JP6706863B2 - ケーブル牽引構造及びケーブル端末 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、導体把持ソケットの先端にねじ付きボルトを突設させたスリーブでケーブル導体を把持し、その複数条を同数の挿入孔が同一円周上に穿設されかつ中央部に延線用ロープを取り付けるアイ部が突設された支持板の前記挿入孔に挿入し、ケーブル被覆から前記スリーブに跨って防水テープ層を形成するとともに、その外周に金属保護カバーを被嵌しこれを前記支持板に固定してなるケーブル用プーリングアイが記載されている。
仮にスリーブだけを取り外せたとしても、その導体部分の形状は、スリーブの圧縮接続により著しく変形しており、端子を装着するには不向きであり、端子を装着するには、変形した導体部分を切断した上で新たに導体を露出させる必要があった。
ケーブル牽引構造1は、図1に示すように、少なくとも1本のスリーブ付きケーブル先端部2と、スリーブ付きケーブル先端部2を収容して牽引するプーリングアイ4と、を備えた構造体である。例えば図示の実施形態では、3本のスリーブ付きケーブル先端部2からなるスリーブ付きケーブル先端部群(以下「ケーブル先端部群」ともいう。)を備えている。
なお、説明の便宜上、ケーブルC又はスリーブ付きケーブル先端部2の延在方向(長手方向)を「X」とし、先端側方向(ケーブル延長方向)を「X1」、基端側方向を「X2」と定義する。
図2に示すスリーブ付きケーブル先端部2は、導体部6と、導体部6が嵌挿された状態で導体部6の外周面に圧縮接続(連結)されたスリーブ7と、絶縁部材8とを有する。絶縁部材8は、スリーブ7の基端部分及びケーブルCの絶縁被覆5に跨がるケーブルCの部分を、少なくとも被覆する。
ケーブルCは、当該ケーブルCの導体と、この導体の外周を覆う絶縁被覆(ケーブル絶縁体)5と、導体及び絶縁被覆5を保護する保護層(ケーブルシース)とから構成されている。なお、図面においては、絶縁被覆5及び保護層を一体にして描いた。絶縁被覆5の材質としては、外部から絶縁する材質であればよく、材料の種類は問わない。例えばポリ塩化ビニル(PVC)、架橋ポリエチレンを含む絶縁樹脂が挙げられる。
図2に示す導体部6は、ケーブルCの先端部であって、絶縁被覆を皮剥ぎして露出させた導体で構成されている。導体部6は、ケーブルCの延在方向Xの先端側X1でスリーブ7から露出している部分に、接続相手に接続される電気接続部分61を有する。
つまり、図2に示す実施形態における「電気接続部分61」は、皮剥ぎした導体からなる導体部6が、スリーブ7に嵌挿された状態で、スリーブ7から先端側方向X1に露出した導体部6の部分(先端部分)である。電気接続部分61には、接続相手に実際に接続される端子Tが装着される(図8参照)。
導体部6は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅又は銅合金などの金属材料で構成されている。導体部6の形態は、図2では素線を複数本撚り合わせてなる撚り線で構成した場合を示している。
図2に示すスリーブ7は、導体部6の周面に圧縮して接続される金属製の筒状の段付きスリーブであり、一端から他端にわたって延在する貫通孔71を有する。スリーブ付きケーブル先端部2を固定部材42に位置決め固定するため、スリーブ7は、先端側部分の外周面にねじ切りされた螺合部72を有する。スリーブ7は、貫通孔71に導体部6を嵌挿した状態にて、螺合部72が存在しない部分を外周側から圧縮することで導体部6の外周面に接続(連結)される。
螺合部72の、後述するナット44と螺合する部分に、例えばシールテープ(図示せず)等を巻回形成してもよい。
また、導体部6とスリーブ7とを異なる金属材料で構成する場合、例えば導体部6が複数本の銅(素)線を撚り合わせてなる撚り線で構成され、スリーブ7がアルミニウム材料で構成された場合、アルミニウムの熱膨張係数は、銅の熱膨張係数よりも大きいため、加熱や冷却されるような使用環境下であったとしても、スリーブ7による導体部6の良好な圧着状態を維持することができる。
絶縁部材8は、図2では、ケーブルCの延在方向Xにおいて、スリーブ7の基端側部分と、ケーブルCの先端側の絶縁被覆5とに跨がる範囲にわたって被覆する場合を示している。絶縁部材8は、モールド加工によりケーブルCに一体に成形されるか、あるいは、別体として管状に形成した絶縁部材をケーブルCの外周に装着してもよい。絶縁部材8の材質は、良好な絶縁性及び防水性を発揮できる材質であればよく、特に限定しないが、例えばシリコーンゴム、EPゴム等のゴム材料、又はプラスチック等の合成樹脂材料が挙げられる。
また、絶縁部材8は、収縮チューブであってもよく、またレジン注入、テープ巻き等によって形成することもできる。
プーリングアイ4は、1本又は複数本の電線ケーブルCを、接続相手が設置されている位置まで牽引して延線する際に使用されるケーブル牽引治具である。プーリングアイ4は、例えば図1に示す実施形態では、3本の電線ケーブルCを牽引できるように構成した場合を示したものであって、3本のスリーブ付きケーブル先端部2を纏めてケーブル先端部群として連結したものである。保護カバー41、固定部材42及びアイ金具46を備える。
保護カバー41は、各スリーブ付きケーブル先端部2を構成する電気接続部分61が、接続可能状態又は端子装着可能状態のままで、ケーブル先端部群を収容する内部空間を有し、図1では有底筒状に形成されている。保護カバー41は、その内部空間に、電気接続部分61の先端から少なくとも絶縁部材8の基端位置までのケーブル先端部を挿入し、ケーブル先端部群の周りを覆うように配設される。保護カバー41の材質は、特に限定しないが、例えば金属が好ましい。
図3に示す保護カバー41は、後述する固定部材42が連結される位置に挿通孔41bを形成し、この挿通孔41bに、固定部材42を連結するためのねじ等の連結具41aが挿通される。挿通孔41bの数は、自由に設定可能であるが複数あることが好ましく、例えば、図3では、保護カバー41の周面に等間隔(120°)で3つの挿通孔41bが設けられ、3本の連結具41aで固定部材42を保護カバー41に連結する。
固定部材42は、保護カバー41に対して分離可能に連結され、各スリーブ付きケーブル先端部2を保護カバー41内に位置決め固定するものであり、プーリングアイ4に対する各スリーブ付きケーブル先端部2の引き抜けを防止する。固定部材42は平面視円形であり、その材質は特に限定しないが、例えば金属が好ましい。
図3及び図4に示す固定部材42は、各スリーブ付きケーブル先端部2を収容し、保護カバー41内に位置決めする固定板43と、各スリーブ付きケーブル先端部2を固定板43に位置決め固定するため、スリーブ7に形成した螺合部72に螺合させてねじ連結するナット44とを有している。
固定板43の周面には、保護カバー41に形成した挿通孔41bを貫通した連結具41aが挿入されてねじ連結されるねじ孔43bが設けられている。ねじ孔43bは、固定板43の周面に等間隔で複数個形成されていることが好ましく、図3では3個形成した場合を示している。各ねじ孔43bは、上記の保護カバー41の挿通孔41bの配設位置に合わせて形成される。
アイ金具46は、プーリングアイ4を構成する部品であって、保護カバー41の外面に連結固定され、延線用のロープ、ワイヤ、フック等の牽引器具を取り付けることができる。図示はしないが、アイ金具のボルトを固定板に接続、固定する場合もある。アイ金具46は、図3では保護カバー41の底部に設けられ、環状部46aを有している場合を示している。
図5に示すケーブル牽引構造1は、プーリングアイ4を構成する保護カバー41の内部に、スリーブ7から先端側方向X1に突出している導体部6を保護するための有底筒状の保護キャップ9をさらに有していてもよい。保護キャップ9は、導体部6の先端側部分である電気接続部分61を覆うように構成されている。保護キャップ9は、その開口側の内周面に形成されたねじ切り部を、ナット44の頂面から先端側方向X1に突出して延在する螺合部72に対してねじ込むことによってスリーブ7に連結されている。
図7に示すケーブル牽引構造1は、鍔部92Bと固定部材42の固定板43との間を有効に封止するため、鍔部92Bと、固定部材42(より厳密には固定板43)との間に、環状の第1の封止部材S1が設けられている。第1の封止部材S1は、水分が、保護キャップ9Bの外側から鍔部92Bと固定板43との接触界面を通じて保護キャップ9Bの内部へ浸入することを防ぐ。
さらに、図7に示すケーブル牽引構造1は、スリーブ7の外周面と、挿通孔43aの内周面との間を有効に封止するため、挿通孔43aの内周面とスリーブ7の外周面との間に環状の第2の封止部材S2が設けられている。第2の封止部材S2は、水分が、ケーブル本体側から挿通孔43aを通って保護キャップ9Bの内部へ浸入することを防ぐ。
固定板43には、第1及び第2の封止部材S1,S2を収容する環状凹部がそれぞれ形成されている。第1及び第2の封止部材S1,S2としては、例えば公知のシールリングを用いることができる。
次に、スリーブ付きケーブル先端部2に端末処理を施したケーブル端末CTについて説明する。ここで「端末処理」とは、接続相手の設置場所まで牽引されるケーブルCの先端部、すなわち図8に示すスリーブ付きケーブル先端部2を構成する導体部6の電気接続部分61に端子Tを装着し、端子Tの基端側と絶縁部材8とに跨る部分にわたって絶縁性及び防水性の被覆部材Rを被覆するまでの一連の処理を意味する。
端子Tが有する2つの主面のうち一方の主面が、接続相手と接触して接続される通電接触面をなしている。
次に、図9に基づいて、ケーブル牽引構造のスリーブ付きケーブル先端部の変形例1について説明する。なお、上記の実施形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。図9は、変形例1のスリーブ付きケーブル先端部を示し、具体的には、図9(a)は、スリーブ付きケーブル先端部を斜視的に示し、図9(b)は、図9(a)の軸線を含む平面でスリーブ付きケーブル先端部を部分的に断面にして示す。
次に、図10に基づいて、ケーブル牽引構造のスリーブ付きケーブル先端部の変形例2について説明する。なお、上記の実施形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。図10は、変形例2に係るスリーブ付きケーブル先端部の構造を示し、具体的には、図10(a)は、変形例2に係るスリーブ付きケーブル先端部を斜視的に示し、図10(b)は、図10(a)の軸線を含む平面でスリーブ付きケーブル先端部を部分的に断面にして示す。
図11に示すケーブル牽引構造1Aは、導体延長部材6dの外周面と、固定板43の挿通孔43aの内周面との間に設けられた環状の第3の封止部材S3を備えている。さらに、固定部材42の固定板43の、スリーブ7Bが衝き合わされる衝合面に環状の第4の封止部材S4が設けられている。
封止部材S3,S4の配設により、水分が、先端側から挿通孔43aを通じて、また、基端側から固定板43とスリーブ7Bとの衝合面を通じて第2の収容部7d内に浸入することを効果的に阻止することができる。これにより、導体延長部材6dと、スリーブ7の第2の収容部7dとの接続部分への水分の浸入を防ぐことができる。特に、導体延長部材6dを銅材料で構成し、スリーブ7Bの第2の収容部7dをアルミニウム材料で構成する場合には、異種金属腐食を防止する観点から、封止部材S3,S4の配設は有利である。
導体延長部材6dの螺合部62Bとナット44とのねじ連結により、スリーブ付きケーブル先端部2Bは、先端側方向X1に引き寄せられる力が作用する。第5の封止部材S5は、固定板43の上記の受け部とスリーブ7Bの衝合面との間で押圧され、導体延長部材6dと挿通孔43aとの間をより確実に密封する。
2,2A,2B スリーブ付きケーブル先端部
4 プーリングアイ
5 ケーブルの絶縁被覆
6,6A,6B 導体部
6a,6c 導体
6b,6d 導体延長部材
7,7A,7B スリーブ
7a,7c 第1の収容部
7b,7d 第2の収容部
8 絶縁部材
9 保護キャップ
41 保護カバー
42 固定部材
43 固定板
43a 挿通孔
46 アイ金具
61,61A,61B 電気接続部分
72 螺合部
91A,91B ねじ切り部
92B 鍔部
C,C1,C2 ケーブル
T 端子
CT ケーブル端子
R 被覆部材
Claims (15)
- ケーブルの絶縁被覆を皮剥ぎした導体で構成され、又は該導体と、前記導体の延長上に近接して配置された導体延長部材との相互接続状態で構成される導体部、及び
該導体部が嵌挿された状態で当該導体部の周面に圧縮接続されたスリーブ
を有する少なくとも1本のスリーブ付きケーブル先端部と、
該少なくとも1本のスリーブ付きケーブル先端部を収容する内部空間を有する保護カバー、
該保護カバーに対して分離可能に連結され、各スリーブ付きケーブル先端部を前記保護カバー内に位置決め固定する固定部材、及び
前記保護カバーの外面に連結固定されるアイ金具
を有するプーリングアイと
を備え、
前記導体部又は前記スリーブが、外周面にねじ切りされた螺合部を有し、
前記導体部は、前記螺合部よりも先端側の部分が、前記スリーブから前記先端側に露出して、接続相手に接続される電気接続部分を構成することを特徴とするケーブル牽引構造。 - 前記導体部が、前記ケーブルの絶縁被覆を皮剥ぎした導体で構成され、
前記螺合部が前記スリーブに形成され、
前記電気接続部分が、前記導体の前記スリーブから前記先端側に露出している部分であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル牽引構造。 - 前記導体部が、前記スリーブを介し、前記導体と前記導体延長部材との相互接続状態で構成され、
前記螺合部が前記スリーブに形成されていると共に、前記電気接続部分が、前記導体延長部材の、前記スリーブから前記先端側に露出している部分であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル牽引構造。 - 前記導体部が、前記スリーブを介し、前記導体と前記導体延長部材との相互接続状態で構成され、
前記螺合部が、前記導体延長部材に形成されていると共に、前記螺合部及び前記電気接続部分が、前記導体延長部材の、前記スリーブから前記先端側に露出している部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のケーブル牽引構造。 - 前記導体延長部材が、複数本の銅線を撚り合せてなる撚り線であることを特徴とする請求項3又は4に記載のケーブル牽引構造。
- 前記導体延長部材が銅製の棒材からなることを特徴とする請求項4に記載のケーブル牽引構造。
- 前記スリーブが、アルミニウム製であることを特徴とする請求項2に記載のケーブル牽引構造。
- 前記導体を収容する前記スリーブの部分が、アルミニウム製であり、
前記導体延長部材を収容する前記スリーブの部分が、銅製である
ことを特徴とする請求項3から6までのいずれか一項に記載のケーブル牽引構造。 - 前記固定部材が、前記螺合部及び前記電気接続部分が挿通可能な内径をもつ挿通孔を有し、
該挿通孔から突出した前記螺合部及び前記電気接続部分を覆う有底筒状の保護キャップが設けられていることを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載のケーブル牽引構造。 - 前記保護キャップが、開口側の内周面に、前記螺合部と螺合して前記各スリーブ付きケーブル先端部を前記固定部材に位置決め固定するねじ切り部を有することを特徴とする請求項9に記載のケーブル牽引構造。
- 前記保護キャップが、前記開口側に、径方向外側に突出し、前記螺合部とのねじ連結によって前記固定部材の対向面に接触する環状の鍔部を有し、
環状の第1の封止部材が、前記鍔部と前記固定部材との間に設けられ、環状の第2の封止部材が、前記挿通孔の内周面と前記スリーブの外周面との間に設けられることを特徴とする請求項10に記載のケーブル牽引構造。 - 前記固定部材が、前記導体延長部材が挿通可能な内径をもつ挿通孔を有しており、
環状の第3の封止部材が、前記導体延長部材の外周面と前記挿通孔の内周面との間に設けられ、環状の第4の封止部材が、前記固定部材の、前記スリーブが衝き合わされる衝合面に設けられることを特徴とする請求項3から8までのいずれか一項に記載のケーブル牽引構造。 - 前記固定部材が、前記導体延長部材を構成する前記螺合部及び前記電気接続部分が挿通可能な内径をもつ挿通孔を有しており、
環状の第5の封止部材が、前記固定部材の、前記スリーブが衝き合わされる衝合面であって、かつ前記導体延長部材の外周面に密着する状態で設けられることを特徴とする請求項3から8までのいずれか一項に記載のケーブル牽引構造。 - 前記スリーブ付きケーブル先端部が、前記電気接続部分及び前記螺合部を露出させたままで、前記スリーブの基端部と前記絶縁被覆とに跨がる部分を少なくとも被覆する絶縁部材を有することを特徴とする請求項1から13までのいずれか一項に記載のケーブル牽引構造。
- ケーブルの絶縁被覆を皮剥ぎした導体で構成され、又は該導体と、前記導体の延長上に近接して配置された導体延長部材との相互接続状態で構成される導体部、
該導体部が嵌挿された状態で当該導体部の周面に圧縮接続されたスリーブ、及び
該スリーブの基端部と前記絶縁被覆とに跨がる部分を少なくとも被覆する絶縁部材
を有し、前記導体部又は前記スリーブが、外周面にねじ切りされた螺合部を有し、前記導体部は、前記螺合部よりも先端側の部分が、前記スリーブから前記先端側に露出して、接続相手に接続される電気接続部分を構成する少なくとも1本のスリーブ付きケーブル先端部と、
該電気接続部分に装着される端子と、
前記端子の基端部及び前記絶縁部材の先端部に跨がる部分を少なくとも被覆する絶縁性及び防水性の被覆部材と、
を有することを特徴とするケーブル端末。
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