JP2018203928A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、ポリビニルアセタール樹脂は、金属材料との接着力が充分ではないという問題があった。また、硬化時の加熱処理を行った際に、金属材料との収縮率の差により、反りや剥離等が生じる原因となっていた。
以下に本発明を詳述する。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、下記式(1−1)で表されるアセタール基を有する構成単位、下記式(1−2)で表される水酸基を有する構成単位及び下記式(1−3)で表されるアセチル基を有する構成単位を有する。
上記R1としては、水素原子、又は、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、式(1−1)中、R1がプロピル基である構成単位を有するポリビニルブチラール樹脂を含有することがより好ましい。
上記平均重合度は、より好ましい下限が600、より好ましい上限が4000である。
このような変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することで、エポキシ化合物と併用した場合に、エポキシ化合物との間で架橋構造を形成することができる。このため、架橋後に得られる架橋体は、高い機械的強度を有しつつ、適度な弾性を有するものとなる。更に、硬化収縮を緩やかにして、異種材料の接着に用いた際、それぞれの材料の収縮率の差に起因する反りや接着部分の剥離を抑制することができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記イミン構造又は上記酸変性基は、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
また、上記イミン構造を有する構成単位及び/又は酸変性基を有する構成単位を側鎖に有することが好ましい。
上記芳香族系炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
上記イミン構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%以上であると、経時粘度安定性が良好なものとなる。上記イミン構造を有する構成単位の含有量が20.0モル%以下であると、アセタール化を充分に進行させることができる。上記イミン構造を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は1.0モル%、より好ましい上限は15.0モル%である。上記イミン構造を有する構成単位の含有量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂が上記酸変性基を有する構成単位を有することにより、エポキシ樹脂との相溶性を向上させて、高い機械的強度を実現することができる。
上記R6としては、単結合、又は、炭素数1〜5のアルキレン基であることが好ましく、単結合、又は、炭素数1〜3のアルキレン基であることがより好ましい。
上記炭素数1〜10のアルキレン基としては、上記式(4−1)中、R6と同様のものが挙げられる。
上記金属原子としては、上記式(4−1)中、X1と同様のものが挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキレン基としては、上記式(4−1)中、R6と同様のものが挙げられる。
上記金属原子としては、上記式(4−1)中、X1と同様のものが挙げられる。
上記酸変性基を有する構成単位の含有量が0.01モル%以上であると、エポキシ樹脂との硬化性に優れたものとすることができる。上記酸変性基を有する構成単位の含有量が5.0モル%以下であると、貯蔵安定性を向上させることができる。上記酸変性基を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は0.05モル%、より好ましい上限が3.0モル%である。上記酸変性基を有する構成単位の含有量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、上記アミノ基又はアミド構造を側鎖に有することが好ましい。また、上記アミノ基又はアミド構造は、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合してもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。更に、上記アミノ基は第一級アミンでもよく、第二級アミンでもよい。
なお、上記アミノ基又はアミド構造を側鎖に有するとは、上記アミノ基又はアミド構造を変性ポリビニルアセタール樹脂のグラフト鎖に有することを意味する。
特に、上記アミノ基は、−NH2であることが好ましい。
なお、本発明において、アミド構造とは、−C(=O)−NH−を有する構造をいう。
なかでも、上記アミノ基を有する構成単位は、下記式(5)に示す構造であることが好ましい。
また、上記アミド構造を有する構成単位は、下記式(6)に示す構造であることが好ましい。
上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%以上であると、付加特性を充分なものとすることができる。上記含有量が20モル%以下であると、溶解性が上がりすぎることがなく、沈殿法による変性ポリビニルアセタール樹脂粉末の取り出しが容易となる。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。なお、上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量はNMR等で測定可能である。
また、上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位と、イミン構造を有する構成単位とを合計した含有量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。
上記アセタール化は、公知の方法を用いることができ、水溶媒中、水と水との相溶性のある有機溶媒との混合溶媒中、あるいは有機溶媒中で行うことが好ましい。
上記水との相溶性のある有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤を用いることができる。
上記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系有機溶剤;キシレン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸メチル等の芳香族有機溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等の脂肪族エステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤;ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、デカン等の低級パラフィン系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルテセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトアニリド等のアミド系溶剤、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、ジn−ブチルアミン、トリn−ブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン等のアミン系溶剤等が挙げられる。これらは、単体で用いることもできるし、2種以上の溶媒を混合で用いることもできる。これらのなかでも、樹脂に対する溶解性及び精製時の簡易性の観点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
上記酸触媒は特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
すなわち、上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有するポリビニルアルコールのアセタール化物であってもよく、無変性のポリビニルアルコールのアセタール化物に酸変性基を導入したものであってもよい。
上記酸変性基を有する単量体としては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、メチレンマロン酸、イタコン酸、2−メチレングルタル酸、2−メチレンアジピン酸、2−メチレンセバシン酸等のジカルボン酸、無水マレイン酸等やその金属塩が挙げられる。
更に、未変性のポリビニルアセタール樹脂を後変性させることでイミン構造を導入してもよい。
すなわち、上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有するポリビニルアルコールのアセタール化物であってもよい。
これらのなかでは、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールをアセタール化してなることでイミン構造を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を得る方法が好ましい。特に、このような方法を用いる場合、アセタール化に使用するアルデヒド、酸触媒の量を過剰に添加することでイミン構造を得ることが出来る。
例えば、酸触媒を全体の1.0重量%以上添加することが好ましい。
なお、このような方法を用いる場合において、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位を確認する方法としては、例えば、FT−IRを用いて、アミノ基のスペクトル(1600cm−1付近)を確認する方法や、13C−NMRを用いてイミン構造のスペクトル(160〜170ppm)を確認する方法等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量が0.5重量%以上であると、接着剤として用いた際に高い強靭性を発揮することができる。上記含有量が50.0重量%以下であると、高い接着性を発揮することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、より好ましい下限が1.0重量%、より好ましい上限が40重量%である。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有することにより、剥離接着力を充分に向上させて、引き剥がしによる剥離を防止することができる。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。なかでも、グリシジルメタクリレートが好ましい。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量が、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、硬化後に海島相分離構造が形成されやすいものとし、また島成分の平均分散径を好適なものとして、難被着ポリマーに対する接着性をより向上させることができる。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、より好ましい下限が30重量%、より好ましい上限が50重量%である。
本発明において、上記エポキシ基含有化合物は、上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル以外のエポキシ基を有する化合物を意味する。
上記エポキシ基含有化合物を含むことにより、硬化後に海島相分離構造を形成されやすいものとして、難被着ポリマーに対する接着性をより向上させることができる。
上記脂肪族系エポキシ化合物としては、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル等の脂肪族アルコールのグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記芳香族系エポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル、4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量と上記エポキシ基含有化合物の含有量との比、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、硬化後に海島相分離構造が形成されやすいものとして、難被着ポリマーに対する接着性をより向上させることができる。
上記エポキシ基含有化合物の含有量が、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、難被着ポリマーに対する接着性をより向上させることができる。
上記エポキシ基含有化合物の含有量は、より好ましい下限が30重量%、より好ましい上限が50重量%である。
上記エポキシ硬化剤としては、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、グアニジン系硬化剤、チオール系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール系硬化剤が好ましい。
なお、エポキシ硬化剤がエポキシを重合させる前にラジカル重合性硬化剤を用いて反応させた場合には、ラジカル重合開始剤によりグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに含まれる(メタ)アクリル基のラジカル重合反応が先に進行するために、硬化後に海島相分離構造を形成されなくなる。
上記エポキシ硬化剤の含有量が4.5重量部以上であると、硬化後に海島相分離構造が形成されやすいものとすることができ、島成分の分散径を好適な範囲に調整しやすいものとすることができる。
上記エポキシ硬化剤の含有量は、より好ましい下限が8重量部、より好ましい上限が15重量部である。
有機溶剤の含有量が10.0重量%以下であることにより、硬化阻害を起こしにくくすることができる。
上記海島相分離構造が形成されることで、引き剥がし接着力に特に優れたものとすることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリビニルアセタール樹脂と、特定のエポキシ化合物、エポキシ硬化剤とを組み合わせて用いることにより、硬化させた後に海島相分離構造を形成することができる。
なお、上記海島相分離構造とは、連続相としてグリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及びエポキシ基含有化合物の重合物中に、分散相としてのポリビニルアセタール樹脂を主成分とし、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及びエポキシ基含有化合物の重合物を含む樹脂混合物が分散した構造を意味する。
また、上記硬化性樹脂組成物を硬化させた後の硬化物が海島相分離構造を有することは、例えば、得られた硬化物をカミソリ刃やミクロトーム等を用いて切断し、切断面を透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡や原子間力顕微鏡を用いて観察する方法により確認することができる。また、示差走査熱量計によって得られるTgピーク、動的粘弾性測定によって得られるTanδピークが2峰となって現れること等により確認することができる。
なお、上記硬化させる方法は、加熱による方法が挙げられる。
加熱により熱硬化させる場合、加熱温度は特に限定されないが、50〜170℃であることが好ましい。加熱温度が50℃以上であると、架橋を充分に進行させて強度を良好なものとすることができる。また、加熱温度が170℃以下であると、硬化物の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。上記加熱温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は150℃である。
また、加熱時間も特に限定されないが、好ましい下限は5分間、好ましい上限は10時間である。加熱時間が5分間以上であると架橋を充分に進行させて、充分な強度を得ることができる。また、加熱時間が10時間以下であると上記硬化物の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。
上記島成分の平均分散径が0.5μm以上であると、基材との接着性を向上させることができる。上記島成分の平均分散径が10μm以下であると、硬化物の強靭性を向上させることができる。
上記島成分の平均分散径は、好ましい下限が4μm、好ましい上限が6μmである。
なお、上記島成分の平均分散径は、例えば、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡観察により測定することができる。
平均重合度650、鹸化度99モル%のポリビニルアルコール240gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸170gとn−ブチルアルデヒド275gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−D6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセタール基量を測定した。結果を表1に示す。
なお、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基含有化合物及びエポキシ硬化剤としては以下のものを用いた。
<グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル>
グリシジルメタクリレート(和光純薬工業社製、エポキシ当量142)
<エポキシ基含有化合物>
(単官能エポキシ化合物)
フェニルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、EX−141、エポキシ当量150)
4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル(ADEKA社製、ED−509S、エポキシ当量206)
(2官能エポキシ化合物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER828、エポキシ当量190)
ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル(ADEKA社製、EP4088L、エポキシ当量165)
1,3−ビス(オキシシラニルメトキシ)ベンゼン(ナガセケムテックス社製、EX−201、エポキシ当量222)
<エポキシ硬化剤>
2−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2MZ−H)
ポリアミン(ADEKA社製、EH6007)
ポリアミン(ADEKA社製、EH5057P)
ジシアンジアミド(日本カーバイド工業社製)
トリス(3−メルカプトプロピオネート)(SC有機化学社製)
平均重合度240、鹸化度99モル%のポリビニルアルコール200gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間撹拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸150gとn−ブチルアルデヒド75gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−D6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセタール基量を測定した。結果を表1に示す。
平均重合度560、鹸化度99モル%のポリビニルアルコール200gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間撹拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸150gとアセトアルデヒド75gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−D6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて水酸基量、アセタール基量を測定した。結果を表1に示す。
平均重合度600、鹸化度99モル%、上記式(5)に示すアミノ基(−NH2)を有する構成単位を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸170gとn−ブチルアルデヒド275gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、変性ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、下記式(7)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.7モル%、R4は水素原子、R5はn−ブチル基を表す)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定した水酸基量、アセタール基量を表1に示す。
平均重合度400、鹸化度99モル%、上記式(4−1)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(4−1)中、R6が単結合、X1が水素原子)を1.0モル%含有するポリビニルアルコール200gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間撹拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸150gとアセトアルデヒド75gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、変性ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−D6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(4−1)に示すカルボキシル基を有する構成単位(含有量:1.0モル%)を有することが確認できた。
実施例1で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表2に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、グリシジルメタクリレート、エポキシ基含有化合物、エポキシ硬化剤を添加した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
表2に示す通りに、グリシジルメタクリレート、エポキシ基含有化合物、エポキシ硬化剤、及び、他の原料を添加した以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を作製した。
なお、他の原料としては以下のものを用いた。
<他の原料>
ポリメタクリル酸メチル(三菱レイヨン社製、アクリペットMF001)
酸化チタン粒子(テイカ社製、MT−05)
ブタジエンゴム粒子(三菱レイヨン社製、メタブレンE−901)
シランカップリング剤(信越シリコーン社製、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)
熱ラジカル硬化剤(日油社製、パーブチルPV(t−ブチルパーオキシピバレート))
実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物について以下の評価を行った。結果を表1、表2に示した。
硬化性樹脂組成物を90℃で1時間加熱して硬化させ、硬化物を作製した。
得られた硬化物を、クライオミクロトーム(LEICA社製:UC7)を用いて厚さ70nmとなるように切り出し、測定サンプルとして用いた。具体的には、硬化物をトリミングした小片を2%オスミウム酸水溶液で、60℃で12時間染色した後に洗浄した。その後、硬化物の小片の温度を−20℃とし、厚さ方向の中央部分を、厚さ方向とは垂直方向に、クライオミクロトームを用いて切断し、更に厚さ70nmとなるように切り出して測定サンプルを作製した。得られた測定サンプルの切断面を電子顕微鏡で観察することにより海島相分離構造の有無を確認した。
なお、実施例1〜4、7〜10及び12、比較例4及び5で得られた硬化性樹脂組成物の硬化物の切断面を撮影した電子顕微鏡写真を図1〜図12に示す。
(海島相分離構造の確認)で得られた硬化物の切断面を透過型電子顕微鏡で観察し、島成分(分散相)200個の粒径を測定し、平均値を算出することにより、平均分散径を測定した。
2枚の試験片(長さ100mm、幅25mm、厚さ2.5mm)を用意し、1枚の試験片の一端部に直径6mm、厚さ0.3mmとなるように硬化性樹脂組成物を塗工し、他の試験片を25mm×25mmの面積で重なるように水平方向に重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体を90℃で1時間加熱することにより硬化させて試験体を得た。試験体の各試験片の一端部をグリップで把持してテンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製、RTC−1350A)を用いて、引張速度1mm/minで引っ張り、剥離した際の応力を算出することにより、せん断接着力(MPa)を測定し、以下の基準で評価した。
なお、試験片の材料としては、アルミニウム(A−1050P)、SPCC(SPCC−SD、脱脂処理済)、SUS(SUS304)、LCP(液晶ポリマー、JXエネルギー社製、サイダー SJ−503SJ)及びPPA(ポリフタルアミド、Solvey社製、アモデルAT−1002 HS)を用いた。
◎:35MPa以上
〇:32MPa以上、35MPa未満
△:30MPa以上、32MPa未満
×:30MPa未満
<SPCC>
◎:30MPa以上
〇:27MPa以上、30MPa未満
△:25MPa以上、27MPa未満
×:25MPa未満
<SUS>
◎:28MPa以上
〇:25MPa以上、28MPa未満
△:23MPa以上、25MPa未満
×:23MPa未満
<LCP>
◎:11MPa以上
〇:8MPa以上、11MPa未満
△:6MPa以上、8MPa未満
×:6MPa未満
<PPA>
◎:10MPa以上
〇:7MPa以上、10MPa未満
△:5MPa以上、7MPa未満
×:5MPa未満
2枚の試験片(長さ100mm、幅25mm、厚さ2.5mm)を用意し、1枚の試験片の中央部に直径6mm、厚さ0.3mmとなるように硬化性樹脂組成物を塗工し、他の試験片の中央部が25mm×25mmの面積で重なるように垂直方向に重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体を90℃で1時間加熱することにより硬化させて試験体を得た。試験体をテンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製、RTC−1350A)を用いて、圧縮試験にて5mm/minで引き剥がし、剥離した際の応力を算出することにより、十字剥離力(MPa)を測定し、以下の基準で評価した。
なお、試験片の材料としては、(せん断接着強度)と同様のものを用いた。
十字剥離力が高い場合、剥離接着力に優れているといえる。
◎:8MPa以上
〇:6MPa以上、8MPa未満
△:5MPa以上、6MPa未満
×:5MPa未満
<SPCC>
◎:10MPa以上
〇:8MPa以上、10MPa未満
△:7MPa以上、8MPa未満
×:7MPa未満
<SUS>
◎:9MPa以上
〇:7MPa以上、9MPa未満
△:6MPa以上、7MPa未満
×:6MPa未満
<LCP>
◎:6MPa以上
〇:4MPa以上、6MPa未満
△:3MPa以上、4MPa未満
×:3MPa未満
<PPA>
◎:6MPa以上
〇:4MPa以上、6MPa未満
△:3MPa以上、4MPa未満
×:3MPa未満
Claims (10)
- ポリビニルアセタール樹脂、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ基含有化合物、及び、エポキシ硬化剤を含有し、
硬化させた後に海島相分離構造を有し、前記海島相分離構造中の島成分の平均分散径が0.5〜10μmであることを特徴とする硬化性樹脂組成物。 - エポキシ硬化剤が、イミダゾール系硬化剤であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- エポキシ基含有化合物は、2官能エポキシ化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
- グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの含有量が30〜50重量%であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
- 海島相分離構造中の島成分の平均分散径が4〜6μmであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の硬化性樹脂組成物。
- ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度が500以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の硬化性樹脂組成物。
- ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の硬化性樹脂組成物。
- ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の硬化性樹脂組成物。
- ポリビニルアセタール樹脂は、酸変性基を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の硬化性樹脂組成物。
- 酸変性基が、カルボキシル基であることを特徴とする請求項9記載の硬化性樹脂組成物。
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