本発明のプリント配線板の一実施形態が、図面を参照して説明される。図1は、実施形態のプリント配線板1の断面を説明する図である。プリント配線板1は、第1面11aと第1面11aと反対側の第2面11bとを有する樹脂絶縁層11と樹脂絶縁層11の第1面11a上に形成されているパッド12aを含む第1導体層12とパッド12a上に形成されている電子部品を搭載するための導電性ピラー17と樹脂絶縁層11の第1面11a上に形成されているソルダーレジスト層16とを含んでいる。導電性ピラー17は、樹脂絶縁層11の第1面11aから突出している。ソルダーレジスト層16は、樹脂絶縁層11の第1面11aに露出する第1導体層12の一面を覆っている。また、ソルダーレジスト層16は、導電性ピラー17の側面を覆っている。導電性ピラー17は、パッド12a側と反対側の端面である上面17Tを有し、上面17Tはソルダーレジスト層16から露出している。パッド12aと導電性ピラー17で電子部品と接続するための電極21が形成されている。導電性ピラー17の上面17T上に電子部品が実装される。
電子部品の例は、半導体素子、受動素子(キャパシタや抵抗器など)、配線層を有するインターポーザ、再配線層を有する半導体素子、WLP(Wafer Level Package)などである。導電性ピラー17は、たとえば、電子部品の電極の数に応じて複数個形成される。図1には、3つの導電性ピラー17が示されているが、導電性ピラー17は、これに限定されず、任意の数で設けられ得る。
図1に示されるように、樹脂絶縁層11は第1面11a側に第1導体層12用の凹部11cを有する。そして、第1導体層12は凹部11c内に形成されている。第1導体層12は凹部11c内に埋まっている。第1導体層12はトップ面Tとトップ面Tと反対側のバック面Bを有する。トップ面Tが樹脂絶縁層11の第1面11aに向いていて、バック面Bは凹部11cの底を向いている。図1に示される一実施形態のプリント配線板1の第1導体層12のトップ面Tは第1面11aから凹んでいる。しかしながら、第1導体層12のトップ面Tは第1面11aと面一であってもよい。樹脂絶縁層11の第2面11b上には、第2導体層14が形成されている。第2導体層14は樹脂絶縁層11の第2面11bから突出している。樹脂絶縁層11を貫通し、第1導体層12と第2導体層14とを接続するビア導体15が形成されている。
図1に示されるように、ソルダーレジスト層16はプリント配線板1の略全面に形成されている。ソルダーレジスト層16は複数の開口部16aを備えている。各開口部16aは電子部品を実装するための導電性ピラー17の最表面である上面17Tを露出している。実施形態のプリント配線板1では、導電性ピラー17の側面、およびパッド12aの導電性ピラー17から露出するトップ面Tは、ソルダーレジスト層16に覆われている。図1の例では、導電性ピラー17の側面は、上面17Tと略同じ高さまでソルダーレジスト層16に覆われている。すなわち、導電性ピラー17の上面17Tのみがソルダーレジスト層16から露出している。上面17Tにたとえばはんだバンプ(図示せず)が形成され、このはんだバンプで導電性ピラー17と電子部品とが接続される。導電性ピラー17の上面17T以外はソルダーレジスト層16で覆われているため、はんだは導電性ピラー17の側面に濡れ拡がり得ない。隣接する導電性ピラー17同士がはんだで短絡し難い。電子部品の接続部が狭ピッチになっても、接続部間のショートが発生し難い。狭ピッチで配置された電極を備える電子部品が適切に実装され得る。なお、導電性ピラー17の側面は、上面17Tの高さまでソルダーレジスト層16に覆われていなくてもよい。その例が図7に示されている。導電性ピラー17の側面が部分的に被覆されるだけでも、導電性ピラー17間がショートし難くなると考えられる。
第1導体層12はパッド12aの他に、所定のパターンに形成されている配線12bを含んでいる。樹脂絶縁層11の第1面11aからの配線12bの露出面もソルダーレジスト層16に覆われている。導電性ピラー17の上面17Tからはんだが飛散して配線12b上に付着することがない。たとえば、図1の例のように、配線12bとして複数の幅の細い配線12b1がパッド12a間に狭ピッチで形成されていても、配線12b1間、および、配線12b1と導電性ピラー17との間の絶縁性が確実に確保される。
ソルダーレジスト層16は、図1に示されるように、隣接する導電性ピラー17間において凹んでいる。ソルダーレジスト層16の樹脂絶縁層11と反対側の面、すなわちソルダーレジスト層16の表面は、導電性ピラー17の付近で樹脂絶縁層11側と反対側に向かって凸状の形状を有している。ソルダーレジスト層16の表面は曲面部分を有している。導電性ピラー17の近傍のソルダーレジスト層16の厚さは厚い。導電性ピラー17の側面に接するソルダーレジスト層16の厚さ(パッド12aのトップ面Tから、導電性ピラー17の側面に接している部分のソルダーレジスト層16の表面までの距離)は、導電性ピラー17の長さh(図2A参照)とほぼ等しい。後述されるように、導電性ピラー17の長さhは、15μm以上であって、35μm以下である。したがって、ソルダーレジスト層16の導電性ピラー17の側面に接している部分の厚さは、15μm以上であって、35μm以下であり得る。導電性ピラー17間の凹んでいる部分(例えば図1の配線12b上)のソルダーレジスト層16の厚さは、最も薄い部分で5μm以上であって、15μm以下である。ソルダーレジスト層16の表面が導電性ピラー17間で凹んでいるため、導電性ピラー17上に接続される電子部品とソルダーレジスト層16の表面との間に、より多くの空間が確保され得る。たとえば、電子部品とプリント配線板1との間へのアンダーフィルの充填が容易である。さらに、たとえば、導電性ピラー17の上面17Tに供給されるはんだの余剰分は、この空間において導電性ピラー17の長さ方向に拡がり得る。はんだが、隣接する導電性ピラー17の方に拡がり難いと考えられる。はんだの接触による導電性ピラー17間のショートが、いっそう発生し難いと考えられる。しかし、ソルダーレジスト層16の表面は平坦であってもよい。
図1に示されるように、プリント配線板1は樹脂絶縁層11の第2面11bと第2導体層14上に、複数の開口部160aを備える下側のソルダーレジスト層160が設けられている。下側のソルダーレジスト層160はプリント配線板1の略全面に形成されている。また、各開口部160aはマザーボードと接続するための各パッド160Pを露出している。
図2Aにパッド12aとパッド12a上の導電性ピラー17で形成される電極21の一例が拡大図で示されている。導電性ピラー17の上面17Tは、樹脂絶縁層11の第1面11a側を覆うソルダーレジスト層16から露出している。導電性ピラー17の側面および導電性ピラー17から露出する第1導体層12のトップ面Tはソルダーレジスト層16に覆われている。
導電性ピラー17は上面17Tと上面17Tと反対側の下面17Uを有する。下面17Uは図中に点線で示されている。導電性ピラー17の上面17Tは、樹脂絶縁層11の第1面11aから突出している。導電性ピラー17の上面17T上に電子部品が実装される。導電性ピラー17は下面17Uを介してパッド12aに接続されている。図2Aの例では、下面17Uとトップ面Tは同一平面上に位置している。導電性ピラー17は長さhを有する。長さhは15μm以上であって、35μm以下である。長さhが所定の長さを有するので、電子部品の実装歩留まりが高い。また、電子部品の熱膨張係数とプリント配線板1の熱膨張係数の違いに起因するストレスが導電性ピラー17で緩和される。電子部品実装済みのプリント配線板がヒートサイクルを受けても、電子部品とプリント配線板1間の接続が長期間安定する。
図2Aに示されるように、一実施形態のプリント配線板1では、パッド12aのトップ面Tは第1面11aから凹んでいる。樹脂絶縁層11の第1面11aとトップ面Tとの間の距離H2は5μm以下である。プリント配線板1は第1面11aから突出している導電性ピラー17を有するので、パッド12aのトップ面Tが第1面11aから凹んでいても、電子部品がプリント配線板1上に確実に実装される。突出している高さH1は18μm以上、30μm以下である。導電性ピラー17に電子部品が確実に実装される。
図2Aのパッド12aと導電性ピラー17の形状は円柱である。そして、図2Aでは、導電性ピラー17とパッド12aは、上面17Tの中心を通り上面17Tに垂直な面で切断されている。また、上面17Tの中心を通り上面17Tに垂直な直線はパッド12aのトップ面Tの中心を通る。すなわち、導電性ピラー17はパッド12aの略中央に形成されている。
導電性ピラーの径W1はパッド12aの径W2より小さい。従って、パッド12aの外周部12a1のトップ面Tは露出する。尚、パッド12aは、図2Aに示されるように、導電性ピラー17の下に形成されている中央部12a2と導電性ピラー17から露出する外周部12a1で形成されている。導電性ピラー17の径W1は導電性ピラー17の上面17Tの径である。もしくは、上面17Tの外周に属する2点間の距離の内、最大の値が径W1に相当する。パッド12aの径W2はパッド12aのトップ面Tの径である。もしくは、トップ面Tの外周に属する2点間の距離の内、最大の値が径W2に相当する。もしくは、凹部11cの外周に属する2点間の距離の内、最大の値が径W2に相当する。径W1は15μm以上であって、75μm以下である。径W2は30μm以上であって、100μm以下である。そして、径W2と径W1の比(径W2/径W1)は1.5以上であって、2.5以下である。比(径W2/径W1)が所定の値を有するので、導電性ピラー17でストレスが緩和される。また、ヒートサイクルで導電性ピラー17が劣化し難い。図2Aの例では、径W1は20μmであり、径W2は35μmである。凹部11cの外周が以下に説明される。第1面11aと底面との中間の位置を通り、第1面11aに平行な面Z1で凹部11cが切断される。面Z1と第1面11aとの間の距離と面Z1と凹部11cの底部との間の距離は等しい。面Z1と凹部11cの側壁との交点を結ぶことで、凹部11cの外周が得られる。尚、凹部11cの側壁と凹部11cを形成する樹脂絶縁層の側壁は、概ね、同じである。
図2Aの例では、導電性ピラー17は、パッド12a上に形成されている金属層17bと金属層17b上に形成されている金属膜17cを有する。例えば、金属層17bは金属箔13(図4B参照)から形成される。金属膜17cは無電解めっき、または、電解めっきで形成される。金属膜17cの例は電解銅めっき膜である。図2Aの導電性ピラー17は、さらに、金属層17bの下に位置する導体層17aを有している。導体層17aは金属層17bとパッド12aとの間に形成されている。導体層17aとパッド12aは下面17Uで区切られている。但し、パッド12aと導体層17aは一体に形成されている。すなわち、導体層17aはパッド12aの一部である。導電性ピラー17とパッド12aはパッド12aの一部(パッド12aの凸部)を共有している。すなわち、導電性ピラー17とパッド12aとの境界部は、パッド12aを構成する第1導体層12で形成されている。導体層17aとパッド12aは、例えば、電解銅めっき膜である。
導体層17aの厚さは、0より大きく、5μm以下である。導体層17aの厚さが1μm以上、4μm以下であると、以下の説明のように、電極21と樹脂絶縁層11間との間の剥がれが発生し難い。導電性ピラー17の先端部に横向きの力が加わると、導電性ピラー17は曲がろうとする。導電性ピラー17とパッド12aの界面に力が集中しやすい。しかし、実施形態では、導電性ピラー17とパッド12aは同じ材料で一体的に繋げられている。導電性ピラー17がストレスを受けても、導電性ピラー17とパッド12aとの間で剥がれが発生し難い。第1面11aと下面17Uとの間の距離H2は4μm以下であることが好ましい。距離H2が4μmを超えると、下面17Uとバック面Bとの間の距離が短くなる。導電性ピラー17がストレスを受けると、パッド12aが樹脂絶縁層11から剥がれやすい。
導電性ピラー17が、めっき膜からなる金属膜17cとめっき膜からなる導体層17aとの間に金属箔13から形成される金属層17bを有することが好ましい。めっき膜の厚みは、めっき槽内の位置等で異なり得る。従って、導電性ピラー17の全てがめっきで形成されると、導電性ピラー17の高さのバラツキが大きくなる可能性がある。導電性ピラー17の高さがバラツキを有すると、半導体素子などの電子部品の電極と導電性ピラー17の上面17Tとの間の距離がバラツキを有する。バラツキが大きいと、複数の導電性ピラー17の内、いくつかの導電性ピラー17は電子部品の電極に繋がらない。あるいは、いくつかの導電性ピラー17は電子部品の電極に不完全に繋がる。接続の信頼性が損なわれる。導電性ピラー17が金属箔13から形成される金属層17bを有することで、導電性ピラー17中のめっきで形成される膜の厚みを薄くすることができる。めっきのバラツキの影響が小さくなる。金属箔の厚みは均一なので、金属箔13から形成される金属層17bの厚さは均一である。よって、金属層17bを有することで、導電性ピラー17の高さのバラツキが小さくなる。金属箔13の例は、銅箔やニッケル箔である。導電性ピラー17の高さが所定範囲内に制御される。例えば、最も高い導電性ピラー17の高さと最も低い導電性ピラーの高さの差は10μm以下である。
金属層17bの厚さ(第1面17bFと第2面17bSとの間の距離)は、2μm以上であって、7μm以下である。金属層17bは金属箔13をエッチングすることで形成される。但し、詳細は後で述べられる。金属層17bの厚みが2μm以上であると、導電性ピラー17の長さhのバラツキが小さくなる。高い接続信頼性を有する導電性ピラー17が提供される。金属層17bが厚すぎると、金属箔13の不要部分がエッチングで除去される時、時間がかかる。生産効率が低くなる。また、エッチングで金属箔の不要部分が除去される時、金属膜17cの上面や側壁もエッチング液に溶解する。均一に溶解することは難しい。従って、エッチング時間が長いと、導電性ピラー17の高さや太さのバラツキが大きくなりやすい。バラツキが大きくなると、特定の導電性ピラー17にストレスが集中するため、電子部品とプリント配線板間の接続信頼性が低くなる恐れがある。このような観点から金属層17bの厚みは7μm以下であることが好ましい。
金属膜17cの厚さは、13μm以上、25μm以下である。金属膜17cがめっきで形成されても金属膜17cの厚みのバラツキが小さくなる。導電性ピラー17でストレスを緩和することができる。
導電性ピラー17を形成している金属層17bおよび金属膜17cは、樹脂絶縁層11の第1面11aから突出している。また、導体層17aは、第1導体層12用の凹部11c内に形成されている。導電性ピラー17は空間内にあり、樹脂絶縁層11に接していない。そのため、導電性ピラー17が応力を受けると、導電性ピラー17は、比較的、自由に変形することができる。変形で導電性ピラー17はストレスを吸収することができる。
導電性ピラー17の側壁とパッド12aのトップ面Tは図2Aに示される角Cで交わっている。導電性ピラー17にストレスが働くと、ストレスは角Cに集中しがちである。しかしながら、パッド12aのトップ面Tが樹脂絶縁層11の第1面11aから凹んでいるため、ストレスが角Cに加わり難い。さらに、図2Aの電極21では、パッド12aと導体層17aが一体に形成されているので、角Cから電極にクラックが発生し難い。角Cにストレスが加わっても、電極21が劣化し難い。
図2Aの例では、導電性ピラー17の側壁とパッド12aのトップ面Tとの間の角度は90度である。また、導電性ピラー17の上面17Tから下面17Uまで、導電性ピラー17は一定の太さを有する。下面17Uの径と上面17Tの径は略等しい。このような形状は、たとえば、ドライエッチングのような機械的な方法で得られる。
図2Bおよび図2Cに別の例の電極が示されている。図2Aの例と同様に、図2Bや図2Cの導電性ピラー17は、パッド12a上に形成されている金属層17bと金属層17b上に形成されている金属膜17cと金属層17bの下に位置する導体層17aとを有する。しかし、図2Bや図2Cの例では、図2Aの例と異なり、導電性ピラー17の径は一定でない。導体層17aは金属層17bと導体層17aの界面から導電性ピラー17の下面17Uに向かって太くなっている。導電性ピラー17の側壁とパッド12aのトップ面Tは図2B中の角C2や図2C中の交点C2で交わっている。角C2や交点C2にストレスが集中しても、下面17Uの径W3が大きいので、交点C2などから電極21にクラック等の不具合が発生し難い。
実施形態によれば、プリント配線板1上に大きな電子部品を実装することができる。大きな電子部品は、20mm以上の辺を有する。電子部品の大きさが大きくなると、ストレスの大きさが大きくなる。ストレスに耐えるため、導電性ピラー17の強度は高いことが好ましい。しかしながら、ヒートサイクルの数が大きくなると、導電性ピラー17と電子部品間の接合部(例えば、はんだバンプ)が劣化するかもしれない。例えば、ヒートサイクルで電子部品とプリント配線板間の接続抵抗が高くなる。なぜなら、導電性ピラー17の剛性が高いので、接合部にストレスが集中しやすいからである。
そのような不具合を防止するため、図2Bや図2Cの例では、下面17Uの径W3は上面の径W1より大きい。しかながら、比(径W3/径W1)の値が大きくなると、導電性ピラー17の内、上端に近い部分の強度と下端に近い部分の強度との差が大きくなる。下端に近い部分の強度は高いので、下端に近い部分は変形し難い。比(径W3/径W1)の値が1.2を超えると、変形による応力緩和の効果が小さくなる。ヒートサイクルで特定の導電性ピラー17にストレスが集中し、特定の導電性ピラー17が劣化する恐れがある。そのため、実施形態では、径W3は径W1の1.2倍以下である。下面17Uより下に位置する導体が太すぎると、導体がストレスを受けたときの導体の変形が小さい。その場合、下面17Uより下に位置する導体は導電性ピラー17の機能を有しない。或いは、効果に寄与する割合が小さい。実施形態の導電性ピラー17によれば、細い部分でストレスが緩和され、太い部分で導電性ピラー17の強度が確保される。下面17Uに向かって太くなる導体層17aの太さに応じて、接続信頼性や耐久性、および応力緩和性等の観点から、下面17Uの位置が決められる。図2Bの例では、下面17Uと第1面11aとの間の距離Kは、1μm以上、4μm以下である。距離Kが、この範囲を満足すると、下面17Uに、直接、力が掛かり難い。導電性ピラー17とパッド12a間の接続信頼性が高い。
図2Bや図2Cの例では、図2Aと異なり、導電性ピラー17から露出するパッド12aのトップ面Tは第1面11aに対し傾いている。導電性ピラー17の側壁とパッド12aのトップ面Tとの間の角度は90度より大きいことが好ましい。外周部12a1の厚み(バック面Bとトップ面Tとの間の距離)はパッド12aの側壁から中央部12a2に向かって厚くなっている。また、図2Bや図2Cの例では、前述のように、導電性ピラー17の下面17Uの外周から下面17Uの中心に向かって導体層17aの厚みが厚くなるように、導体層17aの露出面が傾いている。図2Bのパッド12aのトップ面Tおよび導体層17aの露出面は平坦面であり、一方、図2Cのパッド12aのトップ面Tおよび導体層17aの露出面は曲がっている。図2Bおよび図2Cの例では、導電性ピラー17の側壁とパッド12aのトップ面が90度で交わっていないので、角C2や交点C2にかかるストレスが分散される。電極21の信頼性が高くなる。さらに、図2Cの例では、トップ面Tが曲がっているので、ヒートサイクル中のパッド12aの劣化が特に少ないと考えられる。ヒートサイクルで電極21が劣化し難い。電極21と電子部品間の接続信頼性が高いと考えられる。
図2Bに示されている形状は、例えば、導電性ピラー17がマスクに用いられ、パッド12aのトップ面Tや金属箔がエッチング液でエッチングされることにより得られる。図2Cに示されている形状は、例えば、導電性ピラー17がマスクに用いられ、エッチング液を噴射することでパッド12aのトップ面Tと金属箔がエッチングで除去されることにより得られる。樹脂絶縁層11と導電性ピラー17により、エッチング液の供給が邪魔されるため、図2Cに示される形状が得られる。
図3Aには、凹部17dを有する導電性ピラー17の例が示されている。金属層17bの側面が金属膜17cの側面から凹んでいる。また、金属層17bの側面が導体層17aの側面から凹んでいる。図3Bには、凸部17eを有する導電性ピラー17が示されている。図3Bでは、金属層17bの側壁が金属膜17cの側壁から出っ張っている。金属層17bの側壁が導体層17aの側壁から出っ張っている。導電性ピラー17が凹部17dや凸部17eを有すると、導電性ピラー17による応力緩和の効果を大きくすることができる。但し、凹部17dや凸部17eの大きさが大きすぎると、凹部17dや凸部17eから導電性ピラー17にクラックが発生しやすい。金属層17bの厚みが前述の範囲であると、適度な大きさの凹部17dや凸部17eが形成され得る。凹部17dおよび凸部17eの形成方法は後述される。
図1に示されるプリント配線板の製造方法の一実施形態が、図4A〜4Kを参照して説明される。
図4Aに示されるように、支持板18が準備される。支持板18の例は、金属板や銅張積層板である。図4Aでは、支持板18として、両面銅張積層板が用いられる。そして、両面銅張積層板18の両面に金属箔13が積層されている。金属箔13は第1面と第1面と反対側の第2面を有する。金属箔13の第1面が露出している。例えば金属箔13の厚さは2〜7μmである。好ましい厚みは5μmである。両面銅張積層板18の絶縁基板18aの厚みは100μmであり、銅箔18bの厚みは18μmである。両面銅張積層板18と金属箔13間に、図示されていない接着剤層が形成されていて、接着剤層で両面銅張積層板18と金属箔13間は接着されている。接着剤層の接着力は加熱で低下する。
めっきレジスト(図示せず)が金属箔13の第1面上に形成される。そして、金属箔13がシード層に用いられ、電気銅めっき法により、めっきレジストから露出する金属箔13上に第1導体層12が形成される。その後、めっきレジストが除去される。図4Bに示されるように、金属箔13上に銅からなる第1導体層12が形成される。
図4Cに示されるように、金属箔13の第1面および第1導体層12上に樹脂絶縁層11用の樹脂フィルムと第2金属箔14aが積層される。樹脂フィルムは、第1面と第1面と反対側の第2面とを有する。樹脂フィルムの第1面が金属箔13の第1面と対向するように、樹脂フィルムは積層される。樹脂フィルムの第2面上に第2金属箔14aが積層される。その後、加熱プレスが行われる。樹脂フィルムが硬化し、樹脂フィルムから樹脂絶縁層11が形成される。樹脂フィルムの第1面側に第1導体層12が埋められる。これにより、樹脂絶縁層11の第1面11a側に第1導体層12用の凹部11cが形成される。樹脂絶縁層11は第1面11a側に第1導体層12用の凹部11cを有する。凹部11cに第1導体層12が形成される。樹脂絶縁層11の第2面11bに第2金属箔14aが接着する。
第1導体層12は電子部品を搭載するための複数のパッド12aおよび配線12bを有している。樹脂絶縁層11は、シリカ等の無機粒子とエポキシ等の樹脂で形成される。樹脂絶縁層11は、さらに、ガラスクロス等の補強材を有してもよい。図4Cの樹脂絶縁層は無機粒子と補強材と樹脂で形成されている。
図4Dに示されるように、第2金属箔14aにレーザー光が照射される。第2金属箔14aと樹脂絶縁層11を貫通し、第1導体層に到る開口11dが形成される。開口11dの内壁および第2金属箔14a上に無電解めっきなどでシード層14bが形成される。
図4Eに示されるように、第2面11b上に所定の導体パターンを有する第2導体層14が形成される。シード層14b上に、第2導体層14の導体パターンに相当するパターンで開口を有するめっきレジスト(図示せず)が形成される。電解めっき法により、開口内のシード層14bの表面に電解めっき膜14cが形成される。めっきレジストが除去される。電解めっき膜14cに覆われていない部分の第2金属箔14aおよびシード層14bがエッチングなどにより除去される。第2金属箔14aと第2金属箔14a上のシード層14bとシード層14b上の電解めっき膜14cとからなる第2導体層14が形成される。開口11d内に第1導体層12と第2導体層14を接続するビア導体15が形成される。支持板18上に中間基板100が完成する。中間基板100は、金属箔13と第1導体層12と樹脂絶縁層11と第2導体層14とビア導体15で形成されている。
図4Fに示されるように、熱で金属箔13と支持板18が分離される。中間基板100が得られる。中間基板100の金属箔13の第1面が露出される。
次に、図4Gに示されるように、金属箔13上に開口19aを有するめっきレジスト19が形成される。開口19aはパッド12a上の金属箔13を露出する。図4Gに示されるように、開口19aの径W4はパッド12aの径W2より小さい。径W4と導電性ピラー17の径W1(図2A参照)はほぼ等しい。パッド12aの外周上の金属箔13はめっきレジスト19で覆われている。パッド12aの中央部分上の金属箔13はめっきレジスト19で覆われていない。図4Gでは、径W2は35μmであって、径W4は20μmである。めっきレジスト19の厚みは約20μmである。図4Hに示されるように、開口19aから露出する金属箔13上に金属膜17cが形成される。金属箔13がシード層に利用され、金属膜17cが電解めっきで形成される。図4Hでは、金属膜17cは、電解銅めっきで形成される電解銅めっき膜である。この時、樹脂絶縁層の第2面11bと第2導体層14上に保護膜190が形成されている。
めっきレジスト19が除去される。めっきレジスト19を除去することで、金属箔13が露出する。金属膜17cがマスクに利用され、金属箔13がエッチングなどで除去される。図4Iに示されるように、樹脂絶縁層11の第1面11aとパッド12aのトップ面Tが露出する。パッド12a以外の第1導体層12のトップ面Tが露出する。金属箔13がエッチングにより除去される時、隣接するパッド12a間の短絡を防止するため、金属箔13を除去することで露出されるパッド12aの上面が除去される。除去されるパッドの上面の厚みは、0より大きく、5μm以下である。短絡のリスクを小さくするため、除去する厚みは1μm以上であることが好ましい。パッド12aを含む第1導体層12が形成される。第1導体層12のトップ面Tは第1面11aから凹んでいる。パッド12aと導電性ピラー17とからなる電極21が完成する。金属箔13の除去後、保護膜190が除去される。
樹脂絶縁層11の両面11a、11b上に、ソルダーレジスト層16、160(図1参照)が形成される。ソルダーレジスト層16の形成は、たとえば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂などのソルダーレジスト層16を構成する樹脂材料の塗布や積層と、この樹脂材料に対するプレスや樹脂材料の部分的な除去との組み合わせにより行われる。たとえば、図4Jに示されるように、ソルダーレジスト層16、160の材料からなる半硬化状態の樹脂層16b、160bが、樹脂絶縁層11の両面11a、11bの全面に形成される。樹脂層16b、160bは、エポキシ樹脂などの印刷や、樹脂フィルムの積層などにより形成され得る。樹脂層16bは、導電性ピラー17の上面17Tを覆うように形成され得る。その後、樹脂層16bが真空プレスにより脱気されるか、適度な弾力性を有する緩衝材を介して機械的に上方からプレスされる。これらのプレスは、樹脂層16bの形成と同時に行われてもよい。真空プレスなどにより、樹脂層16bのうち導電性ピラー17上の部分よりも厚く形成されている導電性ピラー17間の部分が、導電性ピラー17上の部分よりも多く収縮し、または圧縮される。それにより、導電性ピラー17間の樹脂層16bの表面が凹み得る。また、それに伴って、導電性ピラー17上の樹脂材料が導電性ピラー17間に引き寄せられ、それにより導電性ピラー17の上面17Tが露出し得る。
樹脂層16bの導電性ピラー17上の部分は、図4Jに示される状態から、印刷用のスキージ等を用いて除去されてもよい。適度な弾性を有するスキージを用いることにより樹脂層16bの導電性ピラー17間の表面部分が掻き取られ得る。それにより、樹脂層16bの導電性ピラー17間の表面が導電性ピラー17の上面17Tよりも凹み得る。また、図4Jの状態から、ジェットブラストやウェットブラストにより、樹脂層16bの導電性ピラー17上の部分が除去されてもよい。導電性ピラー17の上面17Tの露出後もブラスト加工を継続することにより、樹脂層16bの導電性ピラー17間の表面が導電性ピラー17の上面17Tよりも凹み得る。または、図4Kに示されるように、まず、樹脂材料の塗布や積層、または、その後のプレス加工もしくはブラスト加工により、導電性ピラー17の上面17Tが樹脂層16bの表面に露出される。その後、上面17Tを露出させたときと異なる加工方法やスキージングにより、樹脂層16bの導電性ピラー17間の表面が導電性ピラー17の上面17Tより凹まされてもよい。導電性ピラー17の上面17Tが露出した状態で、紫外線の照射や加熱により樹脂層16bが本硬化されてもよい。たとえば、以上の工程により図1に示されるソルダーレジスト層16が形成される。
なお、樹脂層160bも、樹脂層16bと同様に加工され得る。しかし、第2導体層14は導電性ピラー17よりも薄いため、樹脂層160b上に露出しない。フォトリソグラフィやレーザー光の照射により開口部160aが形成され、図1に示される下側のソルダーレジスト層160が形成され得る。
以上の工程を経ることにより、図1に示されるプリント配線板1が完成する。導電性ピラー17の側面に接するソルダーレジスト層16の厚さと導電性ピラー17の長さh(図2A参照)とが略等しい。ソルダーレジスト層16によって、導電性ピラー17の側面、および、パッド12aの導電性ピラー17から露出するトップ面Tが覆われる。また、第1導体層12の配線12b上も、ソルダーレジスト層16によって覆われる。ソルダーレジスト層16の導電性ピラー17の間の表面は、導電性ピラー17の上面17Tよりも、樹脂絶縁層11側に凹んでいる。
金属箔13がエッチング液で除去される時、金属膜17cの表面も除去される。パッド12aの上面がエッチング液で除去される時、金属膜17cの表面や金属層17bの側壁が除去される。金属層17bのエッチング速度が金属膜17cのエッチング速度より早いと、凹部17dを有する導電性ピラー17が形成される(図3A参照)。金属膜17cのエッチング速度が金属層17bのエッチング速度より速いと、凸部17eを有する導電性ピラー17が形成される(図3B参照)。エッチング液や金属膜17c、金属層17bの材料を選定することで、図3Aや図3Bに示される形状が得られる。
電極21の表面に保護膜を形成することができる。保護膜は電極の酸化を防止するための膜である。保護膜の例は、OSP、Ni/Au、Ni/Pd/Au、Snである。保護膜は図に示されていない。
樹脂絶縁層11と第2導体層14上に樹脂絶縁層と導体層を交互に積層することで、3層以上の導体層を有する多層プリント配線板が形成され得る。
所定の高さを有する導電性ピラー17は、めっき膜からなる金属膜17cとめっき膜からなる導体層17aで形成されてもよい。その例が図5の導電性ピラー17である。図5の例では、工程が簡単になる。
図5の例では、パッド12aと導電性ピラー17は連続して形成されている。例えば、これらは同じめっき膜で形成されている。電解銅めっき膜が好ましい。従って、図5の導電性ピラー17は、パッド12aとの間に界面を有していない。パッド12aと導電性ピラー17が一体に形成されているので、導電性ピラー17がストレスを受けても、導電性ピラー17の側壁とパッド12aのトップ面Tとが交わっている角Cから電極21にクラックが発生し難い。角Cにストレスが集中しても、電極21が劣化し難い。
図5に示される導電性ピラー17の製造方法が以下に説明される。図5の電極21では、パッド12aと導電性ピラー17は同時に形成されていて、それらは一体化している。200μmのニッケル箔が準備される。ニッケル箔に非貫通孔が形成される。非貫通孔の形状は円柱であって、直径は20μmであり、深さは20μmである。ニッケル箔上にめっきレジストが形成される。めっきレジストは、非貫通孔と非貫通孔の周りのニッケル箔を露出する開口を有する。非貫通孔とめっきレジストの開口内に電解銅めっき膜が形成される。めっきレジストが除去される。ニッケル箔上にパッド12aを含む第1導体層が形成される。ニッケル箔の非貫通孔に導電性ピラー17が形成される。第1導体層から露出するニッケル箔と第1導体層上に樹脂絶縁層11が形成される。樹脂絶縁層11の第1面11aがニッケル箔と対向している。セミアディティブ法で樹脂絶縁層11の第2面11bに第2導体層(図示せず)が形成される。樹脂絶縁層11を貫通し、第1導体層と第2導体層を接続するビア導体(図示せず)が形成される。ニッケル箔が選択的にエッチングで除去される。導電性ピラー17から露出する第1導体層の上面がエッチングで除去される。パッド12aのトップ面Tは第1面11aから凹む。以上の工程を経ることで、図5に示される導電性ピラー17が形成される。
図5の導電性ピラー17の別の形状の例が図6Aに示されている。図6Aでは、導電性ピラー17の上面17Tからパッド12aに向かって、導電性ピラー17は、徐々に太くなっている。従って、導電性ピラー17が劣化し難い。ヒートサイクルで導電性ピラー17の抵抗が高くならない。図6Aに示されている形状は、例えば、図5に示される導電性ピラー17を有するプリント配線板が導電性ピラー17の上面17Tからエッチング液に浸漬されることにより得られる。エッチング液は導電性ピラー17の側壁に向かう流れを有している。導電性ピラー17の側面のエッチング量がパッド12a側から上面17T側に向かって大きくなる。そのため、導電性ピラー17の側壁は、パッド12aから導電性ピラー17の上面17Tに向かって細くなるようにテーパーしている形状を有する。
図5の導電性ピラー17のさらに別の形状の例が図6Bに示されている。図6Bでは、導電性ピラー17の上面17Tからパッド12aに向かって、導電性ピラー17は、徐々に細くなっている。従って、導電性ピラー17が変形しやすい。導電性ピラー17でストレスが緩和される。ヒートサイクルでプリント配線板と電子部品間の接続抵抗が高くならない。図6Bに示されている形状は、例えば、図5に示される導電性ピラー17を有するプリント配線板が樹脂絶縁層11の第2面11bからエッチング液に浸漬されることにより得られる。導電性ピラー17の上面17Tが、最後に、エッチング液内に入る。エッチング液は導電性ピラー17の側壁に向かう流れを有している。導電性ピラー17の側面のエッチング量が上面17T側からパッド12a側に向かって大きくなる。そのため、導電性ピラー17の側壁は、導電性ピラー17の上面17Tからパッド12aに向かって細くなるようにテーパーしている形状を有する。