JP6871042B2 - 変性ポリビニルアセタール樹脂組成物 - Google Patents

変性ポリビニルアセタール樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、貯蔵安定性に優れ、高い強度及び優れた接着性を有し、異種材料の接着に用いた際の反りや剥がれの発生を抑制することができる変性ポリビニルアセタール樹脂組成物に関する。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールを原料として合成される樹脂であり、側鎖にアセチル基と水酸基、そしてアセタール基を有することによって、優れた強靭性、接着性、架橋性、吸湿性を発現することができる。また、側鎖基の比率を変化させることによって樹脂物性を変化させることが可能となる。このような特性を利用して自動車用合わせガラス中間膜やセラミックグリーンシート等幅広い用途に使用されている。
現在、ポリビニルアセタール樹脂の側鎖に、アセチル基、水酸基、アセタール基以外の官能基を導入することによって、樹脂物性の向上を図ることや、新たな機能発現を目指す試みが進められている。
しかしながら、ポリビニルアセタール樹脂は、金属材料との接着力が充分ではないという問題があった。また、硬化時の加熱処理を行った際に、金属材料との収縮率の差により、反りや剥離等が生じる原因となっていた。
また、特許文献1〜4には、エポキシ樹脂を用いた接着剤が記載されているが、これらの接着剤は、樹脂の強度が不充分であり、金属材料との接着力が不充分となったりするという問題があった。
特表2008−531817号公報 特表2002−517595号公報 特開2015−108077号公報 特開平6−212138号公報
本発明は、上記現状に鑑み、貯蔵安定性に優れ、高い強度及び優れた接着性を有し、異種材料の接着に用いた際の反りや剥がれの発生を抑制することができる変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、イミン構造を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂とを含有し、前記変性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が15〜40モル%であり、前記変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、前記エポキシ樹脂100重量部に対して100重量部以下である変性ポリビニルアセタール樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、イミン構造を有する構成単位を有し、水酸基量が所定の範囲内である変性ポリビニルアセタール樹脂を、エポキシ樹脂と併用した場合、優れた架橋性を発現することができ、充分な強度を有する架橋体が得られることを見出した。また、異種材料の接着に用いた際に、収縮率を低くして、反りや剥がれを抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
更に、本願発明では、接着後も優れた耐溶剤性、耐湿性を実現し、接着体の耐衝撃性も改善することが可能となる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、イミン構造を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を含有する。
このような変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することで、エポキシ樹脂と併用した場合に、エポキシ樹脂との間で架橋構造を形成することができる。このため、架橋後に得られる架橋体は、高い機械的強度を有しつつ、適度な弾性を有するものとなる。更に、硬化収縮を緩やかにして、異種材料の接着に用いた際、それぞれの材料の収縮率の差に起因する反りや、接着部分の剥離を抑制することができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位を有する。
本発明において、上記イミン構造とは、C=N結合を有する構造をいう。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を側鎖に有することが好ましい。また、上記イミン構造は、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合してもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
なお、上記イミン構造を側鎖に有するとは、上記イミン構造を変性ポリビニルアセタール樹脂のグラフト鎖に有することを含む。
上記イミン構造を有する構成単位としては、例えば、下記式(1)に示す構成単位が挙げられる。
Figure 0006871042
式(1)中、Rは、単結合、又は、アルキレン基を表し、Rは、イミン構造を有する基を表す。
上記式(1)中、Rがアルキレン基である場合、該アルキレン基の炭素数の好ましい下限は1、好ましい上限は12である。上記アルキレン基の炭素数が12を超えると、最適な強度が得られないことがある。上記Rがアルキレン基である場合、上記アルキレン基の炭素数のより好ましい上限は5である。
上記式(1)中、Rがアルキレン基である場合、該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基等が挙げられる。なかでも、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の直鎖状アルキル基が好ましく、メチレン基、エチレン基がより好ましい。
上記Rとしては、下記式(2)に示す官能基が挙げられる。
Figure 0006871042
式(2)中、Rは水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。
上記炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族系炭化水素基等が挙げられる。なお、上記炭化水素基は、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族系炭化水素基のみからなるものであってもよく、これらが2種以上用いられたものであってもよい。
上記飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が好ましい。
上記芳香族系炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、t−ブチルフェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記イミン構造を有する構成単位中、Rが単結合、Rが水素原子、メチル基又はエチル基、Rがメチル基又はエチル基であることが好ましい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、イミン構造を有する構成単位の含有量の好ましい下限が0.1モル%、好ましい上限が20.0モル%である。
上記イミン構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%以上であると、経時粘度安定性が良好なものとなる。上記イミン構造を有する構成単位の含有量が20.0モル%以下であると、アセタール化を充分に進行させることができる。上記イミン構造を有する構成単位の含有量のより好ましい下限は1.0モル%、より好ましい上限は15.0モル%である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂において、イミン構造を有する構成単位の含有量と、後述するアセタール化度の比率(イミン構造を有する構成単位の含有量/アセタール化度)は、0.001〜0.5が好ましい。上記範囲内とすることで、高い強度及び優れた接着性を両立して、接着後の耐久性を向上させることが可能となる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、更に、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有することが好ましい。上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有することで、上記エポキシ樹脂との架橋構造の形成が更に容易となる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、上記アミノ基又はアミド構造を側鎖に有することが好ましい。また、上記アミノ基又はアミド構造は、変性ポリビニルアセタール樹脂の主鎖を構成する炭素に直接結合してもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。更に、上記アミノ基は第一級アミンでもよく、第二級アミンでもよい。
なお、上記アミノ基又はアミド構造を側鎖に有するとは、上記アミノ基又はアミド構造を変性ポリビニルアセタール樹脂のグラフト鎖に有することを意味する。
特に、上記アミノ基は、−NHであることが好ましい。
なお、本発明において、アミド構造とは、−C(=O)−NH−を有する構造をいう。
なかでも、上記アミノ基を有する構成単位は、下記式(3)に示す構造であることが好ましい。
また、上記アミド構造を有する構成単位は、下記式(4)に示す構造であることが好ましい。
Figure 0006871042
Figure 0006871042
式(4)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。
なお、上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基が挙げられる。
上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。
上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量が0.1モル%以上であると、付加特性を充分なものとすることができる。上記含有量が20モル%以下であると、溶解性が上がりすぎることがなく、沈殿法による変性ポリビニルアセタール樹脂粉末の取り出しが容易となる。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。なお、上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位の含有量はNMR等で測定可能である。
また、上記アミノ基又はアミド構造を有する構成単位と、イミン構造を有する構成単位とを合計した含有量の好ましい下限は0.1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記含有量のより好ましい下限は0.5モル%、より好ましい上限は10モル%である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂において、イミン構造を有する構成単位と、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位との含有量の比率(イミン構造を有する構成単位/アミノ基又はアミド構造を有する構成単位)は、0.5/99.5〜99.5/0.5であることが好ましい。上記比率が0.5/99.5以上であると、経時粘度安定性を充分なものとすることができ、上記比率が99.5/0.5以下であると、架橋性能を充分に発揮することができる。上記比率のより好ましい下限は5/95、より好ましい上限は75/25である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は特に限定されないが、好ましい下限が60モル%、好ましい上限は90モル%である。アセタール化度が60モル%以上であると、沈殿法による合成工程において変性ポリビニルアセタール樹脂を充分に析出させることができる。また、アセタール化度が90モル%以下であると、溶剤への溶解性を良好なものとすることができる。より好ましい下限が65モル%、より好ましい上限が85モル%である。上記変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール度はNMR等で測定可能である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が15〜40モル%である。また、17〜25モル%であることが好ましい。上記水酸基量が15モル%以上であると、変性ポリビニルアセタール樹脂の強靱性を充分に高めることができ、得られる架橋体の強度が良好なものとなる。また、上記水酸基量が40モル%以下であると、変性ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなりすぎることがなく、得られる架橋体のひび割れ等の不具合を抑制して、剥離性を良好なものとすることができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、アセチル基量は特に限定されず、好ましい下限が0.0001モル%、好ましい上限が5モル%である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂の重合度は特に限定されないが、好ましい下限が200、好ましい上限が4500である。上記変性ポリビニルアセタール樹脂の重合度が200以上であると、充分な粘度を有する変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を得ることができ、上記変性ポリビニルアセタール樹脂の重合度が4500以下であると、水への溶解性を良好なものとして、水溶液の粘度が高くなり過ぎることがなく、アセタール化を充分に進行させることができる。また、有機溶剤に溶解した際の粘度が高くなり過ぎることがなく、溶液を塗工して使用する用途で塗工性を良好なものとしてハンドリングを向上することができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂を作製する方法としては、例えば、上記イミン構造を有する単量体と、酢酸ビニルとを共重合させることによって得られたポリ酢酸ビニルをケン化し得られたポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法が挙げられる。また、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化することでイミン構造を導入する方法を用いてもよい。アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールを後変性して得られたイミン構造を有する変性ポリビニルアルコールを、従来公知の方法によりアセタール化する方法を用いてもよい。
更に、未変性のポリビニルアセタール樹脂を後変性させることでイミン構造を導入してもよい。
すなわち、上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールのアセタール化物であってもよい。
これらのなかでは、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールをアセタール化してなることでイミン構造を有する変性ポリビニルアセタール樹脂を得る方法が好ましい。特に、このような方法を用いる場合、アセタール化に使用するアルデヒド、酸触媒の量を過剰に添加することでイミン構造を得ることが出来る。
上記アルデヒドを過剰に添加する方法では、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコール100重量部に対して、アルデヒドを70〜150重量部添加することが好ましい。
特に、アルデヒドとしては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、フェニルアルデヒドが好ましい。
上記酸触媒を過剰に添加する方法では、酸触媒を全体の0.5重量%以上添加することが好ましい。
また、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコール100重量部に対して、酸触媒を5.0〜70.0重量部添加することが好ましい。
特に、酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましい。
なお、このような方法を用いる場合において、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位、イミン構造を有する構成単位を確認する方法としては、例えば、FT−IRを用いて、アミノ基のスペクトル(1600cm−1付近)を確認する方法や、13C−NMRを用いてイミン構造のスペクトル(160〜170ppm)を確認する方法等が挙げられる。
上記アセタール化は、公知の方法を用いることが出来、水溶媒中、水と水との相溶性のある有機溶媒との混合溶媒中、あるいは有機溶媒中で行うことが好ましい。
上記水との相溶性のある有機溶媒としては、例えば、アルコール系有機溶剤を用いることが出来る。
上記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系有機溶剤;キシレン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸メチル等の芳香族有機溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等の脂肪族エステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶剤;ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、デカン等の低級パラフィン系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルテセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトアニリド等のアミド系溶剤、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、ジn−ブチルアミン、トリn−ブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン等のアミン系溶剤等が挙げられる。これらは、単体で用いることもできるし、2種以上の溶媒を混合で用いることもできる。これらのなかでも、樹脂に対する溶解性および、精製時の簡易性の観点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
上記アセタール化は、酸触媒の存在下において行うことが好ましい。
上記酸触媒は特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
上記アセタール化に用いられるアルデヒドとしては、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、環状脂肪族基又は芳香族基を有するアルデヒドが挙げられる。これらのアルデヒドとしては、従来公知のアルデヒドを使用できる。上記アセタール化反応に用いられるアルデヒドは、特に限定されるものではなく、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクテルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、アミルアルデヒド、等の脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等の芳香族アルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。アルデヒドとしては、なかでも、アセタール化反応性に優れ、生成する樹脂に充分な内部可塑効果をもたらし、結果として良好な柔軟性を付与することができるn−ブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ノニルアルデヒドが好ましく、ブチルアルデヒドがより好ましい。
上記アルデヒドの添加量としては、目的とする変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度にあわせて適宜設定する事が出来る。上記アルデヒドの添加量としては、目的とする変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度にあわせて適宜設定すればよい。特に、ポリビニルアルコール100モル%に対して、60〜95モル%、好ましくは70〜90モル%とすると、アセタール化反応が効率よく行われ、未反応のアルデヒドも除去しやすいため好ましい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物において、上記変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が70.0重量%である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量が0.5重量%以上であると、接着剤をして用いた際に高い強靭性を発揮することができる。上記含有量が70.0重量%以下であると、高い接着性を発揮することができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、より好ましい下限が1.0重量%、より好ましい上限が60.0重量%である。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有する。
上記エポキシ樹脂を含有することで、加熱等によりエネルギーを印加することで架橋させることが可能となり、高い接着性を実現することができる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂肪族基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
上記脂肪族基を有するエポキシ樹脂は特に限定されず、例えば、モノグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記モノグリシジルエーテルとしては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、セカンダリブチルフェノールモノグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記ジグリシジルエーテルは特に限定されず、例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。なかでも、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
上記脂環式エポキシ樹脂としては、4〜7員環の環状脂肪族基を有する脂環式エポキシ樹脂が挙げられ、具体的には例えば、1,2:8,9ジエポキシリモネン、4−ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペート、ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、これらのエポキシ樹脂は、必要であれば、水やアルコール等の有機溶媒に溶かして使用することもできる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物において、上記エポキシ樹脂の含有量は、好ましい下限が0.5重量%、好ましい上限が99.5重量%である。
上記エポキシ樹脂の含有量が0.5重量%以上であると、接着性をより向上させることができる。上記含有量が99.5重量%以下であると、強靭性を向上させることができる。
上記エポキシ樹脂の含有量は、より好ましい下限が1.0重量%、より好ましい上限が90.0重量%である。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物において、エポキシ樹脂100重量部に対する上記変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が100重量部である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量が0.5重量部以上であると、強靭性を充分なものとすることができる。上記変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量が100重量部以下であると、接着性を充分なものとすることができる。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、より好ましい下限が1.0重量部、より好ましい上限が80重量部である。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、更に、上記変性ポリビニルアセタール樹脂、上記エポキシ樹脂の他に架橋剤を含んでもよい。
上記架橋剤としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等のハロヒドリン化合物;1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン等のハロゲン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド等のビスアクリルアミド化合物;尿素、チオ尿素等の尿素化合物;グアニジン、ジグアニド等のグアニジン化合物;シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸化合物;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸化合物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル化合物;グリオキサール、グルタルアルデヒド、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、アジピンアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のジアルデヒド類を含むアルデヒド化合物等が挙げられる。これらは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。これら架橋剤は、必要であれば、水やアルコールなどの有機溶媒に溶かして使用することもできる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、更に、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤を含んでもよい。
上記硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、芳香族アミン化合物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。なかでも、ジシアンジアミドが好ましい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。なかでも、イミダゾール化合物が好ましい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物中の上記硬化剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、より好ましい下限が1.0重量部、好ましい上限が30.0重量部、より好ましい上限が20重量部である。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物中の上記硬化促進剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0重量部、より好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が30重量部、より好ましい上限が20重量部である。
上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等のエステル類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等が挙げられる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物中の上記有機溶剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、より好ましい下限が1.0重量部、好ましい上限が50.0重量部、より好ましい上限が45.0重量部である。
本発明の変性ポリビニルアセタール系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、分散剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を架橋させる方法は、加熱による方法が挙げられる。加熱により熱硬化させる場合、加熱温度は特に限定されないが、50〜170℃であることが好ましい。加熱温度が50℃以上であると、架橋を充分に進行させて強度を良好なものとすることができる。また、加熱温度が170℃以下であると、上記変性ポリビニルアセタール樹脂の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。上記加熱温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は150℃である。
また、加熱時間も特に限定されないが、好ましい下限は5分間、好ましい上限は10時間である。加熱時間が5分間以上であると架橋を充分に進行させて、充分な強度を得ることができる。また、加熱時間が10時間以下であると上記変性ポリビニルアセタール樹脂の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、通常のポリビニルアセタール樹脂が使用されている用途に好適に用いることができ、例えば、セラミック成形体、金属ペースト、熱現像性感光材料、塗料、インキ、反射シート等を製造するための塗工溶液を得ることができる。また、ディスプレイ向けフィルム用接着剤、セラミック積層体の層間接着剤、自動車、建築物等の構造接着剤等の接着剤に使用することができる。
更に、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物に使用されるイミン構造を有する変性ポリビニルアセタールは、自己架橋性に優れるため、高い強度を有する成形体を製造することが出来る。
本発明によれば、貯蔵安定性に優れ、高い強度及び優れた接着性を有し、異種材料の接着に用いた際にも反りや剥がれの発生を抑制することができる変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
重合度600、ケン化度99.7モル%、上記式(3)に示すアミノ基(−NH)を有する構成単位を1.7モル%含有するポリビニルアルコール240gを純水1800gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸170gとn−ブチルアルデヒド275gとを添加し、液温を40℃に保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を40℃のまま3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、変性ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0モル%)、及び、下記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.7モル%、Rは水素原子、Rはn−ブチル基を表す)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
Figure 0006871042
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂10gを、トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒90gに溶解させたポリビニルアセタール樹脂溶液を作製した。
得られたポリビニルアセタール樹脂溶液にビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER 828、エポキシ当量190、分子量380)85g、硬化剤としてジシアンジアミド(DICY)3g、硬化促進剤としてイミダゾール化合物(三菱化学社製、jERキュア EMI24)2gを添加し、ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂とを重量比10:85で混合した樹脂組成物を作製した。
得られた樹脂組成物を離型処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗工し、140℃で乾燥することで樹脂シートを作製した。
(実施例2)
35%重量%塩酸を100g、n−ブチルアルデヒドを165g添加した以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.2モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:1.5モル%、Rは水素原子、Rはn−ブチル基を表す)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例3)
ポリビニルアルコールを、重合度600、ケン化度99.7モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を18.0モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を210gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.0モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:18.0モル%、Rは水素原子、Rはn−ブチル基を表す)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例4)
ポリビニルアルコールを、重合度600、ケン化度99.7モル%、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位を0.1モル%含有するポリビニルアルコール240gに変更し、n−ブチルアルデヒドの添加量を275gとした以外は、実施例1と同様の方法により変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、上記式(3)に示すアミノ基を有する構成単位(含有量:0.0モル%)、及び、上記式(5)に示すイミン構造を有する構成単位(含有量:0.1モル%、Rは水素原子、Rはn−ブチル基を表す)を有することが確認できた。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を用いて、実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(実施例5〜8)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER 828)85gに代えて、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER 807、エポキシ当量170)85gを用いた以外は、実施例1〜4と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
(比較例1)
ポリビニルアルコールを、重合度600、ケン化度99.5モル%のポリビニルアルコールに変更した以外は、実施例1と同様の方法によりポリビニルアセタール樹脂を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いて分析したところ、アミノ基を有する構成単位、及び、イミン構造を有する構成単位を有することが確認できなかった。
なお、13C−NMRを用いて測定したアセタール化度、アセチル基量、水酸基量を表1に示す。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂溶液、樹脂組成物及び樹脂シートを作製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られたポリビニルアセタール樹脂組成物、樹脂シートについて以下の評価を行った。結果を表2に示した。
(1)降伏点応力
得られた樹脂シートをPETフィルムから剥離し、剥離したシートについて、JIS K 7113に準拠した方法により、AUTOGRAPH(島津製作所社製、AGS−J)を用いて引張速度20mm/分の条件にて、降伏点応力(MPa)を測定した。
(2)ゲル分率
樹脂シートのサンプル約0.1g(w1)に、トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒40gを加え、24時間撹拌させることによって、再溶解させ、あらかじめ質量を測定した200メッシュのステンレス金網(w2)で固液分離を行う。その後ステンレス金網を取り出し、100℃、1時間真空乾燥して質量(w3)を測定し,以下の計算式でゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)={(w3−w2)/w1}×100
得られたゲル分率について、以下の基準で評価した。
なお、ゲル分率が高い場合、硬化性に優れているといえる。
◎:80%以上
○:40%以上、80%未満
△:10%以上、40%未満
×:10%未満
(3)貯蔵安定性(経時粘度安定性)
トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒90gにポリビニルアセタール樹脂組成物10gを加え溶解し、溶液サンプルを作製する。得られた溶液サンプルについて、B型粘度計を用いて、溶液サンプル作製直後と一か月後の粘度を測定し、溶液粘度の変化率を確認し、以下の基準で評価した。
◎:10%未満
○:10%以上、20%未満
△:20%以上、30%未満
×:30%以上
(4)耐溶剤性
得られた樹脂シート上にエタノールとトルエンを重量比1:1で混合した溶媒をスポイドにて一滴(約0.02g)滴下し、60℃で5分乾燥した後、樹脂シートの状態を目視にて観察し、以下の手順で評価した。
○:シートの形状に変化なく、穴あきのいずれも観察されなかった。
△:シートに膨潤はみられるが、穴あきは観察されなかった。
×:シートに穴あきが観察された。
(5)せん断接着力
得られたポリビニルアセタール樹脂組成物を各種金属基材に塗工し、160℃で60分間加熱することによりポリビニルアセタール樹脂組成物を硬化させ、JIS K 6850に準拠した方法により、測定温度20〜30℃、引張速度5mm/minの条件でせん断接着力を測定した。
金属基材としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS304)、SPCC鋼板を用いた。
なお、せん断接着力が高い場合、外力がかかった際にも剥がれにくく、接着力に優れているといえる。
(6)耐衝撃性試験
得られたポリビニルアセタール樹脂組成物を型に流し込み、170℃で30分間加熱することにより樹脂硬化物(サイズ80mm×10mm、厚み4mm)を得た。得られた樹脂硬化物について、JIS K 7111に準拠した方法により、デジタル衝撃試験機DG−UB型(東洋精機製作所社製)を用いてシャルピー衝撃試験を行い、樹脂硬化物を破壊させたときのシャルピー衝撃値を測定することにより、耐衝撃性を評価した
Figure 0006871042
Figure 0006871042
本発明によれば、貯蔵安定性に優れ、高い強度及び優れた接着性を有し、異種材料の接着に用いた際の反りや剥がれの発生を抑制することができる変性ポリビニルアセタール樹脂組成物を提供できる。

Claims (6)

  1. イミン構造を有する構成単位を有する変性ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂とを含有し、前記変性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基量が15〜40モル%であり、前記変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、前記エポキシ樹脂100重量部に対して100重量部以下であることを特徴とする変性ポリビニルアセタール樹脂組成物。
  2. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、更に、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有することを特徴とする請求項1記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物。
  3. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基若しくはアミド構造、及び、イミン構造を側鎖に有することを特徴とする請求項2記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物。
  4. 変性ポリビニルアセタール樹脂における、イミン構造を有する構成単位と、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位とを合計した含有量が0.1〜20モル%であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物。
  5. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が60〜85モル%であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物。
  6. 変性ポリビニルアセタール樹脂は、アミノ基又はアミド構造を有する構成単位を有するポリビニルアルコールのアセタール化物であることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の変性ポリビニルアセタール樹脂組成物。
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