ところで、上述した閉じ断面形状の本体部材の内部に補強部材を配設する形態のバンパリインフォースメントにあっては、補強部材は長尺状の本体部材の中央部位置に配設される。そして、補強部材は本体部材の強度を補強する観点から補強部材全体の強度は、同じ強度とされている。そのため、衝突荷重が加わる本体部材の面状板部材と、補強部材の前部面板部位との重ね合わせ箇所の強度(剛性)が必要以上に強くなることがある。この衝突荷重が加わる重ね合わせ箇所の強度(剛性)が強すぎると、衝突荷重が加わる箇所に応力集中が生じ、当該箇所で座屈を生じる。その結果、当該箇所が折損して、バンパリインフォースメントを通じて衝突荷重がクラッシュボックスに効果的に伝達されないという問題を生じることがある。
また、補強部材には、断面ハット型の主体部材における開口側の上側面板部位及び下側面板部位に面して配設される、上支持板部位及び下支持板部位が設けられている。これにより、衝突荷重が加わった際、主体部材における上側面板部位及び下側面板部位の内方への変形移動を防止ないし抑制して、バンパリインフォースメントの断面崩れを防止ないし抑制するようにしている。しかし、補強部材における支持板部位の強度(剛性)が弱いと、主体部材における上側面板部位及び下側面板部位の内方への変形移動を充分に防止ないし抑制することができなくて、バンパリインフォースメントの断面崩れを生じることがある。
以上のことから、本発明者は、補強部材の強度(剛性)の特性として、衝突荷重が加わる前部面板部位は相対的に弱い強度(剛性)とし、断面崩れを防止ないし抑制する支持板部位は相対的に強い強度(剛性)とすることが必要とされることに到達した。
本発明は上述した点に鑑みて創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、次の2点にある。
第1点は、補強部材を支持板部位で分割構成することにより、補強部材の衝突荷重が加わる前部面板部位の強度(剛性)を、他の部位の強度より相対的に弱くして、応力集中及びそれに伴う座屈が生じるのを防止ないし抑制することにある。その結果、バンパリインフォースメントの折損を防止ないし抑制する。
第2点は、補強部材を支持板部位で分割構成し、その分割構成箇所を重ね合わせ構成とすることにより、当該支持板部位の強度(剛性)を、他の部位の強度より相対的に強くして、主体部材における上側面板部位及び下側面板部位の内方への変形移動を防止ないし抑制し、バンパリインフォースメントの断面崩れを防止ないし抑制することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るバンパリインフォースメントは、次の手段をとる。
なお、本発明の説明(後述の実施形態の説明、及び前述の背景技術の説明も同様)において、各部材及び部位の接頭に付する「前・後」の区別表示は、バンパリインフォースメントを自動車に装着した状態における、自動車の前進及び後進の進行方向で見た相対的位置関係を示す。同様に、「上・下」区別表示も、高さ方向で見た相対的位置関係を示す。
本発明の第1の発明は、車幅方向に配設される長尺形状の本体部材は、断面ハット型形状の主体部材と、該主体部材の開口側に該主体部材の開口部を閉鎖するように配設されて当該本体部材を閉じ断面形状とする面状板部材とから成り、該閉じ断面形状の本体部材の内部に断面台形状の補強部材が配設され、前記面状板部材が荷重の入力側となるように配設されるバンパリインフォースメントであって、前記断面台形状の補強部材は、前記断面ハット型形状の主体部材における開口側の上側面板部位及び下側面板部位に面して配設されるとともに、該主体部材の上側面板部位及び下側面板部位の内方への変形を抑制する上支持板部位及び下支持板部位で分割されて、前記本体部材の面状板部材に面して配設される前側補強体と、前記断面ハット型形状の主体部材の後側面板部位に面して配設される後側補強体とで形成されており、前記前側補強体の強度は前記後側補強体の強度より弱くされており、且つ前記前側補強体と前記後側補強体は前記分割箇所で接合されて一体化されているバンパリインフォースメントである。
上記第1の発明によれば、補強部材は上支持板部位と下支持板部位で分割されて、本体部材の面状板部材に面して配設される前側補強体と、断面ハット型形状の主体部材の後側面板部位に面して配設される後側補強体とで構成される。そして、前側補強体の強度は後側補強体の強度より弱くされている。これにより、補強部材の荷重の入力側となる前部面板部位の強度(剛性)を、他の部位(後側補強体)の強度より相対的に弱くされる。その結果、応力集中及びそれに伴う座屈が生じるのを防止ないし抑制し、バンパリインフォースメントの折損を防止ないし抑制する。
本発明の第2の発明は、上述した第1の発明のバンパリインフォースメントであって、前記前側補強体と前記後側補強体との上支持板部位及び下支持板部位における分割箇所は、前記前側補強体と前記後側補強体が重ね合わされて配設されており、該重ね合わされた部位で接合されているバンパリインフォースメントである。
上記第2の発明によれば、分割構成される前側補強体と後側補強体の上支持板部位及び下支持板部位は重ね合わせ構成とされる。これにより、両支持板部位の強度(剛性)は、他の部位より強度が強くされる。その結果、この強くされた補強部材における上支持板部位及び下支持板部位により、主体部材における上側面板部位及び下側面板部位の内方への変形移動を防止ないし抑制して、断面崩れを防止ないし抑制する。
本発明の第3の発明は、車幅方向に配設される長尺形状の本体部材は、断面ハット型形状の主体部材と、該主体部材の開口側に該主体部材の開口部を閉鎖するように配設されて当該本体部材を閉じ断面形状とする面状板部材とから成り、該閉じ断面形状の本体部材の内部に断面台形状の補強部材が配設され、前記面状板部材が荷重の入力側となるように配設されるバンパリインフォースメントであって、前記断面台形状の補強部材は、前記断面ハット型形状の主体部材における開口側の上側面板部位及び下側面板部位に面して配設されるとともに、該主体部材の上側面板部位及び下側面板部位の内方への変形を抑制する上支持板部位及び下支持板部位で分割されて、前記本体部材の面状板部材に面して配設される前側補強体と、前記断面ハット型形状の主体部材の後側面板部位に面して配設される後側補強体とで形成されており、前記前側補強体と前記後側補強体との上支持板部位及び下支持板部位における分割箇所は、前記前側補強体と前記後側補強体が重ね合わされて配設されており、該重ね合わされた部位で接合されているバンパリインフォースメントである。
上記第3の発明によれば、上述した第2の発明の特定構成における場合と同様に、分割構成される前側補強体と後側補強体の上支持板部位及び下支持板部位は重ね合わせ構成とされる。これにより、両支持板部位の強度(剛性)は、他の部位より強度が強くされる。その結果、この強くされた補強部材における支持板部位により、主体部材における上側面板部位及び下側面板部位の内方への変形移動を防止ないし抑制して、断面崩れを防止ないし抑制する。
本発明の第4の発明は、上述した第2の発明又は第3の発明のバンパリインフォースメントであって、前記前側補強体と前記後側補強体との上支持板部位及び下支持板部位における重ね合わせ構成は、前側補強体の上支持板部位及び下支持板部位が外側位置、後側補強体の上支持板部位及び下支持板部位が内側位置として配設されているバンパリインフォースメントである。
上記第4の発明によれば、分割構成を重ね合わせ構成とする上支持板部位及び下支持板部位の前側補強体と後側補強体の嵌め合わせを、前側補強体の支持板部位を外側位置、後側補強体の支持板部位を内側位置として配設する。これにより、前側補強体に作用する衝突荷重は前側補強体より内側に配設された後側補強体により確実に受け止めることができる。そして、衝突荷重の受け止めを上下位置でバランスよく適切に受け止めることができる。
本発明の第5の発明は、上述した第2の発明又は第3の発明のバンパリインフォースメントであって、前記前側補強体と前記後側補強体との上支持板部位及び下支持板部位における重ね合わせ構成は、前側補強体の上支持板部位及び下支持板部位と、後側補強体の上支持板部位及び下支持板部位の、内側位置と外側位置の重ね合わせが、前記上側面板部位側の配設と前記下側面板部位側の配設とで逆配置となっているバンパリインフォースメントである。
上記第5の発明によれば、分割構成を重ね合わせ構成とする上支持板部位及び下支持板部位の前側補強体と後側補強体の嵌め合わせを、上側面板部位側の配設と下側面部位側の配設とで逆配置として配設している。これにより、上述した第4の発明における嵌め合わせ構成に比べ、嵌め合わせ精度が要求されなく、その結果、容易に嵌め合せることができる。すなわち、第5の発明の重ね合せ構成の場合は、上下方向の嵌め合わせが、互いの開口幅一杯を使って行えることから、容易に嵌め合せることができる。
上述した手段の本発明によれば、先ず、補強部材を上支持板部位及び下支持板部位で分割構成することにより、補強部材の衝突荷重が加わる前部面板部位の強度(剛性)を、他の部位の強度より相対的に弱くして、応力集中及びそれに伴う座屈が生じるのを防止ないし抑制することができる。その結果、バンパリインフォースメントの折損を防止ないし抑制することができる。
次に、補強部材を上支持板部位及び下支持板部位で分割構成し、その分割構成を重ね合わせ構成とすることにより、当該上支持板部位及び下支持板部位の強度(剛性)を、他の部位の強度より相対的に強くして、主体部材における上側面板部位及び下側面板部位の内方への変形移動を防止ないし抑制し、断面崩れを防止ないし抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態の説明における「右・左」の方向表示は、自動車の車室から見た方向である。
先ず、図1は自動車におけるバンパ構造10の配置位置を示す。バンパ構造10は、通常、自動車車体12の前部と後部に自動車車体12に対して車幅方向に配置される。図1において、自動車車体12の前方を矢印Frで示し、後方を矢印Rrで示した。自動車の車室は自動車車体12の位置に形成される。バンパ構造10は、バンパリインフォースメント14と、バンパ被覆部材16と、バンパ支持構造18とから成っている。バンパリインフォースメント14はバンパ構造10の強度上の芯材として配設される。バンパ被覆部材16はバンパリインフォースメント14の前面を被覆するように配設される。バンパ被覆部材16はバンパ構造10の最外面に配設され、見栄えを考慮した構成とされている。通常、意匠の成形に適する樹脂製で形成される。
バンパ支持構造18は、バンパリインフォースメント14の長手方向(自動車車体12で見て幅方向)の両端部の位置で自動車車体12のフレーム部材(不図示)とバンパリインフォースメント14との間に配設される。そして、このバンパ支持構造18によりバンパリインフォースメント14で受ける衝突荷重を自動車車体12に伝えて受ける。バンパ支持構造18は本実施形態ではクラッシュボックス(C/B)及びサイドメンバと称される衝突エネルギーを吸収することができる構成部材で形成されている。
なお、以後に説明する実施形態は、自動車車体12の前部に配設されるバンパリインフォースメント14の場合を例にして説明する。
本実施形態のバンパ構造10は、上述した配置構成であることにより、自動車の正面衝突によりバンパ構造10の中央位置に作用する衝突荷重Fは、次のように受けられる。先ず、バンパ被覆部材で受けて、これをバンパリインフォースメント14で支える。そして、バンパリインフォースメント14に作用した荷重は、バンパリインフォースメント14の両端部に配設されたバンパ支持構造18としてのクラッシュボックス(C/B)を介して自動車車体12により受けられる。この際、クラッシュボックス(C/B)が衝突エネルギーを吸収する。
以下に、バンパリインフォースメント14の各実施形態を説明するが、予め、各実施形態に共通する構成を説明する。共通する構成は図2及び図3に示される。なお、断面形状の共通構成は図4に示す第1実施形態を用いて説明する。
バンパリインフォースメント14は、図4の断面図に示されるように、本体部材20と補強部材30とから構成される。本体部材20はハット型断面形状の主体部材22と面状板部材24とからなる。面状板部材24は断面ハット型形状の主体部材22の開口部を閉鎖するように配設されて、当該本体部材20を閉じ断面形状の構成とする。補強部材30は断面台形の枠状の形状であり、閉じ断面形状の本体部材20の内部に配設される。そして、本実施形態のバンパリインフォースメント14は、面状板部材24側に衝突荷重Fが入力するように配設される。
図2はバンパリインフォースメント14の全体形状を斜め左上方から見た斜視図である。バンパリインフォースメント14は長手方向の両端を後退させた湾曲形状に形成されている。上述した図4は図2のIV−IV線断面図である。図3は本体部材20を形成する主体部材22と、その主体部材22内に配設される補強部材30の構成を、図2と同様に斜め左上方から見た斜視図である。図3に示されるように、補強部材30は長尺形状のバンパリインフォースメント14の中央部位置に配設される。なお、この補強部材30が配設される範囲は、本実施形態では、図1に示す両端に配設される支持構造としてのクラッシュボックス18の間の範囲内である。これによりバンパリインフォースメント14の中央位置に入力される衝突荷重Fは、補強部材30により補強されたバンパリインフォースメント14の剛性で受けられる。
図4に示すように、本体部材20を構成する断面ハット型の主体部材22は、後側面板部位22Aと、上側面板部位22Bと、下側面板部位22Cとからなる。上側面板部位22Bの開口部側には上フランジ部位22Dが図4で見て上方に延設して形成されている。下側面板部位22Cの開口部側には下フランジ部位22Eが図4で見て下方に延設して形成されている。面状板部材24は主体部材22の開口側に形成された上フランジ部位22Dと下フランジ部位22Eに当てがわれて、溶接W1、W2により接合されて固定される。これにより、本体部材20の閉じ断面形状が作られる。溶接は本実施形態ではスポット溶接である。以下に述べる溶接の場合も同様である。但し、スポット溶接以外の溶接箇所については、特に、注記して記す。なお、本体部材20を構成する主体部材22、及び面状板部材24は、本実施形態では鋼板製とされている。
図4に示すように、断面台形の枠形状の補強部材30は、前部面板部位30Aと、後部面板部位30Bと、上傾斜面板部位30Cと、下傾斜面板部位30Dとからなる。前部面板部位30Aは図4で見て主体部材22の上側面板部位22Bと下側面板部位22Cとの上下間隔幅一杯に配設されている。前部面板部位30Aは本体部材20の面状板部材24に面して、張り合わされた状態として配設されており、その中央部位置で、溶接W3により接合固定されて一体化されている。
補強部材30の後部面板部位30Bは図4で見て主体部材22の後側面板部位22Aに面して配設される。そして、主体部材22の後側面板部位22Aの中央部位置の一定幅のみ配設されている。すなわち、補強部材30の後部面板部位30Bは前述の主体部材22の後側面板部位22Aの上下幅より短い。そのため、両部位30A、30Bを繋ぐ部位である上傾斜面板部位30Cと下傾斜面板部位30Dは傾斜して配設される。図4で見て、上傾斜面板部位30Cは左側から右側に向けて右下り傾斜として配設され、下傾斜面板部位30Dは左側から右側に向けて右上がり傾斜として配設される。そして、補強部材30の後部面板部位30Bは本体部材20の後側面板部位22Aと、その上下幅方向の中央位置において溶接W4にて接合固定され、一体化されている。なお、補強部材30の材質は、本体部材20と同様の鋼板製とされている。
図4に示されるように、補強部材30における上傾斜面板部位30Cの前部面板部位30A寄りの位置には、本体部材20の上側面板部位22Bに面して配設される所定幅の上支持板部位30Eが形成されている。同様に、下傾斜面板部位30Dの前部面板部位30A寄りの位置には、本体部材20の下側面板部位22Cに面して配設される所定幅の下支持板部位30Fが形成されている。この上支持板部位30Eと下支持板部位30Fは、本体部材20に衝突荷重Fが作用したとき、それに伴い本体部材20の上側面板部位22Bと下側面板部位22Cが内側方向に変形移動しようとするのを防止ないし抑制する作用をなす。
上述した本実施形態の共通する構成において、本実施形態の特徴とする点は、補強部材30を上支持板部位30Eと下支持板部位30Fで、分割して構成する点にある。その分割構成の形態には、各種の実施形態があるので、以下に説明する。なお、以下に示す各実施形態において、上述した共通する実施形態と実質的に同じ構成内容部分には同じ符号を付すことにより詳細説明を省略することがある。
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態を説明する。第1実施形態は図4に示される。補強部材30は、図4の断面図に示されるように、上支持板部位30Eと下支持板部位30Fの箇所で分割されて、前側補強体40と後側補強体50とに分割されて構成される。前側補強体40は前部面板部位30Aを含んで構成されており、後側補強体50は後部面板部位30B及び上傾斜面板部位30C,下傾斜面板部位30Dを含んで構成されている。
前側補強体40と後側補強体50の上支持板部位30Eと下支持板部位30Fにおける分割構成は、いわゆる重ね合わせ構成とされている。すなわち、上支持板部位30Eにおける前側補強体40の上支持板部位30Ebと、後側補強体50の上支持板部位30Eaとが重ね合わされて配設されている。同様に、下支持板部位30Fにおける前側補強体40の下支持板部位30Fbと、後側補強体50の下支持板部位30Faとが重ね合わされて配設されている。そして、この重ね合わせ構成は、上支持板部位30E及び下支持板部位30F共、前側補強体40の上支持板部位30Eb及び下支持板部位30Fbが外側に配設されており、後側補強体50の上支持板部位30Ea及び下支持板部位30Faが内側に配設されている。
上述した重ね合わせ構成における上支持板部位30Eの重ね合わせ部位30Ea、30Ebは、溶接W5にて接合固定されている。同様に、下支持板部位30Fの重ね合わせ部位30Fa、30Fbは、溶接W6にて接合固定されている。これにより、前側補強体40と後側補強体50は一体化されている。
本実施形態における前側補強体40と後側補強体50の強度(剛性)の関係は、前側補強体40の強度は後側補強体50の強度に比較して弱くされている。これにより、補強部材30の前部面板部位30Aの強度は、補強部材30の他の部位である後部面板部位30B、上傾斜面板部位30C、下傾斜面板部位30Dより弱くされている。なお、前部面板部位30Aすなわち前側補強体40の強度は、衝突荷重が加わった際に生じる応力集中の程度を考慮して設定される。
上述した第1実施形態の構成は、本発明の第1の発明、第2の発明、第3の発明、及び第4の発明を充足する形態である。そのため、当該発明で説明した作用効果を得ることができる。
先ず、第1の発明で説明したように、本第1実施形態は、補強部材30は前側補強体40と後側補強体50とに分割構成されて、前側補強体40の強度が後側補強体50の強度より弱くされている。これにより、補強部材30の衝突荷重Fの入力側となる前部面板部位30Aの強度(剛性)が、補強部材30の他の部位30B、30C、30Dの強度より相対的に弱くされる。その結果、応力集中及びそれに伴う座屈が生じるのを防止ないし抑制し、バンパリインフォースメント14の折損を防止ないし抑制することができる。
図10は、一体化された本体部材20の面状板部材24と補強部材30の前部面板部位30Aとが、衝突荷重Fの入力により応力集中が生じて、座屈を生じた断面形状を示す。符号Xで囲んだ枠内の断面形状が、その状態を示す。本第1実施形態によれば、この様な状態となるのを防止ないし抑制することができる。すなわち、第1実施形態によれば、前部面板部位30Aの強度を弱くすることにより、衝突荷重が入力する部位である面状板部材24及び前部面板部位30Aの強度を、応力集中が生じない適度な強度とすることができる。これにより、バンパリインフォースメント14は衝突荷重Fにより応力集中による折損を防止ないし抑制することができて、衝突荷重Fはバンパリインフォースメントを通じてクラッシュボックスに伝達され、衝突エネルギーの吸収が効果的に行われる。
次に、第2の発明及び第3の発明で説明したように、本第1実施形態によれば、分割構成される前側補強体40と後側補強体50は、上支持板部位30E及び下支持板部位30Fで、重ね合わせ構成をとる。その結果、当該部位30E、30Fの強度(剛性)は、補強部材30の他の部位より強い強度となる。その結果、この強くされた補強部材30における上支持板部位30E、及び下支持板部位30Fにより、主体部材22における上側面板部位22B及び下側面板部位22Cの内方への変形移動を防止ないし抑制して、断面崩れを防止ないし抑制する。
図10の符号Yで囲んだ箇所の図示状態は、断面崩れが生じた状態を示している。すなわち、補強部材30における上支持板部位30Eの箇所、及び下支持板部位30Fの箇所の強度が不足すると、衝突荷重Fの入力により上側面板部位22B及び下側面板部位22Cが、内方に変形移動し、断面崩れを生じる。本第1実施形態によれば、この様な状態となるのを防止ないし抑制することができる。すなわち、上支持板部位30Eの箇所、及び下支持板部位30Fの箇所で補強部材30を分割し、その分割構成を重ね合わせ構成とすることにより、上支持板部位30E、及び下支持板部位30Fの強度を強くすることができる。その結果、上側面板部位22B及び下側面板部位22Cの内方への変形移動を防止ないし抑制することができて、断面崩れを防止ないし抑制することができる。
更に、第4の発明で説明したように、本第1実施形態によれば、分割構成とする前側補強体40と後側補強体50とを嵌め合せる構成を、上方及び下方共、前側補強体40側を外側位置、後側補強体50側を内側位置とする。これにより、前側補強体に作用する衝突荷重は前側補強体より内側に配設された後側補強体により確実に受け止めることができる。そして、衝突荷重Fの受け止めを上下位置でバランスよく適切に受け止めることができる。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態は図5に示される。第2実施形態は、分割構成とする上支持板部位30Eと下支持板部位30Fの重ね合わせ構成の形態が、第1実施形態と異なるのみで、他の構成は同じである。
第2実施形態の重ね合わせ構成は、上支持板部位30E及び下支持板部位30F共、前側補強体40の上支持板部位30Eb及び下支持板部位30Fbが内側に配設されており、後側補強体50の上支持板部位30Ea及び下支持板部位30Faが外側に配設されている。第1実施形態とは逆の重ね合わせ構成となっている。
第2実施形態においても、上述した重ね合わせ構成における上支持板部位30Eの重ね合わせ部位30Ea、30Ebは、溶接W5にて接合固定されている。同様に、下支持板部位30Fの重ね合わせ部位30Fa、30Fbは、溶接W6にて接合固定されて、前側補強体40と後側補強体50は一体化されている。なお、第2実施形態においても、前側補強体40の強度(剛性)は後側補強体50の強度に比較して弱くされている。すなわち、第1実施形態と同様とされている。
上述した第2実施形態の構成は、本発明の第1の発明、第2の発明、及び第3の発明を充足する形態である。これらの発明の実施形態としての作用効果は、第1実施形態で述べた内容と同じであるので、省略する。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態は図6に示される。第3実施形態は、分割構成とする上支持板部位30Eと下支持板部位30Fの重ね合わせ構成の形態が、上述した各実施形態と異なるのみで、他の構成は同じである。
第3実施形態の重ね合わせ構成は、上支持板部位30Eの重ね合わせ構成は、前側補強体40の上支持板部位30Ebが外側に配設されており、後側補強体50の上支持板部位30Eaが内側に配設されている。そして、下支持板部位30Fの重ね合わせ構成は、前側補強体40の下支持板部位30Fbが内側に配設されており、後側補強体50の下支持板部位30Faが外側に配設されている。すなわち、上と下とで逆の重ね合わせ構成としている。
第3実施形態においても、上述した重ね合わせ構成における上支持板部位30Eの重ね合わせ部位30Ea、30Ebは、溶接W5にて接合固定されている。同様に、下支持板部位30Fの重ね合わせ部位30Fa、30Fbは、溶接W6にて接合固定されて、前側補強体40と後側補強体50は一体化されている。なお、第3実施形態においても、前側補強体40の強度(剛性)は後側補強体50の強度に比較して弱くされている。すなわち、上述した各実施形態と同様とされている。
上述した第3実施形態は、本発明の第1の発明、第2の発明、第3の発明、及び第5の発明を充足する形態である。第5の発明を除くこれらの発明の実施形態としての作用効果は、第1実施形態で述べた内容と同じであるので、省略する。
上述した第3実施形態によれば、前述した第5の発明として説明したように、分割構成とする上支持板部位30E及び下支持板部位30Fにおける重ね合わせ構成を、逆配置として配設している。すなわち、前側補強体40と後側補強体50の嵌め合わせを、上方と下方位置とで内側と外側の配設関係を逆配置としている。これにより、前述した第1実施形態及び第2の実施形態における嵌め合わせ構成に比べ、嵌め合わせ精度が要求されない。その結果、容易に嵌め合せることができる。すなわち、第3実施形態の重ね合せ構成の場合は、上下方向の嵌め合わせが、互いの開口幅一杯を使って行えることから、容易に嵌め合せることができる。
〔第4実施形態〕
次に、第4実施形態を説明する。第4実施形態は図7に示される。第4実施形態は、上述した第3実施形態の変形例である。分割構成とする上支持板部位30Eと下支持板部位30Fの重ね合わせ構成の形態が、上方と下方で第3実施形態とは逆配置としたものである。他の構成は上述の各実施形態と同じである。
第4実施形態の重ね合わせ構成は、上支持板部位30Eの重ね合わせ構成は、前側補強体40の上支持板部位30Ebが内側に配設されており、後側補強体50の上支持板部位30Eaが外側に配設されている。そして、下支持板部位30Fの重ね合わせ構成は、前側補強体40の下支持板部位30Fbが外側に配設されており、後側補強体50の下支持板部位30Faが内側に配設されている。すなわち、上と下とで逆の重ね合わせ構成としている。
第4実施形態においても、上述した重ね合わせ構成における上支持板部位30Eの重ね合わせ部位30Ea、30Ebは、溶接W5にて接合固定されている。同様に、下支持板部位30Fの重ね合わせ部位30Fa、30Fbは、溶接W6にて接合固定されて、前側補強体40と後側補強体50は一体化されている。なお、第4実施形態においても、前側補強体40の強度(剛性)は後側補強体50の強度に比較して弱くされている。すなわち、上述した各実施形態と同様とされている。
上述した第4実施形態は、本発明の第1の発明、第2の発明、第3の発明、及び第5の発明を充足する形態である。これらの発明の実施形態としての作用効果は、第1実施形態及び第3実施形態で述べた内容と同じであるので、省略する。
〔第5実施形態〕
次に、第5実施形態を説明する。第5実施形態は図8に示される。第5実施形態は、上述した各実施形態においては、分割構成を重ね合わせ構成としていたのを、いわゆる突合せ分割構成としたものである。
第5実施形態における突合せ分割構成は、上支持板部位30Eを、前側補強体40の上支持板部位30Ebと、後側補強体50の上支持板部位30Eaとにそれぞれ形成したものを突き合わせる。また、下支持板部位30Fも同様に、前側補強体40の下支持板部位30Fbと、後側補強体50の下支持板部位30Faとにそれぞれ形成したものを突き合わせる。これにより、補強部材30は前側補強体40と後側補強体50とで形成される。そして、上述した各実施形態同様に、前側補強体40の強度を後側補強体50の強度より弱くして形成されている。これにより、上述した各実施形態と同様の作用をなし、効果を得る。
第5実施形態における上支持板部位30Eの突合せ箇所30Egは、溶接W7にて接合固定される。同様に、下支持板部位30Fの突合せ箇所30Fgは、溶接W8にて接合固定される。この箇所の溶接W7、W8は、アーク溶接もしくはレーザ溶接で行われる。これにより、前側補強体40と後側補強体50は一体化される。
上述した第5実施形態は、本発明の第1の発明を充足する形態である。この発明の実施形態としての作用効果は、第1実施形態で述べた内容と同じであるので、省略する。
〔第6実施形態〕
次に、第6実施形態を説明する。第6実施形態は図9に示される。第6実施形態は、上述した第5実施形態で示した突合せ分割構成の変形例である。突合せ分割構成以外の他の構成は上述の各実施形態と同じである。
第6実施形態における突合せ分割構成は、前側補強体40の上端位置と、後側補強体50の上支持板部位30Eの左端とを突き合わせる。また、前側補強体40の下端位置と、後側補強体50の下支持板部位30Fの左端とを突き合わせる。これにより、補強部材30は前側補強体40と後側補強体50とで形成される。そして、上述した各実施形態同様に、前側補強体40の強度を後側補強体50の強度より弱くして形成されている。これにより、上述した各実施形態と同様の作用をなし、効果を得る。
第6実施形態における上支持板部位30Eの突合せ箇所30Egは、溶接W9にて接合固定される。同様に、下支持板部位30Fの突合せ箇所30Fgは、溶接W10にて接合固定される。この箇所の溶接W9、W10は、アーク溶接もしくはレーザ溶接で行われる。これにより、前側補強体40と後側補強体50は一体化される。
上述した第6実施形態も、第5実施形態と同様、本発明の第1の発明を充足する形態である。この発明の実施形態としての作用効果は、第1実施形態で述べた内容と同じであるので、省略する。
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明はその他各種の形態でも実施できる。
例えば、上述の第1実施形態〜第4実施形態においては、前側補強体40の強度(剛性)は後側補強体50の強度より弱い実施例として説明した。しかし、前側補強体40と後側補強体50の強度は同じであってもよい。この場合には、第1の発明及び第2の発明は充足しない形態となる。
また、上述の各実施形態における溶接は、スポット溶接を用いたが、その他、アーク溶接、レーザー溶接等であってもよい。
また、上述した実施形態では、補強部材はクラッシュボックスが配設される位置間に配設するものであったが、クラッシュボックスの配置間外まで配設するものであっても良い。
また、上述した実施形態では、本体部材20と補強部材30との接合手段は溶接であったが、リベット等の機械的接合手段であっても良い。
また、上述した実施形態では、本体部材20及び補強部材30の材質は鋼板製であるが、剛性のある材質であれば、鋼板製に限らない。