以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1及び図2を参照しながら、第1実施形態に係る車両用空調装置100について説明する。車両用空調装置100は、車両10に搭載され、車室RM内の空調を行うための装置として構成されている。
図1に示されるように、車両用空調装置100は、制御装置110と、空調機構部120と、内気温センサ151と、外気温センサ152と、湿度センサ160と、着座センサ170と、IRセンサ131と、搖動機構部132と、を備えている。
制御装置110は、車両用空調装置100の全体の動作を制御するための装置である。制御装置110は、CPU、ROM、RAM等を有するコンピュータシステムとして構成されている。制御装置110の機能や、制御装置110によって行われる処理の具体的な内容については後に説明する。
内気温センサ151は、車室RM内の気温を検知するためのセンサである。また、外気温センサ152は、車両10の外側の気温を検知するためのセンサである。内気温センサ151及び外気温センサ152により測定されたそれぞれの気温は、いずれも制御装置110に入力される。
湿度センサ160は、車室RM内の湿度を検知するためのセンサである。尚、車室RM内の湿度は全体で概ね均一なのであるが、窓ガラスの近傍部分等においては局所的に他と異なる湿度となっている場合がある。湿度センサ160により測定される湿度は、このような局所的に他と異なっている湿度ではなく、車室RM内の大部分を占める空間の湿度(平均的な湿度といってもよい)である。湿度センサ160により測定された車室RM内の湿度は、制御装置110に入力される。
着座センサ170は、車両10に設けられたそれぞれの座席(運転席21等)に乗員が着座していることを検知するためのセンサである。着座センサ170はそれぞれの座席に設けられており、座席毎に乗員の有無を検知することができる。着座センサ170による検知結果を示す信号は制御装置110に入力される。制御装置110は、それぞれの着座センサ170からの信号により、車室RM内に存在する乗員の数を把握することができる。
空調機構部120は、車室RM内の空調を行うための機構部分である。空調機構部120は、空調用コンプレッサ121、凝縮器、蒸発器、絞り弁、送風ファン、等を有しており、これら全体で一つの冷凍サイクルが構成されている。図1においては、これらのうち空調用コンプレッサ121のみが図示されており、他については図示が省略されている。空調用コンプレッサ121は、冷媒を圧送し冷凍サイクルにおいて循環させるためのものである。制御装置110は、現時点における空調用コンプレッサ121の回転数を取得することが可能となっている。
制御装置110によって、空調機構部120における送風ファンの回転数や絞り弁の開度、空調機構部120に設けられた各種ドア(不図示)の動作等が制御され、これにより車室RM内に吹き出される空調風の温度や風量等が調整される。空調機構部120の具体的な構成は公知のものであるから、具体的な図示や説明は省略する。
IRセンサ131は、車室RM内にある物体の表面温度を、当該物体からの輻射(赤外線)に基づいて検知するセンサである。IRセンサ131は、車両10に乗っている乗員の表面温度を検知し、当該表面温度に基づいて空調を適切に行うための温度センサとして用いられるものである。また、IRセンサ131は、車両10に設けられた窓ガラスG1等の表面温度を検知し、当該表面温度に基づいて防曇制御(後述)を行うための温度センサとしても用いられる。IRセンサ131によって検知された表面温度は、制御装置110に入力される。IRセンサ131は、本実施形態における「温度検知部」に該当する。
搖動機構部132は、IRセンサ131を搖動させてその向きを左右に変化させるための駆動装置である。搖動機構部132は不図示のステッピングモータを備えている。ステッピングモータは、その回転軸を鉛直方向に沿わせた状態でインストルメントパネル26上に配置されており、当該回転軸にIRセンサ131が固定されている。搖動機構部132が動作し、IRセンサ131の向きが変化すると、IRセンサ131によって表面温度が検知される領域(以下、「被検知領域」と称する)の位置が変化する。搖動機構部132の動作は制御装置110によって制御される。
制御装置110は、機能的な制御ブロックとして、搖動制御部111と、算出部112と、空調制御部113とを備えている。
搖動制御部111は、搖動機構部132の動作を制御する部分である。算出部112は、車両10の窓ガラスG1等において曇りが発生する可能性を算出する部分である。その算出方法については後述する。空調制御部113は、空調機構部120の動作を制御する部分である。
引き続き図2を参照しながら、車両10のうち車室RM内の構成について説明する。車室RM内のうち前方側部分には、右側の座席である運転席21と、左側の座席である助手席22とが、互いに隣り合うように設けられている。また、後方側部分には、右側の座席である第1後部座席23と、左側の座席である第2後部座席24とが、互いに隣り合うように設けられている。図2には、運転席21に着座している運転者M1と、助手席22に着座している同乗者M2と、第1後部座席23に着座している同乗者M3と、第2後部座席24に着座している同乗者M4と、が示されている。符号25が付されているのはステアリングハンドルである。
運転席21及び助手席22の前方側には、インストルメントパネル26が設けられている。インストルメントパネル26のうち左右方向における中央部には、吹き出し口27が形成されている。吹き出し口27は、車両用空調装置100(具体的には空調機構部120)によって温度調整された空気、すなわち空調風の出口である。吹き出し口27から空調風が吹き出されることにより、車室RM内の空調が行われる。
車両10には複数の窓ガラスが設けられている。図2においては、運転席21側の側面に設けられた窓ガラスG1と、助手席22側の側面に設けられた窓ガラスG2と、第1後部座席23側の側面に設けられた窓ガラスG3と、第2後部座席24側の側面に設けられた窓ガラスG4とが示されている。この他、車両10には前方側のフロントガラスと後方側のリアガラスも設けられているのであるが、これらの窓ガラスについては図示が省略されている。
インストルメントパネル26の上面のうち、左右方向における中央となる位置には、IRセンサ131が設置されている。既に述べたように、IRセンサ131は、車両10に乗っている乗員等の表面温度を検知するための温度センサである。IRセンサ131は、搖動機構部132を介してインストルメントパネル26の上面に取り付けられている。
尚、IRセンサ131は、インストルメントパネル26の上面よりも高い場所、例えば天井にあるオーバーヘッドコンソール(不図示)に設置されてもよい。IRセンサ131の設置場所は、各乗員及び各窓ガラスの表面からの輻射が直接到達し得るような場所とすることが好ましい。
図2では、IRセンサ131によって表面温度を一度に検知し得る範囲が、範囲RG1として示されている。本実施形態のIRセンサ131は画素数が少ない安価なものであり、その検知範囲が比較的狭角となっている。IRセンサ131によって表面温度を一度に検知し得る範囲RG1が狭いので、全ての乗員(運転者M1、同乗者M2、M3、M4)や窓ガラスG1等の表面温度を一度に且つ同時に検知することはできない。
そこで、本実施形態に係る車両用空調装置100では、搖動機構部132の動作によりIRセンサ131の向きを変化させて行くことで、それぞれの乗員等の表面温度を順に検知して行くように構成されている。具体的には、搖動機構部132がIRセンサ131を周期的に左右に搖動させることで、車室RM内における各部の表面温度を検知して行くような構成となっている。
図2では、IRセンサ131の搖動によって表面温度を検知し得る範囲の全体が、範囲RG12して示されている。IRセンサ131が搖動すると、範囲RG1の向きが範囲RG12の中で変化していく。つまり、被検知領域の位置が、範囲RG12の中で左右に移動していく。図2に示されている状態においては、運転者M1の表面の一部が被検知領域となっている。
ただし、搖動機構部132がIRセンサ131を搖動させる範囲は、常に範囲RG12となっているわけではない。搖動機構部132は、範囲RG12よりも狭い範囲RG11において被検知領域の位置が移動するように、IRセンサ131を搖動させることも可能となっている。
範囲RG11は、着座している全ての乗員(運転者M1、同乗者M2、M3、M4)の表面を含むような最低限の範囲として設定されている。これに対し、範囲RG11を内部に包含する範囲RG12は、窓ガラスG1、G2、G3、G4、不図示のリアガラス、及び不図示のフロントガラスの一部を含むような範囲として設定されている。
範囲RG11において被検知領域の位置が移動するようなIRセンサ131の搖動範囲のことを、以下では「第1搖動範囲」とも称する。また、範囲RG12において被検知領域の位置が移動するようなIRセンサ131の搖動範囲のことを、以下では「第2搖動範囲」とも称する。
車両用空調装置100による空調が行われているときには、制御装置110は、第1搖動範囲においてIRセンサ131が搖動するように、搖動機構部132の動作を制御する。これにより、それぞれの乗員の表面温度が順に検知されていく。制御装置110は、内気温センサ151で検知された車室RM内の気温、及び外気温センサ152で検知された外気温に加えて、IRセンサ131で検知された各乗員の表面温度をも考慮しながら、車室RM内の空調を制御する。各乗員の表面温度をも考慮しながら空調制御を行うことにより、それぞれの乗員が感じる温熱感を適切なものとすることができる。
また、窓ガラスG1等の曇りが発生する可能性(以下、「曇り可能性」とも称する)が高い状況になったときには、制御装置110は、第1搖動範囲よりも広い第2搖動範囲においてIRセンサ131が搖動するように、搖動機構部132の動作を制御する。
これにより、それぞれの窓ガラスG1等の表面温度が順に検知されていく。制御装置110は、窓ガラスG1等の表面温度に基づいて防曇制御を行う。防曇制御とは、車室RM内側における窓ガラスG1等の曇りを除去又は防止するために、空調風を窓ガラスG1等に吹き付ける制御である。このような防曇制御は、例えば、吹き出し口27から吹き出される空調風の風向を、不図示のルーバー等で変更することにより実行される。また、窓ガラスG1等の近傍の別途形成された吹き出し口から、窓ガラスG1等に向けて空調風を吹き付けるような態様で防曇制御が実行されてもよい。防曇制御は、空調制御部113によって実行される。
IRセンサ131の搖動範囲を切り換えるために実行される処理の流れについて、図3を参照しながら説明する。図3に示される一連の処理は、所定の制御周期が経過する毎に繰り返し実行される。
最初のステップS01では、算出部112によって曇り可能性が算出される。曇り可能性の算出方法について、図4を参照しながら説明する。図4に示されるフローチャートは、図3のステップS01において実行される具体的な処理の流れを示している。
最初のステップS11では、湿度センサ160によって車室RM内の湿度が取得される。ステップS11に続くステップS12では、ステップS11で取得された湿度が高いか否かが判定される。当該判定は、取得された湿度を所定の閾値と比較することにより行われる。湿度が閾値を越えていればステップS13に移行する。
ステップS13に移行したということは、車室RM内の湿度がある程度高くなっており、窓ガラスG1等の表面温度によっては曇りが発生するということである。このため、ステップS13では、曇り可能性が「高い」と算出される。
ステップS12において湿度が閾値以下のときには、ステップS14に移行する。ステップS14に移行したということは、車室RM内の湿度が低くなっており、窓ガラスG1等の表面温度が低下しても曇りが発生しにくいということである。このため、ステップS14では、曇り可能性が「低い」と算出される。
尚、本実施形態では上記のように、算出部112で算出される曇り可能性は、「高い」又は「低い」の2値のパラメータとなっている。このような態様に替えて、曇り可能性が0%から100%までの数値として算出されるような態様としてもよい。いずれの態様であっても、湿度センサで取得された湿度が高いときには、算出部112では曇り可能性が高く算出される。
図3に戻って説明を続ける。ステップS01に続くステップS02では、算出された曇り可能性が高いか否かが判定される。尚、曇り可能性が数値として算出される場合には、当該判定は、曇り可能性を所定の閾値と比較することにより行われる。
曇り可能性が高くないと判定された場合にはステップS03に移動する。この場合は、窓ガラスG1において曇りが発生する可能性は低いのであるから、IRセンサ131によって窓ガラスG1等の表面温度を取得する必要はない。このため、ステップS03では、第1搖動範囲(図2の範囲RG11)においてIRセンサ131を搖動させる処理が行われる。
第1搖動範囲は、各乗員の表面温度を取得するための最低限の範囲として設定されているので、各乗員の表面温度が高い頻度で取得される。これにより、それぞれの乗員が感じる温熱感を適切なものとすることができる。
ステップS02において曇り可能性が高いと判定された場合には、ステップS04に移行する。この場合は、窓ガラスG1等において曇りが発生する可能性が高いので、防曇制御を実行するために窓ガラスG1等の表面温度を取得する必要が有る。そこで、ステップS04では、第2搖動範囲(図2の範囲RG12)においてIRセンサ131を搖動させる処理が行われる。
ステップS04に続くステップS05では、範囲RG12に存在する窓ガラスG1等の表面温度がIRセンサ131により取得される。ステップS05に続くステップS06では、窓ガラスG1等の表面近傍における局所的な湿度が推定される。当該推定は、湿度センサ160によって取得された車室RM内の湿度と、ステップS05において取得された窓ガラスG1等の表面温度とに基づいて、例えばマップを参照すること等により推定される。
ステップS06に続くステップS07では、ステップS06で推定された湿度が、所定の閾値よりも大きいか否かが判定される。湿度が閾値以下であった場合には、防曇制御を実行することなく図3に示される一連の処理を終了する。湿度が閾値よりも大きい場合には、ステップS08に移行する。ステップS08では、先に説明した防曇制御が実行される。
以上に説明したように、本実施形態における搖動制御部111は、曇り可能性が低い場合には、第1搖動範囲においてIRセンサ131が搖動するように搖動機構部132の動作を制御する。これにより、各乗員の表面温度を高い頻度で取得し、各乗員にとって快適な空調制御を実現することができる。
また、搖動制御部111は、曇り可能性が高い場合には、第1搖動範囲よりも広い第2搖動範囲においてIRセンサ131が搖動するように搖動機構部132の動作を制御する。これにより、窓ガラスG1等の表面温度に基づいて、防曇制御の必要性を適切に判定することができる。第2搖動範囲におけるIRセンサ131の搖動が、曇り可能性が高い場面でのみ限定的に実行されるので、快適な空調制御への影響を最低限に抑えることができる。
尚、第2搖動範囲は、図2に示される範囲RG12とは異なる範囲に設定されてもよい。例えば、フロントガラス全体の表面温度をも取得し得るような範囲として設定されてもよい。
上記のように、制御装置110の空調制御部113は、窓ガラスG1等における曇りの発生を防止する制御、である防曇制御を実行することができる。このような空調制御部113は、本実施形態における「防曇制御部」に該当する。
第2搖動範囲においてIRセンサ131を搖動させる制御が行われているとき(つまり、ステップS04の処理が行われたとき)に、空調制御部113は、IRセンサ131によって測定された窓ガラスG1等の温度に基づいて、防曇制御を実行するか否かを決定する(ステップS102)。具体的には、空調制御部113は、IRセンサ131によって測定された窓ガラスG1等の温度に基づいて、窓ガラスG1等の近傍における湿度を推定し(ステップS06)、当該湿度が所定の閾値よりも高いときに防曇制御を実行する(ステップS08)。これにより、快適な空調制御への影響を上記のように最低限に抑えながらも、窓ガラスG1が曇りやすいとき(又は曇っているとき)には防曇制御を行うことができ、車両10の安全性を確保することができる。
第2実施形態について説明する。本実施形態では、算出部112が曇り可能性を算出する方法において第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態における算出部112が曇り可能性を算出する方法について、図5を参照しながら説明する。図5に示される一連の処理は、図4に示される一連の処理に換えて実行されるものである。
最初のステップS21では、外気温センサ152によって外気の気温(外気温)が取得される。ステップS21に続くステップS22では、ステップS21で取得された外気温が低いか否かが判定される。当該判定は、取得された外気温を所定の閾値と比較することにより行われる。外気温が閾値を下回っていればステップS23に移行する。
ステップS23に移行した場合には、内気温(車室RM内の気温)と外気温との差が大きく、曇りが発生しやすい状態になっていると推定される。このため、ステップS23では、曇り可能性が「高い」と算出される。
ステップS22において外気温が閾値以上のときには、ステップS24に移行する。ステップS24に移行した場合には、内気温と外気温との差が小さく、曇りが発生しにくい状態になっていると推定される。このため、ステップS23では、曇り可能性が「低い」と算出される。
尚、本実施形態では上記のように、算出部112で算出される曇り可能性は、「高い」又は「低い」の2値のパラメータとなっている。このような態様に替えて、曇り可能性が0%から100%までの数値として算出されるような態様としてもよい。いずれの態様であっても、外気温センサ152で取得された外気温が低いときには、算出部112では曇り可能性が高く算出される。
以上のように、本実施形態に係る算出部112は、外気の気温を外気温センサ152で取得し、当該気温に基づいて曇り可能性を算出する。具体的には、外気温センサ152で取得された気温が低いときには、算出部112が算出する曇り可能性が高くなる。このような態様であっても、第1実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
第3実施形態について説明する。本実施形態では、算出部112が曇り可能性を算出する方法において第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態における算出部112が曇り可能性を算出する方法について、図6を参照しながら説明する。図6に示される一連の処理は、図4に示される一連の処理に換えて実行されるものである。
最初のステップS31では、内気温センサ151によって車室RM内の気温(内気温)が取得される。ステップS31に続くステップS32では、ステップS31で取得された内気温が高いか否かが判定される。当該判定は、取得された内気温を所定の閾値と比較することにより行われる。内気温が閾値を越えていればステップS33に移行する。
ステップS33に移行した場合には、内気温と外気温との差が大きく、曇りが発生しやすい状態になっていると推定される。このため、ステップS33では、曇り可能性が「高い」と算出される。
ステップS32において内気温が閾値以下のときには、ステップS34に移行する。ステップS34に移行した場合には、内気温と外気温との差が小さく、曇りが発生しにくい状態になっていると推定される。このため、ステップS34では、曇り可能性が「低い」と算出される。
尚、本実施形態では上記のように、算出部112で算出される曇り可能性は、「高い」又は「低い」の2値のパラメータとなっている。このような態様に替えて、曇り可能性が0%から100%までの数値として算出されるような態様としてもよい。いずれの態様であっても、内気温センサ151で取得された内気温が高いときには、算出部112では曇り可能性が高く算出される。
以上のように、本実施形態に係る算出部112は、車室RM内の気温を内気温センサ151で取得し、当該気温に基づいて曇り可能性を算出する。具体的には、内気温センサ151で取得された気温が高いときには、算出部112が算出する曇り可能性が高くなる。このような態様であっても、第1実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
第4実施形態について説明する。本実施形態では、算出部112が曇り可能性を算出する方法において第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態における算出部112が曇り可能性を算出する方法について、図7を参照しながら説明する。図7に示される一連の処理は、図4に示される一連の処理に換えて実行されるものである。
最初のステップS41では、各着座センサ170からの検知結果に基づいて、車室RM内に存在している乗員の数、すなわち車両10に乗車している乗員の数が取得される。ステップS41に続くステップS42では、ステップS41で取得された乗員の数が多いか否かが判定される。当該判定は、乗員の数を所定の閾値と比較することにより行われる。乗員の数が閾値を越えていればステップS43に移行する。
ステップS43に移行した場合には、各乗員の身体から放散される水蒸気の量が多く、曇りが発生しやすい状態になっていると推定される。このため、ステップS43では、曇り可能性が「高い」と算出される。
ステップS42において乗員の数が閾値以下のときには、ステップS44に移行する。ステップS44に移行した場合には、各乗員の身体から放散される水蒸気の量が少なく、曇りが発生しにくい状態になっていると推定される。このため、ステップS44では、曇り可能性が「低い」と算出される。
尚、本実施形態では上記のように、算出部112で算出される曇り可能性は、「高い」又は「低い」の2値のパラメータとなっている。このような態様に替えて、曇り可能性が0%から100%までの数値として算出されるような態様としてもよい。いずれの態様であっても、乗員の数が多いときには、算出部112では曇り可能性が高く算出される。
以上のように、本実施形態に係る算出部112は、車両10に乗車している乗員の数に基づいて曇り可能性を算出する。具体的には、車両10に乗車している乗員の数が多いときには、算出部112が算出する曇り可能性が高くなる。このような態様であっても、第1実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
第5実施形態について説明する。本実施形態では、算出部112が曇り可能性を算出する方法において第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態における算出部112が曇り可能性を算出する方法について、図8を参照しながら説明する。図8に示される一連の処理は、図4に示される一連の処理に換えて実行されるものである。
最初のステップS51では、空調用コンプレッサ121の回転数が取得される。ステップS51に続くステップS52では、ステップS51で取得された回転数が小さいか否かが判定される。当該判定は、回転数を所定の閾値と比較することにより行われる。回転数が閾値を下回っていればステップS53に移行する。
ステップS53に移行した場合には、空調機構部120のエバポレータにおける空気の除湿量が小さくなっていることにより、車室RM内の湿度が比較的高くなっているものと考えられる。つまり、車室RM内では曇りが発生しやすい状態になっていると推定される。このため、ステップS53では、曇り可能性が「高い」と算出される。
ステップS52において、空調用コンプレッサ121の回転数が閾値以上のときには、ステップS54に移行する。この場合は、空調機構部120のエバポレータにおける空気の除湿量が大きくなっていることにより、車室RM内の湿度が比較的低くなっているものと考えられる。つまり、車室RM内では曇りが発生しにくい状態になっていると推定される。このため、ステップS54では、曇り可能性が「低い」と算出される。
尚、本実施形態では上記のように、算出部112で算出される曇り可能性は、「高い」又は「低い」の2値のパラメータとなっている。このような態様に替えて、曇り可能性が0%から100%までの数値として算出されるような態様としてもよい。いずれの態様であっても、空調用コンプレッサ121の回転数が小さいときには、算出部112では曇り可能性が高く算出される。
以上のように、本実施形態に係る算出部112は、空調用コンプレッサ121の回転数に基づいて曇り可能性を算出する。具体的には、空調用コンプレッサ121の回転数が小さいときには、算出部112が算出する曇り可能性が高くなる。このような態様であっても、第1実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
第6実施形態について説明する。本実施形態では、算出部112が曇り可能性を算出する方法において第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
本実施形態における算出部112が曇り可能性を算出する方法について、図9を参照しながら説明する。図9に示される一連の処理は、図4に示される一連の処理に換えて実行されるものである。
最初のステップS61では、車両用空調装置100の動作時間が取得される。この「動作時間」とは、車両用空調装置100が直近の動作を開始した時点から現在までの経過時間である。ステップS61に続くステップS62では、ステップS61で取得された動作時間が短いか否かが判定される。当該判定は、動作時間の長さを所定の閾値と比較することにより行われる。動作時間が閾値を下回っていればステップS63に移行する。
ステップS63に移行した場合には、空調機構部120で除湿された空気が車室RM内には未だ十分に供給されておらず、車室RM内の湿度が比較的高くなっているものと考えられる。つまり、車室RM内では曇りが発生しやすい状態になっていると推定される。このため、ステップS63では、曇り可能性が「高い」と算出される。
ステップS62において、車両用空調装置100の動作時間が閾値以上のときには、ステップS64に移行する。この場合は、空調機構部120で除湿された空気が車室RM内に十分供給されており、車室RM内の湿度が比較的低くなっているものと考えられる。つまり、車室RM内では曇りが発生しにくい状態になっていると推定される。このため、ステップS64では、曇り可能性が「低い」と算出される。
尚、本実施形態では上記のように、算出部112で算出される曇り可能性は、「高い」又は「低い」の2値のパラメータとなっている。このような態様に替えて、曇り可能性が0%から100%までの数値として算出されるような態様としてもよい。いずれの態様であっても、車両用空調装置100の動作時間が短いときには、算出部112では曇り可能性が高く算出される。
以上のように、本実施形態に係る算出部112は、車両用空調装置100の動作時間に基づいて曇り可能性を算出する。具体的には、車両用空調装置100の動作時間が短いときには、算出部112が算出する曇り可能性が高くなる。このような態様であっても、第1実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
第7実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置110が行う処理の内容において第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
図10に示される一連の処理は、本実施形態に係る制御装置110によって実行される処理であり、図3に示される一連の処理に換えて実行されるものである。当該処理では、ステップS04の処理に先立って行われる処理としてステップS101が追加されている。その他については、図3に示される一連の処理と同じである。
ステップS02において曇り可能性が高いと判定された場合には、ステップS101に移行する。ステップS101では、第2搖動範囲を設定する処理が行われる。具体的には、ステップS01において算出された曇り可能性が高くなるほど、第2搖動範囲が広い範囲として設定される。
このような態様においては、曇り可能性が高くなり防曇制御の必要性が高くなるほど、第2搖動範囲が広く設定されるので、窓ガラスG1等が曇っていること(又は曇りやすい状態となっていること)をより確実に検知することができるようになる。
また、ステップS02の判定が肯定の場合であっても、曇り可能性がある程度低いうちは第2搖動範囲が狭く設定されるので、乗員の表面温度の検知頻度が低下し過ぎることが無い。つまり、本実施形態に係る制御によれば、乗員の快適性を重視した制御への影響を低く抑えることができる。
第8実施形態について説明する。本実施形態では、湿度センサ160が設けられていない点、及び制御装置110が行う処理の内容において第1実施形態と異なっており、その他については第1実施形態と同じである。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
図11に示される一連の処理は、本実施形態に係る制御装置110によって実行される処理であり、図3に示される一連の処理に換えて実行されるものである。当該処理は、ステップS05の後に行われる処理の内容において、図3に示される一連の処理と異なっている。その他については、図3に示される一連の処理と同じである。
ステップS05において窓ガラスG1等の表面温度がIRセンサ131により取得された後は、ステップS102に移行する。ステップS102では、ステップS05で取得された表面温度が、所定の閾値よりも低いか否かが判定される。表面温度が閾値よりも低い場合には、ステップS08に移行する。この場合、車室RM内の空気が窓ガラスG1等の近傍においてその温度を低下させることにより、窓ガラスG1等における曇りが発生しやすくなっていると考えられる。そこで、ステップS08では防曇制御が実行される。
ステップS102において、表面温度が閾値以上となっている場合には、図11に示される一連の処理を終了する。この場合は、車室RM内の空気が窓ガラスG1等の近傍に到達しても、その温度をあまり低下させないので、窓ガラスG1等における曇りは発生しにくくなっていると考えられる。このため、この場合には防曇制御が実行されない。
以上のように、本実施形態では、窓ガラスG1等の温度が所定の閾値よりも低いときに防曇制御を実行することで、湿度センサ160が設けられていない構成でありながら、第1実施形態において説明したものと同様の効果を奏する。
第9実施形態について説明する。本実施形態では、制御装置110が行う処理の内容において上記の第8実施形態(図11)と異なっており、その他については第8実施形態と同じである。以下では、第8実施形態と異なる点についてのみ説明し、第8実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
図12に示される一連の処理は、本実施形態に係る制御装置110によって実行される処理であり、図11に示される一連の処理に換えて実行されるものである。当該処理は、ステップS05とステップS102との間にステップS103が挿入されている点において、図11に示される一連の処理と異なっている。その他については、11に示される一連の処理と同じである。
ステップS05において窓ガラスG1等の表面温度がIRセンサ131により取得された後は、ステップS103に移行する。ステップS103では、ステップS01で算出された曇り可能性に応じて、ステップS102の判定に用いられる閾値が設定(変更)される。
具体的には、算出部112によって算出された曇り可能性が高いときには、上記閾値が高い値に変更される。つまり、曇り可能性が高いときには、防曇制御が実行されやすくなる方向に上記閾値が変更される。これにより、湿度センサ160が設けられていない構成としながらも、必要な防曇制御が誤判定により実行されなくなるような事態を防止することができる。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。