JP6709640B2 - 発泡成形体、その製造方法、および用途 - Google Patents

発泡成形体、その製造方法、および用途 Download PDF

Info

Publication number
JP6709640B2
JP6709640B2 JP2016048446A JP2016048446A JP6709640B2 JP 6709640 B2 JP6709640 B2 JP 6709640B2 JP 2016048446 A JP2016048446 A JP 2016048446A JP 2016048446 A JP2016048446 A JP 2016048446A JP 6709640 B2 JP6709640 B2 JP 6709640B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foamed molded
molded article
composition
group
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016048446A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017160388A (ja
Inventor
雄二 石井
雄二 石井
恭巨 有野
恭巨 有野
文人 竹内
文人 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2016048446A priority Critical patent/JP6709640B2/ja
Publication of JP2017160388A publication Critical patent/JP2017160388A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6709640B2 publication Critical patent/JP6709640B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Gasket Seals (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Sealing Material Composition (AREA)
  • Fireproofing Substances (AREA)

Description

本発明は発泡成形体、その製造方法、および用途に関する。
ゴムや樹脂等に膨張黒鉛を配合した樹脂組成物を、耐火性が求められる用途、例えば難燃材、耐火材、加熱により膨張する隙間材に用いることは従来から検討されていた(例えば特許文献1〜3参照)。例えば、このような樹脂組成物は、適宜成形され、熱膨張耐火材として積水化学工業株式会社からフィブロック(登録商標)との名称で、商品化もされていた。
しかしながら、ゴムや樹脂等に膨張黒鉛を配合した樹脂組成物を、加工の際に高温で加熱した場合には、膨張黒鉛の熱膨張が進行するため、前記組成物は高温での加工ができなかった。現在市販されているゴムや樹脂等に膨張黒鉛を配合した樹脂組成物、あるいはその成形物は、未架橋ゴムに膨張黒鉛を配合したものである。
すなわち、その製造の際に比較的高い温度での加工が必要な、一般的なゴムシール部材のように、発泡させて軽量・柔軟な成形体(発泡体)を得ることが困難であった。
このため、ゴムや樹脂等に膨張黒鉛を配合した樹脂組成物を隙間材として用いる場合には、未発泡のゴムや樹脂等に膨張黒鉛を配合した樹脂組成物から成る層と、発泡体とを組み合わせて用いられていた。
特開平11−131631号公報 特開平11−323148号公報 特開2012−214646号公報
本発明は、上記従来技術を鑑みてなされたものであり、従来知られていない加熱により膨張可能な膨張黒鉛を含有する発泡成形体、その製造方法、および用途を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、鋭意検討を行った結果、特定の溶融弾性率を有する重合体と膨張黒鉛とを含む組成物は、膨張黒鉛を膨張させることなく、架橋発泡をさせることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]に関する。
[1]
下記要件(a−1)を満たす重合体(A)100質量部と、膨張黒鉛(B)5〜500質量部とを含む組成物の発泡成形体であり、
前記発泡成形体が、加熱により膨張可能な膨張黒鉛(B’)を含み、
発泡倍率が1.01〜50倍である発泡成形体。
(a−1):190℃、100rad/sにおける溶融弾性率が1×104〜1×107である重合体(A)
[2]
前記膨張黒鉛(B)の膨張開始温度をT1(℃)とし、組成物から発泡成形体を調製する際の最高温度をT2(℃)とした場合に、下記式(1)を満たす、[1]に記載の発泡成形体。
T1(℃)−T2(℃)≧−15℃ ・・・(1)
[3]
重合体(A)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体である、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1)である、[1]または[2]に記載の発泡成形体。
[4]
膨張黒鉛(B)の膨張開始温度が160〜300℃、一次粒子の平均粒子径が10〜500μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の発泡成形体。
[5]
前記組成物が、架橋剤(C)を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の発泡成形体。
[6]
300℃で加熱した際に、30分間以内に、体積が101〜500%に膨張する、[1]〜[5]のいずれかに記載の発泡成形体。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の発泡成形体を製造する方法であり、
前記組成物を、80℃〜300℃で発泡硬化する工程を含むことを特徴とする、発泡成形体の製造方法。
[8]
[1]〜[6]のいずれかに記載の発泡成形体を少なくともその一部に備えるシール部材。
[9]
[8]に記載のシール部材を含む防火部材。
[10]
[8]に記載のシール部材を少なくともその一部に備える建具。
[11]
[8]に記載のシール部材を少なくともその一部に備える扉。
本発明により、加熱により膨張可能な膨張黒鉛を含有する発泡成形体、その製造方法、および用途を提供することが可能である。本発明の発泡成形体は、単独でシール性と防火性の両方の性能を有する。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の発泡成形体は、下記要件(a−1)を満たす重合体(A)100質量部と、膨張黒鉛(B)5〜500質量部とを含む組成物の発泡成形体であり、前記発泡成形体が、加熱により膨張可能な膨張黒鉛(B’)を含み、発泡倍率が1.01〜50倍である。
(a−1):190℃、100rad/sにおける溶融弾性率が1×104〜1×107である重合体(A)
本発明の発泡成形体は、前述のように重合体(A)および膨張黒鉛(B)を含む組成物の発泡成形体である。発泡成形体は具体的には、前記組成物を発泡、通常は架橋発泡することにより得ることができる。すなわち、本発明は、前記組成物を発泡成形した物である。なお、本発明において、架橋発泡により得られた発泡成形体を、架橋発泡体とも記す。
[組成物]
本発明に用いる組成物は、後述の重合体(A)および膨張黒鉛(B)を含む組成物であり、さらにその他の任意成分を含んでいてもよい。
[重合体(A)]
本発明に用いる重合体(A)は、下記要件(a−1)を満たす。
(要件(a−1))
重合体(A)は、190℃、100rad/sにおける溶融弾性率が1×104〜1×107であり、好ましくは1×104〜1×106MPaである。
溶融弾性率が前記範囲内であると、膨張黒鉛が膨張していない状態を維持しつつ、重合体(A)を、架橋発泡させることが可能であり、加熱により膨張可能な膨張黒鉛(B’)を含む発泡成形体を得ることができる。
重合体(A)としては、前記要件(a−1)を満たせばよく、特に限定は無いが、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1)を用いることができる。また、重合体(A)として用いることができる、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1)以外の重合体としては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンアクリロゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム等の架橋可能なゴム一般、および、ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などの過酸化物で架橋可能なエチレン系共重合体が挙げられる。
重合体(A)としては、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1)を用いることが、成形加工時に低粘度であり、かつ発泡を行う際に、発泡剤のガス抜けが起こりづらいため好ましい。
共重合体(A1)は、エチレン由来の構成単位、α−オレフィン由来の構成単位、非共役ポリエン由来の構成単位を有する共重合体である。
前記α−オレフィンとしては、炭素原子数3〜20のα−オレフィンが好ましい。炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンが挙げられる。これらのうち、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素原子数が3〜8のα−オレフィンが好ましい。このようなα−オレフィンは、原料コストが比較的安価であり、かつ得られる共重合体が優れた機械的性質を示すことから好適である。
共重合体(A1)としては、少なくとも1種のα−オレフィン由来の構成単位を有しており、2種以上のα−オレフィン由来の構成単位を有していてもよい。
前記非共役ポリエンとしては、下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン[C−1]、一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[C−2]が挙げられる。
Figure 0006709640
(ただし、(I)は環状オレフィンの部分構造である。)
Figure 0006709640
一般式(I)または(II)で表される部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン[C−1]としては、例えば分子両末端にビニル基(CH2=CH−)を有する脂肪族ポリエンは含まれない。非共役ポリエン[C−1]の具体例としては、以下の脂肪族ポリエン、脂環族ポリエンが挙げられる。
脂肪族ポリエンの具体例としては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−ノナジエン、4−エチル−1,4−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエン、5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−1,8−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジエンが挙げられる。本発明においては、これらの脂肪族ポリエンを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは7−メチル−1,6−オクタジエンが用いられる。
脂環族ポリエンとしては、例えば、1個の炭素・炭素二重結合(不飽和結合)を有する脂環部分と、その脂環部分を構成する炭素原子に対し炭素・炭素二重結合により結合している鎖状部分(エチリデン、プロピリデン等)とから構成されるポリエンが挙げられる。その具体例としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネンが挙げられる。特に、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)が好ましい。その他の脂環族ポリエンとしては、例えば、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、2−エチル−2,5−ノルボルナジエンが挙げられる。
一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[C−2]としては、例えば、炭素・炭素二重結合(不飽和結合)を有する脂環部分と、脂環部分を構成する炭素原子に結合する鎖状部分であってビニル基を含む鎖状部分とを有する脂環族ポリエン、分子両末端にビニル基を有する脂肪族ポリエンが挙げられる。その具体例としては、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、5−アリル−2−ノルボルネン等の5−アルケニル−2−ノルボルネン;2,5−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ノルボルナジエン、テトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]デカ−3,8−ジエン等の脂環族ポリエン;1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のα,ω−ジエン等の脂肪族ポリエンが挙げられる。これらの中でも、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、5−アルケニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)が特に好ましい。
共重合体(A1)としては、少なくとも1種の非共役ポリエン由来の構成単位を有しており、2種以上の非共役ポリエンの構成単位を有していてもよい。
共重合体(A1)としては、非共役ポリエン[C−1]由来の構成単位および、非共役ポリエン[C−2]由来の構成単位を有することが加工性、ガス保持性の点で好ましい。非共役ポリエンとして、非共役ポリエン[C−1]由来の構成単位および、非共役ポリエン[C−2]由来の構成単位を有する共重合体(A1)を、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1−1)とも記す。
共重合体(A1)が、非共役ポリエン[C−1]由来の構成単位を有する場合には、少なくとも1種の非共役ポリエン[C−1]の構成単位を有しており、2種以上の非共役ポリエン[C−1]由来の構成を有していてもよい。また、共重合体(A1)が、非共役ポリエン[C−2]由来の構成単位を有する場合には、少なくとも1種の非共役ポリエン[C−2]の構成単位を有しており、2種以上の非共役ポリエン[C−2]由来の構成を有していてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1)としては、エチレン由来の構成単位を、共重合体(A1)の全構成単位100モル%中、好ましくは44〜89モル%有し、より好ましくは50〜74モル%有する。エチレン由来の構成単位の量は、13C−NMRにより求めることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1)としては、α−オレフィン由来の構成単位を、共重合体(A1)の全構成単位100モル%中、好ましくは10〜50モル%であり、より好ましくは25〜45モル%である。これら範囲は、発泡成形体(架橋発泡体)の柔軟性と低温における機械的特性との観点から好適である。このモル比は、13C−NMRにより求めることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1)としては、非共役ポリエン由来の構成単位を、共重合体(A1)の全構成単位100モル%中、好ましくは1.0〜6.0モルであり、より好ましくは1.0〜5.0モル%である。これら範囲は、加硫反応速度の制御を比較的容易に行う観点から好適である。
また、非共役ポリエンとして、非共役ポリエン[C−1]由来の構成単位および、非共役ポリエン[C−2]由来の構成単位を有する場合には、非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位と非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位とのモル比([C−1]/[C−2])は、好ましくは75/25〜99.5/0.5であり、より好ましくは78/22〜97/3である。これら範囲は、加硫反応性と発泡反応時のガス保持性のバランスの観点から好適である。これらは、13C−NMRにより求めることができる。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1−1)の代表的な例としては、エチレン、プロピレン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)由来の構成単位を有する共重合体が挙げられる。エチレン、プロピレン、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)由来の構成単位を有する共重合体について、そのモル比を求める方法を具体的に示す。
なお、エチレン、プロピレンおよびENB共重合体の13C−NMRによるに構造(組成)解析は、C. J. Carman, R. A. Harrington, and C. E. Wilkes, Macromolecules, 10, p 536−544(1977)、Masahiro Kakugo, Yukio Naito, Kooji Mizunuma, and Tatsuya, Miyatake, Macromolecules, 15, p 1150−1152(1982)、およびG. Van der Velden, Macromolecules, 16, p 85−89(1983)に基づき、VNB系共重合体の構造解析は、Harri Lasarov, Tuula T. Pakkanen, Macromol. Rapid Commun., 20, p 356−360(1999)、およびHarri Lasarov*, Tuula T. Pakkanen, Macromol.Rapid Commun., 22, p 434−438(2001)に基づいて行った。
先ず、13C−NMRにより、エチレン、プロピレン、ENBおよびVNBに由来するそれぞれのピークの積分値を求めた。
1)エチレン;[エチレン連鎖由来ピークの積分値+[エチレン−プロピレン連鎖由来ピークの積分値]/2]
2)プロピレン;[プロピレン連鎖由来ピークの積分値+[エチレン−プロピレン連鎖由来ピークの積分値]/2]
3)ENB;ENB−3位ピークの積分値
4)VNB;VNB−7位ピークの積分値
本発明に用いる共重合体におけるENBに由来する構造(E体、Z体)の化学式および、VNBに由来する構造(endo(n)、exo(x))の化学式を以下に示す。
Figure 0006709640
Figure 0006709640
得られた積分値比より、ENBおよびVNBに由来する構造単位のモル%を算出した。なお、質量%への変換はエチレンの分子量を28.05、プロピレンの分子量を42.08、ENBとVNBの分子量を120.2として行った。
重合体(A)がエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1−1)である場合には、要件(a−2)および要件(a−3)の少なくとも一方を満たすことが好ましく、両方を満たすことがより好ましい。
(要件(a−2))
要件(a−2)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1−1)の100℃におけるムーニー粘度[ML(1+4)]が、20〜45であることである。さらに、この100℃におけるムーニー粘度[ML(1+4)]は、好ましくは25〜40である。これら範囲は、比較的多量の膨張黒鉛(B)やその他の成分を配合しても加工性に問題は生じないという観点から好適である。
(要件(a−3))
要件(a−3)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1−1)が、下記式(i)を満たすことである。
Log{η*(0.01)}/Log{η*(10)}>0.0753×{非共役ポリエン[C−2]に由来する見かけのヨウ素価}+1.32・・・(i)
(式中、η*(0.01)は、190℃における0.01rad/secの粘度(Pa・sec)を表し、η*(10)は、190℃における10rad/secの粘度(Pa・sec)を表す。)
上記式(i)は、粘弾性測定装置によりη*(0.01)およびη*(10)を測定し、NMRにより、共重合体(A1−1)中の非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位の含有率(質量%)を測定することによって、下記式より見かけのヨウ素価を具体的に算出することができる。なお、ヨウ素の分子量は253.81である。
非共役ポリエン[C−2]に由来する見かけのヨウ素価=〔非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位の含有率(質量%)〕×Y×253.81/(モノマーとしての非共役ポリエン[C−2]の分子量)
(式中、Yは、非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位に含まれる炭素・炭素二重結合の数を表す。)
共重合体(A1−1)が、上記式(i)に規定される範囲内であると、少ない非共役ポリエン[C−2]含量にかかわらず、より多くの長鎖分岐を有する。すなわち、優れた形状保持性と押出加工性とを得るために必要な長鎖分岐を、少量の非共役ポリエン[C−2]を共重合することによって導入でき、さらに残留非共役ポリエン[C−2]含量が少ないために得られるゴム成形体の圧縮永久歪みに優れる。もし上記式(i)に規定される範囲外であると、形状保持性と発泡性とに影響を及ぼす長鎖分岐を共重合体ゴムに導入するため、多量の非共役ポリエン[C−2]を必要とする。その結果、耐熱老化性およびゴム弾性が悪化する場合や、さらにゲル化による異物の形成によって優れたスポンジ性能や製品歩留まりが損なわれる場合がある。
本発明に用いる重合体(A)の製造方法としては特に制限はなく、また、重合体(A)としては市販品を用いてもよい。本発明に用いる重合体(A)の代表的な製造方法として、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1−1)の製造方法を以下に示す。
〔重合触媒〕
本発明に用いる共重合体(A1−1)は、メタロセン触媒を用いて合成される共重合体であることが好ましい。メタロセン触媒として、下記式(IA)、(IIA)または(IIIA)で表わされる触媒が好ましい。
式(IA)で表される化合物について説明する。
Figure 0006709640
式(IA)中、Rは、それぞれ独立に、ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビル、シリル、ゲルミルおよびこれらの組み合わせから選ばれる基または水素原子であり、該基が含有する水素以外の原子の数は20個以下である。
Mは、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。
Yは、−O−、−S−、−NR*−または−PR*−である。R*は、水素原子、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R*が水素でない場合には、R*は20個までの水素以外の原子を含有する。
Zは、ホウ素または14族元素を含有し、かつ、窒素、リン、硫黄または酸素を含有する2価の基であり、この2価の基が有する水素原子以外の原子の数は60個以下である。
Xは、Xが複数存在する場合にはそれぞれ独立に、原子の数が60個以下のアニオン性配位子である(ただし、π電子が非局在化した環状配位子を除く。)。
X’は、X’が複数存在する場合にはそれぞれ独立に、原子の数が20個以下の中性の連結化合物である。
pは、0、1または2である。
qは、0または1である。
ただし、pが2でqが0の場合、Mは+4の酸化状態にあり、Xはハライド、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ジ(ヒドロカルビル)アミド、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド、ヒドロカルビルスルフィド、シリル基、これらのハロ置換誘導体、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換誘導体、ヒドロカルビルオキシ置換誘導体およびジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換誘導体から選ばれるアニオン性配位子であり、Xの水素原子以外の原子の数は20個以下である。また、pが1でqが0の場合、Mは+3の酸化状態にあり、Xはアリル、2−(N,N’−ジメチルアミノメチル)フェニルおよび2−(N,N’−ジメチル)アミノベンジルから選ばれるアニオン性安定化配位子であるか、あるいはMが+4の酸化状態にあって、Xが2価共役ジエン誘導体でMとメタラシクロペンテンを形成する。またpが0でqが1の場合、Mは+2の酸化状態にあり、X’は1以上のヒドロカルビル基で置換されてもよい中性の共役もしくは非共役ジエンで、かつ、炭素原子を40個以下の数で含有しMとπ錯体を形成する。
式(IIA)で表される化合物について説明する。
Figure 0006709640
式(IIA)中、R1およびR2は、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R1およびR2の少なくとも1つは水素原子ではない。
3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基である。また、R1〜R6は互いに結合して環を形成してもよい。
Mは、チタンである。
Yは、−O−、−S−、−NR*−または−PR*−である。
*は、SiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2、CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2SiR* 2またはGeR* 2である。R*は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R*が水素でない場合には、R*は20個までの水素以外の原子を含有する。Z*が有する2つのR*(R*が水素でない場合)は環を形成してもよいし、Z*が有するR*とYが有するR*とが環を形成してもよい。
pは、0、1または2である。
qは、0または1である。
ただし、pが2の場合、qは0であり、Mは+4の酸化状態にあり、Xはそれぞれ独立にメチル基またはベンジル基である。またpが1の場合、qは0であり、Mは+3の酸化状態にあり、Xは2−(N、N’−ジメチル)アミノベンジル基であるか、あるいはqは0であり、Mは+4の酸化状態にあり、Xは1,3−ブタジエニルである。またpが0の場合、qは1であり、Mは+2の酸化状態にあり、X’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエンまたは1,3−ペンタジエンである。
式(IIIA)で表される化合物について説明する。
Figure 0006709640
式(IIIA)中、R’は、水素原子、ヒドロカルビル基、ジ(ヒドロカルビルアミノ)基、またはヒドロカルビレンアミノ基であり、前記R’が炭素原子を有する場合の炭素数は20以下である。
R’’は、炭素数1〜20のヒドロカルビル基または水素原子である。
Mは、チタンである。
Yは、−O−、−S−、−NR*−、−PR*−、−NR* 2、または−PR* 2である。
*は、−SiR* 2−、−CR* 2−、−SiR* 2SiR* 2−、−CR* 2CR* 2−、−CR*=CR*−、−CR* 2SiR* 2−、または−GeR* 2−である。R*は、複数存在する場合にはそれぞれ独立に、水素原子または、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、シリル、ハロゲン化アルキル、およびハロゲン化アリールからなる群から選択される少なくとも1種を含む基であり、前記R*は原子番号2〜20までの原子を含み、任意にZ*が有する2つのR*(R*が水素原子でない場合)が環を形成してもよく、Z*のR*とYのR*とが環を形成してもよい。
Xは、π電子が非局在化した環状配位子を除く、原子数60以下の一価のアニオン性配位子である。
X’は、原子数20以下の中性の連結基である。
X’’は、原子数60以下の二価のアニオン性配位子である。
pは、0、1または2である。
qは、0または1である。
rは、0または1である。
pが2の場合、qおよびrは0であり、Mは+4の酸化状態(但し、Yが−NR* 2または−PR* 2である場合を除く)、またはMは+3の酸化状態(但し、Yが−NR* 2または−PR* 2である)であり、Xはハライド基、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ジ(ヒドロカルビル)アミド基、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、およびシリル基、並びに、これらの基がハロゲン置換された基、これらの基がジ(ヒドロカルビル)アミノ置換された基、これらの基がヒドロカルビルオキシ置換された基およびこれらの基がジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換された基よりなる群から選択されるアニオン性配位子であり、前記基は原子番号2〜30までの原子を含む。
rが1の場合、pおよびqは0であり、Mは+4の酸化状態であり、X’’はヒドロカルバジル基、オキシヒドロカルビル基、およびヒドロカルビレンジオキシ基よりなる群から選択されるジアニオン性配位子であり、前記X’’は原子番号2〜30までの原子を有する。pが1の場合、qおよびrは0であり、Mは+3の酸化状態であり、Xは、アリル、2−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル、および2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルよりなる群から選択されるアニオン性安定化配位子である。pおよびrが0の場合、qは1であり、Mは+2の酸化状態であり、X’は、任意に1以上のヒドロカルビル基で置換された、中性の共役ジエンまたは中性のジ共役ジエンであり、前記X’は炭素の原子数が40以下であり、Mとπ−π相互作用による結合を形成する。
より好ましい態様としては、式(IIIA)中、pが2であり、qおよびrが0である場合、Mは+4の酸化状態であり、Xは、各々独立に、メチル、ベンジル、またはハライドであり、pおよびqが0である場合、rは1であり、Mは+4の酸化状態であり、X’’は、Mとメタラシクロペンテン環を形成する1,4−ブタジエニル基であり、pが1である場合、qおよびrは0であり、Mは+3の酸化状態であり、Xは、2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルであり、pおよびrが0である場合、qは1であり、Mは+2の酸化状態であり、X’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。
式(IIIA)の中でも、下記式(IIIA’)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0006709640
式(IIIA’)中、R’は水素原子または炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、R’’は、炭素数1〜20のヒドロカルビル基または水素原子であり、Mはチタンであり、Yは、−NR*−であり、Z*は、−SiR* 2−であり、R*は、それぞれ独立に、水素原子または、炭素数1〜20のヒドロカルビル基であり、pおよびqのうち一方は0であり、他方は1であり、pが0かつqは1である場合には、Mは+2の酸化状態であり、X’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンであり、pが1かつqが0である場合には、Mは+3の酸化状態であり、Xは2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルである。
炭素数1〜20のヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基などの直鎖状アルキル基、t−ブチル基、ネオペンチル基などの分岐状アルキル基が挙げられる。ヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基などの直鎖状アルキルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基などの分岐状アルキルオキシ基が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、前記の直鎖状アルキル基や分岐状アルキル基をクロル化、臭素化、フッ素化したものが挙げられる。ハロゲン化アリール基としては、例えば、クロル化フェニル基、クロル化ナフチル基などが挙げられる。
式(III’A)中、R’’が水素原子またはメチルであることが好ましく、メチルであることがより好ましい。
特に好ましい触媒は、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)2,4−ヘキサジエン(IV)、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シラン−チタニウム(IV)ジメチル(V)、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2,3−ジメチルインデニル)シランチタニウム(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(VI)、(t−ブチル−アミド)−ジメチル(η5−2,3−ジメチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(IV)ジメチル(VII)、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)1,3−ペンタジエン(VIII)である。その中でも、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)1,3−ペンタジエン(VIII)が特に好ましい。
Figure 0006709640
Figure 0006709640
特に上記式(VIII)で表される構造を有する触媒を用いると、本発明に用いる共重合体(A1−1)を得るための重合反応が、非共役ポリエン(成分[C−1]および成分[C−2])の共重合体性に優れ、例えばVNB末端の二重結合を効率よく取り込み、長鎖分岐を高い割合で導入することができる。また、得られる共重合体(A1−1)の分子量分布と組成分布が狭く、非常に均一な分子構造を有する共重合体を調製することができるため、長鎖分岐生成に伴い懸念される、ゴム成形体表面のゲル状ブツの形成が顕著に抑制される。その結果、このような共重合体を含んでなるゴム成形体は、ゲル状ブツを含まないためにその表面外観に優れ、また形状保持性に優れるため生産安定性も良好である。
これらの触媒は、周知の合成手法を用いて調製することができる。例えば国際公開第98/49212号公報に開示されている。
<エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1−1)の製造方法>
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1−1)を合成する際には、好ましくはメタロセン触媒、特に好ましくは上記に例示される構造を有する触媒を用いる。例えば、上記触媒を主触媒とし、共触媒としてホウ素系化合物および/またはトリアルキル化合物等の有機アルミニウム化合物を用い、ヘキサン等の脂肪族炭化水素を溶媒とし、攪拌機つき反応器による連続法またはバッチ法により、共重合体(A1−1)を得ることができる。
反応温度は、高温でも触媒が失活しないので100℃まで上げることができる。重合圧力は、0を超えて〜8MPa(ゲージ圧)、好ましくは0を超えて〜5MPa(ゲージ圧)である。反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは10分間〜3時間である。さらに共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
エチレン[A]とα−オレフィン[B]とのモル(仕込み)比([A]/[B])は、好ましくは25/75〜80/20、より好ましくは30/70〜70/30である。
非共役ポリエン[C−1]と非共役ポリエン[C−2]とのモル(仕込み)比([C−1]/[C−2])は、好ましくは60/40〜99.5/0.5、より好ましくは65/35〜99/1である。
上記触媒を用いて重合することによって、二重結合を有する非共役ポリエン等が高い転化率で共重合され、得られる共重合体(A1−1)に適量の長鎖分岐を導入することができるので好ましい。
このようにして得られる共重合体(A1−1)は、炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]に由来する構造単位が、全構造単位100モル%中、好ましくは10〜50モル%であり、より好ましくは25〜45モル%である。また、非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位のモル比および非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位のモル比の合計が、全構造単位100モル%中、好ましくは1.0〜6.0モル%であり、より好ましくは1.0〜5.0モル%である。また、非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位のモル%と非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位のモル%との比([C−1]/[C−2])は、好ましくは75/25〜99.5/0.5、より好ましくは78/22〜97/3である。
[膨張黒鉛(B)]
膨張黒鉛(B)とは、熱膨張性黒鉛や膨張性黒鉛とも呼ばれる、加熱によって体積が膨張する黒鉛である。
膨張黒鉛(B)としては、具体的には天然鱗片状黒鉛などの黒鉛(グラファイト)の層間に化学品を挿入されたものである。鱗片状黒鉛は主に中国の山東地区、モンゴリア地区の2箇所で産出される。前地区では石英を含有、後地区ではマイカを含有しており、膨張性黒鉛の用途によって産地を使い分けられている。例えば、樹脂などに混練させる場合は、混練機の磨耗を抑えるために、マイカ含有のものが多く使用されている。
膨張黒鉛(B)の化学構造は、天然鱗片状黒鉛の層の間に化学品(グラファイト層間化合物)を挿入した層状構造となっており、この化学品が加熱によりガスを発生する事により膨張し、不燃の層を形成させるものである。従って、膨張黒鉛(B)の粒子径が大きいほど膨張の度合いが高くなるが、一方で強度の面では劣るため、膨張後の発泡成形体の難燃性が高まるようにこれらのバランスを考慮しつつ粒子径や発泡温度を適宜選択して使用する。
鉱山から採掘された天然鱗片状黒鉛は、粉砕、水分級の工程を経てカーボン含有量約95%以上の黒鉛になる。この黒鉛内の不純物除去は、強酸洗浄、高温下アルカリ中での焼結により行われる。そして、この鱗片状の黒鉛の層間に化学品を挿入するが、工程の効率化のため、硝酸や過マンガン酸カリウム、もしくはオゾンなどの酸化剤が必要とされる。この反応後、中和工程、洗浄、乾燥工程を経て膨張黒鉛(B)となる。
本発明に用いられる膨張黒鉛(B)の代表的な物性は以下の通りであるが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。
膨張黒鉛(B)の一次粒子の平均粒子径は、10〜500μm、好ましくは45〜300μmである。前記範囲内では熱膨張率が高いため好ましい。
膨張黒鉛(B)の一次粒子(primary particle)の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定することができる。具体的にはSEM観察用のカーボンテープ付の試料台に、膨張黒鉛(B)を載せて、ブロワ―により、重なっている膨張黒鉛(B)を飛ばす。その後、蒸着装置(日立製作所製 E−1030)にてPt蒸着を行い測定サンプルとする。該測定サンプルを、SEM(日本電子製 JSM−6510LV)を用いて、倍率100倍で観察する。観察は100個の膨張黒鉛(B)について行い、画像解析ソフトを用いて各膨張黒鉛(B)の一次粒子径を測定し、一次粒子の平均粒子径を算出することにより、膨張黒鉛(B)の一次粒子の平均粒子径が求められる。
膨張黒鉛(B)のpH値は5〜8であることが好ましい。また、膨張黒鉛(B)の外部からの加熱による膨張開始温度は、好ましくは160〜300℃であり、より好ましくは160〜250℃である。前記範囲内では膨張黒鉛(B)を膨張させずに、架橋と発泡とを行い発泡成形体を得ることができるため好ましい。膨張開始温度については、処理される化学品により決定される。
膨張黒鉛(B)の膨張容積は100〜350ml/gであることが好ましく、150〜350ml/gであることがより好ましい。前記範囲内では熱膨張率が高いため好ましい。膨張黒鉛(B)の膨張容積は、膨張黒鉛(B)を1000℃で10秒間加熱した場合の、加熱後の膨張黒鉛(B)1g当たりの容積(cc/g)として、測定することができる。
膨張性黒鉛としては、例えば、三洋貿易株式会社から商品名「SYZR802」、「SYZR502」、「SYZR1002」、「SYZR502H」の名称で市販されている製品、巴工業株式会社から商品名「GRAF GUARD 160−50N」、「GRAF GUARD 220−50N」、「GRAF GUARD 250−50N」の名称で市販されている製品などが使用できる。
前記膨張黒鉛(B)の膨張開始温度をT1(℃)とし、組成物から発泡成形体を調製する際の最高温度をT2(℃)とした場合に、下記式(1)を満たすことが好ましい。
T1(℃)−T2(℃)≧−15℃ ・・・(1)
なお、市販品の膨張黒鉛を用いた場合には、膨張開始温度が範囲で記載されている場合がある。例えば三洋貿易株式会社から商品名「SYZR502」の名称で市販されている製品では、膨張開始温度が170〜190℃と記載されている。このような場合には、記載されている膨張開始温度の全範囲において、前記式(1)を満たすことが好ましい。
前記組成物は、前記重合体(A)100質量部と、膨張黒鉛(B)5〜500質量部とを含み、好ましくは前記重合体(A)100質量部と、膨張黒鉛(B)10〜300質量部とを含む。前記範囲を下回ると、加熱による膨張性の効果的な発現が望みにくく、前記範囲を上回ると、重合体(A)の柔軟性を充分に発揮することが困難になり、発泡成形体を調製することが難しくなる場合がある。
また、前記組成物は、組成物全体を100質量%とすると、重合体(A)を好ましくは41〜13質量%、より好ましくは40〜18質量%の範囲で含む。前記範囲内では重合体(A)の柔軟性を充分に発揮することができるため好ましい。
前記組成物は、膨張黒鉛(B)を含有するにもかかわらず未架橋時粘度が低いので、成形時の作業性が良好である。また、前記組成物を用いることにより、加熱により膨張可能な膨張黒鉛(B’)を含む発泡成形体を良好に成形できる。本発明の発泡成形体は、加熱によって膨張するため、膨張耐火材として非常に有用である。
前記組成物は、重合体(A)、膨張黒鉛(B)及び後述のその他の任意成分を、例えば、ミキサー、ニーダー、ロールなど従来知られる混練機を用いて所定の温度で混練することにより調製できる。重合体(A)は混練性に優れているので、前記組成物の調製を良好に行うことができる。
その他の任意成分としては、例えば、架橋剤(C)、充填材(D)、発泡剤、発泡助剤、軟化剤、老化防止剤(安定剤)、加工助剤、活性剤、吸湿剤などの種々の添加剤が挙げられる。また、重合体(A)以外の重合体ゴムを配合することもできる。ただし、結晶性樹脂は含まないことが好ましい。結晶性樹脂を配合すると常温での剛性は向上するものの、低温下でのゴム弾性が低下するからである。
[架橋剤(C)]
前記組成物は架橋剤(C)を含むことが好ましい。架橋剤(C)を含むと、架橋剤(C)を含まない場合と比べて、容易に架橋発泡することができるため好ましい。前記架橋剤としては、一般に加硫剤として知られているものを使用できる。加硫剤としては、例えば、硫黄系化合物、有機過酸化物、フェノール樹脂およびオキシム化合物などが挙げられる。
硫黄系化合物としては、例えば、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドおよびジチオカルバミン酸セレンが好ましく、硫黄およびテトラメチルチウラムジスルフィドがより好ましい。硫黄系化合物の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜5.0質量部、より好ましくは0.7〜4.0質量部である。これら範囲は、得られる架橋発泡体の表面へのブルームがなく、優れた架橋特性を示すので好適である。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ジブチルヒドロペルオキシドが好ましく、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシドおよびジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンがより好ましい。有機過酸化物の配合量は、重合体(A)100gに対して、通常0.001〜0.05モル、好ましくは0.002〜0.02モル、より好ましくは0.005〜0.015モルである。これら範囲は、得られる架橋発泡体の表面へのブルームなく優れた架橋特性を示すので好適である。
加硫剤として硫黄系化合物を用いる場合、加硫促進剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール(例えば、サンセラーM(商品名;三新化学工業社製))、2−(4−モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール(例えば、ノクセラーMDB−P(商品名;大内新興化学工業社製))、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルフォリノチオ)ベンゾチアゾールおよびジベンゾチアジルジスルフィドなどのチアゾール系;ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジンおよびジオルソトリルグアニジンなどのグアニジン系;アセトアルデヒド・アニリン縮合物およびブチルアルデヒド・アニリン縮合物などのアルデヒドアミン系;2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系;ジエチルチオウレアおよびジブチルチオウレアなどのチオウレア系;テトラメチルチウラムモノスルフィドおよびテトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(例えば、サンセラーPZ、サンセラーBZ、サンセラーEZおよびサンセラーM(商品名;三新化学工業社製))およびジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオ酸塩系;エチレンチオ尿素(例えば、サンセラーBUR(商品名;三新化学工業社製)、サンセラー22−C(商品名;三新化学工業社製))およびN,N’−ジエチルチオ尿素などのチオウレア系;ジブチルキサトゲン酸亜鉛などのザンテート系;その他、亜鉛華(例えば、META−Z102(商品名;井上石灰工業社製、酸化亜鉛))が挙げられる。加硫促進剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜15質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。
加硫助剤を使用することもできる。加硫助剤としては、例えば、p−キノンジオキシムなどのキノンジオキシム系;エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートなどのアクリル系;ジアリルフタレートおよびトリアリルイソシアヌレート(例えば、M−60(商品名;日本化成社製))などのアリル系;その他マレイミド系;ジビニルベンゼン;酸化マグネシウム/酸化亜鉛(例えば、META−Z102(商品名;井上石灰工業社製)など)が挙げられ、その用途に応じて適宜選択することができる。加硫助剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよい。加硫助剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常1〜20質量部である。
組成物を架橋することにより発泡成形体を得る場合、上述の硫黄系加硫剤、有機過酸化物以外の公知の架橋剤として、例えばヒドロシリル系架橋剤、樹脂架橋剤を使用することもできる。
ヒドロシリル系架橋剤は、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物であり、重合体(A)と反応して架橋剤として作用する。ヒドロシリル系架橋剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1.7〜15質量部、より好ましくは1.7〜10質量部、特に好ましくは2.0〜10質量部である。これら範囲は、得られる発泡成形体の機械的強度が向上し、また組成物のロール添加時間が短くなる傾向があるので好適である。
ヒドロシリル系架橋剤としては、従来から製造・市販されているものが使用可能である。例えば、線状、環状、分岐状の各構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物など、何れの構造のものであってもよい。このようなヒドロシリル基系架橋剤は、通常、下記の一般組成式で表わされる化合物を使用できる。
Figure 0006709640
上記一般組成式において、R4は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1〜10、好ましくは炭素原子数1〜8の置換または非置換の1価炭化水素基である。この1価炭化水素基としては、メチル基やエチル基からはじまりノニル基やデシル基に至る、n−、iso−、sec−、tert−等の異性体を含むアルキル基、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基、例えばトリフロロプロピル基が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。上記一般組成式において、bは1≦b<3、好ましくは0.6<b<2.2、特に好ましくは1.5≦b≦2であり、cは1<c≦3、好ましくは1≦c<2であり、b+cは0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
ヒドロシリル系架橋剤は、1分子中のケイ素原子数が好ましくは2〜1000個、特に好ましくは2〜300個、最も好ましくは4〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。その具体例としては、シロキサンオリゴマー、分子鎖両末端封鎖オルガノハイドロジェンポリシロキサン、R4 2(H)SiO1/2単位とSiO4/2単位とからなり、任意にR4 3SiO1/2単位、R4 2SiO2/2単位、R4(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2またはR4SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジンが挙げられる。
ヒドロシリル系架橋剤を使用して重合体(A)との架橋反応を行う場合、通常は、付加反応触媒を併せて使用する。この触媒としては、重合体(A)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル系架橋剤のヒドロシリル基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば特に制限はないが、特に白金系触媒が好ましい。触媒の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部、特に好ましくは0.05〜2.5質量部である。これが0.05質量部以上であれば架橋速度が速くなり、5質量部以下であればコスト的に有利である。また、上記範囲内の配合量で白金系触媒を用いると、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れる加硫ゴム成形体を形成できる。
具体的な白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、例えば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号公報明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物が挙げられる。
より具体的には、例えば白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものが挙げられる。それらは、単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
樹脂架橋剤は、加熱等によってゴムに架橋反応を起させる合成樹脂である。例えば、フェノール樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂を使用できる。中でも、フェノール樹脂が好ましい。フェノール樹脂の具体例としては、フェノール、アルキルフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン等のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類との反応により合成される各種フェノール樹脂が挙げられる。また、フェノール樹脂のアルデヒドユニットに少なくとも一個のハロゲン原子が結合したハロゲン化フェノール樹脂を用いることもできる。特に、ベンゼンのオルト位またはパラ位にアルキル基が結合したアルキルフェノールと、ホルムアルデヒドとの反応によって得られるアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂が、ゴムとの相溶性に優れると共に反応性に富んでいて架橋反応開始時間を比較的早くできるので好ましい。アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のアルキル基は、通常、炭素数が1から10のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等が挙げられる。また、このアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂のハロゲン化物も好適に用いられる。さらに、硫化−p−第三ブチルフェノールとアルデヒド類とを付加縮合させた変性アルキルフェノール樹脂や、アルキルフェノール・スルフィド樹脂も樹脂架橋剤として使用可能である。
[充填材(D)]
充填材(D)は特に制限されない。例えば、引張強度、引裂強度および耐摩耗性などの機械的性質を向上させる目的で添加されることが公知の補強材や無機充填材を使用できる。
充填材(D)としては、例えば、カーボンブラック、シランカップリング剤などで表面処理したカーボンブラック、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルクおよび微粉ケイ酸などの補強材が挙げられる。なかでも、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの市販品としては、例えば旭カーボン社製の商品名 旭#55G、旭#50HG、旭#80、旭#70、旭#60H、旭#60G、旭#50G、旭#35G、旭#15G、アサヒサーマル、東海カーボン社製の商品名 シーストG−V、シーストG−SVH、シーストG−116、シーストG−SO、シーストG−S、シーストG−FY、シーストG−TAが挙げられる。
また充填材(D)として、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの無機充填材も使用できる。このなかでは、重質炭酸カルシウムが好ましい。重質炭酸カルシウムの市販品としては、例えば白石カルシウム社製の商品名ホワイトンSBが挙げられる。
その他の任意成分として充填剤(D)を用いる場合には、前記組成物中に、充填剤(D)は重合体(A)100質量部に対して、30〜160質量部、好ましくは45〜145質量部、より好ましくは50〜130質量部含まれる。充填材(D)の配合量が上記範囲内にあると、組成物の混練加工性に優れ、発泡成形体は強度および柔軟性などの機械的性質や低温柔軟性(低温圧縮応力)ならびに圧縮永久歪みに優れるので好ましい。
発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどの無機系発泡剤;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンおよびN,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミドおよびアゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジドおよび4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などのヒドラジド化合物;カルシウムアジドおよび4,4’−ジフェニルジスルホニルアジドなどのアジド化合物などの有機発泡剤が挙げられる。また、市販品としては、例えば、ビニホールAC#3C−K2(商品名;永和化成工業社製)、ビニホールAC#LQ(商品名;永和化成工業社製、アゾジカルボンアミド(略号ADCA))、ネオセルボンN#1000SW、ネオセルボンN#1000M(商品名;永和化成工業社製、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド(略号OBSH))、セルラーD(商品名;永和化成工業社製、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(略号DPT))などが挙げられる。発泡剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常1〜70質量部、好ましくは3〜60質量部であることが、発泡ガス発生量の点で好ましい。
また、発泡剤に加えて、必要に応じて発泡助剤を添加してもよい。発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進または気泡の均一化などの作用を示す。発泡助剤としては、例えば、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、シュウ酸およびクエン酸などの有機酸またはその塩;尿素またはその誘導体などが挙げられる。市販品としては、例えば、セルペーストK5(商品名;永和化成工業社製、尿素)およびFE−507(商品名;永和化成工業社製、重曹)などが挙げられる。発泡助剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.5〜4質量部である。
発泡剤、発泡助剤、加硫剤および加硫促進剤の配合量が上記範囲にあると、得られる架橋発泡体の表面へのブルームがなく、優れた架橋特性を示すため好ましい。
また、高圧ガスによる物理発泡も可能である。すなわち、例えば樹脂の融点付近の温度で押出する際に、押出機の途中に設けられた圧入孔から揮発性又は無機ガス系発泡剤を圧入して、口金から押し出すことにより発泡体を連続的に得ることができる。物理型発泡剤の具体例としては、フロン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の揮発性発泡剤、窒素、空気、水、炭酸ガス等の無機ガス系発泡剤が挙げられる。また、押出発泡に際し、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム等の気泡核形成剤を添加してもよい。物理型発泡剤の配合割合は、重合体(A)100質量部に対し、通常5〜60質量部、好ましくは10〜50質量部である。物理的発泡剤の配合割合が少なすぎると、発泡体の発泡性が低下し、逆に多すぎると、発泡体の強度が低下する。
また軟化剤も使用できる。軟化剤としては、プロセスオイル(例えば、ダイアナプロセスオイルPS−430(商品名;出光興産社製))、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルトおよびワセリンなどの石油系軟化剤;コールタールおよびコールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油およびヤシ油などの脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウおよびラノリンなどのロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウムおよびラウリン酸亜鉛などの脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油およびロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレンおよびクマロンインデン樹脂などの合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートおよびジオクチルセバケートなどのエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油、トール油およびサブ(ファクチス)などが挙げられる。なかでも、石油系軟化剤が好ましく、特にプロセスオイルが好ましい。軟化剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよい。軟化剤の配合量は、その用途により適宜選択できる。その配合量は、重合体(A)100質量部に対し最大で、通常200質量部、好ましくは150質量部、より好ましくは130質量部である。
また、通常のゴム組成物と同様に、老化防止剤(安定剤)を使用することにより、製品寿命を長くすることができる。老化防止剤としては、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤および硫黄系老化防止剤などの従来公知の老化防止剤が挙げられる。具体的には、フェニルブチルアミンおよびN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどの芳香族2級アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエンおよびテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタンなどのフェノール系老化防止剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィドなどのチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾールおよび2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩;ジラウリルチオジプロピオネートおよびジステアリルチオジプロピオネートなどの硫黄系老化防止剤などが挙げられる。これらの老化防止剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよい。老化防止剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常0.3〜10質量部、好ましくは0.5〜7.0質量部、より好ましくは0.7〜5.0質量部である。老化防止剤の配合量が上記範囲にあると、得られるゴム組成物の表面のブルームがなく、さらに加硫阻害を起こさないため好ましい。
また加工助剤も使用できる。加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ステアリン酸エステル類、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛およびステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。これらのうち、ステアリン酸が好ましい。加工助剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常10質部以下、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下である。加工助剤の配合量が上記範囲にあると、得られるゴム組成物の表面のブルームがなく、さらに加硫阻害を起こさないため好ましい。
また活性剤も使用できる。活性剤としては、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、アクチングB(商品名;吉冨製薬社製)およびアクチングSL(商品名;吉冨製薬社製)などのアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG#4000(商品名;ライオン社製))、レシチン、トリアリレートメリテートならびに脂肪族および芳香族カルボン酸の亜鉛化合物(例えば、Struktol activator 73、Struktol IB 531およびStruktol FA 541(商品名;Scill&Seilacher社製))などの活性剤;ZEONET ZP(商品名;日本ゼオン社製)などの過酸化亜鉛調製物;オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド;合成ハイドロタルサイト;特殊4級アンモニウム化合物(例えば、アーカード2HT−F(商品名;ライオン・アクゾ社製))などが挙げられる。これらのうち、ポリエチレングリコール(例えば、PEG#4000(商品名;ライオン社製))およびアーカード2HT−Fが好ましい。この活性剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよい。活性剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常0.2〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部、より好ましくは0.5〜4質量部である。
吸湿剤としては、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンなどが挙げられる。これらのうち、酸化カルシウムが好ましい。吸湿剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常0.5〜15質量部、好ましくは1.0〜12質量部、より好ましくは1.0〜10質量部である。
その他、通常ゴムに使用される添加剤を、本発明に用いる添加剤として、本発明の目的を損なわない範囲内で任意に配合できる。
[発泡成形体]
本発明の発泡成形体は、上述の重合体(A)および膨張黒鉛(B)を含む組成物の発泡成形体であり、前記組成物を発泡、通常は架橋発泡することにより得ることができる。
発泡成形体は、前記組成物を発泡成形した物であり、低比重でかつ充分な剛性を有し、しかもその成形時の作業性も良好である。また、本発明の発泡成形体は、加熱により膨張可能な膨張黒鉛(B’)を含む。前記発泡成形体が、加熱により膨張可能な膨張黒鉛(B’)を含むため、加熱により、膨張させることが可能であり、膨張耐火材として非常に有用である。
なお、膨張黒鉛(B’)とは、前述の膨張黒鉛(B)に由来する成分である。膨張黒鉛(B’)は、膨張黒鉛(B)そのものであってもよく、発泡成形体を得る際の熱によって、膨張黒鉛(B)の膨張能(膨張する性質)の一部が発揮されたが、未だ加熱によって膨張する能力を有する膨張黒鉛であってもよい。本発明の発泡成形体は、膨張黒鉛(B’)を含むため、加熱によって膨張させることが可能である。
本発明の発泡成形体は、発泡倍率が1.01〜50倍であり、好ましくは2〜40倍であり、より好ましくは2〜30倍である。前記範囲内では製品外観が良好であるため好ましい。発泡倍率は、発泡前の組成物および発泡成形体の比重を水中置換法(JIS K 6268)に準じて測定し、組成物の比重を、発泡成形体の比重で除する(組成物の比重/発泡成形体の比重)ことにより求めることができる。
本発明の発泡成形体は、加熱により膨張させることが可能である。具体的には、300℃で測定した体積膨張率が、101〜500%であることが好ましく、200〜300%であることがより好ましい。
なお、300℃で測定した体積膨張率とは、発泡成形体を、300℃で加熱した際に30分以内に膨張する体積の割合であり、膨張後(加熱後)の発泡成形体の体積/加熱前の発泡成形体の体積×100[%]によって求めることが可能である。
前記組成物を架橋させる方法としては、前記組成物を、80℃〜300℃で発泡硬化する工程を含むことが好ましく、例えば、以下に示す2つの方法が挙げられる。
1つ目の方法は、上記加硫剤を配合した組成物を、通常、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームおよびLCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽など種々の成形法によって所望形状に予備成形し、予備成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱する方法(i)である。
方法(i)の場合、上述した加硫剤を用い、必要に応じて加硫促進剤および/または加硫助剤も併用して行う。また、加熱する際の温度としては、一般に140〜300℃、好ましくは150〜270℃、より好ましくは150〜250℃で、通常0.5〜30分間、好ましくは0.5〜20分間、より好ましくは0.5〜15分間加熱する。
組成物を成形および加硫する際は、金型を用いてもよいし、用いなくてもよい。金型を用いない場合、組成物は通常連続的に成形および加硫される。
2つ目の方法は、組成物を上記成形法によって予備成形し、電子線を照射する方法(ii)である。
方法(ii)の場合、予備成形されたものに0.1〜10MeVの電子線を、吸収線量が例えば0.5〜35Mrad、好ましくは0.5〜20Mrad、より好ましくは1〜10Mradとなるように照射する。
架橋発泡成形するためには、通常、組成物に発泡剤を添加し、架橋および発泡を行う。架橋発泡成形の一例としては組成物を、円柱状ダイス(径;5mmφ)を装着した60φmm押出機を用いて、ダイス温度80℃、シリンダ温度60℃、スクリュー温度50℃の条件で押し出し、円柱状に成形すると同時に加硫槽内に導入し、熱風加硫(180℃×10分)で加熱することで架橋および発泡を行い、円柱状スポンジを得る方法が挙げられる。
本発明の発泡成形体の形状としては、特に限定は無いが、円柱状、板状、中空状等が挙げられる。
本発明の発泡成形体は、充分なシール性を有するため、シール材として様々な用途に使用できる。また、本発明の発泡成形体は、加熱により、膨張黒鉛(B’)が膨張し、発泡成形体全体としても体積膨張が起きるため、膨張耐火材として有用である。すなわち、本発明の発泡成形体は、シール材、シール部材、防火部材として用いることが好ましい。
すなわち、本発明のシール部材は、前記発泡成形体を少なくともその一部に備えるシール部材である。また、本発明の防火部材は、前記シール部材を含む。
本発明の発泡成形体は、住宅・建材、土木に用いる部材、航空機、船舶、車両等の乗り物に用いる部材、電子機器に用いる部材等に用いることができる。
中でも、住宅・建材の建具として用いることが好ましい。すなわち、本発明の建具は、前記シール部材を少なくともその一部に備える建具である。建具としては、扉(ドア)、窓、パーティション、住宅用サッシ等が挙げられる。中でも扉が好ましい。また、本発明の発泡成形体は、外壁等の目地を塞ぐコーキング材として用いることもできる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下の記載において「部」は「質量部」を示す。また、各物性の評価は以下の方法により行った。
(1)組成物の物性
(最低粘度〔Vm〕およびスコーチ時間〔t5〕)
ムーニー粘度計((株)島津製作所社製SMV202型)を用いて、110℃において、組成物のムーニー粘度の変化を測定し、測定開始から最低粘度〔Vm〕を求め、さらにその最低粘度〔Vm〕より5ポイント上昇するまでの時間を求め、これをスコーチ時間〔t5〕(min)とした。
(S’Max−S’Min、tc10、tc90、ts1、tp10、tp90)
加硫測定装置:MDR2000(ALPHA TECHNOLOGIES社製)を用いて、組成物の加硫速度(tc10、tc90)、加硫誘導時間(ts1)、発泡速度(tp10、tp90)を以下のとおり測定した。
一定の温度および一定のせん断速度の条件下で得られるトルク変化ならびに発泡圧力変化を測定した。トルクの最大値(S'Max)とトルクの最小値(S'Min)との差の10%および90%のトルクに達成するまでの時間をそれぞれ、tc10、tc90(min)とした。最小トルク値からトルク1point(1dNm)上がるまでの時間を加硫誘導時間(ts1;分)とした。10%および90%の発泡圧力に達成するまでの時間をそれぞれ、tp10、tp90(min)とした。測定条件は、温度180℃、時間20分とした。このtc10およびtc90が小さいほど加硫速度が速く、tp10およびtp90が小さいほど発泡速度が速いことを示す。
(2)発泡成形体の物性
(比重)
発泡成形体の比重は、水中置換法(JIS K 6268)に準じて測定した。
なお、表2に記載の発泡成形体の比重は、加熱、膨張を行う前の発泡成形体の比重である。
(発泡倍率)
実施例で得られた発泡成形体の発泡倍率は、発泡前の組成物と、発泡成形体の比重を水中置換法(JIS K 6268)に準じて測定し、組成物の比重を、発泡成形体の比重で除する(組成物の比重/発泡成形体の比重)ことにより求めた。
(体積膨張率)
発泡成形体を、東洋精機製作所株式会社製ギアオーブンを用いて加熱し、膨張させた。
なお、加熱は、300℃で30分間、300℃で15分間、250℃で15分間、あるいは200℃で15分間行った。
膨張前の発泡成形体および膨張後の発泡成形体の体積を、ノギスによって測定した。
下記式のように膨張後の発泡成形体の体積を膨張前の発泡成形体の体積で除し、100を掛けることによって体積膨張率を算出した。
体積膨張率[%]=膨張後の発泡成形体の体積/膨張前の発泡成形体体積×100
[実施例1]
まず、MIXTRON BB MIXER(神戸製鋼所社製、BB−4型、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、以下の共重合体(A1−1)100部と、以下の各成分を混練した。
共重合体(A1−1):商品名 三井EPT8030M、三井化学株式会社製、メタロセン触媒を使用して得たエチレン−プロピレン−ENB−VNB4元共重合体(エチレン/プロピレン(モル比)=62/38、ENB含量20g/100g、VNB含量0.8g/100g、190℃、100rad/sにおける溶融弾性率9×104MPa、ML(1+4)100℃=32、Log[η*(0.01)]/Log[η*(10)]=1.41、0.0753×D+1.32=1.38(Dは非共役ポリエン[C−2]に由来する見かけのヨウ素価))100部
活性亜鉛華(ゴム加硫活性剤):商品名 META−Z 102、井上石灰工業株式会社製、8部
ステアリン酸:2部
ポリエチレングリコール:商品名 PEG#4000、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、1部
充填材(D):カーボンブラック、商品名 旭#50G、旭カーボン株式会社製、30部
充填材(D):重質炭酸カルシウム、商品名 ホワイトンSB、白石カルシウム株式会社社製、50部
プロセスオイル:商品名 ダイアナプロセスオイルPS−430、出光興産株式会社製、50部
上記混練の条件は、ローター回転数50rpm、フローティングウェイト圧力3kg/cm2、混練時間5分間、混練排出温度150℃とした。
次いで、この配合物が温度40℃以下となったことを確認した後、14インチロールを用いてさらに以下の各成分を混練し、組成物を得た。各物性値を表1に示す。
膨張黒鉛(B):商品名 SYZR802、三洋貿易株式会社、一次粒子の平均粒子径180μm、膨張開始温度170〜190℃、膨張容積150〜250ml/g、50部
加硫促進剤:商品名 サンセラーM、三新化学工業株式会社製、1.5部
加硫促進剤:商品名 サンセラーBZ、三新化学工業株式会社製、1.5部
加硫促進剤:商品名 サンセラーPZ、三新化学工業株式会社製、1.5部
加硫促進剤:商品名 サンセラーBUR、三新化学工業株式会社製、1.5部
硫黄:1.5部
発泡剤:商品名 ビニホールAC#LQ、永和化成工業株式会社製、15部
発泡助剤:商品名 セルペーストK5、永和化成工業株式会社製、1部
上記混練の条件は、ロール温度を前ロール/後ロール=80℃/80℃、ロール周速を前ロール/後ロール=13.5rpm/12rpm、ロール間隙を4mmとして、混練時間8分間で分出しした。
上記のようにして得た組成物を、押出機(シリンダ径60mmφ、圧縮比1.5、スクリュー温度50℃、シリンダ温度70℃、ヘッド温度80℃)を使用して、円柱状(5mmφ)に押出(押出速度1.5m/min)後、熱風加硫(180℃×10分)し、その押出物を150mmの長さに裁断して各試験片(発泡成形体)を調製した。各物性値を表1に示す。
[実施例2]
膨張黒鉛(B)を、SYZR802から、SYZR502(三洋貿易株式会社、一次粒子の平均粒子径300μm、膨張開始温度170〜190℃、膨張容積180〜250ml/g)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、各試験片(発泡成形体)を調製した。各物性値を表1に示す。
[実施例3]
膨張黒鉛(B)を、SYZR802から、SYZR502H(三洋貿易株式会社、一次粒子の平均粒子径300μm、膨張開始温度170〜190℃、膨張容積180〜350ml/g)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、各試験片(発泡成形体)を調製した。各物性値を表1に示す。
[実施例4]
膨張黒鉛(B)を、SYZR802から、GRAF GUARD 160−50N(巴工業株式会社、一次粒子の平均粒子径350μm、膨張開始温度160℃、膨張容積250ml/g)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、各試験片(発泡成形体)を調製した。各物性値を表1に示す。
Figure 0006709640
本発明の発泡成形体は、加熱によって膨張することが確認された。また、膨張が確認されたことから、加熱する前の発泡成形体が、加熱により膨張可能な膨張黒鉛(B’)を含むことが確認された。本発明の発泡成形体は、比重の低い発泡体でありながら、さらに膨張するため、膨張耐火材等として様々な用途に用いることができる。

Claims (10)

  1. 下記要件(a−1)を満たす重合体(A)100質量部と、膨張黒鉛(B)5〜500質量部とを含む組成物の発泡成形体であり、
    前記重合体(A)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとの共重合体である、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A1)であり、前記非共役ポリエンが、下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[C−2]を含み、
    前記発泡成形体が、加熱により膨張可能な膨張黒鉛(B')を含み、
    発泡前の組成物と、発泡成形体の比重を水中置換法(JIS K 6268)に準じて測定し、組成物の比重を、発泡成形体の比重で除することにより求めた値である発泡倍率が1.01〜50倍である発泡成形体。
    (a−1):190℃、100rad/sにおける溶融弾性率が1×104〜1×107 MPaである。
    Figure 0006709640
    (ただし、(I)は環状オレフィンの部分構造である。)
    Figure 0006709640
  2. 膨張黒鉛(B)の膨張開始温度が160〜300℃、一次粒子の平均粒子径が10〜500μmである、請求項1に記載の発泡成形体。
  3. 前記組成物が、架橋剤(C)を含む、請求項1または2に記載の発泡成形体。
  4. 300℃で加熱した際に、30分間以内に、体積が101〜500%に膨張する、請求項1〜のいずれか一項に記載の発泡成形体。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の発泡成形体を製造する方法であり、
    前記組成物を、80℃〜300℃で発泡硬化する工程を含むことを特徴とする、発泡成形体の製造方法。
  6. 前記膨張黒鉛(B)の膨張開始温度T1(℃)と、組成物から発泡成形体を調製する際の最高温度T2(℃)とが、下記式(1)を満たす、請求項5に記載の発泡成形体の製造方法。
    T1(℃)−T2(℃)≧−15℃ ・・・(1)
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の発泡成形体を少なくともその一部に備えるシール部材。
  8. 請求項に記載のシール部材を含む防火部材。
  9. 請求項に記載のシール部材を少なくともその一部に備える建具。
  10. 請求項に記載のシール部材を少なくともその一部に備える扉。
JP2016048446A 2016-03-11 2016-03-11 発泡成形体、その製造方法、および用途 Active JP6709640B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016048446A JP6709640B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 発泡成形体、その製造方法、および用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016048446A JP6709640B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 発泡成形体、その製造方法、および用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017160388A JP2017160388A (ja) 2017-09-14
JP6709640B2 true JP6709640B2 (ja) 2020-06-17

Family

ID=59853890

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016048446A Active JP6709640B2 (ja) 2016-03-11 2016-03-11 発泡成形体、その製造方法、および用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6709640B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3133683B2 (ja) * 1995-10-26 2001-02-13 古河電気工業株式会社 防火用膨張性樹脂組成物
JP3838780B2 (ja) * 1998-05-20 2006-10-25 積水化学工業株式会社 耐火性シート状成形体及びシート積層体
JP4628512B2 (ja) * 1999-12-27 2011-02-09 日本バルカー工業株式会社 通気口遮断用防火シート形成用組成物、通気口遮断用防火シート、および該シートの製造方法
JP2002181262A (ja) * 2000-12-14 2002-06-26 Denki Kagaku Kogyo Kk 耐火二層管用目地材
JP3934612B2 (ja) * 2004-01-21 2007-06-20 電気化学工業株式会社 ゴム組成物及び該ゴム組成物を使用した発泡成形体
JP2011063783A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Furukawa Electric Co Ltd:The 防火用膨張性樹脂組成物
JP5808612B2 (ja) * 2011-08-29 2015-11-10 株式会社アスクテクニカ 熱膨張性断熱シール材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017160388A (ja) 2017-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5563989B2 (ja) 共重合体、ゴム組成物、架橋ゴム、架橋発泡体およびそれらの用途
JP5717342B2 (ja) 共重合体ゴム、ゴム組成物およびゴム成形体
KR101576404B1 (ko) 에틸렌계 공중합체, 당해 공중합체를 포함하는 조성물, 및 에틸렌계 공중합체 또는 조성물로 이루어지는 성형품 및 필름 또는 시트
JP5680678B2 (ja) 発泡剤およびその製造方法・形成剤、ゴム組成物、架橋発泡体およびその製造方法、ならびにゴム成形品
JP5912830B2 (ja) エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物、並びに、この組成物から得られる発泡体及びその成形法
JP5476172B2 (ja) 難燃性ゴム組成物およびゴム成形体
JP6941225B2 (ja) エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、その製造方法および用途
JP2012214576A (ja) エチレン系共重合体、架橋されたエチレン系共重合体、およびその成形体
JP6438737B2 (ja) ゴム組成物、架橋体、発泡体およびこれらの用途
JP5925295B2 (ja) 鉄道レール用軌道パッド
JP6091871B2 (ja) エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体組成物、並びに、この組成物から得られる架橋発泡体およびその製造方法
JP6709640B2 (ja) 発泡成形体、その製造方法、および用途
JP5357846B2 (ja) スポンジ用ゴム組成物およびゴム成形体
JP2017043784A (ja) ウェザーストリップスポンジ
JP4041934B2 (ja) スポンジ用ゴム組成物およびスポンジゴム
KR101768790B1 (ko) 괴상물 및 조성물
JP6325304B2 (ja) シート付き鉄道レール用軌道パッド
JP2024032012A (ja) 共重合体組成物、架橋成形体およびウェザーストリップスポンジ
JP3852174B2 (ja) 防振ゴム用ゴム組成物
JP2024032013A (ja) 架橋成形体の製造方法、架橋装置及び架橋方法
JP2024028690A (ja) 共重合体組成物
JP2024032009A (ja) 共重合体組成物および架橋成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190816

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190917

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200519

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200525

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6709640

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250