JP6714061B2 - 変性ポリビニルアセタール樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた架橋性を有し、高い強度を有する成形体を製造することが可能な変性ポリビニルアセタール樹脂及び該変性ポリビニルアセタール樹脂を用いた変性ポリビニルアセタール樹脂組成物に関する。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールを原料として合成される樹脂であり、側鎖にアセチル基と水酸基、そしてアセタール基を有することによって、優れた強靭性、接着性、架橋性、吸湿性を発現することができる。また、側鎖基の比率を変化させることによって樹脂物性を変化させることが可能となる。このような特性を利用して自動車用合わせガラス中間膜やセラミックグリーンシート等幅広い用途に使用されている。
現在、ポリビニルアセタール樹脂の側鎖に、アセチル基、水酸基、アセタール基以外の官能基を導入することによって、樹脂物性の向上を図ることや、新たな機能発現を目指す試みが進められている。
また、特許文献1〜3には、ポリビニルアセタール樹脂の特性を向上させる技術の一例として、エポキシ樹脂等のような架橋剤と併用することによって、ポリビニルアセタール樹脂の水酸基との架橋を促進させて架橋体を形成する方法が開示されている。
特開2011−241294号公報 特開2012−7134号公報 特開2012−7135号公報
本発明は、上記現状に鑑み、優れた架橋性を有し、高い強度を有する成形体を製造することが可能な変性ポリビニルアセタール樹脂及び該変性ポリビニルアセタール樹脂を用いた変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、イミン構造を有する構成単位と、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位とを含み、前記イミン構造を有する構成単位と、前記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位との含有量の比率(イミン構造を有する構成単位/アミノ基又はアミド構造を有する構成単位)が0.5/99.5〜99.5/0.5である変性ポリビニルアセタール樹脂である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、イミン構造と、アミノ基又はアミド構造と所定比で有する変性ポリビニルアセタール樹脂を、単独、又は、架橋剤等と併用して使用した場合、優れた架橋性を発現することができ、充分な強度を有する架橋体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位を含む。
このような変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することで、樹脂単独での自己架橋、又は、架橋剤と併用した場合に、架橋剤との間で架橋構造を形成することができる。このため、架橋後に得られる架橋体は高い機械的強度を有しつつ、適度な弾性を有するものとなる。
本発明において、上記イミン構造とは、C=N結合を有する構造をいう。
上記イミン構造を有する構成単位としては、例えば、下記式(1)に示す構成単位が挙げられる。
Figure 0006714061
式(1)中、Rは、単結合、又は、アルキレン基を表し、Rは、イミン構造を有する基を表す。
上記式(1)中、Rがアルキレン基である場合、該アルキレン基の炭素数の好ましい下限は1、好ましい上限は12である。上記アルキレン基の炭素数が12を超えると、最適な強度が得られないことがある。上記Rがアルキレン基である場合、上記アルキレン基の炭素数のより好ましい上限は5である。
上記式(1)中、Rがアルキレン基である場合、該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基等の直鎖状アルキル基が好ましく、メチレン基、エチレン基がより好ましい。
上記Rとしては、下記式(2)に示す官能基が挙げられる。
Figure 0006714061
式(2)中、Rは水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。
上記炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族系炭化水素基等が挙げられる。なお、上記炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族系炭化水素基のみからなるものであってもよく、これらが2種以上用いられたものであってもよい。
上記飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましい。
上記芳香族系炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
本発明では、上記イミン構造を有する構成単位中、Rが単結合、Rが水素原子、Rがメチル基又はエチル基であることが好ましい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位の含有量の好ましい下限が0.1モル%、好ましい上限が20.0モル%である。
上記イミン構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%未満であると、経時粘度安定性が悪化することがあり、20.0モル%を超えると、アセタール化が困難となることがある。上記イミン構造を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は1.0モル%、より好ましい上限は15.0モル%である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、更に、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を含む。上記アミノ基又はアミド構造を有することで、上記架橋剤との架橋構造を形成が更に容易となる。
本発明では、上記アミノ基又はアミド構造を側鎖に有することが好ましい。また、上記アミノ基又はアミド構造は、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合してもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。更に、上記アミノ基は第一級アミンでもよく、第二級アミンでもよい。
特に、上記アミノ基は、−NH2であることが好ましい。
なお、本発明において、アミド構造とは、−C(=O)−NH2を有する構造をいう。
なかでも、上記アミノ基を有する構成単位は、下記式(3)に示す構造であることが好ましい。
また、上記アミド基を有する構成単位は、下記式(4)に示す構造であることが好ましい。
Figure 0006714061
Figure 0006714061
式(4)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
なお、上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基が挙げられる。
上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。
上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%未満であると、付加特性が発現しにくくなることがあり、上記含有量が20モル%を超えると、溶解性が上がりすぎることから沈殿法による変性ポリビニルアセタール樹脂粉末の取り出しが難しくなることがある。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。なお、上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量はNMR等で測定可能である。
また、上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位と、イミン構造を有する構成単位とを合計した含有量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。
本発明において、イミン構造を有する構成単位と、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位との含有量の比率(イミン構造を有する構成単位/アミノ基又はアミド構造を有する構成単位)は、0.5/99.5〜99.5/0.5である。上記比率が0.5/99.5未満であり、イミン構造を有する構成単位が少ないと、経時粘度安定性が劣り、上記比率が99.5/0.5を超えて、イミン構造を有する構成単位が多いと、架橋性能が低下する。上記比率の好ましい下限は5/95、好ましい上限は75/25である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は特に限定されないが、好ましい下限が60モル%、好ましい上限は90モル%である。アセタール化度が60モル%未満であると、沈殿法による合成工程において変性ポリビニルアセタール樹脂が析出しにくい可能性がある。また、アセタール化度が90モル%より大きいと、溶剤への溶解性が低下する。より好ましい下限が65モル%、より好ましい上限が85モル%である。上記変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール度はNMR等で測定可能である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が15〜35モル%であることが好ましく、17〜25モル%であることがより好ましい。上記水酸基量が15モル%未満であると、変性ポリビニルアセタール樹脂の強靱性が損なわれ、得られる架橋体の強度が不充分となることがある。また、上記水酸基量が35モル%を超えると、変性ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなりすぎ、得られる架橋体にひび割れ等の不具合が発生し、剥離性が低下する場合がある。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量は特に限定されず、好ましい下限が0.0001モル%、好ましい上限が5モル%である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂の重合度は特に限定しないが、好ましい下限が200、好ましい上限が4500であることが好ましい。上記変性ポリビニルアセタール樹脂の重合度が200未満であると、充分な粘度を有する変性ポリビニルアセタール樹脂組成物が得られず、上記変性ポリビニルアセタール樹脂の重合度が4500より大きいと、水への溶解性が低下したり、水溶液の粘度が高くなり過ぎたりするため、アセタール化が困難となる。また、有機溶剤に溶解した際の粘度が高くなり過ぎるため、溶液を塗工して使用する用途で塗工性が低下するなどハンドリングが低下する。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂を作製する方法としては、例えば、上記イミン構造を有する単量体と、酢酸ビニルとを共重合させることによって得られたポリ酢酸ビニルをケン化し得られたポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法が挙げられる。また、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化することでイミン構造を導入する方法を用いてもよい。アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを後変性して得られたイミン構造を有する変性ポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法を用いてもよい。
更に、未変性のポリビニルアセタール樹脂を後変性させることでイミン構造を導入してもよい。
これらのなかでは、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールをアセタール化してなることでイミン構造を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を得る方法が好ましい。特に、このような方法を用いる場合、アセタール化に使用するアルデヒド、酸触媒の量を過剰に添加することでイミン構造を得ることが出来る。
例えば、酸触媒を全体の1.0重量%以上添加することが好ましい。
なお、このような方法を用いる場合において、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位、及び、イミン構造を有する構成要件を確認する方法としては、例えば、FT−IRを用いて、アミノ基のスペクトル(1600cm−1付近)を確認する方法や、13C−NMRを用いてイミン構造のスペクトル(160〜170ppm)を確認する方法等が挙げられる。
上記アセタール化は、公知の方法を用いることが出来、水溶媒中、水と水との相溶性のある有機溶媒との混合溶媒中、あるいは有機溶媒中で行うことが好ましい。
上記水との相溶性のある有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤を用いることが出来る。
上記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系有機溶剤;キシレン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸メチル等の芳香族有機溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等の脂肪族エステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤;ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、デカン等の低級パラフィン系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルテセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトアニリド等のアミド系溶剤、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、ジn−ブチルアミン、トリn−ブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン等のアミン系溶剤等が挙げられる。これらは、単体で用いることもできるし、2種以上の溶媒を混合で用いることもできる。これらのなかでも、樹脂に対する溶解性および、精製時の簡易性の観点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
上記アセタール化は、酸触媒の存在下において行うことが好ましい。
上記酸触媒は特に限定されず、塩酸等のハロゲン化水素や、硝酸、硫酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、 エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸や、リン酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられても よく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
上記アセタール化に用いられるアルデヒドとしては、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、環状脂肪族基又は芳香族基を有するアルデヒドが挙げられる。これらのアルデヒドとしては、従来公知のアルデヒドを使用できる。上記アセタール化反応に用いられるアルデヒドは、特に限定されるものではなく、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクテルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、アミルアルデヒド、等の脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等の芳香族アルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。アルデヒドとしては、なかでも、アセタール化反応性に優れ、生成する樹脂に十分な内部可塑効果をもたらし、結果として良好な柔軟性を付与することができるブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ノニルアルデヒドが好ましく、ブチルアルデヒドがより好ましい。
上記アルデヒドの添加量としては、目的とする変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度にあわせて適宜設定する事が出来る。上記アルデヒドの添加量としては、目的とする変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度にあわせて適宜設定すればよい。特に、ポリビニルアルコール100モル%に対して、60〜95モル%、好ましくは70〜90モル%とすると、アセタール化反応が効率よく行われ、未反応のアルデヒドも除去しやすいため好ましい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂と架橋剤とを併用することで、変性ポリビニルアセタール樹脂組成物が得られる。このような変性ポリビニルアセタール樹脂組成物もまた本発明の1つである。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、架橋剤を含有する。上記架橋剤を含有することで、UV照射、加熱等によりエネルギーを印加することで架橋させることが可能となる。
上記架橋剤としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等のハロヒドリン化合物;1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン等のハロゲン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド化合物;尿素、チオ尿素等の尿素化合物;グアニジン、ジグアニド等のグアニジン化合物;シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸化合物;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸化合物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル化合物;グリオキサール、グルタルアルデヒド、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、アジピンアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のジアルデヒド類を含むアルデヒド化合物等が挙げられる。これらは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これら架橋剤は、必要であれば、水やアルコールなどの有機溶媒に溶かして使用することもできる。
上記架橋剤としてのエポキシ樹脂の種類は特に限定されないが、具体的に挙げるとビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明において、上記変性ポリビニルアセタール樹脂と架橋剤との混合比率は特に限定されないが、上記変性ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、架橋剤を5〜50重量部添加することが好ましい。上記架橋剤の添加量が5重量部未満であると架橋効果が発現しにくくなることがあり、50重量部を超えると、上記変性ポリビニルアセタール樹脂との相溶性が低下することがある。上記架橋剤の添加量のより好ましい下限は7重量部、より好ましい上限は45重量部である。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を架橋させる方法は、UV光照射や加熱による方法が挙げられる。加熱により熱硬化させる場合、加熱温度は特に限定されないが、50〜170℃であることが好ましい。加熱温度が50℃未満であると、架橋が不充分なため所望の強度が得られない可能性がある。また、加熱温度が170℃より大きいと上記変性ポリビニルアセタール樹脂が熱劣化を起こし、充分な特性が得られない可能性がある。上記加熱温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は150℃である。
また、加熱時間も特に限定されないが、好ましい下限は5分間、好ましい上限は10時間である。加熱時間が5分間より短いと架橋が不充分となるため、充分な強度が得られない可能性がある。また、加熱時間が10時間より長いと上記変性ポリビニルアセタール樹脂が熱劣化を起こし、充分な特性が得られない可能性がある。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、通常のポリビニルアセタール樹脂が使用されている用途に好適に用いることができ、例えば、セラミック成形体、金属ペースト、熱現像性感光材料、塗料、インキ、反射シート等を製造するための塗工溶液を得ることができる。また、ディスプレイ向けフィルム用接着剤、セラミック積層体の層間接着剤等の接着剤に使用することができる。
更に、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物に使用されるイミン構造を有する変性ポリビニルアセタールは、自己架橋性に優れるため、高い強度を有する成形体を製造することが出来る。
本発明によれば、優れた架橋性を有し、高い強度を有する成形体を製造することが可能な変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を提供できる。
また、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、特に樹脂との密着性に優れ、接着しにくい樹脂への接着に好適に使用することができるともに、長期間保存した場合でも粘度の変化が少なく、安定性に優れたものとすることができる。
更に、変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を用いて得られる成形体は、耐溶剤性に優れたものとなる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
重合度800、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基(−NH)を有する構成単位を3.5モル%含有するポリビニルアルコール250gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸170gとn−ブチルアルデヒド130gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、変性ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.5モル%)、及び、下記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:3.0モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
Figure 0006714061
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂9gを、トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒41gに溶解させたポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
得られたポリビニルアセタール樹脂溶液に架橋剤としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(jER 807、三菱ケミカル社製)9gを同じくトルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒41gに溶解させたエポキシ溶液とを作製し、ポリビニルアセタール樹脂溶液とエポキシ溶液を重量比5:1で混合した樹脂組成物を作製した。
得られた混合溶液を離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗工し、125℃で乾燥することで樹脂シートを作製した。
(実施例2)
ポリビニルアルコールを、重合度800、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を6.6モル%含有するポリビニルアルコール260gに変更した以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.6モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:6.0モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例3)
ポリビニルアルコールを、重合度600、鹸化度98モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を9モル%含有するポリビニルアルコール250gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を150gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.7モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:8.3モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例4)
ポリビニルアルコールを、重合度800、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を1モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更した以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.3モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:0.7モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例5)
ポリビニルアルコールを、重合度600、鹸化度99.5モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を15モル%含有するポリビニルアルコール250gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を250gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.8モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:14.2モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例6)
ポリビニルアルコールを、重合度800、鹸化度99.5モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を20モル%含有するポリビニルアルコール250gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を150gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.9モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:19.1モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例7〜12)
架橋剤としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(jER 807、三菱ケミカル社製)9gに代えて、シュウ酸(三菱ケミカル社製)9gを用いた以外は、実施例1〜6と同様にして樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例13〜18)
架橋剤としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(jER 807、三菱ケミカル社製)9gに代えて、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工社製)を用いた以外は、実施例1〜6と同様にして樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例19〜24)
架橋剤を添加しなかった以外は、実施例1〜6と同様にして樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例25)
ポリビニルアルコールを、重合度600、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を275gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.2モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.5モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
(参考例26)
ポリビニルアルコールを、重合度600、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を0.2モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を275gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:0.2モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
(実施例27)
ポリビニルアルコールを、重合度1700、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を275gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.2モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.5モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
(実施例28)
ポリビニルアルコールを、重合度3300、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を275gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.2モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.5モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
(実施例29)
ポリビニルアルコールを、重合度300、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を275gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.2モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.5モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
(実施例30)
ポリビニルアルコールを、重合度600、鹸化度99モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を135gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.2モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.5モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
(実施例31)
ポリビニルアルコールを、重合度600、鹸化度85モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を150gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.2モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.5モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
(実施例32)
ポリビニルアルコールを、重合度600、鹸化度99モル%、上記式(4)に示すアミド基を有する構成単位(Rは水素原子)を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を275gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(4)に示すアミド基を有する構成単位(含有量:1.0モル%、Rは水素原子)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:0.7モル%、R及びRはメチル基)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
(比較例1)
ポリビニルアルコールを、重合度570、鹸化度98モル%のポリビニルアルコール140gと、重合度790、鹸化度98モル%のポリビニルアルコール50gと重合度1700、鹸化度99%のポリビニルアルコール60gとの混合物に変更した以外は、実施例1と同様の方法によりポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、アミノ基を有する構成単位、及び、イミン構造を有する構成単位を有することが確認できなかった。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例2)
架橋剤としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(jER 807、三菱ケミカル社製)9gに代えて、シュウ酸(三菱ケミカル社製)9gを用いた以外は、比較例1と同様にして樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例3)
架橋剤としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(jER 807、三菱ケミカル社製)9gに代えて、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工社製)9gを用いた以外は、比較例1と同様にして樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られたポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物、樹脂シートについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(基材密着力評価)
得られたポリビニルアセタール樹脂溶液を各種プラスチック基材に塗工した後、125℃で乾燥することで樹脂積層体を作製した。
得られた樹脂積層体について、JIS K 6829に準拠して、TENSILON(ORIENTEC社製)を用い、引張速度20mm/分の条件にて応力(N/25mm)の測定を行った。
なお、表中のPETはポリエチレンテレフタレート、PCはポリカーボネート、COPはシクロオレフィンポリマー、ACはアクリルポリマー(ポリメチルメタクリレート)を表す。
(経時粘度安定性)
トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒90gに樹脂組成物10gを加え溶解し、溶液サンプルを作製する。得られた溶液サンプルについて、B型粘度計を用いて、溶液サンプル作製直後と一か月後の粘度を測定し、溶液粘度の変化率を確認し、以下の基準で評価した。
◎:10%未満
○:10%以上、20%未満
△:20%以上、30%未満
×:30%以上
(上降伏点応力測定)
得られた樹脂シートについて、JIS K 7113に準拠して、TENSILON(ORIENTEC社製)を用い、引張速度20mm/分の条件にて上降伏点応力(N/mm)の測定を行った。
なお、比較例1で得られたシートの上降伏点応力を1.0として規格化して「規格化変換効率」を求めた。
◎:規格化変換効率が1.1以上
○:規格化変換効率が1.0以上1.1未満
×:規格化変換効率が1.0未満
(ゲル分率測定)
樹脂シートのサンプル約0.1g(w1)に、トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒40gを加え、24時間撹拌させることによって、再溶解させ、あらかじめ質量を測定した200メッシュのステンレス金網(w2)で固液分離を行う。その後ステンレス金網を取り出し、100℃、1時間真空乾燥して質量(w3)を測定し,以下の計算式でゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)={(w3−w2)/w1}×100
得られたゲル分率について、以下の基準で評価した。
◎:80%以上
○:40%以上、80%未満
△:10%以上、40%未満
×:10%未満
(耐溶剤性)
得られた樹脂シート上にエタノールとトルエンを重量比1:1で混合した溶媒をスポイドにて一滴(約0.02g)滴下し、60℃で5分乾燥した後、樹脂シートの状態を目視にて観察し、以下の手順で評価した。
◎:シートの形状に変化なく、穴あきのいずれも観察されなかった。
○:シートに膨潤はみられるが、穴あきは観察されなかった。
×:シートに穴あきが観察された。
Figure 0006714061
本発明によれば、優れた架橋性を有し、高い強度を有する成形体を製造することが可能な変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を提供できる。

Claims (14)

  1. 変性ポリビニルアセタール樹脂及び架橋剤を含有し、
    前記変性ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位と、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位とを含み、前記イミン構造を有する構成単位と、前記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位との含有量の比率(イミン構造を有する構成単位/アミノ基又はアミド構造を有する構成単位)が0.5/99.5〜99.5/0.5である
    ことを特徴とする変性ポリビニルアセタール樹脂組成物
  2. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を側鎖に有することを特徴とする請求項1記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物
  3. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位と、イミン構造を有する構成単位とを合計した含有量が0.1〜20モル%であることを特徴とする請求項1又は2記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物
  4. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が60〜90モル%であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物
  5. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールをアセタール化してなるものである請求項1、2、3又は4記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物
  6. 架橋剤は、エポキシ化合物、ハロヒドリン化合物、イソシアネート化合物、ビスアクリルアミド化合物、グアニジン化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物及びアルデヒド化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を含むことを特徴とする塗工溶液。
  8. 変性ポリビニルアセタール樹脂を含有し、
    前記変性ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位と、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位とを含み、前記イミン構造を有する構成単位と、前記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位との含有量の比率(イミン構造を有する構成単位/アミノ基又はアミド構造を有する構成単位)が0.5/99.5〜99.5/0.5である
    ことを特徴とする接着剤。
  9. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を側鎖に有することを特徴とする請求項8記載の接着剤。
  10. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位と、イミン構造を有する構成単位とを合計した含有量が0.1〜20モル%であることを特徴とする請求項8又は9記載の接着剤。
  11. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が60〜90モル%であることを特徴とする請求項8、9又は10記載の接着剤。
  12. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールをアセタール化してなるものである請求項8、9、10又は11記載の接着剤。
  13. 架橋剤を更に含有することを特徴とする請求項8、9、10、11又は12記載の接着剤。
  14. 架橋剤は、エポキシ化合物、ハロヒドリン化合物、イソシアネート化合物、ビスアクリルアミド化合物、グアニジン化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物及びアルデヒド化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項13記載の接着剤。
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