JP2000328356A - 変性ポリビニルアルコール系繊維及びそれを用いた微生物固定化用担体 - Google Patents

変性ポリビニルアルコール系繊維及びそれを用いた微生物固定化用担体

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JP2000328356A
JP2000328356A JP11140587A JP14058799A JP2000328356A JP 2000328356 A JP2000328356 A JP 2000328356A JP 11140587 A JP11140587 A JP 11140587A JP 14058799 A JP14058799 A JP 14058799A JP 2000328356 A JP2000328356 A JP 2000328356A
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fiber
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Ichiro Nagashima
一朗 長嶋
Hisanori Kobayashi
久展 小林
Toshio Sugihara
俊雄 杉原
Mitsuo Suzuki
三男 鈴木
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SEIMEI ENERGY KOGYO KK
Nitivy Co Ltd
Original Assignee
SEIMEI ENERGY KOGYO KK
Nitivy Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物との馴染みがよくて、微生物が短時間
で付着するとともに、付着後は脱落や剥離が少なく、さ
らに活性イオン放出物質を含ませることにより微生物の
増殖や代謝活動を活発化させる微生物固定化用繊維を提
供する。 【解決手段】 ポリアミン系高分子重合体及びポリカル
ボン酸系高分子重合体の中から選ばれた少なくとも1種
5〜40重量%を含有するとともに、好ましくは微粒子
状トルマリン0.01〜10重量%を含有し、かつ熱処
理が施されてなる変性ポリビニルアルコール系繊維とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃水や下水などの
生物化学的浄化処理における微生物固定化用担体として
有用な、あるいは活性イオンを放出して、身体の血行を
促進し、生体細胞に賦活効果を与える変性ポリビニルア
ルコール系繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】産業廃水や下水の浄化処理方法として
は、物理的処理、化学的処理及び生物化学的処理がある
が、効率がよくコストの面で有利なことから、生物化学
的処理方法が最も多く使用されている。この生物化学的
処理方法は各種微生物を用いて有機物を分解する方法で
あって、一般に微生物を浮遊させて処理する方法と、担
体に固定させて処理する方法に大別することができる。
【0003】ところで、微生物を固定させるための担体
繊維としては、従来、一般にポリ塩化ビニリデン、ポリ
エステル、ポリアミド、ポリオレフィン繊維などの疎水
性合成繊維が使用されてきた。しかしながら、このよう
な疎水性合成繊維は、繊維表面が疎水性であることか
ら、浄化処理に用いられる微生物との馴染みが悪く、必
要量の微生物を担持させるのが困難であった。
【0004】そのほか、疎水性合成繊維を後加工により
親水化して微生物との馴染みを改善することも試みられ
ているが、この場合、親水化に伴い、繊維の性状が変化
し、本来の好ましい物性のバランスを取るのが難しいと
いう問題を生じる。
【0005】一方、近年、活性イオンは生体細胞を賦活
し、生体の状態を改善する作用があることが知られ、こ
の活性イオンを、例えば自律神経系や運動神経系の調
節、熟睡、精神安定化、疲労回復の促進などに利用する
研究が積極的になされている。
【0006】このような活性イオンを放出する物質の1
つとして、天然産のトルマリンがある。このトルマリン
は永久自発電気分極をしている物質で、外部電界の影響
で分極のベクトルを変えず、また鉱物の中で最も強い永
久分極特性を示すとともに、遠赤外線の放射も認められ
ている。この遠赤外線は、最近の研究では、水質の改
良、食品の鮮度保持、食品の改善、植物の生育などに有
効であり、また生体の血行の循環や新陳代謝の促進効果
を有することが確認されている。このような活性イオン
を放出するとともに、遠赤外線を放射するトルマリン
は、水の浄化に役立つ活性汚泥菌などを活性化させるの
に有利であることも知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の微生
物固定化用担体繊維がもつ欠点を克服し、微生物との馴
染みがよくて、微生物が短時間で付着するとともに、付
着後は脱落や剥離が少なく、さらに活性イオン放出物質
を含ませることにより、微生物の増殖や代謝活動を活発
化させる微生物固定化用繊維を提供することを目的とし
てなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、微生物固
定化用担体や活性イオン発生体として好適な繊維を開発
すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアミン系高分子重合
体やポリカルボン酸系高分子重合体を所定量含有し、ポ
リビニルアルコール繊維を熱処理して得られる変性ポリ
ビニルアルコール系繊維、及びそれに微粒子状トルマリ
ンを所定量含有させた変性ポリビニルアルコール系繊維
が、その目的に適合しうることを見出し、この知見に基
づいて本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、ポリアミン系高分子
重合体及びポリカルボン酸系高分子重合体の中から選ば
れた少なくとも1種5〜40重量%及び所望により微粒
状トルマリン0.01〜10重量%を含有するポリビニ
ルアルコール系繊維の熱処理物からなる変性ポリビニル
アルコール系繊維を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の変性ポリビニルアルコー
ル系繊維においては、原料のポリビニルアルコールとし
て、乾式紡糸に適した濃度及び粘度を有する紡糸原液を
与えるために、平均重合度が500〜2000の範囲に
あり、かつけん化度が98モル%以上のものを用いるの
が好ましい。このポリビニルアルコールのけん化度が9
8モル%未満では、得られる繊維の耐水性が不足し、繊
維を水に浸せきした際に、ポリアミン系高分子重合体や
ポリカルボン酸系高分子重合体の一部が水中に溶出する
おそれがある。
【0011】本発明において用いられるポリアミン系高
分子重合体としては、重合性アミン化合物の単独重合体
や共重合体が挙げられ、具体的にはポリエチレンイミ
ン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンなど、あるい
は、これらを構成する単量体同士の共重合体や該単量体
と他の単量体との共重合体を挙げることができる。一
方、ポリカルボン酸系高分子重合体としては、分子内に
重合性不飽和結合を有するカルボン酸の単独重合体や共
重合体が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリ
ル酸、エタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸、クロトン酸などの単独重合体、こ
れらの単量体2種以上から得られた共重合体、上記単量
体と他の単量体との共重合体を挙げることができる。
【0012】これらの高分子重合体は、平均重合度が3
00〜10000の範囲にあるものが好ましい。この平
均重合度が300未満では繊維を水と接触させた場合
に、該高分子重合体が繊維から脱落するおそれがある
し、10000を超えると、紡糸原液の粘度が著しく高
くなって、紡糸が困難となる。
【0013】ポリアミン系高分子重合体は、遊離型及び
塩型のいずれも用いることができるが、塩型の場合は、
アミノ基の50モル%までが硫酸塩や酢酸塩などの塩を
形成したものが好ましい。一方、ポリカルボン酸系高分
子重合体は、カルボキシル基の10〜40モル%が塩を
形成した部分中和塩が好ましい。この塩としては、ナト
リウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、さら
にはモノ,ジ,トリメチルアミン塩、モノ,ジ,トリエ
タノールアミン塩などの一価のアミン塩などが挙げられ
る。
【0014】本発明においては、前記ポリアミン系高分
子重合体やポリカルボン酸系高分子重合体をそれぞれ単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。また、必要に応じポリアミン系高分子重合体1種
以上とポリカルボン酸系高分子重合体1種以上を組み合
わせて用いてもよい。
【0015】本発明においては、前記ポリアミン系高分
子重合体及びポリカルボン酸系高分子重合体の中から選
ばれた少なくとも1種を、変性ポリビニルアルコール系
繊維中の含有量が5〜40重量%になるように含有させ
ることが必要である。この含有量が5重量%未満では微
生物との馴染み性の向上効果が十分に発揮されないし、
40重量%を超えるとポリビニルアルコール系繊維本来
の物性がそこなわれる。微生物との馴染み性向上効果及
び他の繊維物性などを考慮すると、好ましい含有量は1
0〜30重量%の範囲である。
【0016】本発明においては、前記の変性ポリビニル
アルコール系繊維に、さらに微粒子状トルマリンを含有
させることができる。このトルマリンは、組成式 MX33Al3(AlSiO293(O,OH,F)4 (式中のMはNa又はCa、XはAl、Fe、Li、M
g又はMnである)で表わされるものである。このトル
マリンは天然産、人工的に合成されたもの、いずれも用
いることができる。そして、紡糸性の点から、微粉砕さ
れた粒子径1μm以下、好ましくは、0.2μm以下の
微粒子状のものが好適である。トルマリンの微粉砕法と
しては、湿式法、乾式法のいずれも用いることができる
が、本発明においては特に水を用いた湿式法が作業性の
面から有利である。微粒子状トルマリンは、微生物に賦
活効果を与え、代謝活動を活発にさせることができる。
【0017】この微粒子状トルマリンは、変性ポリビニ
ルアルコール系繊維中0.01〜10重量%になるよう
に含有させる。この含有量が0.01重量%未満では、
微生物に対する賦活効果が十分に発揮されないし、10
重量%を超えると、その量の割には効果の向上がみられ
ない上に、繊維の強度低下の原因となる。微生物に対す
る賦活効果及び経済性などを考慮すると、このトルマリ
ンの好ましい含有量は0.05〜5重量%、より好まし
い含有量は0.5〜3重量%の範囲である。
【0018】本発明の変性ポリビニルアルコール系繊維
には、前記した物質以外に、所望により他のセラミック
スを、変性ポリビニルアルコール系繊維中の含有量が1
0重量%以下になるような割合で含有させることができ
る。このようなセラミックスとしては、遠赤外線放射性
のセラミックス、例えばアルミナ、ケイ酸を主体とする
コージェライトやβ‐スポジュメン、ジルコニア、ジル
コン、マグネシア、チタン酸バリウム、酸化チタン、花
崗石、クロム雲母、蛇紋石などの微粒子を挙げることが
できる。
【0019】本発明の変性ポリビニルアルコール系繊維
を得るには、ポリビニルアルコール繊維にポリアミン系
高分子重合体やポリカルボン酸系高分子重合体及び所望
により用いられる微粒子状のトルマリンや他のセラミッ
クスを含有させたのち、耐水性や耐熱性を付与するため
に熱処理することが必要である。また、所望に応じ、さ
らに不溶化処理を施すこともできる。この熱処理は、2
00〜240℃の温度において、十分な改質が行われる
まで加熱することによって行われる。
【0020】次に、本発明の変性ポリビニルアルコール
系繊維の製造方法の好適な例について説明する。まず、
ポリアミン系高分子重合体及びポリカルボン酸系高分子
重合体の中から選ばれた少なくとも1種を所定量の水に
溶解させたのち、これにポリビニルアルコール粉末及び
所望により用いられる微粒子状のトルマリンや他のセラ
ミックスを加え、かきまぜながら加熱して、ポリビニル
アルコールを溶解させると共に、トルマリンや他のセラ
ミックスを均質に分散させて紡糸原液を調製する。ある
いは、ポリアミン系高分子重合体及びポリカルボン酸系
高分子重合体の中から選ばれた少なくとも1種を含む水
溶液に、ポリビニルアルコールを溶解させ、他方、所望
により用いられる微粒子状のトルマリンや他のセラミッ
クスを含有させた水分散液を別々に調製し、紡糸直前に
これらを混合して、紡糸原液を調製する。
【0021】次に、このようにして調製された紡糸原液
を紡糸する。紡糸方法としては、乾式紡糸法及び湿式紡
糸法があるが、本発明においては、乾式紡糸法を用いる
のが好ましい。湿式紡糸法では、ポリアミン系高分子重
合体やポリカルボン酸系高分子重合体が凝固液中へ溶出
するおそれがある。
【0022】乾式紡糸法においては、25〜50重量%
程度の濃度の原液を用い、この紡糸原液をノズルから加
熱空気中へ吐出させて糸条を形成させるのがよい。次い
で、好ましくは延伸倍率2倍以上で、そのまま加熱延伸
を行ったのち、200〜240℃程度の温度で熱処理を
行う。この熱処理温度が200℃未満では、耐水性や耐
熱性が十分に付与されないし、240℃を超えるとポリ
ビニルアルコールの熱分解を生じる。
【0023】このようにして得られた変性ポリビニルア
ルコール系繊維は、水中で長時間使用するためには、さ
らに不溶化処理を施すのが有利である。この不溶化処理
方法としては、例えばアセタール化、ジアセタール化、
グリシジル化合物によるエーテル化などが挙げられる。
このアセタール化やジアセタール化においては、一般に
ポリビニルアルコールの不溶化に使用されるアルデヒド
類、例えばホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタ
ルアルデヒドなどが用いられる。このアセタール化によ
り、繊維を構成するポリビニルアルコールが部分的に疎
水化され、耐水性が向上する。また、アセタール化する
ことにより、トルマリンの微生物に対する賦活効果がよ
り一層増加する。
【0024】一方、エーテル化には、グリシジル化合
物、例えばエピクロルヒドリン、エチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエー
テル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルな
どの架橋剤が用いられる。結晶化したポリビニルアルコ
ールの三次元網目構造中に閉じ込められたポリアミン系
高分子重合体は、ポリアミン系高分子重合体単独より
も、少量の上記架橋剤により効果を発揮させることがで
きる。反応量としては、ポリアミン系高分子重合体の3
0モル%以下が好ましい。また、このアセタール化及び
エーテル化は、変性ポリビニルアルコール系繊維を使用
する環境や期間、使用目的などに応じて、使い分けるこ
とができるが、もちろん両方を行ってもよい。
【0025】このようにして得られた本発明の変性ポリ
ビニルアルコール系繊維は、微生物固定化用担体繊維と
して有用である。例えば、ポリアミン系高分子重合体を
含有させた変性ポリビニルアルコール系繊維は表面が正
に帯電しており、一般に表面が負に帯電している微生物
を積極的に引き寄せ、保持することができる。他方、ポ
リカルボン酸系高分子重合体を含有させた変性ポリビニ
ルアルコール系繊維は、表面が負に帯電しており、一般
に表面が正に帯電している微生物を積極的に引き寄せ、
保持することができる。したがって、必要量の微生物を
短期間で吸着させることが可能になり、イオン吸着より
も弱い物理的吸着ではないため、脱落、剥離も少ない。
さらに、基体がポリビニルアルコール系繊維のため、多
数の水酸基を有しており、微生物に対する親和性を高め
ることができる。繊維中の微粒子状トルマリンは、微生
物に賦活効果を与えるため、より高性能の微生物固定化
用担体繊維となる。
【0026】本発明の変性ポリビニルアルコール系繊維
を微生物固定化用担体として使用する場合には、担体を
構成する繊維間に空間を設け、繊維表面を有効に利用で
きるように図ることが肝要である。三次元的構造物にモ
ジュール化した固定化用担体により多くの微生物を吸着
させ、生物化学処理の効率を上げることができる。モジ
ュールとしては、まず不織布が挙げられる。不織布は、
繊維同士が絡合して繊維間に空間を作るため、有効に利
用できる表面積が大きい。したがって、微生物を吸着さ
せる際、微生物と接触する場所が多く、かつ、吸着後も
増殖して増えていく場所も確保できる。嵩密度は0.0
1〜0.3g/cm3の範囲が好ましい。
【0027】さらに、球状構造物としてもよい。球状構
造物も繊維が三次元的に絡み合い、比表面積が大きく、
内部まで微生物を固定することができ、吸着量を上げる
ことができる。また、球状構造物の表面に好気性菌が、
そして段階的に内部に向かって嫌気性菌が増殖するよう
な形態をとることも認められている。このような球状構
造物を処理槽に浸せきさせた場合、充填密度が上がり、
流動床処理が可能となり、接触効率、通水性などが向上
する。製造方法としては、例えば、変性ポリビニルアル
コール系繊維を0.5〜20mm程度にカットし、アセ
タール化やエーテル化の架橋反応(不溶化処理)時、反
応浴を適切な速度でかきまぜることにより、耐水性を付
与しながら、直径1〜100mmの球状構造物を得るこ
とができる。このようにして得られた球状構造物は、使
用中にその形態が崩れることなく、安定した形態を保持
することができる。
【0028】本発明の変性ポリビニルアルコール系繊維
と、水中で高収縮する合成繊維とを合糸し、織物、編
物、網状物としたのち、微生物の付着を行うために処理
槽中に投入すると、高収縮合成繊維は収縮するが、本発
明の変性ポリビニルアルコール系繊維は収縮しないた
め、ループが発生し、嵩高となる。したがって、細かな
空隙が多く形成され、有効に利用できる表面積が大きく
なるため、このものからなる固定化用担体は、微生物の
吸着量が多く、処理効率を向上させることができる。ま
た、これら以外にも、繊維を利用した微生物固定化用担
体に、本発明の変性ポリビニルアルコール系繊維を利用
することができる。
【0029】本発明の変性ポリビニルアルコール系繊維
の中で、微粒子状トルマリンを含有させたものは、前記
した微生物固定化用担体繊維としての用途以外に、織
物、編物、網状などとして、寝具、衣服類、あるいは魚
網用などとしても用いられ、これに接する人体の血行を
盛んにしたり、魚介類の成育を促進するなど、生体細胞
に賦活効果を与える。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。
【0031】実施例1 けん化度99.9モル%、平均重合度1200のポリビ
ニルアルコール27.7重量部、平均重合度5000の
ポリエチレンイミン[相互薬工(株)製、商品名:PE
I−210T]10.3重量部及び水62.0重量部を
ニーダーに仕込み、密閉下に加熱溶解して、濃度38重
量%、80℃の粘度が41.0Pa・s(パスカル・
秒)の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を乾式紡糸法
により、孔径90μm、孔数25個のノズルを用いて、
180℃の加熱空気中に吐出して糸条を形成させ、次い
で5倍延伸後、225℃で熱処理することにより、繊度
180d/25f、乾強度3.1g/d、乾伸度21.
2%のポリビニルアルコール繊維を得た。次に、この繊
維を、エチレングリコールジグリシジルエーテル[日本
油脂(株)製、商品名:エピオールE−100]0.5
重量%を含む浴比1:25の処理浴で80℃にて3時間
エーテル化処理し、糸条中のポリエチレンイミンの約1
5モル%を架橋し、耐水性を有する変性ポリビニルアル
コール系繊維を作製した。このようにして得た変性ポリ
ビニルアルコール系繊維の50mmカット糸70重量%
と低融点ポリエステル繊維30重量%とからなる繊維ウ
ェブにニードルパンチ処理を行い、次いで、加熱圧着に
より、目付500g/m2、厚さ10mmの微生物固定
化用不繊布(嵩密度0.05g/cm3)を作製した。
【0032】実施例2 実施例1において、ポリビニルアルコール27.7重量
部、ポリエチレンイミン10.3重量部、平均粒子径
0.2μmのトルマリン微粒子0.3重量部及び水6
1.7重量部を用い、紡糸原液を調製し、実施例1と同
様にして、微生物固定化用不織布を作製した。
【0033】実施例3 ポリビニルアルコール27.7重量部、ポリエチレンイ
ミン10.3重量部、平均粒子径0.2μmのトルマリ
ン微粒子0.3重量部及び水61.7重量部を用い、実
施例1と同様にして、紡糸原液を調製したのち、紡糸、
エーテル化処理を行い、変性ポリビニルアルコール系繊
維を作製し、さらに2mmにカットした。次に、ホルム
アルデヒド4重量%、硫酸20重量%、硫酸ナトリウム
20重量%及び水56重量%からなる浴を、撹拌機によ
り500rpmの速度でかきまぜ、これに浴比1:40
となるように、上記カット糸を投入し、60℃で2時間
反応させた。これにより、耐水性が付与された直径3m
mの微生物固定化用球状構造物が得られた。
【0034】実施例4 けん化度99.9モル%、平均重合度1200のポリビ
ニルアルコール32重量部、平均重合度1750のポリ
アリルアミン20重量%水溶液[日東紡績(株)製]4
0重量部、平均粒子径0.2μmのトルマリン微粒子
0.8重量部及び水27.2重量部をニーダーに仕込
み、密閉下に加熱溶解して、濃度40.8重量%、80
℃の粘度が32.0Pa・s(パスカル・秒)の紡糸原
液を調製した。この紡糸原液を、乾式紡糸法により、孔
径100μm、孔数30個のノズルを用いて、180℃
の加熱空気中に吐出して糸条を形成させ、次いで5倍延
伸後、225℃で熱処理することにより、繊度200d
/30f、乾強度2.7g/d、乾伸度19.8%のポ
リビニルアルコール系繊維を得た。次に、この繊維を、
グルタルアルデヒド0.5重量%、硫酸20重量%、硫
酸ナトリウム15重量%及び水64.5重量%からなる
アセタール化浴により、浴比1:30にて40℃で1時
間アセタール化処理した。次いで、実施例1と同様にし
て、エーテル化処理し、変性ポリビニルアルコール系繊
維を得た。このようにして得られた変性ポリビニルアル
コール系繊維2本(200d/30f×2本)と水中で
高収縮するポリビニルアルコール繊維[(株)ニチビ
製、商品名:ソルブロンSHC、最大収縮率55〜65
%、繊度75d/24f]1本を合糸し、微生物固定化
用編成体を作製した。このものは、水中に投入すること
により、嵩高となる性質を有していた。
【0035】実施例5 実施例1で用いたポリビニルアルコールを加熱溶解機に
水と共に仕込み、120℃まで昇温し、その温度で1時
間加熱して、濃度34.2重量%の原液Aを調製した。
一方、ポリアクリル酸[東亜合成(株)製、商品名:ア
ロンA10H、平均重合度5000、25重量%水溶
液]24重量部を撹拌翼付溶解機に仕込み、かきまぜな
がら、カルボキシル基の30モル%がナトリウム塩にな
るように水酸化ナトリウムを添加し、さらに約1時間か
きまぜて、固形分濃度27.2重量%の原液Bを調製し
た。次に、実施例1で用いた紡糸機に、上記原液A及び
原液Bを、流量比(重量基準)10:3の割合で供給
し、熱風温度150℃で乾式紡糸を行い、180℃で4
倍延伸したのち、230℃で熱処理を行い、繊度100
d/30fのポリビニルアルコール系繊維を得た。紡糸
は安定であり、経時的に変化せず、特にトラブルはなか
った。この繊維を、ホルムアルデヒド4重量%、硫酸2
0重量%及び硫酸ナトリウム20重量%を含有する浴中
でホルマール化した。得られた繊維の総カチオン変換容
量を測定したところ、2.1ミリ当量/gであった。こ
のようにして得た変性ポリビニルアルコール系繊維の5
0mmカット糸70重量%と低融点ポリエステル繊維3
0重量%とからなる繊維ウェブにニードルパンチ処理を
行い、次いで加熱圧着により、目付500g/m2、厚
さ10mmの微生物固定化用不織布(嵩密度0.05g
/cm3)を作製した。
【0036】比較例1〜3 ポリビニルアルコール繊維(比較例1)、ポリ塩化ビニ
リデン繊維(比較例2)及びポリエステル繊維(比較例
3)をそれぞれ用い、目付500g/m2、嵩密度0.
05g/cm3の微生物固定化用不織布を作製した。
【0037】応用例1 実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた微生物固定化
用担体を、それぞれポリビニルアルコール分解菌(シュ
ードモナス属)活性汚泥槽に24時間浸せき後、微生物
の付着状況を観察し、下記の判定基準で微生物付着性を
評価した。結果を表1に示す。 ◎:非常に良好 ○:良好 △:普通 ×:悪い
【0038】
【表1】
【0039】表1から、本発明の変性ポリビニルアルコ
ール系繊維を用いた微生物固定化用担体は、比較例1〜
3のものに比べて、微生物固定化能に優れていることが
分かる。
【0040】応用例2 実施例2及び比較例1で得られた微生物固定化用担体そ
れぞれ300gを、ホルマリン資化活性汚泥槽に24時
間浸せきして、ホルマリン活性汚泥菌を吸着させた。次
いで、汚泥槽から取り出した担体それぞれを、30リッ
トルの水槽に入れ、ホルマリン負荷量を50ppmから
800ppmに振らし、資化速度を比較した。その結果
を図1に示す。図中、CODは生物化学的酸素需要量で
ある。図1から、実施例2で得られた微生物固定化用担
体の方が、比較例1のものよりも、資化速度が著しく速
いことが分かる。また、実施例2の汚泥浴と比較例1の
汚泥浴を比較すると、吸着微生物量が多いにもかかわら
ず、実施例2の汚泥浴の方が透明であった。
【0041】応用例3 サーモグラフィによる皮膚温度
の測定 実施例4と同様にして、紡糸原液を調製したのち、紡
糸、熱処理、アセタール化処理及びエーテル化処理を順
次行い、変性ポリビニルアルコール系繊維を作製し、次
いでこの繊維を用い、不織布からなる敷マットA(短辺
1100mm、長辺2000mm、厚さ50mm)を製
造した。一方、比較例として、けん化度99.9モル
%、平均重合度1200のポリビニルアルコールを用
い、かつポリアリルアミン及びトルマリンを使用しなか
ったこと以外は実施例4と同様にして紡糸し、熱処理を
行い、ポリビニルアルコール繊維を作製した。この繊維
を用い、不織布からなる敷マットB(短辺1100m
m、長辺2000mm、厚さ50mm)を製造した。サ
ーモグラフィは皮膚温度を超高感度の赤外線カメラでと
らえ、温度分布(サーモグラム)を10色のカラーに置
き換えて表示するものである。恒温シールド室内におい
て、上記本発明の変性ポリビニルアルコール系繊維から
なる敷マットA、及び比較品の敷マットBの上に、それ
ぞれ健康成人の被験者を抑臥位とし、サーモグラム(皮
膚温分布)の測定を行った。その結果、本発明の敷マッ
トAでは、仰臥中及びその後においても、両足の皮膚温
は上昇(1.3℃)し、皮下血行を盛んにしていること
が分かる。一方、比較品の敷マットBでは、仰臥中及び
その後においてほとんど皮膚温に変化がみられなかっ
た。この知見により、ポリアリルアミンとトルマリンを
含有する変性ポリビニルアルコール系繊維は、人間の皮
膚に接触させた場合に、皮膚温を上昇させ、皮下血行を
盛んにさせ、人間の細胞に対する賦活効果を高めうるこ
とが分かる。
【0042】
【発明の効果】本発明の変性ポリビニルアルコール系繊
維は、廃水や下水などの生物化学的浄化処理における微
生物固定化用担体として有用であり、必要量の微生物を
短期間に吸着すると共に、吸着後の脱落や剥離が少な
く、かつ微生物の代謝活動を活発化することができる。
また、トルマリンを含有させた本発明の変性ポリビニル
アルコール系繊維は、織成体、編成体、網状体などに加
工して、寝具、衣服類、あるいは魚網用として用いる
と、これに接する人体の血行を盛んにしたり、魚介類の
成育を促進するなど、生体細胞に賦活効果を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例2及び比較例1で得られた微生物固定
化用担体に吸着させた活性汚泥菌の資化速度の比較を示
すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 久展 静岡県藤枝市善左衛門300 株式会社ニチ ビ内 (72)発明者 杉原 俊雄 東京都新宿区百人町2−20−23 生命エネ ルギー工業株式会社内 (72)発明者 鈴木 三男 東京都新宿区百人町2−20−23 生命エネ ルギー工業株式会社内 Fターム(参考) 4B033 NA19 NB02 NB03 NB14 NB22 NB34 NB35 NB36 NB65 NC04 ND04 ND20 NF06 4L035 AA08 BB02 BB91 CC02 CC20 DD19 EE04 EE08 EE20 FF01 FF05 HH10 JJ08 KK01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミン系高分子重合体及びポリカル
    ボン酸系高分子重合体の中から選ばれた少なくとも1種
    5〜40重量%を含有するポリビニルアルコール系繊維
    の熱処理物からなる変性ポリビニルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 微粒子状トルマリン0.01〜10重量
    %を含有する請求項1記載の変性ポリビニルアルコール
    系繊維。
  3. 【請求項3】 不溶化処理が施された請求項1又は2記
    載の変性ポリビニルアルコール系繊維。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の変性ポリビニ
    ルアルコール系繊維からなる微生物固定化用担体。
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