実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1における光源装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における光源装置を示す分解斜視図である。図1には、直交座標のx−y−z座標軸を合わせて示した。本発明においては、x−y−z座標軸の各矢印が示す方向を+方向(プラス方向)とし、各矢印が示す方向と反対の方向を−方向(マイナス方向)とする。また、図2は、本発明の実施の形態1における光源装置を示す断面図である。図2は、図1で示した光源装置のx−y平面における断面図である。
本発明においては、光源装置の光源が光を出射する側を、前方、前、あるいは前面側といい、反対側を、後方、後、あるいは背面側という。各図においては、前方をy軸の+方向で、後方をy軸の−方向で示す。
図1および図2において、光源装置1は、光軸14を中心に前方に光を出射する光源10と、光源10の前方に設けられたレンズ20と、レンズ20の外周を囲って設けられたリフレクタ30と、回動軸38を中心にリフレクタ30を回動させる駆動モータ50とを備えている。さらに、光源装置1は、光源10が設置された基板11と、基板11に密着されたヒートシンク40と、光源10に電気接続されたワイヤ12と、ワイヤ12を電源装置に電気接続するためのコネクタ13とを備えている。また、駆動モータ50はフラットケーブル等の配線により電源装置に電気接続されており(図示せず)、フラットケーブルを介して電源から駆動モータ50に電力と制御信号が供給される。電源装置は、系統電源の交流電力を光源10の点灯および駆動モータ50の駆動に適した直流電力などの電力に変換し、また、光源10の調光と駆動モータ50の回転制御を行う制御信号を出力する。なお、図2では、ワイヤ12、コネクタ13および駆動モータ50は省略して示した。
光源10は、例えば白色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)であり、光を前方に出射する。光源10による配光は概ね光軸14を対称軸とする回転対称を呈するように配光する。すなわち、光軸14は、光源10による配光の対称軸あるいは中心軸と定義される。白色LEDである光源10は、波長400nm〜480nm程度の青色光を発光するLEDチップ上に、青色光を黄色光に波長変換する蛍光体が設けられており、青色光と黄色光とを合成して白色光を出射する。なお、白色LEDである光源10はLEDチップの下側や周囲にリフレクタを備えていてもよく、LEDチップの前方にレンズを備えていてもよい。また、光源10は面状に並べられた複数のLEDチップを備えていてもよい。すなわち、光源10は光を出射するLEDチップを言うのではなく、1つあるいは複数のLEDチップとリフレクタやレンズなどの部品とが一体に形成されて光源として構成された全体を言う。
基板11は、例えば円板状のアルミニウム基板であり、基板11上に光源10が実装される。基板11には、光源10に電力を供給するための回路パターンが形成されており、光源10の他に、ダイオードや抵抗等の回路素子も実装されている。なお、基板11は、鉄等のその他の金属を基材とした基板であってもよく、ガラスエポキシまたは紙フェノール材等を基材とした基板であってもよい。
ワイヤ12は、基板11の回路パターンに電気接続されており、ワイヤ12に接続されたコネクタ13を電源装置に接続することで、電源装置からコネクタ13とワイヤ12を介して、基板11上に実装された光源10や回路素子に電力が供給される。
ヒートシンク40は、複数の放熱フィンを備えており、基板11の光源が実装された面とは反対側の面に密着されている。これにより光源10の発熱による熱が、ヒートシンク40の放熱フィンから放熱される。なお、基板11とヒートシンク40との間に、熱伝導グリースや熱伝導シート等の熱伝導材、あるいは、接着剤を介在させて、基板11とヒートシンク40との間の熱伝導率を高めてもよい。熱伝導材または接着剤等は、光源10の消費電力、回路素子等の耐熱温度、光源装置1の寿命や強度等に基づいて、使用の可否を適宜決定すればよい。
レンズ20は、光源10から出射された光の進行方向を変える光学部材であり、例えば光源10の光軸14を対称軸とした回転対称の円柱状の形状を呈している。レンズ20は、光源10から光が出射される側、すなわち、光源10の前方に配置されている。レンズ20は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはガラス等の透明な材料で形成されている。レンズ20は、光源10を覆って基板11に固定されており、光源10とレンズ20との相対位置は常に固定されている。また、基板11はヒートシンク40に固定されているので、基板11とレンズ20とはヒートシンク40によって位置決めされている。
図2に示すように、レンズ20は光軸14を対称軸とする回転対称の円柱状の形状を呈しており、背面側の円柱の底面に入射面21、前面側の底面に出射面22を備え、側面に側面23を有している。入射面21には、光源10を中心とする半球状に形成された入光凹部24が設けられており、光源10から出射された光は入光凹部24に入射する。入光凹部24は光源10を中心とする半球状に形成されているため、光源10から出射された光は、入光凹部24に垂直に入射する。この結果、光源10から出射された光は、入光凹部24に入射してもほぼ屈折せずにレンズ20の内部に進入する。
出射面22は、光軸14を中心として光軸14の周囲に設けられた出射屈折面28と、出射屈折面28の周囲に設けられた全反射面29とにより構成されている。出射屈折面28は、光軸14を中心として光軸14の周囲に設けられており、光源装置1の前方に対して凸形状に形成された滑らかな曲面となっている。出射屈折面28は、光源10から出射されてレンズ20に入射した光の一部を屈折させて集光し、光源装置1の前方の壁面や床面などの被照射面側に出射する。全反射面29は、出射屈折面28の周囲すなわち出射面22の外周部に設けられており、光軸14と垂直な平面であり、基板11と平行な平面である。全反射面29は、光源10から出射されてレンズ20に入射した光の一部を全反射して側面23側に偏向し、側面23から出射させる。
図2に示すように、レンズ20の材料の屈折率をnとして、出射屈折面28と全反射面29との境界位置と光軸14との間の角度θ1を、下記の数式(1)で表した角度とすることで、全反射面29の全面で光源10から出射された光を全反射させることができる。すなわち、角度θ1は、数式(1)の右辺で表した臨界角以上に大きくすればよい。
θ1≧sin−1(1/n) …(1)
側面23は、光軸14と平行な面である。光源10から出射された光の一部は、直接側面23に入射し、また、全反射面29で反射された光も側面23に入射される。これらの光は側面23で屈折され、側面23から出射される。すなわち、レンズ20からリフレクタ30側に出射される。つまり、光源10から出射された光のうち、直接側面23に入射した光と全反射面29で反射されて側面23に入射した光は、側面23から光軸14の動径方向に出射される。ここで動径方向とは、概ね光軸14に垂直な方向を言い、厳密には光軸14との間の角度が90°でなくてもよく、光軸14からリフレクタ30に向かう方向を言う。
リフレクタ30は、レンズ20の外周を囲って設けられている。リフレクタ30の内面は回転対称の形状を呈している。リフレクタ30は、回動軸38を中心に回動するが、リフレクタ30の内面の回転対称軸と光軸14とが一致する場合、リフレクタ30は基準位置にあると呼ぶ。リフレクタ30は、樹脂、ガラスまたは金属等の材料により形成されており、内面に塗装または金属蒸着等が施されることにより、内面の反射率が高められている。リフレクタ30は、前方に開口面35を有しており、開口面35がレンズ20の入射面21よりも前方になるように配置されている。また、リフレクタ30は、回動軸38の方向の両端に回転保持部36、37を有し、片側の回転保持部36には駆動手段である駆動モータ50のモータ軸51が連結されている。この結果、駆動モータ50のモータ軸51を回転させることで、リフレクタ30は光軸14に垂直な回動軸38を中心に回動する。
リフレクタ30の内面形状は、第1の回転放物面31と第2の回転放物面32とを有している。第1の回転放物面31は、第2の回転放物面32よりも前方に設けられている。図2に示すように、第1の回転放物面31の光軸14に平行な断面形状は、光源10を焦点とする放物面形状を呈している。第1の回転放物面31には、開口面35が形成されており、光源10から出射された光は、開口面35を通って被照射面に照射される。第2の回転放物面32は、第1の回転放物面31の後方に接続されて光源10側に設けられている。第2の回転放物面32は、図2に示すように光軸14に平行な断面形状が、点P1を焦点とする放物面形状を呈している。
ここで、点P1は全反射面29を鏡映面とした光源10の鏡像位置であり、全反射面29は光軸14と垂直な平面であるので、点P1は光軸14上に存在する。第1の回転放物面31と第2の回転放物面32との接続部33は、破線A−Aで示したレンズ20の入射面21を延伸した仮想平面と、破線B−Bで示したレンズ20の全反射面29を延伸した仮想平面との間に位置する。
リフレクタ30は、回動軸38を中心に駆動モータ50からの動力により回動するが、図2では、回動軸38は点P1を通る軸としている。回動軸38が点P1を通る場合、リフレクタ30が回動しても、第2の回転放物面32の焦点は点P1の位置から変化しないため、第2の回転放物面32で反射されて被照射面に照射される光の配光は変化しない。この結果、リフレクタ30を回動した場合の配光の制御性が良くなる。
また、回動軸38は光源10を通る軸としてもよい。回動軸38が光源10を通る場合、リフレクタ30が回動しても、第1の回転放物面31の焦点は光源10の位置から変化しないため、第1の回転放物面31で反射されて被照射面に照射される光の配光は変化しない。この結果、リフレクタ30を回動した場合の配光の制御性が良くなる。
さらに、回動軸38は光源10と点P1とを結ぶ直線上の任意の位置を通る軸としてもよい。この場合、リフレクタ30が回動すると、第1の回転放物面31の焦点が光源10の位置から変化し、第2の回転放物面32の焦点が点P1の位置から変化する。しかし、それぞれの焦点位置の変化は共に、回動軸38が光源10と点P1とを結ぶ直線上を通らない場合に比べて小さいので、リフレクタ30を回動した場合の配光の制御性が良くなる。
つまり、リフレクタ30を回動した場合の配光の制御性を良くするために、回動軸38は、光源10と点P1とを結ぶ直線上であって光源10および点P1の位置を含む任意の位置を通る軸とすることが望ましい。
以上のように光源装置1は構成される。
次に本発明の光源装置1の動作について説明する。
図3は、本発明の実施の形態1における光源装置の光の経路を示す断面図である。図3(a)、図3(b)はともにy−z平面の断面図である。図3(a)はリフレクタ30が基準位置にある場合、図3(b)はリフレクタ30が基準位置より回動して光軸14から傾いた場合である。
図3で、折れ線矢印で示したL1、M1、S1は光源10の中心から出射された光の経路である。以下の説明では、光軸14に垂直な角度を0度として説明する。従って、光軸14の角度は90度である。L1、M1、S1はそれぞれ異なる角度で光源10から出射された光である。
まず、図3(a)に示すように、リフレクタ30が基準位置にある場合について説明する。
光源10からの出射角度が最も小さい光S1は、入光凹部24を通ってレンズ20の内部に進入する。入光凹部24は光源10を中心とした半球状の形状を呈しているため、光S1は入光凹部24でほとんど屈折せずに、そのままレンズ20の内部に進入する。レンズ20の内部に進入した光S1は側面23に到達し、側面23で屈折されてレンズ20から出射される。図3(a)に示すように、光S1は、レンズ20の側面23から紙面右斜め下方向、すなわち斜め前方に向かって出射される。側面23から出射した光S1は、主として第1の回転放物面31に到達する。第1の回転放物面31は光源10の位置に焦点を有するため、光S1は第1の回転放物面で反射されて、ほぼ平行光として開口面35を通ってリフレクタ30から出射され、被照射面に照射される。
光源10からの出射角度が中程度の光M1は、入光凹部24を通ってレンズ20の内部に進入する。光S1の場合と同様、光M1は入光凹部24でほとんど屈折せずに、そのままレンズ20の内部に進入する。レンズ20の内部に進入した光M1は全反射面29に到達し、全反射面29で全反射される。この結果、光M1は全反射面29を鏡映面とする光源10の鏡像位置にある仮想光源から出射された光とみなされる。全反射面29で全反射された光M1は、側面23に到達し、側面23で屈折されてレンズ20から出射される。図3(a)に示すように、光M1は、レンズ20の側面23から紙面右斜め上方向、すなわち斜め後方に向かって出射される。側面23から出射した光M1は、主として第2の回転放物面32に到達する。第2の回転放物面32は、全反射面29を鏡映面とした光源10の鏡像位置に焦点を有するため、光M1は第2の回転放物面で反射されて、ほぼ平行光として開口面35を通ってリフレクタ30から出射され、被照射面に照射される。
光源10からの出射角度が最も大きい光L1は、入光凹部24を通ってレンズ20の内部に進入する。光S1および光M1の場合と同様、光L1は入光凹部24でほとんど屈折せずに、そのままレンズ20の内部に進入する。レンズ20の内部に進入した光L1は出射屈折面28に到達する。出射屈折面28に到達した光は、前方に凸形状の曲面からなる出射屈折面28で集束方向に屈折され、ほぼ平行光として開口面35を通って出射し、被照射面に照射される。
次に、図3(b)に示すように、リフレクタ30が回動して光軸14から傾いた場合について説明する。
光源10からの出射角度が最も大きい光L1は、上述のようにレンズ20を通ってそのまま開口面35から出射されるので、光L1の経路はリフレクタ30の回動とは無関係であり、図3(a)のリフレクタ30が基準位置にある場合と同一である。
光源10からの出射角度が最も小さい光S1は、レンズ20の側面23から出射されるまでの経路は、上述の図3(a)のリフレクタが基準位置にある場合と同一である。側面23から出射した光S1は、主として第1の回転放物面31に到達する。図3(b)に示すようにリフレクタ30は、光軸14から紙面右斜め下方向、すなわち右斜め前方に傾いているので、第1の回転放物面31に到達した光S1は、第1の回転放物面31で反射され、開口面35を通って、光軸14から紙面右斜め下方向、すなわち右斜め前方に傾いた方向に向かって出射され、被照射面に照射される。
光源10からの出射角度が中程度の光M1も、レンズ20の側面23から出射されるまでの経路は、上述の図3(a)のリフレクタが基準位置にある場合と同一である。側面23から出射した光M1は、主として第2の回転放物面32に到達する。光S1の場合と同様、リフレクタ30が光軸14から傾いているので、第2の回転放物面32に到達した光M1は、第2の回転放物面32で反射され、開口面35を通って、光軸14から紙面右斜め下方向、すなわち右斜め前方に傾いた方向に向かって出射され、被照射面に照射される。
図4は本発明の実施の形態1における光源装置による配光パターンを示す模式図である。光源装置1により被照射面は、図4に示す配光パターンで照射される。
図4(a)は、図3(a)に示したリフレクタ30が基準位置にある場合の配光パターン、図4(b)は、図3(b)に示したリフレクタ30が光軸14から傾いている場合の配光パターンである。
図4(a)および図4(b)において、照射領域60は、図3で示した光L1により照射される領域であり、光軸14の近辺がリフレクタ30を介さずに光源装置1から出射された光L1により照射される。照射領域61は、図3で示した光M1およびS1により照射される領域であり、光M1および光S1がリフレクタ30で反射されて光源装置1から出射されるため、光軸14からのリフレクタ30の傾き角度に合わせて、照射領域61の位置が光軸14を基準とした位置から移動する。すなわち、回動軸38を中心にリフレクタ30を回動させることで、照射領域60の局所照明状態を維持したまま、照射領域61を照射する周囲光のみを変化させることができ、この結果、照射領域60の局所照明部分の照度を十分に高く維持しながら、自在に配光パターンを変化させることができる。
以上に説明したように、リフレクタ30が駆動モータ50により回動軸38を中心に回動し、リフレクタ30の光軸14からの傾き角度が変化するため、リフレクタ30に到達しない光L1の経路を変えずに、リフレクタ30で反射される光M1、光S1の経路を変化させることができる。この結果、照射領域60の局所照明部分の照度を十分に高く維持しながら、自在に配光パターンを変化させることができる。
また、本実施の形態1に係る光源装置1では、レンズ20は、光源10から出射された光の一部を全反射面29で反射させてリフレクタ30側に偏向する。すなわち、光源10から出射されて様々な方向に拡散する光をリフレクタ30側に偏向している。この結果、奥行き(y軸方向の長さ)が浅いリフレクタ30であっても光源10から出射された光を大量に取り込むことができ、リフレクタ30を小さくすることができる。従って、小型なリフレクタ30であっても配光パターンが変化する照射領域61の光による照度をも十分に高めることができ、小型、高効率な光源装置を得ることができる。
従来の一般的な光源装置においては、光源装置がレンズを有していている場合であっても、レンズは、光源から出射された光をリフレクタ側に偏向する機能を有していない。このため、図3で示したような光源からの出射角度が光S1より大きいが、直接被照射面側に出射される光L1より小さい、出射角度が中程度の光M1をリフレクタで反射させるには、従来の光源装置は、光M1をリフレクタ側に偏向するレンズを有しないため、リフレクタの前後方向の長さ、すなわちリフレクタの奥行きを深くしなければならなかった。
これに対し、本実施の形態1に係る光源装置1では、レンズ20は、光源10から出射された光を全反射してリフレクタ30側に偏向する全反射面29を有する。このため、リフレクタ30は、光源10から出射された光を大量に取り込むことができる。従って、リフレクタ30の奥行きを深くすることなく、照射される光の制御性を高めることができる。これにより、光源10から出射された光のうち、方向を制御して出射させる光の量を十分に確保して光の利用効率を高めつつ光源装置1を小型化することができるといった効果が得られる。
さらに、レンズ20は、全反射面29の内周側に、光源10から出射された光を屈折して被照射面側に出射する出射屈折面28を有する。このように、レンズ20はリフレクタ30側に光を偏向する全反射面29と、被照射面側に光を出射する出射屈折面28とを有し、光源10から出射された光をレンズ20とリフレクタ30とでそれぞれ制御するため、配光の制御性が高いといった効果が得られる。
また、本実施の形態1に係る光源装置1では、光源10からの光をリフレクタ30側に偏向する機能を有するレンズ20と、光軸14に垂直な回動軸38を中心に回動するリフレクタ30とを組み合わせ、リフレクタ30を回動させることでリフレクタ30を介して照射される光の照射領域61のみを変化させて、配光パターンを変化させることができる。このため、光軸14からのリフレクタ30の傾きに合わせて、周辺部の照射領域61の位置は変わるが、主にレンズ20の出射屈折面28から出射された光の照射領域60の位置は変わらない。この結果、局所照明部分の照度を十分に高く維持しながら、自在に配光パターンを変化させることができるといった効果が得られる。
なお、本実施の形態1では、駆動モータ50をリフレクタ30に連結して、リフレクタ30が回動するように構成したが、駆動モータ50は、光源10およびレンズ20との位置が固定されたヒートシンク40などに連結して、レンズ20を回動させてもよい。すなわち、レンズ20とリフレクタ30の相対位置が変化すればよい。
また、レンズ20に入射した光のうち、側面23から出射されてリフレクタ30側に向かう光の量と、出射屈折面28から出射されて被照射面側に向かう光の量との比率は、出射屈折面28と全反射面29の境界位置、および入光凹部24の形状を適宜設定することによって変更することができる。
また、レンズ20の出射面22は前方に凸形状の出射屈折面28を有するとしたが、全反射面29と同一平面となるように形成した出射屈折面であってもよい。図2に示したように、出射屈折面28が前方に凸形状の場合、出射屈折面28から出射される光は集束するように屈折するので、出射屈折面28からは平行光や集束光が出射される。一方、出射屈折面28が平面の場合、出射屈折面28から出射される光は拡散するように屈折するので、出射屈折面28からは拡散光が出射される。すなわち、出射屈折面28の形状は光源装置1の用途によって任意に選択することができる。また、全反射面29はレンズ20の外側に金属蒸着等の方法で形成した反射膜を有する平面であってもよい。
また、リフレクタ30の内面は、上述のように焦点位置が異なる2つの回転放物面を接続して構成したが、これに限るものではなく他の形状の曲面であってもよい。例えば、1つの焦点を有する回転放物面であってもよく、また、回転楕円面や回転双曲面など他の形状の曲面であってもよい。また、特定の焦点を有しないn次多項式(nは偶数)で表される形状の曲面であってもよい。すなわち、リフレクタ30の内面の形状は、光源装置1の配光制御性を考慮して選択してもよい。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2における光源装置を示す分解斜視図である。また、図6は、本発明の実施の形態2における光源装置の光の経路を示す断面図である。図5および図6において、図1および図2、図3と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、レンズの形状およびリフレクタの形状が相違し、リフレクタが駆動モータにより回動する構成は同じである。本実施の形態2では、実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。
図6は、図5で示した光源装置のy−z平面における断面図である。図6では、ワイヤ12、コネクタ13、駆動モータ50は省略して示した。図6(a)は、リフレクタ130が光軸14に対して傾いておらず基準位置にある場合、図6(b)は、リフレクタ130が光軸14から傾いている場合である。図中に記した折れ線矢印L2、M2、S2は、それぞれ光源10から異なる角度で出射された光の経路であり、光源10からの出射角度が最も小さい光がS2、出射角度が中程度の光がM2、出射角度が最も大きい光がL2である。
まず、レンズ120およびリフレクタ130の形状について説明する。
レンズ120は、光軸14を対象軸とする回転対称の円柱状の形状を呈している。図6に示すように、レンズ120は、基板11の光源10が実装された面に対向し、光源10から出射された光が入射する入射面121を円柱状のレンズ120の背面側の底面に有している。また、レンズ120の内部に入射した光の一部が出射する出射面122を円柱状のレンズ120の前面側の底面に有している。さらに、レンズ120の内部に入射した光の一部が出射する側面123を円柱状のレンズ120の側面に有している。
入射面121は、入光凹部124と第2の凹部150とを有している。入光凹部124は、傾斜面125と底面126とを有している。入光凹部124は、被照射面側を上底面、光源10側を下底面とする円錐台状の形状をしており、円錐台の側面が傾斜面125を構成し、円錐台の上底面が底面126を構成している。光源10から出射された光は、入光凹部124に入射し、レンズ120の内部に進入する。
第2の凹部150は、入光凹部124の外周に設けられており、内周側部に第1の屈折面151、底部に第2の屈折面152および外周側部に第3の屈折面153を有している。第1の屈折面151は、後方から前方に向かうに従い光軸14から遠ざかるように傾斜した面である。第2の屈折面152は、光軸14から遠ざかるに従い後方側に傾斜した面である。第3の屈折面は光軸14に平行な面である。傾斜面125からレンズ120の内部に入射した光は、第2の凹部150により屈折され、出射面122側または側面123側に偏向される。
出射面122は、光源10側を上底面とする円錐台状の第3の凹部127を有している。図6に示すように、出射面122の全面に第3の凹部127が設けられている。第3の凹部127は、出射屈折面128と全反射面129とを有している。出射屈折面128は、第3の凹部127を形成する円錐台の上底面であり、全反射面129は円錐台の側面である。出射屈折面128は、入光凹部124からレンズ120内に入射した光の一部を出射し、被照射面に照射する。また、全反射面129は、入光凹部124からレンズ120内に入射した光の一部を全反射し、側面123側に偏向し、側面123から出射させる。すなわち、側面123から出射される光は、光軸14の動径方向に出射される。
リフレクタ130は、内面が回転楕円面の形状を呈している。図6に示す点P2は、リフレクタ130の内面の回転楕円面の第1焦点である。レンズ120は、点P2が全反射面29で反射される光の仮想光源位置となるように設計される。リフレクタ130は、回動軸138を中心に駆動モータ50により回動されるが、回動軸138は、リフレクタ130の内面の第1焦点位置である点P2を通る軸であってよい。回動軸138がリフレクタの焦点位置を通る場合には、リフレクタ130が回動しても焦点位置が変わらず、リフレクタ130で反射される光の制御性が良いためである。
次に、本発明の実施の形態2に係る光源装置100の動作について説明する。
図6(a)および図6(b)から分かるように、光源10から出射された光L2、M2、S2の経路は、レンズ120から出射されるまでは同じである。
光源10からの出射角度が最も小さい光S2は、入光凹部124の傾斜面125からレンズ120の内部に入射する。光S1は、傾斜面125で屈折され、その後、第2凹部150の第1の屈折面151で屈折されて、さらに、第2の屈折面152で屈折され、第3の凹部127の全反射面129に入射する。そして、光S2は、全反射面129で全反射され、レンズ120の側面123によって斜め後方に出射される。すなわち、図6に示すように側面123から紙面右斜め上方向に出射される。側面123から出射した光S2は、リフレクタ130に到達し、リフレクタ130で反射され、回転楕円面であるリフレクタ130の第2焦点に向かって集束する光として、開口面135から出射される。
光源10からの出射角度が中程度の光M2は、入光凹部124の傾斜面125からレンズ120の内部に入射する。光M2は、傾斜面125で屈折され、その後、第2の凹部150を介さず、第3の凹部127の全反射面129に入射する。そして、光M2は、全反射面129で全反射され、レンズ120の側面123からほぼ水平に出射される。側面123から出射した光M2は、リフレクタ130に到達し、リフレクタ130で反射され、リフレクタ130の第2焦点に向かって集束する光として、開口面135から出射される。
光源10からの出射角度が最も大きい光L2は、入光凹部124の底面126からレンズ120の内部に入射する。光L2は、底面126で屈折され、その後、第3の凹部の出射屈折面128で屈折され、発散光として開口面135から出射される。すなわち、光L2は、レンズ120の出射屈折面128から出射されるので、リフレクタ130の内面で反射されることなく、開口面135を通って被照射面に照射される。
図6に示すように、図6(a)のリフレクタ130が基準位置にある状態から、図6(b)のリフレクタ130が光軸14に対して傾いた状態に変化することで、リフレクタ130を介さずに照射される光L2の経路は変化しないが、リフレクタ130で反射されて照射される光M2、S2の経路は変化する。
図7は、本発明の実施の形態2における光源装置による配光パターンを示す模式図である。光源装置100により被照射面は、図7に示す配光パターンで照射される。
図7(a)は、図6(a)に示したリフレクタ130が基準位置にある場合の配光パターン、図7(b)は、図6(b)に示したリフレクタ130が光軸14から傾いている場合の配光パターンである。
図7(a)および図7(b)において、照射領域160は、図6で示した光L2により照射される領域であり、光軸14を中心に広い範囲が、リフレクタ130を介さずにレンズ120のみを通過した光L2により照射される。すなわち、周囲光が光L2により形成される。照射領域161は、図6で示した光M2およびS2により照射される領域である。照射領域161は、レンズ120によりリフレクタ130側に偏向された光M2および光S2がリフレクタ130で反射されて照射されるため、リフレクタ130の光軸14からの傾き角度に合わせて、照射領域161の位置が光軸14を基準とした位置から移動する。すなわち、回動軸138を中心にリフレクタ130を回動させることで、周囲光の照射領域161の位置を変化させずに、照射領域161による局所照明の位置を変化させることができる。この結果、照射領域161による局所照明部分の照度を十分に高く維持しながら位置を移動させて、自在に配光パターンを変化させることができる。
以上のように、本実施の形態2に係る光源装置100は、光源10から出射された光の一部を、レンズ120の全反射面129で反射してリフレクタ130側に偏向し、リフレクタ130で反射して、被照射面に照射する。レンズ120は、傾斜面125からレンズ120内に入射した光を屈折する第2の凹部150を有しており、第2の凹部150は、入光凹部124から側面123に向かう光路の途中に設けられている。このため、光源10から出射された光が全反射面129に到達することなく、直接側面123に到達することを抑制することができる。この結果、リフレクタ130で反射された光は、主として全反射面129で反射された光となるため、リフレクタ130の焦点を全反射面129で反射される光の仮想光源に設定して、配光の制御性を良くすることができるといった効果が得られる。さらに、全反射面129で反射される光の仮想光源の位置にリフレクタ130を回動する回動軸138を設定することで、リフレクタ130が回動した場合であっても、配光の制御性を良くすることができるといった効果が得られる。
また、上述のように、リフレクタ130に到達する光の大部分は、全反射面129によって反射された光である。この結果、全反射面129で反射されて、側面123から出射される光は、レンズ120の斜め後方に向かって出射される。従って、リフレクタ130が奥行きの浅い薄型のリフレクタであっても、光源10から出射された光をより大量に取り込むことができるので、リフレクタ130を小さくすることができる。この結果、光源装置100を、光源10から出射された光のうち、照射方向を制御できる光の量を十分に確保して光の利用効率を高めつつ、小型化することができるといった効果が得られる。
なお、入光凹部124の傾斜面125と底面126の境界位置を変更することにより、リフレクタ130を介さずに照射される照射位置が変化しない光と、リフレクタ130で反射されて照射される照射位置が変化する光の比率をコントロールすることができる。
また、本実施の形態2では、リフレクタ130の内面形状が回転楕円面である場合について説明したが、リフレクタ130の内面形状は、回転楕円面に限るものではなく、回転放物面や回転双曲面など焦点を有する他の曲面であってもよい。さらに、n次多項式(nは偶数)で表される焦点を有しない曲面であってもよい。これら内面の形状が回転楕円面とは異なるリフレクタを用いた場合には、図7で示した配光パターンのうち、照射領域161の形状が異なり、図7とは違った照射領域161の形状で、自在に配光パターンを変化させることができる。
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3における光源装置を示す分解斜視図である。図8において、図1と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、レンズおよびリフレクタの形状と、レンズとリフレクタとの相対位置が光軸に沿った前後方向に変化する構成とが相違している。本実施の形態3では、実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。
図8に示すように、光源装置200は、ヒートシンク40に固定される直線歯形の歯車であるラック53と、駆動モータ50のモータ軸51に取付けられた歯車52とを備えている。駆動モータ50のモータ軸51が回転すると、歯車52はラック53を光軸14に平行な前後方向に移動させる。これにより、ラック53に固定されたヒートシンク40と、ヒートシンク40に対して位置が固定された光源10、基板11、レンズ220も光軸14に沿って前後方向に移動する。
なお、図8ではラック53をヒートシンク40に固定して光源10を光軸14に沿って前後方向に移動させているが、ラック53をリフレクタ230に固定してリフレクタ230を光軸14に沿って前後方向に移動させてもよい。また、ラック53を取りつける場所は、ヒートシンク40やリフレクタ230に限らず、他の場所であってもよい。さらに、ヒートシンク40やリフレクタ230を前後方向に始動させる構成は、ラック53と歯車52とを用いた構成に限らず、例えば、ボールねじを用いて前後方向に移動させる構成など他の構成であってよい。すなわち、レンズ220とリフレクタ230との相対位置が可動な構成であればよい。
図8に示すように、レンズ220とリフレクタ230とは、光軸14を対称軸とした回転対称の形状を呈している。リフレクタ230の内面は、焦点を有する回転放物面の形状を呈している。なお、本実施の形態3では、リフレクタ230の内面が回転放物面である場合について説明するが、回転楕円面、回転双曲面あるいはn次多項式(nは偶数)で表される形状の曲面であってもよい。
図9および図10は、本発明の実施の形態3における光源装置の光の経路を示す断面図である。図9および図10は、図8で示した光源装置200のx−y平面における断面図である。図9および図10では、ワイヤ12、コネクタ13、駆動モータ50、歯車52、ラック53は省略して示した。図中、折れ線矢印で示したS3、L3は、それぞれ光源10から異なる角度で出射された光の経路であり、光源10からの出射角度が小さい光がS3、出射角度が大きい光がL3である。
図9(a)、図9(b)、図10(a)および図10(b)は、それぞれ光源10およびレンズ220とリフレクタ230との相対位置が異なる。図9および図10に示すように、光源10、基板11、ヒートシンク40、レンズ220は、一体部215を構成し、一体部215が光軸14に沿って前後方向に移動する。
図9(a)は、内面が回転放物面であるリフレクタ230の焦点が、光源10の発光中心に位置する場合である。本実施の形態3では、一体部215が図9(a)の位置にある状態を基準位置にあると呼び、光源10の発光中心がリフレクタ230の焦点に存在する位置を基準位置と呼ぶ。図9(b)は、一体部215が基準位置よりも後方に移動した場合、図10(a)は、一体部215が基準位置よりも前方に移動した場合、図10(b)は、一体部215が図10(a)よりもさらに前方に移動した場合である。
まず、図9(a)を用いて、レンズ220の形状について説明する。レンズ220は、前方すなわち被照射面側に上底面を有する円錐台状の形状をしている。円錐台の下底面側に入射面221、円錐台の上底面側に出射面222、円錐台の側面に側面223を有する。
入射面221には、光源10側に凹形状の入凹部224が設けられ、入光凹部224の形状は光軸14を中心軸とする円柱状となっている。円柱状の入光凹部224は、入光側面225と入光底面226とを有している。出射面222は、前方に凸形状の滑らかな曲面を呈している。これにより、出射面222から出射される光は集束方向に屈折される。
レンズ220は、前方に上底面を有する円錐台状の形状を呈しているため、側面223と、入光側面225との間の幅は、レンズ220の前面側から背面側に向かうに従って大きくなっている。これにより、入光側面225から入射した光が側面223から出射する際に、光源10からの出射角度よりも小さい角度に屈折される。すなわち、入光側面225から入射した光は、後方側に屈折されて側面223から出射される。つまり、入光側面225から入射した光は、光軸14の動径方向に出射される。
以上のように光源装置200は構成される。
次に、光源装置200の動作について説明する。
まず、図9(a)の一体部215が基準位置にある場合について説明する。図9(a)に示すように、光源10からの出射角度が小さい光S3は、入光凹部224の入光側面225に入射する。入光側面225は、光軸14に平行な面であるので、光S3は、後方側に屈折されてレンズ220の内部を進入し、側面223に到達する。側面223は、光軸14との間の距離が後方に向かうに従い大きくなるように傾いた面であるので、側面223から出射する光S3は、後方側に屈折される。この結果、光S3の出射角度は、光源10から出射された際の出射角度よりも小さくなる。そして、側面223から出射された光S3は、リフレクタ230に到達し、リフレクタ230で反射され、開口面235を通って被照射面側に出射される。光S3は、レンズ220により出射角度を小さくされるため、リフレクタ230に入射する光S3の仮想光源の位置は、光源10の位置より前方になる。ここで、仮想光源の位置とは、レンズ220が存在しないと仮定した場合に、リフレクタ230に入射する光S3の出射角度と同じ角度で光S3を出射する光軸14上の仮想の光源の位置である。この結果、リフレクタ230で反射された光S3は、平行光ではなく、少し集束された光となって、被照射面に照射される。
光源10からの出射角度が大きい光L3は、入光凹部224の入光底面226に入射する。入光底面226に入射した光L3は、集束方向に屈折されて、レンズ220の内部に進入し、出射面222に到達する。出射面222は前方に凸形状の滑らかな曲面であるため、光L3はさらに集束方向に屈折されて、出射面222から出射され、ほぼ平行光となって開口面235を通り、被照射面側に出射される。このように、光源10から出射されて入光底面226に入射した光L3は、リフレクタ230の内面で反射されることなく、被照射面に照射される。
次に、図9(b)の一体部215が基準位置よりも後方に移動した場合について説明する。図9(b)に示すように、一体部215が基準位置よりも後方に移動した場合であっても、光源10とレンズ220との位置は変化しないので、光源10から出射された光が、レンズ220に入射して、レンズ220から出射するまでの経路は、図9(a)の場合と同じであるので、レンズ220から出射するまでの経路については説明を省略する。また、光源10からの出射角度が大きい光L3は、リフレクタ230を介さずに、レンズ220から出射して、直接被照射面に照射されるので、図9(a)の場合と同じであり、光L3の経路については説明を省略する。図10(a)、図10(b)についても同様である。
図9(b)に示すように、光S3は、レンズ220により光源10から出射した際の出射角度よりも小さい出射角度に屈折されて、レンズ220から出射される。従って、レンズ220から出射された光S3の仮想光源の位置は、図9(b)の光源10の位置よりも前方となり、リフレクタ230の焦点位置に一致する。この結果、レンズ220から出射されてリフレクタ230に到達した光S3は、リフレクタ230で反射されて、平行光となって開口面235から出射され、被照射面に照射される。
次に、図10(a)の一体部215が基準位置よりも前方に移動した場合と、図10(b)の一体部215が図10(a)に示す位置よりもさらに前方に移動した場合とについて説明する。
図10(a)の一体部215が基準位置よりも前方に移動した場合には、リフレクタ230の焦点位置は、レンズ230から出射された光S3の仮想光源の位置よりも後方になるため、リフレクタ230で反射された光は、集束光となって開口面235から出射され、被照射面に照射される。
図10(b)の一体部215が図10(a)に示す位置よりもさらに前方に移動した場合には、レンズ230から出射された光S3は、リフレクタ230に到達する前に、開口面235から出射される。この結果、レンズ230から出射された光S3は、発散光となって被照射面に照射される。
図11は、本発明の実施の形態3における光源装置による配光パターンを示す模式図である。図11(a)は図9(a)の一体部215が基準位置にある場合の配光パターン、図11(b)は図9(b)の一体部215が基準位置より後方に移動した場合の配光パターン、図11(c)は図10(a)の一体部215が基準位置より前方に移動した場合の配光パターン、および、図11(d)は図10(b)の一体部215が図10(a)の位置よりもさらに前方に移動した場合の配光パターンである。
図11において、照射領域260は、レンズ220の出射面222から出射されてリフレクタ230を介さずに出射される光L3により照射される領域であり、照射領域261は、レンズ220の側面223から出射されてリフレクタ230に反射されて、あるいはリフレクタ230に到達せずに出射される光S3により照射される領域である。
図11(a)〜(d)に示すように、光軸14の付近はリフレクタ230を介さずに光源装置200から出射した光L3により照射されるので、一体部215が移動しても照射領域260は変化しない。一方、照射領域260の周囲は、リフレクタ230に反射されて、あるいはリフレクタ230に到達せずに出射される光S3により照射されるので、一体部215の移動に伴い照射領域261が変化する。すなわち、照射領域260の局所照明状態を維持したまま、照射領域261を照射する周囲光のみを変化させることができる。この結果、照射領域260の局所照明部分の照度を十分に高く維持しながら、自在に配光パターンを変化させることができる。
以上のように本発明の実施の形態3に係る光源装置によれば、レンズ220とリフレクタ230との相対位置を変化させることによって、局部照明部分の照度を一定に維持しつつ自在に配光パターンを変化させることができるといった効果が得られる。また、レンズ220の入光側面225と側面223との間の幅を後方に向かうに従って大きくなるようにしたので、光源10から出射され入光側面225に入射した光を、リフレクタ230に向かう方向に屈折させてレンズ220から出射するので、小型なリフレクタ230であっても大量に光を取り込むことができ周囲光の照度を十分に高くすることができるといった効果が得られる。
実施の形態4.
図12は、本発明の実施の形態4における光源装置を示す分解斜視図である。また、図13は、本発明の実施の形態4における光源装置を示す正面図および断面図である。図12および図13において、図1と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、レンズの形状およびリフレクタの形状が相違している。本実施の形態4では、実施の形態1と相違する部分について説明し、同一または対応する部分についての説明は省略する。なお、図12では駆動モータ50を省略して示し、図13では、ワイヤ12、コネクタ13、駆動モータ50を省略して示した。
図13(a)は、光源装置300の正面図である。また、図13(b)は、光源装置300のx−y平面における断面図、図13(c)は、光源装置300のy−z平面における断面図である。
図12に示すように、光源装置300のリフレクタ330は、回転保持部336に駆動モータ50のモータ軸51が連結されており、駆動モータ50の動力によりリフレクタ330が回動軸338を中心に回動する。なお、実施の形態1の図1では回動軸をx軸方向にとって示したが、本実施の形態4の図12では回動軸338をz軸方向にとって示した。x軸、z軸は共に、光軸14の方向であるy軸に垂直な軸であり、本実施の形態4の光源装置300にあっても回動軸338は光軸14に垂直な軸である。
図13(b)および図13(c)に示すように、レンズ320は、入光凹部322と、出射面328と、側面325とを備えている。入光凹部322は、レンズ320の背面側に円柱状の凹部を形成して構成される。円柱状の入光凹部322は、入光側面323と入光底面324を有し、入光底面324は光源10側に凸形状の滑らかな曲面を呈している。出射面328は、光軸14に垂直な平面である。
側面325は、レンズ320の表面のうち、入光凹部324の入光側面323と入光底面324および出射面328を除く残りの面である。図13(b)に示すように、側面325は、z軸方向に平行な平面を有し、残りの部分が曲面となっている。側面325の曲面部分は反射側面326であり、光源10の発光中心に焦点を有する回転放物面の形状を呈した全反射面である。反射側面326は、反射側面326の入光凹部324との境界位置での垂線と、この境界位置と光源10とを結ぶ直線との間の角度を、全反射角以上となるように形成することで全反射面にすることができる。また、反射側面326の表面に金属蒸着等により反射膜を形成して全反射面にしてもよい。一方、側面325の平面部分は屈折側面327であり、レンズ320に入射した光を屈折させて、光軸14の動径方向に出射する。屈折側面327は、レンズ320の前面側から背面側に向かうに従って、光軸14との距離が大きくなるように傾斜している。
リフレクタ330の内面は、回転双曲面の形状を呈する曲面部331と、x軸方向に平行な平面部332で構成される。なお、曲面部331は、回転双曲面に限らず、回転放物面や回転楕円面あるいはn次多項式(nは偶数)で表される他の形状の曲面であってもよい。本実施の形態4では、曲面部331を形成する回転双曲面の対称軸と光軸14とが一致した場合を、リフレクタ330が基準位置にあると呼ぶ。図13(b)および図13(c)に示したリフレクタ330は基準位置にある。
図13に示すように、リフレクタ330の曲面部は、レンズ320の屈折側面327に対向して配置され、リフレクタ330の平面部は、レンズ320の反射側面326に対向して配置される。
次に、本実施の形態4の光源装置300の動作について説明する。
図14および図15は、本発明の実施の形態4における光源装置の光の経路を示す断面図である。図14は、リフレクタ330が基準位置にある場合を示す断面図であり、図15は、リフレクタ330が光軸14から傾いた位置にある場合を示す断面図である。また、図14(a)および図15(a)は、x−y平面における断面図、図14(b)および図15(b)は、y−z平面における断面図である。
図中に示した折れ線矢印は、光源10から出射された光の経路であり、光源10からの出射角度が最も小さい光がS4、光源10からの出射角度が中程度の光がM4、光源10からの出射角度が最も大きい光がL4である。
まず、図14(a)のリフレクタ330が基準位置にある場合のx−y平面における各光の経路について説明する。光源10からの出射角度が最も小さい光S4は、入光側面323に入射して後方側に曲がるように屈折し、レンズ320の内部に進入する。レンズ320内に入射した光S4は、反射側面326に到達し、反射側面326で全反射されて、ほぼ平行光になって出射面328から出射される。レンズ320から出射した光S4は、開口面325を通って、被照射面に照射される。
光源10からの出射角度が中程度の光M4は、入光側面323に入射して後方に曲がるように屈折し、レンズ320の内部に進入する。レンズ320内に入射した光M4は、屈折側面327に到達し、屈折側面327で屈折されて、レンズ320の外部へ出射される。レンズ320の周囲にはリフレクタ330が設置されているため、光M4はリフレクタ330の曲面部331で反射される。曲面部331は回転双曲面の形状を呈しているため、光M4は発散光となり、開口面335を通って、被照射面に照射される。
光源10からの出射角度が最も大きい光L4は、入光底面324に入射して集束する方向に屈折し、ほぼ平行光になってレンズ320の内部に進入する。レンズ320内に入射した光L4は、出射面328から出射し、平行光で開口面325を通って、被照射面に照射される。
次に、図14(b)のリフレクタ330が基準位置にある場合のy−z平面における各光の経路について説明する。光源10から出射された光S4と光M4とは共に、入光側面323に入射して屈折し、レンズ320の内部に進入する。そして、反射側面325に到達し、反射側面325で前方に反射され、出射面328から出射する。光S4と光M4とは、ほぼ平行光になって開口面335を通って、被照射面に照射される。
光源10から出射された光L4は、入光底面324に入射して集束する方向に屈折してほぼ平行光になり、出射面328から出射され、開口面325を通って、被照射面に照射される。すなわち、y−z平面においては、光源10から出射された全ての光が、リフレクタ330を介さずに出射され、平行光になって光源装置300から出射される。
次に、図15のフレクタ330が光軸14から傾いた位置にある場合について説明する。リフレクタ330はx軸方向に対して傾くように構成されているので、図15(b)に示すy−z断面は、図14(b)と同一である。従って、図15(b)の光の経路についての説明は省略する。
図15(a)において、リフレクタ330を介さず、レンズ320から出射される光S4および光L4は、図14(a)で説明した光S4および光L4と同じ経路で出射され、被照射面に照射される。一方、光M4は、レンズ320から出射されるまでの経路は図14(a)で説明した光M4と同一であるが、リフレクタ330が光軸14から傾いているので、リフレクタ330に到達して、リフレクタ330で反射される方向が、図14(a)の場合とは異なる。すなわち、図14(a)の場合よりも、リフレクタ330が光軸14から傾いている方向に、光L4も傾いて反射される。この結果、リフレクタ330の傾きに合わせて、x−y平面の光M4による照射領域のみが変化する。
図16は、本発明の実施の形態4における光源装置による配光パターンを示す模式図である。図16(a)は、図14で示したリフレクタ330が基準位置にある場合の配光パターンであり、図16(b)は、図15で示したリフレクタ330が光軸14から傾いた位置にある場合の配光パターンである。
図15において、照射領域360は、リフレクタ330を介さずに光源装置300から出射した光による照射領域であり、具体的には、光源10から出射された後、レンズ320の入光底面324に入射して、集光されて出射面328から出射した光、および、入光側面323から入射して、反射側面326で反射されて集光されて出射面328から出射した光による照射領域である。照射領域361は、リフレクタ330で反射されて光源装置300から出射した光による照射領域であり、具体的には、光源10から出射された後、入光側面323から入射して、屈折側面327から出射して、リフレクタ330で反射された光による照射領域である。
図15に示すように、光軸14の近辺の照射領域360は、リフレクタ330を傾けても変化しないが、照射領域360の紙面左右外側の照射領域361は、リフレクタ330を傾けることによって位置が変化する。すなわち、回動軸338を中心にリフレクタ330を回動させることによって、照射領域360による局部照明部分の位置と照度とを一定に保ったまま、照射領域361による周囲光の位置を変化させて配光パターンを自在に変化させることができる。
なお、上述の説明から分かるように、本実施の形態4の光源装置300では、リフレクタ330の平面部332には光は入射しない。すなわち、平面部332は光学的には不要な部分である。従って、平面部332は、反射率が低くてもよく、切り欠きとなっていてもよい。また、平面部332を形成せず、リフレクタ330全体を曲面部331とした回転対称の形状としてもよい。ただし、平面部332は光学的には不要な部分であるので、リフレクタ330を回転対称の形状にするよりも、平面部332を形成した方が、z軸方向のリフレクタ330の幅を小さくできるので、光源装置300の小型化が図れるといった効果が得られる。
図17は、本発明の実施の形態4における照明装置を示す模式断面図である。図17は、本実施の形態4で説明した光源装置300を自動車のヘッドランプに用いた照明装置を示す模式断面図である。
ヘッドランプである照明装置2は、光源装置300と電源装置3とを備えており、光源装置300と電源装置3とがケーブル4により接続されている。ケーブル4は、電源装置3から光源装置300に電力と制御信号を供給する。照明装置2は、自動車6の前面側に設けられ、光源装置300から照射された光が、自動車6の進行方向の道路を照明する。電源装置4は、自動車6の舵角を制御する制御装置に接続されており、自動車6の舵角に合わせて光源装置300のリフレクタ330を回動させる制御信号を光源装置300に出力する。
図18は、本発明の実施の形態4における照明装置による配光パターンを示す模式図である。図18は、ヘッドランプである照明装置2が自動車6の進行方向の道路370を照明する場合の配光パターンである。図18(a)は自動車6が直線道路を走行している場合であり、図18(b)は自動車6がカーブを走行している場合である。自動車6は、道路370のセンターライン371より左側を紙面上側に向かって走行している。
図18(a)の直線道路を走行している場合には、自動車6のハンドルは切られていないので、電源装置4はリフレクタ330が基準位置になるように、光源装置300に制御信号を出力する。これにより、リフレクタ330は基準位置になるように制御され、図18(a)に示す配光パターンで道路370が照明される。
図18(b)のカーブを走行している場合には、自動車6のハンドルは右方向に切られるので、自動車6の制御装置は舵角が右方向であることを電源装置4に伝達し、電源装置4は、リフレクタ330が光軸14に対して右方向に傾くように、光源装置300に制御信号を出力する。これにより、リフレクタ330は光軸14に対して右方向に傾くように回動し、図18(b)に示す配光パターンで道路370が照明される。
自動車6のヘッドランプが、光源装置300を備えた照明装置2で構成されることにより、自動車6がカーブを走行する際に、ハンドル操作に合わせて光源装置300の配光パターンが変化するので、運転手の正面方向の明るさを変化させずに、リフレクタ330で反射させた周囲光により自動車6の進行方向を照明することができ、カーブ走行時の視認性を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態4に係る光源装置300によれば、光源10から出射された光のうち、リフレクタ330を介さずにレンズ320のみで配光パターンを制御された光による照射領域360の位置および形状を変化させずに、リフレクタ330の傾きに合わせて周囲光の照射領域361の位置のみを変化させて全体的な配光パターンを自在に制御できるといった効果が得られる。
また、レンズ320の側面325のうちの一部が全反射する反射側面326となっているため、リフレクタ330の反射側面326に対向する位置は光学的に不要となり、この部分を平面部332あるいは切り欠きとすることでリフレクタ330を小さくして、小型な光源装置を得ることができるといった効果が得られる。
さらに、レンズ320に入射した光が、レンズ320でリフレクタ330側に屈折されてレンズ320から出射されるため、光の取り込み量を保ったままリフレクタ330の奥行きを浅くすることができ、小型な光源装置でありながら自在に配光パターンを変化させることができるといった効果が得られる。
なお、レンズ320の出射面328から出射される光と、レンズ320の屈折側面327から出射された後にリフレクタ330で反射される光との比率は、レンズ320の入光凹部324の形状、あるいは、側面322における反射側面326と屈折側面327との面積比率を適宜設定することによって変更することができる。
実施の形態5.
図19は、本発明の実施の形態5に係る照明装置を示す斜視図である。図19に示す照明装置2は、実施の形態1で説明した光源装置1を備えている。なお、本実施の形態5では照明装置2が実施の形態1で説明した光源装置1を備える場合について説明するが、実施の形態2から4で説明した光源装置を備えていてもよい。
照明装置2は、光源装置1と、光源装置1に電力や制御信号を供給する電源装置3と、光源装置1と電源装置3を電気接続するケーブル4と、光源装置1の出射面であるリフレクタ30の開口面35を除く外側を覆う筐体5とを備えている。なお、照明装置2が、例えば天井に埋め込まれて設置される場合には、筐体5は必ずしも必要ではなく、筐体5を備えない照明装置2であってもよい。
電源装置3は、系統電源の交流電力を直流電力などの光源装置1が備える光源の点灯および駆動モータの駆動に適した電力に変換し、また、光源の調光と駆動モータの回転制御を行う制御信号を出力する。電源装置2は、光源装置1の点灯、消灯、調光、および配光パターンの制御を指示するコントローラ(図示せず)から、有線または無線により信号が伝達されて、この信号による指示に基づき光源装置1を制御する。使用者は、コントローラを介して照明装置2を制御する。
以上のように照明装置2は構成されているので、使用者はコントローラを操作することによって、照明装置2による照明の配光パターンを自在に変化させることができる。
なお、本発明の実施の形態1〜5においては、光源10がLEDである場合について説明したが、光源10はLEDに限るものでなく、例えばLD(Laser Diode:レーザダイオード)やハロゲンランプなど他の種類の光源であってもよい。また、光源10は複数個用いてもよく、光軸14を中心に円形状、矩形状あるいは多角形状に配置してもよい。
また、被照射面の色むらや照度むらを改善するために、レンズやリフレクタの表面の全部または一部に、シボ加工等の光拡散処理を施してもよい。さらに、駆動手段は駆動モータに限るものではなく、例えばバネと電磁石とを用いた駆動手段等、他の駆動手段であってもよく、手動であってもよい。