JP6703170B2 - 孔を医療用具に穿設するレーザシステム - Google Patents

孔を医療用具に穿設するレーザシステム Download PDF

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Description

本発明が関連する技術分野は、レーザ穿孔システムであり、更に詳しくは医療用具用レーザ穿孔システムである。
孔を医療用具に穿設するレーザ穿孔システムが、当技術分野で知られている。レーザ穿孔システムは、ブラインド孔を外科用縫合針の近位端に穿設するために使用されることが多い。従来の外科用縫合針は、典型的には、縫合糸が取り付けられる縫合糸取り付け端部を有する。近位端は、縫合糸の遠位端を受容する溝、又はブラインド穿孔を有し得、該遠位端は、その後、機械式スウェージング、接着、接着剤などの従来の技術を用いて針取り付け部分に固着される。溝に対して、ブラインド穿孔が穿設された針の使用を好むことがある。穿孔が穿設された針の方が、溝付き取り付け端部を有する外科用縫合針と比較したとき、縫合糸装着後に規則的な断面を有する傾向がある。また、針直径と装着される縫合糸の直径とをより密接に一致させることが可能である。これによって、組織を通る移動及び組織引きずりの減少の察知の向上、並びに、組織経路の狭小化を有するという利点が得られ、潜在的に、止血向上などの優れた臨床結果が得られる。それに反して、溝付き縫合糸針の方が、製造するのに経済的である。
ブラインド穿孔は、典型的には、機械穿孔及びレーザ穿孔を含む従来の方法を用いて外科用縫合針の近位端に穿設される。機械穿孔は、均一な構成を有する正確に穿設された穿孔を提供することができるが、機械穿孔はその使用に関連した欠陥を有する場合があることが知られている。機械穿孔には、サイズ0.15mm(0.006in)など、微細針サイズを有する外科用縫合針を穿設するために、細径を有するドリルが必要である。そのようなドリルは、細径サイズで製造しにくく、かつ、高速製造プロセスにおいて相対的に短期間に磨耗する傾向がある。更に、針の微細線径及び針の細径のため、精密機械穿孔設備には、ドリルを正確に調整及び整合させるために、頻繁な休止時間が必要であり得る。レーザ穿孔システムは、高速穿孔能力を提供することによって、高価なドリルを必要とせずにこれらの欠陥を克服する。更に、システムが設定されると、調整の休止時間が最小である。レーザ穿孔システムの別の長所は、異なる穿孔直径及び長さを有する様々な針線径の穿設間に容易に切り替わる能力である。
外科用縫合針においてブラインド穿孔を穿設するのに有用なNd−YAGレーザシステムが、米国特許第6,252,195号及び同第6,683,276号に開示されており、これらの特許のいずれも、参照により本明細書に組み入れられる。これらの特許では、外科用縫合針用ダイオード励起Nd−YAGレーザ穿孔システムを開示している。これらのシステム内の発振器は、ダイオード励起であり、増幅器も、ダイオード励起である。外科用縫合針高速製造プロセスが、米国特許第5,630,268号、同第5,644,834号、同第5,661,893号、同第5,701,656号、同第5,776,268号、同第5,913,875号、同第6,018,860号、及び同第6,252,195号で説明されており、これらの特許は、参考として本明細書に組み入れられる。そのような製造工程では、ワイヤスプールから外科用縫合針半製品に至り、外科用縫合針完成品に至るまで外科用縫合針を処理するが、典型的には、針半製品を担体ストリップに取り付け、ストリップで、針半製品は、外科用縫合針完成品を生成するために、順送り成形及び処理ステーションを通って移動される。
しかしながら、従来のレーザシステムを使用する外科用縫合針のレーザ穿孔に関連した特定の短所がある。所望の直径及び深さの穿孔を、外科用縫合針の近位端などの構造体に穿孔するためには、十分な出力及び品質のビームを有することが必要である。更に、レーザ穿孔プロセスは、レーザビームが一連のパルスに細断される衝撃穿孔プロセスである。衝撃穿孔が必要であるのは、この穿孔プロセスでは、プロセス中に穿孔から放出される溶融及び気化金属を生成するからである。したがって、レーザ穿孔されるブラインド穿孔は、典型的には、完全に左右対称の構成を有していない傾向がある。これは、特に高速自動化システムについては、縫合糸装着において問題になり兼ねない。穿孔された穿孔の外形形状は、経時的に変わる恐れがあり、穿設された穿孔を製造仕様に適合させるようにレーザシステムを調整するために、頻繁かつ正確な品質保証検査、及び、関連のレーザ及び製造休止時間が必要である。更に、レーザビームパラメータの変動のために、結果的に、リキャストなどの欠陥が発生する恐れがある。リキャストは、レーザ穿設された穿孔を有する外科用縫合針の近位端を、穿孔の周りの金属に割れを発生させずに縫合糸の端部を装着するために、機械式にスウェージ加工させる能力に影響を与える恐れがある。外科用縫合針用の従来のレーザ穿孔システムに関連し得る別の欠陥は、様々な異なるサイズの外科用縫合針を手軽にかつ容易に穿孔することができない点である。現在利用可能なシステムは、典型的には、狭い範囲の孔径、例えば、小の穿孔、中又は大の穿孔を穿設するように設定される。また、問題のない穿孔を中及びそれ以上の直径の針に穿設するためには、典型的には、インクコーティングを針の近位端に塗布することが必要であることが知られている。このインクコーティングは、より効果的なエネルギー吸収及びビーム結合を可能にするものである。典型的には、このインキング作業なしに中径〜大径の針サイズに穿孔することは非常に難しく、かつ、非実用的であり、これによって、製造プロセスに対して複雑度のレベルが増し、経費が増大する。
優れた性能を最小の調整用休止時間で提供する新規なレーザ穿孔システムがこの当技術分野において必要である。また、高品質のレーザ穿設された穿孔を縫合糸取り付けのために提供する高品質ビームを有する外科用縫合針用の新規なレーザ穿孔システムに対する必要性がある。更に、様々な針線径を正確に穿孔することができ、かつ、線径間で切り替わるように手軽にかつ容易に調節することができる、外科用縫合針用の新規なレーザ穿孔システムに対する必要性がある。
ブラインド穿孔を外科用縫合針などの医療用具に穿設する新規なレーザ穿孔システムを開示する。レーザシステムは、高品質ビームを生成する低出力ファイバNd−YAGシードレーザを有する。シードレーザからのビームは、ビームが変調されるか、又は、パルス状にする電気光学変調器に導かれる。パルスビームは、その後、穿孔を医療用具に穿設するのに十分な強度にビームを増幅するために、少なくとも1つの増幅器に導かれる。ビームは、その後、所望のブラインド孔を医療用具に穿設するようにビームを導くことができるように、ビームを集束させる集束光学部品に導かれる。
本発明の別の態様は、本発明のレーザ穿孔システムを使用して、穿孔を医療用具に穿設する方法である。
本発明のこれらの及び他の態様及び利点は、以下の説明及び添付図面により更に明らかになるであろう。
本発明のレーザ穿孔システムの概略図である。 穿孔が本発明の新規なシステムによって穿設された、穿孔された外科用縫合針の近位端の横断面の写真である。 穿孔が本発明の新規なシステムによって穿設された、穿孔された外科用縫合針の近位端の横断面の写真である。 穿孔が本発明の新規なシステムによって穿設された、穿孔された外科用縫合針の近位端の横断面の写真である。 異なる直径を有する穿孔を示す図2A〜Cの外科用縫合針の近位端表面の写真である。 異なる直径を有する穿孔を示す図2A〜Cの外科用縫合針の近位端表面の写真である。 異なる直径を有する穿孔を示す図2A〜Cの外科用縫合針の近位端表面の写真である。 針の端部が穿孔前にインクでコーティングされなかった、穿孔が先行技術のレーザシステムで穿設された従来の外科用縫合針の近位端の写真である。 針の端部が穿孔前にインクでコーティングされなかった、穿孔が先行技術のレーザシステムで穿設された従来の外科用縫合針の近位端の写真である。 針の端部が穿孔前にインクでコーティングされなかった、穿孔が本発明のレーザ穿孔システムで穿設された従来の外科用縫合針の近位端の写真である。 補助材料取扱設備とともに、集束光学部品、及び、穿孔される間に針が保持される固定具を例示する、レーザ穿孔システムの端部の斜視図である。 針が固定具の顎部内に保持されるのを例示する図6の固定具の側面図である。
本発明の新規なレーザシステムは、シードレーザを利用して、精密衝撃穿孔に有用な高品質、パルス、高出力レーザビームを生成するように変調及び増幅される高品質ビームを生成する。特に、本発明のレーザ穿孔システムは、高品質ブラインド穿孔を、外科用縫合針などの医療用具に穿設する際に有用である。本発明の新規なレーザ穿孔システム5の概略図が、図1に示されている。ダイオード励起ファイバシードレーザ発振器10が、低出力高品質レーザビーム15を生成してビーム縮小器20に導くのが示されている。ビーム縮小器20は、ビームの直径を縮小するためにビーム15に作用する従来の装置である。直径が縮小されたビーム15は、ビーム縮小器20を出た後、変調装置30に導かれる。変調装置30は、穿孔を衝撃穿設するのに必要とされるようにビーム15を等しいパルスの波連に変調する従来の電気光学装置(ポッケルスセル)である。パルスレーザビーム15は、その後、ビーム拡大器40に導かれる。ビーム拡大器40は、ビームの直径を増大させるためにビーム15に作用する従来の装置である。パルスレーザビーム15は、その後、ファラデーアイソレータ50に導かれる。ファラデーアイソレータ50は、ビームが順方向にのみ伝搬することを可能にすることによってビーム15で動作する従来の装置である。ファラデーアイソレータ50を出た後、ビーム15は、従来の反射鏡60に導かれ、その反射鏡60は、ビーム15を従来の反射鏡70に導く。ビーム15は、その後、反射鏡70によって第1のソリッドステート増幅器80に導かれる。ソリッドステート増幅器80は、好ましくは、フラッシュランプ励起であるが、また、所望であればダイオード励起であってもよい従来の増幅器である。増幅器80は、ビーム15のエネルギーを増大させることによってレーザビーム15に作用する。増幅器80を出た後、ビーム15は、ファラデーアイソレータ90に導かれ、そのアイソレータ90は、ファラデーアイソレータ50と同様に機能する。ビーム15は、その後、ソリッドステート増幅器100に導かれ、ビーム15は、より高いエネルギーレベルに再び増幅される。増幅器100は、同様に、かつ、好ましくは、従来のフラッシュランプ励起増幅器であるが、所望であればダイオード励起であってもよい。増幅器100を出た後、ビーム15は、その後、そのビーム15が拡大される従来のビーム拡大器110に導かれる。ビーム15は、その後、従来のビーム集束装置120に導かれ、その装置120は、ビームを所望の直径に集束させる。この時点で、ビームは、出力密度、パルス幅、パルス周波数、パルス数、パルス形状、及びパルスピーク出力の、所望の十分に効果的なビーム特性を有する。ビーム15は、ここで、ブラインド穿孔を穿設するための医療用具上の地点に導かれる。好ましくは、この医療用具は、外科用縫合針であり、集束されたビーム15は、直径、深さ及び寸法均一性の所望の特性を有するブラインド穿孔140を穿設するために外科用縫合針130の近位端に向けられる。概略図には示されていないが、システムは、従来のコンピュータによって制御され得、従来のコンピュータであれば、オペレータによって入力された設定に基づいて個々の成分を制御することによって、パルス幅、出力密度パルス周波数、パルス数、パルス形状及びパルスピーク出力、並びに、レーザビームの直径を調節する。所望であれば、好まれないが、本発明の新規なシステムは、ブラインド穿孔に加えて他の形式の穿孔、例えば、貫通孔を穿設するために使用され得る。
本発明のレーザ穿孔システムと共に使用することができるシードレーザは、市販される従来のNd−YAGシードレーザ発振器である。そのようなレーザは、典型的には、以下の目的、即ち、コヒーレントビームコーミング、検出システム、感知、及び実験室用途のために計装内で使用される。レーザは、以下の特性、即ち、単一周波数、線形偏光、及び、ビーム品質(M2<1.4)を有することになる。本発明のレーザ穿孔システムにおいて有用なシードレーザの実施例は、メーカであるIPG Photonics(Oxford、MA 01540)製のYLR−50−1064−LP−SFファイバレーザである。これは、50W Ybファイバレーザ、線形偏光、中心波長1064nm、単一周波数線幅70kHz、ビーム品質M2=1.25である。シードレーザは、約10〜50ワットの出力、約1〜3ミリ秒のパルス幅、及び約2〜3Hzの周波数を有することになる。本発明のレーザ穿孔システムにおいて有用なレーザビーム変調器としては、以下の特性を有する、即ち、タンタル酸リチウム結晶を有する従来の市販の変調器が挙げられる。本発明の実践において有用な従来の変調器は、ConOptics(Danbury,CT)モデル360−80−02−DRY LTA 2.7mm乾電池である。本発明のレーザシステムにおいて有用なビーム拡大器としては、MegaWatt Lasers Inc.(HiltonHead,SC)ビーム拡大器などの従来の市販のレーザビーム拡大器が挙げられる。ビーム拡大器は、以下の特性、即ち、最大6倍までの調節可能な拡大を有することになる。本発明の実践において有用なファラデーアイソレータとしては、以下、即ち、Electro−Optics Technology,Inc.(Traverse City,MI)モデル8I1055−WP2などの従来の市販のファラデーアイソレータが挙げられる。ファラデーアイソレータは、例えば、以下の特性、即ち、高出力、8mm径、波長1064nm、90°−90°の偏光配向を有することになる。本発明の実践において有用な反射鏡は、Edmund Optics(Barrington,NJ)から販売されるものを含む、レーザシステムにおいて有用な従来のレーザ反射鏡になる。反射鏡は、以下の特性、即ち、1064nm波長に100%反射を有することになる。上記の説明は、1064nmの波長を有するレーザを指すが、他の波長が可能である。
本発明のレーザ穿孔システムにおいて有用な増幅器としては、フラッシュランプ励起、又はダイオード励起である、Nd−YAGロッドを有する従来の市販の増幅器が挙げられる。増幅器は、好ましくは、経費が問題である場合にはフラッシュランプ励起になり、また、容易な利用可能性のためにも好ましい。増幅器は、以下の特性、即ち、反射防止コーティング(AR)がロッドの両端上にある、例えば、ARが1064nmなどレーザの波長であるNd−YAGロッドを有することになる。好適なロッドの実施例は、6.35mm径のロッドである。増幅器は、典型的には、電圧範囲0、約350〜750ボルト、約200〜700マイクロ秒のパルス幅、及び約2〜3Hzの周波数を有することになる。有用であり、かつ、市販されている増幅器としては、以下、即ち、MegaWatt Lasers,Inc.(Hilton Head Island,SC)製の6.35×150FSポンプチャンバが挙げられる。本発明のシステムにおいて有用なビーム集束レンズとしては、以下の供給源から販売されている市販の従来の集束レンズシステム、即ち、LASAG(現在のRofin−Sinar(Plymouth,MN 48170))型番24.0105、又は類似品が挙げられる。ビーム集束レンズは、以下の特性、即ち、30mmレンズ保護を有するレンズダブレットを有することになる。
本発明のレーザ穿孔システムによって生成されたレーザビームは、良好な寸法適合性を有する穿孔を外科用縫合針に穿設するのに十分に効果的なものになる。レーザビームは、ブラインド孔及び他の穿孔を、外科用縫合針などの医療用具に効果的に穿設するのに十分な出力、パルス周波数、及びパルス幅を有することになる。レーザビームは、典型的には約0.05mm〜約0.45mm、より典型的には約0.1mm〜約0.4mm、好ましくは約0.2mm〜約0.35mmの集束後の直径を有することになる。レーザビームは、典型的には約25kHz〜約1000kHz、より典型的には約50kHz〜約200kHz、好ましくは約71kHz〜約125kHzのパルス周波数を有することになる。ビームのピーク出力は、典型的には、約5kW〜約80kW、より典型的には約10kW〜約70kW、好ましくは約20kW〜約60kWになる。ビームの平均出力は、約0.5〜約80ワットになる。以下は、平均出力及びピーク出力の定義である。1.平均出力=レーザエネルギーXレーザ周波数、2.ピーク出力=パルス当たりのレーザエネルギー/パルス持続時間。例えば、平均出力に関して、レーザエネルギーが8ジュールであり、3回/秒でパルスが発射された場合、平均出力は、8×3=24ワットである。また、例えば、ピーク出力に関して、パルス当たりのエネルギーが0.8ジュールであり、パルス持続時間が10マイクロ秒である場合、ピーク出力は、0.8/10−5=80KWである。ビームのパルス幅は、典型的には約0.1ms〜約2ms、より典型的には約0.5ms〜約2ms、好ましくは約1ms〜約1.5msになる。ビームの周波数は、典型的には約1Hz〜約10Hz、より典型的には約2Hz〜約10Hz、好ましくは約6Hz〜約10Hzになる。
本発明のレーザシステムは、以下の特性を有する高品質パルスレーザビームを生成することになる。パルスは、典型的には約5〜30パルス、より典型的には約6〜約20パルス、及び好ましくは約7〜約15パルスになる。パルス持続時間は、典型的には、孔サイズ及び材料に応じて、約3〜30マイクロ秒、より典型的には約5〜約15マイクロ秒、好ましくは約10〜約12マイクロ秒になる。パルス当たりのエネルギーは、典型的には、孔サイズ及び材料に応じて、約0.05〜0.8ジュール、より典型的には約0.1〜約0.7ジュール、好ましくは約0.2〜約0.6ジュールになる。
外科用縫合針などの医療用具は、以下の方法で新規なレーザ穿孔システムを使用して穿孔される。図6及び7を参照すると、マテリアルハンドリングシステムが部分的に例示されており、外科用縫合針200が、従来の固定具250内に取り付けられる。針200は、近位端210と、遠位端202と、尾部205とを有する。固定具250は、針200の近位端210が、顎部材255とダイ258の間に収容されたときにビーム集束装置120と整合され、かつ、その装置に隣接するように、顎部材255と、ダイ258とを有するのが示されている。針200が固定具250に係合されたとき、尾端205が、近位端210を露光させるために抜型260によって針200から切り離され、同時に、針200が担体ストリップ220から除去される。針200は、パイロットホール225に係合する半径方向に延在する係合ピン235を有する割り出し駆動輪230によって駆動されるパイロットホール225を有する、従来の担体ストリップ220に取り付けられているのが示されている。針は、従来のタブ部材222によってストリップ220上へ保持される。車輪230が、矢印290の方向に時計回りに回転するのが示されている。車輪230と同軸状に取り付けられるのは、針200から切り離される前後に尾部205に係合する溝242を有する、補助車輪240である。固定具250及び集束装置120は、レーザビーム15が好ましくは針200の近位端210の中心に当たって、穿設されたブラインド穿孔215を形成するように導かれるように、調節及び位置決めされるが、任意選択的に、ビームは、所望通りに多少中心を外れて導かれてもよい。レーザシステム5が、以下の方法で調整及び設定される。シードレーザ10は、約10〜100%の出力に、より好ましくは100%の出力に調整され、変調装置30は、所望の、かつ、効率的に効果的な数のパルス、並びに、パルス持続時間及び周波数が得られるように調整され、ソリッドステート増幅器80及び100は、針に集束する前にビーム15を増幅するために所望の、かつ、効率的に有効な電圧及び電流値、並びに、時間通りの持続時間が得られるように調整される。増幅器の出力は、電圧及び電流値及び持続時間によって定義される。増幅器は、当技術分野で知られているように小信号利得及び増幅の飽和に基づいて選択されることになることが当業者によって認識されるであろう。小信号利得増幅は、約20〜120X、より典型的には約100Xである。これらの調整は、各装置の電子パネルを介して手作業で行われ得るか、又は、コンピュータ制御プログラミングを介して行われ得る。各構成部品が調整された後、起動スイッチが、オペレータにより起動される。これが原因となって、針取り扱いユニットが、前述したように穿孔の位置に各針を移動させる。サーボモータが、信号をプログラマブル論理制御装置(PLC)に送り、そのプログラマブル論理制御装置は、次に、レーザシステムにおいて各装置をトリガする信号をパルス遅延発生器に送る。レーザビーム15が、その後、出射され、各外科用縫合針200の近位端210に接触して、必要なサイズ及び特性を有するブラインド穿孔215を穿孔する。各穿孔及び切断された針200が、穿孔後に担体ストリップ220から除去され、次の未穿孔の針200が、切断、及び穿孔215のレーザ穿設のために固定具250内で所定の位置に割り出される。
レーザビーム品質は、以下のように定義して測定することができる。純粋ガウスレーザビームが集束されるとき、集束した地点の幅は、以下によって定義される。d0=4λf/πD
は、理想的な集束後の地点幅であり、λは、波長であり、fは、レンズの焦点距離であり、Dは、ビーム腰(集束前のビーム直径)の幅である。下付きの「0」は、理想とされるガウスビームを指す。
しかしながら、歪むか、又は、多モードビームが集束されたとき、上記の方程式は、以下となる。
d=M
式中、Mは、ビームの品質を定義する無次元パラメータであり、dは、現実ビームの集束後の地点幅である。実際の被集束地点幅は、純粋ガウスビームについて予測されたものよりも大きいMである。ビーム出力密度は、したがって、純粋ガウスビームについては1/Mである。
以下の実施例において利用した本発明のシステムは、M=1.25を有したシードファイバファイバレーザ発振器を使用した。本発明のシステム全体については、Mは、約3〜約6の範囲にあると予想されるが、この値は、レーザ穿孔システム及び個々の構成部品の特性によって変わり得ることが認識されるであろう。Mの実際データは、実施例3に記載している。
以下の実施例は本発明の原理及び実施を説明するものであるが、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
本発明のレーザ穿孔システムを使用して外科用縫合針に穿設された穿孔
0.66mm(0.026”)の線径(直径)を有する従来のステンレス鋼製外科用縫合針を、本明細書で説明するように本発明の新規なレーザ穿孔システムで穿孔した。新規なレーザシステムは、異なる直径及び深さの孔を穿設することができた。使用したシステムパラメータを表1に記載する。
Figure 0006703170
穿孔が穿設された針の近位端の横断面の写真が図2A〜Cに示されている。穿設された穿孔を示す針の近位端のエンドビューの写真が、図3A〜Cに示されている。穿孔は、1.32mm(0.052”)〜2.56mm(0.101”)の深さを有する、リキャスト又は再溶解物が孔の周りにない非常にきれいな孔として記述することができる。更に、驚くべきことに、システムは、異なる直径及び深さを有する異なる穿孔(小、中、及び大)をたやすく穿設することができた。
(実施例2)
穿孔された針の比較
従来のステンレス鋼製針を従来のフラッシュランプ励起レーザ穿孔システムで、また、本発明の新規なレーザ穿孔システムで穿孔した。従来のシステムは、以下の構成部品、即ち、フラッシュランプ励起ソリッドステートNdYag発振器、ポッケルスセル、及びフラッシュランプ励起ソリッドステート増幅器で構成されていた。従来のフラッシュランプ励起レーザシステムを使用したとき、近位縫合糸取り付け端部の青インクによるコーティングあり、なしの両方で、針を比較目的のために穿孔した。インクコーティングのない全く同じ外科用縫合針を、本発明の新規なレーザ穿孔システムを使用して穿孔した。針の全ては、針線径が0.66ミリメートル(0.026インチ)であった。針は、Ethalloy(商標)ステンレス合金鋼製であった。針パラメータ及びレーザパラメータは、表2に記載する。
Figure 0006703170
図4A及び図4Bの写真に示されるようなフラッシュランプ励起レーザシステムで穿孔された針は、インクコーティングなしで針が穿孔されたとき、過剰なリキャスト及び再溶解物を示した。インクコーティングを有していなかった本発明のレーザ穿孔システムによって穿設された針は、図5の写真によって示すようにリキャスト又は再溶解物を示さなかった。
(実施例3)
ビーム品質に関するレーザビームの比較
実施例2の従来のフラッシュランプ励起レーザ穿孔システム、及びNdYAGシードレーザを有する本発明(実施例1)のレーザ穿孔システムのM値を、Ophir−Spiricon M−200s Beam Propagation Analyzer計器を使用して測定した。実施例2のフラッシュランプ励起システムについては、M値は、8と測定され、本発明の新規なレーザシステムについては、M値は、2と測定された。このデータに従って、本発明のレーザシステムは、レーザビーム品質が従来のレーザシステムのビーム品質よりも4倍良好であることがわかった。
以上、本発明をその詳細な実施形態について図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の形態及び詳細に様々な変更を行い得る点は理解されるであろう。
〔実施の態様〕
(1) 穿孔を医療用具に穿設するのに有用なレーザ穿孔システムであって、
低出力ビームを生成するファイバNd−YAGシードレーザ(fiber Nd-YAG seed laser)と、
前記ビームをパルス状にする変調器と、
前記ビームを受けて増幅する少なくとも1つの増幅器と、
集束光学部品と、を備える、レーザ穿孔システム。
(2) 第2の増幅器を更に備える、実施態様1に記載のレーザ穿孔システム。
(3) 前記レーザシステムが、約0.5〜約80ワットの平均ビーム出力を有する、実施態様1に記載のレーザ穿孔システム。
(4) 前記レーザシステムが、約5kW〜約80kWのピークビーム出力を有する、実施態様1に記載のレーザ穿孔システム。
(5) 前記増幅器が、フラッシュランプ励起である、実施態様1に記載のレーザ穿孔システム。
(6) 前記第2の増幅器が、フラッシュランプ励起である、実施態様2に記載のレーザ穿孔システム。
(7) 前記増幅器が、ダイオード励起である、実施態様1に記載のレーザ穿孔システム。
(8) 前記第2の増幅器が、ダイオード励起である、実施態様2に記載のレーザ穿孔システム。
(9) 前記システム及び前記ビームを制御するプロセッサを更に備える、実施態様1に記載のレーザ穿孔システム。
(10) 前記システムによって穿設された前記穿孔が、ブラインド穿孔である、実施態様1に記載のレーザ穿孔システム。
(11) 穿孔を外科用縫合針にレーザ穿設する方法であって、
A.レーザ穿孔システムを提供することであって、前記レーザ穿孔システムが、
低出力ビームを生成するファイバNd−YAGシードレーザと、
前記ビームを受けて、前記ビームをパルス状にする変調器と、
前記ビームを受けて増幅する少なくとも1つの増幅器と、
集束光学部品と、を備える、提供することと、
B.前記ビームを前記光学部品から外科用縫合針の近位端上へ集束させることと、
C.穿孔を前記外科用縫合針の前記近位端に穿設すること、を含む、方法。
(12) 前記穿孔システムが、第2の増幅器を更に備える、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記レーザシステムが、約0.5〜約80ワットの平均ビーム出力を有する、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記レーザシステムが、約5kW〜約80kWのビームピークビーム出力を有する、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記増幅器が、フラッシュランプ励起である、実施態様11に記載の方法。
(16) 前記第2の増幅器が、フラッシュランプ励起である、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記増幅器が、ダイオード励起である、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記第2の増幅器が、ダイオード励起である、実施態様12に記載の方法。
(19) 前記システム及び前記ビームを制御するプロセッサを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(20) 前記穿孔が、ブラインド穿孔である、実施態様11に記載の方法。

Claims (18)

  1. ブラインド穿孔を外科用縫合針に穿設するのに有用な衝撃レーザ穿孔システムであって、
    低出力ビームを生成するダイオード励起ファイバシードレーザと、
    前記低出力ビームの直径を縮小するためのビーム縮小器と、
    前記ビーム縮小器により直径が縮小された前記低出力ビームをパルス状にする変調器と、
    前記変調器によりパルス状にされたパルスレーザビームの直径を増大させるためのビーム拡大器と、
    前記ビーム拡大器により直径が増大された前記パルスレーザビームを受けて増幅する少なくとも1つのソリッドステートNd−YAG増幅器と、
    集束光学部品と、を備える、衝撃レーザ穿孔システム。
  2. 第2の増幅器を更に備える、請求項1に記載の衝撃レーザ穿孔システム。
  3. 前記少なくとも1つのソリッドステートNd−YAG増幅器が、フラッシュランプ励起である、請求項1に記載の衝撃レーザ穿孔システム。
  4. 前記第2の増幅器が、フラッシュランプ励起である、請求項2に記載の衝撃レーザ穿孔システム。
  5. 前記少なくとも1つのソリッドステートNd−YAG増幅器が、ダイオード励起である、請求項1に記載の衝撃レーザ穿孔システム。
  6. 前記第2の増幅器が、ダイオード励起である、請求項2に記載の衝撃レーザ穿孔システム。
  7. 前記衝撃レーザ穿孔システム及び前記低出力ビームを制御するプロセッサを更に備える、請求項1に記載の衝撃レーザ穿孔システム。
  8. 前記衝撃レーザ穿孔システムにより出力される前記低出力ビームは、5kW〜80kWのピークビーム出力を有し、前記衝撃レーザ穿孔システムにより出力される前記低出力ビームの品質を定義する無次元パラメータであるMは、3〜6の範囲にあり、前記衝撃レーザ穿孔システムにより出力される前記低出力ビームは、3〜30マイクロ秒のパルス持続時間を有し、前記衝撃レーザ穿孔システムが、0.5〜80ワットの平均ビーム出力を有する、請求項1に記載の衝撃レーザ穿孔システム。
  9. 前記ビーム拡大器により直径が増大された前記パルスレーザビームが順方向にのみ伝搬することを可能にする第1のファラデーアイソレータと、
    前記少なくとも1つのソリッドステートNd−YAG増幅器により増幅された前記パルスレーザビームが順方向にのみ伝搬することを可能にする第2のファラデーアイソレータと、を備える、請求項1に記載の衝撃レーザ穿孔システム。
  10. ブラインド穿孔を外科用縫合針に衝撃レーザ穿設する方法であって、
    A.衝撃レーザ穿孔システムを提供することであって、前記衝撃レーザ穿孔システムが、
    低出力ビームを生成するダイオード励起ファイバシードレーザと、
    前記低出力ビームの直径を縮小するためのビーム縮小器と、
    前記ビーム縮小器により直径が縮小された前記低出力ビームを受けて、前記低出力ビームをパルス状にする変調器と、
    前記変調器によりパルス状にされたパルスレーザビームの直径を増大させるためのビーム拡大器と、
    前記ビーム拡大器により直径が増大された前記パルスレーザビームを受けて増幅する少なくとも1つのソリッドステートNd−YAG増幅器と、
    集束光学部品と、を備える、提供することと、
    B.前記低出力ビームを前記集束光学部品から前記外科用縫合針の近位端上へ集束させることと、
    C.穿孔を前記外科用縫合針の前記近位端に衝撃穿設すること、を含む、方法。
  11. 前記衝撃レーザ穿孔システムが、第2の増幅器を更に備える、請求項10に記載の方法。
  12. 前記少なくとも1つのソリッドステートNd−YAG増幅器が、フラッシュランプ励起である、請求項10に記載の方法。
  13. 前記第2の増幅器が、フラッシュランプ励起である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記少なくとも1つのソリッドステートNd−YAG増幅器が、ダイオード励起である、請求項10に記載の方法。
  15. 前記第2の増幅器が、ダイオード励起である、請求項11に記載の方法。
  16. 前記衝撃レーザ穿孔システム及び前記低出力ビームを制御するプロセッサを更に含む、請求項10に記載の方法。
  17. 前記衝撃レーザ穿孔システムにより出力される前記低出力ビームは、5kW〜80kWのピークビーム出力を有し、前記衝撃レーザ穿孔システムにより出力される前記低出力ビームの品質を定義する無次元パラメータであるMは、3〜6の範囲にあり、前記衝撃レーザ穿孔システムにより出力される前記低出力ビームは、3〜30マイクロ秒のパルス持続時間を有し、前記衝撃レーザ穿孔システムが、0.5〜80ワットの平均ビーム出力を有する、請求項10に記載の方法。
  18. 前記衝撃レーザ穿孔システムが、
    前記ビーム拡大器により直径が増大された前記パルスレーザビームが順方向にのみ伝搬することを可能にする第1のファラデーアイソレータと、
    前記少なくとも1つのソリッドステートNd−YAG増幅器により増幅された前記パルスレーザビームが順方向にのみ伝搬することを可能にする第2のファラデーアイソレータと、を備える、請求項10に記載の方法。
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