JP2018203928A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属及び難被着ポリマーへの接着性に優れるとともに、硬化物のせん断接着力及び剥離接着力の両方に優れる硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリビニルアセタール樹脂、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基含有化合物、及び、エポキシ硬化剤を含有し、硬化させた後に海島相分離構造を有し、前記海島相分離構造中の島成分の平均分散径が0.5〜10μmである硬化性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、金属及び難被着ポリマーへの接着性に優れるとともに、硬化物のせん断接着力及び剥離接着力の両方に優れる硬化性樹脂組成物に関する。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールを原料として合成される樹脂であり、側鎖にアセチル基と水酸基、そしてアセタール基を有することによって、優れた強靭性、接着性、架橋性、吸湿性を発現することができる。また、側鎖基の比率を変化させることによって樹脂物性を変化させることが可能となる。このような特性を利用して自動車用合わせガラス中間膜やセラミックグリーンシート等幅広い用途に使用されている。
現在、ポリビニルアセタール樹脂の側鎖に、アセチル基、水酸基、アセタール基以外の官能基を導入することによって、樹脂物性の向上を図ることや、新たな機能発現を目指す試みが進められている。
しかしながら、ポリビニルアセタール樹脂は、金属材料との接着力が充分ではないという問題があった。また、硬化時の加熱処理を行った際に、金属材料との収縮率の差により、反りや剥離等が生じる原因となっていた。
これに対して、特許文献1及び2には、ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂を用いた接着剤が記載されているが、これらの接着剤は、金属との接着性を向上させることができるものの、液晶ポリマーやポリフタルアミド等の耐熱性には優れるが接着性に劣る難被着ポリマーとの接着性を向上させることができないという問題があった。
特開2016−188272号公報 特開2016−191046号公報
本発明は、上記現状に鑑み、金属及び難被着ポリマーへの接着性に優れるとともに、硬化物のせん断接着力及び剥離接着力の両方に優れる硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基含有化合物、及び、エポキシ硬化剤を含有し、硬化させた後に海島相分離構造を有し、前記海島相分離構造中の島成分の平均分散径が0.5〜10μmである硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリビニルアセタール樹脂、特定のエポキシ化合物及びエポキシ硬化剤を含有する樹脂組成物であって、硬化後に特定の構造を形成する樹脂組成物とすることにより、金属及び難被着ポリマーへの接着性をともに向上させ、硬化後の剥離を抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリビニルアセタール樹脂を含有する。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、下記式(1−1)で表されるアセタール基を有する構成単位、下記式(1−2)で表される水酸基を有する構成単位及び下記式(1−3)で表されるアセチル基を有する構成単位を有する。
Figure 2018203928
上記式(1−1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
上記Rとしては、水素原子、又は、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
上記炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、式(1−1)中、Rがプロピル基である構成単位を有するポリビニルブチラール樹脂を含有することがより好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、上記アセタール基を有する構成単位の含有量(以下、アセタール基量ともいう)の好ましい下限が60モル%、好ましい上限が90モル%である。上記アセタール基量が60モル%以上であると、沈殿法による合成工程においてポリビニルアセタール樹脂を充分に析出させることができる。また、アセタール基量が90モル%以下であると、エポキシ化合物との相溶性を良好なものとすることができる。上記アセタール基量は、より好ましい下限が65モル%、より好ましい上限が85モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、上記水酸基を有する構成単位の含有量(以下、水酸基量ともいう)の好ましい下限が15モル%、好ましい上限が35モル%である。上記水酸基量が15モル%以上であると、ポリビニルアセタール樹脂の強靱性を充分に高めることができ、得られる架橋体の強度が良好なものとなる。また、上記水酸基量が35モル%以下であると、ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなりすぎることがなく、得られる架橋体のひび割れ等の不具合を抑制して、剥離性を良好なものとすることができる。上記水酸基量のより好ましい下限は17モル%、より好ましい上限が30モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、上記アセチル基を有する構成単位の含有量(以下、アセチル基量ともいう)の好ましい下限が0.0001モル%、好ましい上限が15モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は特に限定されないが、好ましい下限が500である。好ましい上限が4500である。上記ポリビニルアセタール樹脂の重合度が500以上であると、充分な粘度を有するエポキシ接着剤組成物を得ることができる。上記ポリビニルアセタール樹脂の重合度が4500以下であると、塗工して使用する用途で塗工性を良好なものとしてハンドリングを向上することができる。また、接着力をより向上させることができる。
上記平均重合度は、より好ましい下限が600、より好ましい上限が4000である。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位及び/又は酸変性基を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することが好ましい。
このような変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することで、エポキシ化合物と併用した場合に、エポキシ化合物との間で架橋構造を形成することができる。このため、架橋後に得られる架橋体は、高い機械的強度を有しつつ、適度な弾性を有するものとなる。更に、硬化収縮を緩やかにして、異種材料の接着に用いた際、それぞれの材料の収縮率の差に起因する反りや接着部分の剥離を抑制することができる。
本発明において、上記イミン構造とは、C=N結合を有する構造を意味する。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記イミン構造又は上記酸変性基は、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
また、上記イミン構造を有する構成単位及び/又は酸変性基を有する構成単位を側鎖に有することが好ましい。
上記イミン構造を有する構成単位としては、例えば、下記式(2)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2018203928
式(2)中、Rは、単結合、又は、アルキレン基を表し、Rは、イミン構造を有する基を表す。
上記式(2)中、Rがアルキレン基である場合、該アルキレン基の炭素数の好ましい下限は1、好ましい上限は12である。上記アルキレン基の炭素数が12を超えると、最適な強度が得られないことがある。上記Rがアルキレン基である場合、上記アルキレン基の炭素数のより好ましい上限は5である。
上記式(2)中、Rがアルキレン基である場合、該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基等の直鎖状アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基がより好ましい。
上記Rとしては、下記式(3)に示す官能基が挙げられる。
Figure 2018203928
式(3)中、Rは水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。
上記炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族系炭化水素基等が挙げられる。なお、上記炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族系炭化水素基のみからなるものであってもよく、これらが2種以上用いられたものであってもよい。
上記飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましい。
上記芳香族系炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記イミン構造を有する構成単位中、Rが単結合、Rが水素原子、メチル基又はエチル基、Rがメチル基又はエチル基であることが好ましい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位の含有量の好ましい下限が0.1モル%、好ましい上限が20.0モル%である。
上記イミン構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%以上であると、経時粘度安定性が良好なものとなる。上記イミン構造を有する構成単位の含有量が20.0モル%以下であると、アセタール化を充分に進行させることができる。上記イミン構造を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は1.0モル%、より好ましい上限は15.0モル%である。上記イミン構造を有する構成単位の含有量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記酸変性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、マレイン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、及び、それらの塩等が挙げられる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂が上記酸変性基を有する構成単位を有することにより、エポキシ樹脂との相溶性を向上させて、高い機械的強度を実現することができる。
上記カルボキシル基を有する構成単位としては、例えば、下記式(4−1)で表される構成単位、下記式(4−2)で表される構成単位、及び、下記式(4−3)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2018203928
上記式(4−1)中、Rは、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基、Xは水素原子、金属原子又はメチル基を表す。
上記Rとしては、単結合、又は、炭素数1〜5のアルキレン基であることが好ましく、単結合、又は、炭素数1〜3のアルキレン基であることがより好ましい。
上記炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基がより好ましい。
上記金属原子としては、ナトリウム原子、リチウム原子、カリウム原子等が挙げられる。なかでも、ナトリウム原子が好ましい。
上記式(4−2)中、R及びRはそれぞれ独立して、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。
上記炭素数1〜10のアルキレン基としては、上記式(4−1)中、Rと同様のものが挙げられる。
上記金属原子としては、上記式(4−1)中、Xと同様のものが挙げられる。
上記式(4−3)中、R及びR10はそれぞれ独立して、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。
上記炭素数1〜10のアルキレン基としては、上記式(4−1)中、Rと同様のものが挙げられる。
上記金属原子としては、上記式(4−1)中、Xと同様のものが挙げられる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有する構成単位の含有量の好ましい下限が0.01モル%、好ましい上限が5.0モル%である。
上記酸変性基を有する構成単位の含有量が0.01モル%以上であると、エポキシ樹脂との硬化性に優れたものとすることができる。上記酸変性基を有する構成単位の含有量が5.0モル%以下であると、貯蔵安定性を向上させることができる。上記酸変性基を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は0.05モル%、より好ましい上限が3.0モル%である。上記酸変性基を有する構成単位の含有量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、更に、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を含むものであってもよい。上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有することで、エポキシ化合物との架橋構造の形成が更に容易となる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、更に、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を含むことが好ましい。上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有することで、上記エポキシ樹脂との架橋構造の形成が更に容易となる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、上記アミノ基又はアミド構造を側鎖に有することが好ましい。また、上記アミノ基又はアミド構造は、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合してもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。更に、上記アミノ基は第一級アミンでもよく、第二級アミンでもよい。
なお、上記アミノ基又はアミド構造を側鎖に有するとは、上記アミノ基又はアミド構造を変性ポリビニルアセタール樹脂のグラフト鎖に有することを意味する。
特に、上記アミノ基は、−NHであることが好ましい。
なお、本発明において、アミド構造とは、−C(=O)−NH−を有する構造をいう。
なかでも、上記アミノ基を有する構成単位は、下記式(5)に示す構造であることが好ましい。
また、上記アミド構造を有する構成単位は、下記式(6)に示す構造であることが好ましい。
Figure 2018203928
Figure 2018203928
式(6)中、R11は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
なお、上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基が挙げられる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量の好ましい下限が0.1モル%、好ましい上限が20モル%である。
上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%以上であると、付加特性を充分なものとすることができる。上記含有量が20モル%以下であると、溶解性が上がりすぎることがなく、沈殿法による変性ポリビニルアセタール樹脂粉末の取り出しが容易となる。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。なお、上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量はNMR等で測定可能である。
また、上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位と、イミン構造を有する構成単位とを合計した含有量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂を作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコールをアセタール化する方法等が挙げられる。
上記アセタール化は、公知の方法を用いることができ、水溶媒中、水と水との相溶性のある有機溶媒との混合溶媒中、あるいは有機溶媒中で行うことが好ましい。
上記水との相溶性のある有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤を用いることができる。
上記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系有機溶剤;キシレン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸メチル等の芳香族有機溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等の脂肪族エステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤;ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、デカン等の低級パラフィン系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルテセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトアニリド等のアミド系溶剤、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、ジn−ブチルアミン、トリn−ブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン等のアミン系溶剤等が挙げられる。これらは、単体で用いることもできるし、2種以上の溶媒を混合で用いることもできる。これらのなかでも、樹脂に対する溶解性及び精製時の簡易性の観点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
上記アセタール化に用いられるアルデヒドとしては、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、環状脂肪族基又は芳香族基を有するアルデヒドが挙げられる。これらのアルデヒドとしては、従来公知のアルデヒドを使用できる。上記アセタール化反応に用いられるアルデヒドは、特に限定されるものではなく、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクテルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、アミルアルデヒド、等の脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等の芳香族アルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、アセタール化反応性に優れ、生成する樹脂に充分な内部可塑効果をもたらし、良好な柔軟性を付与することができるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ノニルアルデヒドが好ましく、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドがより好ましい。
上記アルデヒドの添加量としては、目的とする変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量にあわせて適宜設定することができる。上記アルデヒドの添加量としては、目的とする変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量にあわせて適宜設定すればよい。特に、ポリビニルアルコール100モル%に対して、60〜95モル%、好ましくは65〜90モル%とすると、アセタール化反応が効率よく行われ、未反応のアルデヒドも除去しやすいため好ましい。
上記アセタール化は、酸触媒の存在下において行うことが好ましい。
上記酸触媒は特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
上記酸変性基を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を作製する方法としては、例えば、酸変性基を有する単量体と酢酸ビニルとを共重合させることによって得られたポリ酢酸ビニルをケン化し得られたポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法が挙げられる。また、未変性のポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化して得られたポリビニルアセタール樹脂を後変性させることで酸変性基を導入してもよい。
すなわち、上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有するポリビニルアルコールのアセタール化物であってもよく、無変性のポリビニルアルコールのアセタール化物に酸変性基を導入したものであってもよい。
上記酸変性基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、メチレンマロン酸、イタコン酸、2−メチレングルタル酸、2−メチレンアジピン酸、2−メチレンセバシン酸等のジカルボン酸、無水マレイン酸等やその金属塩が挙げられる。
上記イミン構造を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を作製する方法としては、例えば、上記イミン構造を有する単量体と、酢酸ビニルとを共重合させることによって得られたポリ酢酸ビニルをケン化し得られたポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法が挙げられる。また、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化することでイミン構造を導入する方法を用いてもよい。アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを後変性して得られたイミン構造を有する変性ポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法を用いてもよい。
更に、未変性のポリビニルアセタール樹脂を後変性させることでイミン構造を導入してもよい。
すなわち、上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有するポリビニルアルコールのアセタール化物であってもよい。
これらのなかでは、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールをアセタール化してなることでイミン構造を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を得る方法が好ましい。特に、このような方法を用いる場合、アセタール化に使用するアルデヒド、酸触媒の量を過剰に添加することでイミン構造を得ることが出来る。
例えば、酸触媒を全体の1.0重量%以上添加することが好ましい。
なお、このような方法を用いる場合において、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位を確認する方法としては、例えば、FT−IRを用いて、アミノ基のスペクトル(1600cm−1付近)を確認する方法や、13C−NMRを用いてイミン構造のスペクトル(160〜170ppm)を確認する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が50.0重量%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が0.5重量%以上であると、接着剤として用いた際に高い強靭性を発揮することができる。上記含有量が50.0重量%以下であると、高い接着性を発揮することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、より好ましい下限が1.0重量%、より好ましい上限が40重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有する。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有することにより、剥離接着力を充分に向上させて、引き剥がしによる剥離を防止することができる。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。なかでも、グリシジルメタクリレートが好ましい。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、エポキシ当量(エポキシ基1つ当たりの分子量)の好ましい下限が120、好ましい上限が800である。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの分子量は、好ましい下限が120、好ましい上限が1500である。
本発明の硬化性樹脂組成物中、上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、好ましい下限が20重量%、好ましい上限が70重量%である。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量が、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、硬化後に海島相分離構造が形成されやすいものとし、また島成分の平均分散径を好適なものとして、難被着ポリマーに対する接着性をより向上させることができる。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、より好ましい下限が30重量%、より好ましい上限が50重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量と上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量との比(ポリビニルアセタール樹脂の含有量/グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量)は、好ましい下限が0.1、より好ましい下限が0.4、好ましい上限が2、より好ましい上限が1である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ基含有化合物を含有する。
本発明において、上記エポキシ基含有化合物は、上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外のエポキシ基を有する化合物を意味する。
上記エポキシ基含有化合物を含むことにより、硬化後に海島相分離構造を形成されやすいものとして、難被着ポリマーに対する接着性をより向上させることができる。
上記エポキシ基含有化合物としては、単官能エポキシ化合物、2官能エポキシ化合物、3官能以上のエポキシ化合物等が挙げられ、単官能エポキシ化合物及び2官能エポキシ化合物が好ましく、2官能エポキシ化合物がより好ましい。
上記単官能エポキシ化合物としては、脂肪族系エポキシ化合物、芳香族系エポキシ化合物等が挙げられる。
上記脂肪族系エポキシ化合物としては、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル等の脂肪族アルコールのグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記芳香族系エポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記2官能エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、2官能のナフタレン型エポキシ樹脂、1,3−ビス(オキシシラニルメトキシ)ベンゼン等の2官能の芳香族系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル等の2官能の脂環式エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ダイマー酸ジグリシジルエステル等の2官能のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン等の2官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、2官能の複素環式エポキシ樹脂、2官能のジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル等のヒドロキノン型エポキシ樹脂、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ブテンジオールジグリシジルエーテル、ブチンジオールジグリシジルエーテル等の2官能のアルキレングリシジルエーテル系化合物、1,3−ジグリシジル−5,5−ジアルキルヒダントイン、1−グリシジル−3−(グリシドキシアルキル)−5,5−ジアルキルヒダントイン等の2官能のグリシジル基含有ヒダントイン化合物、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,β−ビス(3−グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン等の2官能のグリシジル基含有シロキサン、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、これらの変性物等が挙げられる。これらの2官能エポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、反応性及び作業性の点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、1,3−ビス(オキシシラニルメトキシ)ベンゼン等の2官能の芳香族系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル等の2官能の脂環式エポキシ樹脂が好適である。
上記3官能以上のエポキシ化合物としては、例えば、3官能以上のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等の3官能以上の芳香族系エポキシ樹脂、3官能以上の脂環式エポキシ樹脂、3官能以上のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェニルメタン、トリグリシジル−m−アミノフェニルメタン、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン等の3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、3官能以上の複素環式エポキシ樹脂、3官能以上のジアリールスルホン型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の3官能以上のアルキレングリシジルエーテル系化合物、3官能以上のグリシジル基含有ヒダントイン化合物、3官能以上のグリシジル基含有シロキサン、これらの変性物等が挙げられる。これらの3官能以上のエポキシ化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有化合物は、エポキシ当量(エポキシ基1つ当たりの分子量)の好ましい下限が100、好ましい上限が600である。
上記エポキシ基含有化合物の分子量は、好ましい下限が100、好ましい上限が1700である。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量と上記エポキシ基含有化合物の含有量との比(グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量/エポキシ基含有化合物の含有量)は、好ましい下限が1/7、より好ましい下限が1/3、好ましい上限が5/1、より好ましい上限が3/1である。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量と上記エポキシ基含有化合物の含有量との比、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、硬化後に海島相分離構造が形成されやすいものとして、難被着ポリマーに対する接着性をより向上させることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物中、上記エポキシ基含有化合物の含有量は、好ましい下限が10重量%、好ましい上限が70重量%である。
上記エポキシ基含有化合物の含有量が、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、難被着ポリマーに対する接着性をより向上させることができる。
上記エポキシ基含有化合物の含有量は、より好ましい下限が30重量%、より好ましい上限が50重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量と上記エポキシ基含有化合物の含有量との比(ポリビニルアセタール樹脂の含有量/エポキシ基含有化合物の含有量)は、好ましい下限が1/7、より好ましい下限が1/3、好ましい上限が4/1、より好ましい上限が2/1である。
本発明の硬化性樹脂組成物中、上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと上記エポキシ基含有化合物との合計含有量は、好ましい下限が40重量%、より好ましい下限が50重量%、好ましい上限が90重量%、より好ましい上限が80重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ硬化剤を含有する。
上記エポキシ硬化剤としては、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、グアニジン系硬化剤、チオール系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール系硬化剤が好ましい。
なお、エポキシ硬化剤がエポキシを重合させる前にラジカル重合性硬化剤を用いて反応させた場合には、ラジカル重合開始剤によりグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに含まれる(メタ)アクリル基のラジカル重合反応が先に進行するために、硬化後に海島相分離構造を形成されなくなる。
上記アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリエチレンポリアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メタキシリレンジアミン、ノルボルナンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、又は2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の含環アミン類等が挙げられる。
上記イミダゾール系硬化剤としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、又は1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。
上記グアニジン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、ビグアニド、又はn−ブチルグアニジン、グアニルチオウレア等が挙げられる。
上記チオール系硬化剤としては、例えば、トリス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールエタン(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリスブタンジオールビスチオグリコレート、ヘキサンジオールチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、又はペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート等が挙げられる。
上記フェノール樹脂系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。
上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、ヘキサヒドロ無水フタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物中、上記エポキシ硬化剤の含有量は、上記ポリビニルアセタール樹脂、上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び上記エポキシ基含有化合物の合計100重量部に対する好ましい下限が4.5重量部、好ましい上限が20重量部である。
上記エポキシ硬化剤の含有量が4.5重量部以上であると、硬化後に海島相分離構造が形成されやすいものとすることができ、島成分の分散径を好適な範囲に調整しやすいものとすることができる。
上記エポキシ硬化剤の含有量は、より好ましい下限が8重量部、より好ましい上限が15重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物中、上記エポキシ硬化剤の含有量は好ましい下限が5重量%、より好ましい下限が7重量%、好ましい上限が15重量%、より好ましい上限が13重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記ポリビニルアセタール樹脂、上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、上記エポキシ基含有化合物、上記エポキシ硬化剤の他に、更に、架橋剤、有機溶剤等を含んでいてもよい。
上記架橋剤としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等のハロヒドリン化合物;1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン等のハロゲン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド化合物;尿素、チオ尿素等の尿素化合物;グアニジン、ジグアニド等のグアニジン化合物;シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸化合物;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸化合物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル化合物;グリオキサール、グルタルアルデヒド、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、アジピンアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のジアルデヒド類を含むアルデヒド化合物等が挙げられる。これらは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。これら架橋剤は、必要であれば、水やアルコールなどの有機溶媒に溶かして使用することもできる。
上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等のエステル類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、上記有機溶剤の含有量は特に限定されないが、10.0重量%以下であることが好ましく、0重量%であることがより好ましい。
有機溶剤の含有量が10.0重量%以下であることにより、硬化阻害を起こしにくくすることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、分散剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化させた後に海島相分離構造を有する。
上記海島相分離構造が形成されることで、引き剥がし接着力に特に優れたものとすることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリビニルアセタール樹脂と、特定のエポキシ化合物、エポキシ硬化剤とを組み合わせて用いることにより、硬化させた後に海島相分離構造を形成することができる。
なお、上記海島相分離構造とは、連続相としてグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及びエポキシ基含有化合物の重合物中に、分散相としてのポリビニルアセタール樹脂を主成分とし、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及びエポキシ基含有化合物の重合物を含む樹脂混合物が分散した構造を意味する。
また、上記硬化性樹脂組成物を硬化させた後の硬化物が海島相分離構造を有することは、例えば、得られた硬化物をカミソリ刃やミクロトーム等を用いて切断し、切断面を透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡や原子間力顕微鏡を用いて観察する方法により確認することができる。また、示差走査熱量計によって得られるTgピーク、動的粘弾性測定によって得られるTanδピークが2峰となって現れること等により確認することができる。
なお、上記硬化させる方法は、加熱による方法が挙げられる。
加熱により熱硬化させる場合、加熱温度は特に限定されないが、50〜170℃であることが好ましい。加熱温度が50℃以上であると、架橋を充分に進行させて強度を良好なものとすることができる。また、加熱温度が170℃以下であると、硬化物の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。上記加熱温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は150℃である。
また、加熱時間も特に限定されないが、好ましい下限は5分間、好ましい上限は10時間である。加熱時間が5分間以上であると架橋を充分に進行させて、充分な強度を得ることができる。また、加熱時間が10時間以下であると上記硬化物の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させた後に形成される海島相分離構造において、島成分の平均分散径は、下限が0.5μm、上限が10μmである。
上記島成分の平均分散径が0.5μm以上であると、基材との接着性を向上させることができる。上記島成分の平均分散径が10μm以下であると、硬化物の強靭性を向上させることができる。
上記島成分の平均分散径は、好ましい下限が4μm、好ましい上限が6μmである。
なお、上記島成分の平均分散径は、例えば、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡観察により測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させた後に形成される海島相分離構造において、海成分と島成分との体積比は、1:6〜3:1であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、通常のポリビニルアセタール樹脂が使用されている用途に好適に用いることができ、例えば、セラミック成形体、金属ペースト、熱現像性感光材料、塗料、インキ、反射シート等を製造するための塗工溶液を得ることができる。また、ディスプレイ向けフィルム用接着剤、セラミック積層体の層間接着剤、自動車、建築物等の構造接着剤等の接着剤に使用することができる。
本発明によれば、金属及び難被着ポリマーへの接着性に優れるとともに、硬化物のせん断接着力及び剥離接着力の両方に優れる硬化性樹脂組成物を提供できる。
実施例1で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 実施例4で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した透過型電子顕微鏡写真である。 実施例7で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 実施例8で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 実施例8で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 実施例9で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 実施例10で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 実施例12で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真である。 比較例4で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した透過型電子顕微鏡写真である。 比較例5で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した透過型電子顕微鏡写真である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜13)
平均重合度650、鹸化度99モル%のポリビニルアルコール240gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸170gとn−ブチルアルデヒド275gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−D(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセタール基量を測定した。結果を表1に示す。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りに、ポリビニルアセタール樹脂、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基含有化合物及びエポキシ硬化剤を混合して硬化性樹脂組成物を作製した。
なお、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基含有化合物及びエポキシ硬化剤としては以下のものを用いた。
<グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル>
グリシジルメタクリレート(和光純薬工業社製、エポキシ当量142)
<エポキシ基含有化合物>
(単官能エポキシ化合物)
フェニルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、EX−141、エポキシ当量150)
4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル(ADEKA社製、ED−509S、エポキシ当量206)
(2官能エポキシ化合物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER828、エポキシ当量190)
ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル(ADEKA社製、EP4088L、エポキシ当量165)
1,3−ビス(オキシシラニルメトキシ)ベンゼン(ナガセケムテックス社製、EX−201、エポキシ当量222)
<エポキシ硬化剤>
2−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2MZ−H)
ポリアミン(ADEKA社製、EH6007)
ポリアミン(ADEKA社製、EH5057P)
ジシアンジアミド(日本カーバイド工業社製)
トリス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学社製)
(実施例14)
平均重合度240、鹸化度99モル%のポリビニルアルコール200gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間撹拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸150gとn−ブチルアルデヒド75gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−D(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセタール基量を測定した。結果を表1に示す。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、グリシジルメタクリレート、エポキシ基含有化合物、エポキシ硬化剤を添加した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
(実施例15)
平均重合度560、鹸化度99モル%のポリビニルアルコール200gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間撹拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸150gとアセトアルデヒド75gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−D(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセタール基量を測定した。結果を表1に示す。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、グリシジルメタクリレート、エポキシ基含有化合物、エポキシ硬化剤を添加した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
(実施例16)
平均重合度600、鹸化度99モル%、上記式(5)に示すアミノ基(−NH)を有する構成単位を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸170gとn−ブチルアルデヒド275gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、変性ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、下記式(7)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.7モル%、Rは水素原子、Rはn−ブチル基を表す)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定した水酸基量、アセタール基量を表1に示す。
Figure 2018203928
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、グリシジルメタクリレート、エポキシ基含有化合物、エポキシ硬化剤を添加した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
(実施例17)
平均重合度400、鹸化度99モル%、上記式(4−1)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(4−1)中、Rが単結合、Xが水素原子)を1.0モル%含有するポリビニルアルコール200gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間撹拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸150gとアセトアルデヒド75gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、変性ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−D(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(4−1)に示すカルボキシル基を有する構成単位(含有量:1.0モル%)を有することが確認できた。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、グリシジルメタクリレート、エポキシ基含有化合物、エポキシ硬化剤を添加した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
(比較例1、4〜7)
実施例1で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表2に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、グリシジルメタクリレート、エポキシ基含有化合物、エポキシ硬化剤を添加した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
(比較例2、3、8〜11)
表2に示す通りに、グリシジルメタクリレート、エポキシ基含有化合物、エポキシ硬化剤、及び、他の原料を添加した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
なお、他の原料としては以下のものを用いた。
<他の原料>
ポリメタクリル酸メチル(三菱レイヨン社製、アクリペットMF001)
酸化チタン粒子(テイカ社製、MT−05)
ブタジエンゴム粒子(三菱レイヨン社製、メタブレンE−901)
シランカップリング剤(信越シリコーン社製、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)
熱ラジカル硬化剤(日油社製、パーブチルPV(t−ブチルパーオキシピバレート))
<評価>
実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1、表2に示した。
(海島相分離構造の確認)
硬化性樹脂組成物を90℃で1時間加熱して硬化させ、硬化物を作製した。
得られた硬化物を、クライオミクロトーム(LEICA社製:UC7)を用いて厚さ70nmとなるように切り出し、測定サンプルとして用いた。具体的には、硬化物をトリミングした小片を2%オスミウム酸水溶液で、60℃で12時間染色した後に洗浄した。その後、硬化物の小片の温度を−20℃とし、厚さ方向の中央部分を、厚さ方向とは垂直方向に、クライオミクロトームを用いて切断し、更に厚さ70nmとなるように切り出して測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルの切断面を電子顕微鏡で観察することにより海島相分離構造の有無を確認した。
なお、実施例1〜4、7〜10及び12、比較例4及び5で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した電子顕微鏡写真を図1〜図12に示す。
(島成分の平均分散径の測定)
(海島相分離構造の確認)で得られた硬化物の切断面を透過型電子顕微鏡で観察し、島成分(分散相)200個の粒径を測定し、平均値を算出することにより、平均分散径を測定した。
(せん断接着強度)
2枚の試験片(長さ100mm、幅25mm、厚さ2.5mm)を用意し、1枚の試験片の一端部に直径6mm、厚さ0.3mmとなるように硬化性樹脂組成物を塗工し、他の試験片を25mm×25mmの面積で重なるように水平方向に重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体を90℃で1時間加熱することにより硬化させて試験体を得た。試験体の各試験片の一端部をグリップで把持してテンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製、RTC−1350A)を用いて、引張速度1mm/minで引っ張り、剥離した際の応力を算出することにより、せん断接着力(MPa)を測定し、以下の基準で評価した。
なお、試験片の材料としては、アルミニウム(A−1050P)、SPCC(SPCC−SD、脱脂処理済)、SUS(SUS304)、LCP(液晶ポリマー、JXエネルギー社製、サイダー SJ−503SJ)及びPPA(ポリフタルアミド、Solvey社製、アモデルAT−1002 HS)を用いた。
<アルミニウム>
◎:35MPa以上
〇:32MPa以上、35MPa未満
△:30MPa以上、32MPa未満
×:30MPa未満
<SPCC>
◎:30MPa以上
〇:27MPa以上、30MPa未満
△:25MPa以上、27MPa未満
×:25MPa未満
<SUS>
◎:28MPa以上
〇:25MPa以上、28MPa未満
△:23MPa以上、25MPa未満
×:23MPa未満
<LCP>
◎:11MPa以上
〇:8MPa以上、11MPa未満
△:6MPa以上、8MPa未満
×:6MPa未満
<PPA>
◎:10MPa以上
〇:7MPa以上、10MPa未満
△:5MPa以上、7MPa未満
×:5MPa未満
(十字剥離力)
2枚の試験片(長さ100mm、幅25mm、厚さ2.5mm)を用意し、1枚の試験片の中央部に直径6mm、厚さ0.3mmとなるように硬化性樹脂組成物を塗工し、他の試験片の中央部が25mm×25mmの面積で重なるように垂直方向に重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体を90℃で1時間加熱することにより硬化させて試験体を得た。試験体をテンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製、RTC−1350A)を用いて、圧縮試験にて5mm/minで引き剥がし、剥離した際の応力を算出することにより、十字剥離力(MPa)を測定し、以下の基準で評価した。
なお、試験片の材料としては、(せん断接着強度)と同様のものを用いた。
十字剥離力が高い場合、剥離接着力に優れているといえる。
<アルミニウム>
◎:8MPa以上
〇:6MPa以上、8MPa未満
△:5MPa以上、6MPa未満
×:5MPa未満
<SPCC>
◎:10MPa以上
〇:8MPa以上、10MPa未満
△:7MPa以上、8MPa未満
×:7MPa未満
<SUS>
◎:9MPa以上
〇:7MPa以上、9MPa未満
△:6MPa以上、7MPa未満
×:6MPa未満
<LCP>
◎:6MPa以上
〇:4MPa以上、6MPa未満
△:3MPa以上、4MPa未満
×:3MPa未満
<PPA>
◎:6MPa以上
〇:4MPa以上、6MPa未満
△:3MPa以上、4MPa未満
×:3MPa未満
Figure 2018203928
Figure 2018203928
本発明によれば、金属及び難被着ポリマーへの接着性に優れるとともに、硬化物のせん断接着力及び剥離接着力の両方に優れる硬化性樹脂組成物を提供できる。

Claims (10)

  1. ポリビニルアセタール樹脂、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基含有化合物、及び、エポキシ硬化剤を含有し、
    硬化させた後に海島相分離構造を有し、前記海島相分離構造中の島成分の平均分散径が0.5〜10μmであることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. エポキシ硬化剤が、イミダゾール系硬化剤であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. エポキシ基含有化合物は、2官能エポキシ化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
  4. グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量が30〜50重量%であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 海島相分離構造中の島成分の平均分散径が4〜6μmであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
  6. ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度が500以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の硬化性樹脂組成物。
  7. ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の硬化性樹脂組成物。
  8. ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の硬化性樹脂組成物。
  9. ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の硬化性樹脂組成物。
  10. 酸変性基が、カルボキシル基であることを特徴とする請求項9記載の硬化性樹脂組成物。
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