JP4011679B2 - 車両搭載型クレーンの2モード操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両搭載型クレーンの2モード操作装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両搭載型クレーンは図3に示す如く、車両V上に搭載した基台1、基台1に取付けられ車両Vの両側に張り出して接地可能なアウトリガ1a,1b、基台1に旋回自在に取付けた旋回台2、旋回台2に起伏自在に取付けたブーム3、ブーム3の先端部に巻き上げ巻き下げ自在に吊下した吊具4、及び旋回台2に取付けられ前記吊具4を巻き上げ巻き下げ駆動するウインチ5を備えている。そして、クレーン作業時には、アウトリガ1a,1bを張り出して接地した上で、前記旋回台2を旋回、ブーム3を起伏並びに伸縮、ウインチ5を巻き上げ巻き下げするものである。旋回台2の旋回駆動、ブーム3の起伏駆動、ブーム3の伸縮駆動、及びウインチ5の巻き上げ巻き下げ駆動の制御は、それぞれ油圧アクチュエータで行うようになっている。
【0003】
図4は、上記した車両搭載型クレーンに用いられている2モード制御装置の説明図である。図4において、6a〜6dは、旋回台2を旋回駆動、ブーム3を起伏駆動、ブーム3を伸縮駆動、及びウインチ5を巻き上げ巻き下げ駆動する油圧アクチュエータである。
【0004】
7a〜7dは、前記各アクチュエータ6a〜6dへの作動油の給排を制御する油圧切換弁、8a〜8dは、油圧切換弁7a〜7dに機械的に連動連結した操作レバーであり、これら操作レバー8a〜8dにより油圧切換弁7a〜7dを操作し対応する油圧アクチュエータ6a〜6dの駆動(駆動方向及び駆動速度)を制御できるようになっている。
【0005】
油圧切換弁7a〜7dは、上記したように操作レバー8a〜8dによる他、後述する遠隔操作装置Lによっても操作できるようになっている。このように油圧アクチュエータ6a〜6dの駆動制御を、操作レバー8a〜8dと遠隔操作装置Lを選択的に使用して行えるようにしたものは、2モード操作装置として知られており、移動式クレーンでは多用されている。
【0006】
前記遠隔操作装置Lは、モード選択スイッチ9、油圧切換弁7a〜7dに機械的に連動連結した弁駆動手段10a〜10d、油圧切換弁7a〜7dの実際開度(油圧切換弁の中立位置からの操作量)を検出する実際開度検出手段11a〜11d、油圧切換弁7a〜7dを遠隔的に操作するための操作信号を電波に乗せて発信する携帯型の操作信号発信手段12、及び前記弁駆動手段10a〜10bへの制御信号を出力する制御信号出力手段13とから構成されている。
【0007】
前記モード選択スイッチ9は、遠隔操作装置Lによる油圧切換弁7a〜7dの遠隔操作を可能とする遠隔操作モードと、遠隔操作装置Lによる油圧切換弁7a〜7dの遠隔操作を不能とするマニュアル操作モードを選択するスイッチである。なお、当該モード選択スイッチ9は、操作信号発信手段12の電源スイッチ(図示せず)で兼用し、操作信号発信手段12の電源スイッチが投入された時には遠隔操作モードに選択され、電源スイッチが投入されていない時にはマニュアル操作モードに選択されるよう構成してもよい。
【0008】
前記弁駆動手段10a〜10dは、各油圧切換弁7a〜7dのスプールにそれぞれ機械的に連動連結されており、後述する制御信号出力手段13からの制御信号a〜dにより駆動されるようになっている。
【0009】
前記実際開度検出手段11a〜11dは、各油圧切換弁7a〜7dのスプールの実際開度a1〜d1を検出するものである。
【0010】
前記操作信号発信手段12は携帯型の操作入力部であって、この操作信号発信手段12には油圧切換弁7a〜7dにそれぞれ対応する操作部(図示しない操作スイッチ等)が取付けられている。そして、操作信号発信手段12は、その操作部を操作することで、対応する油圧切換弁7a〜7dの操作目標開度a0〜d0に関する信号を電波に乗せて発信するようになっている。
【0011】
油圧切換弁7a〜7dのスプールの操作位置は、対応する油圧アクチュエータ6a〜6dの駆動速度に関連しており、従って、上記操作目標開度a0〜d0は対応する油圧アクチュエータ6a〜6dの目標速度に対応している。
【0012】
前記制御信号出力手段13は、前記モード選択スイッチ9からの信号、操作信号発信手段12から電波を介して入力される操作目標開度a0〜d0、及び実際開度検出手段11a〜11dからの実際開度a1〜d1を受け取って演算処理し、モード切換スイッチ9が遠隔操作モードに設定されている状態の下では、弁駆動手段10a〜10dをして油圧切換弁7a〜7dの実際開度a1〜d1を操作目標開度a0〜d0に追随させるための制御信号a〜dを弁駆動手段10a〜10dに出力するよう構成している。
【0013】
制御信号出力手段13は、モード切換スイッチ9がマニュアル操作モード(遠隔操作装置Lによる油圧切換弁7a〜7dの操作を不能とする位置)に設定されている状態では、例え実際開度検出手段11a〜11dからの実際開度a1〜d1と操作目標開度a0〜d0との間に偏差が生じても、各弁駆動手段10a〜10dに対し制御信号a〜dを出力しないようになっている。
【0014】
弁駆動手段10a〜10dは、制御信号出力手段13からの制御信号a〜dにより制御されて、各油圧切換弁7a〜7dを切換駆動する。その結果、各油圧切換弁7a〜7dのスプールの操作位置は、操作信号発信手段12からの操作目標開度a0〜d0に対応する位置になる。
【0015】
弁駆動手段10a〜10dは、制御信号出力手段13からの制御信号a〜dを受け取っていない状態(制御信号出力手段13から制御信号a〜dが出力されていない状態)では、操作レバー8a〜8dによる油圧切換弁7a〜7dの操作を妨げないようになっている。
【0016】
制御信号出力手段13についてより詳細に述べると、制御信号出力手段13は、入力電波から操作目標開度a0〜d0を取り出すと共にこれを電圧信号として出力する目標開度信号発生部13aと、目標開度信号発生部13aからの操作目標開度a0〜d0と実際開度a1〜d1を受け取り各弁駆動手段10a〜10dに対し制御信号a〜dを出力する制御信号出力部13bとでもって構成している。制御信号出力部13bから出力される制御信号a〜dは、各油圧切換弁7a〜7dの実際開度a1〜d1を操作目標開度a0〜d0に追随させるための信号である。
【0017】
前記モード選択スイッチ9からの信号は、制御信号出力部13bに入力されている。制御信号出力部13bは、モード選択スイッチ9が遠隔操作モードに操作されている状態では、油圧切換弁7a〜7dの実際開度a1〜d1を操作目標開度a0〜d0に追随させるための制御信号a〜dを弁駆動手段10a〜10dに出力し、モード切換スイッチ9がマニュアル操作モードに操作されている状態では、例え実際開度検出手段11a〜11dからの実際開度a1〜d1と操作目標開度a0〜d0との間に偏差が生じても、各弁駆動手段10a〜10dに対し制御信号a〜dを出力しないようになっている。
【0018】
上述したように構成した従来の2モード操作装置は、遠隔操作装置Lにおけるモード選択スイッチ9を遠隔操作モードに操作している時には、各油圧アクチュエータ6a〜6dの駆動制御を遠隔操作装置Lの操作信号発信手段12で行うことができ、またモード選択スイッチ9をマニュアル操作モードに操作している時には、各油圧アクチュエータ6a〜6dの駆動制御を操作レバー8a〜8dで行うことができるのである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両搭載型クレーンに作用する負荷(以下限界負荷という)は、車両搭載型クレーンの稼働姿勢によって変化する。限界負荷に影響を与える稼働姿勢は、車両搭載型クレーンの動作パラメータであるアウトリガ1a,1bの張出し量、旋回台2の旋回角度、ブーム3の起伏角度、ブーム3の長さの少なくとも一つ以上である。
【0020】
このため、車両搭載型クレーンによりクレーン作業をする場合には、クレーンオペレータは、実際負荷が稼働姿勢によって変動する限界負荷を越えないよう注意しながら車両搭載型クレーンを操作する必要がある。
【0021】
従って、従来の2モード操作装置を装備した車両搭載型クレーンには、実際負荷が限界負荷に達した時に、車両搭載型クレーンの作動を強制的に停止させる自動停止装置が装備されている。この自動停止装置は、車両搭載型クレーンに作用する実際負荷がクレーンの稼働姿勢に関連して定まる限界負荷に達すると停止信号を出力する停止信号出力部と、この停止信号出力部からの停止信号により各油圧切換弁7a〜7dへの圧油をアンロードする停止手段(図示しないアンロード弁等)により構成されたものであり、周知のものであるので図4では省略している。
【0022】
しかしながら、このような安全装置によれば、実際負荷が限界負荷に達するまでは車両搭載型クレーンの作動速度が何ら規制されず、実際負荷が限界負荷に達した瞬間に車両搭載型クレーンの作動を強制的に停止するので、高速作動状態の車両搭載型クレーンが急停止することがあり、その際に荷振れあるいはブーム3の折損等の危険があった。
【0023】
従来、上記危険を回避するために、オペレータは、車両搭載型クレーンが搭載された車両Vの傾斜度合い等から実際負荷の限界負荷への近接度合いを感覚的に捕らえ、実際負荷が限界負荷に近づいたと判断したときには、自動停止時における上記危険を避けるために、操作レバー8a〜8bあるいは遠隔操作装置Lにおける操作信号発信手段12の操作量を小さくして、車両搭載型クレーンの駆動速度を遅くするようにしていた。
【0024】
しかしながら、上記の如き配慮は、マニュアル操作モード即ち操作レバー8a〜8dにより操作している場合には、これらの操作レバー8a〜8dが車両Vに取付けられた基台1に装備されているため、車両Vの傾斜度合いを感覚的に捕らえることができるので一応可能であるが、遠隔操作モード即ち遠隔操作装置Lの操作信号発信手段12により操作している場合には、車両Vの傾斜度合いを感覚的に捕らえることができず、不可能であった。
【0025】
従って、請求項1の発明の目的は、遠隔操作モードで操作中における車両搭載型クレーンの駆動速度が、実際負荷の限界負荷への近接度合いに応じて小さくなるよう設定された速度の範囲内となるよう自動的に規制されるように構成すると共に、マニュアル操作モードで操作中(操作レバーで操作中)においては、車両搭載型クレーンの駆動速度が、実際負荷の限界負荷への近接度合いに応じて小さくなるよう設定された速度を超過している場合に操作抵抗力(超過を解消する方向の復帰力)を操作レバーに作用させるようにし、もってマニュアル操作モードで操作している時にもこの操作抵抗力によりオペレータに速度超過を知らせることができるようにした2モード操作装置を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。本願発明における2モ−ド操作装置は、車両搭載型クレーンを駆動するための油圧アクチュエータへの作動油の給排を制御する油圧切換弁を、当該油圧切換弁に機械的に連結した操作レバーと遠隔操作装置とにより選択的に操作可能に構成したものである。
【0027】
そして、前記遠隔操作装置を、当該遠隔操作装置による油圧切換弁の操作を可能とする遠隔操作モードと、遠隔操作装置による油圧切換弁の操作を不能とするマニュアル操作モードを選択するモード選択スイッチと、油圧切換弁に機械的に連結した弁駆動手段、油圧切換弁の実際開度を検出する実際開度検出手段、目標開度に関する信号を電波にのせて発信する携帯型の操作信号発信手段、及び前記モード選択スイッチからの信号、操作信号発信手段から電波を介して入力される目標開度、実際開度検出手段からの実際開度を受け取って演算処理し、モード切換スイッチが遠隔操作モードに設定されている状態の下では、弁駆動手段をして油圧切換弁の実際開度を目標開度に追随させるための制御信号を弁駆動手段に出力する制御信号出力手段とで構成している。
【0028】
そして、本願請求項1における2モ−ド操作装置は、車両搭載型クレーンの実際稼働姿勢を検出する稼働姿勢検出手段、車両搭載型クレーンに作用する実際負荷を検出する負荷検出手段、及び稼働姿勢検出手段からの実際稼働姿勢を基にその時の車両搭載型クレーンの限界負荷を算出しこの算出に係る限界負荷を負荷検出手段からの実際負荷と比較し、後者の値が前者の値に近づく程小さくなるよう設定された油圧切換弁の許容開度を算出し、この許容開度を前記遠隔操作装置における制御信号出力手段に出力する演算部とからなる許容開度算出装置を設けて構成している。
【0029】
そして、本願請求項1における2モ−ド操作装置では、制御信号出力手段が、モード選択スイッチが遠隔操作モードに設定されている状態の下では、油圧切換弁の実際開度が許容開度算出装置から入力される許容開度を越えないよう、制御信号出力手段から出力される制御信号を規制するよう構成している。
【0030】
このように構成したことにより、モード選択スイッチを遠隔操作モードに設定して各油圧切換弁を携帯型の操作信号発信手段で遠隔操作している状態では、許容開度算出装置から実際負荷が車両搭載型クレーンの稼働姿勢によって変動する限界負荷に近づくほど小さくなる油圧切換弁の許容開度が出力されるようになっている。そして、この許容開度は、遠隔操作装置における制御信号出力手段に入力され、これを受けた制御信号出力手段は、油圧切換弁の実際開度が入力された許容開度を越えないよう弁駆動手段への制御信号を規制するのである。
【0031】
このため、遠隔操作モードで操作している時には、実際負荷が限界負荷へ所定値以上近づけば、実際負荷の限界負荷への近接度合いに応じて車両搭載型クレーンの駆動速度が自動的に遅く制御されるのである。
【0032】
また、本願請求項1における2モ−ド操作装置では、制御信号出力手段が、モード選択スイッチがマニュアル操作モードに設定されている状態の下では、油圧制御弁の実際開度が許容開度算出装置から入力される許容開度を超過した時のみ、その超過を復帰させる方向に弁駆動手段を駆動するための制御信号を出力するよう構成している。
【0033】
このように構成したことにより、モード選択スイッチをマニュアル操作モードに設定して油圧切換弁を操作レバーで手動操作している状態では、許容開度算出装置から実際負荷が車両搭載型クレーンの稼働姿勢によって変動する限界負荷に近づくほど小さくなる油圧切換弁の許容開度が出力され、この許容開度が制御信号出力手段に入力され、これを受けた制御信号出力手段が、油圧切換弁の実際開度が許容開度算出装置から入力される許容開度を超過した時のみ、その超過を復帰させる方向に弁駆動手段を駆動するための制御信号を出力するのである。
【0034】
このため、マニュアル操作モ−ドで操作している時には、実際荷重が限界荷重に近づいているにも関わらず、操作レバーにより油圧切換弁を全開で操作している場合等には、弁駆動手段が油圧切換弁に閉じ方向の力を作用させるので、この力が操作レバーの操作抵抗力としてオペレータに伝達され、オペレータはこの操作抵抗力により速度超過(弁開度超過)を知ることがてきるのである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図1、図2に基づき本願の好適な実施形態(第1及び第2の実施形態)について説明する。
【0036】
本願各実施形態の車輌搭載型クレーンの2モード操作装置は、図4に基づき説明した従来の2モード操作装置に比較して、油圧切換弁7a〜7dの許容開度を算出する許容開度算出装置14を設けたこと、及び遠隔操作装置Lにおける制御信号出力手段13の構成を一部変更したことの2点で相違しており、この相違点以外の構成については、上述した従来の2モード操作装置のそれを援用するものとする。
【0037】
(第1の実施形態)
まず、図1に基づき第1の実施形態について説明する。まず、許容開度算出装置14について説明する。当該許容開度算出装置14は、車両搭載型クレーンの実際稼働姿勢を検出する稼働姿勢検出手段14a、車両搭載型クレーンに作用する実際負荷W1を検出する負荷検出手段14b、及び稼働姿勢検出手段14aからの実際稼働姿勢を基に油圧切換弁7a〜7dの許容開度a2〜d2を算出し、この許容開度a2〜d2を前記遠隔操作装置Lにおける制御信号出力手段13に出力する演算部14cとで構成している。
【0038】
前記負荷検出手段14bは、車両搭載型クレーンのブーム起伏駆動用の油圧アクチュエータ6bの出力、即ちブーム3に作用するモーメント応答値を検出する検出器、あるいは吊具4を巻き上げ巻き下げ可能に吊下したワイヤーロープの張力、即ち吊荷応答値を検出する検出器で構成している。
【0039】
前記稼働姿勢検出手段14aは、車両搭載型クレーンの安定性および強度により制限される限界負荷に影響を与える稼働姿勢を検出するものであって、車両搭載型クレーンの動作パラメータであるアウトリガ1a,1bの張出し量を検出する張出し量検出器14a1、旋回台2の旋回角度を検出する旋回角検出器14a2、ブーム3の起伏角度を検出する起伏角検出器14a3、ブーム3の長さを検出するブーム長さ検出器14a4で構成している。車両搭載型クレーンによっては、必ずしもこれらバラメータの全てが限界負荷に影響を与えるとは限らないので、そのようなものにおいては、稼働姿勢検出手段14aにおける検出器を適宜省略可能である。
【0040】
前記演算部14cは、稼働姿勢検出手段14aからの実際稼働姿勢を基にその時の車両搭載型クレーンの限界負荷W2を算出しこの算出に係る限界負荷W2を負荷検出手段14bからの実際負荷W1と比較し、後者の値W1が前者の値W2に所定値以上近づいた状態では、後者の値W1が前者の値W2へ近づく程(近接度合いが増す程)小さくなるよう設定された油圧切換弁7a〜7dの許容開度a2〜d2を算出し、この許容開度a2〜d2を前記遠隔操作装置Lにおける制御信号出力手段13に出力するものである。
【0041】
次に、前記許容開度算出装置14における演算部14cから許容開度a2〜d2が入力される制御信号出力手段13の構成について説明する。制御信号出力手段13は、上述した従来のものと同じ構成と機能を備えたものであるが、第1実施形態の制御信号出力手段13における制御信号出力部13bは、その目標開度信号発生部13aから制御信号出力部13bへ目標開度信号a0〜d0を伝達する伝達経路中に、比較部15a〜15dを配置している。この比較部15a〜15dは、それぞれ目標開度信号a0〜d0毎の伝達経路に配置されており、これら比較部15a〜15dには、許容開度算出装置14からの許容開度a2〜d2がそれぞれ入力されている。
【0042】
各比較部15a〜15dは、目標開度発生部13aからの目標開度a0〜d0と、許容開度算出装置14からの許容開度a2〜d2を比較し、両者のうち開度値の小さい方を弁駆動手段10a〜10dに出力するようにしている。換言すれば、各比較部15a〜15dは、制御信号出力部13bに入力される目標開度a0〜d0を、許容開度a2〜d2の範囲内に制限するように機能するものである。
【0043】
このように構成された第1実施形態の2モード操作装置によれば、モード選択スイッチ9を遠隔操作モードに操作して車両搭載型クレーンを操作信号発信手段12で遠隔操作する際には、油圧切換弁7a〜7dの実際開度a1〜d1が許容開度算出装置14が算出する許容開度a2〜d2を越えないよう、制御信号出力手段13から出力される制御信号a〜dが規制されるのである。この時、許容開度a2〜d2は、車両搭載型クレーンの実際負荷W1が限界負荷W2へ近づくほど小さくなる値に設定されているので、車両搭載型クレーンの限界付近でのクレーン作業時における各油圧アクチュエータ6a〜6dの駆動速度を自動的に遅くすることができるのである。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、図2に基づき、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の2モード操作装置は、上述した第1の実施形態のものに比して、制御信号出力手段13に一部構成を付加したものであるので、ここではこの構成付加部分について説明し、その他の構成については上記した第1の実施形態における説明を援用する。
【0045】
図2において、制御信号出力手段13の制御信号出力部13bには、弁開度規制信号発生部16a〜16dが設けられている。各弁開度規制信号発生部16a〜16dには、実際開度検出手段11a〜11dからの実際開度a0〜d0、許容開度算出装置14からの許容開度a2〜d2、及びモード選択スイッチ9からの信号が入力されている。各弁開度規制信号発生部16a〜16dは、それぞれ対応する弁駆動手段10a〜10dへ制御信号を出力するようになっている。
【0046】
各弁開度規制信号発生部16a〜16dは、次のように構成している。即ち、モード選択スイッチ9がマニュアル操作モードに設定されている状態では、対応する実際開度検出手段11a〜11dからの実際開度a0〜d0と、許容開度算出装置14から入力される許容開度a2〜d2との関係を監視し、前者の値が後者の値を超過した時には、その超過を復帰(解消)させる方向に弁駆動手段10a〜10dを駆動するよう制御信号を対応する弁駆動手段10a〜10dに出力するよう構成している。
【0047】
このように構成された第2実施形態の2モード操作装置によれば、遠隔操作装置Lにおけるモード選択スイッチ9を遠隔操作モードに設定し、車両搭載型クレーンを遠隔操作している時には、上記第1実施形態のもので説明した如く作用する他、モード選択スイッチ9をマニュアル操作モードに設定し、車両搭載型クレーンを操作レバー8a〜8dで操作している時には、各油圧切換弁7a〜7dの開度量(各油圧アクチュエータ6a〜6dの駆動速度)が、実際負荷の限界負荷への近接度合いに応じて小さく設定された許容開度(各油圧アクチュエータ6a〜6dの許容速度)を超過した時にのみ弁駆動手段10a〜10dが、当該超過を解消する方向に駆動制御されるのである。この駆動力は操作レバー8a〜8dに操作抵抗力として作用するので、マニュアル操作モードで操作中のオペレータは、速度超過を認識することができるのである。
【0048】
【発明の効果】
以上の如く構成し作用する本願発明における車両搭載型クレーンの2モード操作装置は、遠隔操作モードで操作している時には、実際負荷が限界負荷へ所定値以上近づいた時には、実際負荷の限界負荷への近接度合いに応じて車両搭載型クレーンの駆動速度が自動的に遅くなるのである。
【0049】
従って、遠隔操作モードで操作している状態で、自動停止装置が働いて車両搭載型クレーンの駆動が停止したとしても、その停止に先立ってクレーンの駆動速度が遅くなるよう規制されているので停止に伴う衝撃が小さくなり、高速作動状態で車両搭載型クレーンが急停止した際の荷振れ等の発生の恐れがなくなるのである。
【0050】
また、マニュアル操作モードで操作している場合にも駆動速度の超過を知ることができるのでより安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の第1実施形態の車両搭載型クレーンの2モード操作装置の説明図である。
【図2】本願の第2実施形態の車両搭載型クレーンの2モード操作装置の説明図である。
【図3】車両搭載型クレーンの説明図である。
【図4】従来の車両搭載型クレーンの2モード操作装置の説明図である。
【符号の説明】
Vは車両、1は基台、1a,1bはアウトリガ、2は旋回台、3はブーム、4は吊具、5はウインチ、6a〜6dは油圧アクチュエータ、7a〜7dは油圧切換弁、8a〜8dは操作レバー、Lは遠隔操作装置、9はモード選択スイッチ、10a〜10dは弁駆動手段、11a〜11dは実際開度検出手段、12は操作信号発信手段、13は制御信号出力手段、13aは目標開度信号発生部、13bは制御信号出力部、14は許容開度算出装置、14aは稼働姿勢検出手段、14a1〜14a4は検出器、14bは負荷検出手段、14cは演算部、15a〜15dは比較部、16a〜16dは弁開度規制信号発生部、a0〜d0は実際開度、a1〜d1は目標開度、a2〜d2は許容開度、a〜dは制御信号、W1は実際負荷、W2は限界負荷、
Claims (1)
- 車両搭載型クレーンを駆動するための油圧アクチュエータ6a〜6dへの作動油の給排を制御する油圧切換弁7a〜7dを、当該油圧切換弁7a〜7dに機械的に連結した操作レバー8a〜8dと遠隔操作装置Lとにより選択的に操作可能に構成した2モード操作装置であって、前記遠隔操作装置Lを、
・当該遠隔操作装置Lによる油圧切換弁7a〜7dの操作を可能とする遠隔操作モードと、遠隔操作装置Lによる油圧切換弁7a〜7dの操作を不能とするマニュアル操作モードを選択するモード選択スイッチ9、
・油圧切換弁7a〜7dに機械的に連結した弁駆動手段10a〜10d、
・油圧切換弁7a〜7dの実際開度を検出する実際開度検出手段11a〜11d、
・目標開度に関する信号を電波にのせて発信する携帯型の操作信号発信手段12、
・前記モード選択スイッチ9からの信号、操作信号発信手段12から電波を介して入力される目標開度、及び実際開度検出手段11a〜11dからの実際開度を受け取って演算処理し、モード切換スイッチ9が遠隔操作モードに設定されている状態の下では、弁駆動手段10a〜10dをして油圧切換弁7a〜7dの実際開度を目標開度に追随させるための制御信号を弁駆動手段10a〜10dに出力する制御信号出力手段13、とから構成してなる車両搭載型クレーンの2モード操作装置において、
車両搭載型クレーンの実際稼働姿勢を検出する稼働姿勢検出手段14a、車両搭載型クレーンに作用する実際負荷を検出する負荷検出手段14b、及び稼働姿勢検出手段14aからの実際稼働姿勢を基にその時の車両搭載型クレーンの限界負荷を算出しこの算出に係る限界負荷を負荷検出手段14bからの実際負荷と比較し、後者の値が前者の値に近づく程小さくなるよう設定された油圧切換弁7a〜7dの許容開度を算出し、この許容開度を前記遠隔操作装置Lにおける制御信号出力手段13に出力する演算部14cとからなる許容開度算出装置14を設け、
前記制御信号出力手段13は、モード選択スイッチ9が遠隔操作モードに設定されている状態の下では、前記油圧切換弁7a〜7dの実際開度が許容開度算出装置14から入力される許容開度を越えないよう、当該制御信号出力手段13から出力される前記制御信号を規制し、モード選択スイッチ9がマニュアル操作モードに設定されている状態の下では、前記油圧制御弁7a〜7dの実際開度が許容開度算出装置14から入力される許容開度を超過した時のみ、その超過を復帰させる方向に弁駆動手段10a〜10dを駆動するための制御信号を出力するよう構成してあることを特徴とする車両搭載型クレーンの2モード操作装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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