JP6710830B2 - 二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法 - Google Patents

二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法 Download PDF

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本発明は、海水や淡水に二価鉄イオンを長期にわたって徐々に放出することで、植物プランクトン等の成長を促進させるための、二価鉄イオン徐放出素焼物およびその製造方法ならびにこの素焼物を用いた二枚貝養殖具および水域環境保全方法に関する。
近年、海域や河川域では、水中で光合成を行う植物に必要となる鉄分が不足し、水棲生物の生産量が低下している。例えば、沿岸付近では、岩場の海藻が死滅し、アサリ、ハマグリなどの貝類の他、昆布、ウニといった沿岸水産資源の減少が顕著となっている。
湾岸付近の主な鉄分は、森林の腐植土壌でフルボ酸と二価鉄イオン(Fe2+)とがキレート化した水溶性のフルボ酸鉄が、河川から海へと流出したものである。近年では森林が荒廃し、このフルボ酸鉄の海水への溶出量が減少して、磯焼けが発生している。
そこで、これを解消する従来技術として、例えば、特許文献1のように、二価の鉄イオンを含む鉄分をコンクリートブロックの表面に存在させしたものを海底に沈め、海藻の増殖を図るものなどが開発されている。
その他にも、例えば特許文献2のように、透水性の袋材に、フルボ酸およびフミン酸を含む腐植含有物質と二価鉄含有物質とを詰めて水域環境保全材料を作製し、これを海中に沈めることにより、海中で二価鉄(FeO,Fe)を含有する物質と、腐植(フルボ酸など)を含有する物質とを結合させ、フルボ酸鉄を生成させるものなどが知られている。
特開平5−268854号公報 特開2006−212036号公報
しかしながら、特許文献1では、鉄分の担体としてコンクリートブロックが使用されている。そのため、コンクリートの強アルカリの環境下では、基本的に二価鉄イオンの生成は困難である。仮に、コンクリートブロックの表面から光合成生物が摂取可能な二価鉄イオンが溶出したとしても、二価鉄イオンは水中の酸素により酸化されやすく、三価鉄イオン(Fe3+)となってすぐに粒状鉄(Fe)として沈降してしまう。そのため、植物プランクトンなどはこれを摂取できず、二価鉄イオンの水棲生物への供給は効率的でない。
また、特許文献2によれば、透水性の袋材は、水中に設置することで、短期間に内容物(鉄物)が周囲へ溶出してしまうおそれがある。その結果、これを原因とした水質汚染を引き起こす可能性があり、かつ二価鉄イオンを長期間持続して供給できるかも不明である。
さらに、河口域の泥質干潟では、有機物を分解する微生物が多く発生するため、干潟の表面から数cmまでの厚さ領域には無酸素状態の還元層が形成されやすく、このような領域(ヘドロ)では、土中に含まれる硫酸イオンが硫酸還元菌などのバクテリアによって還元され、硫化水素が発生して悪臭がするとともに、水棲生物が生活する水域環境を悪化させていた。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、例えば、牡蠣等の二枚貝養殖場から大量に廃棄される貝殻に着目した。この貝殻を粉末状にしたものを主成分とし、これに鉄分を含む粘土(バインダ)と、クエン酸と水とを加えて攪拌し、得られたクエン酸鉄を含む懸濁液を球状や駒状等に付形した後、その付形物を所定温度で焼成することで多孔質の素焼物を製造する。これを、例えば、河口域の水に浸漬することで、水面下に二価鉄イオンを徐々に放出し、かつ表面の微細孔が植物プランクトンの住処になるとともに、この素焼物を泥質干潟等で使用した際には、溶出した二価鉄イオンにより硫化水素が化学的に固定化され、ヘドロの悪臭等を抑制することができ、さらにはアルカリ性の炭酸カルシウムを主成分とした貝殻粉末により、例えば泥質干潟の酸性物質の中和を図れることを知見し、この発明を完成させた。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、海水や淡水に二価鉄イオンを長期にわたり徐放出可能で、これにより植物プランクトン等の成長を促進させて、二枚貝を含む水棲生物の生産量を高めることができ、かつ硫化水素を含む還元層の発生を抑制可能で、さらには海域や河川域等に存在する各種の酸性物質の中和も図れる、二価鉄イオン徐放出素焼物およびその製造方法ならびにこの素焼物を用いた二枚貝養殖具および水域環境保全方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の本発明は、主成分の貝殻粉末と、バインダである粘土と、クエン酸鉄とを有して、表面が多孔質であることを特徴とする二価鉄イオン徐放出素焼物である。
貝殻粉末の原料となる貝殻は限定されない。例えば、牡蠣殻、アサリ殻、赤貝殻、ホタテ貝殻などを採用することができる。これらの貝殻は貝肉の採取、加工後に多量に廃棄処分されており、その入手は容易である。
粘土の種類は限定されないものの、鉄分を含むものが好ましい。例えば、盛和粘土(赤土)などが好ましい。
固化体に含まれるクエン酸鉄は、例えば、主成分の貝殻粉末と鉄分を含む粘土とにクエン酸を添加し、これらを攪拌して固化体を得る際に、クエン酸鉄を生成するようにしてもよい。その他、貝殻粉末と鉄分を含まない粘土とを攪拌する際に、クエン酸鉄としてこの固化体に添加してもよい。
二価鉄イオン徐放出素焼物の形状は任意である。例えば、球状(素焼き玉)でも、そろばん等の駒状でもよい。
二価鉄イオン徐放出素焼物のサイズは限定されない。例えば、その形状が球状の場合、直径8mm〜15mmのものの方が、二枚貝の幼生の着底率が高い。また、二価鉄イオン徐放出素焼物は、形状が不揃いで、かつサイズも不揃いの方が、成長後に砂に潜る習性がある二枚貝が潜砂しやすい。
二価鉄イオン徐放出素焼物のpHは限定されない。ただし、牡蠣殻粉末が主成分であるため、一般的には弱アルカリ性(pH7.8〜pH8.2)となる。
二価鉄イオン徐放出素焼物の使用方法としては、例えば、二価鉄イオン徐放出素焼物を透水性の袋体に封入し、これを海水または淡水に浸漬することを採用することができる。その他、例えば河口域の泥質干潟に散布してもよい。この場合、潮の満ち引きで二価鉄イオン徐放出素焼物が流されないように、二価鉄イオン徐放出素焼物の散布域の上を平網により覆い、平網をアンカーピンにより泥底に固定した方がよい。
また、請求項2に記載の本発明は、前記二価鉄イオン徐放出素焼物は、(a)鉄分を含む粘土20〜30重量%、(b)貝殻粉末70〜80重量%(ただし、(a)+(b)=100重量%)からなる素焼物主原料に対して、この鉄分と、固形分換算で鉄分と当モルのクエン酸とを反応させて得られたクエン酸鉄水和物を焼成して得たクエン酸鉄を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物である。
このうち、素焼物主原料100重量%に対する貝殻粉末の配合量が、70重量%未満では、二価鉄イオン徐放出素焼物の表面全体に、植物プランクトンの住処となる細孔を形成しにくいとともに、例えば泥質干潟の固化防止、土壌のpHをアルカリ性にして酸性物質の中和を十分に図れない。また、80重量%を超えれば、バインダである粘土の配合割合が減少し、得られた二価鉄イオン徐放出素焼物の形状が崩れやすい。
また、素焼物主原料100重量%に対する粘土の配合量が、20重量%未満では、粘土の割合が減少し、得られた二価鉄イオン徐放出素焼物が崩れやすい。また、30重量%を超えれば、貝殻粉末の配合量が減少し、二価鉄イオン徐放出素焼物の表面全体に、植物プランクトンの住処となる細孔を形成しにくいとともに、例えば泥質干潟の固化防止、土壌のpHをアルカリ性にして酸性物質の中和を十分に図れない。
二価鉄イオン徐放出素焼物100重量%に含まれるクエン酸鉄(CFe;208.1g/mol)の量は、粘土に含まれる鉄分(Fe;19.00g/mol)に対して、その約11.0倍となる。
請求項3に記載の本発明は、前記粘土に含まれる鉄分は、該粘土100重量%に対して2〜10重量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物である。
粘土に含まれる鉄分の割合が、粘土100重量%に対して2重量%未満では、二価鉄イオン徐放出素焼物に含まれるクエン酸鉄の生成量が少なすぎて、植物プランクトンの養分となる二価鉄イオンの放出量が減少する。また、10重量%を超えれば、貝殻粉末に対する粘土のバインダ効果が低下するとともに、焼成後の二価鉄イオン徐放出素焼物の表面に“オデキ”と称する突起が現出するおそれがある。また、二価鉄イオン徐放出素焼物からのクエン酸鉄の放出量が過剰となり、赤潮やアオサなどの発生原因となるおそれがある。粘土に含まれる好ましい鉄分の割合は、2.5〜5重量%、さらに好ましくは3〜4重量%である。
さらに、請求項4に記載の本発明は、前記二価鉄イオン徐放出素焼物の表面全域には、マクロポアの直径が10μm〜60μm、ミクロポアの直径が3μm〜5μmの細孔が形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物である。
細孔のマクロポアの直径が10μm未満では、マクロポアが狭すぎて珪藻類などのナノプランクトン(2μm〜20μm)が棲みつく数量が減少する。そのため、これを餌とする二枚貝の浮遊幼生(100μm〜230μm)の着底率が低下する。また、60μmを超えれば、マクロポアが広すぎて二価鉄イオン徐放出素焼物の表面が粗くなり、ナノプランクトンが流されやすくて、二枚貝の浮遊幼生の着底率が低下する。マクロポアの好ましい直径は、20μm〜50μmである。
また、細孔のミクロポアの直径が3μm未満では、このミクロポアが狭すぎて藍藻類などのピコプランクトン(0.2μm〜2μm)が棲みつきにくい。また、5μmを超えれば、ミクロポアが広すぎてピコプランクトンが流されやすく、定着しにくい。ミクロポアの好ましい直径は、4μm前後である。
さらにまた、請求項5に記載の本発明は、二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法であって、鉄分を含む粘土を使用し、(a)粘土20〜30重量%、(b)貝殻粉末70〜80重量%(ただし、(a)+(b)=100重量%)からなる素焼物主原料に対して、固形分換算で前記鉄分と当モル以上のクエン酸と、所定量の水とを加えて攪拌することで懸濁液とし、その後、この懸濁液を所定時間放置することで、前記粘土に含まれる鉄分とクエン酸とを反応させ、前記素焼物主原料中にクエン酸鉄水和物を生成させ、その後、生成した沈殿物を取り出して付形、乾燥して焼成することを特徴とする二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法である。
素焼物主原料に対するクエン酸の添加量が、固形分換算で粘土に含まれる鉄分と当モル未満であれば、粘土に含まれる鉄分の量に対してクエン酸の量が不足し、二価鉄イオン徐放出素焼物からの植物プランクトンの養分となる二価鉄イオンの放出量が少なくなる。
粘土に含まれる鉄分(Fe;19.00g/mol)に対してのクエン酸(C;192.125g/mol)の添加量は、固形分換算で鉄分の約10.1倍である。
また、得られたクエン酸鉄水和物(C.3HO.Fe(化学式;CFeO・nHO);262.148g/mol)の量は、粘土に含まれる鉄分に対して、その約13.8倍となる。
水としては、例えば水道水などを使用することができる。水の添加量は、粘土と貝殻粉末とクエン酸との懸濁液が得られる量であれば限定されない。
懸濁液の放置時間(沈殿時間)は任意である。この放置中に、粘土に含まれる鉄分とクエン酸とが反応し、クエン酸鉄水和物が生成される。
取り出された沈殿物は、例えば脱水処理により付形に適した硬さにされ、各種の付形(成型)装置などを利用して、球状または駒状を含む所定形状に付形される。
請求項6に記載の本発明は、前記貝殻粉末の平均粒径は10μm〜30μmで、前記焼成温度は400℃〜750℃で、焼成後、前記二価鉄イオン徐放出素焼物の表面には、マクロポアの直径が10μm〜60μm、ミクロポアの直径が3μm〜5μmの細孔が形成されることを特徴とする請求項5に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法である。
貝殻粉末の平均粒径が10μm未満では、得られた二価鉄イオン徐放出素焼物の表面が密すぎて、二枚貝の浮遊幼生の着底率が低下する。また、30μmを超えれば、二価鉄イオン徐放出素焼物の表面が粗すぎて、二枚貝の浮遊幼生の着底率が低下する。貝殻粉末の好ましい平均粒径は、20μm前後である。
固化体の焼成温度が400℃未満では、焼成温度が低すぎて、二価鉄イオン徐放出素焼物が脆くなる。また、750℃を超えると、焼成温度が高すぎて二価鉄イオン徐放出素焼物が縮み高密度となり、二価鉄イオン徐放出素焼物の表面の多孔質性が低下(細孔が縮小)する。固化体の好ましい焼成温度は、600℃〜700℃である。
焼成時間は、例えば12〜24時間である。12時間未満では焼成が不十分となり、二価鉄イオン徐放出素焼物が脆くなるおそれがある。また、24時間を超えれば、焼成時間が長すぎて二価鉄イオン徐放出素焼物の表面が粗くなるとともに、変形するおそれがある。
焼成時、焼成温度は低温から所定温度まで徐々に高めるようにした方が、二価鉄イオン徐放出素焼物の表面における上述したサイズの細孔の形成割合が高まる(二価鉄イオン徐放出素焼物の表面全体に細孔が形成される)。
また、請求項7に記載の本発明は、前記懸濁液の放置時間は、24〜48時間であることを特徴とする二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法である。
クエン酸鉄の生成を促進するための懸濁液の放置時間が24時間未満では、クエン酸鉄を十分に生成することができない。また、48時間を超えれば放置時間が必要以上に長くなり、二価鉄イオン徐放出素焼物の生産性が低下する。懸濁液の好ましい放置時間は30〜40時間である。
さらに、請求項8に記載の本発明は、前記鉄分を含む粘土は、該粘土100重量%に対して、2〜10重量%の鉄分を含有していることを特徴とする請求項5〜請求項7のうち、何れか1項に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法である。
さらにまた、請求項9に記載の本発明は、透水性の袋体に、請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物が封入されたことを特徴とする二枚貝養殖具である。
透水性を有する袋体としては、例えば、網袋を採用することができる。その他、不織布製の袋体や、透水孔が形成されたプラスチックシートから得られた袋体などでもよい。
袋体の形状は任意である。例えば、矩形袋、円形袋、楕円形袋、三角形袋などを採用することができる。
袋体のサイズは任意である。
袋体の孔径(網目サイズ)のサイズは任意である。ただし、1mm未満では、ごみや泥などが付着しやすく、通水性が低下するおそれがある。また、8mmを超えれば、好適サイズの直径8mm〜15mmの二価鉄イオン徐放出素焼物を採用した際、二価鉄イオン徐放出素焼物が袋体から排出されるおそれがある。好ましい袋体の孔径は、3mm〜5mmである。
二枚貝養殖具の使用場所は任意である。海水域や淡水域の所定場所でもよい。具体的には、河口域の干潟などが挙げられる。
また、請求項10に記載の本発明は、透水性の袋体に、請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物を封入して水域環境保全材料を設け、その後、該水域環境保全材料を海水または淡水に浸漬した状態で放置することにより、この海水または淡水に、前記二価鉄イオン徐放出素焼物から二価鉄イオンを長期にわたり徐々に放出し、周辺の水域環境を保全することを特徴とする水域環境保全方法である。
ここでいう水域環境保全材料とは、二枚貝養殖具と同様の構成からなるもので、これを二枚貝の養殖用ではなく、水域環境の保全に使用する。
水域環境保全材料の使用場所は任意である。海水域や淡水域の所定場所でもよい。具体的には、河口域の海底などが挙げられる。
請求項1に記載の本発明の二価鉄イオン徐放出素焼物によれば、例えば、二価鉄イオン徐放出素焼物を海水や淡水に浸漬して放置することで、この二価鉄イオン徐放出素焼物に含まれるクエン酸鉄から二価鉄イオンが、水面下に長期にわたって徐々に(安定的に)放出される。植物プランクトンにとって、鉄は光合成や呼吸における電子伝達に必要な物質である。そのため、近年問題化している“森林の荒廃による海水や淡水へのフルボ酸鉄の溶出量の減少”を、フルボ酸鉄と同等の機能を果たすクエン酸鉄からの二価鉄イオンによって補うことができる。
その結果、水中で光合成を行う植物プランクトン等が増加し、この植物プランクトンを餌とした、例えば二枚貝等の餌となる水棲生物の成長が促進され、その生産量を増加させることができる。また、富栄養化した底泥で発生した硫化水素を、二価鉄イオンによって化学的に固定化でき、青潮の発生を抑制することができる。
二価鉄イオンによる硫化水素の化学的固定のメカニズムとしては、次の式(1)で示すものが提唱されている。
Fe2+ + HS → FeS・nHO+H (1)
さらに、二価鉄イオンは、水中のリンと結合してリン酸鉄となる。その結果、アオコ、赤潮の原因となるこの富栄養化も防止することができる。
さらにまた、この二価鉄イオン徐放出素焼物は、アルカリ性の炭酸カルシウムを含む貝殻粉末を主成分としている。そのため、海域や河川域等に存在する各種の酸性物質を中和することができ、さらには水棲生物が生活する水域環境を保全することができる。
また、貝類粉末からのカルシウム分の溶出により、硫酸還元菌による硫化物の硫酸還元を阻止する効果や、リンの化学的固定効果も得られる。カルシウムによるリンの化学的固定のメカニズムとしては、次の式(2)で示すものが提唱されている。
5Ca2+ + OH + 3PO 3− → Ca(OH)(PO↓ (2)
また、二価鉄イオン徐放出素焼物は、高温加熱の焼成によって得られた素焼き物である。そのため、森林の腐植土壌森林の腐植土壌を起源とした従来のフルボ酸鉄などの場合は、焼成中の熱により焼失するが、本発明の二価鉄イオン徐放出素焼物に含まれるクエン酸鉄は、焼成熱では消失しない。しかも、この焼成熱により、貝殻粉末などに付着した雑菌や貝肉の腐食物質が焼却される。
特に、請求項2に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物によれば、二価鉄イオン徐放出素焼物として、(a)粘土20〜30重量%、(b)貝殻粉末70〜80重量%、(ただし、(a)+(b)=100重量%)からなる素焼物主原料に対して、この鉄分と、固形分換算で鉄分と当モル以上のクエン酸とを反応させて得られたクエン酸鉄水和物を焼成して得たクエン酸鉄が含まれたものを採用した。これにより、請求項1の発明の好適な効果を有する二価鉄イオン徐放出素焼物が得られる。
殊に、クエン酸鉄の含有量を、粘土に含まれる鉄分と、固形分換算でこの鉄分と当モル以上のクエン酸とを反応させて得られたクエン酸鉄水和物を焼成して得た量としたため、二価鉄イオン徐放出素焼物からの二価鉄イオンの放出量が好適となる。
また、請求項3に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物および請求項8に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法によれば、粘土中の鉄分量を、粘土100重量%に対して2〜10重量%としたため、主成分の貝殻粉末に対する粘土のバインダ効果が低下することなく、植物プランクトンの養分となる二価鉄イオンを十分に水中へ徐放出することができる。
また、請求項4に記載の本発明の二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法によれば、二価鉄イオン徐放出素焼物の表面全域に、マクロポアの直径が10μm〜60μm、ミクロポアの直径が3μm〜5μmの細孔を配した。これにより、二枚貝の浮遊幼生(100μm〜230μm)の着底率が高まる。すなわち、マクロポアに珪藻類などのナノプランクトン(2μm〜20μm)が棲みつきやすく、またミクロポアに藍藻類などのピコプランクトン(0.2μm〜2μm)が棲みつきやすい。
さらに、請求項5に記載の本発明の二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法によれば、(a)バインダである鉄分を含む粘土20〜30重量%、(b)貝殻粉末70〜80重量%と、(ただし、(a)+(b)=100重量%)とからなる素焼物主原料に対して、固形分換算で前記鉄分と当モル以上のクエン酸と、所定量の水とを加えて攪拌することで懸濁液とする。
その後、この懸濁液を所定時間放置し、粘土に含まれる鉄分とクエン酸とを反応させ、クエン酸鉄水和物を生成させる。このとき、クエン酸の量が鉄分に対して当モル以上であるため、粘土に含まれる全ての鉄分がクエン酸と反応してクエン酸鉄水和物となる。
次に、水中(上澄み液中)から沈殿物を取り出し、これを球状または駒状を含む所定形状に付形する。この付形された沈殿物を乾燥後、焼成する。
これにより、請求項1の効果を有する二価鉄イオン徐放出素焼物を製造することができる。
さらにまた、請求項6に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法によれば、貝殻粉末の平均粒径は10μm〜30μmで、焼成温度を400℃〜750℃とする。これにより、焼成後、二価鉄イオン徐放出素焼物の表面に、マクロポアの直径が10μm〜60μm、ミクロポアの直径が3μm〜5μmの細孔を形成することができる。
また、請求項7に記載の本発明によれば、材料攪拌後、懸濁液を24〜48時間放置する。これにより、必要かつ生産性を低下させない時間で、クエン酸鉄の生成反応を促進させることができる。
さらに、請求項9に記載の本発明の二枚貝養殖具によれば、透水性の袋体に、請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物を封入し、これを例えば泥質干潟等に浸漬して放置する。これにより、二価鉄イオン徐放出素焼物に含まれるクエン酸鉄から二価鉄イオンが、水面下に長期にわたって徐々に放出される。その結果、水中で光合成を行う植物プランクトン等が増加し、この植物プランクトンを餌とした、例えば二枚貝等の水棲生物の生産量を増加させることができる。
特に、二価鉄イオン徐放出素焼物は多孔質体であるため、その表面には、各種の植物プランクトンが棲みつき、これを餌とする二枚貝の浮遊幼生が引き寄せられて袋体の孔を通過し、素焼物の表面に着底して二枚貝へと成長して行く。その後、袋内でこの孔径より大きく成長した二枚貝は、袋外へは出れなくなる。その結果、例えば25mm以上の成貝となった二枚貝を逃がすことなく大量に収穫(養殖)することができる。
また、このように複数の二価鉄イオン徐放出素焼物を袋体に詰め込んだ二枚貝養殖具を使用するため、袋体に充填される二価鉄イオン徐放出素焼物の質量や数量を調整することにより、潮流によって流されずに、安定して水底に据え置くことができる。
さらにまた、請求項10に記載の本発明の水域環境保全方法によれば、まず、透水性の袋体に、請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物を封入して水域環境保全材料を設ける。その後、この水域環境保全材料を、海水または淡水に浸漬した状態で放置する。その結果、この海水または淡水に、二価鉄イオン徐放出素焼物に含まれるクエン酸鉄から二価鉄イオンが長期にわたって徐々に放出され、これによって周辺の水域環境を保全することができる。
すなわち、まず第1には、この二価鉄イオンの徐放出によって、水中で光合成を行う藍藻類や珪藻類といった植物プランクトンや岩場の海藻が増殖する。これにより、アサリ、ハマグリなどの貝類の他、昆布、ウニといった沿岸水産資源の生産量が増大する。
第2には、富栄養化した底泥で発生した硫化水素を、二価鉄イオンによって化学的に固定化できる。これにより、青潮の発生を抑制可能となる。しかも、二価鉄イオンは、水中のリンと結合してリン酸鉄となる。その結果、アオコ、赤潮の原因となるこの富栄養化も防止することができる。
さらに第3に、この二価鉄イオン徐放出素焼物は、アルカリ性の炭酸カルシウムを含む貝殻粉末を主成分としている。そのため、海域や河川域等に存在する各種の酸性物質の中和することができ、水棲生物が生活する水域環境を保全することができる。
また、二価鉄イオン徐放出素焼物は、表面積が大きい多孔質の素焼き物である。よって、その表面には無酸素状態の還元層を多量に付着させることができる。そのため、この水域環境保全材料を例えば定期的に水から引き上げて空気に晒すことにより、還元層の発生量を低減させることができる。
さらには、このように二価鉄イオン徐放出素焼物を袋体に詰め込んだ水域環境保全材料を使用するため、袋体に充填される二価鉄イオン徐放出素焼物の質量や数量を調整することで、潮流によって流されることなく、安定して水域環境保全材料を水底(干潟等)に設置することができる。
本発明の実施例1に係る二価鉄イオン徐放出素焼物の斜視図である。 本発明の実施例1に係る二価鉄イオン徐放出素焼物の細孔部分を示す使用状態の要部拡大断面図である。 本発明の実施例1に係る二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法を示すフローシートである。 本発明の実施例1に係る二価鉄イオン徐放出素焼物を袋詰めした二枚貝養殖具または水域環境保全材料の使用状態の平面図である。 本発明の実施例1に係る二価鉄イオン徐放出素焼物を袋詰めした二枚貝養殖具内で養殖されたアサリの状態を示す要部拡大図である。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、貝殻粉末として牡蠣殻粉末を採用し、二価鉄イオン徐放出素焼物を利用した河口域の泥質干潟でのアサリ養殖および河口域の水域環境保全を例にとる。
図1において、10は本発明の二価鉄イオン徐放出素焼物で、この二価鉄イオン徐放出素焼物10は、主成分の牡蠣殻粉末(貝殻粉末)と、バインダである粘土と、クエン酸鉄とを含む固化体を焼成して得られた表面全体が多孔質の素焼き玉である。
二価鉄イオン徐放出素焼物10は球状のもので、その直径は8〜12mmで、その表面全域には、マクロポア11の直径が50μm、ミクロポア12の直径が4μmの細孔13が多数形成されている(図2)。なお、二価鉄イオン徐放出素焼物10のサイズを8〜12mmと不揃いにした理由は、成長後に砂に潜る習性がある二枚貝が潜砂しやすいためである。また、同様の理由により、二価鉄イオン徐放出素焼物10の形状も不揃い(例えば、駒形など)にした方が好ましい。
以下、図1〜図5を参照して、二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法を説明する。
図3のフローシートに示すように、攪拌装置の回転ドラム内に、平均粒径20μmの牡蠣殻粉末75重量%(7,500g)と、バインダである鉄分を含む粘土25重量%(2,500g)とから得られた素焼物主原料100重量%(10,000g)に対して、クエン酸を固形分換算で7.575重量%(757.5g)と、所定量の水(100リットル)とを投入し、これらを30分間攪拌して懸濁液とする(材料攪拌工程)。
鉄分を含む粘土としては、粘土100重量%(2,500g)に対して3重量%(75g)の鉄分が含まれた盛和粘土(赤土)を使用している。
その後、この懸濁液を30時間放置して土中の鉄分とクエン酸とを反応させ、クエン酸鉄水和物を生成させる(クエン酸鉄水和物生成工程)。これにより、素焼物主原料100重量%に対して、10.35重量%(1,035g)のクエン酸鉄水和物が生成される(計算方法は、段落番号0019を参照)。
次に、このクエン酸鉄の生成が促進された懸濁液から沈殿物を取り出し、これを脱水機により脱水後した後、プレス成型装置を用いて、直径8〜12mmの球状に付形する(付形工程)。
次いで、付形された球状のものを、熱風乾燥装置に装入し、50℃で、8時間の熱風乾燥を行う。これにより、直径8〜12mmの球状の固化体が得られる(乾燥工程)。
次に、固化体を焼成装置に装入し、700℃、20時間で焼成する。これにより、クエン酸鉄を含んで、表面全域にマクロポア11の直径が50μmで、ミクロポア12の直径が4μmの細孔13が多数存在する直径8〜12mm、重さ3〜3.5gの二価鉄イオン徐放出素焼物10が製造される(焼成工程、図1および図2)。なお、二価鉄イオン徐放出素焼物10の100重量%に対して、クエン酸鉄が7.67重量%(825g)であるのは、このクエン酸鉄の量が、粘土に含まれる鉄分(3重量%(75g))の11.0倍となるためである(段落番号0013を参照)。
こうして製造された二価鉄イオン徐放出素焼物10は、袋サイズが縦50cm×横35cm、網目サイズが4mm×4mmのプラスチック製の網袋(透水性の袋体)14の中に、約4.051kg(1,266個/袋)分だけ封入される(図4)。得られた袋詰め体が、アサリ養殖用の二枚貝養殖具15、または、泥質干潟の環境を保全するための水域環境保全材料15Aとなる。これらについては後述する。
実施例1では、このように二価鉄イオン徐放出素焼物100重量%に対して(二価鉄イオン徐放出素焼物10に含まれるそれぞれの割合は)、牡蠣殻粉末が69.77重量%、盛和粘土(クエン酸鉄の生成により鉄分除去)が22.56重量%、クエン酸鉄が7.67重量%(825g)からなる二価鉄イオン徐放出素焼物10を得るようにしたため、例えば、これを泥質干潟の泥底に放置することで、海水中に二価鉄イオンを長期にわたり徐放出することができる。その結果、二価鉄イオン徐放出素焼物10の周辺で植物プランクトン等の成長を促進させ(図2)、アサリ16等の二枚貝を含む水棲生物の生産量を高めることができ(図5)、かつ硫化水素を含む還元層の発生を抑制可能で、さらには海域や河川域等に存在する各種の酸性物質の中和も図ることができる。
また、二価鉄イオン徐放出素焼物10は、高温加熱の焼成によって得られた素焼き物である。そのため、森林の腐植土壌森林の腐植土壌から発生した従来のフルボ酸鉄を採用した場合には、焼成工程での700℃の焼成熱により焼失(蒸発)してしまう。しかしながら、二価鉄イオン徐放出素焼物10のクエン酸鉄は、この時の焼成熱では消失しない。そのため、二価鉄イオンの徐放出材としての機能を果たす。しかも、700℃の熱により、牡蠣殻粉末などに付着した雑菌や貝肉の腐食物質が焼却される。
殊に、二価鉄イオン徐放出素焼物100重量%に対して、クエン酸鉄が7.67重量%(825g)としたため、二価鉄イオン徐放出素焼物からの二価鉄イオンの放出量が好適となる。
また、素焼き物である二価鉄イオン徐放出素焼物10の表面全域には、直径が50μmのマクロポア11と、直径が4μmのミクロポア12とからなる細孔13が多数存在するため、例えば、藍藻類などのピコプランクトンP1(0.2μm〜2μm)をミクロポア12に、また珪藻類などのナノプランクトンP2(2μm〜20μm)をマクロポア11にそれぞれ棲みつかせることができる(図2)。
さらには、このような構造の二枚貝養殖具15を使用することで、網袋14に充填される二価鉄イオン徐放出素焼物10の質量や数量を調整することができる。これにより、潮流によって流されず、二枚貝養殖具15を安定して干潟に放置することができる(図4)。
また、二価鉄イオン徐放出素焼物10の製造にあたっては、平均粒径20μmの牡蠣殻粉末75重量%と、3重量%の鉄分を含む盛和粘土25重量%と、これらから得られた素焼物主原料100重量%に対して、クエン酸7.575重量%を加えて攪拌してクエン酸鉄を生成させ(材料攪拌工程)、その後、この懸濁液を球状に付形し(付形工程)、付形された懸濁液を熱風乾燥して固化体とし(乾燥工程)、次に固化体を700℃で20時間だけ焼成する(焼成工程)という順序からなる製造方法を採用した(図3のフローシート)。これにより、実施例1の二価鉄イオン徐放出素焼物10の特徴の1つである、マクロポア11の直径が50μmで、ミクロポア12の直径が4μmの細孔13を、この素焼物10の表面全域に形成させることができ(図2)、かつ上述した各効果を有した二価鉄イオン徐放出素焼物10を、効率良くかつ安定的に製造することができる。
さらには、材料攪拌工程の直後に、懸濁液を30時間放置するクエン酸鉄水和物生成工程を設けたため、クエン酸鉄水和物の生成反応を促進させることができる。その結果、単に牡蠣殻粉末と、鉄分を含む粘土と、クエン酸とを攪拌した場合に比べて、クエン酸鉄の生成量を増やすことができる。
また、粘土(盛和粘土)中の鉄分量を、粘土100重量%に対して3重量%としたため、二価鉄イオン徐放出素焼物から、植物プランクトンの養分となる二価鉄イオンを、過剰になることなく長期間放出することができる。
次に、図1,図2,図4および図5を参照して、この二枚貝養殖具15を利用したアサリ養殖方法について説明する。
図4に示すように、二枚貝養殖具15を使用してアサリ16を養殖する際には、これを河口域の泥質干潟に放置する。
これにより、二価鉄イオン徐放出素焼物10に含まれるクエン酸鉄(キレート)から二価鉄イオンが、海水の中に長期にわたって徐々に放出される。そのため、近年問題となっている“森林の荒廃による海水へのフルボ酸鉄の溶出量の減少”を、フルボ酸鉄と同等の機能を有したクエン酸鉄からの二価鉄イオンによって補うことができる。
その結果、水中で光合成を行うピコプランクトンである藍藻類や、ナノプランクトンである珪藻類などの植物プランクトンが、二価鉄イオン徐放出素焼物10の表面に多数存在する細孔(マクロポア11またはミクロポア12)13の中で増殖する。これにより、植物プランクトンを餌とする、海水を漂うアサリ16の浮遊幼生(100μm〜230μm)16aが引き寄せられ、それらが網袋14の縦横4mmの網目を通過し、二価鉄イオン徐放出素焼物10の表面に着底してアサリ16へと成長して行く。
すなわち、アサリ16の受精卵が、浮遊幼生(トロコフォア、D上状期(100μm〜110μm)16a、アンポ期(130μm〜180μm)、フルグロウン期(180μm〜230μm))から、着底稚貝(200μm〜300μm)、初期稚貝(300μm〜1000μm)、稚貝(1〜15mm)、初期成貝(15mm〜25mm)、成貝(25mm以上)へと順次成長する。
こうして、網袋14内で4mm(網目サイズ)より大きく成長したアサリ16は、その網目を通過することができず、成貝となるまでアサリ16を逃がすことなく収穫(養殖)することができる。また、アサリ16の養殖期間(30mm以上の成貝になるまでの期間)も、天然のアサリ16の場合には一年半以上を要していたのに対して、二枚貝養殖具15を使用すれば、約6カ月に短縮することができ、年2回のアサリ16の収穫も可能となる。
次に、図1,図2,図4および図5を参照して、この水域環境保全材料15Aによる河口域の水域環境保全方法を説明する。
図4に示す二枚貝養殖具15と同一物である水域環境保全材料15Aを用いて河口域の水域環境保全を行う際には、この水域環境保全材料15Aを、河口域の海岸の海底に所定個数だけ並べて放置する。これにより、二価鉄イオン徐放出素焼物10に含まれるクエン酸鉄から二価鉄イオンが、海水中に長期にわたって徐々に放出される。これにより、従来法におけるフルボ酸鉄の溶出量の減少を、クエン酸鉄からの二価鉄イオンによって補うことができる。
その結果、水中で光合成を行う植物プランクトンや岩場の海藻などが、二価鉄イオン徐放出素焼物10の周辺で増殖する。よって、アサリ16やハマグリなどの貝類の他、昆布、ウニといった沿岸水産資源の生産量も高めることができる。
また、二価鉄イオン徐放出素焼物10は、徐放出した二価鉄イオンによって、富栄養化した底泥で発生した硫化水素を化学的に固定化し、青潮の発生を抑制することができる。
この二価鉄イオンによる硫化水素の化学的固定のメカニズムを、次の式(1)に示す。
Fe2+ + HS → FeS・nHO+H (1)
さらに、二価鉄イオン徐放出素焼物10は、アルカリ性の炭酸カルシウムを含む牡蠣殻粉末を主成分とするため、海域に存在する各種の酸性物質の中和することができる。これにより、水棲生物が生活する水域環境を保全することができる。すなわち、二価鉄イオン徐放出素焼物10の牡蠣殻粉末からのカルシウム分の溶出により、硫酸還元菌による硫化物の硫酸還元を阻止する効果や、リンの化学的固定効果も得られる。例えば、牡蠣殻粉末1g当たり約12mgの硫化水素(Sとして)を吸着し、上層水の貧酸素化を抑制する効果が得られる。カルシウムによるリンの化学的固定のメカニズムは、下記式(2)の通りである。
5Ca2+ + OH + 3PO 3− → Ca(OH)(PO↓ (2)
さらにまた、この二価鉄イオンは、水中のリンと結合してリン酸鉄となる。その結果、アオコ、赤潮の原因となるこの富栄養化を防止することができる。
また、牡蠣殻粉末には、全窒素の除去効果が認められ、特にアンモニア性窒素はそのほとんどが消化作用により除去される。
また、図1および図2に示すように、二価鉄イオン徐放出素焼物10は、表面積が大きい多孔質の素焼き物である。そのため、その表面には無酸素状態の還元層(ヘドロ)を多量に付着させることができる(例えば、珪砂の5〜10倍の浄化作用)。その結果、この水域環境保全材料15Aを定期的に水から引き上げ、付着した還元層を空気に晒して嫌気性バクテリアを不活化することにより、還元層の発生量を低減させることができる。
ここで、実際に泥質干潟において、実施例1のクエン酸鉄含有量が7.67重量%の二価鉄イオン徐放出素焼物10を網袋14に袋詰めした二枚貝養殖具15(試験例1)と、クエン酸鉄の含有量が5.3重量%の二価鉄イオン徐放出素焼物10を網袋14に袋詰めした二枚貝養殖具15(試験例2)と、クエン酸鉄の含有量が22重量%の二価鉄イオン徐放出素焼物10を網袋14に袋詰めした二枚貝養殖具15(試験例3)と、クエン酸鉄の代わりにフルボ酸鉄を牡蠣殻粉末と、鉄分を含まない粘土とに練り込んで焼成した球状素焼物が網袋14に袋詰めする二枚貝養殖具15(比較例1)と、クエン酸鉄の含有量が4重量%の二価鉄イオン徐放出素焼物10を網袋14に袋詰めした二枚貝養殖具15(比較例2)と、クエン酸鉄の含有量が30重量%の二価鉄イオン徐放出素焼物10を網袋14に袋詰めした二枚貝養殖具15(比較例3)とをそれぞれ放置し、アサリ16の養殖試験および水域環境保全試験を行った際の結果を報告する。
なお、試験例1〜3は、同条件で牡殻粉末7,500g、盛和粘土2,500gとする。このうち、粘土100重量%に対して鉄分2重量%の場合、生成されるクエン酸鉄は、二価鉄イオン徐放出素焼物100重量%に対して5.24重量%である。また、粘土100重量%に対して鉄分10重量%の場合、生成されるクエン酸鉄は、二価鉄イオン徐放出素焼物100重量%に対して22重量%となる。
(試験例1)
まず、試験例1〜3および比較例1〜3に共通する試験条件について説明する。
使用する二枚貝養殖具15(水域環境保全材料15A)は、袋サイズが縦50cm×横35cm、網目サイズが4mm×4mmのプラスチック製の網袋14の中に、直径8〜12mm、1個が3〜3.5gの球状の二価鉄イオン徐放出素焼物10が約4kg(1,266個/袋)封入されたものである。牡蠣殻粉末の重量比は、二価鉄イオン徐放出素焼物100重量%に対して約70重量%である。そのため、袋内の牡殻粉末の総重量は約2.8kgとなる。
また、試験場は、福岡県北九州市の曽根干潟である。試験期間は、平成27年4月12日から平成28年2月10日までである。また、試験方法は、干潮時の他は海面下となる干潟の泥の上に、二枚貝養殖具15を放置する。
これらの条件で、試験例1の二枚貝養殖具15(水域環境保全材料15A)を使用し、アサリ16の養殖試験および水域環境保全試験を行った。試験開始当初に二枚貝養殖具15の各二価鉄イオン徐放出素焼物10の表面に付着したアサリ16の浮遊幼生16aが、92日後には10mmのアサリ16に成長した。一般的に、アサリ16が10mmまで成長する期間は約180日(半年)である。なお、括弧内の日数は、アサリ16が該当サイズまで成長するのに要する一般的な期間を示す。
その後、アサリ16は、110日後に15mm(約273日後)、136日後に20mm(約318日後)、168日後に25mm(約365日後(1年後))、197日後に30mm(約498日後(1年半後))、226日後に35mm(約730日後(2年後))、267日後に40mm(約1,095日後)へとそれぞれ成長した。
また、アサリ16の出荷時期とされる30mmサイズ(約7g)に達したとき、1つの網袋14から収穫されたアサリ16の数は平均93個、重量は651gであった。これを1m当たりのアサリ16の生息密度に換算すれば、300〜600個/mであった。平成16年の曽根干潟におけるアサリ16の平均生息密度は、1m当たり2.5個程度で、これと比較すれば約120〜240倍の収穫量となった。
なお、年度別の1つの網袋14当たりのアサリの平均収穫高は、平成27年7月31日(85個/袋、485個/m)、平成27年9月26日(85個/袋、485個/m)、平成27年7月31日(85個/袋、485個/m)、平成27年7月31日(73個/袋、417個/m)、平成27年10月27日(82個/袋、469個/m)、平成27年12月28日(78個/袋、445個/m)、平成28年4月22日(70個/袋、399個/m)、平成28年12月15日(77個/袋、439個/m)、平成29年2月27日(70個/袋、399個/m)、平成29年4月12日(83個/袋、473個/m)であった。なお、この平成29年4月12日の結果において、1,266個の二価鉄イオン徐放出素焼物10を含む1つの網袋14には、83個のアサリが収穫されている。つまり、アサリ1個につき、約15個の二価鉄イオン徐放出素焼物10が必要であった。
ちなみに、昭和60年以前の曽根干潟でのアサリ16の平均生息密度は、1m当たり430個(三河一色干潟でのアサリ16の収穫量から試算)であった。このことから、試験例1の二枚貝養殖具15を使用すれば、昭和60年以前に相当するアサリ16の収穫が得られることが判明した。
一般的にアサリ16は、25mmサイズになって産卵し、産卵期は春(4〜5月)、秋(9〜10月)の年2回である。
このように、アサリ16が30mm以上まで成長する養殖期間は、天然のアサリ16の場合で一年半以上を要するのに対して、試験例1では約6カ月に短縮することができた。これにより、年2回のアサリ16の収穫が可能となった。
また、上述したように二枚貝養殖具15は水域環境保全材料15Aを兼ねている。そのため、これを曽根干潟に放置することにより、牡蠣殻粉末1g当たり約12mg/日の硫化水素を除去することができた。1個の二枚貝養殖具15には、2.8kgの牡蠣殻粉末が存在するため、下記計算式から毎日、二枚貝養殖具15の1袋当たり33.6g、1m当たり約27.3kgの硫化水素を処理できることが判明した。
2.8kg(牡殻粉末)/袋 × 12mg/日=33.6g
さらに、アサリ16の1個につき年4tまたは1リットル/hで水質浄化(ろ過)することが可能で、さらには1個の二枚貝養殖具15(平均93個のアサリ16を収穫)を使用し、年372tまたは2,232リットル/hで水質浄化することが可能なことが判った。
また、アサリ1個には、1時間に約1リットルの水をろ過する能力がある。そのため、例えばアサリ419個の場合、下記の式より1年間に3,670,440リットルの海水をろ過することで、水質改善することが可能である。
419個×24時間=10,056リットル/日
10,056リットル/日×365日=3,670,440リットル/年
さらに、二枚貝養殖具15を13袋使用時における次回の収穫予想は、以下の式により求められる。
16,458個(1,266個の二価鉄イオン徐放出素焼物10×13袋)÷15個(アサリ成貝1個に必要な二価鉄イオン徐放出素焼物10の個数)=1,098個(次回の収穫予想値)
ここでの収穫重量は、30mmの成貝1個が7gであるため、1,098個×7g=7,686gとなる。この場合の海水ろ過量は、下記式から1年間に9,618,480リットルとなる。
1,098個×24時間=26,352リットル/日
26,352リットル/日×365日=9,618,480リットル/年
(試験例2)
クエン酸鉄の含有量が5.3重量%の二価鉄イオン徐放出素焼物10を袋詰めした二枚貝養殖具15(水域環境保全材料15A)を使用する他は、試験例1と同様のアサリ16の養殖試験を行った。その結果、試験例1と略同様の効果が得られた。
(試験例3)
クエン酸鉄の含有量が22重量%の二価鉄イオン徐放出素焼物10を袋詰めした二枚貝養殖具15(水域環境保全材料15A)を使用する他は、試験例1と同様のアサリ16の養殖試験を行った。その結果、試験例1と略同様の効果が得られた。
(比較例1)
クエン酸鉄の代わりにフルボ酸鉄を牡蠣殻粉末と、鉄分を含まない粘土とに練り込み、その後に焼成した球状素焼物(10)を袋詰めした二枚貝養殖具(15)を使用する他は、試験例1と同様の方法でアサリ16の養殖試験を行った。比較例1では、このようにクエン酸鉄に代えてフルボ酸鉄を採用したため、二価鉄イオン徐放出素焼物(10)を製造する際、その焼成工程でフルボ酸鉄が蒸発して消失してしまった。その結果、水域環境保全材料(15A)である二枚貝養殖具(15)を海水に浸しても、球状素焼物(10)からは二価鉄イオンが徐放出されることはなかった。その結果、アサリ16の収穫高が激減し、かつ水域環境保全としても不十分な結果となった。
(比較例2)
クエン酸鉄の含有量が4重量%の二価鉄イオン徐放出素焼物10を袋詰めした水域環境保全材料(15A)である二枚貝養殖具(15)を使用する他は、試験例1と同様のアサリ16の養殖試験を行った。その結果、試験例1の場合に比べて、二価鉄イオン徐放出素焼物(10)の細孔13に棲みつく植物プランクトンが減少し、アサリの収穫が若干減るとともに、成貝となるまでの期間も幾らか長くなった。一方、水質改善効果もやや低下した。
(比較例3)
クエン酸鉄の含有量が30重量%の二価鉄イオン徐放出素焼物(10)を袋詰めした水域環境保全材料(15A)である二枚貝養殖具(15)を使用する他は、試験例1と同様のアサリ16の養殖試験を行った。その結果、粘土に含まれる鉄分が多くなって貝殻粉末に対する粘土のバインダ効果が若干低下し、クエン酸の使用量も増加した。さらに、焼成後の二価鉄イオン徐放出素焼物(10)の表面に“オデキ”と称する突起が幾らか現出するとともに、水質改善効果も若干低下した。
本発明は、海水や淡水に二価鉄イオンを長期にわたって徐々に放出させることで、植物プランクトン等の成長を促進させての二枚貝の養殖や、水域環境保全を行う技術として有用である。
10 二価鉄イオン徐放出素焼物
11 マクロポア
12 ミクロポア
13 細孔
14 網袋(透水性の袋体)
15 二枚貝養殖具
15A 水域環境保全材料
16 アサリ(二枚貝)

Claims (4)

  1. 鉄分を含む粘土を使用し、(a)粘土20〜30重量%、(b)貝殻粉末70〜80重量%(ただし、(a)+(b)=100重量%)からなる素焼物主原料に対して、固形分換算で前記鉄分と当モル以上のクエン酸と、所定量の水とを加えて攪拌することで懸濁液とし、
    その後、この懸濁液を所定時間放置することで、前記粘土に含まれる鉄分とクエン酸とを反応させ、前記素焼物主原料中にクエン酸鉄水和物を生成させ、
    その後、生成した沈殿物を取り出して付形、乾燥して焼成する二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法であって、
    前記貝殻粉末の平均粒径は10μm〜30μmで、
    前記焼成温度は400℃〜750℃で、
    焼成後、前記二価鉄イオン徐放出素焼物の表面には、マクロポアの直径が10μm〜60μm、ミクロポアの直径が3μm〜5μmの細孔が形成されることを特徴とする二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法。
  2. 前記鉄分を含む粘土は、該粘土100重量%に対して、2〜10重量%の鉄分を含有していることを特徴とする請求項1に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法。
  3. 鉄分を含む粘土を使用し、(a)粘土20〜30重量%、(b)貝殻粉末70〜80重量%(ただし、(a)+(b)=100重量%)からなる素焼物主原料に対して、固形分換算で前記鉄分と当モル以上のクエン酸と、所定量の水とを加えて攪拌することで懸濁液とし、
    その後、この懸濁液を所定時間放置することで、前記粘土に含まれる鉄分とクエン酸とを反応させ、前記素焼物主原料中にクエン酸鉄水和物を生成させ、
    その後、生成した沈殿物を取り出して付形、乾燥して焼成する二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法であって、
    前記鉄分を含む粘土は、該粘土100重量%に対して、2〜10重量%の鉄分を含有していることを特徴とする二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法。
  4. 前記懸濁液の放置時間は、24〜48時間であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載の二価鉄イオン徐放出素焼物の製造方法。
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