JP7372847B2 - エポキシ接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、異種材料の接着に用いた際の剥がれを抑制することができ、多方向からの応力に対する耐性が高く、また、塗工時の形状保持性に優れたエポキシ接着剤組成物に関する。
(メタ)アクリル系接着剤成分を含有する(メタ)アクリル系接着剤や、エポキシ系接着剤成分を含有するエポキシ系接着剤は、代表的な接着剤として種々の分野に用いられている。とりわけ、自動車等の車両や建築物等の構造材の接着に、(メタ)アクリル系接着剤やエポキシ系接着剤は欠くことができないものとなっている。例えば、電気電子分野では、パソコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の電子デバイス中で、モジュール組み立て、モジュール類の筐体への貼り合わせ等に接着剤が用いられている。より具体的には、例えば、画像表示装置又は入力装置を搭載した携帯電子機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末等)において、組み立てのために接着剤が用いられている。更に具体的には例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したり、カメラモジュールとACF(異方性導電フィルム)とを接着したりするために接着剤が用いられている。
また、電子機器の小型化及び軽量化が急速に進むのに伴って電子部品の搭載密度も高くなり、電子部品及びその材料に要求される特性も多様化してきている。特にプリント配線板においては、配線占有面積が小型かつ高密度になり、多層配線板(ビルドアップ配線板)、フレキシブルプリント基板(FPC)等への要求も高まってきている。
特許文献1には、エポキシ樹脂に、カルボキシ基を末端に有するアクリロニトリル共重合体等を添加した熱硬化型エポキシ樹脂接着剤が記載されている。
また、特許文献2には、所定のエポキシ樹脂に、接着剤組成物の硬化物に一定の柔軟性を与えるためのブチラール樹脂、硬化促進剤等を添加した接着剤組成物が記載されている。
特開昭62-199627号公報 特開2003-27028号公報
しかしながら、特許文献1に記載された接着剤は、柔軟性及び接着性が高いものの、配合されるアクリロニトリル共重合体のようなゴム成分は、適当な粒子径で接着剤中に再現よく分散させることが極めて困難であり、また、プリント配線板の製造工程において熱プレスする際に接着層の変形が大きくなり、接着剤が染み出してしまうという問題もある。また、たわみやひずみによって被着体の剥がれが生じるという問題がある。
また、特許文献2に記載された接着剤組成物は、エポキシ樹脂を硬化させるために使用される硬化剤又は硬化促進剤と、ブチラール樹脂との相溶性が悪いため、硬化後に相分離してしまい、ブチラール樹脂が有する柔軟性が充分に発揮されなかったり、被着体のたわみやひずみによる剥がれを充分に防止できなかったりするという問題がある。更に、ブチラール樹脂は、硬化時の加熱処理を行った際に、金属材料との収縮率の差により、反りや剥離等が生じる原因となっている。
本発明は、上記現状に鑑み、異種材料の接着に用いた際の剥がれを抑制することができ、多方向からの応力に対する耐性が高く、また、塗工時の形状保持性に優れたエポキシ接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明は、IR測定により定量した水酸基の半値幅とアセタール基の半値幅との比率(水酸基の半値幅/アセタール基の半値幅)が1.3~2.5であるポリビニルアセタール樹脂と、エポキシ樹脂とを含有し、エポキシ基の総数と水酸基の総数との比率(エポキシ基数/水酸基数)が18.2以下であるエポキシ接着剤組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、IR測定により定量した水酸基の半値幅とアセタール基の半値幅との比率が所定の範囲であるポリビニルアセタール樹脂をエポキシ基数と水酸基数との比が所定の範囲となるような割合でエポキシ樹脂と併用した場合、異種材料の接着に用いた際に、反りや剥がれを抑制することができることを見出した。また、被着体に多方向からの応力に対する耐性を付与できるとともに、塗工時の形状保持性や耐溶剤性にも優れた接着剤組成物とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のエポキシ接着剤組成物は、ポリビニルアセタール樹脂を含有する。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、下記式(1-1)で表されるアセタール基を有する構成単位、下記式(1-2)で表される水酸基を有する構成単位、及び、下記式(1-3)で表されるアセチル基を有する構成単位を有する。
Figure 0007372847000001
上記式(1-1)中、Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表す。
上記Rとしては、水素原子、又は、炭素数1~12のアルキル基が好ましい。
上記炭素数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、上記アセタール基を有する構成単位の含有量(以下、「全アセタール基量」ともいう)の好ましい下限が60モル%、好ましい上限が90モル%である。上記全アセタール基量が60モル%以上であると、沈殿法による合成工程においてポリビニルアセタール樹脂を充分に析出させることができる。また、全アセタール基量が90モル%以下であると、エポキシ樹脂との相溶性を良好なものとすることができる。合成工程における析出及びエポキシ樹脂との相溶性の観点から、上記全アセタール基量は、より好ましい下限が65モル%、より好ましい上限が85モル%である。
上記全アセタール基量は、例えば、NMRにより測定することができる。
なお、アセタール基量の計算方法については、ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール基がポリビニルアルコールの2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂におけるブチラール基量とアセトアセタール基量との比率(ブチラール基量:アセトアセタール基量)は、異種材料の接着の剥がれの抑制、多方向からの応力に対する耐性、及び、塗工時の形状保持性の観点から、4:6~0:10であることが好ましく、3:7~0:10であることがより好ましい。
なお、上記ブチラール基とは、上記式(1-1)で表されるアセタール基を有する構成単位に含まれるアセタール基のうち、Rがプロピル基である場合のアセタール基である。また、上記アセトアセタール基とは、上記式(1-1)で表されるアセタール基を有する構成単位に含まれるアセタール基のうち、Rがメチル基である場合のアセタール基である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、上記水酸基を有する構成単位の含有量(以下、「水酸基量」ともいう)の好ましい下限が15モル%、好ましい上限が34.5モル%である。上記水酸基量が15モル%以上であると、ポリビニルアセタール樹脂の強靱性を充分に高めることができ、得られる架橋体の強度が良好なものとなる。また、上記水酸基量が34.5モル%以下であると、ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなりすぎることがなく、得られる架橋体のひび割れ等の不具合を抑制して、剥離性を良好なものとすることができる。上記水酸基量のより好ましい下限は17モル%、より好ましい上限が30モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基当量(水酸基1つ当たりの分子量)の好ましい下限が100、より好ましい下限が150、好ましい上限が500、より好ましい上限が450である。
なお、上記水酸基当量は、ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度、各構成単位の分子量、各構成単位の含有量に基づいて算出することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、異種材料の接着の剥がれの抑制、多方向からの応力に対する耐性、及び、塗工時の形状保持性の観点から、上記アセチル基を有する構成単位の含有量(以下、「アセチル基量」ともいう)の好ましい下限が0.0001モル%、好ましい上限が15モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は特に限定されないが、好ましい下限が150、好ましい上限が4500である。上記ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度が150以上であると、充分な粘度を有するエポキシ接着剤組成物を得ることができ、上記ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度が4500以下であると、塗工して使用する用途で塗工性を良好なものとしてハンドリングを向上することができる。また、接着力をより向上させることができる。粘度及び塗工性の観点から、上記平均重合度は、より好ましい下限が200、より好ましい上限が4000である。
なお、上記平均重合度は、JIS K 6726に準拠して測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、IR測定により定量した水酸基の半値幅とアセタール基の半値幅の比率が1.3~2.5である。
上記半値幅の比率が上記範囲であることにより、多軸応力耐性を向上させることができる。
多軸応力耐性の更なる向上の観点から、上記半値幅の比率は、1.4~2.4であることがより好ましく、1.5~2.2であることが更に好ましい。
なお、上記IR測定とは赤外吸収分光法による吸収スペクトルの測定であり、例えば、IR測定計により測定することができる。
また、上記半値幅とは、ピーク高さの1/2でのピーク幅のことをいい、上記水酸基のピークは3500cm-1付近に現れるものであり、上記アセタール基のピークは2950cm-1付近に現れるものである。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、異種材料の接着の剥がれの抑制、多方向からの応力に対する耐性、及び塗工時の形状保持性の観点から、IR測定により定量した水酸基の半値幅の好ましい下限が220cm-1、より好ましい下限が225cm-1、好ましい上限が420cm-1、より好ましい上限が400cm-1である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、異種材料の接着の剥がれの抑制、多方向からの応力に対する耐性、及び塗工時の形状保持性の観点から、IR測定により定量したアセタール基の半値幅の好ましい下限が100cm-1、より好ましい下限が120cm-1、好ましい上限が160cm-1、より好ましい上限が150cm-1である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂であってもよい。
このような変性ポリビニルアセタール樹脂を用いることで、エポキシ樹脂と併用した場合に、エポキシ樹脂との間で架橋構造を形成することができる。このため、架橋後に得られる架橋体は、高い機械的強度を有しつつ、適度な弾性を有するものとすることができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有する構成単位を有する。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂が上記酸変性基を有する構成単位を有することにより、エポキシ樹脂との相溶性を向上させて、高い機械的強度を実現することができる。
上記酸変性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、マレイン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、及び、それらの塩等が挙げられる。なかでも、異種材料の接着の剥がれの抑制、多方向からの応力に対する耐性、及び、塗工時の形状保持性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
上記酸変性基を有する構成単位は、主鎖を構成する炭素に側鎖としての酸変性基が直接結合した構造であってもよく、主鎖を構成する炭素にアルキレン基を介して酸変性基が結合した構造であってもよい。
上記酸変性基を有する構成単位は、主鎖を構成する同一の炭素に2つの酸変性基が結合した立体構造を有してもよく、主鎖を構成する炭素に酸変性基が1つ結合した立体構造であってもよい。また、主鎖を構成する隣り合う炭素に酸変性基が1つずつ結合した立体構造であってもよく、主鎖を構成する隣り合う炭素のどちらか一方のみに酸変性基が結合した構造であってもよい。なかでも、主鎖を構成する同一の炭素に2つの酸変性基が結合した立体構造、又は、主鎖を構成する隣り合う炭素に酸変性基が1つずつ結合した立体構造を有することが好ましい。更に、立体障害を大きくして、エポキシ樹脂との組み合わせにより得られる架橋体の網目構造を広くすることができ、その結果、得られる硬化物の柔軟性を向上させることができることから、主鎖を構成する同一の炭素に2つの酸変性基が結合した立体構造を有することがより好ましい。
また、酸変性基を有する構成単位は、主鎖を構成する炭素に酸変性基が同一方向に結合したイソタクチック配置である立体構造を有してもよく、主鎖を構成する炭素に酸変性基が交互に反対側に結合したシンジオタクチック配置である立体構造を有してもよい。更に、上記酸変性基がランダムに結合したアタクチック配置である立体構造を有してもよい。
上記酸変性基を有する構成単位が、主鎖を構成する炭素にアルキレン基を介して酸変性基が結合した構造を有する場合、上記アルキレン基としては、炭素数1~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~5のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1~3のアルキレン基であることが更に好ましい。
上記炭素数1~10のアルキレン基としては、直鎖状アルキレン基、分岐鎖状アルキレン基、環状アルキレン基が挙げられる。
上記直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、ビニレン基、n-プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。
上記分岐鎖状アルキレン基としては、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基等が挙げられる。
上記環状アルキレン基としてはシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。
なかでも、直鎖状アルキレン基が好ましく、メチレン基、ビニレン基、n-プロピレン基がより好ましく、メチレン基、ビニレン基が更に好ましい。
上記カルボキシル基を有する構成単位としては、例えば、下記式(2-1)で表される構成単位、下記式(2-2)で表される構成単位、下記式(2-3)で表される構成単位、及び、下記式(2-4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0007372847000002
上記式(2-1)中、Rは、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基、Xは水素原子、金属原子又はメチル基を表す。
上記Rとしては、単結合、又は、炭素数1~5のアルキレン基であることが好ましく、単結合、又は、炭素数1~3のアルキレン基であることがより好ましい。
上記炭素数1~10のアルキレン基としては、直鎖状アルキレン基、分岐鎖状アルキレン基、環状アルキレン基が挙げられる。
上記直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、ビニレン基、n-プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。
上記分岐鎖状アルキレン基としては、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1-メチルペンチレン基、1,4-ジメチルブチレン基等が挙げられる。
上記環状アルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。
なかでも、直鎖状アルキレン基が好ましく、メチレン基、ビニレン基、n-プロピレン基がより好ましく、メチレン基、ビニレン基が更に好ましい。
上記金属原子としては、ナトリウム原子、リチウム原子、カリウム原子等が挙げられる。なかでも、ナトリウム原子が好ましい。
上記式(2-2)中、R及びRは、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。
上記炭素数1~10のアルキレン基としては、上記式(2-1)中、Rと同様のものが挙げられる。
上記金属原子としては、上記式(2-1)中、Xと同様のものが挙げられる。
上記式(2-3)中、R及びRは、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。
上記炭素数1~10のアルキレン基としては、上記式(2-1)中、Rと同様のものが挙げられる。
上記金属原子としては、上記式(2-1)中、Xと同様のものが挙げられる。
上記式(2-4)中、R及びRはそれぞれ独立して、単結合又は炭素数1~10のアルキレン基、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。
上記炭素数1~10のアルキレン基としては、上記式(2-1)中、Rと同様のものが挙げられる。
上記金属原子としては、上記式(2-1)中、Xと同様のものが挙げられる。
なかでも、立体障害が大きくなり、エポキシ樹脂との間で形成される架橋構造の網目構造を広くすることができ、その結果、得られる硬化物の耐衝撃性をより向上させることができることから、上記式(2-2)~(2-4)の構造を有することが好ましく、上記式(2-4)の構造を有することがより好ましい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記酸変性基は、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合してもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
また、異種材料の接着の剥がれの抑制、多方向からの応力に対する耐性、及び、塗工時の形状保持性の観点から、上記酸変性基を有する構成単位を側鎖に有していてもよい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有する構成単位の含有量(以下、「酸変性基量」ともいう)の好ましい下限が0.01モル%、好ましい上限が10モル%である。
上記酸変性基量が0.01モル%以上であると、エポキシ樹脂との硬化性に優れたものとすることができる。上記酸変性基量が10モル%以下であると、貯蔵安定性を向上させることができる。エポキシ樹脂との硬化性及び貯蔵安定性の更なる向上の観点から、上記酸変性基量のより好ましい下限は0.05モル%、より好ましい上限が5モル%である。上記酸変性基量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基当量(酸変性基1つ当たりの分子量)の好ましい下限が3000、より好ましい下限が3100、好ましい上限が29000、より好ましい上限が28000である。
なお、上記酸変性基当量は、変性ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度、各構成単位の分子量、各構成単位の含有量に基づいて算出することができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、IR測定により定量した水酸基の半値幅と酸変性基の半値幅との比率が13.0以下であることが好ましい。
上記半値幅の比率が上記範囲であることにより、基材との接着性を向上させることができる。
基材との接着性の更なる向上の観点から、上記半値幅の比率は、12.0以下であることがより好ましく、10.0以下であることが更に好ましい。
また、上記半値幅の比率の下限は特に限定されないが、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
なお、上記酸変性基がカルボキシル基である場合、酸変性基のピークは1770cm-1付近に現れるものである。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、IR測定により定量した酸変性基の半値幅の好ましい下限が1.1cm-1、より好ましい下限が7cm-1、好ましい上限が210cm-1、より好ましい上限が203cm-1である。
上記IRにより定量した水酸基の半値幅とアセタール基の半値幅との比率が1.3~2.5であるポリビニルアセタール樹脂は、原料となるポリビニルアルコールの製造条件、調製後のポリビニルアルコールのろ過条件、ポリビニルアルコールをアセタール化する際の条件を調整することにより作製することができる。
例えば、得られるポリビニルアセタール樹脂の水酸基量、全アセタール基量が同じでも、ポリビニルアセタール樹脂を作製する際の反応温度を高くすることで水酸基の半値幅は大きくなり、アセタール基の半値幅は小さくなる。
また、上記ポリビニルアセタール樹脂が変性ポリビニルアセタール樹脂である場合、上記変性ポリビニルアセタール樹脂を作製する方法としては、例えば、酸変性基を有する単量体と酢酸ビニルとを共重合させることによって得られたポリ酢酸ビニルをケン化し得られたポリビニルアルコールをアセタール化する方法が挙げられる。また、未変性のポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂を後変性させることで酸変性基を導入してもよい。
すなわち、上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有するポリビニルアルコールのアセタール化物であってもよく、無変性のポリビニルアルコールのアセタール化物に酸変性基を導入したものであってもよい。
上記酸変性基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、メチレンマロン酸、イタコン酸、2-メチレングルタル酸、2-メチレンアジピン酸、2-メチレンセバシン酸等のジカルボン酸、無水マレイン酸等やその金属塩が挙げられる。
上記アセタール化は、公知の方法を用いることができ、水溶媒中、水と水との相溶性のある有機溶媒との混合溶媒中、あるいは有機溶媒中で行うことが好ましい。
上記水との相溶性のある有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤を用いることができる。
上記有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤、芳香族有機溶剤、脂肪族エステル系溶剤、ケトン系溶剤、低級パラフィン系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤、アミン系溶剤等が挙げられる。
上記アルコール系有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール等が挙げられる。
上記芳香族有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸メチル等が挙げられる。
上記脂肪族エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
上記低級パラフィン系溶剤としては、ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、デカン等が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
上記アミド系溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルテセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトアニリド等が挙げられる。
上記アミン系溶剤としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n-ブチルアミン、ジn-ブチルアミン、トリn-ブチルアミン、アニリン、N-メチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン等が挙げられる。
これらは、単体で用いることもできるし、2種以上の溶媒を混合で用いることもできる。これらのなかでも、樹脂に対する溶解性及び精製時の簡易性の観点から、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
上記アセタール化は、酸触媒の存在下において行うことが好ましい。
上記酸触媒は特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
上記アセタール化に用いられるアルデヒドとしては、炭素数1~10の鎖状脂肪族基、環状脂肪族基又は芳香族基を有するアルデヒドが挙げられる。これらのアルデヒドとしては、従来公知のアルデヒドを使用できる。上記アセタール化反応に用いられるアルデヒドは、特に限定されるものではなく、例えば、脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド等が挙げられる。
上記脂肪族アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-エチルヘキシルアルデヒド、n-ヘプチルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、アミルアルデヒド等が挙げられる。
上記芳香族アルデヒドとしては、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド、3-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β-フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。
これらのアルデヒドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。アルデヒドとしては、なかでも、アセタール化反応性に優れ、生成する樹脂に充分な内部可塑効果をもたらし、結果として良好な柔軟性を付与することができるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、2-エチルヘキシルアルデヒド、n-ノニルアルデヒドが好ましい。また、耐衝撃性及び金属との接着性に特に優れる接着剤組成物を得られることから、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドがより好ましい。
上記アルデヒドの添加量としては、目的とするポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量にあわせて適宜設定することができる。特に、ポリビニルアルコール100モル%に対して、60~95モル%、好ましくは65~90モル%とすると、アセタール化反応が効率よく行われ、未反応のアルデヒドも除去しやすいため好ましい。
本発明のエポキシ接着剤組成物において、上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、エポキシ樹脂100重量部に対する好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が1重量部以上であると、接着剤として用いた際に高い強靭性を発揮することができる。上記含有量が50重量部以下であると、高い接着性を発揮することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、より好ましい下限が5重量部、より好ましい上限が30重量部である。
本発明のエポキシ接着剤組成物は、エポキシ樹脂を含有する。
上記エポキシ樹脂を含有することで、加熱等によりエネルギーを印加することで架橋させることが可能となり、高い接着性を実現することができる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、芳香族系エポキシ樹脂、複素環系エポキシ樹脂及び脂肪族系エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記芳香族系エポキシ樹脂としては、多価フェノール類のグリシジルエーテル及びグリシジルエステル、グリシジル芳香族ポリアミン、フェノキシ樹脂、tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記多価フェノール類のグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記多価フェノール類のグリシジルエステルとしては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
上記グリシジル芳香族ポリアミンとしては、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジフェニルメタンジアミン等が挙げられる。
複素環系エポキシ樹脂としては、トリグリシジルイソシアネート、トリグリシジルメラミン等が挙げられる。
脂肪族系エポキシ樹脂としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル、多価脂肪酸のグリシジルエステル等が挙げられる。
脂肪族アルコールのグリシジルエーテルとしては、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価脂肪酸のグリシジルエステルとしては、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらのエポキシ樹脂のなかでも、接着力を向上させる観点から、芳香族系エポキシ樹脂を用いることが好ましく、芳香族系エポキシ樹脂と脂肪族系エポキシ樹脂とを用いることがより好ましい。
上記エポキシ樹脂のエポキシ当量(エポキシ基1つ当たりの分子量)は、好ましい下限が90、好ましい上限が700である。
上記エポキシ当量が上記好ましい下限以上であると、硬化不良を起こしにくく、機械的強度を充分に向上させることができる。上記エポキシ当量が上記好ましい上限以下であると、架橋点間分子量が低下し、耐熱性を向上させることができる。
上記エポキシ当量のより好ましい下限は100、より好ましい上限は600である。
なお、上記エポキシ樹脂が複数の異なるエポキシ樹脂を含有する場合、上記エポキシ当量は、各エポキシ樹脂のエポキシ当量及び配合割合の積を合計することで算出することができる。
上記エポキシ樹脂の分子量は、好ましい下限が100、好ましい上限が5500である。
上記分子量が100以上であると、架橋体の機械的強度や耐熱性を充分に向上させることができる。上記分子量が5500以下であると、架橋体が剛直になりすぎることがなく、充分な強度を有するものとすることができる。
上記分子量のより好ましい下限は200、より好ましい上限は1000である。
本発明のエポキシ接着剤組成物において、上記エポキシ樹脂の含有量は、好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が99.5重量%である。
上記エポキシ樹脂の含有量が0.5重量%以上であると、接着性をより向上させることができる。上記含有量が99.5重量%以下であると、強靭性を向上させることができる。
上記エポキシ樹脂の含有量は、より好ましい下限が1.0重量%、より好ましい上限が90.0重量%である。
本発明のエポキシ接着剤組成物において、上記芳香族系エポキシ樹脂の含有量と上記脂肪族系エポキシ樹脂の含有量との比(芳香族系エポキシ樹脂の含有量/脂肪族系エポキシ樹脂の含有量)は、50/50~99/1であることが好ましく、80/20~95/5であることがより好ましい。
本発明のエポキシ接着剤組成物中の上記エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の総数と上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれる水酸基の総数との比率(エポキシ基数/水酸基数)は18.2以下であることが好ましい。
上記比率が18.2以下であると多方向からの応力に対する耐性を高くすることができる。
多方向からの応力に対する耐性を更に高める観点から、上記比率は、好ましい下限が1、より好ましい下限が1.5、より好ましい上限が18.0である。
上記エポキシ基数は、本発明のエポキシ接着剤組成物中のエポキシ樹脂の含有量、及び、エポキシ当量に基づいて算出することができる。
また、上記水酸基数は、上記式(1-2)で表される水酸基を有する構成単位を構成する水酸基の数を意味し、本発明のエポキシ接着剤組成物中のポリビニルアセタール樹脂の含有量、ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度、各構成単位の分子量、各構成単位の含有量に基づいて算出することができる。また、本発明のエポキシ接着剤組成物中のポリビニルアセタール樹脂の含有量、及び、水酸基当量に基づいて算出することができる。
本発明のエポキシ接着剤組成物中の上記エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の総数と上記変性ポリビニルアセタール樹脂に含まれる酸変性基の総数との比率(エポキシ基数/酸変性基数)は400以下であることが好ましい。
上記比率が400以下であると硬化性を向上させることができる。
上記比率は、好ましい下限が0、より好ましい下限が50、より好ましい上限が380である。
上記酸変性基数は、本発明のエポキシ接着剤組成物中のポリビニルアセタール樹脂の含有量、ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度、各構成単位の分子量、各構成単位の含有量に基づいて算出することができる。また、本発明のエポキシ接着剤組成物中のポリビニルアセタール樹脂の含有量、及び、酸変性基当量に基づいて算出することができる。
本発明のエポキシ接着剤組成物は、更に、上記ポリビニルアセタール樹脂、上記エポキシ樹脂の他に架橋剤を含んでもよい。
上記架橋剤としては、ハロヒドリン化合物、ハロゲン化合物、イソシアネート化合物、ビスアクリルアミド化合物、尿素化合物、グアニジン化合物、ジカルボン酸化合物、不飽和カルボン酸化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。
上記ハロヒドリン化合物としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。
上記ハロゲン化合物としては、1,2-ジクロロエタン、1,3-ジクロロプロパン等が挙げられる。
上記イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記ビスアクリルアミド化合物としては、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-エチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
上記尿素化合物としては、尿素、チオ尿素等が挙げられる。
上記グアニジン化合物としては、グアニジン、ジグアニド等が挙げられる。
上記ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、アジピン酸等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。
上記アルデヒド化合物としては、グリオキサール、グルタルアルデヒド、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、アジピンアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。
これらは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。これら架橋剤は、必要であれば、水やアルコールなどの有機溶媒に溶かして使用することもできる。
本発明のエポキシ接着剤組成物は、更に、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤を含んでもよい。
上記硬化剤としては、例えば、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、芳香族アミン化合物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。なかでも、ジシアンジアミドが好ましい。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。なかでも、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、イミダゾール化合物が好ましい。
本発明のエポキシ接着剤組成物中の上記硬化剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、より好ましい下限が1.0重量部、好ましい上限が100重量部、より好ましい上限が50重量部である。
本発明のエポキシ接着剤組成物中の上記硬化促進剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、より好ましい下限が1.0重量部、好ましい上限が30重量部、より好ましい上限が10重量部である。
本発明のエポキシ接着剤組成物において、上記硬化剤の含有量と上記硬化促進剤の含有量との比(硬化剤の含有量/硬化促進剤の含有量)は、0.5/2~20/2であることが好ましく、3/2~8/2であることがより好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、ケトン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、エステル類等が挙げられる。
上記ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等が挙げられる。
上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記エステル類としては、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酪酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
また、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等を用いることもできる。
本発明のエポキシ接着剤組成物中の上記有機溶剤の含有量は、好ましい上限が5.0重量%であり、0重量%であることが特に好ましい。
本発明のエポキシ接着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化促進剤、可塑剤、分散剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明のエポキシ接着剤組成物を架橋させる方法は、加熱による方法が挙げられる。加熱により熱硬化させる場合、加熱温度は特に限定されないが、50~170℃であることが好ましい。加熱温度が50℃以上であると、架橋を充分に進行させて強度を良好なものとすることができる。また、加熱温度が170℃以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。上記加熱温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は150℃である。
また、加熱時間も特に限定されないが、好ましい下限は5分間、好ましい上限は10時間である。加熱時間が5分間以上であると架橋を充分に進行させて、充分な強度を得ることができる。また、加熱時間が10時間以下であると上記ポリビニルアセタール樹脂の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。
本発明のエポキシ接着剤組成物は、通常のポリビニルアセタール樹脂が使用されている用途に好適に用いることができ、例えば、セラミック成形体、金属ペースト、熱現像性感光材料、塗料、インキ、反射シート等を製造するための塗工溶液を得ることができる。また、ディスプレイ向けフィルム用接着剤、セラミック積層体の電子材料用接着剤、自動車、建築物等の構造接着剤等の接着剤に使用することができる。
本発明によれば、異種材料の接着に用いた際の剥がれを抑制することができ、多方向からの応力に対する耐性が高く、また、塗工時の形状保持性に優れたエポキシ接着剤組成物を提供することができる。
多軸応力耐性の測定に用いる試験片の模式図である。 多軸応力耐性の測定方法を示す模式図である。 多軸応力耐性の測定方法を示す模式図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)
ポリビニルアルコール200gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。その後、ろ過フィルター(目開き10μm)を通し、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
なお、上記ポリビニルアルコールとしては、平均重合度400、ケン化度97.7モル%、上記式(2-4)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(2-4)中、Rが単結合、Xが水素原子、Rがメチレン基、Xが水素原子)を0.7モル%含有するポリビニルアルコールを用いた。
(ポリビニルアセタール樹脂の調製)
得られた水溶液2000gを40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸150gとアセトアルデヒド270gとブチルアルデヒド36gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO-D(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C-NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(2-4)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(含有量:0.7モル%)を含有することが確認できた。なお、13C-NMRを用いて測定したアセタール基量(アセトアセタール基量及びブチラール基量)、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)
得られたポリビニルアセタール樹脂10g、エポキシ樹脂100g、硬化剤として1,3-BAC(1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、三菱ガス化学社製)3gを添加し、ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂とを重量比10:100で混合した接着剤組成物を作製した。
なお、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EXA-830LVP、エポキシ当量160)、tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル(ADEKA社製、ED-509S、エポキシ当量206)を用い、それぞれ表2に示す量を添加した。
得られた接着剤組成物を離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗工し、125℃で乾燥することで樹脂シートを作製した。
(実施例2)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度300、ケン化度98.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例3)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度310、ケン化度97.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてアセトアルデヒド50gとブチルアルデヒド150gとを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例4)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度1900、ケン化度88.0モル%、上記式(2-4)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(2-4)中、Rが単結合、Xが水素原子、Rがメチレン基、Xが水素原子)を0.7モル%含有するポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてアセトアルデヒド80gとブチルアルデヒド55gとを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例5)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度1920、ケン化度97.5モル%、上記式(2-4)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(2-4)中、Rが単結合、Xが水素原子、Rがメチレン基、Xが水素原子)を0.7モル%含有するポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてアセトアルデヒド180gとブチルアルデヒド6gとを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例6)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度800、ケン化度95.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてブチルアルデヒド210gを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例7)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度830、ケン化度97.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてブチルアルデヒド190gを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例8)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度1700、ケン化度97.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてブチルアルデヒド145gを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例9)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度300、ケン化度97.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてブチルアルデヒド170gを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例10)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、エポキシ樹脂として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に代えてポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、EX-920、エポキシ当量176)を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例11)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、液温を45℃に保持してアセタール化反応を行った以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例12)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、液温を50℃に保持してアセタール化反応を行った以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例13)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、アルデヒドとしてアセトアルデヒド300gとブチルアルデヒド36gとを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例14)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度1000、ケン化度95.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてブチルアルデヒド450gを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例15)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度1500、ケン化度99.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてブチルアルデヒド360gを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例16)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度2000、ケン化度99.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてアセトアルデヒド315gとブチルアルデヒド8gとを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例1)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度800、ケン化度98.5モル%、上記式(2-4)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(2-4)中、Rが単結合、Xが水素原子、Rがメチレン基、Xが水素原子)を0.1モル%含有するポリビニルアルコールを用いた。また、ろ過フィルターを通さなかった以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてブチルアルデヒド200gを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例2)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度400、ケン化度97.5モル%のポリビニルアルコールを用い、ろ過フィルターを通さなかった以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてアセトアルデヒド200gとブチルアルデヒド15gとを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例3)
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、ポリビニルアセタール樹脂を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例4)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、ビスフェノールF型エポキシ樹脂に代えてエチレングリコールジグリシジルエーテル(DIC社製、エポキシ当量113)を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例5)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、アルデヒドとしてアセトアルデヒド240gとブチルアルデヒド36gとを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製において)、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例6)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度400、ケン化度98.5モル%、上記式(2-4)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(2-4)中、Rが単結合、Xが水素原子、Rがメチレン基、Xが水素原子)を0.1モル%含有するポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてブチルアルデヒド180gを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例7)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度500、ケン化度98.0モル%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてブチルアルデヒド400gを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例8)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ポリビニルアルコールとして、平均重合度800、ケン化度98.0モル%、上記式(2-4)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(2-4)中、Rが単結合、Xが水素原子、Rがメチレン基、Xが水素原子)を0.4モル%含有するポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用い、アルデヒドとしてアセトアルデヒド30gとブチルアルデヒド380gとを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例9)
(原料ポリビニルアルコール水溶液の調製)において、ろ過フィルターを通さなかった以外は実施例1と同様にして、原料ポリビニルアルコール水溶液を得た。
また、(ポリビニルアセタール樹脂の調製)において、得られた原料ポリビニルアルコール水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
(エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートの作製)において、得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして、エポキシ接着剤組成物及び樹脂シートを作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られたポリビニルアセタール樹脂、エポキシ接着剤組成物、樹脂シートについて以下の評価を行った。結果を表1~3に示した。
(1)半値幅の確認
実施例及び比較例で得られたポリビニルアセタール樹脂について、HORIBA FT-720(堀場製作所社製)を用いてIR測定を行った。IR測定の結果から、ポリビニルアセタール樹脂における水酸基の半値幅、アセタール基の半値幅、酸変性基の半値幅を求め、(水酸基の半値幅/アセタール基の半値幅)及び(水酸基の半値幅/酸変性基の半値幅)を算出した。
(2)ゲル分率
樹脂シートのサンプル約0.1g(w1)に、トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒40gを加え、24時間撹拌させることによって、再溶解させ、あらかじめ質量を測定した200メッシュのステンレス金網(w2)で固液分離を行う。その後ステンレス金網を取り出し、100℃、1時間真空乾燥して質量(w3)を測定し,以下の計算式でゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)={(w3-w2)/w1}×100
得られたゲル分率について、以下の基準で評価した。
なお、ゲル分率が高い場合、硬化性に優れているといえる。
◎:99%以上
○:90%以上、99%未満
△:50%以上、90%未満
×:50%未満
(3)貯蔵安定性
トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒90gに接着剤組成物10gを加え溶解し、溶液サンプルを作製する。得られた溶液サンプルについて、B型粘度計を用いて、溶液サンプル作製直後と一か月後の粘度を測定し、溶液粘度の変化率を確認し、以下の基準で評価した。
◎:10%未満
○:10%以上、40%未満
△:40%以上、70%未満
×:70%以上
(4)引張弾性率、伸度
得られた樹脂シートをPETフィルムから剥離し、剥離したシートについて、JIS K 7113に準拠した方法により、AUTOGRAPH(AGS-J、島津製作所社製)を用いて引張速度20mm/分の条件にて引張弾性率(GPa)、伸度(%)を測定した。
(5)塗工後形状安定性
得られた接着剤組成物をニッケル基材上に1滴滴下した。滴下後の接着剤組成物の形状安定性を液滴径の変化率により評価した。
なお、液滴径の変化率が小さいほど、形状安定性に優れているといえる。
◎:10%未満
〇:10%以上、40%未満
△:40%以上、70%未満
×:70%以上
(6)多軸応力耐性
厚さ2mm×幅10mm×長さ250mmの基材の中央部(幅5mm、長さ75mmの位置の塗工部)に、得られた接着剤組成物を0.2g滴下し、厚さが200μmとなるように塗工した。更に、基材上の接着剤組成物が塗工された部分に、同様の形状の基材を図1のように配置して貼り合わせ、80℃で30分間加熱することにより接着剤組成物を硬化させて、試験片を作製した。
得られた試験片を図2に示すようにスロープで固定し、図3に示す方向に引張り速度1.5mm/秒の条件で引張試験機(島津製作所社製、AUTOGRAPH AGS-J)を用いて引っ張り、破断時の負荷を測定することにより、多軸応力耐性を評価した。
なお、基材としては、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン基材、ガラス基材、Au基材、Cu基材、Ni基材を用いた。
(7)ダイシェア強度
基材上に、接着面積が3mm×3mmになるように得られた接着剤組成物を塗布し、3mm角のSiチップを載せて、テストサンプルを得た。
得られたテストサンプルを150℃で2時間加熱し、接着剤組成物を硬化させた。次に、ダイシェアテスター(アークテック社製「DAGE 4000」)を用いて、300μm/秒の速度で、25℃でのダイシェア強度を測定した。
なお、基材としては、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン基材、ガラス基材、Au基材、Cu基材、Ni基材を用いた。
(8)耐衝撃性
得られた接着剤組成物を型に流し込み、170℃で30分間加熱することにより樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物について、JIS K 7111に準拠した方法により、デジタル衝撃試験機DG-UB型(東洋精機製作所社製)を用いてシャルピー衝撃試験を行い、樹脂硬化物を破壊させたときのシャルピー衝撃値を測定することにより、耐衝撃性を評価した。
(9)耐溶剤性
得られた接着剤組成物をアルミシート上に厚みが50μmとなるように塗布して、シートを作製した。
得られたシートをエタノール/トルエン混合溶剤(重量比1:1)に24時間浸漬し、浸漬前後の接着剤組成物の重量から下記式により重量変化率(%)を算出し、以下の基準で評価した。
重量変化率(%)=[(浸漬前の接着剤組成物の重量)-(浸漬後の接着剤組成物の重量)]/(浸漬前の接着剤組成物の重量)×100
◎:重量変化率が5%以下であった。
〇:重量変化率が5%を超え、15%以下であった。
△:重量変化率が15%を超え、25%以下であった。
×:重量変化率が25%を超えていた。
Figure 0007372847000003
Figure 0007372847000004
Figure 0007372847000005
本発明によれば、異種材料の接着に用いた際の剥がれを抑制することができ、多方向からの応力に対する耐性が高く、また、塗工時の形状保持性に優れたエポキシ接着剤組成物を提供することができる。
1 基材
2 塗工部
3 スロープ

Claims (10)

  1. IR測定により定量した水酸基の半値幅とアセタール基の半値幅との比率(水酸基の半値幅/アセタール基の半値幅)が1.3~2.5であるポリビニルアセタール樹脂と、エポキシ樹脂とを含有し、
    エポキシ基の総数と水酸基の総数との比率(エポキシ基数/水酸基数)が18.2以下であることを特徴とするエポキシ接着剤組成物。
  2. ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ接着剤組成物。
  3. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、IR測定により定量した水酸基の半値幅と酸変性基の半値幅との比率(水酸基の半値幅/酸変性基の半値幅)が13.0以下であることを特徴とする請求項2記載のエポキシ接着剤組成物。
  4. 酸変性基がカルボキシル基であることを特徴とする請求項2又は3記載のエポキシ接着剤組成物。
  5. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有する構成単位を側鎖に有することを特徴とする請求項2、3又は4記載のエポキシ接着剤組成物。
  6. 変性ポリビニルアセタール樹脂における酸変性基を有する構成単位の含有量が0.01~10モル%であることを特徴とする請求項2、3、4又は5記載のエポキシ接着剤組成物。
  7. ポリビニルアセタール樹脂は全アセタール基量が60~90モル%であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のエポキシ接着剤組成物。
  8. ポリビニルアセタール樹脂は、平均重合度が150~4500であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のエポキシ接着剤組成物。
  9. ポリビニルアセタール樹脂における、ブチラール基量とアセトアセタール基量との比率(ブチラール基量:アセトアセタール基量)が4:6~0:10であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のエポキシ接着剤組成物。
  10. 電子材料用接着剤であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のエポキシ接着剤組成物。
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