JP6708426B2 - 転写加飾用基体フイルム - Google Patents

転写加飾用基体フイルム Download PDF

Info

Publication number
JP6708426B2
JP6708426B2 JP2016023305A JP2016023305A JP6708426B2 JP 6708426 B2 JP6708426 B2 JP 6708426B2 JP 2016023305 A JP2016023305 A JP 2016023305A JP 2016023305 A JP2016023305 A JP 2016023305A JP 6708426 B2 JP6708426 B2 JP 6708426B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
transfer
film
base film
decorative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016023305A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016153229A (ja
Inventor
歩夢 中原
歩夢 中原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gunze Ltd
Original Assignee
Gunze Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Gunze Ltd filed Critical Gunze Ltd
Publication of JP2016153229A publication Critical patent/JP2016153229A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6708426B2 publication Critical patent/JP6708426B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Decoration By Transfer Pictures (AREA)

Description

本発明は転写加飾用基体フイルムに関する。
自動車装品、雑貨品等の成型品の素地に、種々の文字や絵柄を加飾することにより、意匠性を付与する。これら三次元立体形状等の複雑な表面形状を有する成型品の素地に対しては、真空成型法、射出成型法等により、加飾層を成型品の素地に転写させて加飾する。本明細書では、その転写される加飾層を有する加飾フイルムを「転写加飾フイルム」という。
真空成型法では、真空チャンバー内で、(i)転写加飾フイルムを加熱して軟化させ、展延させて、また、(ii)成型品の素地側(転写加飾フイルムの加飾層が転写される側、貼り付けられる側)の空間を減圧し、必要に応じ反対側の空間を加圧して、(iii)次いで、その転写加飾フイルムを成型品の素地の三次元立体形状に沿って成型(貼り付ける)し、(iv)次いで、成型品の素地に加飾層を残して転写加飾用基体フイルムを剥がす。
従来、真空成型法に用いられる転写加飾フイルムの基体(基材)として、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、アクリル樹脂等を用いたフイルムが使用されている(特許文献1)。しかし、加飾層の基体としてPET、アクリル樹脂等のフイルムを用いると、(i)真空成型法で転写加飾フイルムを成型品の素地に転写する際に、成型品の素地の三次元立体形状に対して、転写加飾フイルムの追従性が不十分であったり、(ii)真空成型後、転写加飾フイルムが転写された成型品から転写加飾フイルムの基体を剥がす際に、絵柄層等の加飾層の一部がその基体フイルムに残り転写が完全でなかったりする等、加工性の点で問題が有った。
また、真空成型法では、転写加飾フイルムを展延するために熱をかける処理が有る。この熱処理では、転写加飾フイルムを170℃程度の高温を供した後で成型を行うことから、次工程の製品の加飾をする際には、一度室温まで冷却する必要が有る。そして、この冷却処理には時間がかかるという課題があった。
従って、真空成型法により加飾成型品を製造する技術には、転写加飾フイルムの成型品に対する追従性が良いこと(真空成型性)と、転写された成型品から転写加飾フイルムの基体を剥がし易いこと(基体フイルム剥離性)、比較的低温(100℃程度)で成型が実施できること(低温成型性)を備える、転写加飾用基体フイルムの開発が望まれている。
特開2011-88420号公報
本発明は、真空成型法により加飾成型品を製造する技術において、成型品に転写された加飾層を残して転写加飾用基体フイルムが剥離し易いこと(剥離性)、比較的低温(100℃程度)で成型が実施できること(低温成型性)を備える、転写加飾用基体フイルムを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、転写加飾用基体フイルムは特定の範囲のメソペンタッド分率を有するポリプロピレン系樹脂(以下、「PP系樹脂」とも記す)を含むことで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の転写加飾用基体フイルムを提供する。
項1. 13C-NMRスペクトルにより測定されるメソペンタッド分率が50〜90%であるポリプロピレン系樹脂を含む層(A層)を少なくとも一層有することを特徴とする転写加飾用基体フイルム。
項2. 更に、13C-NMRスペクトルにより測定されるメソペンタッド分率が90〜99%であるポリプロピレン系樹脂を含む層(B層)を有し、該B層が前記A層に隣接していることを特徴とする前記項1に記載の転写加飾用基体フイルム。
項3. 転写加飾用基体フイルムが少なくとも前記A層及びB層を有し、A層/B層/A層の順で3層構成からなることを特徴とする前記項2に記載の転写加飾用基体フイルム。
本発明の転写加飾用基体フイルムは、真空成型法により加飾成型品を製造する技術において、転写加飾用基体フイルムを含む転写加飾フイルムの成型品に対する追従性が良いこと(真空成型性)と、成型品に転写された加飾層と転写加飾用基体フイルムが剥離し易いこと(基体フイルム剥離性)、比較的低温(100℃程度)で成型が実施できること(低温成型性)とを備える。
本発明の転写加飾用基体フイルムの一例の模式断面図である。 剥離強度試験の概要を示す図である。
本発明の転写加飾用基体フイルムは、特定の範囲のメソペンタッド分率を有するポリプロピレン系樹脂(PP系樹脂)を含むことを特徴とする。
転写加飾用基体フイルムは、三次元立体形状等の複雑な表面形状を有する成型品の素地に対して、真空成型法(三次元真空成型法)により加飾成型品を製造する技術において、好ましく用いるフイルムである。
以下、転写加飾用基体フイルムを構成する各層等について説明する。
(1)転写加飾用基体フイルム
本発明の転写加飾用基体フイルムは、13C-NMRスペクトルにより測定されるメソペンタッド分率が50〜90%であるポリプロピレン系樹脂(PP系樹脂)を含むA層を少なくとも一層有することを特徴とする。また、本発明の転写加飾用基体フイルムは、前記A層に対して、13C-NMRスペクトルにより測定されるメソペンタッド分率が90〜99%であるPP系樹脂を含む層(B層)が隣接していることが好ましい。更に、本発明の転写加飾用基体フイルムは、その一方の面側に加飾層を有して、転写加飾フイルムを形成することが好ましい。
メソペンタッド分率(mmmm)
本発明において、メソペンタッド分率(mmmm)(%)は、13C-NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を示している。具体的には、プロピレン単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるメチル基に由来する吸収強度(Pmmmm)のプロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度4(Pw)に対する比、即ち〔(Pmmmm)/(Pw)〕として求められる値である。ポリプロピレンの立体規則性を表す指標であり、この数値が大きいほど立体規則性が高いことを示す。
A層
真空成型法により成型品に転写加飾フイルムを貼り付けた後、加飾層を残して、転写加飾用基体フイルムを剥がす際に、転写加飾用基体フイルムに加飾層が残らず、加飾層から転写加飾用基体フイルムを綺麗に剥離できることが重要となる。
転写加飾用基体フイルムのA層に含まれるPP系樹脂のメソペンタッド分率が50%以上であることにより、良好な展延性を示し、全方向に均等に拡張される。そして、転写加飾用基体フイルムを含む転写加飾フイルムを用いて、真空成型法により加飾成型品を製造する技術において、転写される転写加飾フイルムの成型品に対する追従性(真空成型性)が良い。
A層に含まれるPP系樹脂のメソペンタッド分率が90%以下であることにより、良好な粘着性を保持できる。そして、転写加飾フイルムの加飾層が転写された成型品から、転写加飾フイルムの加飾層を残して、転写加飾用基体フイルムを剥がし易く、転写加飾用基体フイルムの剥離性も両立できる。
A層に含まれるPP系樹脂のメソペンタッド分率は60〜87%程度が好ましく、70〜85%程度がより好ましい。
A層に係るPP系樹脂は、メソペンタッド分率が上記範囲となるよう調整することができるものであれば、プロピレンの単独重合体であっても良く、プロピレンと他の1種以上のモノマーとの共重合体であっても良い。共重合体の場合、ランダム共重合体であっても良いし、ブロック共重合体であっても良い。他のモノマーの共重合量に関係なく使用できるが、他のモノマーの共重合量が10wt%以下であるPP系樹脂が望ましい。
A層で好ましく用いられるPP系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体が挙げられる。中でも、プロピレン単独重合体がより好ましい。また、これらの重合体をブレンドして用いてもよい。
前記α-オレフィンの具体例としては、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、メチルエチル-1-ブテン、1-オクテン、メチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ヘキセン、プロピル-1-ヘプテン、メチルエチル-1-ヘプテン、トリメチル-1-ペンテン、プロピル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン等を挙げることができる。
A層で使用するPP系樹脂のメソペンタッド分率を上述の範囲に調整する方法としては、樹脂成分として、メソペンタッド分率が上述の範囲であるPP系樹脂を単独で用いる方法や、異なるメソペンタッド分率を示す2種以上のPP系樹脂を任意の配合比率で混合して樹脂成分を調製し、当該樹脂成分のメソペンタッド分率を上述の範囲となるように調整する方法が挙げられる。
A層で使用するPP系樹脂は、230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.5〜30g/10分程度が好ましく、0.5〜20g/10分程度がより好ましく、0.5〜10g/10分程度が更に好ましいMFRが上記範囲のPP系樹脂は、フイルム用途として好適である。
その他の層(B層)
転写加飾用基体フイルムは、成型品に転写される加飾層を設けない側に他の層を設けることができる。加飾成型品作成工程では、例えば真空チャンバー内で熱処理が施されるが、その熱に対する寸法安定性(耐熱性)を付与するのを目的とする場合や転写加飾用基体フイルムに剛性を付与し取扱いやすく(作業性)するのを目的とする場合などに他の層(B層)をさらに設けることができる。
B層は、熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、本発明の目的を達成するためには、PP系樹脂を含むことが好ましい。
B層で用いられるPP系樹脂は、13C-NMRスペクトルにより測定されるメソペンタッド分率が90〜99%のものが好ましい。B層に含まれるPP系樹脂のメソペンタッド分率が90%以上であることにより、加飾成型品作成工程での熱処理に対し、優れた寸法安定性を付与することができる。
メソペンタッド分率の詳細は、前記A層の項で記した通りである。
B層に含まれるPP系樹脂も、前記A層と同じ様に、メソペンタッド分率が上記範囲となるよう調整することができるものであれば、プロピレンの単独重合体等で良い。そして、PP系樹脂のメソペンタッド分率を上述の範囲に調整する方法も、前記A層と同じ様に、樹脂成分として、メソペンタッド分率が上述の範囲であるPP系樹脂を単独で用いる方法等で良い。
B層で使用するPP系樹脂は、230℃、荷重21.18Nの条件で測定したMFRが0.5〜30g/10分程度が好ましく、0.5〜20g/10分程度がより好ましく、0.5〜10g/10分程度が更に好ましいMFRが上記範囲のPP系樹脂は、フイルム用途として好適である。
転写加飾用基体フイルムの層構成
転写加飾用基体フイルムは、前記メソペンタッド分率が50〜90%であるPP系樹脂を含むA層を少なくとも一層有することにより、つまり層構成がA層の単層構成であっても、真空成型法により加飾成型品を製造する技術において、転写加飾フイルムの成型品に対する追従性が良く、また成型品に転写された加飾層と転写加飾用基体フイルムが剥離し易く、更に比較的低温で成型が実施できる。
転写加飾用基体フイルムは、真空成型性、基体フイルム剥離性、低温成型性等の点から、前記A層に加えて、前記メソペンタッド分率が90〜99%であるポリプロピレン系樹脂を含むB層を有し、該B層が前記A層に隣接していることが好ましい。
転写加飾用基体フイルムは、前記層構成に加えて、少なくとも前記A層及びB層を有し、両面がA層からなることが好ましい。転写加飾用基体フイルムは、例えばA層/B層/A層の順で3層構成からなることが好ましい。転写加飾用基体フイルムは、両面がA層の3層構成となることで、前記効果に加えて、転写加飾用基体フイルムのカールを効果的に低減できる。
転写加飾用基体フイルムの厚み
転写加飾用基体フイルムの厚みは、50〜300μm程度が好ましく、80〜200μm程度がより好ましく、100〜180μm程度が更に好ましい。転写加飾用基体フイルムの厚みが50〜300μm程度であることで、成型品への追従性が良いという効果を奏する。ここで転写加飾用基体フイルの厚みとは、転写加飾用基体フイルムがA層のみからなる場合はA層の厚みを、A層とB層とからなる場合はA層及びB層を合わせた総厚みのことをいう。
転写加飾用基体フイルムがA層とB層とからなる場合、総厚みに対するB層の厚みの比率は、30〜95%程度が好ましく、50〜95%程度がより好ましい。転写加飾用基体フイルムの総厚みに対するB層の厚みの比率が30〜95%程度であることで、熱に対する寸法安定性がより効果的に発現する。
例えば、転写加飾用基体フイルムがA層とB層とからなる場合、A層の厚みは10〜70μm程度が好ましく、20〜50μm程度がより好ましい。B層の厚みは80〜150μm程度が好ましい100〜130μm程度が好ましい。
また、本発明の転写加飾用基体フイルムは、押出成形する際のドローダウンや偏肉改善を目的として、添加剤を添加することができる。添加剤として、HAO-LLDPE(宇部丸善ポリエチレン社製 ユメリット)やPTFE(三菱レイヨン社製メタブレン)、カネカ社製のPP加工性改良材料等が用いられる。添加剤の添加量は特に限定しないが、物性及び取扱い上の観点から20%以下が好ましい。
本発明の転写加飾用基体フイルムは、特定のメソペンタッド分率を有するPP系樹脂を含むA層を少なくとも一層有することを特徴とする。図1に、本発明の転写加飾用基体フイルムの一例として、前記A層に対して、特定のメソペンタッド分率を有するPP系樹脂を含む層(B層)が隣接している態様の模式断面図を示す。
(2)転写加飾フイルム
前記転写加飾用基体フイルムの一方の面に、コーティング層、印刷層及び粘着層からなる加飾層をもうけることで転写加飾フイルムとすることができる。
(3)転写加飾用基体フイルムの製造方法
本発明の転写加飾用基体フイルムは、特定のメソペンタッド分率を有するPP系樹脂を押出成形して製造することができる。具体的には、単層構成の場合には、A層用樹脂組成物をバレル温度180〜240℃に調整された押出機に供給し、180〜240℃のTダイからフイルム状に押出し、30〜70℃の冷却ロールにより冷却固化させ実質的に無延伸で引き取ることにより製造することができる。また、多層構成の場合には、A層用樹脂組成物及びB層用樹脂組成物をそれぞれバレル温度180〜240℃に調整された各層用押し出し機に供給し、180〜240℃の多層Tダイからフイルム状に押出し、30〜70℃の冷却ロールで冷却固化させ実質的に無延伸で引き取ることにより製造できる。
(4)剥離性及び低温成型性
転写加飾用基体フイルムを含む転写加飾フイルムを用いて、その粘着層側を成型品に貼り付けて、真空成型法(三次元真空成型法)により加飾成型品を製造することができる。この製造技術において、生産性を向上させるためには真空成型時の加熱温度は、90〜110℃程度の比較的低温であることが好ましい。
成型品は意匠性を付与する製品であり、真空成型法(三次元真空成型法)により、転写加飾用基体フイルムを含む転写加飾フイルムが転写可能なものであれば良い。成型品として、自動車装品、雑貨品等を使用することができる。
本発明の転写加飾用基体フイルムは、その低温の加熱温度で良好な伸度を有する。つまり、転写加飾用基体フイルムは、真空成型時の成型品に対する追従性(凹凸追従性)が良好である。成型品に対して、転写加飾用基体フイルムを用いると、低温条件での真空成型法により、転写加飾用基体フイルムを含む転写加飾フイルムを三次元形状に沿って貼り付けることができる。低温で真空成型できることから、加飾成型品の生産効率を高めることに繋がる。
加飾成型品は、真空成型法により成型品に転写加飾フイルムを貼り付けた後、転写加飾フイルムの加飾層を残して、転写加飾用基体フイルムを剥がすことにより、作製することができる。加飾成型品は、成型品の素地に、粘着層、印刷層及びコーティング層(粘着層、印刷層及びコーティング層は加飾層を構成する)が順に積層される。
本発明の転写加飾用基体フイルムは、真空成型法により成型品に転写加飾フイルムを貼り付けた後、加飾層を残して、転写加飾用基体フイルムを剥がす際に、転写加飾用基体フイルム(A層)にコーティング層の一部が残らず、加飾層から転写加飾用基体フイルムを綺麗に剥離することができる。これにより、自動車装品、雑貨品等の成型品の素地に、種々の文字や絵柄を加飾することにより、意匠性を付与することができる。
本発明の転写加飾用基体フイルムは、真空成型法により加飾成型品を製造する技術において、良好な真空成型性と良好な基体フイルム剥離性とを備える。
以下に、本発明を、実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(1)使用成分
表中の略語は次の意味を示す。
・PP-1:プライムポリマー社製 プライムTPO E-2900 メソペンタッド分率75%
・PP-2:プライムポリマー社製 プライムTPO F-3900 メソペンタッド分率75%
・PP-3:サンアロマー社製 PC412 メソペンタッド分率95%
・PP-4:サンアロマー社製 PC630A メソペンタッド分率90%
・PET:東洋紡社製 ソフトシャイン
・アクリル:三菱レイヨン社製 アクリプレン
(2)メソペンタッド分率(%)(mmmm分率)の測定
PP系樹脂について、13C-NMRを使用して、測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の存在割合を測定した。具体的には、プロピレン単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるメチル基に由来する吸収強度(Pmmmm)を測定し、また、プロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度4(Pw)を測定し、〔(Pmmmm)/(Pw)〕を求めて、メソペンタッド分率(%)とした。
(3)転写加飾用基体フイルムの作製
実施例1(単層)
PP-1を、180〜240℃に調整されたスクリュー式押出機に供給し、次いで180〜240℃でTダイからフイルム状に押出した。次いでこれを30〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して、実質的に無延伸の状態で巻き取って、転写加飾用基体フイルムを調製した。
転写加飾用基体フイルムの厚みは150μmである(表1)。
実施例2(混合樹脂の単層)
PP-1を60重量%、PP-3を40重量%とする混合樹脂を、180〜240℃に調整されたスクリュー式押出機に供給し、次いで180〜240℃でTダイからフイルム状に押出した。次いでこれを30〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して、実質的に無延伸の状態で巻き取って、転写加飾用基体フイルムを調製した。
混合樹脂のメソペンタッド分率は83%である。転写加飾用基体フイルムの厚みは150μmである(表1)。
比較例1〜4
表2に記載の単層の条件で、実施例1と同様に処理して、転写加飾用基体フイルムを調製した。
実施例3(A層及びB層を含む複層)
PP-1(A層用樹脂)及びPP-3(B層用樹脂)を、スクリュー式押出機に供給し、次いで180〜240℃で多層Tダイからフイルム状に押出した。次いでこれを30〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して、実質的に無延伸の状態で巻き取って、転写加飾用基体フイルムを調製した。
転写加飾用基体フイルムのA層(表面層)の厚みは50μmであり、B層(裏面層)の厚みは100μmであり、各層の比率は表面層:裏面層=1:2である。転写加飾用基体フイルムの総厚みは150μmである(表3)。
実施例4〜8(A層及びB層を含む複層)及び比較例5
表3及び4に記載のA層(表面層)及びB層(裏面層)の条件で、実施例3と同様に処理して、転写加飾用基体フイルムを調製した。
実施例9(A層/B層/A層の複層)
PP-1(A層用樹脂)及びPP-3(B層用樹脂)を、スクリュー式押出機に供給し、次いで180〜240℃で多層Tダイからフイルム状に押出した。次いでこれを30〜70℃の冷却ロ−ルに通しながら冷却して、実質的に無延伸の状態で巻き取って、転写加飾用基体フイルムを調製した。
転写加飾用基体フイルムのA層(表面層及び裏面層)の厚みは夫々15μmであり、B層(中間層)の厚みは120μmである。転写加飾用基体フイルムは、A層/B層/A層の順で3層構成からなり、各層の比率は表面層:中間層:裏面層=1:8:1であり、総厚みは150μmである(表5)。
実施例及び比較例の転写加飾用基体フイルムを用いて、次の評価を行った。
(4)評価試験
破断伸度(%)
引張試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAG-X500N)を表中の温度(90℃及び110℃)に設定した。転写加飾用基体フイルムのサンプルを幅10mm・長さ50mm・標線間距離40mmにカットし、200mm/minの速度で引張試験した際の破断伸度を測定した。
表中、MDは転写加飾用基体フイルムを作製した時の樹脂の流れ方向の破断強度を示し、TDは転写加飾用基体フイルムを作製した時の樹脂の幅方向の破断強度を示す。
これは、真空成型時の転写加飾用基体フイルムの成型品に対する凹凸追従性を確認する試験である。表中の90℃及び110℃は真空成型時の加熱温度であり、その温度で600%以上の破断伸度を有すれば、真空成型法において優れた転写加飾用基体フイルムである。
真空成型時の加熱温度が90〜110℃程度であることは、低温での真空成型を意味する。よって、転写加飾用基体フイルムがその温度で破断伸度が良好であれば、低温条件の真空成型法で、成型品に対する追従性(凹凸追従性)が良好といえる。成型品に対して、低温条件で三次元真空成型により加飾層を貼り付けることができ、加飾成型品の生産効率を高めることができる。
剥離強度
図2に剥離強度試験の概要を示す。転写加飾用基体フイルムのサンプルに市販のテープ(NITTOテープ No.31D 幅15mm 厚み50μm)を加圧ロールにて1Kg/cm2の圧力で貼った。図2では粘着テープである。次いでテープを貼った位置が中央になるように転写加飾用基体フイルムのサンプルを幅30mm 長さ140mmにカットした。次いでカットした転写加飾用基体フイルムのサンプルを引張試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAG-X500N)にセットした。次いで、サンプルを1000mm/minの速さで180℃剥離試験を行った。
図2では、転写加飾用基体フイルムが取り付けられたチャック1と粘着テープが取り付けられたチャック2とを反対方向に引っ張り、転写加飾用基体フイルムと粘着テープとを剥離させた。
これは、加飾成型後の転写加飾用基体フイルムの剥離性を確認する試験である。上記試験の条件では、表中の剥離強度が6N未満であれば、転写加飾用基体フイルムに粘着テープの一部がくっ付いていないこととなり、良好な剥離性を有する。剥離強度は、上記試験の条件では、3〜5.8N程度の範囲であることが好ましく、3.5〜5.8Nの範囲であることがより好ましい。
この良好な剥離性は、真空成型法により成型品に転写加飾フイルムを貼り付けた後、転写加飾フイルムから、加飾層を残して、転写加飾用基体フイルムを剥がす際に、加飾層中のコーティング層等が剥離されず、転写加飾用基体フイルムを綺麗に剥離することを意味する。
評価試験の結果を表1〜5に示す。
Figure 0006708426
Figure 0006708426
Figure 0006708426
Figure 0006708426
Figure 0006708426
実施例1〜9の転写加飾用基体フイルムは、90℃及び110℃での破断伸度が600%以上であり、真空成型時の加熱温度を想定した90〜110℃程度で良好な伸度を有することがわかる。実施例1〜9の転写加飾用基体フイルムは、低温条件の真空成型時の成型品に対する追従性(凹凸追従性)が良好である。この転写加飾用基体フイルムを用いると、加飾成型品の生産効率を高めることができる。
実施例1〜9の転写加飾用基体フイルムは、剥離強度が6N未満であり、転写加飾用基体フイルムに粘着テープの一部がくっ付かないことがわかる。実施例1〜9の転写加飾用基体フイルムは、良好な剥離性を有する。この転写加飾用基体フイルムを用いると、真空成型法により成型品に転写加飾フイルムを貼り付けた後、転写加飾用基体フイルムを綺麗に剥離することができる。
本発明の転写加飾用基体フイルムは、真空成型法により加飾成型品を製造する技術において、良好な真空成型性と良好な基体フイルム剥離性とを備える。
比較例1、2及び5の転写加飾用基体フイルムは、PP系樹脂のメソペンタッド分率が本発明の範囲から外れる態様である。比較例1、2及び5は剥離強度が良好でなかった。
比較例3及び4の転写加飾用基体フイルムは、PP系樹脂以外を用いた態様である。比較例3及び4は、低温条件(90℃)で破断伸度が良好でなく、低温条件の真空成型に好ましくないことがわかる。比較例3及び4は、破断伸度が良好でなく、この点で本発明の効果を満たしていないため、剥離強度の評価を行っていない。

Claims (3)

13C-NMRスペクトルにより測定されるメソペンタッド分率が6087%であるポリプロピレン系樹脂を含む層(A層)を少なくとも一層有することを特徴とする転写加飾用基体フイルム。
更に、13C-NMRスペクトルにより測定されるメソペンタッド分率が90〜99%であるポリプロピレン系樹脂を含む層(B層)を有し、該B層が前記A層に隣接していることを特徴とする請求項1に記載の転写加飾用基体フイルム。
転写加飾用基体フイルムが少なくとも前記A層及びB層を有し、A層/B層/A層の順で3層構成からなることを特徴とする請求項2に記載の転写加飾用基体フイルム。
JP2016023305A 2015-02-16 2016-02-10 転写加飾用基体フイルム Active JP6708426B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015027662 2015-02-16
JP2015027662 2015-02-16

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016153229A JP2016153229A (ja) 2016-08-25
JP6708426B2 true JP6708426B2 (ja) 2020-06-10

Family

ID=56760817

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016023305A Active JP6708426B2 (ja) 2015-02-16 2016-02-10 転写加飾用基体フイルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6708426B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111098628A (zh) * 2019-12-27 2020-05-05 英狮科技(东莞)有限公司 一种具有立体效果的磁性热转印烫印膜及其制备工艺

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55135693A (en) * 1979-04-10 1980-10-22 Toyo Alum Kk Transfer printing material and its manufacture
JPH09226297A (ja) * 1996-02-22 1997-09-02 Idemitsu Petrochem Co Ltd 転写フィルム・シート
JPH10180963A (ja) * 1996-10-29 1998-07-07 Toray Ind Inc 積層フィルムおよびその製造方法
JPH11192680A (ja) * 1998-01-06 1999-07-21 Toray Ind Inc ポリプロピレンフィルムおよびその製造方法
JP4270690B2 (ja) * 1999-11-30 2009-06-03 大日本印刷株式会社 化粧材、及び化粧材の製造方法
JP2001287324A (ja) * 2000-04-10 2001-10-16 Toppan Printing Co Ltd 化粧シート
JP3902122B2 (ja) * 2002-02-21 2007-04-04 旭化成ケミカルズ株式会社 建築材料
JP5141467B2 (ja) * 2008-09-22 2013-02-13 株式会社トッパン・コスモ 化粧シート
JP2010214917A (ja) * 2009-03-19 2010-09-30 Toppan Cosmo Inc 化粧シートおよびその製造方法
JP6256002B2 (ja) * 2012-10-17 2018-01-10 東レ株式会社 積層フィルム
JP6242580B2 (ja) * 2013-03-29 2017-12-06 出光ユニテック株式会社 複合成型体
JPWO2014192722A1 (ja) * 2013-05-30 2017-02-23 東レ株式会社 加飾成形用フィルムおよび加飾成形体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016153229A (ja) 2016-08-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2770054T3 (es) Composiciones poliméricas y artículos recubiertos por extrusión
JP2017066373A (ja) 加飾用シートおよび加飾用積層シート
CN101595177A (zh) 粘合剂及使用该粘合剂的层合体
JPWO2018151089A1 (ja) 積層体、成形体及び成形体の製造方法
CN112955308B (zh) 聚丙烯片材的制造方法
KR20150136609A (ko) 인몰드 성형용 라벨 및 이것을 사용한 라벨이 부착된 플라스틱 용기
JPWO2019123944A1 (ja) ポリオレフィン系樹脂フィルム
JP7372129B2 (ja) ポリプロピレン系多層シートおよびその製造方法
JP6708426B2 (ja) 転写加飾用基体フイルム
JP6754756B2 (ja) ポリオレフィン系伸縮性フィルム構造、積層体、及びその方法
US20200047382A1 (en) Laminate, decorative sheet, method for producing laminate, method for producing molded body, and molded body
CN107249836A (zh) 树脂制面板的生产方法
TW202313300A (zh) 半導體密封製程用熱塑性離型膜、及使用其之電子零件之製造方法
JP6846898B2 (ja) 加飾用シートおよび加飾用積層シート
KR20230042432A (ko) 열성형을 위한 이축-배향 폴리에틸렌 필름, 필름의 제조 공정, 이들의 용도, 열성형을 위한 공정 및 그 제품
JP6749771B2 (ja) 転写加飾用基体フィルム
WO2018157006A1 (en) Monoaxially or biaxially oriented polyolefin release film
KR20230098862A (ko) 폴리프로필렌 다층 시트
JP6370096B2 (ja) 接着性熱可塑性樹脂組成物、及びその製造方法、並びに該組成物を使用した積層体
JP2013154585A (ja) ポリオレフィン系積層成形用フィルム
JP6242351B2 (ja) ダイシング用基体フイルム、ダイシングフイルム、及びダイシング用基体フイルムの製造方法
JP2003147093A (ja) 熱成形用シート類、熱成形体および積層構造体
JP7329154B2 (ja) ポリプロピレン多層シート
WO2023204293A1 (ja) ベース部と表層部とを備えるポリマー成形体
JP2018024247A (ja) 加飾フィルムおよびそれを用いた加飾成形体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181205

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190918

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200422

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200521

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6708426

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250