JP6706862B2 - ケーブル端末牽引構造及びその組立方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、導体把持ソケットの先端にねじ付きボルトを突設させたスリーブでケーブル導体を把持し、その複数条を同数の挿入孔が同一円周上に穿設されかつ中央部に延線用ロープを取り付けるアイ部が突設された支持板の前記挿入孔に挿入し、ケーブル被覆から前記スリーブに跨って防水テープ層を形成するとともに、その外周に金属保護カバーを被嵌しこれを前記支持板に固定してなるケーブル用プーリングアイが記載されている。
ケーブル端末牽引構造1は、図1及び図2に示すように、ケーブル2の先端側に端末処理を施した少なくとも1本のケーブル端末2aと、各ケーブル端末2aを牽引するプーリングアイ4と、を備えた構造体である。例えば図示の実施形態では、3本のケーブル端末2aからなるケーブル端末群3を備える。
ケーブル2は、接続相手に配線可能状態に仕上げられたケーブル端末2aにおいてプーリングアイ4に固定される。ケーブル端末2aは、作業スペースが十分に確保されていると共に粉塵等が極力存在しないクリーンな環境において牽引前に予め形成されるので、高品質のケーブル端末2aを提供することができる。これにより、接続場所において導体22が露出することはなくなり、特にケーブル2の導体22がアルミニウム製である場合には、酸化を防ぐことができる。
なお、ケーブル2は、当該ケーブル2の導体22と、この導体22の外周を覆う絶縁被覆(ケーブル絶縁体)21と、導体22及び絶縁被覆21を保護する保護層(ケーブルシース)とから構成されている。図面においては、絶縁被覆21及び保護層を一体にして描いた。
絶縁被覆21は、導体22を外部から絶縁する物質であれば材料の種類は問わない。絶縁被覆21は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋ポリエチレンを含む絶縁樹脂からなる。
導体22は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅又は銅合金などの金属材料で構成されている。導体22の形態は、図3(b)では素線を複数本撚り合わせてなる撚り線で構成した場合を示しているが、撚り線に限られることなく単線であってもよい。例えばアルミニウム製の導体22は、ケーブル2の軽量化の点においても好ましい。
導体露出部23は、ケーブル2の先端部の絶縁被覆21を剥ぎ取って導体を露出させた部分であって、接続相手(例えば配電盤)と接続するための端子24が装着される。
端子24は、接続相手と接続される部分であって、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅又は銅合金などの金属材料で構成され、図1では板状端子である場合を示している。端子24が有する2つの主面のうち一方の主面が、接続相手と接触して接続される通電接触面をなしている。
端子24の先端側には、接続相手と接続される板状部24aが設けられている。板状部24aには、例えばボルト等の固定具が挿通される、接続相手との固定用の2つの挿通孔24bを有する。なお、挿通孔24bの数は自由に設定可能である。
ケーブル端末2aを構成する端子24は、その基端側に、導体22の導体露出部23の先端が挿入される筒状部24cが設けられている。端子24は、導体露出部23の先端部が挿入された状態で筒状部24cを導体露出部23に接続(連結)される。接続方法は、圧着や圧縮といったかしめ、半田付けなどがあるが、電気的、機械的に満足するものであれば、その方法は問わない。
管状係合部材25は、ケーブル2の絶縁被覆21に密着固定状態で設けられ、後述する固定部材42に保持される部材である。管状係合部材25は、図3に示すように、少なくとも端子24の基端側と絶縁被覆21とに跨がるケーブル2の部分を絶縁被覆するように構成されている。管状係合部材25は、ケーブル2に一体に成形された一体成形部材であり、例えば公知のモールド法により形成されている。
管状係合部材25の材質は、絶縁性及び防水性に優れていればよく、特に限定しないが、シリコーンゴム、EPゴム等のゴム材料、又はプラスチック等の合成樹脂材料が用いられる。
プーリングアイ4は、1本又は複数本のケーブル2を、接続相手が設置されている位置まで牽引して延線する際に使用されるケーブル牽引治具である。プーリングアイ4は、例えば図1に示す実施形態では、複数本のケーブル端末2aを纏めてケーブル端末群3として牽引することができるように構成されている。プーリングアイ4は、保護カバー41、固定部材42及びアイ金具46を備える。
保護カバー41は、ケーブル端末群3を、各ケーブル端末2aが配線可能状態のまま収容する内部空間を有し、図1では有底筒状に形成されている。保護カバー41は、ケーブル2の先端(ケーブル端末2a)側に被嵌されて、少なくとも管状係合部材25の拡径部25aを完全に覆っている。保護カバー41の材質は、特に限定しないが、例えば金属が好ましい。
保護カバー41は、後述する固定部材42を連結するための、例えば先端にねじ山を有する連結具41aが挿通される挿通孔41bを有する。挿通孔41bの数は自由に設定可能であるが複数あることが好ましく、例えば保護カバー41の周面に等間隔(120°)で3つの挿通孔41bが設けられ、3本の連結具41aで固定部材42に連結することが好ましい。
固定部材42は、保護カバー41に対して分離可能に連結され、各ケーブル端末2aを保護カバー41内に位置決め固定するものである。固定部材42は平面視円形であり、その材質は特に限定しないが、例えば金属が好ましい。固定部材42は、図5(b)に示すように、ケーブル端末2aの拡径部25aの外周面に対して接触保持可能な形状の内周面をもつ収容部42aを有する。拡径部25aが収容部42aで保持されてプーリングアイ4に対する各ケーブル端末2aの引き抜けを防止する。
さらに固定板43は、図4に示すように、凹部43aと凹部43aとの間の部分に、連結具45が挿通される挿通孔43bを有する。挿通孔43bは固定板43をその厚さ方向に貫通している。
さらに押さえ部材44は、導体露出部23側の押さえ部44aの端部に、ケーブル端末2aの引き抜き方向とは反対方向の移動を抑制するための縁部44d(図5参照)を有している。
アイ金具46は、保護カバー41の外面に連結固定されて、延線用のロープ、ワイヤ、フック等の牽引器具が取り付けられるものである。アイ金具46は、図1では保護カバー41の底部に設けられ、環状部46aを有している。
さらにケーブル端末牽引構造1は、図1及び図2に示すように、各ケーブル端末2aに装着された端子24の間に間挿部材5を有していることが好ましい。間挿部材5は、端子24を配線用の接続面が内向き状態の対向配置関係で分離可能に固定して、ケーブル端末群3の牽引時や、ケーブル端末牽引構造1の組み立て時に、端子24の通電接触面を損傷しないように保護するものである。
間挿部材5と端子24とは、端子24の挿通孔24bを介して、例えばボルト及びナット等からなる固定装置51により互いに固定することができる。これにより、配線用の接続面を保護しつつ、収容するケーブル端末2aの端子24周りの収容容積を小さくできるため、ケーブル端末牽引構造1の小型化を達成することができる。
次に、ケーブル端末牽引構造1の組立方法について説明する。
まず、一端(先端)側の絶縁被覆21を剥ぎ取って導体22の導体露出部23が形成されているケーブル2を用意し、導体露出部23に端子24を装着して配線可能状態に仕上げる。その後、各ケーブル2の、導体露出部23側の絶縁被覆21に、管状係合部材25の拡径部25aを密着固定して、ケーブル端末2aを形成する。この時点で全ての端末処理が完結している。
なお、間挿部材5は、ケーブル端末2aの、固定部材42への位置固定中又は位置固定後に各端子24の間に設けることができる。
なお、収容部42aの内周面形状は、管状係合部材25の拡径部25aの外周面と少なくとも部分的に接触すればよく、例えば円筒形であってもよい。つまり、収容部42aの最小内径が、拡径部25aの最大外径よりも小さい寸法を有していればよい。
また、間挿部材5の代わりに、例えば発泡シートやゴムシート等によって接続面を保護してもよい。
アイ金具46は、固定板43にボルトを直接設置して、そのボルトの先端に螺合により取り付けてもよい。
次に、図7に基づいて、ケーブル端末牽引構造1のケーブル端末の変形例1について説明する。なお、上記の実施形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。図7は、変形例1に係るケーブル端末の構造を示し、具体的には、図7(a)は、ケーブル端末を斜視的に示し、図7(b)は、ケーブル端末を部分的に断面にして示す。
次に、図8に基づいて、ケーブル端末牽引構造1のケーブル端末の変形例2について説明する。なお、上記の実施形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。図8は、変形例2に係るケーブル端末の構造を示し、具体的には、図8(a)は、ケーブル端末を斜視的に示し、図8(b)は、ケーブル端末を部分的に断面にして示す。
変形例2において、管状係合部材27は、拡径部27aからなる2つの分割部材28を互いに組み合わせて構成されている。分割部材28の材質は、特に限定しないが、例えば金属材料又は合成樹脂材料を用いればよい。分割部材28は、ケーブル2Bにおいては、導体露出部23から所定の間隔をおいて絶縁被覆21の外表面に密着して固定されている。分割部材28は絶縁被覆21に、例えば接着剤を用いて固定することができる。
なお、絶縁部材6は、図8(b)では単層で形成した場合を示しているが、複数回にわたって巻回して複数層の積層体として形成することもできる。
さらに、端子取り付け以外の管状係合部材27の固定、及び絶縁、防水処理を終わらせてから、上記のプーリングアイ4で引き込めば、延線後、接続相手の形状に見合った端子24を装着して、その端部近傍をテープなどで絶縁、防水処理を施してもよい。つまり、端子24が装着されていない導体露出部23を有するケーブル2Bを、接続場所まで牽引して保護カバー41を外せば、直ぐに端子24を装着できると共に、絶縁部材6を巻き付けることができる。
次に、図9に基づいて、ケーブル端末牽引構造1のケーブル端末の変形例3について説明する。なお、上記の実施形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。図9は、変形例3に係るケーブル端末の構造を示し、具体的には、図9(a)は、変形例3のケーブル端末を斜視的に示し、図9(b)は、ケーブル端末を部分的に断面にして示す。
絶縁部材7は、熱収縮チューブ、絶縁テープ又は絶縁シート、常温収縮チューブ、絶縁及び防水パテ、レジン等を用いて形成することができる。
端子24が、管状係合部材29と接触し、管状係合部材29のケーブル端末2Caの軸線方向に沿った移動を抑制するため、押さえ部材44の縁部44dを省略することができる。
2,2A,2B,2C ケーブル
2a,2Aa,2Ba,2Ca ケーブル端末
3 ケーブル端末群
4 プーリングアイ
5 間挿部材
6,7 絶縁部材
21 絶縁被覆
22 導体
23 導体露出部
24 端子
25,26,27,29 管状係合部材
25a,26a,27a,29a 拡径部
28 分割部材
41 保護カバー
42 固定部材
42a 収容部
43 固定板
43a 凹部
44 押さえ部材
46 アイ金具
Claims (9)
- 導体露出部に端子が装着されて配線可能状態に仕上げた少なくとも1本のケーブル端末と、
前記少なくとも1本のケーブル端末を、各ケーブル端末が配線可能状態のまま収容する内部空間を有する保護カバー、
該保護カバーに対して分離可能に連結され、前記各ケーブル端末を前記保護カバー内に位置決め固定する解体可能な構造を有する固定部材、及び
前記保護カバーの外面に連結固定されるアイ金具を有するプーリングアイと
を備え、
前記各ケーブル端末が、前記導体露出部側の絶縁被覆に、前記導体露出部側に向かって拡径する外周面形状の拡径部をもつ管状係合部材を密着固定状態で有し、
前記固定部材が、前記各ケーブル端末の前記拡径部の外周面に対して接触保持可能な形状の内周面をもつ収容部を有し、前記拡径部が前記収容部で保持されて前記プーリングアイに対する前記各ケーブル端末の引き抜けを防止することを特徴とするケーブル端末牽引構造。 - 前記収容部の前記内周面は、前記各ケーブル端末の基端側に向かって縮径する形状を有し、
前記収容部の最小内径は、前記拡径部の最大外径よりも小さい寸法を有することを特徴とする請求項1に記載のケーブル端末牽引構造。 - 前記管状係合部材が、前記各ケーブル端末の、少なくとも前記端子の基端部と前記絶縁被覆とに跨る部分を絶縁被覆するように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル端末牽引構造。
- 前記管状係合部材が複数の分割部材で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブル端末牽引構造。
- 前記各ケーブル端末が、前記端子の基端部では覆われていない前記導体露出部を少なくとも被覆する絶縁部材を有することを特徴とする請求項4に記載のケーブル端末牽引構造。
- 前記少なくとも1本のケーブル端末が、複数本のケーブル端末であり、該複数本のケーブル端末のそれぞれの前記端子を、配線される接続面が内向き状態の対向配置関係で分離可能に固定する間挿部材をさらに有することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のケーブル端末牽引構造。
- 前記固定部材が、
前記プーリングアイの内部に設けられ、前記各ケーブル端末の前記拡径部を収容する凹部を有する固定板と、
前記拡径部が収容された前記固定板の前記凹部の開口に向かって近接移動させて、前記固定板と共に前記収容部を形成して前記拡径部を挟持する押さえ部材と、
を備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載のケーブル端末牽引構造。 - 少なくとも1本の、導体露出部を含むケーブル先端部にプーリングアイを取り付けたケーブル端末牽引構造の組立方法であって、
前記導体露出部に端子を装着して配線可能状態に仕上げ、その後、前記導体露出部側の絶縁被覆に、前記導体露出部側に向かって拡径する外周面形状の拡径部をもつ管状係合部材を密着固定して、ケーブル端末を形成する工程と、
前記少なくとも1本のケーブル端末を、各ケーブル端末が配線可能状態のまま収容する内部空間を有する保護カバー、該保護カバーに対して分離可能に連結され、前記各ケーブル端末を前記保護カバー内に位置決め固定する、前記各ケーブル端末の引き抜けを防止する収容部を有する解体可能な構造を有する固定部材、及び前記保護カバーの外面に連結固定されるアイ金具を有するプーリングアイの固定部材に、前記ケーブル端末の前記拡径部を収容保持してケーブル端末牽引構造を形成する工程と、
を含むことを特徴するケーブル端末牽引構造の組立方法。 - 前記ケーブル端末を形成する工程において、
前記管状係合部材が可撓性の部材であり、
前記管状係合部材を予め拡径し、次いで前記管状係合部材を前記端子側から所定の位置まで被せた後、拡径された状態の前記管状係合部材を自己収縮させることにより前記絶縁被覆に密着固定させることを特徴とする請求項8に記載のケーブル端末牽引構造の組立方法。
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