JP4628512B2 - 通気口遮断用防火シート形成用組成物、通気口遮断用防火シート、および該シートの製造方法 - Google Patents

通気口遮断用防火シート形成用組成物、通気口遮断用防火シート、および該シートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、通気口遮断用防火シート形成用組成物、通気口遮断用防火シートおよび該シートの製造方法に関し、さらに詳しくは、火災時の膨張倍率が高く、形状保持性などに優れた通気口遮断用防火シートを低コストで製造し得る通気口遮断用防火シート形成用組成物、該組成物から得られた通気口遮断用防火シート並びに、該シートの製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、例えば、火災時に膨張して建造物内の換気通路を遮断して延焼を防止すると共に、煙の拡散を防止する役目をもつ、通気口遮断用防火シート(防火通気見切り縁)が知られている。
このような通気口遮断用防火シートには、火災などにより、該シートに熱が伝わると、該シートに含まれている膨張性物質が180℃付近で速やかに膨張を開始し、しかも火勢が増して1000℃に加熱されても、膨張したシート形状が崩壊せず、その形状を保持していることが求められる。
【0003】
このような通気口遮断用防火シートとしては、従来より、種々提案されており、
例えば、特許第2595163号公報には、無機質繊維45〜60重量%、アラミド繊維5〜10重量%、ゴム10〜20重量%及び膨張性黒鉛10〜25重量%を含有してなる加熱膨張性断熱シール材が開示され、該シール材は、火災に際して、建造物の空隙や、内壁と外壁との間で断熱シール層を形成して延焼を防ぎ、煙の拡散をも防止できる旨記載されている。また該公報には、このようなシール材は、有機溶剤にてゴムを溶解したゴム糊またはラテックスへ、無機質繊維、アラミド繊維、膨張性黒鉛等を湿式混合して粘土状混合物を得て、これを押出成形機にてシート状またはロープ状に押出し、乾燥して可撓性のあるシートあるいはロープを得るか、あるいは、該粘土状混合物をロール成板機にてシート状に成板し乾燥してシートを得ることができる旨記載されている。
【0004】
しかしながら、該公報の実施例に具体的に示されているように、上記配合組成の粘土状混合物を押出成形機を用いてシート状に押出し、乾燥してシートを製造すると、原料として高価なアラミド繊維が多量に含まれ、また、製法工程数が多いため、コスト高になり、しかも加熱時にシートが面に垂直な方向だけでなく、面に水平な方向などにも膨張してしまうという問題点がある。
【0005】
また、特公昭58−12315号公報には、ガラスまた合成樹脂のフリースまたは編組物から成る基礎層を担体とし、膨張性黒鉛100重量部当たり、ポリクロルブタジエン10〜30重量部、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂1〜40重量部および安定剤1〜3重量部を含有する組成物を前記担体上に被覆施層して形成した熱膨張性填隙材が開示され、該熱膨張性填隙材は、火災に際して壁または扉を密封できる旨記載されている。
【0006】
しかしながら、該熱膨張性填隙材は、形状保持性に劣り、取り扱い上不便なため、通常、該熱膨張性填隙材シートにガラスクロスを貼付して用いられている。しかしながら、このようにガラスクロスを貼付したシートは、現場で簡単に切断することができず、また、両面テープを用いて所定位置に貼付しにくいという問題点がある。
【0007】
なお、特許第2538509号公報には、配管用継手類等の配管継手部やバルブ、ポンプ等の内部を流れる内部流体を封止するために使用されるシート状ガスケットに関して、アラミド繊維、フェノール樹脂繊維、芳香族ポリエステル繊維、芳香族ポリイミド繊維などの有機繊維および/またはロック・スラグ繊維、アルミナ−シリケート繊維、アルミナ繊維、石英ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維などの無機繊維からなる基材繊維の5〜20wt%と、
カオリン、クレー、タルク、シリカ、マイカ、ひる石、アルカリ土類金属から選ばれた無機質粉体からなる無機質充填材の40〜70wt%と、
酸処理された未膨張黒鉛の5〜20wt%と、
ゴムおよびゴム薬品からなる結合材とを配合してなる流体封止用のシート状ガスケットが開示されている。
【0008】
そして、その実施例には、繊維材としてアラミド繊維8重量%とロック・スラグ繊維10重量%とを含み、充填材としてカオリン鉱物54重量%を含み、結合材としてNBR15重量%とゴム薬品3重量%とを含み、膨張材として硫酸処理黒鉛(膨張性黒鉛)10重量%あるいは硝酸処理黒鉛10重量%を含む原料を用いて、ガスケットを抄造法にて製造した例が具体的に記載されている。
【0009】
しかしながら、このようにアラミド繊維を多量に含むガスケットは、製造コストが高くなる。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、火災時の膨張倍率が高く、形状保持性などに優れた通気口遮断用防火シートを低コストで製造し得る通気口遮断用防火シート形成用組成物、該組成物から得られた通気口遮断用防火シート並びにその積層体を提供することを目的としている。
【0011】
また本発明は、上記のような通気口遮断用防火シートを低コストで効率よく製造し得るような該シートの製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】
本発明に係る通気口遮断用防火シート形成用組成物は、(i)シートを製造した場合に、1000℃±2℃の温度で5分間保持後に、崩れないような耐熱性有機繊維と、120〜180℃の温度で溶融する低融点有機繊維とからなる有機繊維またはそれらよりなる有機繊維基材(以下、その意に反しない限り、有機繊維そのものと、有機繊維よりなる基材の両者を併せ、単に、「有機繊維基材」とも言う。)と、(ii)無機繊維またはそれよりなる無機繊維基材と、(iii)充填材と、(iv)ゴム材と、(v)ゴム薬品と、(vi)膨張性黒鉛と、(vii)溶剤とを含有する組成物であって、上記耐熱性有機繊維が1〜4重量%の量で、低融点有機繊維が5〜20重量%の量で、無機繊維またはそれよりなる無機繊維基材(以下、無機繊維そのものと、無機繊維よりなる基材の両者を併せ、単に、「無機繊維基材」とも言う。)が5〜25重量%の量で、および膨張性黒鉛が10〜25重量%の量(但し、上記の各成分量は、該組成物中から溶剤を除いたものを100重量%とする。)で含まれていることを特徴としている。
【0013】
本発明においては、上記耐熱性有機繊維が、アラミド繊維、フェノール樹脂繊維またはポリイミド繊維であることが望ましい。また、上記低融点有機繊維が、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維またはポリ塩化ビニル繊維であることが望ましい。
本発明に係る通気口遮断用防火シートは、
(i)耐熱性有機繊維と、120〜180℃の温度で溶融する低融点有機繊維とからなる有機繊維基材と、(ii)無機繊維基材と、(iii)充填材と、
(iv)ゴム材と、(v)ゴム薬品と、(vi)膨張性黒鉛とを含有するシートであって、
上記耐熱性有機繊維が1〜4重量%の量で、
低融点有機繊維が5〜20重量%の量で、
無機繊維基材が5〜25重量%の量で、および
膨張性黒鉛(vi)が10〜25重量%の量で含まれていることを特徴としている。
【0014】
本発明においては、上記ゴム材の少なくとも一部は、加硫されていることが望ましい。
本発明においては、上記耐熱性有機繊維が、アラミド繊維、フェノール樹脂繊維またはポリイミド繊維であることが望ましい。また、上記低融点有機繊維が、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維またはポリ塩化ビニル繊維であることが望ましい。
【0015】
本発明に係る通気口遮断用防火シートは、上記の何れかに記載の通気口遮断用防火シート形成用組成物を、熱ロールと冷却ロールとを有するシーター装置にて成形してなることが望ましい。
本発明に係る通気口遮断用防火シートの製造方法は、
上記の何れかに記載の通気口遮断用防火シート形成用組成物を、熱ロールと冷却ロールとから成るロール間で加熱圧延して通気口遮断用防火シートを製造することを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、火災時の膨張倍率が高く、形状保持性などに優れた通気口遮断用防火シートを低コストで製造し得る通気口遮断用防火シート形成用組成物が提供され、また該組成物から得られた通気口遮断用防火シートが提供される。
また本発明によれば、上記のような通気口遮断用防火シートを低コストで効率よく製造し得るような該シートの製造方法が提供される。
【0017】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る通気口遮断用防火シート形成用組成物(組成物とも言う。
)、通気口遮断用防火シート(シートとも言う。)および該シートの製造方法に具体的に説明する。
<通気口遮断用防火シート形成用組成物>
本発明に係る通気口遮断用防火シート形成用組成物には、基材繊維としての(i)有機繊維基材および(ii)無機繊維基材、(iii)充填材、(iv)ゴム材、(v)ゴム薬品、(vi)膨張性黒鉛、(vii)溶剤が含有されている。
<有機繊維基材(i)>
上記有機繊維基材(i)としては、耐熱性有機繊維と、低融点有機繊維とが含まれ、耐熱性有機繊維としては、熱可塑性でも、熱硬化性でもよく、シートが1000℃の高温下にある程度の時間にわたって晒されてもその形状を保持できるような働きを有する耐熱性有機繊維(高温形状保持性有機繊維)が挙げられ、熱硬化性のものでは、上記1000℃の高温においてもある程度の時間にわたってシート形状を保持できるような働きを有する高温熱分解性の熱硬化性有機繊維が挙げられる。
【0018】
有機繊維基材(i)のうちで、上記耐熱性熱可塑性有機繊維としては、例えば、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、フェノール樹脂繊維、ポリイミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリフェニレンオキシド繊維、フッ素化ポリマー系繊維などが挙げられ、これらのうちでは、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、フェノール樹脂繊維あるいはポリイミド繊維が好ましい。これらの耐熱性有機繊維は1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。本発明に係る通気口遮断用防火シート形成用組成物には、有機繊維基材として、好ましくは上記アラミド繊維、フェノール樹脂繊維あるいはポリイミド繊維等の耐熱性有機繊維が含有されており、得られるシートは火災時の屋内温度である1000℃の高温下にある程度の時間晒されても、シートの剛性等の形状保持性は確保される。
【0019】
上記アラミド繊維としては、例えば、商品名「ケブラー」(芳香族ポリアミド繊維、デュポン社製)、商品名「ケブラーパルプ」(フィブリル化した芳香族ポリアミド繊維、デュポン社製)などが上市されている。
低融点有機繊維としては、120〜180℃の温度で溶融しうるものが好ましく、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維;ポリ塩化ビニル系繊維;等が挙げられる。これらの低融点有機繊維は、1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0020】
このように低融点有機繊維としては、シート製造加工時には、繊維状でその強度を維持しつつ、建造物が煙を発生し始めるような温度である180℃では融けてシートの膨張を妨げることがないように、その融点が120〜180℃のものが用いられる。なお、本発明においては、上記低融点有機繊維よりも高融点の有機繊維をその目的に反しない範囲で少量用いてもよい。
【0021】
シート製造時には繊維状であり、シート膨張時には上記低融点(120〜180℃)で融ける低融点有機繊維としては、例えば、三井化学(株)製のポリエチレン繊維「ケミベスト FD990」、大和紡績(株)製のポリプロピレン繊維「ダイワボウポリプロ」、帝人(株)製のポリ塩化ビニル繊維「テビロン」等が好ましく用いられる。
<無機繊維基材(ii)>
無機繊維基材(ii)は、1000℃でのシートの形状保持性に寄与し、このような無機繊維基材(ii)としては、人体や環境への安全性の観点から非石綿系のものが好ましく用いられ、具体的には、例えば、ロックウール繊維(岩綿)、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維(炭素繊維)、金属繊維、セピオライト繊維、ワラストナイト、鉱さい綿、溶融石英繊維、化学処理高シリカ繊維、溶融珪酸アルミナ繊維、アルミナ連続繊維、安定化ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ウイスカー、ボロン繊維などが挙げられ、これらのうちでは、ロックウール繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維、金属繊維、セピオライト繊維、ワラストナイトが好ましい。なお、本発明においては無機繊維基材として、石綿繊維を少量含有させることができる。
【0022】
これらの無機繊維基材は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
なお、本発明では、この無機繊維(ii)と、下記の充填材(iii)のうちの無機充填材とは、そのアスペクト比により区別され、無機繊維(ii)とは、そのアスペクト比(平均)が10以上のものを言い、無機充填材とは、そのアスペクト比が10未満のものを言う。
<充填材(iii)>
充填材(iii)としては、無機繊維や膨張性黒鉛を除き、カオリン、クレー、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸鉛、酸化マグネシウム、トリポリ石、アルカリ土類金属塩(例:硫酸バリウム)、含水ケイ酸類、水酸化物類などが挙げられ、これらのうちでは、カオリン、クレー、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、アルカリ土類金属塩、含水ケイ酸類、水酸化物類が好ましく、さらには、難燃剤としても機能する含水ケイ酸類、水酸化物類が望ましい。この含水ケイ酸類等の充填材は、火災等により、シートが膨張し、熱に晒される面積が増加し、シートの熱劣化が促進されるような状況下において、自らが保持する結晶水を放出し、熱吸収し、シートの熱劣化を抑制する働きを有している。
<ゴム材(iv)>
ゴム材(未加硫ゴム)(iv)は、上記の有機繊維、無機繊維基材などの基材繊維類を結合する役割等を果たしており、このようなゴム材としては、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(ANM、ACM)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン―プロピレンゴム(EPM、EPDM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ、PMQ、FVMQ)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、エチレン酢ビゴム(EVA)、塩化ポリエチレン(CPE)、塩化ブチルゴム(CIR)、エピクロルヒドリンゴム(CD、ECO)、ニトリルイソプレンゴム(NIR)などが挙げれる。
【0023】
これらのゴム材のうちでは、天然ゴム、SBR、NBR、HNBR、BR、IR、IIR、CR、EPDM、ACM(ANM)、シリコンゴム、フッ素ゴムが好ましく、さらには、加工性の点よりNBRが最も好ましく用いられる。特に高ニトリルゴムは、熱ロールと冷却ロールとからなる一対のロールを供えたシーター装置を用いて通気口遮断用防火シート形成用組成物から通気口遮断用防火シートを製造する際に、冷却ロール側に原料の上記組成物が密着し被着してしまう現象である「取られ現象」が少なく、加工性に優れた組成物が得られる。
【0024】
なお、本発明では、これらのゴム材例えばSBRにナフテン系のプロセス油が配合された油展ゴムを用いることもできる。さらにまた、このような油展ゴムと上記のような種々のゴム材とを組合せて用いることもできる。
<ゴム薬品(v)>
ゴム薬品(v)としては、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤、加硫助剤(架橋助剤)、分散剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、可塑剤、顔料など、耐熱性、耐油性、耐酸性、耐光性、色調など目的に応じて選択使用される。
<膨張性黒鉛(vi)>
膨張性黒鉛(vi)は、黒鉛あるいは再生黒鉛を硫酸、硝酸等で酸処理して得られる未膨張の層間化合物であり、必要によりこの未膨張の層間化合物をさらに水洗・乾燥してもよい。この未膨張の層間化合物としての膨張性黒鉛では、熱によりこの黒鉛結晶層間を膨張させることができ、黒鉛を例えば、硫酸処理して得られるこの未膨張の層間化合物は、約250℃から膨張開始し、また硝酸処理してなる層間化合物は、約150℃から膨張開始し、何れも800〜1000℃では黒鉛層間が層面と垂直な方向に大きく膨張する性質を有している。このような膨張性黒鉛は、例えば、日本黒鉛商事(株)より、「EXP−48NF」、「EXP−48M」、「EXP−60M」、「EXP−80M」等の商品名で上市され、住金ケミカル(株)より「50LTE−S」、「50LTE」等の商品名で上市されている。これらのうちでは、日本黒鉛商事(株)製の「EXP−60M」、住金ケミカル(株)製の「50LTE−S」、「50LTE」が好ましい。
【0025】
こららの膨張性黒鉛は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
なお、加熱膨張性物質あるいは加熱発泡性物質には、上記膨張性黒鉛以外に、パーライト、バーミュキュライト、黒曜石、真珠岩等があるが、これらは膨張性黒鉛に比べて何れも膨張(発泡)開始温度が高いという欠点がある。また、有機系発泡剤を用いた場合、通気口遮断用防火シートには、多量の充填材が含まれているため発泡ガスがリークし、期待したような発泡が得られないと言う問題点がある。これに対して、上記膨張性黒鉛が配合された本発明の通気口遮断用防火シート形成用組成物より得られるシートは、火災などで該シートに熱が伝わり120〜180℃になると膨張性黒鉛が速やかに膨張を開始し、約350℃では20倍程度にも膨張し、1000℃である程度の時間加熱されても膨張したシートが崩壊せずその形状を保持でき、煙や空気(酸素)を遮断し延焼の防止を図ることができ、防火見切り縁として好適である。
【0026】
本発明に係る通気口遮断用防火シート形成用組成物には、
上記有機繊維基材(i)としては、耐熱性有機繊維と低融点有機繊維とが含まれるが、このうちの上記アラミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリイミド繊維等の耐熱性有機繊維は、合計で1〜4重量%、好ましくは1〜3重量%の量で、
低融点有機繊維は5〜20重量%、好ましくは9〜15重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0027】
また、これら耐熱性有機繊維と低融点有機繊維とからなる上記有機繊維基材(i)としては、2〜20重量%、好ましくは7〜15重量%の量で含まれていることが望ましい。
また、無機繊維基材(ii)は5〜25重量%、好ましくは10〜20重量%の量で、および
膨張性黒鉛(vi)は10〜25重量%、好ましくは14〜22重量%の量で含まれていることが望ましい。
【0028】
なお、ゴム薬品(v)量は、特に限定されないが、通常1〜5重量%、好ましくは2〜4重量%の量で含まれていることが望ましい。
但し、これら各成分量は、該組成物中の溶剤を除いたものを100重量%としたときの値である。
また、本発明に係る通気口遮断用防火シート形成用組成物には、上記耐熱性有機繊維と、120〜180℃の温度で溶融する低融点有機繊維とからなる有機繊維基材(i)と、無機繊維基材(ii)と、充填材(iii)と、ゴム材(iv)と、ゴム薬品(v)と、膨張性黒鉛(vi)との合計を100重量部とするとき、
上記耐熱性有機繊維が1〜4重量部、好ましくは1〜3重量部の量で、
低融点有機繊維が5〜20重量部、好ましくは9〜15重量部の量で含まれることが望ましい。
【0029】
また、これら耐熱性有機繊維と低融点有機繊維との合計である上記有機繊維基材(i)としては、2〜20重量部、好ましくは7〜15重量部の量であることが望ましい。
また、無機繊維基材(ii)が5〜25重量部、好ましくは10〜20重量部の量で、
膨張性黒鉛が(vi)10〜25重量部、好ましくは14〜22重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0030】
なお、ゴム薬品(v)量は、特に限定されないが、上記成分(i)〜(vi)の合計100重量部中に、通常1〜5重量部、好ましくは2〜4重量部の量で含まれていることが望ましい。
また、有機繊維基材(i)は、耐熱性有機繊維と、低融点有機繊維とからなるが、耐熱性有機繊維は、耐熱性有機繊維と低融点有機繊維との合計100重量部中に、通常、5〜22重量部、好ましくは8〜15重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0031】
本発明において好ましく用いられる後述するシーター製法(カレンダー製法)では、該組成物をロール上で熱ロールに圧縮すり込みを行い熱ロール側に積層すると共に、ゴムの加硫、溶剤の乾燥工程を同時に行う。よって、製法上シート用組成物の引張強度等の強度がある程度必要であり、強度が低いとシート加工を行う上で「モマレ現象」すなわち、シーター製法にてシート成形時に、熱ロールに積層されたシート状物が熱ロールから剥がれシート状物にシワが入る現象を発生する恐れがあり、また加工性の便のみを重視し強度が高くなってしまうと、得られたシートを通気口遮断用防火シートとして用いる際にその膨張が妨げられるが、上記範囲で各成分が含まれていると、シート加工性と火災時の膨張の両者がバランス良く確保される。
【0032】
詳説すれば、本発明に係る通気口遮断用防火シート形成用組成物には、有機繊維基材(i)として、120〜180℃では溶融せず、1000℃になってもある程度の時間にわたって膨張したシート形状の保持に寄与できるアラミド繊維、フェノール樹脂繊維あるいはポリイミド繊維等の耐熱性有機繊維と、120〜180℃で溶融する低融点有機繊維とがそれぞれ上記のような量で含まれているため、該組成物を加工し、通気口遮断用防火シートを製造する際には、上記高融点あるいは高温分解性の耐熱性有機繊維などと共に、低融点有機繊維が、繊維状態でその強度を維持して、シーター製法などによる良好な加工性に寄与し、また火災などにより、シートが加熱されて120〜180℃、特に180℃になった場合には、この低融点有機繊維が速やかに溶融し、シートの形状を保持しつつシートの膨張(すなわち膨張性黒鉛の膨張)を容易にすることができ、また、該シートが火に包まれ1000℃になっても、上記の耐熱性有機繊維が上記量で存在しているため、ある程度の時間にわたって崩壊することなくそのシート形状を保持して、防火用通気口などを遮断できる。
【0033】
このような通気口遮断用防火シート形成用組成物を得るには、上記各成分(i)〜(vi)を任意の順序で添加し、混合・攪拌等すればよい。
なお、本発明に係る通気口遮断用防火シート形成用組成物には、上記成分以外に、通常、通気口遮断用防火シート形成用組成物に配合されるような成分、例えば、有機溶剤、カップリング剤、有機帯電防止剤、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいは各種熱可塑性樹脂等が含まれていてもよい。
【0034】
有機溶剤としては、例えば、トルエン、ゴム揮(ゴム含量が100mg/100ml以上のガソリン)、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
このような有機溶剤の使用量には、特に制限はないが、例えば、上記成分(i)〜(vi)の合計100重量%に対して、例えば、10〜100重量%、好ましくは20〜80重量%の量で用いてもよい。また、通気口遮断用防火シート形成用組成物中に含まれる固形分を100重量%とするとき、例えば、10〜100重量%、好ましくは20〜80重量%の量で用いてもよい。
【0035】
有機帯電防止剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性帯電防止剤;アルキル硫酸エステルなどのアニオン性帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性帯電防止剤;ベタインなどの両性帯電防止剤;水溶性ポリマー帯電防止剤;あるいはケイ素化合物系帯電防止剤;などが挙げられる。
【0036】
このような有機帯電防止剤を通気口遮断用防火シート形成用組成物中に、0.1〜10重量%の量で添加することによって冷却ロールへの通気口遮断用防火シート形成用組成物の付着防止効果を高めることができる。
[通気口遮断用防火シートの製造]
次に本発明に係る通気口遮断用防火シートの好ましい製造方法であるシーター製法(カレンダーロール製法)について説明する。
【0037】
このシーター製法では、まずトルエン、ゴム揮などのゴム材用溶剤に、ゴム材(iv)を溶解させる。また本発明では、ゴム材が各種分散媒に分散されたゴムラテックスを用いてもよい。このゴム材溶液またはゴムラテックスに、ゴム薬品(v)、ロックウール等の無機繊維基材(ii)、充填材(iii)、有機繊維基材(i)としてのアラミド繊維等の耐熱性有機繊維およびポリエチレン繊維等の低融点有機繊維、膨張性黒鉛(vi)を混入する。さらに必要により、帯電防止剤などを配合して均一になるように混練して粘土状の通気口遮断用防火シート形成用組成物を準備する。
【0038】
次いでこの組成物を熱ロールと冷却ロールとからなる一対のロール間に挿入して加熱圧延する。この際、熱ロールは一般的には120〜160℃の温度にするが、用いられる低融点有機繊維の融点以下の温度に設定する。また冷却ロールは50℃以下の温度に保たれていることが好ましい。上記組成物を、このような温度条件に設定されたシーター装置に挿通させた場合には、該組成物中の耐熱性有機繊維は勿論、低融点有機繊維もその繊維形状を実質上保った状態で該組成物は加熱圧延され、シート状に成形される。また、この加熱圧延操作により、ゴム材は加硫されても加硫されなくともよいが、好ましい態様においては、ゴム材の少なくとも一部は、ゴム薬品特に加硫剤と反応して加硫(架橋)される。その加硫の程度は、ロール回転速度、各ロールの設定温度、ロール間隙あるいはロール圧、シート厚などにもよるが、熱ロールと冷却ロールがそれぞれ上記温度に設定されていることにより熱ロール側と冷却ロール側で異なっており、シート状物の熱ロール側表面から冷却ロール側表面にかけて次第に低下・減少している。換言すれば、得られるシート中の結合材に着目すると、該シートには、通常、未加硫のゴム材およびゴム薬品と共に、加硫されたゴム材が通常含まれている。
【0039】
なお、上記のような一対のロールを含む装置は、シーター装置として公知である。
上記のように通気口遮断用防火シート形成用組成物を一対のロール間に挿入すると、該組成物は加熱圧延されて熱ロール側にシート状に積層(巻回)される。
次いで、このシート状の加硫物を熱ロールから剥離させると、通気口遮断用防火シートが得られる。
【0040】
上記のような加熱圧延の際に、該組成物中の溶剤が揮散し該シート状物は乾燥すると共に、含まれるゴムの加硫が行われる。このため、このシーター装置を用いたシーター製法によれば、押出し製法に比して、より少ない工程数で、低コストにて所望の通気口遮断用防火シートを製造できる。
このようにして得られた通気口遮断用防火シートでは、膨張性黒鉛(未膨張の黒鉛層間化合物)の層面が、実質上シート面に平行な方向にのみ配向しており、火災などでシートが加熱されると、黒鉛層間化合物の層面と垂直な方向、すなわち、シート面に垂直な方向にのみ膨張性黒鉛は著しく大きく膨張し、結局シートは厚み方向(シート面に垂直な方向)にのみ膨張するため、火災時の熱を受けると著しく高倍率で膨張するようになる。
【0041】
この通気口遮断用防火シートを用いた通気口の防火メカニズムについて一例をもってさらに説明すると、図1(A)において、換気用空気通路6に配設された本発明の通気口遮断用防火シート9は、火災が発生し、換気用空気通路6に熱風が浸入し始めると、シート面に垂直な方向に膨張を開始し、図1(B)中付番9Aで示すように、実質上シートの面に垂直な方向にのみ著しく膨張し、シート面に水平な方向には膨張せず、短時間に換気用空気通路6を完全に閉塞(閉鎖)させるため、熱風がそれ以上小屋裏や換気用空気通路6内深くまで浸入するのを防止できる。
【0042】
なおゴム材用溶剤、分散媒は、通気口遮断用防火シート形成用組成物の混練工程、加熱圧延工程でほとんど完全に蒸散してしまう。
また、有機繊維基材(i)のうちで、低融点有機繊維の一部は、この熱ロールで120〜160℃の温度で加熱されて溶融し、繊維形状を失うことがあるが、本発明では、このようにその繊維形状を一部失った低融点有機繊維も低融点有機繊維に含める。
【0043】
なお、通気口遮断用防火シート形成用組成物を一対のロール間に挿入してシート状に圧延する際に、冷却ロールに該組成物の一部が付着することがある。このような冷却ロールへの通気口遮断用防火シート形成組成物の付着防止効果は、該組成物中に上記有機帯電防止剤を例えば、0.1〜10重量%の量で添加することによって高めることができる。
【0044】
本発明に係る通気口遮断用防火シートは上記製法に限定されず、従来公知の抄紙法にて製造することもできる。
<通気口遮断用防火シート>
このように本発明に係る通気口遮断用防火シートは、上記通気口遮断用防火シート形成用組成物(組成物)をシート状に成形、好ましくは架橋(加硫)・成形してなっており、該シートには、(i)有機繊維基材、(ii)無機繊維基材、(iii)充填材、(iv)ゴム材、(v)ゴム薬品、および(vi)膨張性黒鉛が含有されている。
【0045】
また、このようなシートが、例えば、シーター製法により製造されている場合、ゴム材は加硫されていてもよく加硫されていなくともよいが、好ましくはゴム材の少なくとも一部は加硫され、特に熱ロール側(一方面)は、冷却ロール側(他方面)よりも加硫されている度合いが高い。
この通気口遮断用防火シートには、その他、必要により、前記通気口遮断用防火シート形成用組成物中に配合されたような各種固形分等が含まれていてもよい。
【0046】
このようにして得られる通気口遮断用防火シートの厚さは、特に制限されないが、通常、0.4〜5.0mm厚、好ましくは0.5〜3.2mm厚程度(例:2mm厚)である。このような通気口遮断用防火シートの常温(15〜25℃)で測定した引張強度(試験方法:JIS R 3453)は、横方向すなわち幅方向で、通常3〜15MPa、好ましくは5〜10MPaであり、
密度(嵩密度、試験方法:ASTM F 39)は、通常800〜2000kg/m3、好ましくは1000〜1500kg/m3であり、
180℃で5分間加熱した場合の膨張倍率が通常1.2倍以上、好ましくは1.4倍以上であり、
350℃で5分間加熱した場合の膨張倍率が通常、18倍以上、好ましくは20〜25倍であり、
1000℃で5分間保持しても、シートが崩壊せず、その形状が実質上保持されることが望ましい。
【0047】
上記嵩密度が800kg/m3より小さいとシートの膨張倍率は大きくなるが、通気口遮断用防火シートとしての形状保持性が損なわれることがあり、また2000kg/m3を超えると火災時に膨張が妨げられる恐れがある。またシート強度が、3MPaより小さいと膨張倍率は大きくなる傾向があるが、形状保持性が損なわれる恐れがあり、また15MPaより大きくなると膨張が妨げられる恐れがある。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、火災時の膨張倍率が高く、形状保持性などに優れ、火災時には120〜180℃程度の温度で熱膨張開始し、例えば、350℃では、高倍率にシートの厚み方向に膨張して通気口を閉鎖し煙を遮断し酸素供給をストップさせることができ、火災時の屋内温度である1000℃の温度である程度の時間晒されても形状保持できる通気口遮断用防火シートを低コストで製造し得る通気口遮断用防火シート形成用組成物、該組成物から得られた通気口遮断用防火シートが提供される。
【0049】
また本発明によれば、上記のような通気口遮断用防火シートを低コストで効率よく製造し得るような該シートの製造方法が提供される。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。試験方法等は以下の通り。
<試験方法と用語の意義>「試料」試料は、厚さ2.0mm±0.1mmの通気口遮断用防火シートの端から150mm幅に切り取って調製する。
【0051】
「試料の標準状態」
以下の各試験で、「標準状態の試料」とは、100℃±2℃に保ったギヤ式老化試験機又はこれに準じた高温槽に試料を入れ、60分間保持した後取り出し、デシケーター中で室温まで放冷したものをいう。引張強さ、密度試験は、全て標準状態の試料を用いて行う。なお、試験場所の標準状態については、試験温度25±5℃とする。
【0052】
「引張試験の方法」
JIS R 3453準拠
試験片は、繊維の配向方向であるシート送り出し方向に対して直角な方向(シート幅方向)から3個とり、ダンベル1号形に打ち抜く。但し、試験時の引張速さは、300±25mm/minとする。引張強度は、試験片3個について測定した平均値を以て表す。
【0053】
引張強さ=荷重/(厚さ×幅)
「密度」
ASTM F 39準拠
試験片は、任意の部位から3個用意し、50mm角で打ち抜く。密度は、試験片3個について測定した平均値を以て表す。
【0054】
密度=重量/体積
「熱膨張開始温度」
試験片は、任意の部位から3個用意し、50mm角で打ち抜く。熱膨張開始温度は、試験片3個について測定した平均値を以て表す。
熱膨張開始温度は、150±2℃に保ったギヤ式老化試験機又はこれに準じた高温槽に試料を入れ、5分間保持した後取り出し、ノギスにて試料の最大厚さを測定することにより求める。上記温度での加熱しても試料の厚みに変化のない場合は10℃づつ試験温度を上昇させる。
【0055】
膨張開始温度=膨張を始めた温度
「180℃膨張倍率」
試験片は、3個用意し、50mm角で打ち抜く。180℃膨張倍率は、試験片3個について測定した平均値を以て表す。
180℃膨張倍率は、180℃±2℃に保ったギヤ式老化試験機又はこれに準じた高温槽に試料を入れ、5分間保持した後取り出し、ノギスにて試料の最大厚さを測定して、下記式により求める。
【0056】
180℃膨張倍率=試験後厚さ/試験前厚さ
「350℃膨張倍率」
試験片は、3個用意し、50mm角で打ち抜く。350℃膨張倍率は、試験片3個について測定した平均値を以て表す。
350℃膨張倍率は、350℃±2℃に保ったギヤ式老化試験機又はこれに準じた高温槽に試料を入れ、5分間保持した後取り出し、ノギスにて試料の最大厚さを測定して、下記式により求める。
【0057】
350℃膨張倍率=試験後厚さ/試験前厚さ
「1000℃形状保持」
試験片は、3個用意し、50mm角で打ち抜く。1000℃形状保持性は、試験片3個について測定した平均値を以て表す。
1000℃形状保持性は、1000℃±2℃に保ったギヤ式老化試験機又はこれに準じた高温槽に試料を入れ、5分間保持した後取り出し、その取り出し時に試料が崩れないことを確認することで測定する。
【0058】
1000℃形状保持=試料取り出し時に崩れナキこと
【0059】
【実施例1】
<通気口遮断用防火シート形成用組成物の調製>
以下の組成を有する通気口遮断用防火シート形成用組成物を調製した(表1参照)。
Figure 0004628512
得られた組成物を120℃に保たれた加熱ロールと30℃以下に保たれた冷却ロールとの間に挿入して加熱圧延した。この際、冷却ロール表面にトルエンを散布したところ、冷却ロール表面への該組成物の付着は防止され、熱ロール側にシート状に積層(巻回)された。
【0060】
このシート状物を熱ロールからドクターブレードにより剥離して、厚さ2.0mmでタテ381cm×ヨコ127cmの通気口遮断用防火シートを得た。
次に得られた通気口遮断用防火シートの各種特性を上記のような方法で測定した。
得られた通気口遮断用防火シートの熱膨張開始温度は、180℃であり、膨張倍率は1.5倍(180℃/5分)であり、最終膨張倍率は20倍(350℃)であり、形状保持性は「崩れ無し」(1000℃/5分)であり、密度(ASTM F 39に準拠)は1200kg/m3であり、引張強度は、ヨコ方向で5.4MPaであった。
【0061】
結果を併せて表1に示す。
【0062】
【比較例1】
実施例1において、通気口遮断用防火シート形成用組成物の配合組成を表1に変え、また特許第2595163号公報の実施例に記載の押出製法すなわち、押出機を用いて該組成物をシート状に一旦押出した後、次いで乾燥・加硫・プレスを行うことによりシートを製造した以外は、実施例1と同様にして、通気口遮断用防火シートを作製し、試験した。
【0063】
得られた通気口遮断用防火シートは実施例1の場合の1.6倍のコストを要し、その熱膨張開始温度は、180℃であり、膨張倍率は1.5倍(180℃/5分)であり、最終膨張倍率は20倍(350℃)であり、形状保持性は崩れ無し(1000℃/5分)であり、密度は1300kg/m3であり、引張強度は、ヨコ方向で2.1MPaであった。
【0064】
結果を表1に併せて示す。
<通気口遮断用防火シート形成用組成物の配合組成>
Figure 0004628512
【0065】
【比較例2】
比較例1において、シートの製法を実施例1と同様にした以外は、比較例1と同様にして、通気口遮断用防火シートを作製し、試験した。
得られた通気口遮断用防火シートは実施例1の約2倍のコストを要し、その熱膨張開始温度は、190℃であり、180℃/5分では、「膨張無し」となり、190℃/5分での膨張倍率は1.25倍(190℃/5分)であり、最終膨張倍率は16倍(350℃)であり、形状保持性は崩れ無し(1000℃/5分)であり、密度は1460kg/m3であり、引張強度は、ヨコ方向で15.0MPaであった。
【0066】
結果を表1に併せて示す。
<通気口遮断用防火シート形成用組成物の配合組成>
Figure 0004628512
【0067】
【比較例3】
特許第2538509号の実施例2に記載の方法に準じて、下記組成の通気口遮断用防火シート形成用組成物を用いて実施例1と同様なカレンダー製法にて通気口遮断用防火シートを作製した。
得られた通気口遮断用防火シートを用いて、上記実施例1と同様に各種物性の試験を行った。
【0068】
得られた通気口遮断用防火シートは実施例1の場合の約1.6倍のコストを要し、その熱膨張開始温度は、210℃であり、180℃で5分間加熱したところ「膨張なし」となり、210℃で5分間加熱したこところ膨張倍率は1.5倍であり、最終膨張倍率は、4倍(350℃)であり、形状保持性は「崩れ無し」(1000℃/5分)であり、密度は1800kg/m3であり、引張強度は、ヨコ方向で7.3MPaであった。
【0069】
結果を表1に併せて示す。
<通気口遮断用防火シート形成用組成物の配合組成>
Figure 0004628512
<製法>
上記配合組成の通気口遮断用防火シート形成用組成物を用い、カレンダー製法により通気口遮断用防火シートを作製した。
【0070】
シートの嵩密度:1.7g/cm3、厚さ1.5mm。
【0071】
【表1】
Figure 0004628512

【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、換気用空気通路に配設された本発明の通気口遮断用防火シートを示し、図1(B)は、火災が発生し、シート面に垂直な方向に該通気口遮断用防火シートが膨張し、換気用空気通路を完全に閉塞した状態の通気口遮断用防火シートを示す。
【符号の説明】
1・・・・・天井支持金具
2・・・・・換気口
3、4・・・・・折曲突リブ
5・・・・・天井板
6・・・・・換気用空気通路
7・・・・・壁面
9・・・・・本発明の通気口遮断用防火シート
9A・・・・・膨張した本発明の通気口遮断用防火シート

Claims (7)

  1. (i)シートを製造した場合に、1000℃±2℃の温度で5分間保持後に、崩れないような耐熱性有機繊維と、120〜180℃の温度で溶融する低融点有機繊維とからなる有機繊維またはそれらよりなる有機繊維基材と、(ii)無機繊維またはそれよりなる無機繊維基材と、(iii)充填材と、(iv)ゴム材と、(v)ゴム薬品と、(vi)膨張性黒鉛と、(vii)溶剤とを含有する組成物であって、
    上記耐熱性有機繊維が、アラミド繊維、フェノール樹脂繊維またはポリイミド繊維であり、
    上記耐熱性有機繊維が1〜4重量%の量で、低融点有機繊維が5〜20重量%の量で、無機繊維またはそれよりなる無機繊維基材が5〜25重量%の量で、および膨張性黒鉛が10〜25重量%の量(但し上記の各成分量は該組成物中から溶剤を除いたものを100重量%とする。)で含まれていることを特徴とする通気口遮断用防火シート形成用組成物。
  2. 上記低融点有機繊維が、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維またはポリ塩化ビニル繊維である請求項1に記載の通気口遮断用防火シート形成用組成物。
  3. (i)シートを製造した場合に、1000℃±2℃の温度で5分間保持後に、崩れないような耐熱性有機繊維と、120〜180℃の温度で溶融する低融点有機繊維とからなる有機繊維またはそれらよりなる有機繊維基材と、(ii)無機繊維またはそれよりなる無機繊維基材と、(iii)充填材と、(iv)ゴム材と、(v)ゴム薬品と、(vi)膨張性黒鉛とを含有するシートであって、
    上記耐熱性有機繊維が、アラミド繊維、フェノール樹脂繊維またはポリイミド繊維であり、
    上記耐熱性有機繊維が1〜4重量%の量で、低融点有機繊維が5〜20重量%の量で、無機繊維またはそれよりなる無機繊維基材が5〜25重量%の量で、および膨張性黒鉛が10〜25重量%の量で含まれていることを特徴とする通気口遮断用防火シート。
  4. 上記ゴム材の少なくとも一部は、加硫されている請求項に記載の通気口遮断用防火シート。
  5. 上記低融点有機繊維が、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維またはポリ塩化ビニル繊維である請求項の何れかに記載の通気口遮断用防火シート。
  6. 上記請求項1〜の何れかに記載の通気口遮断用防火シート形成用組成物を、熱ロールと冷却ロールとを有するシーター装置にて成形してなる請求項の何れかに記載の通気口遮断用防火シート。
  7. 請求項1〜の何れかに記載の通気口遮断用防火シート形成用組成物を、熱ロールと冷却ロールとから成るロール間で加熱圧延して通気口遮断用防火シートを製造することを特徴とする通気口遮断用防火シートの製造方法。
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