JP6710910B2 - リチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に用いられるセパレータを被覆するためのコート剤用組成物およびその製造方法に関する。
従来、リチウムイオン二次電池のセパレータとしては、微細孔を有するポリオレフィンからなる多孔質膜が使用されてきた。このセパレータを装着したリチウムイオン二次電池では、過充電、電池内外の短絡などにより異常発熱した場合、セパレータが高温(例えば140〜160℃)状態になると溶融し、微細孔が閉塞してイオンの伝導を抑えることにより電流を遮断する(この現象をシャットダウンという)。小型小容量のリチウムイオン二次電池が使用されているOA機器、家電品、通信機器などでは、このシャットダウン機能をセパレータに付与することにより、短絡の影響拡大を抑制して、電解質などの分解による発煙、発火(熱暴走)を防止することができた。
一方、電気自動車(HEV、EV等)、無停電電源、ロードコンディショナなどで使用される大容量で、かつ高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池では、異常発熱によって、電池セルの温度がポリオレフィン多孔質膜からなるセパレータのシャットダウン温度(例えば140〜160℃)を超えるような場合が想定される。電池セルの温度がセパレータのシャットダウン温度を超えると、セパレータが収縮して微細孔が拡大し、更に完全に熱溶融して、対向する正極および負極が直接接触して大きな発熱を引き起こし、熱暴走に繋がる可能性があった。そのため、セパレータが高熱に晒されても変形し難いという、従来よりも高レベルに耐熱性を向上させることが求められていた。
耐熱性を向上させたセパレータとして、特定小径の有機繊維からなる織布又は不織布を支持体とし、d50が特定小径の無機酸化物水和物粒子を含有する支持体被覆層を有するセパレータが知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、このセパレータは、d50が特定小径の無機酸化物水和物粒子を含有するアルコール分散液を塗工液として有機織布または不織布に塗布し、乾燥させることにより作成したものであり、耐熱性には未だ改善の余地があった。
一方、特定構造のポリビニルアルコール(PVA)系共重合体を保護コロイドとし、アクリル系水性エマルジョン又はスチレン系熱可塑性エラストマーの水性エマルジョンを含むことによって、電極表面やセパレータ表面に対する密着性が向上し、熱暴走時であっても電極表面又はセパレータ表面を保護するコート剤用組成物が知られており(例えば、特許文献2)、特許文献2のコート剤用組成物には活性水素基を有する無機粒子を含有することが記載されている。
しかしながら、このようなコート剤用組成物であっても、耐熱性には未だ改善の余地があり、電極表面やセパレータ表面を被覆するコート膜が高熱に晒されると伸びて変形し、短絡により発煙や発火が生じるおそれがあった。
特開2011−233519号公報 国際公開第2012/165578号
本発明は、高熱に晒されても変形し難いという特性を有するコート膜、即ち従来よりも高レベルに優れた耐熱性を有するコート膜をリチウムイオン二次電池セパレータに形成することができるリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の平均短径および平均アスペクト比を有する金属酸化物繊維とPVA系樹脂とを予め接触させることによって、その金属酸化物繊維の表面とPVA系樹脂との親和性が高まるので、その後に無機粒子と配合する際にPVA系樹脂が優れた相互作用を発現することが可能となり、耐熱性に優れたコート膜が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)無機粒子、(B)平均短径が10nm未満であり、平均アスペクト比が300を超える金属酸化物繊維、および(C)ポリビニルアルコール系樹脂を含むリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物(以下、単に「コート剤用組成物」と称することがある。)物であって、前記コート剤用組成物の固形分(乾燥構成比)において、(A)無機粒子の含有量が1〜97重量%、(B)金属酸化物繊維の含有量が0.001〜10重量%、(C)ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が1.56〜80重量%であり、(B)金属酸化物繊維が(C)ポリビニルアルコール系樹脂の連続相中に存在することを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物である。
また本発明は、(A)無機粒子、(B)平均短径が10nm未満であり、平均アスペクト比が300を超える金属酸化物繊維、および(C)ポリビニルアルコール系樹脂を含むリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物を製造する方法であって、(B)金属酸化物繊維および(C)ポリビニルアルコール系樹脂を含有する分散液と、(A)無機粒子とを混合する工程を有する、リチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物の製造方法である。
本発明のコート剤用組成物によれば、高熱に晒されても変形し難いという特性を有するコート膜、即ち従来よりも高レベルに優れた耐熱性を有するコート膜をリチウムイオン二次電池電極体に形成することができる。また、本発明のコート剤用組成物の製造方法によれば、本発明のコート剤用組成物を効率よく製造することができる。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本明細書において、アクリルとメタクリルを特段区別しない場合には(メタ)アクリルと総称し、アクリレートとメタクリレートを特段区別しない場合には(メタ)アクリレートと総称する。
本発明において固形分および樹脂固形分とは、対象物を105℃、3時間の乾燥減量法に供することにより得られるものを意味する。
本発明のコート剤用組成物は、(A)無機粒子、(B)平均短径が10nm未満であり、平均アスペクト比が300を超える金属酸化物繊維、および(C)ポリビニルアルコール系樹脂を含む。
<(A)無機粒子>
本発明で用いる(A)無機粒子としては、耐熱性および電気絶縁性を有しており、電解質、電池を作成するために使用する他の材料に対して化学的に安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定なものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物;酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)等の第4族の金属酸化物;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化インジウム等の第13族元素の酸化物;二酸化珪素(シリカ)、酸化スズ、酸化鉛等の第14族元素の酸化物;酸化アンチモン等の第15族元素の酸化物;コロイダルシリカやチタニアゾル、アルミナゾル等のゾル;タルク、カオリナイト、スメクタイト等の粘土鉱物;炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の窒化物;窒化ホウ素、ホウ化チタン、酸化ホウ素等のホウ化物;ムライト等の複合酸化物;水酸化リチウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の水酸化物;チタン酸バリウム;炭酸リチウム;炭酸カルシウム;炭酸マグネシウム;炭酸ストロンチウム;珪酸マグネシウム;珪酸リチウム;珪酸ナトリウム;珪酸カリウム;ガラス等の各粒子が挙げられる。
なかでも、入手が容易であることや経済性の点から、好ましくは第4族、第13族〜第15族元素の酸化物の粒子であり、特に好ましくは第13族および第14族元素の酸化物の粒子であり、更に好ましくは第13族元素の酸化物の粒子である。具体的には、好ましくはアルミナ粒子、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子であり、特に好ましくはシリカ粒子、アルミナ粒子であり、更に好ましくはアルミナ粒子である。
これら無機粒子は、1種類を単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
無機粒子の粒子径は、粒子同士の隙間をある程度大きくして、イオンの伝導パスを短くすることで、電池特性をより高め得ることから、平均粒子径で、例えば、通常0.01μm以上であり、好ましくは0.1μm以上である。なお、無機粒子の粒子径が大きすぎると、粒子同士の隙間が大きくなりすぎて、リチウムデンドライトによる短絡が生じる傾向がある。そのため、無機粒子の平均粒子径は、例えば、通常10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。
なお、本明細書における粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度測定分布測定法により測定された値を採用することができる。
(A)無機粒子の平均アスペクト比は、通常1〜300であり、好ましくは1〜100、特に好ましくは1〜50、更に好ましくは1〜10である。なお、平均アスペクト比は、電子顕微鏡写真から粒子径を測定して求められたアスペクト比の平均値である。
本発明のコート剤用組成物における(A)無機粒子の含有量は、コート剤用組成物の固形分(乾燥構成比)において、1〜97重量%であり、好ましくは50〜97重量%、特に好ましくは90〜97重量%、更に好ましくは96〜97重量%である。
かかる含有量が上記範囲内にある場合は、得られるコート膜に電気化学的に安定性が得られる傾向があり、上記範囲外の場合は、セパレータの両面にコート膜が形成されたコーティングセパレータのイオン透過性が低下し、電池性能が低下する傾向がある。
<(B)金属酸化物繊維>
本発明で用いる(B)金属酸化物繊維としては、耐熱性および電気絶縁性を有しており、電解質、電池を作成するために使用する他の材料に対して化学的に安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定なものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物;酸化チタン、酸化ジルコニウム等の第4族の金属酸化物;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化インジウム等の第13族元素の酸化物;二酸化珪素、酸化スズ、酸化鉛等の第14族元素の酸化物;酸化アンチモン等の第15族元素の酸化物等が使用可能である。なかでも、高レベルの耐熱性が効果的に得られる点で、好ましくは第13族〜第15族元素の酸化物繊維であり、さらに好ましくは第13族元素の酸化物繊維であり、特に好ましくは酸化アルミニウム(アルミナ)繊維である。
これら金属酸化物繊維は、1種類を単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明で用いる(B)金属酸化物繊維の平均アスペクト比は、通常300を超え、好ましくは310以上、特に好ましくは330以上である。また、平均アスペクト比の上限は、通常1000以下であり、好ましくは750以下であり、特に好ましくは450以下である。なお、平均アスペクト比は、電子顕微鏡写真から粒子径を測定して求められたアスペクト比の平均値である。
平均アスペクト比が大きすぎる場合、得られる耐熱性が低下する傾向があり、得られるコート膜に異方性が生じやすくなる傾向がある。また、アスペクト比が小さすぎる場合、得られる耐熱性が低下する傾向がある。
上記金属酸化物繊維の平均短径は、同様の測定方法による平均値にて、通常10nm未満であり、好ましくは0.1〜9.9nmであり、特に好ましくは1〜9nmである。かかる値が大きすぎる場合、分散しにくく凝集物となる傾向がある。
(B)金属酸化物繊維は、固体粉末、およびその水分散液、ゾル、コロイダルシリカなどの水溶液等、いずれの状態でも用いることができる。後述する(C)ポリビニルアルコール系樹脂との親和性の点で好ましくはゾルであり、特に好ましくは水を媒体とするゾルである。
(B)金属酸化物繊維がアルミナ繊維である場合、特に特開2010−132519号公報に記載の方法で製造されたアルミナ繊維状微粒子ゾルであることが好ましい。かかるアルミナ繊維状微粒子ゾルは、アルミニウムアルコキサイドを原料として、ゾルゲル法で合成された繊維状もしくは針状粒子からなるアルミナゾルであり、組成式Al・nHO(n=0〜1.5)で表されるアルミナ水和物の結晶である。かかる結晶系は、ベーマイト型もしくは擬ベーマイト型のアルミナ繊維又はアルミナ水和物繊維である。例えば、川研ファインケミカル株式会社より販売されているF−1000(アルミナゾル:平均長径=1400nm、平均短径=4nm、平均アスペクト比350)、F−3000(アルミナゾル:平均長径=3000nm、平均短径=4nm、平均アスペクト比750)などが好適に使用される。
上記アルミナ繊維状微粒子ゾルの製造方法では、アルミニウムアルコキサイドを、酸水溶液中で加水分解してアルミナ水和物とし、生成したアルコールを留去した後、解膠することにより繊維状もしくは針状のアルミナ水和物粒子が分散している水媒体のアルミナゾルを作製することができる。
アルミニウムアルコキサイドとしては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムsec−ブトキシドなどのアルミニウムアルコキシド、環状アルミニウムオリゴマー、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセタト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセタト)アルミニウムなどのアルミニウムキレートなどが例示される。
これらの化合物のうち、適度な加水分解性を有し、副生成物の除去が容易であることなどから、炭素数2〜5のアルコキシル基を有するものが特に好ましい。また、これらのアルコキサイドの性状は、液体でも、粉末ないし顆粒状でもよい。その純度は、通常99%以上であり、好ましくは99.5%以上である。
加水分解に使用する酸としては、塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの一価の酸が好ましく、無機酸は、焼成後もアルミナ中に残存してしまう傾向があるため、有機酸が好ましい。有機酸として、操作性、経済性および本発明組成物の150℃下での色調改善の面などより酢酸が特に好ましい。
本発明において、かかる(B)金属酸化物繊維は、本発明のコート剤用組成物における樹脂固形分には含まれない。また、(B)金属酸化物繊維の含有量とは、乾燥固形分の含有量であって、(B)金属酸化物繊維が例えばアルミナ水和物繊維であるときは、水和水を除くアルミナ繊維としての含有量である。
本発明のコート剤用組成物における(B)金属酸化物繊維の含有量は、コート剤用組成物の固形分(乾燥構成比)において、0.00110重量%であり、好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
かかる含有量が上記範囲内にある場合、得られるコート膜に高レベルの耐熱性が得られる傾向がある。
<(C)ポリビニルアルコール系樹脂>
本発明で用いる(C)PVA系樹脂は、PVA系樹脂溶液の形態、又はPVA系樹脂エマルジョンの形態にて本発明のコート剤用組成物に含有させることができるが、PVA系樹脂エマルジョンの形態にて本発明のコート剤用組成物に含有させることが好ましい。
PVA系樹脂エマルジョンは、PVA系樹脂を分散剤として、例えば後述の(D)ビニル系重合体粒子を分散質として、水を分散媒として有するエマルジョンであり、特定の平均アスペクト比および特定の平均短径を有する(B)金属酸化物繊維の表面とPVA系樹脂との親和性を高めることができる。これにより、(A)無機粒子と配合する際にPVA系樹脂が優れた相互作用を発現して、耐熱性に優れたコート膜が得られる。
このようにエマルジョンの形態にて、分散質としての樹脂を高配合化する等を行なうことによって、コート対象であるセパレータに対してコート膜の密着性を向上させることができるので、車載用等の高耐熱性が更に要求されるリチウムイオン二次電池に好適に利用することができる。
本発明で用いる(C)PVA系樹脂は、公知のPVA系樹脂が適用可能である。
分散剤たるPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726(1994年度版)に準拠して測定)は、通常85〜100モル%であり、好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは95〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎると、脱酢酸反応等が起こってポリビニルアルコール分子主鎖に共役構造が発生しやすくなり、得られるコート膜が着色しやすくなる傾向がある。
PVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726(1994年度版)に準拠して測定)は、通常50〜4000であり、好ましくは100〜3000、特に好ましくは200〜2000、更に好ましくは200〜1500である。かかる平均重合度が低すぎると、得られるコート膜の強度が低くなる傾向があり、逆に高すぎると、分散質のドメインサイズの制御が困難となったり、またエマルジョンの放置安定性が低下する傾向がある。
本発明において、分散剤たるPVA系樹脂として、公知の変性PVA系樹脂を用いてもよい。変性PVA系樹脂を用いる場合、変性量(変性ビニルアルコール構造単位の含有量)が多すぎると、エマルジョンの粘度が高くなる傾向があるので、通常15モル%以下、好ましくは10モル%以下の変性量を有する変性PVA系樹脂を用いる。
PVA系樹脂の変性モノマーとしては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル;ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類等が挙げられ、好ましくは、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート誘導体であり、中でも、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパンが製造容易性の点で好ましく用いられる。
PVA系樹脂に対してこれら変性モノマーを用いる変性方法は、共重合であり、その他グラフト変性等の公知の後変性を用いることができる。
上記変性PVA系樹脂として、ヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体変性PVA系樹脂を用いることが好ましく、さらには下記一般式(1)で表される構造単位を含有するPVA系樹脂を用いることが好ましい(以下、「側鎖1,2−ジオール構造単位含有PVA系樹脂」と称することがある)。
Figure 0006710910
(式(1)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示す。)
エマルジョンの分散剤として用いられるPVA系樹脂がかかる構造単位を有することにより、エマルジョンが(B)金属酸化物繊維と相互作用し易くなる。そして、かかるエマルジョンを含むコート剤用組成物がコート膜となった場合に、該変性PVA系樹脂が連続相となり、かかるPVA系樹脂の非晶部のフリーボリュームを小さくしながら低結晶化できる。従って、得られたコート膜が高温条件下に晒されても、連続層のPVA系樹脂の結晶化に伴う収縮等を抑制でき、高レベルの耐熱性が得られる。
上記一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は有機基を表す。R〜Rは、すべて水素原子であることが望ましいが、樹脂特性を大幅に損なわない程度の量であれば有機基であってもよい。該有機基としては特に限定しないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、必要に応じてハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
上記一般式(1)中、Xは単結合又は結合鎖であり、結晶性の向上や非晶部におけるフリーボリューム(分子間空隙)低減の点から単結合であることが好ましい。上記結合鎖としては、特に限定しないが、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン等で置換されていてもよい)の他、−O−、−(CHO)−、−(CHO)CH−、−CO−、−COCO−、−CO(CHCO−、−CO(C)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO−、−Si(OR)−、−OSi(OR)−、−OSi(OR)O−、−Ti(OR)−、−OTi(OR)−、−OTi(OR)O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−等が挙げられる。Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である。なかでも、製造時の粘度安定性や耐熱性等の点で、上記結合鎖は、炭素数6以下のアルキレン、特にメチレン、あるいは−CHOCH−が好ましい。
上記一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位における最も好ましい構造は、R〜Rがすべて水素原子であり、Xが単結合である。すなわち、下記構造式(1a)で示される構造単位が最も好ましい。
Figure 0006710910
このような側鎖1,2−ジオール構造単位含有PVA系樹脂は、公知の製造方法により製造できる。例えば、特開2002−284818号公報、特開2004−285143号公報、特開2006−95825号公報等に記載されている方法により製造することができる。
分散剤たるPVA系樹脂が側鎖1,2−ジオール構造単位含有PVA系樹脂である場合、変性量は上記した範囲と異なる範囲であってもよい。かかる側鎖1,2−ジオール構造単位の含有量は、通常0.5〜15モル%であり、好ましくは1〜10モル%、特に好ましくは3〜9モル%である。PVA系樹脂が側鎖1,2−ジオール構造単位をかかる範囲で含有する場合、高レベルの耐熱性がより効果的に得られる傾向がある。また、分散質であるアクリル系樹脂に対するPVA系樹脂のグラフト化率が高くなり、エマルジョンの機械的安定性や放置安定性等が向上する傾向がある。
なお、PVA系樹脂中の側鎖1,2−ジオール構造単位の含有率は、ケン化度100%のPVA系樹脂のH−NMRスペクトル(溶媒:DMSO−d6、内部標準:テトラメチルシラン)から求めることができる。具体的には1,2−ジオール構造単位中の水酸基プロトン、メチンプロトン、およびメチレンプロトン、主鎖のメチレンプロトン、主鎖に連結する水酸基のプロトンなどに由来するピーク面積から算出すればよい。
<(D)ビニル系重合体粒子>
本発明のコート剤用組成物が含みうるエマルジョンは、分散質として、ビニル系重合体粒子を含有していてもよい。ビニル系重合体とは、ビニル系モノマーの重合体を意味する。かかるビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル系モノマー、アミド変性又は(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基変性のアクリル系モノマー、スチレン系モノマー、ビニルエステル系モノマー、アルキルビニルエーテルモノマー、オレフィン系モノマー、ジエン系モノマー、ニトリル系モノマー、不飽和ジカルボン酸またはそのエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、アリル系モノマーなどが挙げられる。
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、i−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルエステル系モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アクリル系モノマーとして好ましくは(メタ)アクリルエステル系モノマーであり、特に好ましくは炭素数5〜15の(メタ)アクリルエステル系モノマーであり、更に好ましくは炭素数5〜10の(メタ)アクリルエステル系モノマーである。
また、上記のとおり、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンといったスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;メチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルモノマー;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン、エチレンスルホン酸といったオレフィン系モノマー;ブタジエン−1,3、2−メチルブタジエン、1,3又は2,3−ジメチルブタジエン−1,3、2−クロロブタジエン−1,3等のジエン系モノマー等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル等のアクリロニトリル系モノマー、シアン化ビニリデン等のシアノ基2置換ビニルモノマー、メチルシアノアクリレート、エチルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート等の不飽和基含有シアノアクリレートやテトラシアノキノジメタン、2,2−ジアリールマロノニトリル等のニトリル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ダイアセトンアクリルアミド等のアミド変性又は(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基変性のアクリル系モノマー;および、(無水)イタコン酸、(無水)マレイン酸等およびこれらのエステルの不飽和ジカルボン酸またはそのエステル系モノマー等も使用可能である。
これらは、それぞれ単独で重合に用いることも可能であるが、2種類以上混合して用いることが好ましい。
(D)ビニル系重合体粒子を構成するビニル系モノマーとして、好ましくはアクリル系モノマー、スチレン系モノマー、ビニルエステル系モノマー、ニトリル系モノマーであり、特に好ましくはアクリル系モノマー、スチレン系モノマーである。
また、アクリル系モノマーが(D)ビニル系重合体粒子を構成するビニル系モノマーの50重量%以上である場合、重合性の観点で好ましい。
<コート剤用組成物の製造方法>
本発明のコート剤用組成物の製造方法は、(B)金属酸化物繊維および(C)PVA系樹脂を含有する分散液と、(A)無機粒子とを混合する工程を有する。(B)金属酸化物繊維および(C)PVA系樹脂を含有する分散液としては、(B)金属酸化物繊維が(C)PVA系樹脂の溶液中に分散した分散液、この分散液中に分散質としての(D)ビニル系重合体粒子を更に含有するエマルジョンが挙げられる。
(B)金属酸化物繊維および(C)PVA系樹脂を含有する分散液は、(C)PVA系樹脂の溶液に(B)金属酸化物繊維を公知の方法により混合することにより調製することができる。分散媒は、通常、水である。所望により、水と混合可能な有機溶媒(例えば通常、炭素数1〜3の低級アルコール等)を水と併用することも可能である。
かかる分散液における(C)PVA系樹脂の含有量は、使用するPVA系樹脂の種類や調製しようとする分散液の濃度等によって異なるが、コート剤用組成物の固形分(乾燥構成比)に対して1.56〜80重量%となる様に調整することができ、好ましくは1.56〜50重量%、特に好ましくは1.56〜30重量%である。
次に、(B)金属酸化物繊維、(C)PVA系樹脂、および(D)ビニル系重合体粒子を含有するエマルジョンの合成について説明する。
[乳化重合:エマルジョンの合成]
かかるエマルジョンは、以上のような分散剤たるPVA系樹脂と分散質たる(D)ビニル系重合体粒子が、水分散媒中に分散しているものである。かかるエマルジョンは、分散剤の存在下で、例えば、上記アクリル系モノマー(および所望によりアクリル系モノマー以外の他のモノマー)を乳化重合することによって得られる。
前記乳化重合を実施する方法としては、a)水、分散剤としてのPVA系樹脂および重合触媒の存在下に、分散質の原料、例えばアクリル系モノマー(および所望によりその他のモノマー)を一時または連続的に配合して、加熱、撹拌することにより乳化重合する方法;b)ビニル系モノマー、例えばアクリル系モノマー(および所望によりアクリル系モノマー以外の他のモノマー)をPVA系樹脂の水溶液に混合分散させた分散液を調製し、この調製した分散液を、水、PVA系樹脂および重合触媒が配合された系内に、一時又は連続的に配合して、加熱、撹拌して、乳化重合する方法が挙げられる。このように予め調製した分散液を用いる方法は特にプレエマルジョン法と称される。かかる方法では、重合しようとするモノマー組成がたとえ複雑であっても、生産性を低下させることなく乳化重合を行なうことが可能であるため好ましい。
前記乳化重合に用いられる反応溶液中の分散媒は、通常、水である。所望により、水と混合可能な有機溶媒(例えば通常、炭素数1〜3の低級アルコール等)を水と併用することも可能である。しかしながら、乳化重合に供するモノマーの分散性の点から、好ましくは水のみである。
乳化重合時に分散剤として用いられるPVA系樹脂の含有量は、使用するPVA系樹脂の種類や合成しようとするエマルジョンの濃度等によって異なるが、エマルジョンの固形分に対して通常0.1〜80重量%であり、好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは1〜60重量%である。PVA系樹脂の含有量が少なすぎると、ビニル系モノマー、例えばアクリル系モノマー(および所望によりアクリル系モノマー以外の他のモノマー)の乳化状態が不安定となって、重合反応性が低下したり、重合により得られるエマルジョン中での粒子の乳化状態安定性が低下したりする傾向にある。一方、PVA系樹脂の含有量が多すぎると、反応液の粘度が増大しすぎて重合反応が遅くなったり、得られるエマルジョンの粘度が高くなりすぎたりする傾向にある。
重合触媒としては、通常、乳化重合の分野で用いられる重合触媒を用いることができる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、臭素酸カリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、過酸化水素−酒石酸、過酸化水素−鉄塩、過酸化水素−アスコルビン酸−鉄塩、過酸化水素−ロンガリット、過酸化水素−ロンガリット−鉄塩等の水溶性のレドックス系の重合触媒、アゾ系の重合触媒などが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上混合して用いることができる。具体的には化薬アクゾ社製「カヤブチルB」や同社製「カヤブチルA−50C」等の有機過酸化物とレドックス系からなる触媒を用いることもできる。
重合触媒の使用量は、通常、重合に使用するモノマー100重量部に対して、通常0.01〜10重量部であり、好ましくは0.05〜5重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部である。かかる重合開始剤の使用量が少なすぎると重合速度が遅くなる傾向があり、逆に多すぎると重合安定性が低下する傾向がある。
なお、重合開始剤の配合方法としては、特に制限はなく、初期に一括して反応液中に配合してもよいし、重合の経過に伴って連続的に添加してもよい。
乳化重合は、1段階で行ってもよいし、2段階以上の複数回に分けて行ってもよい。特に2段階で行う場合、1段目と2段目でモノマー仕込み量(仕込み比率)を変えることにより、1段目で形成した内層と2段目で形成した外層のガラス転移点(Tg)を変えることも可能となる。具体的には、以下のような2段階の重合が挙げられる。
(1)1段目の重合工程
分散媒および分散剤を含有する反応容器に、重合しようとするモノマーの一部を仕込み、1段目の乳化重合を行う。1段目に投入するモノマーの量は、特に限定しないが、重合に使用するモノマーの通常1〜50重量%程度であり、好ましくは5〜30重量%である。1段目の乳化重合工程の条件は、用いるモノマーの種類、組成、重合開始剤の使用量等により適宜決定すればよい。
乳化重合反応の温度は、通常30〜90℃であり、好ましくは40〜80℃であり、重合時間は通常1〜4時間である。1段目の乳化重合工程においては、重合転化率が通常50%以上であり、好ましくは60%以上である。
(2)2段目の重合工程
2段目の乳化重合は、1段目の重合が終了した反応容器に、残りのモノマーを投入することにより行う。投入は、通常は常法でよいが、滴下しながら行うことが好ましい。また、2段目の重合に際して、重合触媒を投入してもよい。2段目の乳化重合は、重合温度が通常40〜80℃、重合時間が通常1〜6時間の条件で行う。
また、滴下するモノマー組成比を連続的に変えながら滴下するパワーフィード重合法を用いることも可能である。また、モノマーを分散剤たるPVA系樹脂の存在下で予め混合分散させた分散液を滴下しながら重合してもよい。
必要に応じて、かかる工程の後に通常1〜6時間の追い込み重合をおこなうことも可能である。かかる重合中に重合触媒を投入してもよい。
以上のような乳化重合において、必要に応じて、分子量調節剤を含んでもよい。分子量調節剤の具体例としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物;ターピノレン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;ジクロロメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル;トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、アクロレイン、メタアクロレイン、アセトアルデヒド、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。なお、乳化重合工程では、これらの分子量調節剤を1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、上記重合工程において、PVA系樹脂による分散安定効果を阻害しない範囲で、分散剤とは別に、非イオン性界面活性剤やアニオン性界面活性剤等の界面活性剤を系内に併存させてもよい。かかる界面活性剤の含有量は、乳化重合反応系の全量に対して通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下である。
非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン−アルキルエーテル型、ポリオキシエチレン−アルキルフェノール型、ポリオキシエチレン−多価アルコールエステル型、多価アルコールと脂肪酸とのエステル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコール硫酸塩、高級脂肪酸アルカリ塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等が挙げられる。
更に、フタル酸エステル、リン酸エステル等の可塑剤、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤等も併用され得る。
[エマルジョンについて]
以上のようにして乳化重合を行うことにより、合成された(D)ビニル系重合体粒子(分散質)と分散剤としての(C)PVA系樹脂とを含む粒子が、水分散媒中に分散したエマルジョンが得られる。
前記粒子の平均粒径は、通常10〜3000nmであり、好ましくは20〜2000nm、特に好ましくは50〜1000nmである。なお、前記粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度測定分布測定法により測定された値を採用する。
得られるエマルジョンの樹脂固形分含有量は通常10〜60重量%であり、好ましくは20〜58重量%であり、特に好ましくは30〜55重量%であり、更に好ましくは35〜53重量%である。なお、かかるエマルジョンの樹脂固形分とは、エマルジョンの含有する総樹脂量であり、乾燥減量法により測定された値である。かかる樹脂固形分は、合成されたアクリル系樹脂(分散質)と分散剤としてのPVA系樹脂とを含む。
得られるエマルジョンの粘度は、通常50〜100000mPa・sであり、好ましくは100〜80000mPa・sであり、特に好ましくは200〜70000mPa・sである。なお、エマルジョンの粘度は、B型粘度計にて23℃にて10rpmにより測定された値を採用する。
<他の成分>
本発明のコート剤用組成物には、通常、塗膜に用いられる塗料や成型用樹脂に用いられる配合剤等を配合することができる。例えば、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等が挙げられる。それぞれの目的に応じて選択したり、組み合わせたりして配合することができる。なお、コート剤用組成物がこれらの配合剤を含有する場合、含有する配合剤の有機分は、コート剤用組成物の樹脂固形分に含まれる。
上記配合剤の含有量は、コート剤用組成物における上記エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して通常10重量部未満、好ましくは5重量部未満である。
本発明のコート剤用組成物においては、分散媒に溶解する(C)PVA系樹脂を特定範囲に含む場合、エマルジョン粒子間隙が適度に増加するためか、コート膜とした場合の耐熱性がさらに向上する傾向がある。
本発明のコート剤用組成物において、分散媒に溶解して含まれるPVA系樹脂量を特定範囲とする方法としては、(i)エマルジョン中の分散剤としての(C)PVA系樹脂(便宜上、第1のPVA系樹脂と称することがある。)を通常よりも多量に用いる方法や、(ii)エマルジョン、(B)金属酸化物繊維と共に他の成分としてPVA系樹脂(便宜上、第2のPVA系樹脂と称することがある。)を配合する方法、(iii)上記(i)と(ii)を併用する方法等が挙げられる。(ii)の方法の場合、PVA系樹脂は固体であっても、コート剤用組成物の分散媒と親和性のある溶媒に溶解した溶液であってもよいが、溶液が好ましい。
なお、いずれの方法においてもPVA系樹脂の含有量は本発明のコート剤用組成物における樹脂固形分に含まれる。
上記(i)の方法においては、上述したエマルジョンの乳化重合時に、分散剤として用いられるPVA系樹脂の含有量を、エマルジョンの固形分に対して通常10超〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、特に好ましくは30〜60重量%にて用いることができる。
以下、(ii)の方法について説明する。
上記(ii)の方法に用いるPVA系樹脂(第2のPVA系樹脂)は、上記した分散剤たるPVA系樹脂と同様に、公知のPVA系樹脂を用いることが可能である。
第2のPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726(1994年度版)に準拠して測定)は、通常80〜100モル%であり、好ましくは85〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎると、脱酢酸反応等が起こってポリビニルアルコール分子主鎖に共役構造が発生しやすくなり、得られるコート膜が着色しやすくなる傾向がある。
第2のPVA系樹脂の平均重合度(JIS K6726(1994年度版)に準拠して測定)は、通常50〜4000であり、好ましくは100〜3000、特に好ましくは200〜2000であり、更に好ましくは200〜1500である。目的とするコート剤用組成物の粘度に応じて添加する第2のPVA系樹脂の重合度と濃度を任意に設定することができる。かかる平均重合度が低すぎる場合、コート剤用組成物の粘度調整や樹脂分調整が困難となる傾向がある。また、平均重合度が高すぎる場合、同様に樹脂分調整が困難となる傾向があり、厚み制御の自由度が少なくなる傾向がある。
また、第2のPVA系樹脂においても、上記分散剤たるPVA系樹脂と同じく変性PVA系樹脂を用いることが可能である。しかし、第2のPVA系樹脂は、変性基を有さない無変性ポリビニルアルコール樹脂であることが好ましい。
(ii)の方法では、第1のPVA系樹脂とは異なる種類のPVA系樹脂を第2のPVA系樹脂として用いることができる。
異なる種類のPVA系樹脂を用いる場合、本発明に用いるエマルジョンの分散剤たる第1のPVA系樹脂と第2のPVA系樹脂は、互いに完全相溶性(海−海構造)となり均一相を形成するか、或いは海島構造を形成する。本発明のコート剤用組成物より得られるコート膜における、連続層の強度の観点から、海島構造を形成する場合はドメインサイズを小さく(通常、ドメイン径1.5μm以下)制御することが好ましい。
かかる観点から、異なる種類のPVA系樹脂を用いる場合のケン化度差は、通常0〜15モル%、好ましくは3〜10モル%である。
また、特に(ii)の方法においては、本発明に用いるエマルジョンの分散剤たる第1のPVA系樹脂のケン化度が、第2のPVA系樹脂のケン化度より高いことが好ましい。
かかる場合、コート剤用組成物より得られるコート膜の連続相において、第1のPVA系樹脂が安定なマトリックスを形成することができるので、連続層の強度が良好に維持されると考えられる。
第2のPVA系樹脂の含有量は、上記配合剤と異なるものであってもよく、コート剤用組成物の通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。
また、第1のPVA系樹脂と第2のPVA系樹脂の合計量に対する第2のPVA系樹脂の含有量としては、通常95%以下、好ましくは90%以下、特に好ましくは85%以下である。
前記第2のPVA系樹脂は、上記エマルジョンと(B)成分を混合した後に配合してもよいし、エマルジョンと(B)成分のどちらかおよび両方について予め配合してもよい。
特に、予めエマルジョンに配合してエマルジョン組成物としておくことが、エマルジョンの分散質の分散安定性の点から好ましい。
<コート剤用組成物>
本発明のコート剤用組成物は、(A)無機粒子、(B)金属酸化物繊維、および(C)PVA系樹脂を含む。
コート剤用組成物の製造に上記のエマルジョン組成物を用いる場合、エマルジョン組成物の樹脂固形分は通常5〜60重量%、好ましくは10〜55重量%、特に好ましくは20〜50重量%である。かかる樹脂固形分が上記範囲内にある場合、(B)金属酸化物繊維との混合時に均一なコート剤用組成物が得られやすい傾向がある。
コート剤用組成物における(B)金属酸化物繊維の含有量は、コート剤用組成物中の(C)PVA系樹脂固形分100重量部に対して、通常0.1〜50重量部であり、好ましくは1〜40重量部であり、特に好ましくは1〜30重量部であり、更に好ましくは1〜20重量部である。
かかる含有量が多すぎる場合、コート剤用組成物の造膜性や透明性が低下する傾向があり、少なすぎる場合、コート剤用組成物の耐熱性が低下する傾向がある。
コート剤用組成物が有する樹脂固形分含有量は、コート剤用組成物の固形分に対して、通常0.1〜50重量%であり、好ましくは0.5〜40重量%であり、特に好ましくは1〜35重量%である。
かかる含有量が多すぎる場合、コート剤用組成物の粘度が高くなる傾向や、塗工性やレベリング性等が低下する傾向があり、少なすぎる場合、コート剤用組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
コート剤用組成物における(B)金属酸化物繊維の含有量は、コート剤用組成物が有する樹脂固形分100重量部に対して通常0.01〜50重量部であり、好ましくは0.1〜30重量部であり、特に好ましくは0.5〜15重量部である。
かかる含有量が上記範囲内にある場合、得られるコート膜に高レベルの耐熱性が得られやすい傾向がある。
コート剤用組成物中における全固形分含有量(すなわち樹脂等の有機分、(A)無機粒子および(B)金属酸化物繊維等の無機分を含む総固形分含有量)は、通常10.1〜70重量%であり、好ましくは20〜65重量%である。
本発明のコート剤用組成物を製造するにあたり、上記エマルジョン(またはエマルジョン組成物)および所望により配合剤を配合した分散液と、(A)無機粒子とを混合して、通常、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、ディスパー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、フィルミックス、撹拌羽根や、自転・公転ミキサー等による機械撹拌等を行なう。
かかる攪拌工程は、複数段階にて行うことが可能である。
得られるコート剤用組成物の粘度は、通常1〜30000mPa・sの範囲であり、好ましくは10〜10000mPa・sの範囲であり、特に好ましくは20〜8000mPa・sの範囲である。なお、コート剤用組成物の粘度は、B型粘度計にて23℃にて10rpmにより測定された値を採用する。
また、使用する電極またはセパレータの材質に合わせて、溶媒を選択することも可能で、例えば使用する溶媒に電極材料やセパレータが溶解したり腐食したりしないものを適時選ぶことができる。
<本発明のコート剤用組成物によるコート膜の製造方法>
本発明によるコート膜は、(A)無機粒子、(B)金属酸化物繊維、および(C)PVA系樹脂を含有するコート剤用組成物より得られるコート膜であり、更に(D)ビニル系重合体粒子を含有するコート剤用組成物より得られるコート膜では分散相と連続相を有する。更に(D)ビニル系重合体粒子を含有するコート剤用組成物より得られるコート膜は、エマルジョンの分散質たる(D)ビニル系重合体粒子に由来する非水溶性の分散相が主成分であり、エマルジョンの分散剤たる(C)PVA系樹脂に由来する水溶性の連続相を微量有するものである。
本発明のコート剤用組成物を、リチウムイオン二次電池電極体、例えば、正極、負極等の電極、セパレータ等に塗工、熱処理することでコート膜を得ることができる。
かかるセパレータとしては特に制限はなく、例えば、熱可塑性樹脂を主体としており、電気絶縁性を有し、電気化学的に安定で、電池の有する非水電解液に安定で、多孔質層を構成する微多孔膜が用いられる。このような微多孔膜の主体となる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステルなどが挙げられる。
本発明のコート剤用組成物をセパレータ等のリチウムイオン二次電池電極体に塗工する方法としては、ダイレクトグラビア法、リバースグラビア法などのグラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本ロール法等のロールコーティング法、ドクターナイフ法、ダイコート法、ディップコート法、バーコート法、スプレー法など、公知の塗工法を用いることができる。
本発明のコート剤用組成物を電極体に塗工(すなわち、塗布)した後、熱処理により製膜することによりコート膜が得られる。かかる熱処理は、塗工層の厚さによって適宜調節すべきものである。熱処理温度は通常40〜200℃であり、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは60〜120℃である。
また、熱処理時間も、上述の熱処理温度に応じて適宜調節されるものであるが、通常は0.1〜200時間であり、好ましくは0.5〜48時間である。
かかる熱処理は、複数段階にて行うことも可能である。また、特に融点の低いポリオレフィン系樹脂(多孔質など)の電極体を用いる場合は、電極体へのダメージを抑制するために波長制御乾燥システム(日本ガイシ社等)を用いて通常40℃〜90℃条件下にて乾燥を行うことも可能である
かかるコート膜において(B)金属酸化物繊維の含有量は、上記コート剤用組成物における含有量と対応する。また、含有する金属酸化物繊維はほぼ連続相たるPVA系樹脂相中に存在する。したがって、金属酸化物繊維を少量のみ配合するにもかかわらず、高レベルの耐熱性が得られる。
かくして得られた本発明のコート剤用組成物により得られるコート膜の膜厚は、目的とする用途により適宜調節することが可能である。通常0.5〜100μmであり、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。かかる膜厚が薄すぎると、コート膜の強度が低下する傾向があり、一方、膜厚が厚すぎると、電池性能が低下する傾向がある。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物によれば、セパレータに対する密着性が良好であり、高熱に晒されても変形し難いという高レベルの耐熱性に優れたコート膜をリチウムイオン二次電池セパレータに形成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「%」および「部」とあるのは重量基準を意味する。
〔実施例1〕
<エマルジョン〔(C)PVA系樹脂および(D)ビニル系重合体粒子を含有〕の作製>
エマルジョンの分散媒として水、分散剤として構造式(1a)で示される1,2−ジオール構造単位を側鎖に含有するポリビニルアルコール樹脂(けん化度;98.5モル%、平均重合度1200、1,2−ジオール構造単位含有量;6モル%)を用い、分散質たるアクリル系樹脂となるアクリル系モノマーとして、スチレン/ブチルアクリレート=45/55(重量比)の混合モノマーを用いた。
水914部に構造式(1a)に示す1,2−ジオール構造単位を側鎖に含有するポリビニルアルコール樹脂(けん化度;98.5モル%、平均重合度1200、1,2−ジオール構造単位含有量;6モル%)を225部溶解させた水溶液を作製した。また、アクリル系モノマーたるスチレン/ブチルアクリレート=45/55(重量比)の混合モノマーを176部用意した。
攪拌機と還流冷却器を備えたステンレス製反応容器に上記水溶液を仕込み、反応容器の温度を80℃に保った。
ここに、一段目の乳化重合用モノマーとして、上記混合モノマー〔スチレン/ブチルアクリレート45/55(重量比)〕を17.6部配合し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液(10%濃度)を5.62部配合し、一段目の重合反応を開始した。反応温度を80℃にて、1時間重合を行った。
次いで、2段目の乳化重合用モノマーとして、上記混合モノマー158.4部を用い、重合開始剤として前記過硫酸アンモニウム水溶液を11.3部用いた。これらを反応容器に4時間かけて滴下しながら重合を続けた。
上記2段目の乳化重合終了後(すなわち滴下終了後)に、前記過硫酸アンモニウム水溶液を1.87部配合した、同80℃で1時間の追い込み重合を続けた。
その後、室温まで冷却して、(C)PVA系樹脂および(D)ビニル系重合体粒子を含有するエマルジョンを得た。かかるエマルジョンの樹脂固形分は、105℃、3時間乾燥による乾燥減量法により測定したところ、30.2%であった。
<コート剤用組成物の作製>
上記エマルジョンを用いた。また、(B)金属酸化物繊維として平均長径1400nm、平均短径4nm、平均アスペクト比350の酸化アルミニウム繊維ゾル(川研ファインケミカル社製、F−1000アルミナゾル、酸化アルミニウム繊維の含有量4.7%)を用いた。
かかるエマルジョン100部(エマルジョンの樹脂固形分30.2%)、上記酸化アルミニウム繊維ゾルを9.6部(酸化アルミニウム固形分4.7%)配合し、ミキサー(Thinky社製、練太郎ARE−250)で2000rpmにて10分、その後2200rpmにて0.5分攪拌し、(B)金属酸化物繊維、(C)PVA系樹脂および(D)ビニル系重合体粒子を含有する配合物を得た。かかる配合物における固形分含有量は28.0%であった。
かかる配合物((B)+(C)+(D))100部(固形分28.0%)、(A)無機粒子(平均粒子径300nm、粒状)の分散液(酸化アルミニウム固形分65%)を100.5部配合し、ミキサー(Thinky社製、練太郎ARE−250)で2000rpmにて10分、その後2200rpmにて0.5分攪拌し、本発明のコート剤用組成物を得た。かかるコート剤用組成物における固形分含有量は46.5%であった。
かかるコート剤用組成物における(B)金属酸化物繊維の含有量は、コート剤用組成物における固形分100部に対して0.44部であった。
得られたコート剤用組成物を、100μmアプリケータを用いて、8×15cmのポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと称することがある。)シート上にキャストした。かかる試料を、80℃にて3時間、次に60℃、減圧条件下にて2日間保持にて乾燥することで、膜厚50μmのフィルムを作成した。かかるフィルムは、PTFEシートから、スパチュラにて剥がし、五酸化燐入りデシケータで1週間乾燥させた。
乾燥させたフィルムについて、TMA(熱分析装置) にて200℃における変形率(%)および250℃における変形率(%)を測定した。
TMA伸長モード(25〜250℃、昇温10℃/min、荷重0.5gf/mm
フィルム:4mm幅×16mm長×50μm厚
200℃における変形率(%)および250℃における変形率(%)
その結果を表1に記載した。なお、表1における(A)〜(D)の数値は、コート剤用組成物における固形分(乾燥構成比)(%)を示す。
〔実施例2、3、比較例1〕
実施例1と同様にして、表1に示す配合にてフィルムを作製し、TMA(熱分析装置)にて200℃における変形率(%)および250℃における変形率(%)を測定した。その結果を表1に記載した。なお、実施例3においては、(B)金属酸化物繊維として、平均長径3000nm、平均短径4nm、平均アスペクト比750の酸化アルミニウム繊維ゾル(川研ファインケミカル社製、F−3000アルミナゾル、酸化アルミニウム繊維の含有量4.7%)を用いた。
Figure 0006710910
比較例1と比較して、実施例1〜3は200℃以上における熱変形性が小さく、耐熱性に優れているという結果となった。また、繊維量が多い方がTMA引張試験の熱変形性がより小さくなり、耐熱性に著しく優れている。
〔実施例4〕
エマルジョンの分散媒として水、分散剤として構造式(1a)で示される1,2−ジオール構造単位を側鎖に含有するポリビニルアルコール樹脂(けん化度;98.5モル%、平均重合度300,1,2−ジオール構造単位含有量;6モル%)を用い、分散質たるアクリル系樹脂となるアクリル系モノマーとして、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート=45/55(重量比)の混合モノマーを用いた。
水715部に構造式(1a)に示す1,2−ジオール構造単位を側鎖に含有するポリビニルアルコール樹脂(けん化度;98.5モル%、平均重合度300,1,2−ジオール構造単位含有量;6モル%)を46.2部溶解させた水溶液を作製した。また、アクリル系モノマーたるメチルメタクリレート/ブチルアクリレート=45/55(重量比)の混合モノマーを700部用意した。
攪拌機と還流冷却器を備えたステンレス製反応容器に上記水溶液を仕込み、反応容器の温度を80℃に保った。
ここに、一段目の乳化重合用モノマーとして、上記混合モノマー〔メチルメタクリレート/ブチルアクリレート=45/55(重量比)〕を70部配合し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液(10%濃度)を5.67部配合し、一段目の重合反応を開始した。反応温度を80℃にて、1時間重合を行った。
次いで、2段目の乳化重合用モノマーとして、上記混合モノマー630部を用い、重合開始剤として前記過硫酸アンモニウム水溶液を11.3部用いた。これらを反応容器に4時間かけて滴下しながら重合を続けた。
上記2段目の乳化重合終了後(すなわち滴下終了後)に、前記過硫酸アンモニウム水溶液を1.89部配合した、同80℃で1時間の追い込み重合を続けた。
その後、室温まで冷却して、(C)PVA系樹脂および(D)ビニル系重合体粒子を含有するエマルジョンを得た。かかるエマルジョンの樹脂固形分は、105℃、3時間乾燥による乾燥減量法により測定したところ、50.4%であった。
かかるエマルジョンにポリビニルアルコール水溶液(20%濃度)(ポリビニルアルコールのケン化度:89モル%、平均重合度:500)を357部配合し、エマルジョンを含むエマルジョン組成物を得た。
かかるエマルジョン組成物の樹脂固形分は、105℃、3時間乾燥による乾燥減量法により測定したところ、44.5%であった。
得られたエマルジョン組成物を用いて、実施例1と同様に(B)金属酸化物繊維および(A)無機粒子を表2に示す配合となるように混合して、コート剤用組成物を得た。
得られたコート剤用組成物を用いて、実施例1と同様に、膜厚50μmの乾燥フィルムを作成した。得られた乾燥フィルムについて、TMA(熱分析装置) にて200℃における変形率(%)および250℃における変形率(%)を測定した。その結果を表2に記載した。なお、表2における(A)〜(D)の数値は、コート剤用組成物における乾燥構成比(%)を示す。
〔実施例5、比較例2〕
実施例4と同様にして、表2に示す配合にてフィルムを作製し、TMA(熱分析装置)にて200℃における変形率(%)および250℃における変形率(%)を測定した。その結果を表2に記載した。なお、実施例5においては、(B)金属酸化物繊維として、平均長径3000nm、平均短径4nm、平均アスペクト比750の酸化アルミニウム繊維ゾル(川研ファインケミカル社製、F−3000アルミナゾル、酸化アルミニウム繊維の含有量4.7%)を用いた。
Figure 0006710910
比較例2と比較して、実施例4、5は熱変形率が小さく、耐熱性に優れるという結果となった。
〔実施例6〕
<コート剤用組成物の作製>
(B)金属酸化物繊維として平均長径1400nm、平均短径4nm、平均アスペクト比350の酸化アルミニウム繊維ゾル(川研ファインケミカル社製、F−1000アルミナゾル、酸化アルミニウム繊維状微粒子含有量4.7%)を用いた。
実施例1で用いたエマルジョン100部(エマルジョンの樹脂固形分30.2%)、上記酸化アルミニウム繊維ゾルを35.3部(酸化アルミニウム固形分4.7%)配合し、ミキサー(Thinky社製、練太郎ARE−250)で2000rpmにて10分、その後2200rpmにて0.5分攪拌し、(B)金属酸化物繊維、(C)PVA系樹脂および(D)ビニル系重合体粒子を含有する配合物を得た。かかる配合物における固形分含有量は23.5%であった。
かかる配合物((B)+(C)+(D))10部(固形分23.5%)、(A)無機粒子(平均粒子径300nm、粒状)の分散液(酸化アルミニウム固形分65%)を68.8部配合し、ミキサー(Thinky社製、練太郎ARE−250)で2000rpmにて10分、その後2200rpmにて0.5分攪拌し、本発明のコート剤用組成物を得た。かかるコート剤用組成物における固形分含有量は59.7%であった。
かかるコート剤用組成物における(B)金属酸化物繊維の含有量は、コート剤用組成物における固形分100部に対して0.26部であった。
得られたコート剤用組成物を、20μmアプリケータを用いて、PP系セパレータ(CS Tech製、Selion2010)上の両面にキャストした。かかる試料を、80℃にて3時間、次に60℃、減圧条件下にて2日間保持にて乾燥することで、片面コート層5μmの両面コーティングセパレータを作成した。かかるコーティングセパレータは五酸化燐入りデシケータで1週間乾燥させた。
乾燥させたコーティングセパレータを、TMA(熱分析装置) にて25℃から250℃に昇温した後、250℃に保ちながら、コーティングセパレータが破断するまでの時間を変形挙動として確認した。その結果を表3に記載した。なお、表3における(A)〜(D)の数値は、コート剤用組成物における乾燥構成比(%)を示す。
〔比較例3〕
実施例6と同様にして、表3に示す配合にてコーティングセパレータを作製し、変形挙動の差を確認した。その結果を表3に記載した。
Figure 0006710910
比較例3と比較して、実施例6は250℃保持において、より長時間熱変形することなく形状保持していることから、耐熱性に更に優れているという結果となった。
〔実施例7〕
実施例6で得られたコート剤用組成物を、10μmアプリケータを用いて、PP系セパレータ(CS Tech製Selion1610 透気抵抗値229秒)上の両面にキャストした。かかる試料を、60℃にて1時間、乾燥することで片面コート層2μmの両面コーティングセパレータを作製した。
得られたコーティングセパレータをTMAにて200℃および250℃における変形率(%)を測定した。また、東洋精機製ガーレー式デンソメータを用いて、JIS P8117に準じて、23℃、50%RHの雰囲気下での透気抵抗度を測定した。その結果を表4に記載した。
なお、表4における(A)〜(D)の数値は、コート剤用組成物における乾燥構成比(%)を示す。また、透気抵抗度はコーティングセパレータ全体の透気抵抗値から基材のセパレータの透気抵抗値(229秒)を差し引き、コート層1μmあたりの透気抵抗値を算出した。
〔実施例8、比較例4〕
実施例7と同様にして、表4に示す配合となるようにコート剤用組成物を作製し、同様にセパレータにコーティングして両面コーティングセパレータを作製し、同様に評価を行った。
Figure 0006710910
比較例4と比較して、実施例7、8は200℃および250℃において変形率が小さく、耐熱性に優れている。さらに(A)無機粒子の構成比が実施例7よりも大きい実施例8においては、優れた耐熱性を維持しつつ、透気抵抗度が実施例7よりも小さく、よって二次電池セパレータとして使用した時、優れたイオン伝導性を有している。
本発明のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物は、リチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物としてだけでなく、リチウムイオン二次電池正極・負極などの電極用コート剤用組成物としても利用することができる。またリチウムイオンポリマー二次電池等の他の二次電池で使用される電極体にも適用することが可能である。

Claims (6)

  1. (A)無機粒子、
    (B)平均短径が10nm未満であり、平均アスペクト比が300を超える金属酸化物繊維、および
    (C)ポリビニルアルコール系樹脂
    を含むリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物であって、
    前記コート剤用組成物の固形分(乾燥構成比)において、
    (A)無機粒子の含有量が1〜97重量%、
    (B)金属酸化物繊維の含有量が0.001〜10重量%、
    (C)ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が1.56〜80重量%であり、
    (B)金属酸化物繊維が(C)ポリビニルアルコール系樹脂の連続相中に存在することを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。
  2. (D)ビニル系重合体粒子を更に含有する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。
  3. (B)金属酸化物繊維がアルミナ繊維である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。
  4. (B)金属酸化物繊維が、ベーマイト型もしくは擬ベーマイト型のアルミナ繊維又はアルミナ水和物繊維である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。
  5. (A)無機粒子がアルミナ粒子である請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。
  6. (A)無機粒子、(B)平均短径が10nm未満であり、平均アスペクト比が300を超える金属酸化物繊維、および(C)ポリビニルアルコール系樹脂を含むリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物を製造する方法であって、
    (B)金属酸化物繊維および(C)ポリビニルアルコール系樹脂を含有する分散液と、(A)無機粒子とを混合する工程を有する、リチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物の製造方法。
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