制限を行うことを可能にする。具体的に、前記コントローラ70が行う演算制御動作を、図13のフローチャートを参照しながら説明する。図13に示されるフローチャートにおけるステップS1,S3〜S8,S10〜S12は図5に示されるフローチャートのそれと同等である。図13に示されるフローチャートは、図5に示されるフローチャートのステップS2,S9のそれぞれに代えてステップS12,S19を含む。
この第4の実施の形態では、作業制限領域の設定の有無にかかわらずコントローラ70のパイロット圧指令部71は指令信号出力装置68から入力される旋回指令信号に対応したパイロット圧、すなわち旋回操作レバー26に与えられる旋回指令操作に対応する操作パイロット圧PS、を演算する(ステップS0)。そして、作業制限領域が設定されていない場合(ステップS1でNO)、当該パイロット圧指令部71は当該操作パイロット圧PSに対応するパイロット圧指令信号をそのまま対応減圧弁に入力する(ステップS12)。当該パイロット圧指令信号の入力を受けた対応減圧弁は、その二次圧であってコントロールバルブ30に入力される減圧弁二次圧PCを前記操作パイロット圧PSに合致させるように開弁する。これにより、コントロールバルブ30は前記旋回指令操作に対応した方向及び流量で旋回モータ22に作動油が供給されることを許容するように開弁し、当該旋回モータは当該方向に対応した旋回方向に当該流量に対応した速度で旋回体10を旋回させる。
一方、警告指令部76は、警告装置50への警告信号の入力を停止した状態を保つ(ステップS3)。
前記作業制限領域が設定されている場合(ステップS1でYES)、コントローラ70は第1の実施の形態に係るコントローラ40と同様に旋回制動領域及び制動必要旋回角度ALの設定と、旋回角度の取込みと、残り旋回角度ANの演算と、を行う(ステップS4〜S6)。そして、当該残り旋回角度ANが当該制動必要旋回角度ALよりも大きい間つまり旋回体10が前記旋回制動領域に進入するまでの間は(ステップS7でNO)、作業制限領域が設定されていない場合と同様、パイロット圧指令部71は操作パイロット圧PSに対応するパイロット圧指令信号を対応減圧弁に入力し(ステップS12)、警告指令部76は警告指令入力の停止を保つ(ステップS3)。
前記残り旋回角度ANが前記制動必要旋回角度AL以下になると、パイロット圧制限指令部74は前記旋回体10を制動させるための制限パイロット圧PLを特定して前記パイロット圧指令部71にパイロット圧制限指令を入力する(ステップS8)。当該パイロット圧制限指令の入力を受けたパイロット圧指令部71は、前記操作パイロット圧PSと前記制限パイロット圧PLとの対比に基づくパイロット圧指令信号の生成及び対応減圧弁への入力を行う(ステップS10,S19,S12)。
具体的に、前記操作パイロット圧PSが前記制限パイロット圧PLを上回る場合(ステップS10でYES)、前記パイロット圧指令部71は、前記操作パイロット圧PSに代えて当該制限パイロット圧PLに対応するパイロット圧指令信号を対応減圧弁に入力する(ステップS19)。当該入力を受けた対応減圧弁は、その二次圧すなわちコントロールバルブ30に実際のパイロット圧として入力される減圧弁二次圧PCを前記制限パイロット圧PLまで減圧し、これにより、旋回モータ22の制動を行わせる。また、警告指令部76は、PS>PLという制限判定条件が満たされていると判断して警告装置50に警告指令を入力し(ステップS11)、警告動作を開始させる。
一方、前記操作パイロット圧PSが前記制限パイロット圧PL以下である場合(ステップS10でNO)、前記パイロット圧指令部71は、当該操作パイロット圧PSに対応するパイロット圧指令信号を対応減圧弁に入力する(ステップS12)。このとき、警告指令部76は、旋回体10が旋回制動領域に入っていてもPS>PLという制限判定条件が満たされていないので、警告装置50への警告指令の入力は行わない(ステップS3)。また、警告装置50の警告動作が一旦開始された後に前記操作パイロット圧PSが前記制限パイロット圧PL以下の圧力まで降下した時点で、警告指令部76はその時点で警告装置50への警告指令の入力を停止して警告動作を停止させる(ステップS10でNO,ステップS3)。
従って、この第4の実施の形態では、コントロールバルブ30に与えられるパイロット圧の電気的な制御を行いながら、第1〜第3の実施の形態と同様に、前記パイロット圧の制限が実際に開始された時点から適正な警告の開始を行うことが可能である。