JP6710910B2 - リチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このセパレータは、d50が特定小径の無機酸化物水和物粒子を含有するアルコール分散液を塗工液として有機織布または不織布に塗布し、乾燥させることにより作成したものであり、耐熱性には未だ改善の余地があった。
しかしながら、このようなコート剤用組成物であっても、耐熱性には未だ改善の余地があり、電極表面やセパレータ表面を被覆するコート膜が高熱に晒されると伸びて変形し、短絡により発煙や発火が生じるおそれがあった。
なお、本明細書において、アクリルとメタクリルを特段区別しない場合には(メタ)アクリルと総称し、アクリレートとメタクリレートを特段区別しない場合には(メタ)アクリレートと総称する。
本発明において固形分および樹脂固形分とは、対象物を105℃、3時間の乾燥減量法に供することにより得られるものを意味する。
本発明で用いる(A)無機粒子としては、耐熱性および電気絶縁性を有しており、電解質、電池を作成するために使用する他の材料に対して化学的に安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定なものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物;酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)等の第4族の金属酸化物;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化インジウム等の第13族元素の酸化物;二酸化珪素(シリカ)、酸化スズ、酸化鉛等の第14族元素の酸化物;酸化アンチモン等の第15族元素の酸化物;コロイダルシリカやチタニアゾル、アルミナゾル等のゾル;タルク、カオリナイト、スメクタイト等の粘土鉱物;炭化ケイ素、炭化チタン等の炭化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の窒化物;窒化ホウ素、ホウ化チタン、酸化ホウ素等のホウ化物;ムライト等の複合酸化物;水酸化リチウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の水酸化物;チタン酸バリウム;炭酸リチウム;炭酸カルシウム;炭酸マグネシウム;炭酸ストロンチウム;珪酸マグネシウム;珪酸リチウム;珪酸ナトリウム;珪酸カリウム;ガラス等の各粒子が挙げられる。
なかでも、入手が容易であることや経済性の点から、好ましくは第4族、第13族〜第15族元素の酸化物の粒子であり、特に好ましくは第13族および第14族元素の酸化物の粒子であり、更に好ましくは第13族元素の酸化物の粒子である。具体的には、好ましくはアルミナ粒子、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子であり、特に好ましくはシリカ粒子、アルミナ粒子であり、更に好ましくはアルミナ粒子である。
これら無機粒子は、1種類を単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
なお、本明細書における粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度測定分布測定法により測定された値を採用することができる。
かかる含有量が上記範囲内にある場合は、得られるコート膜に電気化学的に安定性が得られる傾向があり、上記範囲外の場合は、セパレータの両面にコート膜が形成されたコーティングセパレータのイオン透過性が低下し、電池性能が低下する傾向がある。
本発明で用いる(B)金属酸化物繊維としては、耐熱性および電気絶縁性を有しており、電解質、電池を作成するために使用する他の材料に対して化学的に安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定なものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等のアルカリ土類金属酸化物;酸化チタン、酸化ジルコニウム等の第4族の金属酸化物;酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化インジウム等の第13族元素の酸化物;二酸化珪素、酸化スズ、酸化鉛等の第14族元素の酸化物;酸化アンチモン等の第15族元素の酸化物等が使用可能である。なかでも、高レベルの耐熱性が効果的に得られる点で、好ましくは第13族〜第15族元素の酸化物繊維であり、さらに好ましくは第13族元素の酸化物繊維であり、特に好ましくは酸化アルミニウム(アルミナ)繊維である。
これら金属酸化物繊維は、1種類を単独で、又は2種類以上を適宜組み合わせて使用することができる。
平均アスペクト比が大きすぎる場合、得られる耐熱性が低下する傾向があり、得られるコート膜に異方性が生じやすくなる傾向がある。また、アスペクト比が小さすぎる場合、得られる耐熱性が低下する傾向がある。
これらの化合物のうち、適度な加水分解性を有し、副生成物の除去が容易であることなどから、炭素数2〜5のアルコキシル基を有するものが特に好ましい。また、これらのアルコキサイドの性状は、液体でも、粉末ないし顆粒状でもよい。その純度は、通常99%以上であり、好ましくは99.5%以上である。
かかる含有量が上記範囲内にある場合、得られるコート膜に高レベルの耐熱性が得られる傾向がある。
本発明で用いる(C)PVA系樹脂は、PVA系樹脂溶液の形態、又はPVA系樹脂エマルジョンの形態にて本発明のコート剤用組成物に含有させることができるが、PVA系樹脂エマルジョンの形態にて本発明のコート剤用組成物に含有させることが好ましい。
PVA系樹脂エマルジョンは、PVA系樹脂を分散剤として、例えば後述の(D)ビニル系重合体粒子を分散質として、水を分散媒として有するエマルジョンであり、特定の平均アスペクト比および特定の平均短径を有する(B)金属酸化物繊維の表面とPVA系樹脂との親和性を高めることができる。これにより、(A)無機粒子と配合する際にPVA系樹脂が優れた相互作用を発現して、耐熱性に優れたコート膜が得られる。
分散剤たるPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726(1994年度版)に準拠して測定)は、通常85〜100モル%であり、好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは95〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎると、脱酢酸反応等が起こってポリビニルアルコール分子主鎖に共役構造が発生しやすくなり、得られるコート膜が着色しやすくなる傾向がある。
PVA系樹脂に対してこれら変性モノマーを用いる変性方法は、共重合であり、その他グラフト変性等の公知の後変性を用いることができる。
本発明のコート剤用組成物が含みうるエマルジョンは、分散質として、ビニル系重合体粒子を含有していてもよい。ビニル系重合体とは、ビニル系モノマーの重合体を意味する。かかるビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル系モノマー、アミド変性又は(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基変性のアクリル系モノマー、スチレン系モノマー、ビニルエステル系モノマー、アルキルビニルエーテルモノマー、オレフィン系モノマー、ジエン系モノマー、ニトリル系モノマー、不飽和ジカルボン酸またはそのエステル系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、アリル系モノマーなどが挙げられる。
アクリル系モノマーとして好ましくは(メタ)アクリルエステル系モノマーであり、特に好ましくは炭素数5〜15の(メタ)アクリルエステル系モノマーであり、更に好ましくは炭素数5〜10の(メタ)アクリルエステル系モノマーである。
これらは、それぞれ単独で重合に用いることも可能であるが、2種類以上混合して用いることが好ましい。
(D)ビニル系重合体粒子を構成するビニル系モノマーとして、好ましくはアクリル系モノマー、スチレン系モノマー、ビニルエステル系モノマー、ニトリル系モノマーであり、特に好ましくはアクリル系モノマー、スチレン系モノマーである。
また、アクリル系モノマーが(D)ビニル系重合体粒子を構成するビニル系モノマーの50重量%以上である場合、重合性の観点で好ましい。
本発明のコート剤用組成物の製造方法は、(B)金属酸化物繊維および(C)PVA系樹脂を含有する分散液と、(A)無機粒子とを混合する工程を有する。(B)金属酸化物繊維および(C)PVA系樹脂を含有する分散液としては、(B)金属酸化物繊維が(C)PVA系樹脂の溶液中に分散した分散液、この分散液中に分散質としての(D)ビニル系重合体粒子を更に含有するエマルジョンが挙げられる。
かかる分散液における(C)PVA系樹脂の含有量は、使用するPVA系樹脂の種類や調製しようとする分散液の濃度等によって異なるが、コート剤用組成物の固形分(乾燥構成比)に対して1.56〜80重量%となる様に調整することができ、好ましくは1.56〜50重量%、特に好ましくは1.56〜30重量%である。
次に、(B)金属酸化物繊維、(C)PVA系樹脂、および(D)ビニル系重合体粒子を含有するエマルジョンの合成について説明する。
かかるエマルジョンは、以上のような分散剤たるPVA系樹脂と分散質たる(D)ビニル系重合体粒子が、水分散媒中に分散しているものである。かかるエマルジョンは、分散剤の存在下で、例えば、上記アクリル系モノマー(および所望によりアクリル系モノマー以外の他のモノマー)を乳化重合することによって得られる。
なお、重合開始剤の配合方法としては、特に制限はなく、初期に一括して反応液中に配合してもよいし、重合の経過に伴って連続的に添加してもよい。
分散媒および分散剤を含有する反応容器に、重合しようとするモノマーの一部を仕込み、1段目の乳化重合を行う。1段目に投入するモノマーの量は、特に限定しないが、重合に使用するモノマーの通常1〜50重量%程度であり、好ましくは5〜30重量%である。1段目の乳化重合工程の条件は、用いるモノマーの種類、組成、重合開始剤の使用量等により適宜決定すればよい。
乳化重合反応の温度は、通常30〜90℃であり、好ましくは40〜80℃であり、重合時間は通常1〜4時間である。1段目の乳化重合工程においては、重合転化率が通常50%以上であり、好ましくは60%以上である。
2段目の乳化重合は、1段目の重合が終了した反応容器に、残りのモノマーを投入することにより行う。投入は、通常は常法でよいが、滴下しながら行うことが好ましい。また、2段目の重合に際して、重合触媒を投入してもよい。2段目の乳化重合は、重合温度が通常40〜80℃、重合時間が通常1〜6時間の条件で行う。
また、滴下するモノマー組成比を連続的に変えながら滴下するパワーフィード重合法を用いることも可能である。また、モノマーを分散剤たるPVA系樹脂の存在下で予め混合分散させた分散液を滴下しながら重合してもよい。
必要に応じて、かかる工程の後に通常1〜6時間の追い込み重合をおこなうことも可能である。かかる重合中に重合触媒を投入してもよい。
更に、フタル酸エステル、リン酸エステル等の可塑剤、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のpH調整剤等も併用され得る。
以上のようにして乳化重合を行うことにより、合成された(D)ビニル系重合体粒子(分散質)と分散剤としての(C)PVA系樹脂とを含む粒子が、水分散媒中に分散したエマルジョンが得られる。
本発明のコート剤用組成物には、通常、塗膜に用いられる塗料や成型用樹脂に用いられる配合剤等を配合することができる。例えば、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等が挙げられる。それぞれの目的に応じて選択したり、組み合わせたりして配合することができる。なお、コート剤用組成物がこれらの配合剤を含有する場合、含有する配合剤の有機分は、コート剤用組成物の樹脂固形分に含まれる。
上記配合剤の含有量は、コート剤用組成物における上記エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して通常10重量部未満、好ましくは5重量部未満である。
本発明のコート剤用組成物において、分散媒に溶解して含まれるPVA系樹脂量を特定範囲とする方法としては、(i)エマルジョン中の分散剤としての(C)PVA系樹脂(便宜上、第1のPVA系樹脂と称することがある。)を通常よりも多量に用いる方法や、(ii)エマルジョン、(B)金属酸化物繊維と共に他の成分としてPVA系樹脂(便宜上、第2のPVA系樹脂と称することがある。)を配合する方法、(iii)上記(i)と(ii)を併用する方法等が挙げられる。(ii)の方法の場合、PVA系樹脂は固体であっても、コート剤用組成物の分散媒と親和性のある溶媒に溶解した溶液であってもよいが、溶液が好ましい。
なお、いずれの方法においてもPVA系樹脂の含有量は本発明のコート剤用組成物における樹脂固形分に含まれる。
上記(ii)の方法に用いるPVA系樹脂(第2のPVA系樹脂)は、上記した分散剤たるPVA系樹脂と同様に、公知のPVA系樹脂を用いることが可能である。
第2のPVA系樹脂のケン化度(JIS K6726(1994年度版)に準拠して測定)は、通常80〜100モル%であり、好ましくは85〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎると、脱酢酸反応等が起こってポリビニルアルコール分子主鎖に共役構造が発生しやすくなり、得られるコート膜が着色しやすくなる傾向がある。
異なる種類のPVA系樹脂を用いる場合、本発明に用いるエマルジョンの分散剤たる第1のPVA系樹脂と第2のPVA系樹脂は、互いに完全相溶性(海−海構造)となり均一相を形成するか、或いは海島構造を形成する。本発明のコート剤用組成物より得られるコート膜における、連続層の強度の観点から、海島構造を形成する場合はドメインサイズを小さく(通常、ドメイン径1.5μm以下)制御することが好ましい。
かかる観点から、異なる種類のPVA系樹脂を用いる場合のケン化度差は、通常0〜15モル%、好ましくは3〜10モル%である。
また、特に(ii)の方法においては、本発明に用いるエマルジョンの分散剤たる第1のPVA系樹脂のケン化度が、第2のPVA系樹脂のケン化度より高いことが好ましい。
かかる場合、コート剤用組成物より得られるコート膜の連続相において、第1のPVA系樹脂が安定なマトリックスを形成することができるので、連続層の強度が良好に維持されると考えられる。
また、第1のPVA系樹脂と第2のPVA系樹脂の合計量に対する第2のPVA系樹脂の含有量としては、通常95%以下、好ましくは90%以下、特に好ましくは85%以下である。
特に、予めエマルジョンに配合してエマルジョン組成物としておくことが、エマルジョンの分散質の分散安定性の点から好ましい。
本発明のコート剤用組成物は、(A)無機粒子、(B)金属酸化物繊維、および(C)PVA系樹脂を含む。
かかる含有量が多すぎる場合、コート剤用組成物の造膜性や透明性が低下する傾向があり、少なすぎる場合、コート剤用組成物の耐熱性が低下する傾向がある。
かかる含有量が多すぎる場合、コート剤用組成物の粘度が高くなる傾向や、塗工性やレベリング性等が低下する傾向があり、少なすぎる場合、コート剤用組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
かかる含有量が上記範囲内にある場合、得られるコート膜に高レベルの耐熱性が得られやすい傾向がある。
かかる攪拌工程は、複数段階にて行うことが可能である。
また、使用する電極またはセパレータの材質に合わせて、溶媒を選択することも可能で、例えば使用する溶媒に電極材料やセパレータが溶解したり腐食したりしないものを適時選ぶことができる。
本発明によるコート膜は、(A)無機粒子、(B)金属酸化物繊維、および(C)PVA系樹脂を含有するコート剤用組成物より得られるコート膜であり、更に(D)ビニル系重合体粒子を含有するコート剤用組成物より得られるコート膜では分散相と連続相を有する。更に(D)ビニル系重合体粒子を含有するコート剤用組成物より得られるコート膜は、エマルジョンの分散質たる(D)ビニル系重合体粒子に由来する非水溶性の分散相が主成分であり、エマルジョンの分散剤たる(C)PVA系樹脂に由来する水溶性の連続相を微量有するものである。
本発明のコート剤用組成物を、リチウムイオン二次電池電極体、例えば、正極、負極等の電極、セパレータ等に塗工、熱処理することでコート膜を得ることができる。
また、熱処理時間も、上述の熱処理温度に応じて適宜調節されるものであるが、通常は0.1〜200時間であり、好ましくは0.5〜48時間である。
かかる熱処理は、複数段階にて行うことも可能である。また、特に融点の低いポリオレフィン系樹脂(多孔質など)の電極体を用いる場合は、電極体へのダメージを抑制するために波長制御乾燥システム(日本ガイシ社等)を用いて通常40℃〜90℃条件下にて乾燥を行うことも可能である
<エマルジョン〔(C)PVA系樹脂および(D)ビニル系重合体粒子を含有〕の作製>
エマルジョンの分散媒として水、分散剤として構造式(1a)で示される1,2−ジオール構造単位を側鎖に含有するポリビニルアルコール樹脂(けん化度;98.5モル%、平均重合度1200、1,2−ジオール構造単位含有量;6モル%)を用い、分散質たるアクリル系樹脂となるアクリル系モノマーとして、スチレン/ブチルアクリレート=45/55(重量比)の混合モノマーを用いた。
水914部に構造式(1a)に示す1,2−ジオール構造単位を側鎖に含有するポリビニルアルコール樹脂(けん化度;98.5モル%、平均重合度1200、1,2−ジオール構造単位含有量;6モル%)を225部溶解させた水溶液を作製した。また、アクリル系モノマーたるスチレン/ブチルアクリレート=45/55(重量比)の混合モノマーを176部用意した。
ここに、一段目の乳化重合用モノマーとして、上記混合モノマー〔スチレン/ブチルアクリレート45/55(重量比)〕を17.6部配合し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液(10%濃度)を5.62部配合し、一段目の重合反応を開始した。反応温度を80℃にて、1時間重合を行った。
次いで、2段目の乳化重合用モノマーとして、上記混合モノマー158.4部を用い、重合開始剤として前記過硫酸アンモニウム水溶液を11.3部用いた。これらを反応容器に4時間かけて滴下しながら重合を続けた。
上記2段目の乳化重合終了後(すなわち滴下終了後)に、前記過硫酸アンモニウム水溶液を1.87部配合した、同80℃で1時間の追い込み重合を続けた。
上記エマルジョンを用いた。また、(B)金属酸化物繊維として平均長径1400nm、平均短径4nm、平均アスペクト比350の酸化アルミニウム繊維ゾル(川研ファインケミカル社製、F−1000アルミナゾル、酸化アルミニウム繊維の含有量4.7%)を用いた。
かかるコート剤用組成物における(B)金属酸化物繊維の含有量は、コート剤用組成物における固形分100部に対して0.44部であった。
TMA伸長モード(25〜250℃、昇温10℃/min、荷重0.5gf/mm2)
フィルム:4mm幅×16mm長×50μm厚
200℃における変形率(%)および250℃における変形率(%)
その結果を表1に記載した。なお、表1における(A)〜(D)の数値は、コート剤用組成物における固形分(乾燥構成比)(%)を示す。
実施例1と同様にして、表1に示す配合にてフィルムを作製し、TMA(熱分析装置)にて200℃における変形率(%)および250℃における変形率(%)を測定した。その結果を表1に記載した。なお、実施例3においては、(B)金属酸化物繊維として、平均長径3000nm、平均短径4nm、平均アスペクト比750の酸化アルミニウム繊維ゾル(川研ファインケミカル社製、F−3000アルミナゾル、酸化アルミニウム繊維の含有量4.7%)を用いた。
エマルジョンの分散媒として水、分散剤として構造式(1a)で示される1,2−ジオール構造単位を側鎖に含有するポリビニルアルコール樹脂(けん化度;98.5モル%、平均重合度300,1,2−ジオール構造単位含有量;6モル%)を用い、分散質たるアクリル系樹脂となるアクリル系モノマーとして、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート=45/55(重量比)の混合モノマーを用いた。
水715部に構造式(1a)に示す1,2−ジオール構造単位を側鎖に含有するポリビニルアルコール樹脂(けん化度;98.5モル%、平均重合度300,1,2−ジオール構造単位含有量;6モル%)を46.2部溶解させた水溶液を作製した。また、アクリル系モノマーたるメチルメタクリレート/ブチルアクリレート=45/55(重量比)の混合モノマーを700部用意した。
ここに、一段目の乳化重合用モノマーとして、上記混合モノマー〔メチルメタクリレート/ブチルアクリレート=45/55(重量比)〕を70部配合し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液(10%濃度)を5.67部配合し、一段目の重合反応を開始した。反応温度を80℃にて、1時間重合を行った。
次いで、2段目の乳化重合用モノマーとして、上記混合モノマー630部を用い、重合開始剤として前記過硫酸アンモニウム水溶液を11.3部用いた。これらを反応容器に4時間かけて滴下しながら重合を続けた。
上記2段目の乳化重合終了後(すなわち滴下終了後)に、前記過硫酸アンモニウム水溶液を1.89部配合した、同80℃で1時間の追い込み重合を続けた。
かかるエマルジョンにポリビニルアルコール水溶液(20%濃度)(ポリビニルアルコールのケン化度:89モル%、平均重合度:500)を357部配合し、エマルジョンを含むエマルジョン組成物を得た。
かかるエマルジョン組成物の樹脂固形分は、105℃、3時間乾燥による乾燥減量法により測定したところ、44.5%であった。
実施例4と同様にして、表2に示す配合にてフィルムを作製し、TMA(熱分析装置)にて200℃における変形率(%)および250℃における変形率(%)を測定した。その結果を表2に記載した。なお、実施例5においては、(B)金属酸化物繊維として、平均長径3000nm、平均短径4nm、平均アスペクト比750の酸化アルミニウム繊維ゾル(川研ファインケミカル社製、F−3000アルミナゾル、酸化アルミニウム繊維の含有量4.7%)を用いた。
<コート剤用組成物の作製>
(B)金属酸化物繊維として平均長径1400nm、平均短径4nm、平均アスペクト比350の酸化アルミニウム繊維ゾル(川研ファインケミカル社製、F−1000アルミナゾル、酸化アルミニウム繊維状微粒子含有量4.7%)を用いた。
かかるコート剤用組成物における(B)金属酸化物繊維の含有量は、コート剤用組成物における固形分100部に対して0.26部であった。
実施例6と同様にして、表3に示す配合にてコーティングセパレータを作製し、変形挙動の差を確認した。その結果を表3に記載した。
実施例6で得られたコート剤用組成物を、10μmアプリケータを用いて、PP系セパレータ(CS Tech製Selion1610 透気抵抗値229秒)上の両面にキャストした。かかる試料を、60℃にて1時間、乾燥することで片面コート層2μmの両面コーティングセパレータを作製した。
なお、表4における(A)〜(D)の数値は、コート剤用組成物における乾燥構成比(%)を示す。また、透気抵抗度はコーティングセパレータ全体の透気抵抗値から基材のセパレータの透気抵抗値(229秒)を差し引き、コート層1μmあたりの透気抵抗値を算出した。
実施例7と同様にして、表4に示す配合となるようにコート剤用組成物を作製し、同様にセパレータにコーティングして両面コーティングセパレータを作製し、同様に評価を行った。
Claims (6)
- (A)無機粒子、
(B)平均短径が10nm未満であり、平均アスペクト比が300を超える金属酸化物繊維、および
(C)ポリビニルアルコール系樹脂
を含むリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物であって、
前記コート剤用組成物の固形分(乾燥構成比)において、
(A)無機粒子の含有量が1〜97重量%、
(B)金属酸化物繊維の含有量が0.001〜10重量%、
(C)ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が1.56〜80重量%であり、
(B)金属酸化物繊維が(C)ポリビニルアルコール系樹脂の連続相中に存在することを特徴とするリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。 - (D)ビニル系重合体粒子を更に含有する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。
- (B)金属酸化物繊維がアルミナ繊維である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。
- (B)金属酸化物繊維が、ベーマイト型もしくは擬ベーマイト型のアルミナ繊維又はアルミナ水和物繊維である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。
- (A)無機粒子がアルミナ粒子である請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物。
- (A)無機粒子、(B)平均短径が10nm未満であり、平均アスペクト比が300を超える金属酸化物繊維、および(C)ポリビニルアルコール系樹脂を含むリチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物を製造する方法であって、
(B)金属酸化物繊維および(C)ポリビニルアルコール系樹脂を含有する分散液と、(A)無機粒子とを混合する工程を有する、リチウムイオン二次電池セパレータ用コート剤用組成物の製造方法。
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