JP2021155722A - 接着剤組成物及び微小領域固定用接着剤 - Google Patents

接着剤組成物及び微小領域固定用接着剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2021155722A
JP2021155722A JP2021045997A JP2021045997A JP2021155722A JP 2021155722 A JP2021155722 A JP 2021155722A JP 2021045997 A JP2021045997 A JP 2021045997A JP 2021045997 A JP2021045997 A JP 2021045997A JP 2021155722 A JP2021155722 A JP 2021155722A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
group
polyvinyl acetal
acetal resin
adhesive composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021045997A
Other languages
English (en)
Inventor
加奈子 玉川
Kanako Tamagawa
加奈子 玉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Publication of JP2021155722A publication Critical patent/JP2021155722A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】エポキシ樹脂と相溶した場合に微細な未溶解物が少なく、接着剤中の欠陥の発生を防止して、高い接着強度を発現し得る接着剤組成物を提供する。また、該接着剤組成物を含む微小領域固定用接着剤を提供する。【解決手段】ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂とを含有し、前記ポリビニルアセタール樹脂は、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて、波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの波数A(cm−1)、及び、水酸基量(モル%)が下記式(1)及び(2)の関係を満たす、接着剤組成物。[(3470−A)/水酸基量]≦5.0 (1)(3470−A)≦175 (2)A:波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100−(100−X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、3470cm−1よりも低波数側の波数【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂と相溶した場合に微細な未溶解物が少なく、接着剤中の欠陥の発生を防止して、高い接着強度を発現し得る接着剤組成物に関する。また、該接着剤組成物を含む微小領域固定用接着剤に関する。
(メタ)アクリル系接着剤成分を含有する(メタ)アクリル系接着剤や、エポキシ系接着剤成分を含有するエポキシ系接着剤は、代表的な接着剤として種々の分野に用いられている。とりわけ、自動車等の車両や建築物等の構造材の接着に、(メタ)アクリル系接着剤やエポキシ系接着剤は欠くことができないものとなっている。例えば、電気電子分野では、パソコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の電子デバイス中で、モジュール組み立て、モジュール類の筐体への貼り合わせ等に接着剤が用いられている。より具体的には、例えば、画像表示装置又は入力装置を搭載した携帯電子機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末等)において、組み立てのために接着剤が用いられている。更に具体的には例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したり、カメラモジュールとACF(異方性導電フィルム)とを接着したりするために接着剤が用いられている。
また、電子機器の小型化及び軽量化が急速に進むのに伴って電子部品の搭載密度も高くなり、電子部品及びその材料に要求される特性も多様化してきている。特にプリント配線板においては、配線占有面積が小型かつ高密度になり、多層配線板(ビルドアップ配線板)、フレキシブルプリント基板(FPC)等への要求も高まってきている。
例えば、特許文献1では、エポキシ系接着剤成分と、ポリビニルアセタール樹脂とを含有する接着剤を用いることで、接着性を改善することができるとされている。
特開2017−203114号公報
近年の電子機器では、小型化が進んでおり、接着面積が小さい、微小領域での接着に接着剤が用いられるが、微小領域での接着のためには、従来の接着剤では考えられない、高い接着性が要求される。しかしながら、特許文献1に記載の接着剤であっても、特に薄膜性を求められる分野においては、樹脂成分の溶解時に発生する微小な未溶解物により架橋の阻害が生じたり、未溶解物自体が異物となったりすることで、接着強度に致命的な問題を生じさせるという問題がある。このため、樹脂の性能を充分に発揮できず接着強度が低下するという問題がある。
本発明は、エポキシ樹脂と相溶した場合に微細な未溶解物が少なく、接着剤中の欠陥の発生を防止して、高い接着強度を発現し得る接着剤組成物を提供することを目的とする。また、該接着剤組成物を含む微小領域固定用接着剤を提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂とを含有し、前記ポリビニルアセタール樹脂は、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて、波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの波数A(cm−1)、及び、水酸基量(モル%)が下記式(1)及び(2)の関係を満たす、接着剤組成物である。
[(3470−A)/水酸基量]≦5.0 (1)
(3470−A)≦175 (2)
A:波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100−(100−X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、3470cm−1よりも低波数側の波数以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、最小透過率と所定の関係を満たす透過率を示すピークの波数A及び水酸基量が特定の関係を満たすポリビニルアセタール樹脂は、エポキシ樹脂と相溶した場合に微細な未溶解物が少なく、接着剤中の欠陥の発生を防止して、高い接着強度を発現し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の接着剤組成物は、ポリビニルアセタール樹脂を含有する。
本発明に係るポリビニルアセタール樹脂について、20℃の条件で赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルの一例を図1に示す。図1は、縦軸を透過率、横軸を波数としたものである。
図1に示すIR吸収スペクトルにおいて、最小透過率Xは64.5%である。また、[100−(100−X)/2]を満たす透過率aは82.25%であり、3470cm−1よりも低波数側であって、透過率aを示すピークの波数Aは3325cm−1である。更に、3470cm−1よりも高波数側であって、透過率aを示すピークの波数Bは3555cm−1である。
上記の場合、(3470−A)は145(cm−1)となり、例えば、水酸基量が30モル%であれば、[(3470−A)/水酸基量]は4.83(cm−1/モル%)となる。また、(B−3470)は85(cm−1)となり、(3470−A)/(B−3470)は1.70となる。
また、本発明に係るポリビニルアセタール樹脂について、20℃の条件で赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルの別の態様の例を図2に示す。
図2に示すIR吸収スペクトルにおいて、最小透過率Xは74%である。また、[100−(100−X)/2]を満たす透過率aは87%であり、3470cm−1よりも低波数側であって、透過率aを示すピークの波数Aは3390cm−1である。更に、3470cm−1よりも高波数側であって、透過率aを示すピークの波数Bは3570cm−1である。
上記の場合、(3470−A)は80(cm−1)となり、例えば、水酸基量が22モル%であれば、[(3470−A)/水酸基量]は3.64(cm−1/モル%)となる。また、(B−3470)は100(cm−1)となり、(3470−A)/(B−3470)は0.80となる。
上記IR吸収スペクトルの測定は、例えば、20℃の条件でフーリエ変換赤外分光光度計(HORIBA社製「FT−720」、日本分光社製「FT/IR−4000」等)を用いて透過法により測定することができる。
上記赤外分光光度計によるポリビニルアセタール樹脂の分析では、ポリビニルアセタール樹脂が有するC−H結合の伸縮振動に由来したスペクトルが2980cm−1付近に出現する。上記ピーク分析は、まず、このC−H結合の伸縮振動に由来するピークの最小透過率が2500cm−1と3050cm−1とを結んでベースラインとしたときに20〜30%になるよう測定サンプルの膜厚を調整して測定する。更に、その測定結果で上記波数3100〜3700cm−1の範囲内において出現したピークに対してベースラインを引き、ピークの両端の透過率が100%となるよう補正したデータに対して実施する。
上記ポリビニルアセタール樹脂において、波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの波数A(cm−1)、及び、水酸基量(モル%)が下記式(1)の関係を満たす。
[(3470−A)/水酸基量]≦5.0 (1)
上記関係を満たすことで、微細な未溶解物を少なくすることができる。
上記[(3470−A)/水酸基量]は、4.9cm−1/モル%以下であることが好ましく、4.8cm−1/モル%以下であることが更に好ましい。また、下限は特に限定されないが、0cm−1/モル%以上であることが好ましく、1.0cm−1/モル%以上であることがより好ましく、2.0/モル%以上であることが更に好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂において、波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの波数A(cm−1)は下記式(2)の関係を満たす。
(3470−A)≦175 (2)
上記ピークの波数3470cm−1と上記ピークの波数A(cm−1)との差(3470−A)は、大きくなるほど会合OH基が多いことが推定され、会合OH基が多いとその部分の極性が高くなり、エポキシ樹脂との相溶性が低下する。
上記(3470−A)は、好ましい上限が170cm−1、更に好ましい下限は165cm−1である。上記差の下限は特に限定されず、少なければ少ないほど好ましく、好ましい下限は0cm−1、より好ましい下限は10cm−1以上、更に好ましい下限は30cm−1)である。
上記最小透過率X(%)は、ポリビニルアセタール樹脂が有する水酸基量に由来し、後述の理由により水酸基量は18〜40モル%であることが好ましいため、好ましい下限が50%、より好ましい下限が60%、好ましい上限が80%、より好ましい上限が70%である。
上記ピークの波数Bは、小さくなるほど会合OH基が多いことが推定され、会合OH基が多いとその部分の極性が高くなり、エポキシ樹脂との相溶性が低下するため、好ましい下限が3520cm−1、より好ましい下限が3540cm−1である。また、上限は特に限定されるものではなく、大きいほど好ましいが、IRスペクトルの原理上、上限は3800cm−1となると推定される。
上記ピークの波数A、及び、ピークの波数Bは、会合OH基が多くなり過ぎないよう、下記式(3)の関係を満たすことが好ましい。
(3470−A)/(B−3470)≦2.0 (3)
B:波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100−(100−X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、3470cm−1よりも高波数側の波数
上記(3470−A)/(B−3470)は、好ましい下限が0.7、より好ましい上限が1.3である。
上記ピークの波数Aは、下記式(4)の関係を満たすことが好ましい。
(3470−A)/アセタール基量≦3.0 (4)
上記範囲とすることで、有機溶剤に溶解した場合の未溶解物をより少なくすることができる。
上記(3470−A)/アセタール基量は、好ましい下限が0、より好ましい上限が2.5、更に好ましい上限が2.0である。
上記ピークの波数Bは、下記式(5)の関係を満たすことが好ましい。
(B−3470)/水酸基量≧2.0 (5)
上記範囲とすることで、シート欠陥の発生を抑制して、より信頼性の高い積層セラミックコンデンサを作製することができる。
上記(B−3470)/水酸基量は、より好ましい下限が2.5、更に好ましい下限が3.0、好ましい上限が6.0である。
上記ピークの波数Bは、下記式(6)の関係を満たすことが好ましい。
(B−3470)/アセタール基量≧0.5 (6)
上記範囲とすることで、より高い接着強度を発現することができる。
上記(B−3470)/アセタール基量は、より好ましい下限が1.0、更に好ましい下限が1.2、好ましい上限が4.0である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、会合OH基が多くなりすぎないように、上記最小透過率X(%)を示すピークの波数C、上記ピークの波数A、及び、上記ピークの波数Bが、下記式(7)の関係を満たすことが好ましい。
(C−A)/(B−C)≦3.5 (7)
上記(C−A)/(B−C)は、好ましい下限が0、より好ましい上限が3.0、更に好ましい上限が2.8である。
上記ピークの波数A及びピークの波数Cは、下記式(8)の関係を満たすことが好ましい。
2.0≦(C−A)/水酸基量≦8.0 (8)
上記関係を満たすことで、より高い接着強度を発現することができる。
上記(C−A)/水酸基量は、より好ましい下限が3.0、より好ましい上限が7.0である。
上記ピークの波数A及びピークの波数Cは、下記式(9)の関係を満たすことが好ましい。
(C−A)/アセタール基量≦3.0 (9)
上記関係を満たすことで、弾性率が高く、機械的強度に優れたポリビニルアセタール樹脂として、接着剤中の欠陥を防止することができる。
上記(C−A)/アセタール基量は、好ましい下限が0、より好ましい上限が2.7、更に好ましい上限が2.5である。
上記ピークの波数A及びピークの波数Bは、原料ポリビニルアルコール樹脂の結晶化度、ケン化度、アセタール化反応の条件、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量、水酸基量等を適宜設定することで調整することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、重量比1:1のエタノール・トルエン混合溶液に対して濃度が0.2重量%となるように溶解したポリビニルアセタール樹脂溶液の粒度径分布をパーティクルカウンターを用いて測定したとき、直径0.5〜1.0μmの粒子の割合が樹脂溶液100体積%に対して2.5×10−8体積%以下であることが好ましい。粒子の体積は、パーティクルカウンターを用いて直径0.5〜1.0μmの粒子の個数を測定し、直径0.5〜1.0μmの粒子を直径0.75μmの真球と仮定してその体積を算出し、粒子の個数と体積とに基づいて直径0.5〜1.0μmの粒子の割合(体積%)を算出する。
上記割合が2.5×10−8体積%以下であると、ろ過時間を短縮できることに加え、薄膜性を求められる分野において、より平滑な接着面として、クラック等の欠陥が生じにくくなるため、接着性を向上させることができる。
上記割合は、2.1×10−8体積%以下であることがより好ましい。上記割合の下限は特に限定されず、少なければ少ないほど好ましく、0体積%が好ましい。
上記パーティクルカウンターとしては、例えば、リオン社製「KS−42C」を用いることができる。
上記直径0.5〜1.0μmの粒子の体積割合は、例えば、原料ポリビニルアルコール樹脂の結晶化度、ケン化度、アセタール化反応の条件、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量、水酸基量等を適宜設定することで調整することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度は、良好な塗布性と塗布に好適な粘度の双方を確保するという観点から、300以上であることが好ましく、600以上であることがより好ましく、8000以下であることが好ましく、7000以下であることがより好ましい。
なお、上記平均重合度は、JIS K 6726に準拠して測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、下記式(10)で表されるアセタール基を有する構成単位、下記式(11)で表される水酸基を有する構成単位、下記式(12)で表されるアセチル基を有する構成単位を有することが好ましい。
Figure 2021155722
上記式(10)中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
上記式(10)中、Rが炭素数1〜20のアルキル基である場合、該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、n−プロピル基が好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂が、アセトアセタール基を含有する場合、アセトアセタール基量は10モル%以上であることが好ましく、85モル%以下であることが好ましい。
アセトアセタール基量が上記範囲であると、エポキシ樹脂との相溶性を向上させることができるとともに、樹脂の強靭性を高めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセトアセタール基量は、35モル%以上であることがより好ましく、77モル%以下であることがより好ましい。
なお、アセトアセタール基とは、上記式(10)で表されるアセタール基を有する構成単位に含まれるアセタール基のうちの、Rがメチル基である場合のアセタール基である。また、本明細書中、ポリビニルアセタール樹脂のアセトアセタール基量とは、ポリビニルアセタール樹脂全体の見かけのアセトアセタール基量を意味する。
上記ポリビニルアセタール樹脂が、ブチラール基を含有する場合、ブチラール基量は0〜50モル%であることが好ましい。
ブチラール基量が上記範囲であると、エポキシ樹脂との相溶性を向上させることができるとともに、樹脂の強靭性を高めることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のブチラール基量は、0モル%以上であることがより好ましく、35モル%以下であることがより好ましい。
なお、ブチラール基とは、上記式(10)で表されるアセタール基を有する構成単位に含まれるアセタール基のうちの、Rがプロピル基である場合のアセタール基である。
また、本明細書中、ポリビニルアセタール樹脂のブチラール基量とは、ポリビニルアセタール樹脂全体の見かけのブチラール基量を意味する。
上記ポリビニルアセタール樹脂において、アセトアセタール基量に対するブチラール基量の比(ブチラール基量/アセトアセタール基量)は、0以上であることが好ましく、2.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂の全アセタール基量は、45モル%以上であることが好ましく、47モル%以上であることがより好ましく、49モル%以上であることが更に好ましく、80モル%以下であることが好ましく、78モル%以下であることがより好ましく、76モル%以下であることが更に好ましい。
全アセタール基量が上記範囲であると、エポキシ樹脂との相溶性を向上させることができるとともに、樹脂の強靭性を高めることができる。
また、上記ポリビニルアセタール樹脂において、全アセタール基中のアセトアセタール基の割合(アセトアセタール基量/全アセタール基量)は、好ましい下限が0.2、好ましい上限が1.0である。
上記アセトアセタール基の割合が上記範囲であると、エポキシ樹脂との相溶性を向上させることができるとともに、樹脂の強靭性を高めることができる。
上記アセタール基量は、例えば、NMRにより測定することができる。
なお、アセタール基量の計算方法については、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基がポリビニルアルコールの2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用する。
上記ポリビニルアセタール樹脂において、上記一般式(11)で表される水酸基を有する構成単位の含有量(以下、「水酸基量」ともいう)の好ましい下限は18モル%、好ましい上限は40モル%である。
上記水酸基量が上記範囲であると、エポキシ樹脂との相溶性を向上させることができるとともに、樹脂の強靭性を高めることができる。
上記水酸基量は、より好ましい下限が20モル%、更に好ましい下限が22モル%、より好ましい上限が39モル%、更に好ましい上限が38モル%である。
上記水酸基量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂において、上記一般式(12)で表されるアセチル基を有する構成単位の含有量(以下、「アセチル基量」ともいう)の好ましい下限は0.5モル%、好ましい上限は20モル%である。
アセチル基量が上記範囲であると、ポリビニルアセタール樹脂の柔軟性を好適なものとして、ハンドリング性を向上させることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量のより好ましい下限は1モル%、より好ましい上限は16モル%である。
上記アセチル基量は、例えば、NMRにより測定することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、更に、酸変性基を有する構成単位を含有することが好ましい。
上記酸変性基を有する構成単位を有することで、微細な未溶解物をより少なくすることができる。
上記酸変性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、マレイン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、及び、それらの塩等が挙げられる。
上記酸変性基を有する構成単位は、主鎖を構成する同一の炭素に2つの酸変性基が結合した立体構造を有してもよく、主鎖を構成する炭素に酸変性基が1つ結合した立体構造であってもよい。また、主鎖を構成する隣り合う炭素に酸変性基が1つずつ結合した立体構造であってもよく、主鎖を構成する隣り合う炭素のどちらか一方のみに酸変性基が結合した構造であってもよい。なかでも、主鎖を構成する同一の炭素に2つの酸変性基が結合した立体構造、又は、主鎖を構成する隣り合う炭素に酸変性基が1つずつ結合した立体構造を有することが好ましい。更に、立体障害を大きくして、エポキシ樹脂との組み合わせにより得られる架橋体の網目構造を広くすることができ、その結果、得られる硬化物の柔軟性を向上させることができることから、主鎖を構成する同一の炭素に2つの酸変性基が結合した立体構造を有することがより好ましい。
また、酸変性基を有する構成単位は、主鎖を構成する炭素に酸変性基が同一方向に結合したイソタクチック配置である立体構造を有してもよく、主鎖を構成する炭素に酸変性基が交互に反対側に結合したシンジオタクチック配置である立体構造を有してもよい。更に、上記酸変性基がランダムに結合したアタクチック配置である立体構造を有してもよい。
上記酸変性基を有する構成単位が、主鎖を構成する炭素にアルキレン基を介して酸変性基が結合した構造を有する場合、上記アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基であることが更に好ましい。
上記炭素数1〜10のアルキレン基としては、直鎖状アルキレン基、分岐鎖状アルキレン基、環状アルキレン基が挙げられる。
上記直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、ビニレン基、n−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。
上記分岐鎖状アルキレン基としては、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等が挙げられる。
上記環状アルキレン基としてはシクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。
なかでも、直鎖状アルキレン基が好ましく、メチレン基、ビニレン基、n−プロピレン基がより好ましく、メチレン基、ビニレン基が更に好ましい。
上記カルボキシル基を含有する構成単位としては、例えば、下記式(13−1)で表される構成単位、下記式(13−2)で表される構成単位等が挙げられる。
Figure 2021155722
上記式(13−1)中、R及びRは、それぞれ独立し、炭素数0〜10のアルキレン基、X及びXは、それぞれ独立し、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。上記式(13−2)中、R、R及びRは、それぞれ独立し、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数0〜10のアルキレン基、Xは水素原子、金属原子又はメチル基を表す。なお、R、R又はRが炭素数0のアルキレン基であるとは、R、R又はRが単結合であることを意味する。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、上記式(13−1)で表される構成単位を有することが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂が、上記式(13−1)で表される構成単位を有する場合、構成単位中の2つのカルボキシル基が主鎖の炭素を挟む位置に存在するため、接着剤組成物の貯蔵安定性を改善することができる。
上記式(13−1)中、R及びRは、それぞれ独立し、炭素数0〜10のアルキレン基を表し、X及びXは、それぞれ独立し、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。
上記式(13−1)中、R及びRで表されるアルキレン基の炭素数が0〜10であると、カルボキシル基の凝集を抑制して、エポキシ樹脂との相溶性に優れたものとすることができる。R及びRで表されるアルキレン基の炭素数の好ましい下限は0、好ましい上限は5、より好ましい下限は1、より好ましい上限は3である。
上記R及びRは、同一のものであってもよく、異なったものであってもよいが、異なっているものが好ましい。また少なくとも何れかが単結合であることが好ましい。
上記炭素数0〜10のアルキレン基としては、例えば、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、メチルメチレン基、メチルエチレン基、1−メチルペンチレン基、1,4−ジメチルブチレン基等の分岐状アルキレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等の環状アルキレン基等が挙げられる。なかでも、単結合、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基等の直鎖状アルキレン基が好ましく、単結合、メチレン基、エチレン基がより好ましい。
上記X及びXのうち少なくとも何れかが金属原子である場合、該金属原子としては、例えば、ナトリウム原子、リチウム原子、カリウム原子等が挙げられる。なかでも、ナトリウム原子が好ましい。
上記式(13−1)で表される構成単位は、α−ジカルボキシモノマーに由来するものであることが好ましい。α−ジカルボキシモノマーとしては、例えば、メチレンマロン酸、イタコン酸、2−メチレングルタル酸、2−メチレンアジピン酸、2−メチレンセバシン酸等のラジカル重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸やその金属塩又はそのメチルエステルが挙げられる。なかでも、イタコン酸やその金属塩又はそのメチルエステルが好ましく用いられる。
なお、本明細書中、α−ジカルボキシモノマーとは、α位炭素に2つのカルボキシル基を有するモノマーを表す。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、上記式(13−2)で表される構成単位を有することが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂が上記式(13−2)で表される構成単位を有する場合、エポキシ樹脂との相溶性をより優れたものとすることができる。
上記式(13−2)中、R、R及びRは、それぞれ独立し、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは、炭素数0〜10のアルキレン基を表し、Xは、水素原子、金属原子又はメチル基を表す。
上記式(13−2)中、R、R及びRで表されるアルキル基の炭素数が1〜10であると、立体障害が生じにくく、原料合成時の重合反応を充分に進行させることができる。R、R及びRで表されるアルキル基の炭素数の好ましい下限は1、好ましい上限は5、より好ましい上限は3である。
及びRは、同一のものであってもよく、異なったものであってもよいが、同一のものがより好ましい。また、R、R及びRは水素原子であることが好ましい。
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
上記式(13−2)中、Rで表されるアルキレン基の炭素数が0〜10であると、カルボキシル基の凝集が生じにくく、エポキシ樹脂との相溶性を向上させることができる。Rで表されるアルキレン基の炭素数の好ましい下限は0、好ましい上限は5、より好ましい下限は1、より好ましい上限は3である。
上記式(13−2)中のRとしては、上記式(13−1)中のR及びRで例示したものと同様のものが挙げられ、なかでも、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の直鎖状アルキレン基が好ましく、単結合、メチレン基、エチレン基がより好ましく、単結合が更に好ましい。
上記Xが金属原子である場合、該金属原子としては、例えば、ナトリウム原子、リチウム原子、カリウム原子等が挙げられる。なかでも、ナトリウム原子が好ましい。
上記式(13−2)で表される構成単位はモノカルボキシモノマーに由来するものが好ましい。モノカルボキシモノマーとしては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、オレイン酸等のラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノカルボン酸やその金属塩又はそのメチルエステル等が挙げられる。なかでも、クロトン酸やその金属塩又はそのメチルエステルが好ましく用いられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、カルボキシル基を有する構成単位の含有量(以下「カルボキシル基量」ともいう。)の好ましい下限が0.01モル%、好ましい上限がモル%である。
上記カルボキシル基量が0.01モル%以上であると、上記ポリビニルアセタール樹脂がカルボキシル基を有することによる効果を充分に発揮させることができ、微細な未溶解物をより少なくして、接着性をより向上させることができる。カルボキシル基量が3.0モル%以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂のエポキシ樹脂との相溶性をより向上させることができる。上記ポリビニルアセタール樹脂のカルボキシル基量の好ましい下限は0.07モル%、好ましい上限は2.0モル%であり、より好ましい下限は0.1モル%、より好ましい上限は1.5モル%、さらに好ましい上限は1.0モル%である。
本明細書中、ポリビニルアセタール樹脂のカルボキシル基量とは、ポリビニルアセタール樹脂の構成単位全体に占めるカルボキシル基を有する構成単位の割合を意味する。例えば、上記式(13−1)で表される構成単位にはカルボキシル基が2つ存在しているが、1つの構成単位に存在するカルボキシル基の数にかかわらず、ポリビニルアセタール樹脂の構成単位全体に占めるカルボキシル基を有する構成単位の割合を、カルボキシル基量とする。
また、本明細書中、ポリビニルアセタール樹脂のカルボキシル基量とは、ポリビニルアセタール樹脂全体の見かけのカルボキシル基量を意味する。即ち、例えば、ポリビニルアセタール樹脂が異なるカルボキシル基量を有する複数の樹脂を含有する場合、ポリビニルアセタール樹脂のカルボキシル基量は、各樹脂のカルボキシル基量にその樹脂の含有比率を掛け合わせることにより得られる各値を、合計することにより求められる。
特に、例えば、ポリビニルアセタール樹脂が、カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂と未変性ポリビニルアセタール樹脂とを含有する場合、ポリビニルアセタール樹脂のカルボキシル基量は、下記式(14)により算出される。
E=F×(G/H) (14)
上記式(14)中、Eはポリビニルアセタール樹脂のカルボキシル基を有する構成単位の含有量(モル%)を表す。また、Fはカルボキシル基を有する構成単位を有するリビニルアセタール樹脂のカルボキシル基を有する構成単位の含有量(モル%)を表し、Gはカルボキシル基を有する構成単位を有するポリビニルアセタール樹脂の重量を表し、Hはポリビニルアセタール樹脂全体の重量を表す。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、重量平均分子量(Mw)の好ましい下限が25,000、より好ましい下限が70,000、好ましい上限が1,400,000、より好ましい上限が1,200,000である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、数平均分子量(Mn)の好ましい下限が15,000、より好ましい下限が40,000、好ましい上限が500,000、より好ましい上限が400,000である。
本発明のポリビニルアセタール樹脂は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の好ましい下限が2.0、より好ましい下限が2.2、好ましい上限が4.0、より好ましい上限が3.7である。
上記Mw、Mnは例えば、適切な標準(例えば、ポリスチレン標準)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。上記Mw、Mnを測定する際に用いるカラムとしては、例えば、TSKgel SuperHZM−H等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、通常、ポリビニルアルコールをアセタール化することにより製造することができる。
上記ポリビニルアルコール樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系樹脂をアルカリ、酸、アンモニア水等によりけん化することにより製造された樹脂等の従来公知のポリビニルアルコール樹脂を用いることができる。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、完全けん化されていてもよいが、少なくとも主鎖の1カ所にメソ、ラセモ位に対して2連の水酸基を有するユニットが最低1ユニットあれば完全けん化されている必要はなく、部分けん化ポリビニルアルコール樹脂であってもよい。また、上記ポリビニルアルコール樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等、ビニルアルコールと共重合可能なモノマーとビニルアルコールとの共重合体も用いることができる。
上記ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、結晶化度が37%以下であることが好ましく、33%以下であることがより好ましい。
上記ポリビニルアルコール樹脂を用いることにより、上記方法により測定した未溶解物の個数を所定の範囲とすることができる。
なお、上記結晶化度は、示差走査熱量分析(DSC)により測定することができる。
上記ポリビニルアルコール樹脂は、ケン化度が70モル%以上99.4モル%以下であることが好ましく、78モル%以上98モル%以下であることがより好ましい。
上記ポリビニルアルコール樹脂を用いることにより、上記方法により測定した未溶解物の個数を所定の範囲とすることができる。
上記アセタール化は、公知の方法を用いることができ、水溶剤中、水と水との相溶性のある有機溶剤との混合溶剤中、あるいは有機溶剤中で行うことが好ましい。
上記水との相溶性のある有機溶剤としては、例えば、アルコール系有機溶剤を用いることができる。
上記有機溶剤としては、例えば、アルコール系有機溶剤、芳香族有機溶剤、脂肪族エステル系溶剤、ケトン系溶剤、低級パラフィン系溶剤、エーテル系溶剤、アミド系溶剤、アミン系溶剤等が挙げられる。
上記アルコール系有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。
上記芳香族有機溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、安息香酸メチル等が挙げられる。
上記脂肪族エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
上記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
上記低級パラフィン系溶剤としては、ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン、デカン等が挙げられる。
上記エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
上記アミド系溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルテセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトアニリド等が挙げられる。
上記アミン系溶剤としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、ジn−ブチルアミン、トリn−ブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン等が挙げられる。
これらは、単体で用いることもできるし、2種以上の溶剤を混合で用いることもできる。これらのなかでも、樹脂に対する溶解性及び精製時の簡易性の観点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランが特に好ましい。
上記アセタール化は、酸触媒の存在下において行うことが好ましい。
上記酸触媒は特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好ましく、塩酸が特に好ましい。
上記アセタール化に用いられるアルデヒドとしては、炭素数1〜10の鎖状脂肪族基、環状脂肪族基又は芳香族基を有するアルデヒドが挙げられる。これらのアルデヒドとしては、従来公知のアルデヒドを使用できる。上記アセタール化反応に用いられるアルデヒドは、特に限定されるものではなく、例えば、脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド等が挙げられる。
上記脂肪族アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、アミルアルデヒド等が挙げられる。
上記芳香族アルデヒドとしては、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。
これらのアルデヒドは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。アルデヒドとしては、なかでも、アセタール化反応性に優れ、生成する樹脂に充分な内部可塑効果をもたらし、結果として良好な柔軟性を付与することができるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−ノニルアルデヒドが好ましい。また、耐衝撃性及び金属との接着性に特に優れる接着剤組成物を得られることから、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒドがより好ましい。
上記アルデヒドの添加量としては、目的とするポリビニルアセタール樹脂のアセタール基量にあわせて適宜設定することができる。特に、ポリビニルアルコール100モル%に対して、60〜95モル%、好ましくは65〜90モル%とすると、アセタール化反応が効率よく行われ、未反応のアルデヒドも除去しやすいため好ましい。
また、反応後の保持時間は、他の条件にもよるが、1.5時間以上であることが好ましく、2時間以上であることがより好ましい。上記保持時間とすることで、アセタール化反応を充分に進行させることができる。
反応後の保持温度は、15℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。上記保持温度とすることで、アセタール化反応を充分に進行させることができる。
また、上記カルボキシル基を有する構成単位を有するポリビニルアセタール樹脂を合成する方法は特に限定されない。例えば、上記式(13−1)で表される構成単位となるα−ジカルボキシモノマー又は上記式(13−2)で表される構成単位となるモノカルボキシモノマーと、酢酸ビニルとを共重合させることによって得られたポリ酢酸ビニルをケン化し得られたポリビニルアルコール樹脂を、従来公知の方法によりアセタール化する方法が挙げられる。また、未変性のポリビニルアルコール樹脂をメルカプトプロピオン酸等のカルボキシル基を有する化合物と反応させて後変性して得られたカルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂を、従来公知の方法によりアセタール化する方法が挙げられる。更に、未変性のポリビニルアセタール樹脂をメルカプトプロピオン酸等のカルボキシル基を有する化合物と反応させて後変性する方法が挙げられる。
なかでも、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂を、従来公知の方法によりアセタール化する方法が好ましい。すなわち、上記カルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂は、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂のアセタール化物であることが好ましい。
また、上記ポリ酢酸ビニルを共重合により作製する際に用いるα−ジカルボキシモノマー又はモノカルボキシモノマーがメチルエステルであると、ケン化前に酢酸ビニル由来のアセチル基を加水分解することがないので、後のケン化工程でポリビニルアルコール樹脂を作製する際により高ケン化とすることができ、好ましい。更に、ケン化工程において、添加する水酸化ナトリウム量を削減することができることから、ポリビニルアルコール樹脂、ひいてはカルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂のナトリウムイオン含有量を減少させることが可能となる。
上記α−ジカルボキシモノマー又はモノカルボキシモノマーがメチルエステルであった場合でも、後のケン化工程によって、加水分解が行われるため、得られるポリビニルアルコール樹脂はエステルを含まないカルボン酸単位をもつものとなる。
なお、上記式(13−1)で表される構成単位となるα−ジカルボキシモノマーのうち、X、Xが水素原子又は金属原子であるモノマーを用いた場合、ケン化時に酢酸ビニル由来のアセチル基の加水分解に消費される水酸化ナトリウムの量が多くなる。このため、得られるカルボン酸変性ポリビニルアセタール樹脂は、ナトリウムイオン含有量が比較的多いものとなることがある。
本発明の接着剤組成物において、上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましい下限が1重量%、より好ましい下限が8重量%、好ましい上限が30重量%、より好ましい上限が15重量%である。
本発明の接着剤組成物は、エポキシ樹脂を含有する。
上記エポキシ樹脂を含有することで、加熱等によりエネルギーを印加することで架橋させることが可能となり、高い接着性を実現することができる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、単官能エポキシ化合物、2官能エポキシ化合物、3官能以上のエポキシ化合物等の多官能エポキシ化合物が挙げられ、単官能エポキシ化合物及び2官能エポキシ化合物を含むことがより好ましい。
上記単官能エポキシ化合物としては、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、脂肪族系エポキシ樹脂、芳香族系エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有することが好ましい。
上記グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記脂肪族系エポキシ樹脂としては、ブチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル等の脂肪族アルコールのグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記芳香族系エポキシ樹脂としては、フェニルグリシジルエーテル、4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル等が挙げられる。
なかでも、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。
上記2官能エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、2官能のナフタレン型エポキシ樹脂等の2官能の芳香族系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル等の2官能の脂環式エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ダイマー酸ジグリシジルエステル等の2官能のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン等の2官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、2官能の複素環式エポキシ樹脂、2官能のジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル等のヒドロキノン型エポキシ樹脂、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ブテンジオールジグリシジルエ
ーテル、ブチンジオールジグリシジルエーテル等の2官能のアルキレングリシジルエーテル系化合物、1,3−ジグリシジル−5,5−ジアルキルヒダントイン、1−グリシジル−3−(グリシドキシアルキル)−5,5−ジアルキルヒダントイン等の2官能のグリシジル基含有ヒダントイン化合物、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,β−ビス(3−グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン等の2官能のグリシジル基含有シロキサン、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、これらの変性物等が挙げられる。これらの2官能エポキシ化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、反応性及び作業性の点から、ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル等の2官能の脂環式エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルが好適である。
上記3官能以上のエポキシ化合物としては、例えば、3官能以上のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等の3官能以上の芳香族系エポキシ樹脂、3官能以上の脂環式エポキシ樹脂、3官能以上のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェニルメタン、トリグリシジル−m−アミノフェニルメタン、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン等の3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、3官能以上の複素環式エポキシ樹脂、3官能以上のジアリールスルホン型エポキシ樹脂、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の3官能以上のアルキレングリシジルエーテル系化合物、3官能以上のグリシジル基含有ヒダントイン化合物、3官能以上のグリシジル基含有シロキサン、これらの変性物等が挙げられる。これらの3官能以上のエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ樹脂が2官能の芳香族系エポキシ樹脂及び/又は3官能以上の芳香族系エポキシ樹脂(以下、多官能芳香族系エポキシ樹脂ともいう)を含有する場合、上記エポキシ樹脂中の上記多官能芳香族系エポキシ樹脂の含有量は、好ましい上限が40重量%である。
上記多官能芳香族系エポキシ樹脂の含有量が40重量%以下であると、ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂との相溶性を充分に向上させて、接着剤組成物がゲル化することを抑制して、接着性を充分に向上させることができる。
上記多官能芳香族系エポキシ樹脂の含有量のより好ましい上限は20重量%である。上記多官能芳香族系エポキシ樹脂の含有量の下限は特に限定されないが、好ましい下限が0重量%である。
本発明の接着剤組成物が多官能芳香族系エポキシ樹脂を含有する場合、本発明の接着剤組成物中の多官能芳香族系エポキシ樹脂の含有量は、好ましい上限が25重量%である。
上記多官能芳香族系エポキシ樹脂の含有量が25重量%以下であると、ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂との相溶性を充分に向上させて、接着剤組成物がゲル化することを抑制して、接着性を充分に向上させることができる。
上記多官能芳香族系エポキシ樹脂の含有量のより好ましい上限は5重量%である。上記多官能芳香族系エポキシ樹脂の含有量の下限は特に限定されないが、好ましい下限が0重量%である。
本発明の接着剤組成物中、上記エポキシ樹脂の含有量は、好ましい下限が50重量%、より好ましい下限が75重量%、好ましい上限が95重量%、より好ましい上限が85重量%である。
本発明の接着剤組成物が単官能エポキシ化合物を含有する場合、本発明の接着剤組成物中の上記単官能エポキシ化合物の含有量は、好ましい下限が40重量%、好ましい上限が70重量%である。
上記単官能エポキシ化合物の含有量が、上記好ましい下限以上、かつ、上記好ましい上限以下であると、得られる接着剤組成物を硬化させた際の引張破断歪み及び上降伏点応力を好適な範囲に調整しやすくなる。
上記単官能エポキシ化合物の含有量は、より好ましい下限が50重量%、より好ましい上限が60重量%である。
本発明の接着剤組成物が単官能エポキシ化合物及び2官能エポキシ化合物を含有する場合、本発明の接着剤組成物中の上記単官能エポキシ化合物の含有量と上記2官能エポキシ化合物の含有量との比(単官能エポキシ化合物の含有量/2官能エポキシ化合物の含有量)は、好ましい下限が1/8.5、より好ましい下限が1/4、好ましい上限が7/1、より好ましい上限が5/1である。
上記エポキシ樹脂は、エポキシ当量(エポキシ基1つ当たりの分子量)の好ましい下限が100、好ましい上限が600である。
なお、上記エポキシ樹脂が種類の異なる複数のエポキシ化合物を含有する場合、上記エポキシ当量は、各エポキシ化合物のエポキシ当量及び配合割合から算出される平均エポキシ当量を意味する。
本発明の接着剤組成物が単官能エポキシ化合物及び2官能エポキシ化合物を含有する場合、上記単官能エポキシ化合物のエポキシ当量と上記2官能エポキシ化合物のエポキシ当量との比(単官能エポキシ化合物のエポキシ当量/2官能エポキシ化合物のエポキシ当量)は、好ましい下限が1/7、好ましい上限が5/1である。
上記エポキシ樹脂の分子量は、好ましい下限が100、好ましい上限が600である。
本発明の接着剤組成物が単官能エポキシ化合物及び2官能エポキシ化合物を含有する場合、上記単官能エポキシ化合物の分子量と上記2官能エポキシ化合物の分子量との比(単官能エポキシ化合物の分子量/2官能エポキシ化合物の分子量)は、好ましい下限が1/6、好ましい上限が2/1である。
本発明の接着剤組成物において、上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量と上記エポキシ樹脂の含有量との比(ポリビニルアセタール樹脂の含有量/エポキシ樹脂の含有量)は、好ましい下限が1/19、より好ましい下限が1/17、好ましい上限が1/1、より好ましい上限が1/3である。
本発明の接着剤組成物が単官能エポキシ化合物を含有する場合、本発明の接着剤組成物における上記ポリビニルアセタール樹脂の含有量と上記単官能エポキシ化合物の含有量との比(ポリビニルアセタール樹脂の含有量/単官能エポキシ化合物の含有量)は、好ましい下限が1/5、より好ましい下限が1/4、さらに好ましい下限が1/3、よりさらに好ましい下限が1/2、好ましい上限が3/1、より好ましい上限が2/1である。
本発明の接着剤組成物中の上記エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の総数と上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれる水酸基の総数との比率(エポキシ基数/水酸基数)は1.0以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましく、8.0以上であることが更に好ましく、9.0以上であることが更により好ましく、30.0以下であることが好ましく、25.0以下であることがより好ましく、20.0以下であることが更に好ましく、15.0以下であることが更により好ましい。
上記エポキシ基数は、本発明の接着剤組成物中のエポキシ樹脂の含有量、及び、エポキシ当量に基づいて算出することができる。
また、上記水酸基数は、上記式(11)で表される水酸基を有する構成単位を構成する水酸基の数を意味し、本発明の接着剤組成物中のポリビニルアセタール樹脂の含有量、ポリビニルアセタール樹脂の平均重合度、各構成単位の分子量、各構成単位の含有量に基づいて算出することができる。また、本発明の接着剤組成物中のポリビニルアセタール樹脂の含有量、及び、水酸基当量に基づいて算出することができる。
本発明の接着剤組成物は、上記ポリビニルアセタール樹脂における上記ピークの波数A及びCとエポキシ樹脂のエポキシ当量が下記式(15)の関係を満たすことが好ましい。
0.1≦(C−A)/エポキシ当量≦2.0 (15)
上記関係を満たすことで、より高い接着強度を発現することができる。
上記(C−A)/エポキシ当量は、より好ましい下限が0.3、更により好ましい下限が0.5、より好ましい上限が1.5、更により好ましい上限が1.2である。
本発明の接着剤組成物は、更に、上記ポリビニルアセタール樹脂、上記エポキシ樹脂の他に架橋剤を含んでもよい。
上記架橋剤としては、ハロヒドリン化合物、ハロゲン化合物、イソシアネート化合物、ビスアクリルアミド化合物、尿素化合物、グアニジン化合物、ジカルボン酸化合物、不飽和カルボン酸化合物、不飽和カルボン酸エステル化合物、アルデヒド化合物等が挙げられる。
上記ハロヒドリン化合物としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。
上記ハロゲン化合物としては、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン等が挙げられる。
上記イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記ビスアクリルアミド化合物としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
上記尿素化合物としては、尿素、チオ尿素等が挙げられる。
上記グアニジン化合物としては、グアニジン、ジグアニド等が挙げられる。
上記ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、アジピン酸等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。
上記アルデヒド化合物としては、グリオキサール、グルタルアルデヒド、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、アジピンアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられる。
これらは単独でも、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。これら架橋剤は、必要であれば、水やアルコールなどの有機溶媒に溶かして使用することもできる。
本発明の接着剤組成物は、更に、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤を含んでもよい。
上記硬化剤としては、例えば、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、芳香族アミン化合物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等が挙げられる。なかでも、ジシアンジアミドが好ましい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。なかでも、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イミダゾール化合物が好ましい。
本発明の接着剤組成物中の上記硬化剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、より好ましい下限が1.0重量部、好ましい上限が100重量部、より好ましい上限が50重量部である。
本発明の接着剤組成物中の上記硬化促進剤の含有量は、上記エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.5重量部、より好ましい下限が1.0重量部、好ましい上限が30重量部、より好ましい上限が10重量部である。
本発明の接着剤組成物において、上記硬化剤の含有量と上記硬化促進剤の含有量との比(硬化剤の含有量/硬化促進剤の含有量)は、0.5/2〜20/2であることが好ましく、3/2〜8/2であることがより好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、ケトン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、エステル類等が挙げられる。
上記ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等が挙げられる。
上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素類としては、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記エステル類としては、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
また、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等を用いることもできる。
本発明の接着剤組成物中の上記有機溶剤の含有量は、好ましい上限が5.0重量%であり、0重量%であることが特に好ましい。
本発明の接着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、粘着付与樹脂、接着力調整剤、乳化剤、抗酸化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、ワックス等の公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明の接着剤組成物を架橋させる方法は、加熱による方法が挙げられる。加熱により熱硬化させる場合、加熱温度は特に限定されないが、50〜170℃であることが好ましい。加熱温度が50℃以上であると、架橋を充分に進行させて強度を良好なものとすることができる。また、加熱温度が170℃以下であると、上記ポリビニルアセタール樹脂の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。上記加熱温度のより好ましい下限は60℃、より好ましい上限は150℃である。
また、加熱時間も特に限定されないが、好ましい下限は5分間、好ましい上限は10時間である。加熱時間が5分間以上であると架橋を充分に進行させて、充分な強度を得ることができる。また、加熱時間が10時間以下であると上記ポリビニルアセタール樹脂の熱劣化が起こることがなく、充分な特性を発揮することができる。
本発明の接着剤組成物は、多種多様な素材について、高い接着性を発揮できることから、電子機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末等)を構成する部品を機器本体に接着固定する用途に好適に用いることができる。具体的には、本発明の接着剤組成物は、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したりするための接着剤として極めて有用である。
本発明の接着剤組成物を含む微小領域固定用接着剤もまた、本発明の1つである。
なお、微小領域とは、接着面積が100mm以下、かつ、厚み100μm以下を意味する。
本発明によれば、エポキシ樹脂と相溶した場合に微細な未溶解物が少なく、接着剤中の欠陥の発生を防止して、高い接着強度を発現し得る接着剤組成物を提供することができる。また、該接着剤組成物を含む微小領域固定用接着剤を提供することができる。
本発明に係るポリビニルアセタール樹脂について、IR吸収スペクトル測定を行った場合のIR吸収スペクトルの一例である。 本発明に係るポリビニルアセタール樹脂について、IR吸収スペクトル測定を行った場合のIR吸収スペクトルの一例である。 DSC曲線の模式図である。 十字剥離強度の試験方法を示す斜視図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1及び2)
(ポリビニルアセタール樹脂の作製)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2400、ケン化度98.5モル%、結晶化度26%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド35gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
なお、ポリビニルアルコール樹脂の結晶化度は、以下の方法で測定した。
具体的には、ポリビニルアルコール樹脂について、熱分析装置(日立ハイテクサイエンス社製「DSC6200R」を用い、以下の測定条件により示差走査熱量分析を行い、2度目の昇温時の融解熱を測定して結晶化度を測定した。
<測定条件>
0℃(5分保持)→(昇温速度10℃/分で1度目の昇温)→270℃→(冷却速度10℃/分で冷却)→0℃(5分保持)→(昇温速度10℃/分で2度目の昇温)→270℃
なお、融解熱は、2度目の昇温において、100℃から270℃の間に現れるピークの面積から算出した。ピークの面積は、図3のようにA点及びB点を結んだ直線と、DSC曲線とに囲まれた領域の面積とした。ここで、A点は、170℃から高温側へのDSC曲線の直線近似部に沿って引いた直線と、DSC曲線とが離れた点とした。B点は、DSC曲線上で融解終了温度を示す点とした。結晶化度は、結晶化度100%のポリビニルアルコール樹脂の融解熱を156J/gとして算出した。
(樹脂シートの作製)
得られたポリビニルアセタール樹脂10重量部を、エタノール/トルエン混合溶剤(重量比1:1)90重量部に加え、攪拌溶解し樹脂シート用組成物を得た。
得られた樹脂シート用組成物を、コーターを用いて乾燥後の厚みが20μmとなるように離型処理したPETフィルム上に塗工、加熱乾燥させることにより、樹脂シートを作製した。
(接着剤組成物の作製)
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合して接着剤組成物を得た。
なお、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤としては、以下のものを用いた。
<エポキシ樹脂>
(単官能エポキシ化合物)
4−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル(ADEKA社製、ED−509S、エポキシ当量206)
(2官能エポキシ化合物)
ジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル(ADEKA社製、EP−4088L、エポキシ当量165)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、jER828、エポキシ当量190)
<硬化剤>
2−メチルイミダゾール(四国化成工業社製、2MZ−H)
<硬化促進剤>
ジシアンジアミド(三菱ケミカル社製、DICY)
(実施例3)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度300、ケン化度98.5モル%、結晶化度29%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド25gとn−ブチルアルデヒド45gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物及び樹脂シートを得た。
(実施例4)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度1700、ケン化度99.0モル%、結晶化度35%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド50gとn−ブチルアルデヒド30gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例5)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.7モル%、結晶化度28%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド35gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例6)
カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド25gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
なお、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂は、式(13−1)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(13−1)中、R1が単結合、Rがメチレン基、X、Xが水素原子)を有し、平均重合度が2300、ケン化度が87.5モル%、カルボキシル基量が0.3モル%、結晶化度が22%である。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例7)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度600、ケン化度98.5モル%、結晶化度37%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド75gを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例8)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度300、ケン化度98.5モル%、結晶化度29%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド75gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例9)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.3モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド75gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例10)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2400、ケン化度98.0モル%、結晶化度28%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド75gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例11)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.0モル%、結晶化度26%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド75gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例12)
カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド75gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
なお、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂は、式(13−1)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(13−1)中、R1が単結合、Rがメチレン基、X、Xが水素原子)を有し、平均重合度が1900、ケン化度が97.5モル%、カルボキシル基量が1.0モル%、結晶化度が24%である。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例13)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度90.0モル%、結晶化度25%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド30gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物及び樹脂シートを得た。
(実施例14)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.5モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド25gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物及び樹脂シートを得た。
(実施例15)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.5モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド60gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物及び樹脂シートを得た。
(実施例16)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.5モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド75gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物及び樹脂シートを得た。
(実施例17)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.5モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド35gとn−ブチルアルデヒド35gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物及び樹脂シートを得た。
(実施例18)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度87.5モル%、結晶化度22%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド70gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物及び樹脂シートを得た。
(実施例19)
カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド35gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
なお、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂は、式(13−1)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(13−1)中、R1が単結合、Rがメチレン基、X、Xが水素原子)を有し、平均重合度が2400、ケン化度が98.5モル%、カルボキシル基量が2.5モル%、結晶化度が26%である。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例20)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度250、ケン化度98.5モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド35gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例21)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度80.0モル%、結晶化度20%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド30gとn−ブチルアルデヒド10gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例22)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度99.0モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド45gとn−ブチルアルデヒド40gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例23)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度99.0モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド85gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例24)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度80.0モル%、結晶化度20%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド5gとn−ブチルアルデヒド50gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例25)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.0モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド55gとn−ブチルアルデヒド30gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例26)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.0モル%、結晶化度30%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド35gとn−ブチルアルデヒド20gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(実施例27)
カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド35gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
なお、カルボン酸変性ポリビニルアルコール樹脂は、式(13−1)で表されるカルボキシル基を有する構成単位(式(13−1)中、R1が単結合、Rがメチレン基、X、Xが水素原子)を有し、平均重合度が2400、ケン化度が98.5モル%、カルボキシル基量が3.5モル%、結晶化度が30%である。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(比較例1)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2400、ケン化度98.5モル%、結晶化度38%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド35gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(比較例2)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2400、ケン化度98.5モル%、結晶化度38%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド40gとn−ブチルアルデヒド35gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(比較例3)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度300、ケン化度98.5モル%、結晶化度40%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド35gとn−ブチルアルデヒド45gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(比較例4)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度300、ケン化度98.5モル%、結晶化度40%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド75gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(比較例5)
ポリビニルアルコール樹脂(平均重合度2000、ケン化度98.5モル%、結晶化度34%)100gを、純水1000gに加えて90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、塩酸(濃度35重量%)90gとアセトアルデヒド75gとを溶液に添加した。液温を10℃に下げ、この温度を保持してアセタール化反応を行った。その後、40℃で、1時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、表1に示す通りにポリビニルアセタール樹脂、エポキシ樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を混合した以外は実施例1と同様にして樹脂シート及び接着剤組成物を得た。
(評価)
実施例1〜27及び比較例1〜5で得られたポリビニルアセタール樹脂、接着剤組成物及び樹脂シートについて、以下の評価を行った。結果を表1及び2に示した。
(1)ポリビニルアセタール樹脂の評価
(1−1)アセタール基量、水酸基量、アセチル基量
得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−Dに10重量%の濃度で溶解し、13C−NMRを用いて、アセタール基量、水酸基量、アセチル基量を測定した。
(1−2)IR吸収スペクトル
得られたポリビニルアセタール樹脂を重量比1:1のエタノール・トルエン混合溶液に溶解し、次いで、PETフィルム上に塗工し、C−H結合の伸縮振動に由来する2980cm−1付近に出現するピークの最小透過率が22%になるよう、測定サンプルの膜厚を調整し、ポリビニルアセタール樹脂シートを得た。得られたポリビニルアセタール樹脂シートについて、20℃の条件で赤外分光光度計(HORIBA社製、FT−720)によりIR吸収スペクトルを測定した。測定結果について、波数3100〜3700cm−1の範囲内において出現したピークに対してベースラインを引き、ピークの両端の透過率が100%となるよう補正したデータに対してピーク分析を実施して、最小透過率X、透過率a、ピークの波数A及びBを測定した。
(1−3)直径0.5〜1.0μmの粒子の個数、及び、割合(体積%)
得られたポリビニルアセタール樹脂を重量比1:1のエタノール・トルエン混合溶液に対して0.2重量%となるように溶解した。得られた溶液10mlの粒子径分布をパーティクルカウンター(リオン社製、KS−42C)を用いて測定し、1ml当たりの直径0.5〜1.0μmの粒子の個数を測定した。0.5〜1.0μmの粒子について、直径0.75μmの真球と仮定して粒子の体積を算出し、得られた測定結果に基づいて直径0.5〜1.0μmの粒子の割合(体積%)を算出した。
(2)樹脂シートの評価
(引張弾性率、上降伏点応力、伸度)
得られた樹脂シートをPETフィルムから剥離し、剥離したシートについて、JIS K 7113に準拠した方法により、AUTOGRAPH(AGS−J、島津製作所社製)を用いて、引張速度20mm/分の条件にて、引張弾性率(MPa)、上降伏点応力(MPa)、伸度(%)を測定した。
(3)接着剤組成物の評価
(3−1)ゲル分率
接着組成物のサンプル約0.1g(w1)に、トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒40gを加え、24時間撹拌させることによって、再溶解させ、あらかじめ質量を測定した200メッシュのステンレス金網(w2)で固液分離を行う。その後ステンレス金網を取り出し、100℃、1時間真空乾燥して質量(w3)を測定し,以下の計算式でゲル分率を算出した。
ゲル分率(%)={(w3−w2)/w1}×100
得られたゲル分率について、以下の基準で評価した。
なお、ゲル分率が高い場合、硬化性に優れているといえる。
◎:80%以上
○:40%以上、80%未満
△:10%以上、40%未満
×:10%未満
(3−2)貯蔵安定性
トルエンとエタノールを重量比1:1で混合した溶媒90gに接着剤組成物10gを加え溶解し、溶液サンプルを作製する。得られた溶液サンプルについて、B型粘度計を用いて、溶液サンプル作製直後と1か月後の粘度を測定し、溶液の粘度変化率を確認し、以下の基準で評価した。
◎:粘度変化率が10%未満
○:粘度変化率が10%以上、20%未満
△:粘度変化率が20%以上、30%未満
×:粘度変化率が30%以上
(3−3)せん断強度
サイズが長さ100mm×幅25mm×厚み1.6mmの試験片を2枚用意し、一方の試験片の端部に、得られた接着物を厚みが50μm、接着面の面積が100mmとなるように塗工し、もう一方の試験片を水平方向に重ね合わせて接着したあと、オーブンにて120℃で30分間加熱して接着物を得た。
得られた接着物について、JIS K 6850に準拠した方法により、テンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製、RTC−1350A)を用いて、測定温度20〜30℃、引張速度5mm/minの条件でせん断強度(MPa)を測定した。
なお、試験片としては、SPCC鋼板を用いた。
(3−4)十字剥離強度
サイズが長さ100mm×幅25mm×厚み1.6mmの試験片を2枚用意し、一方の試験片の中央に、得られた接着剤組成物を厚みが50μm、接着面の面積が100mmとなるように塗工し、もう一方の試験片を垂直方向に重ね合わせて接着したあと、オーブンにて120℃で30分間加熱して接着物を得た。
得られた接着物について、引張り試験装置(島津製作所社製、「EZ−Graph」)を用いて図4のような治具にて押し込み型の接着性試験(移動速度100mm/min)を行い、剥離強度を測定した。
なお、試験片としては、SPCC鋼板を用いた。
Figure 2021155722
Figure 2021155722
本発明によれば、エポキシ樹脂と相溶した場合に微細な未溶解物が少なく、接着剤中の欠陥の発生を防止して、高い接着強度を発現し得る接着剤組成物を提供することができる。
また、該接着剤組成物を含む微小領域固定用接着剤を提供することができる。

Claims (4)

  1. ポリビニルアセタール樹脂とエポキシ樹脂とを含有し、
    前記ポリビニルアセタール樹脂は、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて、波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの波数A(cm−1)、及び、水酸基量(モル%)が下記式(1)及び(2)の関係を満たす、接着剤組成物。
    [(3470−A)/水酸基量]≦5.0 (1)
    (3470−A)≦175 (2)
    A:波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100−(100−X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、3470cm−1よりも低波数側の波数
  2. ポリビニルアセタール樹脂は、赤外分光光度計により測定したIR吸収スペクトルにおいて、波数3100〜3700cm−1の間のピークの波数A(cm−1)、及び、ピークの波数B(cm−1)が下記式(3)の関係を満たす、請求項1に記載の接着剤組成物。
    (3470−A)/(B−3470)≦2.0 (3)
    B:波数3100〜3700cm−1の範囲内におけるピークの最小透過率をX(%)としたとき、[100−(100−X)/2]を満たす透過率a(%)を示す波数のうち、3470cm−1よりも高波数側の波数
  3. ポリビニルアセタール樹脂は、アセトアセタール基量が10〜85モル%、ブチラール基量が0〜50モル%、全アセタール基量に対するアセトアセタール基量の比率が0.2〜1.0である、請求項1又は2に記載の接着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物を含む微小領域固定用接着剤。
JP2021045997A 2020-03-25 2021-03-19 接着剤組成物及び微小領域固定用接着剤 Pending JP2021155722A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020054444 2020-03-25
JP2020054444 2020-03-25

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021155722A true JP2021155722A (ja) 2021-10-07

Family

ID=77916959

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021045997A Pending JP2021155722A (ja) 2020-03-25 2021-03-19 接着剤組成物及び微小領域固定用接着剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021155722A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6714061B2 (ja) 変性ポリビニルアセタール樹脂
JP6144437B1 (ja) 変性ポリビニルアセタール樹脂組成物
JP7291075B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JP7372847B2 (ja) エポキシ接着剤組成物
JP6420917B2 (ja) エポキシ接着剤組成物
JP2021155722A (ja) 接着剤組成物及び微小領域固定用接着剤
JP7044486B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JP6936052B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JP7431579B2 (ja) エポキシ接着剤組成物
JP7402048B2 (ja) エポキシ樹脂組成物
JP6871042B2 (ja) 変性ポリビニルアセタール樹脂組成物
JPWO2020138070A1 (ja) 可動部品固定用接着剤組成物、光学部品、電子部品、及び、電子モジュール
JP2021036060A (ja) エポキシ樹脂系接着剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231213