JP6714228B2 - 水系接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、キチンナノファイバーと水系樹脂接着剤とを含む水系接着剤組成物に関する。
水系樹脂接着剤は、水を媒体とする接着剤であって、有機溶剤を媒体とする接着剤に比べて、有毒ガスの発生、引火性がなく、環境負荷が少ない安全な接着剤として、自動車、電子部品、木工品などの様々用途に採用されている。
水系樹脂接着剤としては、酢酸ビニル樹脂エマルジョンを主成分とする酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、各種親水性高分子の水溶液またはエマルション溶液と、架橋剤としてのイソシアネート化合物を主成分とする水性高分子-イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコールを主成分とするポリビニルアルコール系接着剤などが知られている。
一方で、環境への配慮、資源枯渇の恐れが少ないことからセルロース、キチン等の生物由来材料(バイオマス)からバイオナノファイバーを得て、これらを利用することについても盛んに研究がなされている。
ここで、ナノファイバーとは、直径が1〜1000nmで、長さが直径の100倍以上ある繊維をいい、従来の繊維と比べて優れた特性を有する。具体的には、比表面積が大きく、吸着性能、接着力、分子認識性が優れるという超比表面積特性、繊維径が光の波長400〜700nmより小さいため乱反射が少なく透明性が優れるというナノサイズ特性、分子配向性が高いため強度、電気伝導性、熱伝導性に優れるという分子配列特性である。このため、新規かつ特殊な機能を発揮する素材として注目され、その利用が進められている。
水系樹脂接着剤においては、接着強度に優れた水系樹脂接着剤が望まれており、接着強度を向上する手段として、酢酸ビニル系、エチレン酢酸ビニル系の水系接着剤にセルロースナノファイバーを含有することが提案されている(特許文献1)。
また、キチン又はキトサンのナノファイバーを補強繊維として用いた透明複合材であって、広い範囲の樹脂屈折率において高い透明性を発揮でき、フレキシブルであり、機械強度、軽量性、表面平滑性、耐熱性、耐UV性等を発揮する新規複合材が提案されている(特許文献2)。
特開2014−132072号公報 特開2012−062457号公報
本発明の課題は、広く環境への配慮、資源枯渇の恐れが少ないキチン含有生物由来の材料(バイオマス)ナノファイバーを含有する環境負荷が少なく、かつ接着強度に優れる水系接着剤組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、キチン含有生物由来の材料(バイオマス)から、ナノファイバーとしての特性(超比表面積特性、ナノサイズ特性、分子配列特性)に優れた細く、長く、均質なキチンナノファイバーを得ることができた。さらに得られたキチンナノファイバー含有する水系接着剤組成物を得ることができ、セルロースナノファイバーを含有する水系接着剤組成物に比べて接着強度に優れることを見出した。
特に、キチン含有生物由来の材料の分散液を解繊処理する工程において、マイクロバブルの特性、具体的には、自己加圧効果により溶存性が高いこと、自己圧壊効果によるラジカル生成機能があること、負電位に帯電するコロイド的な表面電気特性があること、に着目して解繊処理をマイクロバブルの存在下で行うことにより、上記課題を解決することができた。
具体的には、以下の態様により解決できる。
(態様1) 繊維径が10〜1000nmのキチンナノファイバー固形分換算で水系樹脂接着剤100に対して0.005〜0.1配合したことを特徴とする水系接着剤組成物である。
バイオマス由来のバイオナノファイバーの原料としては、キチン、セルロースが豊富な資源として活用がされており、前処理方法も確立されているからである。また、キチンナノファイバーは水系樹脂接着剤を構成するエマルジョン樹脂や水溶性高分子素材との密接な相互作用により、水系接着剤組成物の強度向上に資するからである。
(態様2) キチン含有生物由来のキチンの分散液をマイクロバブルの存在下で解繊処理をした繊維径が10〜1000nmのキチンナノファイバーを、固形分換算で水系樹脂接着剤100に対して0.005〜0.1配合したことを特徴とする水系接着剤組成物の製造方法である。
解繊処理をマイクロバブルの存在下で行うことにより、高濃度(高溶存性)のマイクロバブルが解繊処理の対象になるバイオマス繊維に作用することにより、その物理的衝撃、自己圧壊効果により生じたラジカルのバイオマス繊維へ化学反応、コロイド的な表面電気特性に基づく電位反発等による解繊の促進により、解繊処理の対象となるバイオマス繊維のナノサイズレベルへの分散、すなわちバイオナノファイバー化がマイクロバブルを含む分散液の撹拌のみで行われるため、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、超音波ホモジナイザー、ビーズミル、凍結粉砕などの機械的作用を利用する湿式粉砕装置のみを用いた解繊処理に比べ、材料への負荷が少ないため、繊維長の長いバイオナノファイバーを低エネルギーかつ低コストで行うことができるからである。
バイオナノファイバーは、水系接着剤との親和性が高く、マイクロバブルの存在下で解繊処理をした繊維長の長いバイオナノファイバーが水系接着剤に含まれることで水系接着剤を構成するエマルジョン樹脂や水溶性高分子素材との密接な相互作用により、水系接着剤組成物の強度向上に資するからである。
(態様3) キチン含有生物由来のキチンの分散液をマイクロバブルの存在下で行う解繊処理と、キチン含有生物由来のキチンのマイクロバブルを含む分散液を湿式粉砕による解繊処理とを併用して解繊処理した繊維径が10〜1000nmのキチンナノファイバーを、固形分換算で水系樹脂接着剤100に対して0.005〜0.1配合したことを特徴とする水系接着剤組成物の製造方法である。
グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、超音波ホモジナイザー、ビーズミル、凍結粉砕などの機械的作用を利用する湿式粉砕による解繊処理に、マイクロバブルを含むバイオマスの分散液を採用すること、すなわちマイクロバブル存在下の湿式粉砕による解繊処理を行うことで、高濃度のマイクロバブルが解繊処理の対象になるバイオマス繊維に作用することにより、その物理的衝撃、自己圧壊効果により生じたラジカルのバイオマス繊維へ化学反応、コロイド的な表面電気特性に基づく電位反発等による解繊の促進により、解繊処理の対象となるバイオマス繊維のナノサイズレベルへ分散、という相乗効果により、湿式粉砕のみによる解繊に比べて短時間で解繊処理を行うことができ、材料への負荷が少ないため、繊維長の長いバイオナノファイバーを低エネルギーかつ低コストで行うことができるからである。
(態様4) マイクロバブルが旋回液流式マイクロバブル発生装置により生じたマイクロバブルであることを特徴とする前記(態様2)または(態様3)のいずれかに記載した水系接着剤組成物の製造方法である。
旋回流マイクロバブル発生装置では、気液発生槽の内部の旋回により、旋回による剪断力とマイクロバブルが同時に相乗的に作用する。このため、解繊処理に旋回流マイクロバブル発生装置により生じたマイクロバブルを使用することで、低エネルギーかつ低コストで効率よく、超比表面積特性、ナノサイズ特性、分子配列特性に優れ、細く、長く、均質なバイオナノファイバーを得ることができるからである。
本発明の接着剤組成物は、水系樹脂接着剤に加えるキチンナノファイバーが超比表面積特性、ナノサイズ特性、分子配列特性に優れ、細く、長く、均質なバイオナノファイバーである。このため、環境負荷が少なく、かつ接着強度に優れる水系接着剤組成物を提供することができる。
図1は、本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーを生成するためのマイクロバブルを用いた解繊処理の1実施態様を示す模式図である。 図2は、本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーを生成するための解繊処理に用いた旋回液流式マイクロバブル発生装置の構成の説明図である。 図3は、本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーを生成するためのマイクロバブルと湿式粉砕とを併用した解繊処理の1実施態様を示す模式図である。
本発明を実施するための態様を以下に説明する。ただし、記載した実施態様に限定されるものではない。
1.生物由来キチンとその前処理
(1−1)生物由来キチン
本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーは、エビ、カニをはじめとして、昆虫、貝、キノコにいたるまで、極めて多くの生物に含まれるキチン(生物由来材料)を原料として、前処理を行って生成する。ここで、キチンとは、N-アセチル-D-グルコサミンが鎖状に長く(数百から数千)つながった繊維構造を有するアミノ多糖である。
生物由来キチンの形態は、繊維状、粒状などの任意の形態であってもよい。甲殻類、昆虫類またはオキアミの殻及び外皮などから採取加工したものである。
なお、本発明においては、キチンをアルカリ処理してアセチル基を除いたキトサンを用いることができる。
(1−2)生物由来キチンの前処理
本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーの製造方法においては、(a)脱蛋白処理及び脱灰処理を行ったキチン含有生物由来の材料、(b)脱蛋白処理及び脱灰処理及び脱アセチル化処理を行ったキチン含有生物由来の材料、のように解繊処理を効率的に行うための前処理を行った生物由来の材料が好ましい。また、前処理を行った市販の精製キチン・キトサンを用いることができる。
2.生物由来キチンの解繊処理とキチンナノファイバー
(2−1)キチンナノファイバー
本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーは、上述した前処理を行った生物由来キチンを解繊処理して生成する。ここで、ナノファイバーとは、繊維径がナノサイズになった繊維体をいう。解繊処理により繊維同士が解けて1本の最小単位の繊維になると、その直径は10〜50nm程度となる。ナノファイバーの直径は、電子顕微鏡写真により測定することができる。
本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーの繊維径は、10〜1000nm、好ましくは10〜40nm、より好ましくは15〜25nmである。アスペクト比(繊維長/繊維径)が大きいため、水系接着剤に含ませることで水系接着剤を構成するエマルジョン樹脂や水溶性高分子素材との密接な相互作用により、これらと絡み合って水系接着剤組成物の強度向上に資する。
(2−2)生物由来キチン分散液
本発明の水系接着剤組成物を構成するバイオナノファイバーの解繊処理は、生物由来キチンを水に分散した生物由来キチン分散液により行う。生物由来キチン分散液は生物由来キチン濃度が低い場合は流動性の分散液であるが、生物由来キチンが解繊により微細化(ナノファイバー化)するにしたがって粘度が高くなりペースト状となる。
生物由来キチン分散液の濃度は、0.1〜15重量%であることが好ましい。生物由来キチン分散液の濃度が15重量%を超えると、分散液の粘度が増してマイクロバブルのバイオマス分散液への拡散・浸透が十分でなく、マイクロバブルの機能による解繊処理が十分でないからである。一方、生物由来キチン分散液の濃度が0.1重量%未満であるとバイオナノファイバー製造効率が劣るからである。解繊処理の進行により分散液濃度が高くなった場合は、マイクロバブル処理に加えて湿式粉砕処理を併用することにより適切な解繊処理を行うことができる。
なお、生物由来キチン分散液には、酸などのpH調整剤を加えて、生物由来キチンの分散性を向上させることができる。
3.マイクロバブル存在下の生物由来キチンの解繊処理
(3−1)マイクロバブル発生装置
本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーの解繊処理は、マイクロバブルの存在下で行うことができる。
図1は、本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーを生成するためのマイクロバブルを用いた解繊処理の1例を模式的に示したものである。
生物由来のバイオマスを前処理したバイオマス分散液、すなわち(a)脱蛋白処理及び脱灰処理を行ったキチン含有生物由来の材料の分散液、(b)脱蛋白処理及び脱灰処理及び脱アセチル化処理を行ったキチン含有生物由来の材料の分散液、は、マイクロバブルによる解繊処理槽1に投入される。マイクロバブルによる解繊処理槽1は撹拌装置(図示せず。)により適切に撹拌される。マイクロバブルは、マイクロバブル発生装置2によりマイクロバブルによる解繊処理槽1に吹き込まれる。マイクロバブル発生装置は、生成したマイクロバブルを外部に噴出するための噴出口を備える。マイクロバブル発生装置1には、液体及び気体が配管4、循環ポンプ5により供給され、この液体と供に、粒径50μ以下の微小な気泡を噴出する。マイクロバブルの粒径は、マイクロバブルの粒径分布測定装置3により計測される。
マイクロバブル発生装置は、マイクロバブルの生成の際に液体の流動を伴うものとして、旋回液流式、スタティックミキサ式、エジェクタ式、キャビテーション式、ベンチュリ式があり、遠心ポンプと旋回流式マイクロバブル発生装置の組合せ、加圧溶解式のマイクロバブル発生法を利用するものがある。
(3−2)旋回流式マイクロバブル発生装置
本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーの解繊処理は、旋回液流式マイクロバブル発生装置により生じたマイクロバブルの存在下で行うことが好ましい。旋回流式マイクロバブル発生装置では、気液発生槽の内部の旋回により、旋回による剪断力とマイクロバブルが同時に相乗的に作用する。このため、解繊処理に旋回流マイクロバブル発生装置により生じたマイクロバブルを使用することで、低エネルギーかつ低コストで効率よく、超比表面積特性、ナノサイズ特性、分子配列特性に優れ、細く、長く、均質なバイオナノファイバーを得ることができるからである。
図2は、本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーを生成するための解繊処理に用いる旋回液流式マイクロバブル発生装置の構成を説明したものである。
旋回流式マイクロナノバブル発生装置は、気液発生槽12の円筒軸芯を外殻槽13の円筒軸芯からずらせて、間隙20を、液体供給口17から供給される水の流量の減少に応じて狭くなる様にしているので、液体供給口17から供給される水を外殻槽で無駄に回流させることなく、液体注入孔11a,11bから均一の流量で気液発生槽12に注入されるので、効率よくマイクロナノバブルを発生させることができ、バイオナノファイバーの解繊に好ましいものである。
図2(a)は、マイクロナノバブル発生装置の斜視図であり、図2(b)は液体注入孔11a,11bが形成された位置で気液発生槽12を軸方向と直交する方向に沿って切断した断面図であり、図2(c)は気液発生槽を軸方向に沿って切断した断面図である。
マイクロナノバブル発生装置10は、気液発生槽12と、外殻槽13と、気体供給部14とを備える。
液体である水を予め加圧して液体供給部21から供給し、その水に対して、気体である空気を予め加圧して気体供給部14から供給して、空気泡混じりの水を液体供給口17に供給する様に構成している。
気液発生槽12は、内面が円筒形状で、内面の円周接線方向に水を注入する2本の液体注入孔11a,11bを有し、一端側に短絡壁15を有し、他端側に気液排出口16を有する。外殻槽13は、気液発生槽12を部分的に覆い、液体供給口17から供給される気泡混じりの水を気液発生槽12に対して、液体注入孔11a,11bから注入する。
気液発生槽12の周方向外面を形成する側壁18と外殻槽13の内面19とで形成される間隙20を水の流路とし、気液発生槽12の円筒軸芯を外殻槽13の円筒軸芯からずらせて、間隙20を、液体供給口17から供給される水の流量の減少に応じて狭くなる様にしている。
外殻槽13から注入した空気泡混じりの水は液体注入孔11a,11bから概ね均等な流量で気液発生槽12の中に円筒の内面に沿って空気泡混じりの水が旋回する旋回流を発生させ、水に含まれた空気泡を旋回流の剪断力によりマイクロナノバブル化して、マイクロナノバブル化した空気と水とが混合した気液を生成して気液排出口16より水槽中(図示せず)に排出する。
なお、本発明の解繊処理に用いるマクロバブルを構成する気体は空気に限定されない。酸素、オゾン、窒素、二酸化炭素やヘリウム、アルゴン、ネオン等の希ガスでもよい。さらに、空気泡混じりの水の供給方法は、水と空気を別々に加圧してから混ぜる方法に限定されない。加圧前の水と空気を混合してからポンプ等で加圧しても良い。この方法によれば、ポンプの旋回流により空気泡を予め微細にでき、マイクロナノバブルの生成効率や品質を向上できるからである。
本発明の解繊処理におけるマイクロバブル発生装置の液体流量は、10〜50L/min、より好ましくは20〜40L/minであり、気体流量は、0.5〜10L/min、より好ましくは1〜5L/minである。液体流量に対する気体流量の比(気体流量/液体流量)は、0.02〜0.10であり、より好ましくは、0.05〜0.08である。粒径50μm以下のマイクロバブルを連続的に効率よく発生させるためである。
(3−3)湿式粉砕装置
本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーを生成するための解繊処理では、湿式粉砕を併用することができる。図3は、本発明の水系接着剤組成物を構成するキチンナノファイバーを生成するためのマイクロバブルと湿式粉砕とを併用した解繊処理の1例を模式的に示したものである。湿式粉砕器6を移送管7を介してマイクロバブル解繊処理と繋いでいる。
湿式粉砕の方式としては、メディアミルを用いる方式とメディアレスミルを用いる方式がある。運転方式には、循環運転、パス運転、バッチ式があり、適宜目的あった方式を採用できる。
メディアミルを用いる方式とは、粉砕メディア(例、ボール、ビーズ)を被解繊物に衝突させて解繊を行う方式をいい、粉砕室と呼ばれる容器の中に、マイクロバブルを含んだ分散液と粉砕メディアを混合したスラリーをポンプで送り込み、粉砕メディアを衝突させることによって解繊を行う。
本発明に用いることができるメディアミルとしては、特に制限はないが、例えば、Getzmann社製「TORUSMILL」、アシザワ・ファーインテック社製「スターミルAMR1」、アイメックス社製「ビスコミル」、シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」、三菱重工社製「ダイヤモンドファインミル」、コトブキ技研工業社製「アペックスメガ」、浅田鉄工社製「ピコミル」、ユーロテック社製「OBビーズミル」、日本コークス社製「SCミル」などが挙げられる。
一方、メディアレスミルを用いる方式とは、粉砕メディア(例、ボール、ビーズ)を使用しないで解繊を行う方式をいい、被解繊物に直接、物理的な力をかけるのではなく、被解繊物を含む分散液内に発生する剪断応力やキャビテーション等の被解繊物を取り巻く周囲からの引き剥がし作用により解繊を行うものである。処理液を撹拌する高速撹拌方式、処理液に高圧をかけ、狭い流路を高速で流す高圧分散方式がある。被解繊物に対するダメージが少なく、解繊分散液の安定性やレオロジー改善に有利である。また、粉砕メディアを含まないため、製品品質だけでなく、生産性が向上する。
本発明で用いることができるメディアレスミルとしては、特に制限はないが、例えば、プライミクス社製「T.K.フィルミックス」、スギノマシン社製「アルテマイザー」、スギノマシン社製「スターバーストミニ」、エム・テクニック社製「CLEAR SS5」、「クレアミックスWモーション」、ユーロテック社製「キャビトロン」、シンマルエンタープライゼス社製「IKA DR2000」、IKA社製(MHD2000/4PIOT)、増幸産業社製(スーパーマスコロイダー(MKCA6−2))などが挙げられる。
4.水系樹脂接着剤
本発明の水系樹脂接着剤とは、水に溶解または分散された樹脂成分が、水が乾燥することにより接着力を発現する接着剤をいい、以下に例示するものがあるが、これらに限定されるものではない。
(4−1)酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤
酢酸ビニル樹脂エマルジョンを主成分とする接着剤で、酢酸ビニルモノマーを、ポバールなどを保護コロイドとして乳化重合させエマルジョン化した乳白色水溶液である。水の蒸発により樹脂の粒子が融着して透明な皮膜状に硬化・接着する。環境問題対応を目的に、可塑剤のフタル酸エステルを使用しないタイプのものもある。安価かつ塗布が容易であり、ポリマーの組成を変化させることでいろいろな用途に対応する。紙接着や繊維・木工・合板用などに使われ、市販の木工ボンドがなじみ深い。
(4−2)水性高分子-イソシアネート系接着剤
各種親水性高分子の水溶液またはエマルション溶液と、架橋剤としてのイソシアネート化合物を主成分とする接着剤である。水分散系の性質を持った溶液系(水系)で、炭酸カルシウムなどの充填剤を添加した高分子水溶液またはエマルション溶液に、塩化パラフィンなどに溶解させた多官能性のイソシアネートまたはそのプレポリマーを加えると経時的に硬化・接着する。耐水性に優れ、ホルムアルデヒドを含まない水系接着剤として、木材接着用途を主に、プラスチックや金属・ゴムなどとの複合接着にも用途を拡げている。
(4−3)ポリビニルアルコール系接着剤
ポリビニルアルコールを主成分とする接着剤である。乳化剤としてエマルジョン接着剤の添加剤に使用されるPVAは単独でも接着力を有する。水が蒸発すると透明な膜を形成して硬化・接着する。木工・5紙接着用途として事務用液体のりで馴染み深い。また、偏光板の貼合用にも使われている。
(4−4)ポリ乳酸エマルジョン接着剤
生分解性を有するポリ乳酸を分散剤、乳化剤、水、充填剤によりエマルジョン化した接着剤であり、酢酸ビニルエマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョン、硬化剤、水溶性高分子、イソシアネート化合物等の添加剤を加えたものもある。バイオナノファイバーを添加することで、生分解性が高く環境負荷の少ない水系樹脂接着剤となる。
5.水系接着剤組成物
本発明の水系接着剤組成物は、水系樹脂接着剤にバイオナノファイバーを配合したものである。水系接着剤とバイオナノファイバーとの配合比率は、固形分換算で、水系樹脂接着剤:バイオナノファイバー=100:0.005〜100:0.05であることが好ましい。配合比率が100:0.005未満では、接着強度が向上せず、配合比率が100:0.05を超えると粘度が高すぎて作業性が劣るからである。
なお、水系樹脂接着剤とバイオナノファイバーの混合方法は、特に限定するものではなく、一般的な攪拌機等を用いることができる。
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、本発明を実施例に限定するものと解してはならない。なお、実施例、比較例を表1にまとめて示す。
表1において、実施例1〜10は、バイオマスとしてキチン含有生物由来材料を用いたものであり、比較例3〜6は、バイオマスとしてセルロース含有生物由来材料を用いたものである。比較例1及び2はバイオナノファイバーを用いないものである。
<解繊度評価>
解繊度は、濁度により解繊のレベルを判断した。具体的には、工業用水試験法(JIS K0101)に規定されているホルマジン標準液(500度)を基準として目視判断し、濁度500度以上をAランク、濁度500度未満をBランクとした。
<接着強度>
水系樹脂接着剤に対してキチンナノファイバーを固形分換算で0.01〜0.10%配合し、被着材に柾目カバ材2ply、塗布量280g/m2、閉鎖堆積時間3分、圧力1.0MPa/23℃、圧締時間24時間、養生3日間の条件にて接着し、試験体を作製した。得られた試験体をJIS引張剪断試験法(JIS K6850準拠)に従い、常態および煮沸繰り返し後の接着力を測定した。
<実施例1>
実施例1は、カニ殻からのキチンナノファイバーの製造とキチンナノファイバーを添加した水系接着剤組成物について述べる。
(1)脱蛋白処理
乾燥カニ殻(カナダ産、川井肥料より購入、100g)を5% KOH水溶液に加え、6時間還流し、カニ殻中の蛋白質を除去した。処理したカニ殻を濾過した後、中性になるまで水でよく洗浄した。
(2)脱灰分処理
脱蛋白処理を行ったカニ殻を7% HCl水溶液で室温下、2日間撹拌し、カニ殻中の灰分を除いた。再びカニ殻を濾過して中性になるまで水でよく洗浄した。
(3)脱色素処理
1.7%のNaClO2の0.3M酢酸ソーダ緩衝溶液に脱配分処理を行ったカニ殻を加え、80℃、6時間撹拌し、カニ殻に含まれる色素分を除去した。再びカニ殻を濾過して中性になるまで水でよく洗浄した。
(4)解繊処理
脱色素処理を行ったカニ殻を水に分散させ、分散液を家庭用ミキサーで砕いた後、酢酸を添加してpHを3〜4に調製し、72時間撹拌した。酢酸処理されたカニ殻の分散液(1.0wt%)を旋回式マイクロナノバブル発生装置(トリビオクスラボラトリー製(TFBS−1))を備えた解繊処理槽に供し、室温で48時間撹拌しキチンナノファイバーに解繊させた。マイクロバブル条件は、送液流量30L/分、エア流量2L/分であり、マイクロバブルの粒径は40μmであった。
その後、マイクロバブルを含む分散液をインライン湿式ビーズミル(アシザワ・ファーインテック製(スターミルAMR1))に供し、湿式粉砕処理を行った。処理容量は、0.1L/分、処理時間は3時間であった。
(5)解繊度評価
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液を10日放置した。解繊度(濁度測定)は、「レベルA」相当であった。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)に固形分換算で0.01%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、16.9N/mm2であった。
<実施例2>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例1と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)に固形分換算で0.05%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、17.6N/mm2であった。
<実施例3>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例1と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)に固形分換算で0.10%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、18.4N/mm2であった。
<実施例4>
(1)脱蛋白処理から(3)脱色処理までは、実施例1と同様にした。
(4)解繊処理
脱色素処理を行ったカニ殻を水に分散させ、分散液を家庭用ミキサーで砕いた後、酢酸を添加してpHを3〜4に調製し、72時間撹拌した。酢酸処理されたカニ殻の分散液(1.0wt%)をインライン湿式ビーズミル(アシザワ・ファーインテック製(スターミルAMR1))に供し、湿式粉砕処理を行った。処理容量は、0.1L/分、処理時間は3時間であった。
(5)分散性評価
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液を10日放置した。解繊度(濁度測定)は、「レベルB」相当であった。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)に固形分換算で0.01%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、15.6N/mm2であった。
<実施例5>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例4と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)に固形分換算で0.05%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、16.1N/mm2であった。
<実施例6>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例4と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)に固形分換算で0.10%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、16.8N/mm2であった。
<実施例7>
(1)脱蛋白処理から(3)脱色処理までは、実施例1と同様にした。
(4)解繊処理
脱色素処理を行ったカニ殻を水に分散させ、分散液を家庭用ミキサーで砕いた後、酢酸を添加してpHを3〜4に調製し、72時間撹拌した。酢酸処理されたカニ殻の分散液(1.0wt%)を旋回式マイクロナノバブル発生装置(トリビオクスラボラトリー製(TFBS−1))を備えた解繊処理槽に供し、室温で48時間撹拌しキチンナノファイバーに解繊させた。マイクロバブル条件は、送液流量30L/分、エア流量2L/分であり、マイクロバブルの粒径は40μmであった。
(5)分散性評価
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液を10日放置した。解繊度(濁度測定)は、「レベルA」相当であった。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)に固形分換算で0.01%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、16.2N/mm2であった。
<実施例8>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例4と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)に固形分換算で0.05%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、17.1N/mm2であった。
<実施例9>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例4と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)に固形分換算で0.10%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、18.0N/mm2であった。
<実施例10>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例1と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(セメダイン木工用605)に固形分換算で0.01%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、17.5N/mm2であった。
<実施例11>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例7と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(セメダイン木工用605)に固形分換算で0.10%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、19.6N/mm2であった。
<実施例12>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例4と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(セメダイン木工用605)に固形分換算で0.01%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、16.3N/mm2であった。
<実施例13>
(1)脱蛋白処理から(5)解繊度評価までは、実施例9と同様にした。
(6)接着強度
解繊処理後のキチンナノファイバー分散液から乾燥形成したキチンナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(セメダイン木工用605)に固形分換算で0.10%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、17.4N/mm2であった。
<比較例1>
キチンナノファーバーを配合しない水系接着剤組成物として、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(シャープ化学#120)をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、14.6N/mm2であった。
<比較例2>
キチンナノファーバーを配合しない水系接着剤組成物として、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(セメダイン木工用605)をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、15.3N/mm2であった。
<比較例3>
(1)解繊処理
粉末セルロース(日本製紙製 KCフロック W−50)を分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを0.02wt%含む水溶液に分散させ、分散液を家庭用ミキサーで砕いた後、粉末セルロースの分散液(1.0wt%)を旋回式マイクロナノバブル発生装置(トリビオクスラボラトリー製(TFBS−1))を備えた解繊処理槽に供し、室温で72時間撹拌しセルロースナノファイバーに解繊させた。マイクロバブル条件は、送液流量30L/分、エア流量2L/分であり、マイクロバブルの粒径は40μmであった。
その後、マイクロバブルを含む分散液をインライン湿式ビーズミル(アシザワ・ファーインテック製(スターミルAMR1))に供し、湿式粉砕処理を行った。処理容量は、0.1L/分、処理時間は3時間であった。
(2)解繊度評価
解繊処理後のセルロースナノファイバー分散液を10日放置した。解繊度(濁度測定)は、「レベルA」相当であった。
(3)接着強度
解繊処理後のセルロースナノファイバー分散液から乾燥形成したセルロースナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(セメダイン木工用605)に固形分換算で0.01%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、14.8N/mm2であった。
<比較例4>
(1)解繊処理と(2)解繊度評価は、比較例3と同様とした。
(3)接着強度
解繊処理後のセルロースナノファイバー分散液から乾燥形成したセルロースナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(セメダイン木工用605)に固形分換算で0.10%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、14.1N/mm2であった。
<比較例5>
(1)解繊処理
粉末セルロース(日本製紙製 KCフロック W−50)を分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを0.02wt%含む水溶液に分散させ、分散液を家庭用ミキサーで砕いた後、粉末セルロースの分散液(1.0wt%)をインライン湿式ビーズミル(アシザワ・ファーインテック製(スターミルAMR1))に供し、湿式粉砕処理を行った。処理容量は、0.1L/分、処理時間は3時間であった。
(2)解繊度評価
解繊処理後のセルロースナノファイバー分散液を10日放置した。解繊度(濁度測定)は、「レベルB」相当であった。
(3)接着強度
解繊処理後のセルロースナノファイバー分散液から乾燥形成したセルロースナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(セメダイン木工用605)に固形分換算で0.01%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、15.0N/mm2であった。
<比較例6>
(1)解繊処理と(2)解繊度評価は、比較例3と同様とした。
(3)接着強度
解繊処理後のセルロースナノファイバー分散液から乾燥形成したセルロースナノファイバー粉体を、酢酸ビニル系エマルジョン型接着剤(セメダイン木工用605)に固形分換算で0.10%配合した。配合した水系接着剤組成物をカバ材に塗布し、養生後に引張剪断試験法(JIS K6850準拠)により接着強度を測定した。接着強度は、13.6N/mm2であった。
<まとめ>
本発明のマイクロバブルと湿式粉砕を併用した解繊処理により得られたキチンナノファイバーを固形分換算で0.1%配合した水系接着剤配合物の接着強度は、無配合の水系接着剤配合物に比べて約26%程度増加した。また、湿式粉砕法単独の解繊処理により得られたキチンナノファイバーを固形分換算で0.1%配合した水系接着剤配合物の接着強度も約15%増加した。
なおセルロースナノファイバーにおいては、配合の効果を確認できなかった。
本発明は、バイオマスナノファイバーをフィラーとして使用する分野において利用可能である。
1 マイクロバブルによる解繊処理槽
2 マクロバブル発生装置
3 マイクロバブルの粒径分布測定装置
4 配管
5 循環ポンプ
6 湿式粉砕器
7 移送菅
10 マクロバブル発生装置
11a,11b 液体注入孔
12 気液発生槽
13 外殻槽
14 気体供給部
15 短絡壁
16 気体排出口
17 液体供給口
18 気液発生槽の側壁
19 外殻槽の内面
20 間隙
21 液体供給部

Claims (4)

  1. 繊維径が10〜1000nmのキチンナノファイバー固形分換算で水系樹脂接着剤100に対して0.005〜0.1配合したことを特徴とする水系接着剤組成物。
  2. キチン含有生物由来のキチンの分散液をマイクロバブルの存在下で解繊処理をした繊維径が10〜1000nmのキチンナノファイバーを、固形分換算で水系樹脂接着剤100に対して0.005〜0.1配合したことを特徴とする水系接着剤組成物の製造方法
  3. キチン含有生物由来のキチンの分散液をマイクロバブルの存在下で行う解繊処理と、キチン含有生物由来のキチンのマイクロバブルを含む分散液を湿式粉砕による解繊処理とを併用して解繊処理した繊維径が10〜1000nmのキチンナノファイバーを、固形分換算で水系樹脂接着剤100に対して0.005〜0.1配合したことを特徴とする水系接着剤組成物の製造方法
  4. 前記マイクロバブルが旋回液流式マイクロバブル発生装置により生じたマイクロバブルであることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載した水系接着剤組成物の製造方法
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