JP6711423B2 - 電磁波シールド用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、電磁波シールド用フィルムに関する。
従来、携帯電話、医療機器のように電磁波の影響を受けやすい電子部品や、半導体素子等の半導体電子部品、さらにはコンデンサー、コイル等の各種電子部品、またはこれらの電子部品が回路基板に実装された電子装置に対する、電磁波によるノイズの影響を軽減することが試みられてきた。例えば、これら電子部品または電子装置を、アルミやSUSのような金属カンシールドで封止するシールド方法が実施されてきた。
しかしながら、この金属カンシールドは、種類別に回路基板に配置された電子部品の集合体(部品集合体)に対して施され、その影響で回路基板上の各電子部品の配置には制約がある。このため、回路基板の設計自由度は、機能面からは必ずしも最良というわけではない。さらに、金属カンシールドにより部品集合体を封止することから、金属カンシールドと部品集合体との間に空間が生じるため、かかる部品集合体を備える電子機器の大型化を招くという問題があった。
かかる問題点を解消するために、回路基板上に配置された電子部品を封止材により封止することにより電子部品封止体を形成し、電子部品封止体の上面および側面を、金属薄膜層等で構成されるノイズ抑制層で被覆する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、電子部品封止体にノイズ抑制層を形成して電磁波によるノイズの影響を軽減する方法では、このノイズ抑制層が、主として、スパッタリング法を用いて製造される。この場合、スパッタリング法に用いる装置が、その操作が煩雑かつ高価であったり、生産性が低いと言った問題があった。
また、導電性粒子を含有する金属ペーストを用いたり、メッキ法を用いることによりノイズ抑制層を形成することも考えられるが、これらの方法によっても、種々の問題を有しているのが実情であった。
特開2015−130484号公報
本発明の目的は、電子部品を備える電子部品封止体にノイズ抑制層を、比較的容易に、かつ、優れた生産性をもって形成することができる電磁波シールド用フィルムを提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜()に記載の本発明により達成される。
(1) 基板と、該基板上に配置された電子部品と、前記電子部品を封止する封止部とを有する電子部品封止体に適用される電磁波シールド用フィルムであって、
前記電磁波シールド用フィルムは、基材層と、該基材層の一方の面側に積層されたノイズ抑制層とを備え、
前記封止部は、エポキシ樹脂を主材料として含有し、
前記基材層は、第1の層と、第2の層と、第3の層とがこの順で積層された3層構成をなす積層体であり、前記第3の層が前記ノイズ抑制層に接合され、前記第3の層は、ポリメチルペンテンで構成されており、
前記ノイズ抑制層は、前記封止部の上面および側面を被覆するように構成されており、粒子状をなす導電性材料と、バインダー樹脂としてのエポキシ樹脂とを含有し、前記ノイズ抑制層における前記エポキシ樹脂の含有量を、6重量%以上24重量%以下に設定することで、
JIS G 3469に準拠して、板状をなす前記封止部上に、幅25mmの前記ノイズ抑制層を貼付し、次いで、前記ノイズ抑制層を、その一端から、25℃において90°の方向に300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定されるピール強度をA[N/mm]とし、JIS G 3469に準拠して、板状をなす前記基材層上に、幅25mmの前記ノイズ抑制層を貼付し、次いで、前記ノイズ抑制層を、その一端から、25℃において90°の方向に300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定されるピール強度をB[N/mm]としたとき、4.0<A/B≦6.0なる関係を満足することを特徴とする電磁波シールド用フィルム。
) 前記導電性材料は、金属材料、金属酸化物材料、導電性高分子材料または導電性セラミックス材料のうちの少なくとも1種である上記()に記載の電磁波シールド用フィルム。
) 前記第1の層は、100℃における貯蔵弾性率が1.0E+05Pa以上1.0E+11Pa以下である上記(1)または(2)に記載の電磁波シールド用フィルム。
) 前記第2の層は、100℃における貯蔵弾性率が1.0E+04Pa以上1.0E+10Pa以下である上記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の電磁波シールド用フィルム。
本発明によれば、電子部品封止体の上面側に、基材層と、この基材層に積層されたノイズ抑制層とを有する電磁波シールド用フィルムを貼付し、その後、ノイズ抑制層から基材層を剥離すると言う、比較的容易な方法で電子部品封止体にノイズ抑制層を設けることが可能な、電磁波シールド用フィルムを提供することができる。
さらに、電磁波シールド用フィルムを電子部品封止連結体に適用することにより、1つの電子部品封止連結体から複数の電子部品封止体を一括して製造することができるので、電子部品封止体および電子装置の生産性の向上が図られる。
図1は、本発明の電磁波シールド用フィルムを用いて製造された半導体装置の実施形態を示す縦断面図である。 図2は、図1に示す半導体装置を製造する製造方法を説明するための縦断面図である。 図3は、図1に示す半導体装置を製造する製造方法を説明するための縦断面図である。 図4は、図1に示す半導体装置を製造するのに用いられる本発明の電磁波シールド用フィルムの縦断面図である。
以下、本発明の電磁波シールド用フィルムを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
以下では、本発明の電磁波シールド用フィルムを説明するのに先立って、まず、本発明の電磁波シールド用フィルムを用いて製造された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の電磁波シールド用フィルムを用いて製造された半導体装置の実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す半導体装置20は、厚さ方向に貫通して配置された導体ポスト(図示せず)を備えるインターポーザー(基板)25と、インターポーザー25上に配置された半導体素子26ならびにコンデンサー、コイルのような電子素子28と、半導体素子26および電子素子28を封止する封止部27(モールド部)と、封止部27およびインターポーザー25を被覆するノイズ抑制層3と、導体ポストに電気的に接続された配線23と、配線23に電気的に接続されたバンプ21(端子)と、配線23を被覆し、かつバンプ21を露出させるように設けられた被覆部22とを有している。
インターポーザー25は、半導体素子26および電子素子28を支持する基板であり、その平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。このインターポーザー25には、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔に対応して導体ポストが設けられている。
半導体素子26および電子素子28は、それぞれ、半導体素子26および電子素子28がその下面側に有する電極パッドが導体ポストに対応するように、インターポーザー25上に配置されている。本実施形態では、半導体素子26が1つ、電子素子28が2つそれぞれインターポーザー25上に配置されている。なお、本実施形態では、これら半導体素子26および電子素子28が、半導体装置20が備える電子部品を構成する。
かかる位置に半導体素子26および電子素子28が配置された状態で、封止部27は、半導体素子26、電子素子28およびインターポーザー25の上面側を覆うように形成される。
インターポーザー25の貫通孔に対応して形成された導体ポストは、その上側の端部で、半導体素子26または電子素子28が備える電極パッド(端子)と電気的に接続される。
また、インターポーザー25の下面には、所定形状に形成された配線23が設けられ、その一部が導体ポストの下側の端部と電気的に接続される。
さらに、配線23の下面には、球状体をなすバンプ21が電気的に接続されており、これにより、半導体素子26または電子素子28とバンプ21とが、電極パッド(端子)、導体ポストおよび配線23を介して電気的に接続される。また、バンプ21をその下側から露出させるための開口部221を備える被覆部22が配線23を被覆するように設けられている。
そして、ノイズ抑制層3は、封止部27の上面、封止部27の側面およびインターポーザー25の側面を被覆して設けられている。このノイズ抑制層3により、電磁波を遮断(シールド)して、電磁波によるノイズが抑制される。具体的には、このノイズ抑制層3により、インターポーザー25上に設けられた半導体素子26および電子素子28と、ノイズ抑制層3を介して、半導体素子26および電子素子28の外側すなわち半導体装置20の外側に位置する他の電子部品等との少なくとも一方から生じる電磁波を遮断(シールド)して、電磁波によるノイズが抑制される。なお、このノイズ抑制層3は、インターポーザー25の側面側において、図示しない配線を介して電気的に接地される。
なお、本実施形態では、電子部品を構成する半導体素子26および電子素子28を、それぞれ、1つおよび2つずつ半導体装置20が備えるが、かかる構成に限定されず、半導体装置(電子装置)は、いずれか1つを備えてもよく、上記以上の半導体素子26および電子素子28を備えてもよいし、さらに、半導体素子26および電子素子28とは異なる電子部品を備えてもよい。
(半導体装置20の製造方法)
以上のような構成をなす半導体装置20が、本発明の電磁波シールド用フィルムを用いた、以下に示す半導体装置20の製造方法により製造される。
本発明の電磁波シールド用フィルムを用いた半導体装置20の製造方法は、平板状をなすシート材を用意し、複数の電子部品をシート材上に配置する配置工程と、電子部品が配置されているシート材の上面側に、シート材と電子部品とを覆うように封止して封止部を形成することで電子部品封止連結体を得る封止部形成工程と、電子部品封止連結体の下面側に、基材と、基材に積層された粘着層とを有する粘着テープを、粘着層を電子部品封止連結体側にして貼付する第1貼付工程と、形成すべき電子部品封止体毎に対応するように、電子部品封止連結体を厚さ方向に切断して、凹部を形成することで、粘着テープに貼付された電子部品封止体を得る切断工程と、電子部品封止体の上面側に、剥離層と、剥離層に積層されたノイズ抑制層とを有する電磁波シールド用フィルムを、ノイズ抑制層を電子部品封止体側にして貼付して、凹部の形状に対応してノイズ抑制層を押し込むことで、ノイズ抑制層により電子部品封止体の上面および側面を被覆する第2貼付工程と、電磁波シールド用フィルムから、剥離層を剥離することで、粘着テープに貼付された状態で、ノイズ抑制層が設けられた電子部品封止体を得る第1剥離工程と、電子部品封止体から粘着テープを剥離することで、ノイズ抑制層が設けられた複数の電子部品封止体を一括して得る第2剥離工程と、インターポーザー(基板)の下面側に、配線を形成する配線形成工程と、インターポーザー(基板)の下面側に、配線の一部が露出するように、開口部を備える被覆部を形成する被覆部形成工程と、開口部で露出する配線に、バンプを電気的に接続するバンプ接続工程とを有する。
以下、これらの各工程について詳述する。
図2〜図3は、図1に示す半導体装置を製造する製造方法を説明するための縦断面図、図4は、図1に示す半導体装置を製造するのに用いられる本発明の電磁波シールド用フィルムの縦断面図である。なお、以下の説明では、図2〜図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1]まず、図2(a)に示すような、平板状をなすシート材25’を用意する。その後、このシート材25’上に複数の半導体素子26および電子素子28を配置(載置)する(図2(b)参照。;配置工程)。
なお、このシート材25’は、予め形成された複数の貫通孔(図示せず)を備え、さらに、これら貫通孔に対応して埋設された導体ポスト(図示せず)を備える。この導体ポストは、半導体素子26および電子素子28をシート材25’上に配置させた際に、半導体素子26および電子素子28が備える電極パッド(端子)が対応する位置に形成されている。すなわち、シート材25’は、貫通孔に対応して設けられた導体ポストの数と、シート材25’上に配置される複数の半導体素子26および電子素子28が備える電極パッド(端子)の総数とが同じになるように形成されている。
また、シート材25’は、その厚さ方向に切断して個片化することにより、半導体装置20が有するインターポーザー25(基板)となり、半導体素子26および電子素子28を支持する機能を発揮する。
このシート材25’は、半導体素子26および電子素子28を支持し得る程度の硬度を有していればよく、特に限定されない。例えば、シート材25’は、コア材で構成されるコア基板、ビルドアップ材で構成されるビルドアップ基板のようなリジット基板(硬性基板)またはフレキシブル基板(可撓性基板)の何れであってもよい。これらの中でも、特に、ビルドアップ基板が好ましい。ビルドアップ基板は、特に、加工性に優れることから好ましく用いられる。
ビルドアップ材料は、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有する樹脂組成物等の硬化物を主材料として構成される。
なお、コア基板は、特に限定されないが、例えば、主として、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂のような熱硬化性樹脂等で構成される。
さらに、フレキシブル基板は、特に限定されないが、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミドベンゾオキサゾール(PIBO)、液晶ポリマーのような熱可塑性樹脂等で構成される。
また、シート材25’上に半導体素子26および電子素子28を配置する際、半導体素子26および電子素子28は、シート材25’が備える導体ポストの位置に、それぞれ、半導体素子26および電子素子28が有する電極パッドが対応するように、シート材25’上に配置される。そして、このような配置により、形成すべき半導体装置20が備える半導体素子26および電子素子28が配置されるべき位置に、半導体素子26および電子素子28がシート材25’上において配置されることとなる。
なお、半導体素子26および電子素子28(特に半導体素子26)は、シート材25’上に固定されていても固定されていなくてもよいが、エポキシ系接着剤等の接着剤(アンダーフィル材)により固定されているのが好ましい。これにより、次工程[2]において、半導体素子26および電子素子28を封止部27で封止する際に、半導体素子26および電子素子28の位置ずれが生じてしまうのを効果的に防止することができる。
[2]次に、シート材25’の上面側の面(半導体素子26および電子素子28が配置されている側の面)に、シート材25’、半導体素子26および電子素子28を覆うように封止部27を形成する(図2(c)参照。;封止部形成工程)。
これにより、シート材25’、半導体素子26および電子素子28がシート材25’の上面側で封止部27により封止された電子部品封止連結体270が得られる。
封止部27は、エポキシ樹脂を主材料として含有する。このような封止部27を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、顆粒状のエポキシ樹脂組成物のような熱硬化性樹脂組成物を溶融させ、この状態の熱硬化性樹脂組成物を、シート材25’、半導体素子26および電子素子28を覆うようにシート材25’の上面に供給する。その後、この溶融状態の熱硬化性樹脂組成物を圧縮成形する。これにより、封止部27が形成される。かかる方法によれば、半導体素子26および電子素子28をシート材25’上において容易かつ高密度に封止部27で封止することができる。
[3]次に、基材4と、基材4に積層された粘着層2とを有する粘着テープ100を用意し、図2(d)に示すように、シート材25’の半導体素子26等が載置されていない面側(下面側)で、粘着テープ100を、粘着層2を電子部品封止連結体270側にして、電子部品封止連結体270に積層(貼付)する(第1貼付工程)。
この電子部品封止連結体270への粘着テープ100の貼付は、例えば、次のようにして行うことができる。まず、図示しないダイサーテーブルの上に、粘着テープ100を設置する。シート材25’の半導体素子26等と反対側の面と、粘着層2とが対向するように電子部品封止連結体270を粘着層2の上に設置する。この状態で、電子部品封止連結体270を軽く押圧する。これにより、電子部品封止連結体270が粘着テープ100に貼付される。なお、粘着テープ100に電子部品封止連結体270を予め貼着した後に、ダイサーテーブルに設置しても良い。
粘着テープ100(ダイシングテープ)は、粘着層2を介して基材4により電子部品封止連結体270を支持するとともに、粘着層2にエネルギーを付与することで、粘着層2の電子部品封止連結体270に対する粘着性が低下する機能を有する。
かかる構成の粘着テープ100において、基材4は、主として樹脂材料から成り、粘着層2を介して基材4上に貼付された電子部品封止連結体270を支持し得る程度の硬度を有する。この樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー、オレフィン系共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルケトン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着層2は、次工程[4]において、電子部品封止連結体270をダイシングして個片化することで電子部品封止体290を得る際に、電子部品封止連結体270(電子部品封止体290)に粘着して支持する機能を有している。また、この粘着層2は、粘着層2に対するエネルギーの付与により電子部品封止体290への粘着性が低下する。これにより、粘着層2は、粘着層2と電子部品封止体290との間で容易に剥離を生じさせ得る状態となる。
かかる機能を備える粘着層2は、例えば、(1)粘着性を有するベース樹脂と、(2)粘着層2を硬化させる硬化性樹脂とを主材料として含有する樹脂組成物で構成される。
このようなベース樹脂(1)としては、例えば、アクリル系樹脂(粘着剤)、シリコーン系樹脂(粘着剤)、ポリエステル系樹脂(粘着剤)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(粘着剤)、ポリビニルエーテル系樹脂(粘着剤)またはウレタン系樹脂(粘着剤)のような粘着層成分として用いられる公知のベース樹脂が挙げられる。
また、硬化性樹脂(2)は、例えば、エネルギーの付与により硬化する硬化性を備える。この硬化によってベース樹脂が硬化性樹脂の架橋構造に取り込まれた結果、粘着層2の粘着力が低下する。
このような硬化性樹脂(2)としては、例えば、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射によって三次元架橋可能な重合性炭素−炭素二重結合を、官能基として少なくとも2個以上分子内に有する低分子量化合物が用いられる。
また、粘着層2を構成する樹脂組成物には、上述した各成分(1)、(2)の他に他の成分として、光重合開始剤、架橋剤、帯電防止剤、粘着付与剤、老化防止剤、粘着調整剤、充填剤、着色剤、難燃剤、軟化剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
[4]次に、粘着テープ100が貼付された電子部品封止連結体270を、例えば、ウエハリング等を用いて固定する。その後、ダイシングソー(ブレード)を用いて、形成すべき半導体装置20(電子部品封止体290)毎に対応する位置、すなわち、半導体装置20が備えるべき1つの半導体素子26と2つの電子素子28とが封止部27で封止される領域毎に対応して、電子部品封止連結体270を厚さ方向に切断(ダイシング)して、凹部62を形成する(切断工程(ダイシング工程);図2(e)参照)。
これにより、電子部品封止連結体270が、1つの半導体素子26と2つの電子素子28との組み合わせ毎に対応して個片化された電子部品封止体290が粘着テープ100上に貼付された状態で得られる。
この際、粘着テープ100は、緩衝作用を有しており、電子部品封止連結体270を切断する際の割れ、欠け等を防止する機能を発揮する。
また、ダイシングブレードを用いた電子部品封止連結体270の切断は、本実施形態では、図2(e)に示すように、基材4の厚さ方向に、基材4の途中に到達するまで実施される。これにより、電子部品封止連結体270の個片化を確実に実施することができる。また、電子部品封止体290を粘着テープ100上に貼付させた状態で、個片化により形成される電子部品封止体290の側面、すなわち封止部27およびインターポーザー25の側面を凹部62において確実に露出させることができる。
[5]次に、剥離層1(基材層)と、剥離層1に積層されたノイズ抑制層3とを有する電磁波シールド用フィルム300を用意し、個片化で得られた電子部品封止体290の封止部27が形成されている面側(上面側)で、電子部品封止体290に、電磁波シールド用フィルム300を、ノイズ抑制層3を電子部品封止体290側にして、積層(貼付)する(第2貼付工程)。
この電子部品封止体290に電磁波シールド用フィルム300を貼付する方法としては、特に限定されないが、例えば、真空圧空成形またはプレス成型法が挙げられる。
真空圧空成形とは、例えば、真空加圧式ラミネーターを用いて、電磁波シールド用フィルム300で、個片化で得られた電子部品封止体290の上面および側面を被覆する方法である。まず、図2(f)に示すように、真空雰囲気下とし得る閉空間内に、電子部品封止体290の粘着テープ100と反対側の面と、電磁波シールド用フィルム300のノイズ抑制層3側の面とが対向するように、電子部品封止体290と電磁波シールド用フィルム300とを重ね合わせた状態でセットする。その後、これらを加熱下において、電磁波シールド用フィルム300側から均一に電磁波シールド用フィルム300と電子部品封止体290とが互いに接近するように、前記閉空間を真空雰囲気下にし、その後加圧する。このようにして、真空圧空成形が実施される。
このように、電磁波シールド用フィルム300側から均一に加圧しつつ、前記閉空間を真空雰囲気下とすることで、剥離層1が凹部62の形状に対応してノイズ抑制層3を押し込み、この押し込みに併せて、剥離層1よりも電子部品封止体290側に位置する、ノイズ抑制層3が凹部62の形状に対応して変形する。これにより、図3(a)に示すように、凹部62の形状に対応してノイズ抑制層3が押し込まれた状態で、ノイズ抑制層3により電子部品封止体290の上面および側面が被覆される。
このような第2貼付工程において、貼付する温度は、特に限定されないが、15℃以上220℃以下であることが好ましく、より好ましくは20℃以上210℃以下、さらに好ましくは150℃以上200℃以下である。
また、貼付する圧力は、特に限定されないが、0.1MPa以上20.0MPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.5MPa以上15.0MPa以下である。
さらに、貼付する時間は、特に限定されないが、5秒以上90分以下であることが好ましく、より好ましくは30秒以上10分以下である。
第2貼付工程における条件を上記範囲内に設定することにより、隣接する電子部品封止体290同士間の凹部62に対してノイズ抑制層3を押し込んだ状態で、このノイズ抑制層3により電子部品封止体290の上面および側面を確実に被覆することができる。
また、プレス成型法とは、例えば、次のような方法である。まず、粘着テープ100上に貼付された電子部品封止体290上に電磁波シールド用フィルム300を配置する。さらに、この電磁波シールド用フィルム300上に、クッション材を配置する。この状態で、これらを、その上面側および下面側から、2つの平板で挾持する。その後、2つの平板を接近させて、加圧する。このようにして、プレス成型法が実施される。
このように、電磁波シールド用フィルム300上に、クッション材を配置した状態で、電磁波シールド用フィルム300と電子部品封止体290とを接近させることによっても、剥離層1が凹部62の形状に対応してノイズ抑制層3を押し込み、この押し込みに併せて、剥離層1よりも電子部品封止体290側に位置する、ノイズ抑制層3を凹部62の形状に対応して変形させることができる。そのため、図3(a)に示すように、凹部62の形状に対応してノイズ抑制層3が押し込まれた状態で、ノイズ抑制層3により電子部品封止体290の上面および側面を被覆することができる。
ここで、本工程[5]において用いられる電磁波シールド用フィルム300は、隣接する電子部品封止体290同士間の凹部62に対してノイズ抑制層3を押し込んだ状態で、電子部品封止体290にノイズ抑制層3を被覆するために用いられる。すなわち、電磁波シールド用フィルム300は、電子部品封止体290に、封止部27の上面および側面ならびにインターポーザー25の側面を被覆する、ノイズ抑制層3を形成するように構成されている。電磁波シールド用フィルム300は、剥離層1(基材層)と、剥離層1の一方の面側に積層されたノイズ抑制層3とを有し、ノイズ抑制層3と電子部品封止体290とが対向するように、電子部品封止体290側に配置される(図2(f)、図4参照)。
このような電磁波シールド用フィルム300において、剥離層1は、凹部62の形状に追従してノイズ抑制層3を押し込むことで、電子部品封止体290の上面および側面を被覆する際に、押し込まれたノイズ抑制層3が破断するのを防止する保護(緩衝)材として機能する。また、剥離層1は、次工程[6]において、ノイズ抑制層3から剥離される。
また、剥離層1の100℃における貯蔵弾性率は、1.0E+04Pa以上1.0E+11Pa以下であるのが好ましく、1.0E+05Pa以上1.0E+10Pa以下であるのがより好ましく、1.0E+06Pa以上1.0E+09Pa以下であるのがさらに好ましい。このように、剥離層1の100℃における貯蔵弾性率を、前記範囲内に設定することにより、剥離層1は可撓性を有すると言うことができる。このため、電磁波シールド用フィルム300を用いて、電子部品封止体290の上面および側面を被覆する際に、ノイズ抑制層3に破断を生じさせることなくノイズ抑制層3を凹部62の形状に対応した状態で押し込むことができる。これにより、凹部62の形状に対応してノイズ抑制層3が押し込まれた状態で、ノイズ抑制層3により電子部品封止体290の上面および側面が被覆される。その結果、電子部品封止体290の上面および側面が、破断の発生が防止されたノイズ抑制層3をもって、被覆されるようになるため、このノイズ抑制層3による電磁波シールド(遮断)性が向上することとなる。
本実施形態では、剥離層1は、第3の層13と、第2の層12と、第1の層11とで構成され、これら各層が剥離層1のノイズ抑制層3が積層されている面側から、この順で積層される。上述した剥離層1の特性が発揮されるように、これら各層11〜13の種類、および厚さ等が適宜組み合わされる(図4参照)。
以下、これら各層11〜13について、それぞれ、説明する。
第1の層11は、第2貼付工程において、凹部62の形状に対応してノイズ抑制層3を、例えば、真空加圧式ラミネーター等を用いて押し込む際に、真空加圧式ラミネーター等が有する押圧部との離型性の機能を発揮する。また、第1の層11は、第2の層12側に押圧部からの押圧力を伝播する。
この第1の層(第1離型層)11の構成材料としては、特に限定されず、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、環状オレフィンポリマー、シリコーンのような樹脂材料が挙げられる。これらの中でも、ポリメチルペンテンを用いることが好ましい。このように、ポリメチルペンテンを有する第1の層11を用いることにより、第1の層11の装置との離型性、さらには耐熱性および形状追従性を向上させることができる。
第1の層11にポリメチルペンテンを用いる場合、その含有量は、特に限定されないが、60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上95重量%以下であることがより好ましい。ポリメチルペンテンの含有量が前記下限値未満である場合、第1の層11の離型性が低下するおそれがある。また、ポリメチルペンテンの含有量が前記上限値を超える場合、第1の層11の形状追従性が不足するおそれがある。
なお、第1の層11は、ポリメチルペンテンのみで構成されていても構わない。また、第1の層11は、ポリメチルペンテンの他に、さらにスチレン系エラストマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等を含有していてもよい。
第1の層11の平均厚さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上65μm以下であることがより好ましい。第1の層11の平均厚さが前記下限値未満である場合、第1の層11が破断し、その離型性が低下するおそれがある。また、第1の層11の平均厚さが前記上限値を超える場合、剥離層1の形状追従性が低下し、ノイズ抑制層3の形状追従性が低下するおそれがある。
また、第1の層11の100℃における貯蔵弾性率は、1.0E+05Pa以上1.0E+11Pa以下であるのが好ましく、5.0E+06Pa以上1.0E+10Pa以下であるのがより好ましい。第1の層11の貯蔵弾性率をかかる範囲内に設定することにより、電磁波シールド用フィルム300の加熱時において、第1の層11は、優れた伸縮性を有するため、ノイズ抑制層3の凹部62に対する形状追従性をより確実に向上させることができる。また、剥離層1全体としての貯蔵弾性率を前述した範囲内に比較的容易に設定することができる。
さらに、第1の層11の表面張力は、20〜40[mN/m]であるのが好ましく、25〜35[mN/m]であるのがより好ましい。かかる範囲内の表面張力を有する第1の層11を優れた離型性を備えると言うことができる。このため、真空加圧式ラミネーター等を用いた押し込みの後に、押圧部から第1の層11を剥離させることができる。
第3の層13は、第2貼付工程[5]において、凹部62に対するノイズ抑制層3の押し込みを、真空加圧式ラミネーター等を用いて実施した後に、第1剥離工程[6]において、剥離層1をノイズ抑制層3から剥離する際に、剥離層1に剥離性の機能を付与する。また、第3の層13は、凹部62の形状に追従する追従性の機能を有し、かつ、ノイズ抑制層3側に、押圧部からの押圧力を伝播する機能を併せ持つ。
この第3の層(第2離型層)13の構成材料としては、特に限定されず、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、環状オレフィンポリマー、シリコーンのような樹脂材料が挙げられる。これらの中でも、ポリメチルペンテンを用いることが好ましい。このように、ポリメチルペンテンを用いることにより、第3の層13のノイズ抑制層3との離型性、さらには耐熱性および形状追従性を向上させることができる。
第3の層13におけるポリメチルペンテンの含有量は、特に限定されないが、60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上95重量%以下であることがより好ましい。ポリメチルペンテンの含有量が前記下限値未満である場合、第3の層13の離型性が低下するおそれがある。また、ポリメチルペンテンの含有量が前記上限値を超える場合、第3の層13の形状追従性が不足するおそれがある。
なお、第3の層13は、ポリメチルペンテンのみで構成されていても構わないが、前記ポリメチルペンテンの他に、さらにスチレン系エラストマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等を含有していてもよい。また、第3の層13と、第1の層11とを構成する樹脂材料は、同じであっても異なっていても構わない。
第3の層13の平均厚さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上65μm以下であることがより好ましい。第3の層13の平均厚さが前記下限値未満である場合、耐熱性が不足し、第2貼付工程[5]で基材層の耐熱性が不足し、変形が発生し、ノイズ抑制層3が変形するおそれがある。また、第3の層13の平均厚さが前記上限値を超える場合、電磁波シールド用フィルム全体の総厚さが厚くなり、カット等の作業性が低下するおそれがあり、また、コスト面でも経済的ではない。
なお、第1の層11と、第3の層13の厚さは、同じであっても異なっていても構わない。
また、第3の層13の100℃における貯蔵弾性率は、1.0E+05Pa以上1.0E+11Pa以下であるのが好ましく、5.0E+06Pa以上1.0E+10Pa以下であるのがより好ましい。第3の層13の貯蔵弾性率をかかる範囲内に設定することにより、電磁波シールド用フィルム300の加熱時において、第3の層13は、優れた伸縮性を有する。このため、第3の層13、さらにはノイズ抑制層3の凹部62に対する形状追従性をより確実に向上させることができる。
さらに、第3の層13の表面張力は、20〜40[mN/m]であるのが好ましく、25〜35[mN/m]であるのがより好ましい。かかる範囲内の表面張力を有する第3の層13を優れた離型性を備えると言うことができる。このため、真空加圧式ラミネーター等を用いた押し込みの後に、剥離層1をノイズ抑制層3から剥離する際に、第3の層13とノイズ抑制層3との界面において、剥離層1を確実に剥離させることができる。
第2の層12は、第2貼付工程[5]において、剥離層1を押し込み用の基材として用いて凹部62に対してノイズ抑制層3を押し込む際に、第3の層13を、凹部62に対して押し込む(埋め込む)ためのクッション機能を有する。また、第2の層12は、この押し込む力を、第3の層13、さらには、この第3の層13を介してノイズ抑制層3に、均一に作用させる機能を有している。これにより、ノイズ抑制層3と凹部62との間にボイドを発生させることなく、ノイズ抑制層3を凹部62に対して優れた密閉性(追従性)をもって押し込むことができる。
この第2の層12(クッション層)の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロプレン等のαオレフィン系重合体、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン等を共重合体成分として有するαオレフィン系共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド等のエンジニアリングプラスチックス系樹脂が挙げられ、これらを単独あるいは複数併用してもよい。これらの中でも、αオレフィン系共重合体を用いることが好ましい。具体的には、エチレン等のαオレフィンと、(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体(EMMA)、およびそれらの部分イオン架橋物等が挙げられる。αオレフィン系共重合体は、形状追従性に優れ、さらに、第1の層11の構成材料と比較して柔軟性に優れる。このことから、かかる構成材料で構成される第2の層12に、第1の層11を凹部62に対して押し込む(埋め込む)ためのクッション機能を確実に付与することができる。
なお、第2の層12は、前述した第1の層11および第3の層13で挙げた構成材料と、第2の層12の構成材料とのブレンド体であってもよい。
第2の層12の平均厚さは、特に限定されないが、20μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上400μm以下であることがより好ましい。第2の層12の平均厚さが前記下限値未満である場合、第2の層12の形状追従性が不足し、第2貼付工程[5]で凹部62への追従性が不足するというおそれがある。また、第2の層12の平均厚さが前記上限値を超える場合、第2貼付工程[5]において、第2の層12からの樹脂のシミ出しが多くなる。このため、シミ出した樹脂が、圧着装置の熱盤に付着し、作業性が低下するというおそれがある。
また、第2の層12の100℃における貯蔵弾性率は、1.0E+04Pa以上1.0E+10Pa以下であるのが好ましく、1.0E+05Pa以上1.0E+09Pa以下であるのがより好ましい。第2の層12の貯蔵弾性率をかかる範囲内に設定することにより、電磁波シールド用フィルム300の加熱時において、第2の層12に、第1の層11と比較してより優れた伸縮性を容易に付与することができる。そのため、第2の層12、さらには第3の層13およびノイズ抑制層3の凹部62に対する形状追従性をより確実に向上させることができる。
なお、各層11〜13の貯蔵弾性率を、それぞれ、前述した範囲内において適宜設定することで、剥離層1の100℃における貯蔵弾性率を1.0E+04Pa以上1.0E+11Pa以下の範囲内に容易に設定することができる。また、各層11〜13の構成材料を適宜選択することで、ポリメチルペンテンを主材料として含有する剥離層(基材層)1を調製することができる。
剥離層1の全体の厚さは、特に限定されないが、20μm以上1000μm以下であることが好ましく、70μm以上500μm以下であることがより好ましい。剥離層1の全体の平均厚さが前記下限値未満である場合、第3の層13が破断し、剥離層1の離型性が低下するというおそれがある。また、剥離層1の全体の平均厚さが前記上限値を超える場合、剥離層1の形状追従性が低下し、ノイズ抑制層3の凹部62に対する形状追従性が低下するというおそれがある。
なお、この剥離層1の構成層数は、特に限定されず、上述したような3層構成を含む2層以上の多層構成であっても良いし、単層構成であっても良い。
また、剥離層1を単層構成とする場合、この剥離層1の構成材料としては、特に限定されず、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、無軸延伸ポリプロピレンおよび二軸延伸ポリプロピレン等のポリプロピレン、環状オレフィンポリマー、シリコーン、スチレンエラストマー樹脂、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、エポキシ樹脂、ポリフェノール、ポリウレタンのような樹脂材料が挙げられる。これらの中でも、ポリメチルペンテンを用いることが好ましい。これにより、剥離層1のノイズ抑制層3に対する押込み性、さらには耐熱性を向上させることができ、かつ、後述する第1剥離工程[6]時にノイズ抑制層3から離型性よく剥離層1を剥がすことができる。
さらに、この場合の剥離層1の厚さは、特に限定されないが、3μm以上2000μm以下であることが好ましく、5μm以上500μm以下であることがより好ましい。剥離層1の平均厚さが前記下限値未満である場合、剥離層1ひいてはノイズ抑制層3が破断し、その電磁波シールド性が低下するおそれがある。また、剥離層1の平均厚さが前記上限値を超える場合、剥離層1からノイズ抑制層3に対する押し込む力が十分に伝達されず、ノイズ抑制層3の凹部62に対する押し込み性が十分に得られないおそれがある。
ノイズ抑制層3は、電子部品封止体290が備える半導体素子26および電子素子28と、このノイズ抑制層3を介して、電子部品封止体290と反対側に位置する他の電子部品等とを、これらの少なくとも一方から生じる電磁波を遮断(シールド)する機能を有する。
このノイズ抑制層3(電磁波遮断層)は、特に限定されず、如何なる形態で電磁波を遮断してもよい。ノイズ抑制層3の形態としては、例えば、ノイズ抑制層3に入射した電磁波を反射させることにより遮断(遮蔽)する反射層と、ノイズ抑制層3に入射した電磁波を吸収することにより遮断(遮蔽)する吸収層とが挙げられる。
これら反射層および吸収層は、ともに、粒子状をなす導電性材料と、バインダー樹脂とを含有する構成をなすことが好ましい。また、導電性材料としては、金属材料、金属酸化物材料、導電性高分子材料または導電性セラミックス材料のうちの少なくとも1種を含有することが好ましい。以下、これら反射層および吸収層について、それぞれ、説明する。
反射層は、反射層に入射した電磁波を反射させることにより電磁波シールド性を発揮する。この反射層としては、例えば、導電性接着剤層、金属薄膜層、金属メッシュ、ITOなどの導電性材料の表面処理等が挙げられる。これらを単独あるいは併用してもよい。これらの中でも、導電性接着剤層を用いることが好ましい。導電性接着剤層は、その膜厚(平均厚さ)を比較的薄く設定したとしても、優れた電磁波シールド性を発揮するため、反射層として好ましく用いられる。
前記導電性接着剤層は、金属粉(金属材料)とバインダー樹脂とを含むように構成される。金属粉は例えば、金、銀、銅または銀コート銅、ニッケル等が挙げられる。これらの中でも、電磁波シールド性に優れているという理由から、銀を用いることが好ましい。また、バインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂などの各種樹脂材料を用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂などのフェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリルゴムなどのアクリル系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーのようなエラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、バインダー樹脂としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂およびアクリルゴムなどのアクリル系エラストマーを組み合わせて用いることが好ましい。バインダー樹脂が、熱硬化性樹脂およびアクリル系エラストマーを含む場合、バインダー樹脂の構成比率は、重量比で、熱硬化性樹脂:アクリル系エラストマー=3:2であることがより好ましい。
前記導電性接着剤層における金属粉とバインダー樹脂との含有比率は、特に限定されないが、重量比で20:80〜95:5であることが好ましく、40:60〜85:15であることがより好ましい。換言すれば、導電性接着剤層(ノイズ抑制層)におけるバインダー樹脂の含有量は、5−80重量%が好ましく、15−60重量%がより好ましい。
導電性接着剤層は、前記金属粉とバインダー樹脂との他に、さらに難燃剤、レベリング剤、粘度調整剤等を含有しても良い。
反射層の平均厚さ(E1)は、特に限定されないが、100nm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましい。
吸収層は、吸収層に入射した電磁波を吸収し、熱エネルギーに変換することにより電磁波シールド性を発揮する。
この吸収層としては、例えば、金属粉(金属材料)および導電性高分子材料等の導電吸収材料を主材料として構成される導電吸収層、炭素系材料および導電性高分子材料等の誘電吸収材料を主材料として構成される誘電吸収層、軟磁性金属等の磁性吸収材料を主材料として構成される磁性吸収層等が挙げられ、これらを単独あるいは併用してもよい。なお、この吸収層は、前記主材料の他に、上述したバインダー樹脂を含有することが好ましい。
なお、導電吸収層は、電界を印加した際に材料内部に流れる電流により、電磁エネルギーを熱エネルギーに変換することで、電磁波を吸収する。また、誘電吸収層は、電磁波を誘電損失により熱エネルギーに変換することで、電磁波を吸収する。また、磁性吸収層は、過電流損、ヒステリシス損、磁気共鳴等の磁性損失により、電波のエネルギーを熱に変換して消費することで、電磁波を吸収する。
これらの中でも、誘電吸収層、導電吸収層を用いることが好ましい。誘電吸収層および導電吸収層は、その膜厚(平均厚さ)を比較的薄く設定したとしても、特に優れた電磁波シールド性を発揮するため、吸収層として好ましく用いられる。また、その層中に含まれる材料の粒子径が小さいことやその添加量も少なくできることから、その膜厚を比較的容易に薄く設定することができ、また軽量化も可能である。
なお、導電吸収材料としては、例えば、導電性高分子材料、ATO等の金属酸化物材料、導電性セラミックス材料が挙げられる。
また、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、PEDOT(poly−ethylenedioxythiophene)、PEDOT/PSS、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
誘電吸収材料としては、炭素系材料、導電性高分子材料、セラミック材料等が挙げられる。
また、炭素系材料としては、例えば、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのようなカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、CNナノチューブ、CNナノファイバー、BCNナノチューブ、BCNナノファイバー、グラフェンや、カーボンマイクロコイル、カーボンナノコイル、カーボンナノホーン、カーボンナノウォールのような炭素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
セラミック材料としては、チタン酸バリウム、ペロブスカイト型チタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム結晶粒子、チタニア、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素および窒化アルミニウム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、磁性吸収材料としては、例えば、鉄、ケイ素鋼、磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)、センダスト(Fe−Si−Al合金)、パーマロイ(Fe−Ni合金)、ケイ素銅(Fe−Cu−Si合金)、Fe−Si合金、Fe−Si−B(−Cu−Nb)合金のような軟磁性金属、フェライト等が挙げられる。
吸収層の平均厚さ(E2)は、特に限定されないが、1μm以上300μm以下であることが好ましく、2μm以上100μm以下であることがより好ましい。
また、本発明では、封止部27は、エポキシ樹脂を主材料として含有し、剥離層(基材層)1は、ポリメチルペンテンを主材料として含有する。さらに、JIS G 3469に準拠して、板状をなす封止部27上に、幅25mmのノイズ抑制層3を100℃にて貼付し、次いで、ノイズ抑制層3を、その一端から、25℃において90°の方向に300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定されるピール強度をA[N/mm]とし、JIS G 3469に準拠して、板状をなす剥離層1(基材層)上に、幅25mmのノイズ抑制層3を100℃にて貼付し、次いで、ノイズ抑制層3を、その一端から、25℃において90°の方向に300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定されるピール強度をB[N/mm]としたとき、1<A/Bなる関係を満足するように、ノイズ抑制層3の構成材料、および厚さ等が適宜組み合わされる。これにより、次工程[6]において、電子部品封止体290(封止部27の上面および側面)に貼付された電磁波シールド用フィルム300から、剥離層1を、確実に剥離させることができる。
このような観点から、ノイズ抑制層3のバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル系エラストマーを組み合わせて用いることが特に好ましい。また、ノイズ抑制層3のバインダー樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびアクリル系エラストマーを含む場合、バインダー樹脂におけるこれら3種の樹脂材料の含有比率(バインダー樹脂の構成比率)が、重量比で、エポキシ樹脂:フェノール樹脂:アクリル系エラストマー=2:1:2であることがさらに好ましい。これにより、ノイズ抑制層3と、エポキシ樹脂を主材料とする封止部27との密着性を向上させることができる。その結果、ノイズ抑制層3と封止部27との間のピール強度(ピール強度A)は、ノイズ抑制層3と剥離層1との間のピール強度(ピール強度B)に比べて、高くなる。このため、剥離層1をノイズ抑制層3から剥離する際に、ノイズ抑制層3が、封止部27側に留まり易く、剥離層1側にノイズ抑制層3に由来する樹脂残りが発生し難くなると考えられる。なお、ノイズ抑制層3におけるエポキシ樹脂の含有量は、2重量%以上32重量%以下であることが好ましく、6重量%以上24重量%以下であることがより好ましい。これにより、剥離層1側へのノイズ抑制層3に由来する樹脂残りの発生を、より確実に防止することができる。
なお、ピール強度Aとピール強度Bとは、1<A/Bなる関係を満足すればよいが、1.5<A/Bなる関係を満足するのが好ましく、2<A/Bなる関係を満足するのがより好ましく、3.0<A/Bなる関係を満足するのがさらに好ましく、4.0<A/B<6.0なる関係を満足するのが特に好ましい。これにより、次工程[6]において、電磁波シールド用フィルム300から、剥離層1を、より確実に剥離させることができ、かつ、本工程[5]において、凹部62に対してノイズ抑制層3を押し込む際に、第3の層13とノイズ抑制層3との間で位置ずれが生じるのを的確に抑制または防止することができる。
なお、ピール強度A[N/mm]およびピール強度B[N/mm]は、それぞれ、例えば、引張試験機(エー・アンド・デイ社製、「TENSILON RTG−1310」)を用いて測定することができる。
[6]次に、図3(b)に示すように、電子部品封止体290に貼付された電磁波シールド用フィルム300から、剥離層1を剥離する(第1剥離工程)。
この第1剥離工程により、電磁波シールド用フィルム300における剥離層1とノイズ抑制層3との界面において、剥離が生じ、その結果、ノイズ抑制層3から剥離層1が剥離される。これにより、ノイズ抑制層3から剥離層1を剥離した状態で、ノイズ抑制層3により電子部品封止体290の上面および側面が被覆される。
すなわち、電子部品封止体290が、粘着テープ100上に貼付された状態で、ノイズ抑制層3が電子部品封止体290の上面および側面に設けられる。このような状態の電子部品封止体290が一括して複数形成される。
また、剥離層1を剥離する方法としては、特に限定されないが、例えば、手作業による剥離が挙げられる。
この手作業による剥離では、例えば、まず、剥離層1の一方の端部を把持し、この把持した端部から剥離層1をノイズ抑制層3から引き剥がす。次いで、この端部から剥離層1の中央部へさらには他方の端部へと順次剥離層1を引き剥がすことにより、ノイズ抑制層3から剥離層1が剥離される。
この剥離層1の剥離の際に、本発明では、前述の通り、ピール強度Aとピール強度Bとが1<A/Bなる関係を満足する。そのため、本工程において、剥離層1にノイズ抑制層3を残存させることなく、比較的容易に剥離層1をノイズ抑制層3から剥離させることができる。すなわち、剥離層1から電子部品封止体290(封止部27)の上面および側面に、ノイズ抑制層3を転写することができる。
なお、剥離する温度は、180℃以下であることが好ましく、より好ましくは165℃以下、さらに好ましくは20℃以上150℃以下である。
以上のような工程を経ることにより、ノイズ抑制層3から剥離層1を剥離した状態で、ノイズ抑制層3により電子部品封止体290の上面および側面を被覆することができる。
このように、本発明では、比較的容易な方法で電子部品封止体290にノイズ抑制層3を設けることができる。具体的には、電子部品封止体290にスパッタリング法を用いてノイズ抑制層3を形成する場合、用いる装置の操作が煩雑となったり、装置が高価となる問題がある。本発明では、このような問題がなく、電子部品封止体290側に、剥離層1とノイズ抑制層3とを有する電磁波シールド用フィルム300を貼付した後に、剥離層1を剥離すると言う、比較的容易な方法で電子部品封止体290にノイズ抑制層3を設けることができる。
[7]次に、図3(c)に示すように、電子部品封止体290から粘着テープ100を剥離する(第2剥離工程)。
この第2剥離工程では、粘着テープ100が備える粘着層2にエネルギーを付与することで、粘着層2の電子部品封止体290に対する粘着性を低下させる。これにより、粘着層2と電子部品封止体290との間で剥離が生じる状態とする。その後、電子部品封止体290から粘着テープ100を剥離する。
これにより、ノイズ抑制層3により上面および側面が被覆された電子部品封止体290を一括して複数形成することができることから、電子部品封止体290の生産性の向上が図られる。
粘着層2にエネルギーを付与する方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着層2にエネルギー線を照射する方法、粘着層2を加熱する方法等が挙げられる。これらの中でも、粘着層2にエネルギー線を粘着テープ100の基材4側から照射する方法を用いるのが好ましい。
かかる方法は、半導体素子26および電子素子28が不要な熱履歴を経る必要がなく、また、粘着層2に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギーを付与する方法として好適に用いられる。
また、エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、イオンビームのような粒子線等が挙げられる。なお、これらのエネルギー線を2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、特に、紫外線を用いるのが好ましい。紫外線によれば、粘着層2の電子部品封止体290に対する粘着性を効率よく低下させることができる。
[8]次に、図3(d)に示すように、電子部品封止体290のインターポーザー25側、すなわちインターポーザー25の半導体素子26および電子素子28とは反対の面側(下面側)に、導体ポストに電気的に接続するように、所定形状にパターニングされた配線23を形成する(配線形成工程)。
この配線23を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、I:電解メッキ法、無電解メッキ法のようなメッキ法を用いて配線23を形成する方法、II:導電性材料を含有する液状材料を電子部品封止体290のインターポーザー25側の面に供給し乾燥・固化することにより配線23を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、Iの方法、特に電解メッキ法を用いて配線23を形成するのが好ましい。電解メッキ法によれば、導体ポストに対して、優れた密着性を発揮する配線23を容易かつ確実に形成することができる。
[9]次に、図3(e)に示すように、電子部品封止体290のインターポーザー25側、すなわちインターポーザー25の半導体素子26および電子素子28とは反対の面側(下面側)に、配線23の一部が露出するように、開口部221を備える被覆部22を形成する(被覆部形成工程)。
なお、この開口部221は、次工程[10]において、バンプ21を形成する位置に対応するように形成される。
このような被覆部(被覆層)22は、通常、主としてNiで構成される下層上に、主としてAuで構成される上層を積層した積層体で構成され、例えば、無電解メッキ法を用いて形成される。
[10]次に、図3(f)に示すように、開口部221から露出する配線23に電気的に接続するようにバンプ21を形成する(バンプ接続工程)。
ここで、本実施形態のように、導体ポストとバンプ21との接続を、配線23を介して行う構成とすることにより、バンプ21を、インターポーザー25の面方向において、導体ポストとは異なる位置に配置することができる。換言すれば、バンプ21と導体ポストとの中心部が重ならないように、これらを配置することができる。したがって、得られる半導体装置20における下面の所望の位置にバンプ21を形成することができる。
このバンプ21を配線23に接合する方法としては、特に限定されないが、例えば、バンプ21と配線23との間に、粘性を有するフラックスを介在させることにより行われる。
また、バンプ21の構成材料としては、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材等が挙げられる。
以上のような工程を経て、半導体装置20が製造される。
このような半導体装置20の製造方法によれば、電子部品封止体290にスパッタリング法を用いてノイズ抑制層3を形成する場合のように、用いる装置の操作が煩雑となったり、装置が高価となることなく、前記工程[5]において、電子部品封止体290側に、剥離層1とノイズ抑制層3とを有する電磁波シールド用フィルム300を貼付した後に、前記工程[6]において、剥離層1を剥離すると言う、比較的容易な方法で電子部品封止体290にノイズ抑制層3を設けることができる。
さらに、前記工程[2]において得られた1つの電子部品封止連結体270から、前記工程[3]〜[7]を経ることで、複数の電子部品封止体290を一括して製造することができるので、電子部品封止体290ひいては、この電子部品封止体290から得られる半導体装置20の生産性の向上が図られる。
なお、本実施形態では、電子部品封止体290が備える封止部27の上面、封止部27の側面およびインターポーザー25の側面に、ノイズ抑制層3を設ける場合について、説明した。これに関して、ノイズ抑制層3は、少なくとも封止部27の上面および封止部27の側面に形成されていればよい。したがって、インターポーザー25の側面へのノイズ抑制層3の形成は省略することもできる。
また、本発明の電磁波シールド用フィルムを適用して製造される半導体装置20は、例えば、携帯電話、医療機器、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プリンタ等に広く用いることができる。
以上本発明の電磁波シールド用フィルムについて説明したが、本発明は、これらに限定されない。
例えば、前記実施形態では、上述した構成の半導体装置20の製造に、本発明の電磁波シールド用フィルムを用いる電子装置の製造方法を適用する場合について説明した。本発明の電磁波シールド用フィルムは、かかる構成の装置の製造に適用されるばかりでなく、例えば、CSP(Chip Size Package)型の半導体装置、コンデンサー、コイルのような電子部品を単独で備える電子装置等の製造に用いることもできる。
また、前記実施形態では、本発明の電磁波シールド用フィルム300は、剥離層1(基材層)とノイズ抑制層3との積層体で構成される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電磁波シールド用フィルム300は、剥離層1(基材層)およびノイズ抑制層3とは異なる他の層を備えてもよい。
さらに、前記実施形態では、ノイズ抑制層3は、インターポーザー25の側面にも設けられるが、これに限定されず、少なくとも封止部27の上面および封止部27の側面に設けられていればよく、ノイズ抑制層3のインターポーザー25の側面への形成は省略してもよい。
さらに、電子部品封止体の製造方法および電子装置の製造方法には、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
1.電磁波シールド用フィルムの製造
(実施例1A)
電磁波シールド用フィルムを得るために、第1の層を形成するための樹脂材料としてポリメチルペンテン(三井化学社製、商品名:TPX DX231)を用意した。第3の層を形成するための樹脂材料として、ポリメチルペンテン(三井化学社製、商品名:TPX DX231)を用意した。また、第2の層を形成するための樹脂材料として、エチレン−メチルアクリレート共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製、商品名:ニュクレルAN4214C)を35wt%、ポリプロピレン(プライムポリマー社製、商品名:E−203GP)を30wt%、ポリメチルペンテン(三井化学社製、商品名:TPX DX231)を35wt%含む混合物を用意した。
さらに、ノイズ抑制層を形成するための樹脂材料(液状材料)を用意した。具体的に、粒子状をなす金属材料として銀粒子(福田金属箔粉工業社製、商品名:Ag−XF301)を含み、バインダー樹脂としてエポキシ樹脂(DIC社製、商品名:EPICRON N−670)、アクリルゴム(ナガセケムテックス社製、商品名:SG−708−6)およびフェノールノボラック樹脂(住友ベークライト社製、商品名:PR−HF−3)を含み、さらに、溶媒としてメチルエチルケトンを含む樹脂材料を用意した。
次いで、上述した第1の層を形成するための樹脂材料と、第2の層を形成するための樹脂材料と、第3の層を形成するための樹脂材料とを、フィードブロックおよびマルチマニホールドダイに投入し、これらの樹脂材料を共押出することにより、フィルム化された剥離層を得た。その後、ノイズ抑制層を形成するための樹脂材料を、剥離層に塗布した後に乾燥させることでノイズ抑制層を形成して電磁波シールド用フィルムを作製した。
なお、実施例1Aの電磁波シールド用フィルムの全体の平均厚さは、240μmであり、第1の層の平均厚さは20μm、第3の層の平均厚さは20μm、第2の層の平均厚さは180μm、ノイズ抑制層の平均厚さは20μmであった。
また、実施例1Aの電磁波シールド用フィルムにおける、第1の層、第2の層および第3の層の100℃における貯蔵弾性率は、それぞれ、2.0E+08Pa、5.0E+07Paおよび2.0E+08Paであった。
さらに、剥離層およびノイズ抑制層の100℃における貯蔵弾性率は、それぞれ、1.0E+08Paおよび5.0E+07Paであった。
(実施例2A〜6A)
ノイズ抑制層を形成するための樹脂材料を、表1に示すように変更した以外は、実施例1Aと同様にして、電磁波シールド用フィルムを作製した。
(比較例1A)
ノイズ抑制層を形成するための樹脂材料(液状材料)について、粒子状をなす金属材料として銀粒子(福田金属箔粉工業社製、商品名:Ag−XF301)を含み、バインダー樹脂としてフッ素樹脂(AGCコーテック社製 オブリガードPS325R 固形分10%)を含む樹脂材料を用意したこと以外は、実施例1Aと同様にして、電磁波シールド用フィルムを作製した。
2.評価
実施例1A〜6Aおよび比較例1Aで作製した電磁波シールド用フィルムについて、以下の評価を行った。
<ピール強度A>
実施例1A〜6Aおよび比較例1Aの電磁波シールド用フィルムを作製する際に用意した、ノイズ抑制層を形成するための樹脂材料を用いて幅を25mmとしたノイズ抑制層を形成した。そして、これらノイズ抑制層を、それぞれ、エポキシ樹脂を主材料とするエポキシ樹脂組成物(住友ベークライト社製、「XF8680」)からなる、板状をなす封止部上に100℃にて貼付した。次いで、JIS G 3469に準拠して、ノイズ抑制層を、その一端から、25℃において90°の方向に300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定されるピール強度Aを、引張試験機(エー・アンド・デイ社製、「TENSILON RTG−1310」)を用いて測定した。その測定結果を、表1に示す。
<ピール強度B>
実施例1A〜6Aおよび比較例1Aの電磁波シールド用フィルムを作製する際に用意した、ノイズ抑制層を形成するための樹脂材料を用いて幅を25mmとしたノイズ抑制層を形成した。そして、これらノイズ抑制層を、それぞれ、ポリメチルペンテン(三井化学社製、「TPX DX231」)からなる、板状をなす剥離層上に100℃にて貼付した。次いで、JIS G 3469に準拠して、ノイズ抑制層を、その一端から、25℃において90°の方向に300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定されるピール強度Bを、引張試験機(エー・アンド・デイ社製、「TENSILON RTG−1310」)を用いて測定した。その測定結果を、表1に示す。
<半導体封止連結体からの剥離層の剥離性>
半導体封止連結体からの剥離層の剥離性は、次のようにして評価した。
すなわち、まず、FR4基板(ガラス繊維の布をエポキシ樹脂の硬化物で封止して形成された基板)上に、縦10mm×横10mm×厚さ0.7mmのSi基板(擬似半導体素子)を搭載した。その後、Si基板に対して190℃/150N/20secの条件で加熱・圧縮処理を施した。
次に、Si基板が搭載されたFR4基板上に、顆粒状のエポキシ樹脂組成物(住友ベークライト社製、「XF8680」)を供給した後、圧縮成形することで、Si基板が封止部により封止された半導体封止連結体を形成した。
なお、圧縮成形する際の条件は、175℃/5MPa/5minとした。
そして、220℃/1hrの条件で封止部を硬化させた後に、ダイシングソーを用いて、封止部に対して、溝幅0.2mm、溝間隔10mm、溝深さ1.0mmの溝を格子状に形成することで、溝が形成された半導体封止連結体を得た。
次に、実施例1A〜6Aおよび比較例1Aの電磁波シールド用フィルムを、それぞれ、溝が形成された半導体封止連結体上に配置した。その後、真空加圧式ラミネーターを用いて、真空雰囲気下において、電磁波シールド用フィルムと電子部品封止体とが互いに接近するように、圧力2MPa、温度170℃、時間240秒の条件で加圧することで、電磁波シールド用フィルムを半導体封止連結体に貼付した。
次に、半導体封止連結体に貼付された電磁波シールド用フィルムから剥離層を、剥離層の一端を持って剥離させ、この際の剥離層の剥がれ易さについて、下記に示す評価基準に基づいて評価した。その評価結果を表1に示す。
[評価基準]
A:剥離層にノイズ抑制層に由来する樹脂残りもなく、容易に剥離できる
B:剥離層にノイズ抑制層に由来する樹脂残りはないが、剥離が若干重い
C:剥離層にノイズ抑制層に由来する樹脂残りはないが、剥離が重い
D:剥離層にノイズ抑制層に由来する樹脂残りが発生している
Figure 0006711423
表1に示すように、実施例1A〜6Aでは、ピール強度A、Bが1<A/Bなる関係を満足していた。これにより、半導体封止連結体に貼付された電磁波シールド用フィルムから剥離層を、剥離層にノイズ抑制層に由来する樹脂残りを発生させることなく、剥離させることができ、電子部品封止体にノイズ抑制層を形成することができた。
これに対して、比較例1Aでは、ピール強度A、Bが1<A/Bなる関係を満足しておらず、これに起因して、半導体封止連結体に貼付された電磁波シールド用フィルムからの剥離層の剥離の際に、剥離層にノイズ抑制層に由来する樹脂残りが発生し、電子部品封止体に均一な膜厚を備えるノイズ抑制層を形成することができなかった。
1 剥離層
2 粘着層
3 ノイズ抑制層
4 基材
11 第1の層
12 第2の層
13 第3の層
20 半導体装置
21 バンプ
22 被覆部
23 配線
25 インターポーザー
25’ シート材
26 半導体素子
27 封止部
28 電子素子
62 凹部
100 粘着テープ
221 開口部
270 電子部品封止連結体
290 電子部品封止体
300 電磁波シールド用フィルム
本発明によれば、比較的容易な方法で電子部品封止体にノイズ抑制層を設けることが可能な、電磁波シールド用フィルムを提供することができる。さらに、電磁波シールド用フィルムを用いることにより、1つの電子部品封止連結体から複数の電子部品封止体を一括して製造することができる。その結果、電子部品封止体および電子装置の生産性の向上が図られる。したがって、本発明は、産業上の利用可能性を有する。

Claims (4)

  1. 基板と、該基板上に配置された電子部品と、前記電子部品を封止する封止部とを有する電子部品封止体に適用される電磁波シールド用フィルムであって、
    前記電磁波シールド用フィルムは、基材層と、該基材層の一方の面側に積層されたノイズ抑制層とを備え、
    前記封止部は、エポキシ樹脂を主材料として含有し、
    前記基材層は、第1の層と、第2の層と、第3の層とがこの順で積層された3層構成をなす積層体であり、前記第3の層が前記ノイズ抑制層に接合され、前記第3の層は、ポリメチルペンテンで構成されており、
    前記ノイズ抑制層は、前記封止部の上面および側面を被覆するように構成されており、粒子状をなす導電性材料と、バインダー樹脂としてのエポキシ樹脂とを含有し、前記ノイズ抑制層における前記エポキシ樹脂の含有量を、6重量%以上24重量%以下に設定することで、
    JIS G 3469に準拠して、板状をなす前記封止部上に、幅25mmの前記ノイズ抑制層を貼付し、次いで、前記ノイズ抑制層を、その一端から、25℃において90°の方向に300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定されるピール強度をA[N/mm]とし、JIS G 3469に準拠して、板状をなす前記基材層上に、幅25mmの前記ノイズ抑制層を貼付し、次いで、前記ノイズ抑制層を、その一端から、25℃において90°の方向に300mm/分の速度で引き剥がしたときに測定されるピール強度をB[N/mm]としたとき、4.0<A/B≦6.0なる関係を満足することを特徴とする電磁波シールド用フィルム。
  2. 前記導電性材料は、金属材料、金属酸化物材料、導電性高分子材料または導電性セラミックス材料のうちの少なくとも1種である請求項に記載の電磁波シールド用フィルム。
  3. 前記第1の層は、100℃における貯蔵弾性率が1.0E+05Pa以上1.0E+11Pa以下である請求項1または2に記載の電磁波シールド用フィルム。
  4. 前記第2の層は、100℃における貯蔵弾性率が1.0E+04Pa以上1.0E+10Pa以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電磁波シールド用フィルム。
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