JP2003147093A - 熱成形用シート類、熱成形体および積層構造体 - Google Patents

熱成形用シート類、熱成形体および積層構造体

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JP2003147093A
JP2003147093A JP2002243132A JP2002243132A JP2003147093A JP 2003147093 A JP2003147093 A JP 2003147093A JP 2002243132 A JP2002243132 A JP 2002243132A JP 2002243132 A JP2002243132 A JP 2002243132A JP 2003147093 A JP2003147093 A JP 2003147093A
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thermoforming
resin
sheet
sheets
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Kenichi Azuma
賢一 東
Koichi Yanase
幸一 柳瀬
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱成形後に表面に現れていた微細な凹凸不良
が改良された熱成形用シート類、ならびに、表面の微細
な凹凸不良の改良された熱成形体および積層構造体を提
供すること。 【解決手段】 複屈折測定により求められる配向度n
−n値が0.0002以上0.002以下である樹脂
層を有する熱成形用シート類、該熱成形用シート類を熱
成形することにより得られる熱成形体、および、該熱成
形体と、熱可塑性樹脂からなる基材とを貼合させて得ら
れる積層構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱成形用シート
類、熱成形体ならびに積層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車分野や家電分野で用いられる熱可
塑性樹脂の成形品、主に射出成形品において、成形品の
表面外観を向上させる手段として、透明シート類または
最表面層が透明である多層樹脂シート類を金型キャビテ
ィ側にセットして熱可塑性樹脂と貼合成形することによ
り射出成形品表面の光沢を向上させたり加飾する方法が
ある。一般的には、射出成形品の意匠形状が3次元的形
状の場合が多く、該透明シート類または該多層樹脂シー
ト類をそのまま金型キャビティ側にセットすることが困
難であるので、通常、事前に真空成形等の熱成形で意匠
形状に賦形した熱成形体を製造し、該熱成形体を金型キ
ャビティ側にセットして熱可塑性樹脂と貼合成形するこ
とにより射出成形品表面の光沢を向上させたり加飾する
ことが多い。
【0003】該透明シート類または該多層樹脂シート類
の透明層としては、高光沢外観と傷付き性能を両立する
ために、ポリメタクリル酸メチルを使用することが多か
ったが、最近になってポリメタクリル酸メチルよりも安
価で、環境保護の観点からリサイクル性に優れたポリオ
レフィン樹脂、中でもプロピレン重合体の使用が望まれ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来知られ
たポリメタクリル酸メチルやポリオレフィン樹脂からな
る熱成形用シート類は、表面に微細な凹凸不良のないも
のを用いて熱成形しても、得られる熱成形体の表面に微
細な凹凸不良が発生する問題があった。かかる状況下、
本発明の目的は、熱成形後に表面に現れていた微細な凹
凸不良が改良された熱成形用シート類、ならびに、表面
の微細な凹凸不良の改良された熱成形体および積層構造
体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、複屈折測定に
より求められる配向度n−n値が0.0002以上
0.002以下である樹脂層を有する熱成形用シート
類、該熱成形用シート類を熱成形することにより得られ
る熱成形体、および、該熱成形体と、熱可塑性樹脂から
なる基材とを貼合させて得られる積層構造体により、前
記課題を解決しようとするものである。なお、フィルム
とシートとは厚みにより区別されるが、本発明において
はこれらを合わせてシート類と総称する。以下、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の熱成形用シート類は、複
屈折測定により求められる配向度n−n値が0.0
002以上0.0020である樹脂層を有するものであ
る。配向度n −nはシート類の引き取り方向(MD
方向)の屈折率nと引きとり方向に直交する方向(T
D方向)の屈折率nの差である。これらの値は、シー
ト類の複屈折率測定により求めることができる。配向度
−nの値が大きいと、熱成形して得られた成形体
の表面に微小な凹凸が発生し、表面外観が劣る傾向にあ
り、該配向度は好ましくは0.0018以下である。配
向度n−nの値が小さすぎると、熱成形時にドロー
ダウンが著しく熱成形性に劣る傾向にあり、該配向度は
好ましくは0.0003以上である。
【0007】本発明の特定の配向度の樹脂層を構成する
樹脂は特に制限はなく、樹脂の種類にかかわらない。中
でも、ポリオレフィン樹脂またはアクリル樹脂が好まし
い。ポリオレフィン樹脂とは、オレフィンを付加重合し
て得られる熱可塑性樹脂であり、例えばプロピレン重合
体、エチレン重合体、1−ブテン重合体等が挙げられ、
好ましくはプロピレン重合体である。ここでいうプロピ
レン重合体は、プロピレンを重合して得られる重合体で
あり、プロピレン単独重合体樹脂、またはプロピレン
と、結晶性を失わない程度のプロピレン以外の炭素原子
数2〜12のα−オレフィン等との共重合体樹脂、およ
びそれらから選ばれる複数の樹脂であることが好まし
い。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−
ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1
−オクテン等が挙げられる。共重合体樹脂の場合、プロ
ピレン以外のモノマーから誘導される繰り返し単位の含
有量としては、エチレンの場合は10重量%以下、炭素
原子数4〜12のα−オレフィンの場合は30重量%以
下が好ましい。該プロピレン重合体として、より好まし
くはプロピレン単独重合体樹脂であり、さらに好ましく
はアイソタクチックペンタッド分率が0.95以上のプ
ロピレン単独重合体樹脂であり、特に好ましくはアイソ
タクチックペンタッド分率が0.97以上のプロピレン
単独重合体樹脂である。
【0008】該プロピレン重合体の製造方法は、特に限
定されるものではなく、気相重合法、溶媒重合法等が挙
げられるが、特に気相重合法が好ましい。重合に用いる
触媒としては、公知の種々の触媒を使用できるが、好ま
しくはチタン原子、マグネシウム原子およびハロゲン原
子を含有する固体触媒成分を用いて得られるマルチサイ
ト触媒、またはメタロセン錯体等を用いて得られるシン
グルサイト触媒が挙げられる。
【0009】また、本発明の特定の配向度の樹脂層を構
成する樹脂は、無機フィラー、熱可塑性エラストマーな
どの充填材を含有した樹脂組成物であっても良い。
【0010】本発明の特定の配向度の樹脂層からなるシ
ート類は、例えば、上記樹脂を押出機で溶融混練する工
程、該溶融物をダイリップより押出す工程、冷却ロール
にて冷却固化して製膜する工程からなる製造方法におい
て、ダイリップより押出す際の該溶融物の温度を通常よ
り高めの温度とし、また冷却ロールとしていわゆるフレ
ックスロールを用いることにより製造される。加工装置
としては、公知のTダイ加工装置を使用することができ
る。また、冷却ロールとは、溶融樹脂の両面をロールの
表面で挟圧し、冷却するものであり、前記フレックスロ
ールは、弾性変形が可能な金属薄膜からなる金属製弾性
外筒と、該金属製弾性外筒の両端部を閉塞する軸部とを
具えてなる薄膜シート成形用ロールである(フレックス
ロールについて詳しくは、例えばWO97/28950
号公開明細書参照)。上記樹脂の溶融物をダイリップよ
り押出す際の該溶融物の好適な温度は、使用する樹脂、
シート類の厚みにより異なるため一概には言えないが、
例えば、通常200℃で加工するプロピレン単独重合体
樹脂を使用する場合には、該溶融物の温度は通常210
℃〜280℃であり、好ましくは220℃〜270℃の
温度範囲が選択される。
【0011】本発明の熱成形用シート類は上記の樹脂か
らなり、単層であってもよいし、前記樹脂層が少なくと
も1層含まれる多層シート類であってもよい。本発明の
熱成形用シート類が多層シート類である場合、前記樹脂
層を表面に有することが好ましい。この場合には、前記
樹脂層は多層シート類の両側の表面にあってもよいが、
熱成形したのち熱可塑性樹脂からなる基材と貼合成形す
る使用形態を考えると、片側の表面にのみ前記樹脂層が
存することが好ましい。
【0012】本発明の熱成形用シート類が単層シート類
である場合や前記樹脂層を表面に有する多層シート類で
ある場合には、前記樹脂層の全ヘイズは10%以下であ
ることが望ましい。より好ましくは、該全ヘイズが5%
以下である。さらには、この前記樹脂層の表面粗度は、
JIS B0601に従って測定した中心線平均粗さR
aとして好ましくは2μm以下であり、より好ましくは
1μm以下である。該全ヘイズが小さいと、また該表面
粗度が小さいと、該層が表面となるようにして熱成形し
て得られる熱成形体や、該層由来の層が表面になるよう
に貼合成形して得た積層成形体に、高光沢外観や意匠層
を有する場合には該意匠の優れた深み感が得られ、好ま
しい。本発明の熱成形用シート類が前記樹脂層以外の層
を有する場合の該樹脂層の全ヘイズは、当該熱成形用シ
ート類製造時に該樹脂層以外の層を形成しないほかは同
条件でシート類を製造して、評価するものとする。
【0013】本発明の熱成形用シート類が多層シート類
である場合には、その層構成が透明層と、意匠層および
/またはバッキング層とからなる少なくとも2層の多層
シート類であって、該意匠層および/またはバッキング
層が本発明の特定の配向度の樹脂層に該当する態様も好
ましい。この態様においても、熱成形後に、該透明層表
面に微細な凹凸不良が発生するという問題点が改良さ
れ、好ましい。
【0014】上記多層シート類において、本発明の特定
の配向度の樹脂層を意匠層および/またはバッキング層
として用いる場合、該透明層の全ヘイズは10%以下で
あることが好ましく、5%以下であることがより好まし
い。また、該透明層の表面粗度は、JIS B0601
に従って測定した中心線平均粗さRaとして2μm以下
であることが好ましく、1μm以下であると、さらに好
ましい。このような透明層を形成するシート類は公知の
方法で製造すればよく、例えばポリオレフィン樹脂から
なるものは、公知のTダイ加工装置で冷却ロールとして
フレックスロールを用いて成形して得られる。またアク
リル樹脂からなるものは、公知のTダイ加工装置で2本
の冷却ロールを用い、押出された溶融樹脂の両面がその
2本の冷却ロールに接するようにはさみこんで冷却し
て、シート類を成形することにより得られる。
【0015】本発明の特定の配向度の樹脂層とその他の
樹脂層を積層する方法は、どのような方法を用いてもよ
い。例えば、既に述べたフレックスロールを用いる方法
において複数の樹脂の溶融物を同時に押出して積層する
多層押出法、前記樹脂層に相当するシート類を製造し、
その上に溶融した他の樹脂をのせて圧着し積層する溶融
ラミネーション法、さらには、各樹脂層に相当するシー
ト類を別々に製造した後、接着剤を使用したり、重ねて
加熱することにより、接着し、積層するドライラミネー
ション法を用いて製造される。
【0016】本発明の熱成形用シート類を熱成形するこ
とにより、熱成形体が得られる。かかる熱成形体は熱可
塑性樹脂からなる基材と貼合成形して、外観を改良する
ための加飾シート類として好適に用いられる。例えば、
透明性の高い前記樹脂層のみを有する熱成形用シート類
から製造した熱成形体を、着色した基材と貼合成形する
ことで、基材の着色に深み感を与える。また、透明性の
高い前記樹脂層と、着色や印刷といった意匠の施された
意匠層とが積層されている熱成形用シート類から製造し
た熱成形体と、基材とを貼合成形することで、基材に優
れた表面外観を与え(基材に加飾し)、その意匠に深み
感を与えることなどがされる。
【0017】本発明の熱成形用シート類は、基材の効率
的な加飾のために、透明層と意匠層とを有することが好
ましい。例えば、透明層と印刷層または着色層との2層
からなる積層シート類や、透明層と印刷層および着色層
とからなる積層シート類が挙げられ、さらにバッキング
層を有するもの、例えば透明層と印刷層および/または
着色層とバッキング層とからなる積層シート類が挙げら
れる。このような態様において、本発明の特定の配向度
の樹脂層の使われ方は既に述べたとおりである。
【0018】本発明の積層構造体は、上記の熱成形体と
熱可塑性樹脂からなる基材とを貼合させて得られる積層
構造体である。ここで、基材用の熱可塑性樹脂として
は、公知のどのような熱可塑性樹脂を使用してもよい
が、自動車分野や家電分野で用いられている熱可塑性樹
脂が好ましく使用され、より好ましくは結晶性オレフィ
ン重合体樹脂が使用される。
【0019】かかる結晶性オレフィン重合体樹脂とは結
晶性を有するオレフィン重合体からなる樹脂であり、例
えばプロピレン重合体、エチレン重合体、1−ブテン重
合体体等が挙げられ、好ましくはプロピレン重合体であ
る。ここでいうプロピレン重合体は、プロピレンを重合
してなる重合体であり、プロピレンの単独重合体やプロ
ピレンと他のコモノマー(例えばエチレンや1−ブテン
など)とを共重合してなる共重合体が挙げられる。かか
る共重合体にはランダム共重合体やブロック共重合体な
どが一般に良く使用されている。本発明で使用する結晶
性オレフィン重合体樹脂としてより好ましくはプロピレ
ン単独重合体であり、さらに好ましくはアイソタクチッ
クペンタット分率が0.95以上のプロピレン単独重合
体であり、特に好ましくは0.97以上のプロピレン単
独重合体である。
【0020】基材用の樹脂としては、熱成形体と容易に
接着し得る樹脂が好ましく、熱成形体と溶融接着し得る
樹脂がより好ましい。熱成形体と基材との接着性の観点
から、熱成形体における基材と接着する面の樹脂と、基
材用の樹脂とは、同一の樹脂または類似の樹脂であるこ
と(例えば、ともにプロピレン重合体であること)が特
に好ましい。
【0021】本発明の積層構造体の製造方法は、公知の
方法によりいかように行っても良いが、例えば、以下
(1)〜(4)の工程からなる方法を例示することがで
きる。 (1)上記熱成形用シート類を加熱軟化する工程。 (2)軟化した該シート類を、熱成形用の型で熱成形
し、熱成形体を得る工程。 (3)上記熱成形体を、成形用金型のキャビティ内にセ
ットする工程。 (4)熱成形体をセットした上記金型キャビティ内に、
溶融した基材用熱可塑性樹脂を注入し、注入された樹脂
(基材)と熱成形体とが貼合された積層構造体を得る工
程。
【0022】工程(1)、(2)にかかる熱成形法とし
て、真空成形、圧空成形、真空圧空成形などが挙げられ
る。この工程においてシート類がポリオレフィン樹脂を
含む場合には、該シート類の加熱温度は通常(シート類
の融点−20℃)以上、かつ(シート類の融点+10
℃)以下である。好ましくは、(シート類の融点−15
℃)以上、かつ(シート類の融点+5℃)以下であり、
より好ましくは、(シート類の融点−15℃)以上、か
つシート類の融点以下である。なお、ここで「シート類
の融点」とは、対象のシート類を構成する樹脂の融点の
うち、最高温度の融点をいう。
【0023】また、熱成形用型は、金属、樹脂、木また
は紙等でできた物を使用することが可能で、好ましくは
金属が良い。該熱成形用型の表面状態としては平滑なも
のを使用することが好ましく、熱成形用型の表面粗度と
してはJIS B0601に従って測定した中心線平均
粗さ(Ra)が0.10μm以下が好ましく、より好ま
しくはRaが0.08μm以下であり、特に好ましくは
Raが0.06μm以下である。
【0024】さらに、熱成形用型に接触させて形状を付
与した後、急冷することが好ましい。そのために該熱成
形用型の温度を10〜50℃の範囲に維持することが望
ましく、より好ましくは20〜30℃が良い。さらに、
より低い温度の流体と接触させることにより、急冷する
ことが好ましい。例えば流体の温度を10〜20℃にす
ると良い。流体としては空気や水等が挙げられる。
【0025】工程(4)にかかる成形法として、射出成
形法、射出圧縮成形法および射出プレス成形法を例示す
ることができる。この工程において注入される樹脂の温
度は通常、融点以上、好ましくは200℃以上である。
この工程における金型の温度は通常、20〜60℃、好
ましくは30〜40℃である。金型の表面は平滑である
ことが好ましく、その表面粗度(Ra)は好ましくは
0.1μm以下、より好ましくは0.08μm以下、更
に好ましくは0.06μm以下である。また、工程
(1)〜(4)の工程を1工程で実施できるような装置
・手法、例えば、サーモジェクト法を用いても良い。
【0026】本発明の積層構造体は特に、着色されたシ
ート類、木目柄を有するシート類、金属調のシート類、
およびカーボン調のシート類のような装飾されたシート
類から得られる多層の熱成形体と、基材とを積層するこ
とによって、センタークラスターのような自動車部品
(内装部品や外装部品)として好適に使用される。同様
に家電部品、雑貨部品、看板等の用途に好適である。
【0027】本発明において用いられる種々の樹脂は、
必要に応じて、種々の添加剤と組み合わせて用いてもよ
く、添加剤として酸化防止剤、安定剤、帯電防止剤、造
核剤、粘着剤、防曇剤を例示することができる。
【0028】本発明の熱成形用シート類の厚みは通常5
〜800μm、好ましくは50〜500μmである。
【0029】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明するが、本発
明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。実施
例における物性値は以下の方法で求めた。
【0030】1.配向度n−n 配向度n−nは、3次元複屈折測定器OPT1PH
OT2−POL(Nikon社製)を用いて、シート類
のMD方向の屈折率nとTD方向の屈折率n の差を
求めることにより測定した。
【0031】2.ヘイズ JIS K7105に従って、ヘイズを測定した。
【0032】3.熱成形評価 (1)熱成形性:熱成形におけるシート類の加熱工程
時、シート類が垂れ下がるドローダウン現象が著しく、
熱成形に支障をきたす場合をNGとした。
【0033】次に熱成形体の外観を目視で観察し、下記
のように評価した。 (2)表面凹凸:熱成形体の表面に微細な凹凸が発生し
ている場合をNGとした。 (3)賦形性:破れが発生したり、熱成形型の形状が成
形できていない場合をNGとした。
【0034】4.鉛筆硬度:JIS−K−5400に示
されている鉛筆引っ掻き試験法に従って実施した。評価
法として、初めに硬度6Bの鉛筆で試験し、順次硬度を
5B、4B、・・・と上げていき、最初に表面に傷が付
いたときの鉛筆の硬度で表した。
【0035】[実施例1]プロピレン単独重合体 10
0重量部および造核剤(旭電化工業(株)製の商品名が
アデカスタブNA−21なるリン酸2,2−メチレンビ
ス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム)
0.3重量部とからなるプロピレン重合体を、Tダイフ
ィルム成形機(ダイ幅600mm)にて、シリンダー温
度239℃、押出量16Kg/hr、引き取り速度5.
4m/min、エンボスロール(鏡面)温度20℃、フ
レックスロール(CBCテック(株)社製)温度20℃
の条件で製膜することにより、厚みが0.1mm、配向
度n−nが0.0017、全ヘイズが5%、表面粗
度(中心線平均粗さ)Raが0.03μmのシートを製
造した。ここで、上記のプロピレン重合体のMFR(Me
lt Flow Rate)は8.0g/10分であり、アイソタク
チックペンタット分率は0.97であった。得られたシ
ートを、遠赤外線ヒータを用いて表面温度を153℃に
加熱軟化させ、軟化したシートを、図1に示す熱成形用
型の表面(表面粗度Ra=0.06μm)に接触させ、
熱成形した。評価結果を表1および2に示した。
【0036】[実施例2]実施例1に用いたプロピレン
重合体を用いて、Tダイフィルム成形機(ダイ幅600
mm)にて、シリンダー温度220℃、押出量73Kg
/hr、引き取り速度12m/min、エンボスロール
(鏡面)温度20℃、フレックスロール(CBCテック
(株)社製)温度22℃の条件で製膜することにより、
厚みが0.2mm、配向度n−nが0.0003
8、全ヘイズが3.9%、表面粗度Raが0.03μm
のシートを製造した。該シートを用いて熱成形した評価
結果を表1に示した。
【0037】[比較例1]実施例1に用いたプロピレン
重合体を用いて、Tダイフィルム成形機(ダイ幅150
0mm)にて、シリンダー温度200℃、押出量73K
g/hr、引き取り速度12m/min、エンボスロー
ル(鏡面)温度20℃、フレックスロール(CBCテッ
ク(株)社製)温度22℃の条件で製膜することによ
り、厚みが0.1mm、配向度n−nが0.002
1、全ヘイズが5%、表面粗度Raが0.03μmのシ
ートを製造した。該シートを用いて熱成形した評価結果
を表1に示した。
【0038】[比較例2]実施例1に用いたプロピレン
重合体を用いて、Tダイフィルム成形機(ダイ幅600
mm)にて、シリンダー温度239℃、押出量13Kg
/hr、引き取り速度3m/min、エンボスロール
(鏡面)温度20℃、フレックスロール(CBCテック
(株)社製)温度20℃の条件で製膜することにより、
厚みが0.2mm、配向度n−nが0.0001
7、全ヘイズが5.2%、表面粗度Raが0.03μm
のシートを製造した。該シートを用いて熱成形した評価
結果を表1に示した。
【0039】[実施例3]透明な表層として、バルク重
合法により製造したアクリル系重合体(還元粘度0.0
8L/g、メタクリル酸メチル単位94重量%、アクリ
ル酸メチル単位6重量%)を、Tダイ加工機を用いて、
シリンダー設定温度260℃で押出し、3本のポリシン
クロール(ロール温度70℃)からなる成形ロールを用
い、その第1及び第2ロールが、押出された溶融樹脂の
両面に接するようにはさみこんで溶融樹脂を冷却して、
厚み125μm、全ヘイズが1.5%、表面粗度Raが
0.005μmのシートを得た。こうして得られたシー
トを表層として用い、バッキング層として実施例1で製
造した厚み0.1mmのシートを用い、接着剤として、
ポリウレタン系接着剤であるTKS3989(東洋モー
トン(株)製)100重量部に対して、イソシアネート
系硬化剤であるCAT−RT(東洋モートン(株)製)
4重量部を混合したものを、塗布量が7g/mになる
ように希釈溶剤としてトルエンを使用して調整して用
い、積層シートを得た。得られた積層シートを表面温度
180℃となるように加熱して軟化させ、実施例1と同
様に熱成形を行い、熱成形体を得た。得られた熱成形体
の外観を目視判定し、賦形性、表面凹凸不良の有無を評
価した。結果を表2に示した。
【0040】[比較例3]バッキング層として、比較例
1で製造したシートを用いたこと以外は、実施例2と同
様に積層シートを作成し、熱成形を行い、熱成形体を得
た。得られた結果を表2に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、熱成形後に表面に微細
な凹凸不良が改良された熱成形用シート類、ならびに、
表面に微細な凹凸不良の改良された熱成形体および積層
構造体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例において使用した熱成形用型の
斜視図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA14 AF30Y AF31Y AH07 AH12 BC01 4F100 AK01A AK01B AK03B AK07 AR00B BA02 BA07 BA15 GB32 GB48 JA11B JB16B JK15 JN01A JN18A JN30A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複屈折測定により求められる配向度n
    値が0.0002以上0.002以下である樹脂層
    を有する熱成形用シート類。
  2. 【請求項2】前記樹脂層からなる単層シート類であり、
    前記樹脂層の全ヘイズが10%以下である請求項1記載
    の熱成形用シート類。
  3. 【請求項3】請求項1記載の樹脂層を含む多層のシート
    類であって、該樹脂層の全ヘイズが10%以下であり、
    かつ、該樹脂層が表面にある請求項1記載の熱成形用シ
    ート類。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の熱成形用
    シート類を熱成形することにより得られる熱成形体。
  5. 【請求項5】請求項4記載の熱成形体と熱可塑性樹脂か
    らなる基材とを貼合させて得られる積層構造体。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂が結晶性オレフィン重合体樹
    脂である請求項5記載の積層構造体。
  7. 【請求項7】請求項5または6記載の積層構造体から構
    成される自動車部品。
  8. 【請求項8】請求項5または6記載の積層構造体から構
    成される家電部品。
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