車両の窓上の結露を減らすための、車両の冷暖房空調システム(HVAC)の自動制御のためのシステムおよび方法を記載する。このシステムおよび方法は、種々のセンサによって検出されたデータに基づいて結露が形成されやすいか否かを自動的に決定する、というような、幾つかの利益と利点を提供する。このシステムおよび方法はさらに、HVACの設定を自動的にオンとし且つ調整して、HVACが適正な気温および湿度レベルで空気を吹き出し、車両の窓上に結露が形成されるのを減らしおよび/または除去し、或いは車両の窓上に形成されていた結露を減らしおよび/または除去する。このことは、例えば、HVACを調整し或いは制御する代わりに、ドライバが他の事前運転タスク又は運転タスクに注視することを可能とすると言うような、利益および利点を提供する。このシステムおよび方法はさらに、車両の窓上の結露を減らすか或いは取り除くためのHVACの最適設定を決定すると言うような、利益および利点を提供する。このことは、例えば結露の増加の可能性を減らし且つ結露を比較的素早く減らすことができるというような、利益および利点を提供する。
一例としてのシステムは、少なくとも1個の窓に向かって空気を吹き出す、少なくとも1個の通気口を有するHVACを含む。このシステムはさらに、周囲気温を検出するための温度センサと、車両の室内の気温を検出する別の温度センサと、室内の湿度レベルを検出するための湿度センサと、さらに、周囲湿度レベルを検出するためのオプショナルな別の湿度センサとを含む。このシステムはさらに、電子制御ユニット(ECU)を含む。このECUは、検出された気温と湿度レベルを受信し、検出されたデータに基づいて少なくとも1個の窓上に結露が形成されやすいか否かを決定する。ECUはさらに、検出したデータに基づいて、少なくとも1個の窓上の結露の比較的早い減少或いは除去のための最適設定を決定する。ECUはさらに、最適設定で動作するようにHVACを制御する。
図1を参照すると、自動のデフロストが可能な車両100は、ECU102、メモリ104、入力装置105、ネットワークアクセス装置106およびGPSユニット108を含み得る。この車両はさらに、HVAC110と、第1の内部温度センサ112、第2の内部温度センサ114、第1の外部温度センサ116、第2の外部温度センサ118、第1の内部湿度センサ120、第2の内部湿度センサ122および外部湿度センサ124を含む複数のセンサを含み得る。
ECU102は、自動車システム用に特別に設計された1個またはそれ以上のプロセッサまたは制御装置を含むことができる。ECU102の機能は、単一のECUまたは複数のECUにおいて実行され得る。ECU102は、車両100の部品からデータを受信することが可能で、受信したデータに基づいて決定を行うことができ、且つこの決定および受信したデータに基づいて部品の動作を制御することが可能である。
メモリ104はこの技術分野で周知の持続性メモリを含み得る。この点に関して、メモリ104はECU102によって利用可能な機械可読命令を記憶し、且つ、ECU102によって要求された他の全てのデータを記憶することができる。
入力装置105は、ユーザ入力を受信することが可能な入力装置を含み得る。入力装置105は、例えば、ボタン、ノブ、ダイアル、タッチスクリーン、タッチパッド、マイクロフォン等を含み得る。入力装置105は、ECU102が入力装置105からユーザ入力を受信できるように、ECU102と接続され得る。入力装置105は、ユーザが車両100の自動デフロスト(霜取り)機能をスイッチオンまたはスイッチオフしたいか否かを示すユーザ入力を受信し得る。
ネットワークアクセス装置106は、外部装置またはネットワークと通信することが可能な全ての装置を含み得る。例えば、ネットワークアクセス装置106は、3Gプロトコル、4Gプロトコル、802.11(Wi−Fi)プロトコル、専用ショートレンジ通信(DSRC,車両対インフラストラクチャまたは車両対車両通信に使用可能である)ポート等を介して、クラウド140と通信することができる。
幾つかの実施形態において、ネットワークアクセス装置106はさらに、或いはその代わりに入力/出力(I/O)ポートを含み得る。この点に関して、ネットワークアクセス装置106は有線或いは無線インターフェースを介して他の装置に接続し得る。例えば、ネットワークアクセス装置106はUSBポート、Wi−Fiポート、ブルーツースポート、DSRCポート等であり得る。ネットワークアクセス装置106は、例えばモバイル機器(図示せず)、テレマティック装置(図示せず)等へデータを送信し、且つ受信し得る。この点に関して、ECU102はネットワークアクセス装置106を介して外部装置と通信し得る。
GPSユニット106は、車両100の現在位置に対応する位置データを受信しおよび/または送信することが可能な、1個またはそれ以上のGPS受信器および/または送信器を含み得る。この点に関して、ECU102は、GPSユニット108からのデータに基づいて車両100の現在位置を決定することができる。
HVAC110は、暖房、空調および換気を車両100の室内(例えば、図2の客室200)に提供するように設計されている。HVAC110は空気を暖めまたは冷却することができ、空調および/または暖房装置を用いて湿度を調節することができ、且つ、車両100の窓方向を含む車両の客室のあらゆる場所で空気を循環させることができる。HVAC110は、空気を、ダクト128,130,132を通して通気口134まで向かわせる送風機126を含んでいる。通気口134、136,138は、空気の流れを送風機126から車両100の窓に向かわせる。HVAC110は、空気中の湿度の量を減らすために使用し得る蒸発器(図示せず)を更に含むことができる。従って、HVACは、送風機126によって吹き出された空気が広い温度範囲を有し且つ低下した湿度を有するようにすることができる。
HVAC110はさらに、再循環空気ポート142および外気ポート144を含むことができる。HVAC110は再循環空気ポート142を介して客室から空気を受け取り、外気ポート144を介して車両100の外部から新鮮な空気を受け取ることができる。HVAC110は次に空気を暖めおよび/または空調し、且つ、その空気を送風機126、ダクト128、130、132および通気口134、136、138を介して客室内に向かわせる。
図1および2を参照すると、第1および第2の内部温度センサ112、114は、全ての温度計または客室200内の空気の内部気温を検出することが可能な他のセンサを含み得る。ECU102は内部温度センサ112、114に接続されており、そして内部温度センサ112、114から検出された内部気温を受け取ることができる。車両100は内部温度センサを何個でも含むことができる。
内部温度センサ112、114のそれぞれの少なくとも一部分は、客室200内に配置されている。例えば、内部温度センサ112、114は、車両100のダッシュボード204の上に或いは隣接して或いはその中に配置され得る。第1の内部温度センサ112をドライバ側窓の既定の距離内に配置することができ、第2の内部温度センサ114を助手席側窓の規定の距離内に配置することができる。それぞれの規定の距離212、214は、例えば、15.24cm(6インチ)、30.48cm(12インチ)、60.96cm(24インチ)等であり得る。
第1の内部温度センサ112はドライバ側の窓208の近辺の空気に対応する温度データを検出することができ、第2の内部温度センサ114は助手席側の窓210の近辺の空気に対応する温度データを検出することができる。内部温度センサ112、114はダッシュボード204上或いはそれに隣接して配置されているので、それらはさらにフロントガラス(前方の風防ガラス)の近辺の温度に対応する温度データを検出することができる。
第1の通風口134は、ダッシュボード204の中心に(或いは隣接し或いは下に)配置されることができ、そしてダッシュボード204の長さ方向に沿って延びている。第1の通風口134はフロントガラス206の霜取りのために、空気の流れをフロントガラス206に向かわせることができる。第1の通風口134を通って吹き出した空気は加熱されおよび/または空調され得るので、第1の通風口134からの空気流の温度は、内部気温を正確に表していないこともある。従って、内部温度センサ112、114は、第1の通風口134からの空気流の通路から離れて配置されることが望ましい。さらに、ドライバまたは乗客の息は、身体の熱によって周囲の空気よりも通常、暖かい。従って、内部温度センサ112、114がドライバまたは乗客の息から離れて位置することが更に望ましい。
車両100は縦軸A−A’を有していても良い。幾つかの実施形態において、内部温度センサ112、114は、第1の通風口134とフロントガラス206の下側エッジ216間で軸方向に配置されていても良い。内部温度センサ112、114の軸位置と同様に、これらがドライバ側窓208と助手席側窓210とに近いことによって、内部温度センサ112、114は第1の通風口134からの空気流およびドライバ或いは乗客の息からの空気流の経路から離れていることができる。
外部温度センサ116、118はそれぞれ、如何なる温度計または客室200の外側の空気の周囲気温の検出が可能なそのその他のセンサをも含み得る。この点に関して、外部温度センサ116、118のそれぞれの少なくとも一部分は、客室200の外側に配置され得る。ECU102は、外部温度センサ116、118に接続され、外部温度センサ116,118から検出された周囲気温を受け取ることができる。車両100は外部温度センサを幾つ含んでいてもよい。
内部湿度センサ120、122は、客室200内の空気中の湿度量を検出することが可能な全てのセンサを含み得る。ECU102は内部湿度センサ120、122に接続され、内部湿度センサ120、122からの客室200内の空気の検出された内部湿度レベルを受け取ることができる。車両100は内部湿度センサを幾つ有していても良い。
内部湿度センサ120、122は客室200内に配置され得る。第1の内部湿度センサ120は支柱218或いはフロントガラスをドライバ側の窓208から分離する他の構造の上に或いは隣接して或いはその中に、配置され得る。第1の内部湿度センサ120は、ドライバ側の窓208の既定の距離222内に配置され得る。第2の内部湿度センサ122は、支柱220またはフロントガラス206を助手席側の窓210から分離する他の構造の上或いはそれに隣接して或いはその中に、配置することができる。第2の内部湿度センサ122は、助手席側窓210の既定の距離内に配置することができる。既定の距離222、223は、例えば、15.24cm(6インチ)、30.48cm(12インチ)、60.96cm(24インチ)等である。
第1の内部湿度センサ120はドライバ側窓208の近辺の空気に対応する湿度データを検出することができ、第2の内部湿度センサ122は助手席側の窓210の近辺の空気に対応する湿度データを検出することができる。内部湿度センサ120、122はさらに、これらがフロントガラス206に近いことによって、フロントガラス206の近辺の空気に対応する湿度データを検出することができる。
第2の通風口136は客室200の運転席側上或いは運転席内に配置され、第3の通風口138は客室の助手席側上または助手席内に配置される。第2の送風口136は、空気をHVAC110から運転席側窓208に向かわせるように適応されており、第3の送風口138は空気をHVAC110から助手席側窓210に向かわせるように適応されている。
第1の送風口134、第2の送風口136および第3の送風口138を通して吹き付けられる空気は空調されており、そのため客室200内の湿度レベルを必ずしも正確に表していない。さらにその上、人間の息は通常、周囲の空気よりも湿度が高い。従って、内部湿度センサ120、122を第1の送風口134、第2の送風口136および第3の送風口138からの空気流の経路から離れて配置することが望ましい。さらに、内部湿度センサ120、122をドライバ或いは助手席の乗客の息の経路から離れて配置することが望ましい。
支柱218、220上或いはこれに隣接する内部湿度センサ120、122の場所は、第1の送風口134、第2の送風口136および第3の送風口138からの空気の流れから離れた場所に、これらの湿度センサを置く。さらにその上、ドライバおよび助手席側の乗客が前方を向いた場合、これらの湿度センサは、ドライバおよび助手席側の乗客からの息の流れから離れている。
外部湿度センサ124は、客室200外の空気中の湿度量を検出することが可能な全てのセンサを含むことができる。この点に関して、外部湿度センサ124の少なくとも一部分は客室200の外に配置され得る。ECU102は外部湿度センサ124に接続され、外部湿度センサ124から検出された周囲の湿度レベルを受信することができる。車両100は外部湿度センサを幾つでも含むことができる。
ECU102は、メモリ104、入力装置105、ネットワークアクセス装置106、GPSユニット108、HVAC110および各センサに接続される。ECU102は、メモリ104、入力装置105、ネットワークアクセス装置106、GPSユニット106および複数のセンサからデータを受け取ることができ、そして受信したデータに基づいてHVAC110の動作を制御する。特に、ECU102は、受信したデータに基づいて、フロントガラス206、ドライバ側窓208および/または助手席側窓210上に結露が形成されやすいか否かを決定することができる。
図3を参照すると、車両300の内部センサの別の配置が示されている。特に、車両300は内部温度センサ312と内部湿度センサ320を含む。内部温度センサ312と内部湿度センサ320の両方は、車両300の客室302のダッシュボード304上に或いはそれに隣接して配置され得る。特に、内部温度センサ312と内部湿度センサ320はダッシュボード304に関して中央に配置される。内部温度センサ312と内部湿度センサ320はさらに、第1の送風口334とフロントガラス306の底縁316との間で、軸方向に配置される。
幾つかの実施形態では、内部温度センサ312および内部湿度センサ320は、フロントガラス310の底縁316に近い場所で、フロントガラス310上に或いは隣接しておよび/またはこれに結合して配置され得る。例えば、内部温度センサ312および/または内部湿度センサ320の如何なる部分がフロントガラスに結合していても良く、そして底縁316の2.54cm(1インチ)内、或いは7.62cm(3インチ)内或いは12.7cm(5インチ)内に少なくとも一部分を有する。
それらがダッシュボード304に関して中央に位置していることから、内部温度センサ312と内部湿度センサ320は、ドライバおよび助手席の乗客が前を向いた場合、ドライバおよび助手席の乗客の息の流れから離れている。それらが中央に配置されていることにより、内部温度センサ312と内部湿度センサ320は、第2の送風口336と第3の送風口338からの空気の流れから離れた位置にある。
内部温度センサ312と内部湿度センサ320の軸方向の配置は、第1の送風口334からの空気の流れから離れた場所にそれらを設置する。空気が第1の送風口334から流れる場合、空気は内部温度センサ312および内部湿度センサ320の上方を流れ、それによって検出された内部気温と検出された空気の内部湿度レベルへの影響は最小となる。
図4を参照すると、車両の窓の自動霜取りのための方法400が示されている。方法400は、例えば図1の車両100である、車両の部品によって実行され得る。幾つかの実施形態では、方法400は、ドライバによって、入力装置を介して、自動霜取り機能をオンとするための選択が行われた場合に実行されることができる。
方法400は、ブロック402において開始され、ここではセンサは温度データと湿度データを検出する。特に、1個またはそれ以上の外部温度センサが車両の外部の周囲気温を検出することができる。1個またはそれ以上の内部温度センサが、車両の室内の空気の内部気温を検出することができる。1個のまたはそれ以上の内部湿度センサが車両の室内の空気の内部湿度レベルを検出することができる。選択肢として、1個またはそれ以上の外部湿度センサが車両の外部の空気の周囲湿度レベルを検出することができる。
1種類以上のセンサが使用された場合、方法400あるいはその幾つかのステップは、検出されたそれぞれの値に対して繰り返され得る。幾つかの実施形態において、方法400あるいはそのステップは、周囲気温、内部気温、内部湿度レベルおよび周囲湿度レベルのそれぞれの平均値に基づいて、1回、実行され得る。
ブロック404において、ECUは、結露が窓上に形成される可能性が高い場合、結露測定器を設定することができる。結露測定器を設定するか否かの決定は、ブロック402において検出されたデータに基づいている。
図5を参照すると、結露測定器を設定するか否かを決定するための方法500が示されている。方法500は、図4のブロック404の代わりに実行されることができる。
ブロック502において、ECUは周囲気温が第1の温度閾値未満であるか否かを決定する。第1の温度閾値は、ECU内にプログラムされているか或いはECUによって決定される閾値であり、それ以上では結露の発生する可能性が低い周囲温度を表している。言い換えると、結露は、周囲気温が第1の温度閾値未満である場合、車両窓の内部表面に起こる可能性があるが、しかし周囲気温が第1の温度閾値よりも大きい場合、その他のファクタに関係なく、結露の起こる可能性は小さいと言うことである。
車両メーカーは、第1の温度閾値を60°F(15.6℃)と85°F(30℃)の間、或いは70°F(21℃)と85°F(30℃)の間、或いは約70°F(21℃)に設定することができる。ここで使用されている用語“約”は、参照値のプラス或いはマイナス10%の値であっても良い。例えば、第1の温度閾値は70°F(21℃)あるいは約70°F(約21℃)であり得る。周囲気温が80°F(26.7℃)の場合、車両の内部表面上への結露は形成或いは発生する可能性が低い。
窓の内部表面から結露を減少させ或いは除去するために、車両の室内に吹き出される空気は、周囲気温以上の温度に加熱されるべきである。第1の温度閾値を設定するための別の理由は、周囲温度が第1の温度閾値よりも高い場合、車両の室内を更に加熱することが好ましくない場合がある、ということである。第1の温度閾値以上の如何なる気温も、ドライバ或いは乗客にとって快適ではない場合がある。
従って、第1の既定温度が、全ての結露が回避され且つ車両の室内が快適な温度で維持されると言う希望に基づいて、車両メーカーによって設定される場合がある。周囲温度が第1の温度閾値よりも高いかまたは等しい場合、この方法は結露測定器を設定しないブロック514に進む。
ブロック504において、ECUは内部気温と周囲気温との差を決定することができる。例えば、ECUは、その差を決定するために内部気温から周囲気温を引き算する。
ブロック506において、ECUは、内部気温と周囲気温の差が第2の温度閾値より大きいか否かを決定する。第2の温度閾値は、ECU内にプログラムしておいてもよく、或いはECUによって決定しても良い。第2の温度閾値は、それ以下では結露が発生する可能性が低い温度差である。言い換えると、内部気温と周囲気温間の温度差が第2の温度閾値よりも大きい場合に結露が発生する場合があり、さらに内部気温と周囲気温間の温度差が第2の温度閾値未満である場合に、他のファクタに関係なく、結露の起こる可能性が低いと言うことである。
車両メーカーは、第2の温度閾値を、5°Fと20°F(−15℃と−6.7℃)間、或いは5°Fと15°F(−15℃と−9.4℃)の間、或いは約10°F(−12℃)に設定する場合もある。例えば、第2の温度閾値は10°F(−12.2℃)であり得る。内部気温と周囲気温間の差が5°F(15℃)であると、車両窓の内部表面上に結露が形成される可能性が低い。
結露は、暖かく湿った空気が冷たい表面と接触した場合に形成される。冷たい表面近くの空気は冷やされ、暖かかった時と同じ湿気を保持することはできない。空気からの湿気はガスから液体に変換され、冷たい表面上に集まる。従って、内部気温と周囲気温が第2の温度閾値よりも接近している場合、ガス状の湿気を液体に変換するために、暖かくて湿った空気を窓が充分に冷やすことがないので、結露の発生する可能性は低い。従って、内部気温と周囲気温との差が第2の閾値と同じかそれ未満である場合、方法500はブロック514に進み、そこでは結露測定器は設定されない。
幾つかの実施形態において、ECUは、周囲気温が内部気温よりも高いか否かを決定する。幾つかの実施形態において、周囲気温が内部気温よりも高い場合、方法500は同様にブロック514に進むことが可能で、そこでは結露測定器は設定されない。これは、周囲気温が内部気温よりも高い場合に発生する結露が車両窓の外側に形成され、窓を下げることによっておよび/またはワイパを使ってフロントガラス(風防ガラス)を清掃することによって、取り除くことができるためである。しかしながら、外部結露を、窓を下げることなく或いはワイパを用いることなく、減らすことが望ましい。従って、幾つかの実施形態では、周囲気温が内部気温よりも高く且つその差が第2の温度閾値よりも大きい場合、方法400はブロック508に進むことができる。
ブロック508において、ECUは内部湿度レベルが第1の湿度閾値よりも高いか否かを決定する。第1の湿度閾値は、ECU内にプログラムされているか或いはECUによって決定される閾値であり、それ以上である場合結露が発生する可能性が高い内部湿度値を表している。言い換えると、内部湿度レベルが第1の湿度閾値未満である場合、結露の発生する可能性は低いと言うことである。例えば、第1の湿度閾値は25%であり得る。内部湿度レベルが10%の場合、結露の発生する可能性は低い。
結露は、空気中に湿気が存在する場合にのみ発生する。上述したように、湿った空気が冷たい表面に接触した場合に結露が起こる。従って、上記全ての条件が満足されそして内部湿度レベルが第1の湿度閾値よりも高い場合、車両窓の内部上での結露の可能性が高い。内部湿度レベルが第1の湿度閾値よりも高いことをECUが決定した場合、方法500はブロック510に進むことが可能で、そこでは結露測定器が設定される。
結露は、幾つかの地方でその他の地方に比べて発生しやすい。例えば、結露は、冬季のミシガンのような比較的乾燥し且つ寒冷な場所で良く発生する。これは、身体からの湿気は乾燥した空気中でより早く蒸発し、車両の室内の湿度を上げるためである。車両が比較的冷たい場所の屋外に駐車している場合、身体から蒸発した湿気は比較的冷たい窓に接触し、結露する。夏季のフロリダのような比較的湿度が高く暖かい場所では、結露は発生しにくい。これは、身体からの湿気は、寒冷で乾燥した場所と同じ速度では蒸発しないためである。従って、第1の湿度閾値は、車両の場所および/または季節(時期)に基づいて設定することができる。
幾つかの実施形態において、ECUは、GPSによって検出されたデータに基づいて車両の現在の場所を決定することができる。メモリは、湿度閾値および対応する場所を含むデータベースを含むことができる。従って、ECUは、検出された場所データをメモリ内のデータベースと比較することによって、湿度閾値を決定することができる。幾つかの実施形態では、ECUは、ネットワークアクセス装置を介して、現在の場所をクラウドに送信し、そしてクラウドから対応する湿度閾値を受信することができる。
幾つかの実施形態では、湿度閾値を車両が意図する到着地に基づいて、その車両に対して設定することができる。例えば、車両をアラスカで販売するために製造することができる。車両メーカーは、アラスカのコンディションに基づいて湿度閾値を設定することができる。
メモリはまた、或いはその代わりに、湿度閾値および対応する季節を含むデータベースを含むことができる。ECUは現在の季節を決定することができ、そして現在の季節に基づいてデータベースにおいて湿度閾値を検索することができる。
上述したように、車両窓の外側表面上の結露を除去することもまた望ましい。この点に関して、ECUはさらに、ブロック512において、周囲湿度レベルが第2の湿度閾値よりも高いか否かを決定することができる。第2の湿度閾値は、ECUにプログラムされた閾値かまたはECUによって決定された閾値の何れかであって良く、そして、その値以上であれば結露が生じ得る周囲湿度値を表す。言い換えると、周囲湿度レベルが第1の湿度閾値未満である場合、結露は発生しにくい。例えば、第2の湿度閾値は25%であり得る。周囲湿度が10%であると、結露の起こる可能性は低い。
上記の条件が満足され周囲湿度レベルが第2の湿度閾値よりも大きい場合、車両窓の外部表面で結露が起こりやすい。従って、方法500はブロック510に進み、そこではECUが結露測定器を設定する。
図4に戻ると、結露測定器が設定されたのち、ECUは、ブロック406において、HVACによって吹き出される空気の温度に対応する結露温度を決定することができる。この結露温度は追加の結露が窓上に蓄積されることがある温度である。結露温度は通常、周囲気温よりも高い。追加の結露は、HVACが結露温度で空気を吹き出す場合に発生する可能性が高い。何故なら、内部気温と周囲気温間の差がより大きい場合にさらなる結露が発生するからである。
ECUは、内部気温、周囲気温、内部湿度レベルおよび/または周囲温度レベルの少なくとも1つに基づいて、結露温度を決定することができる。
ブロック408において、ECUは、HVACが吹き出す空気の望ましい温度に対応する、望ましい気温を決定することができる。望ましい気温は、周囲気温よりも暖かく、かつ、結露温度よりも冷たくてもよい。望ましい気温は、内部気温、周囲気温、内部湿度レベルおよび/または周囲湿度レベルの少なくとも1つに基づいて決定することができる。
上述したように、結露は通常、周囲温度が比較的冷たい場合に発生する。したがって、車両の室内に吹き出される空気が周囲温度よりも冷たいことは望ましくない。何故なら、より冷たい空気はドライバを不快にするからである。さらに、車両窓上の結露を減らすために、HVACによって望ましい気温で空気を吹き出すべきである。したがって、HVACからの空気が結露温度よりも暖かいことは望ましくない。
いくつかの実施形態では、望ましい気温を、5°F(−15℃)、10°F(−12,2℃)等の、結露温度よりも低い既定の値に設定することができる。例えば、既定の値が5°F(−15℃)であり結露温度が50°F(10℃)の場合、望ましい気温を55°F(12.8℃)に設定することができる。いくつかの実施形態において、望ましい気温は、周囲気温と結露温度との平均値に設定することができる。いくつかの実施形態において、望ましい気温を決定するためにその他の方法を使用することができる。
HVACが空気を吹き出す前に、ECUは、ブロック410において、新鮮な空気或は再循環空気のいずれを吹き出すべきか決定してもよい。結露は空気中の湿度に由来するので、最も湿気の少ない空気を提供することが望ましい。したがって、ECUは内部湿度レベルを周囲湿度レベルと比較することができる。内部湿度レベルが周囲湿度レベルよりも高い場合、新鮮な空気が再循環空気よりも湿度が低いので、ECUは新鮮な空気が望ましいと決定することができる。内部湿度レベルが周囲湿度レベルより小さい場合、再循環空気が新鮮な空気よりも湿度が小さいので、ECUは再循環空気が望ましいと決定することができる。
ブロック412において、ECUはHVACが望ましい気温で空気を吹き出すように自動的に制御することができる。ECUは、さらに、HVACが新鮮な空気かまたは再循環空気を吹き出すべきかを、ブロック410での決定に基づいて、自動的に制御することができる。ブロック410は選択肢である。ブロック410が選択された場合、HVACは新鮮な空気を吹き出すように設計されていてもよい。
ECUはさらにHVACを制御して、空気を窓或はフロントガラスに吹き出す前に、空気に空調を行う。空調は空気から湿気を取り除き、その結果、蓄積するかも知れない不必要な量の結露を減少させる。しかしながら、空気の湿度レベルが快適閾値以下であると、ドライバおよび乗客は乾燥した空気によって不快にされることがある。このような不快の可能性を減らすために、ECUは、内部湿度レベルが快適閾値以上を保つために、内部湿度レベルをモニタしていてもよい。
図6を参照すると、テーブル600は、図1に示すECU102によるHVAC110の制御のような、検出データに基づいたECUによるHVACの例示的制御を示している。ECUは、図4の方法400に類似の方法に基づいて、HVACを制御してもよい。湿度閾値、第1の温度閾値および第2の温度閾値が、説明ブロック602内に示されている。
行604において、周囲気温は70°Fである。しかしながら、第1温度閾値は65°Fである。したがって、周期気温は第1の温度閾値未満であり、そして結露測定器が設定されない。
行606において、周囲気温は50°Fであり、これは第1の温度閾値未満である。しかしながら、内部気温と周囲気温との差がたったの5°Fである。したがって、その差は、第2の温度閾値10°F未満であり、その結果、結露測定器は設定されない。
行608において、周囲気温は50°Fであり、同様に第1の温度閾値以下である。内部気温と周囲気温との差は15°Fであり、これは第2の温度閾値よりも高い。データのこのような組み合わせは、結露が起こりうることを示しており、従って結露測定器が設定される。
ECUは、望ましい温度が60°Fであると決定しており、これは周囲気温よりも高く、追加の結露を窓上に形成させるには未だ十分に高くない。望ましい温度は、内部気温よりも低く、結露温度が内部気温に近い場合に時として起こりうる。
内部湿度レベルは40%であり、これは周囲湿度レベルの35%よりも高い。したがって、新鮮な空気が車室内の空気よりも湿度が低いので、ECUは、HVACが再循環空気よりも新鮮な空気を吹き出すべきであると決定することができる。ECUは従って、HVACが60°Fの空調された空気を吹き出すように制御されてもよい。
本発明の例示的な実施形態を、説明的なスタイルで開示している。したがって、全体として使用した用語は、非限定的な方法で読まれるべきである。当業者はここの教示に対する小規模の修正を行うであろうが、本明細書において保証される特許の範囲内に限定されることが意図されているのは、これによって貢献される進歩の範囲内に道理的に入るすべてのそのような実施形態であり、そしてその範囲は、添付の特許請求の範囲およびその等価物に照らした場合を除いて、限定されるべきではない。