JP6702169B2 - 熱遮蔽部材、単結晶引き上げ装置および単結晶シリコンインゴットの製造方法 - Google Patents

熱遮蔽部材、単結晶引き上げ装置および単結晶シリコンインゴットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱遮蔽部材、単結晶引き上げ装置および単結晶シリコンインゴットの製造方法に関する。
一般に、半導体デバイスの基板としては、チョクラルスキー(Czochralski,CZ)法により育成した単結晶シリコンインゴットに対してウェーハ加工処理を施して得られたシリコンウェーハが使用されている。
図1は、CZ法により単結晶シリコンインゴットを育成する一般的な単結晶引き上げ装置の一例を示している。この図に示した単結晶引き上げ装置100は、チャンバ51内に、単結晶シリコンインゴットIの原料物質を収容するためのるつぼ52が設けられており、この図に示したるつぼ52は、石英るつぼ52aと黒鉛るつぼ52bとで構成されている。このるつぼ52の下部には、るつぼ52を円周方向に回転させるとともに、るつぼ52を鉛直方向に昇降させるるつぼ回転昇降軸53が取り付けられている。また、るつぼ52の周囲には、ヒータ54が配置されており、るつぼ52内に収容された原料物質を加熱してシリコン融液Mにする。
チャンバ51の上部には、単結晶シリコンインゴットIを引き上げるための引き上げ軸55が設けられており、この先端に固定された種結晶保持器56に種結晶Sが保持されている。また、チャンバ51の上部および下部には、ガス導入口57およびガス排出口58がそれぞれ設けられており、単結晶シリコンインゴットIの育成中に、ガス導入口57からチャンバ51内に不活性ガスを供給し、インゴットIの外周面に沿って通過させてガス排出口58から排出するように構成されている。
さらに、チャンバ51内には、育成中のインゴットIの外周面を包囲する円筒形の熱遮蔽部材60が設けられている。図2は、従来の熱遮蔽部材60の構成の一例を示している。この図に示した熱遮蔽部材60は、単結晶シリコンインゴットIの外周面を包囲する円筒状の筒部61と、筒部61の下部にて筒内に膨出する膨出部62とを備える(例えば、特許文献1参照)。ここで、筒部61は内壁61aと外壁61bとを有している。また、膨出部62は上壁62aと底壁62bと2つの縦壁62c、62dとを有している。そして、これらの壁によって囲まれた空間に断熱材(蓄熱部材)Hが設けられている。
このような熱遮蔽部材60は、ヒータ54やシリコン融液M、るつぼ52の側壁からの輻射熱を遮蔽して、引き上げる単結晶シリコンインゴットIの冷却を促進する一方、ヒータ54やシリコン融液Mにより加熱された膨出部62の断熱材HによりインゴットIの外周面を保温し、単結晶シリコンインゴットIの中心部と外周部における結晶軸方向の温度勾配の差が大きくなるのを抑制する。
図3は、一般的な単結晶引き上げ装置の別の例を示している。図1に示した装置100における熱遮蔽部材60においては、膨出部は筒内に膨出するように構成されているが、この図に示した装置200においては、熱遮蔽部材70の膨出部は筒外に膨出するように構成されている(例えば、特許文献2参照)。
上記装置100(200)を用いて、単結晶シリコンインゴットIの育成は以下のように行う。まず、チャンバ51内を減圧下のArガス等の不活性ガス雰囲気に維持した状態で、ヒータ54によってるつぼ52内に収容された多結晶シリコン等の原料物質を加熱して溶融し、シリコン融液Mとする。次いで、引き上げ軸55を下降させて種結晶Sをシリコン融液Mに浸漬し、るつぼ52および引き上げ軸55を所定の方向に回転させながら、引き上げ軸55を上方に引き上げる。こうして、種結晶Sの下方に単結晶シリコンインゴットIを育成することができる。
上記装置100(200)を用いて育成された単結晶シリコンインゴットIには、デバイス形成工程で問題となる様々の種類のGrown−in欠陥が形成される。このGrown−in欠陥のインゴットIの径方向面内の分布は、2つの要因、すなわち、結晶の引き上げ速度Vおよび固液界面における温度勾配Gに依存することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
図4は、固液界面における温度勾配Gに対する引き上げ速度Vの比V/Gと単結晶シリコンインゴットIを構成する結晶領域との関係を示す図である。この図に示すように、単結晶シリコンインゴットは、V/Gの値が大きい場合には、空孔が形成されて結晶に起因したパーティクル(Crystal Originated Particles,COP)が検出される結晶領域であるCOP発生領域71に支配される。
V/Gの値を小さくすると、特定の酸化熱処理を施すと、酸化誘起積層欠陥(OSF:Oxidation Induced Stacking Fault)と呼ばれるリング状に分布するOSF潜在核領域72が形成され、このOSF領域72にはCOPは検出されない。
さらにV/Gの値を小さくすると、酸素析出物が存在しCOPが検出されない結晶領域である酸素析出促進領域(以下、「Pv領域」ともいう)73が、次いで酸素の析出が起きにくくCOPが検出されない結晶領域である酸素析出抑制領域(以下、「Pi領域」ともいう)74が形成され、転位クラスターが検出される結晶領域である転位クラスター領域75が形成される。
V/Gに応じてこのような欠陥分布を示す単結晶シリコンインゴットIから採取されるシリコンウェーハにおいて、COP発生領域71および転位クラスター領域75以外の結晶領域は、一般的には欠陥のない無欠陥領域と見なされる結晶領域であり、一般に、これらの結晶領域から採取されるシリコンウェーハは、無欠陥のシリコンウェーハとされる。
特開2004−107132号公報 特開2004−2064号公報
"The Mechanism of Swirl Defects Formation in Silicon", Journal of Crystal Growth, Vol. 59, 1982, pp.625-643
近年、半導体デバイスの微細化および高集積化が益々進行し、シリコンウェーハに転位クラスターやCOP(Crystal Originated Particles)といった結晶欠陥が含まれない、いわゆる無欠陥のシリコンウェーハであることが要求されている。
例えば図1に示した装置100を用いて、無欠陥の結晶領域を有する単結晶シリコンインゴットIを育成するためには、ヒータ54やシリコン融液Mからの輻射熱をインゴットIの外周面により多く当てるために、熱遮蔽部材60の下端とシリコン融液Mの表面との間の距離を、無欠陥ではない結晶領域を含むインゴットIを育成する場合に比べて大きくする必要がある。
しかしながら、上述のように熱遮蔽部材60を構成した装置を用いることにより、無欠陥の結晶領域を含む単結晶シリコンインゴットIを育成することができるものの、インゴットIの育成時に結晶の水平断面形状の真円度が低下する“変形”が生じることが問題となっていた。結晶の変形が生じると、ウェーハとした場合にウェーハ外周部の品質が劣化する、あるいは部分的に所望の直径を満たさないウェーハになるという不具合が生じる場合がある。こうした不具合は、図3に示した装置200の場合についても同様である。
そこで、本発明の目的は、結晶の変形を抑制しつつ無欠陥の単結晶シリコンインゴットを引き上げることを可能にする熱遮蔽部材、単結晶引き上げ装置および単結晶シリコンインゴットの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決する熱遮蔽部材について鋭意検討した。その結果、膨出部を構成する2つの縦壁のうち、インゴットIに隣接する側の縦壁について、その下端の厚みを上端の厚みよりも大きくすることが極めて有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)石英るつぼの周囲に配置されたヒータにより加熱されて前記石英るつぼに貯留されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを引き上げる単結晶引き上げ装置に設けられる熱遮蔽部材であって、該熱遮蔽部材は、前記単結晶シリコンインゴットの外周面を包囲する円筒状の筒部と、前記筒部の下部にて筒内または筒外に膨出する膨出部とを備える、熱遮蔽部材において、
前記膨出部は、上壁と底壁と2つの縦壁とを有し、それら壁によって囲まれた空間に断熱材を有し、
前記2つの縦壁のうちの前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁は、その下端の厚みが上端の厚みよりも大きいことを特徴とする熱遮蔽部材。
(2)前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁と前記底壁とが一体に形成されている、前記(1)に記載の熱遮蔽部材。
(3)前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁が炭素材料を有する、前記(1)または(2)に記載の熱遮蔽部材。
(4)前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁は、その上端から下端に向かって単調に増加する、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の熱遮蔽部材。
(5)前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁について、その上端と下端とを通過する平面と前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁の外面との間の角度が30°以上50°以下である、前記(4)に記載の熱遮蔽部材。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の熱遮蔽部材を備える単結晶引き上げ装置。
(7)前記(6)に記載の単結晶引き上げ装置を用いて製造することを特徴とする単結晶シリコンの製造方法。
本発明によれば、結晶の変形を抑制しつつ無欠陥の単結晶シリコンインゴットを得ることができる。
一般的な単結晶引き上げ装置の一例を示す図である。 熱遮蔽部材の一例を示す図である。 一般的な単結晶引き上げ装置の別の例を示す図である。 固液界面における温度勾配に対する引き上げ速度の比と単結晶シリコンインゴットを構成する結晶領域との関係を示す図である。 本発明による熱遮蔽部材の一例を示す図である。 本発明による熱遮蔽部材における縦壁の定義を説明する図である。 本発明による熱遮蔽部材における縦壁の定義を説明する図である。 縦壁と底壁とが一体に形成された熱遮蔽部材を示す図である。
(熱遮蔽部材)
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明による熱遮蔽部材は、石英るつぼの周囲に配置されたヒータにより加熱されて上記石英るつぼに貯留されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを引き上げる単結晶引き上げ装置に設けられる熱遮蔽部材であり、該熱遮蔽部材は、単結晶シリコンインゴットの外周面を包囲する円筒状の筒部と、筒部の下部にて筒内または筒外に膨出する膨出部とを備える。ここで、膨出部は、上壁と底壁と2つの縦壁とを有し、それらの壁によって囲まれた空間に断熱材を有し、2つの縦壁のうちの単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁は、その下端の厚みが上端の厚みよりも大きいことを特徴とする。
上述のように、図1に示した装置100または図3に示した装置200を用いて無欠陥の結晶領域を有する単結晶シリコンインゴットIを育成する場合、無欠陥ではないものを引き上げる場合に比べて、熱遮蔽部材60(70)の下端とシリコン融液Mとの間の距離(ギャップ)を大きくする必要がある。しかし、そのように構成された熱遮蔽部材60(70)を備える装置を用いると、無欠陥の結晶領域を有するインゴットIが得られるものの、結晶の水平断面形状の真円度が低下する“変形”が生じやすくなる。
本発明者らは、上記結晶の変形が生じる原因について詳細に調査した。その結果、シリコン融液Mと熱遮蔽部材60(70)の下端とシリコン融液Mとの間の大きなギャップにより、シリコン融液Mの表面が冷却されて、シリコン融液Mの表面近傍部分の径方向温度勾配が小さくなったことによるものであることが判明した。
すなわち、シリコン融液Mの表面近傍部分の径方向温度勾配が小さくなると、結晶方位による固化速度の違いが顕著になり、結晶外周部に様々な結晶方位を有する単結晶は、それに対応して様々な固化速度を有することとなるため、結晶の水平断面形状の真円度が低下する“変形”が生じる。
こうした結晶の変形を引き起こすシリコン融液表面の冷却を抑制するためには、熱遮蔽部材60(70)の下端とシリコン融液Mとの間のギャップを小さくすることが有効である。しかし、上記ギャップを小さくすると、無欠陥の結晶が得られる条件を満たさなくなってしまう。
また、インゴットIを引き上げる際の結晶の回転速度やるつぼの回転速度、磁場強度等のプロセスパラメータを調整することによっても、結晶の変形を抑制することは可能である。しかしながら、プロセスパラメータの変更は、酸素濃度等の結晶品質の変更に繋がるため難しい。
そこで、本発明者らは、プロセスパラメータを変更することなく、変形が抑制された無欠陥の結晶を得るために、熱遮蔽部材の構成に着目した。従来の装置100(200)における熱遮蔽部材60(70)において、断熱材Hが配置された空間を区画する壁は、断熱材Hを構成する炭素繊維等の材料がシリコン融液M中に落下するのを防止するための単なるカバー部材にすぎず、壁の厚みはほぼ同じにされている。
上述のように、無欠陥の結晶領域を含むインゴットIを引き上げる際に、熱遮蔽部材60(70)の下端とシリコン融液Mとの間のギャップを大きくする理由は、シリコン融液Mの輻射熱をインゴットIの外周面に照射させて、インゴットIの径方向の温度勾配分布を無欠陥の結晶が得られる条件を満たすようにするためである。しかし、上記ギャップが大きいと、シリコン融液Mの表面が冷却されてしまうのである。
そこで、本発明者らは、熱遮蔽部材の下端とシリコン融液Mとの間のギャップを狭めつつ、シリコン融液Mの輻射熱を単結晶シリコンインゴットIの外周面に良好に照射させる手段について鋭意検討した。その結果、膨出部を構成する2つの縦壁のうち、インゴットIに隣接する縦壁の厚みを大きくすることに想到した。これにより、るつぼ52のより径方向外側のシリコン融液Mからの輻射熱をインゴットIに導いて、より多くの輻射熱を単結晶シリコンインゴットIの外周部に照射させることができる。
しかしながら、単結晶シリコンインゴットIの育成時に装置全体が冷却されているため、縦壁3c(3d)の厚みを大きくすると、装置上部の水冷部の影響により、縦壁3c(3d)の上部に対向するインゴットIの部分について外表面の冷却が促進されてしまい、インゴットIの温度勾配分布に悪影響を与えることが判明した。
そこで、本発明者らは、こうした温度勾配分布に悪影響を与えることなく、シリコン融液Mの輻射熱を単結晶シリコンインゴットIの外周面に良好に照射させる手段について鋭意検討した結果、膨出部を構成する2つの縦壁のうち、インゴットに隣接する側の縦壁の下端の厚みを上端の厚みよりも大きくすることに想到したのである。
図5は、本発明による熱遮蔽部材の一例を示している。この図に示した熱遮蔽部材1は、単結晶シリコンインゴットIの外周面を包囲する円筒状の筒部2と、筒部2の下部にて筒内に膨出する膨出部3とを備える。ここで、筒部2は、内壁2aと外壁2bとを有し、これらの間には、断熱材Hが設けられている。また、膨出部3は、上壁3aと底壁3bと2つの縦壁3c、3dとを有しており、それらの壁で囲まれた空間に断熱材Hが設けられている。なお、上記熱遮蔽部材1は、縦壁3cがインゴットIに隣接するように構成されている。
図5に例示した熱遮蔽部材1においては、縦壁3cの厚みが上端Uから下端Lに向けて単調に増加するように構成されている。これにより、シリコン融液Mからの輻射熱を受けた底壁3bの熱を縦壁3cにより多く伝導する結果、縦壁3cの温度が高温化し、縦壁3cの内面から多くの輻射熱を単結晶シリコンインゴットIの外周部に照射させることができる。その結果、熱遮蔽部材1の下端とシリコン融液Mの表面との間のギャップを、従来の熱遮蔽部材60を用いた場合に比べて狭めることができ、シリコン融液Mの表面の冷却を抑制して、結晶の変形を抑制することができる。
なお、本明細書において、熱遮蔽部材1における膨出部3の縦壁3cは、図6に示すように、熱遮蔽部材1の外形を構成する壁において、上壁3aの内面3aを含む平面、および底壁3bの内面3bを含む平面との間に区画された部分を指す。そして、縦壁3cの上端Uおよび下端Lは、縦壁3cの内面におけるものであり、上端Uの厚みTおよび下端Lの厚みTは、縦壁3cの外面3cに垂直な方向に対するものである。
また、図3に示した装置200における熱遮蔽部材70のように、膨出部が筒外に膨出するように構成されている場合には、インゴットI側の縦壁3dは、図7に示すように、筒部の内壁のうち、筒部の外壁と膨出部の上壁3aとの境界を通る水平面Pと、底壁3bの内面3bを含む平面との間に区画された部分を指す。そして、縦壁3dの上端Uおよび下端Lは、縦壁3dの内面におけるものであり、上端Uの厚みTおよび下端Lの厚みTは、縦壁3dの外面3dに垂直な方向に対するものである。
なお、上壁3aおよび底壁3bが複数の部材で構成されている場合には、上記縦壁3cまたは3dに関する定義は、縦壁3cまたは3dに接する部材に基づくものとする。
熱遮蔽部材1の外形を構成する壁は、全てを一体で形成することは難しいため、複数の壁部材を組み合わせて壁全体を構成するのが一般的である。その際、壁全体を分割する位置は限定されず、例えば図5に示したように3つの部材に分割することができるが、シリコン融液Mから底壁3bに入射した輻射熱を、よりスムーズに縦壁3cに伝えるために、図8に示すように、インゴットIに隣接する側の縦壁3cと底壁3bとが一体に形成されていることが好ましい。
また、上記インゴットI側の縦壁の上端の厚みは2mm以上とすることが好ましい。これにより、カバー部材としての十分な強度を確保することができる。また、インゴットI側の縦壁の下端の厚みの上限は、熱遮蔽部材内において、下端の厚みが上端の厚みよりも大きく構成されていれば特に限定されず、縦壁の下端は、底壁3bの内面3b 沿って、インゴットI側に隣接しない側の縦壁の内面までの範囲の任意の位置に位置させることができる。
熱遮蔽部材1の外形を構成する壁のうち、下端の厚みが上端の厚みよりも大きい縦壁3cまたは3dは、シリコン融液Mからの輻射熱を単結晶シリコンインゴットIの外周面に良好に伝達するために、熱伝導率が高い材料で構成することが好ましい。より好ましくは、インゴットIに隣接する側の縦壁3cおよび底壁3bは熱伝導率が高い材料で構成することが好ましい。
上記熱伝導率が高い材料としては、グラファイト等の炭素材料やモリブデン(Mo)等の金属を挙げることができる。これらの中でも、汚染が少ないことから、上記炭素材料で壁を構成することが好ましい。
また、縦壁3c(3d)の厚みが上端U(U)から下端Lに向かって直線的に増加するように構成されている場合、縦壁3cの上端U(U)と下端L(L)とを通過する平面(すなわち、内面)と縦壁3c(3d)の外面3c(3d)との間の角度が30°以上50°以下であることが好ましい。これにより、シリコン融液Mからの輻射熱を単結晶シリコンインゴットIの外周面に効率的に伝達して、熱遮蔽部材1の下端とシリコン融液Mの表面との間のギャップをより狭くすることができる。
なお、図5に例示した熱遮蔽部材1においては、縦壁3cの厚みは、上端Uから下端Lに向けて直線的に増加しているが、本発明は、縦壁3c(3d)が、その下端L(L)での厚みが上端U(U)での厚みよりも大きければよく、縦壁3c(3d)の上端U(U)と下端L(L)との間の厚みプロファイルは限定されず、縦壁3c(3d)の厚みは、上端U(U)から下端L(L)に向けて直線的に増加している必要はない。
(単結晶引き上げ装置)
本発明による単結晶引き上げ装置は、上述した本発明による熱遮蔽部材を備えることを特徴としている。よって、熱遮蔽部材以外の構成については限定されず、所望の単結晶シリコンインゴットを育成できるように適切に構成することができる。
例えば、図1に示した単結晶引き上げ装置100において、熱遮蔽部材60に代えて、図5および図8に例示した本発明による熱遮蔽部材を適用することにより、本発明による単結晶引き上げ装置とすることができる。そして、本発明による単結晶引き上げ装置を用いることにより、結晶の変形を抑制しつつ無欠陥の単結晶シリコンインゴットを育成することができる。
(単結晶シリコンの製造方法)
また、本発明による単結晶シリコンの製造方法は、上述した本発明による単結晶引き上げ装置を用いてシリコン結晶を製造することを特徴としている。よって、上述した本発明による単結晶引き上げ装置を用いること以外については限定されず、所望の単結晶シリコンインゴットを育成できるように適切に構成することができる。
例えば、図1に示した単結晶引き上げ装置100において、熱遮蔽部材60に代えて、図5および図8に例示した本発明による熱遮蔽部材1を適用した装置を用いて、以下のように単結晶シリコンインゴットを製造することができる。まず、チャンバ51内を減圧下のArガス等の不活性ガス雰囲気に維持した状態で、ヒータ54によってるつぼ52内に収容された多結晶シリコン等の原料物質を加熱して溶融し、シリコン融液Mとする。次いで、引き上げ軸55を下降させて種結晶Sをシリコン融液Mに浸漬し、るつぼ52および引き上げ軸55を所定の方向に回転させながら、引き上げ軸55を上方に引き上げる。こうして、結晶の変形を抑制しつつ、無欠陥の単結晶シリコンインゴットIを育成することができる。
<単結晶シリコンインゴットの育成>
(発明例)
本発明による単結晶シリコンの製造方法により、単結晶シリコンの製造を行った。具体的には、単結晶引き上げ装置として、図1に示した単結晶引き上げ装置100において、熱遮蔽部材60に代えて、図8に示した熱遮蔽部材1を適用した装置を用いた。この熱遮蔽部材1は、表面にSiCコートを施したグラファイト材を用い、縦壁3cでの内径は直径400mm、上壁3aの厚みを6mm、底壁3bの厚みを8mmとし、縦壁3cの内面傾斜角度は外面に対して45°とした。また、熱遮蔽部材1の下端とシリコン融液Mとの間のギャップは73mmとした。
(比較例)
図1に示した単結晶引き上げ装置100を用いて単結晶シリコンを製造した。ここで、熱遮蔽部材60における縦壁62cの厚みは、全ての部分で6mmとし、上壁62aは6mm、底壁62bは8mmとした。また、熱遮蔽部材60は、その下端とシリコン融液Mとの間のギャップが80mmとなるように配置した。この熱遮蔽部材60の配置は、無欠陥の単結晶シリコンを製造する条件を満たしている。その他の条件は、発明例と全て同じである。
<結晶変形の評価>
発明例および比較例のいずれにおいても、無欠陥の単結晶シリコンインゴットを育成することができた。しかし、発明例においては、変形の小さい結晶を製造することができたのに対して、比較例においては、変形の小さい結晶を製造することができなかった。具体的には、発明例および比較例により得られた単結晶シリコンインゴットの変形の度合いを示す指標である変形率を用いて変形について評価を行った(例えば、特開平09−87083号公報参照)。変形率は、単結晶シリコンインゴットの直径について、((最大直径−最小直径)/最小直径)×100(%)で定義される値であり、発明例については、0.8〜1.2%と小さく、品質基準を満たしているのに対して、比較例については、1.3〜2.1%であり、品質基準を満たしていなかった。
上記変形の小さい結晶を製造できる本発明の上記効果は、縦壁3cの内面傾斜角度が外面3cに対して30°および50°の場合についても同様に得られることが分かった。
本発明によれば、結晶の変形を抑制しつつ無欠陥の単結晶シリコンインゴットを引き上げることができるため、半導体産業において有用である。
1,60,70 熱遮蔽部材
2,61 筒部
2a,61a 内壁
2b,61b 外壁
3,62 膨出部
3a,62a 上壁
3b,62b 底壁
3c,3d,62c,62d 縦壁
51 チャンバ
52 るつぼ
52a 石英るつぼ
52b 黒鉛るつぼ
53 るつぼ回転昇降軸
54 ヒータ
55 引き上げ軸
56 種結晶保持器
57 ガス導入口
58 ガス排出
71 COP発生領域
72 OSF潜在核領域
73 酸素析出促進領域(Pv領域)
74 酸素析出抑制領域(Pi領域)
75 転位クラスター領域
100,200 単結晶引き上げ装置
H 断熱材
I 単結晶シリコンインゴット
M シリコン融液
S 種結晶

Claims (8)

  1. 石英るつぼの周囲に配置されたヒータにより加熱されて前記石英るつぼに貯留されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを引き上げる単結晶引き上げ装置に設けられる熱遮蔽部材であって、該熱遮蔽部材は、前記単結晶シリコンインゴットの外周面を包囲する円筒状の筒部と、前記筒部の下部にて筒内に膨出する膨出部とを備える、熱遮蔽部材において、
    前記膨出部は、上壁と底壁と2つの縦壁とを有し、それら壁によって囲まれた空間に断熱材を有し、
    前記2つの縦壁のうちの前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁は、前記上壁の内面を含む平面と前記底壁の内面を含む平面との間において、その下端の厚みが上端の厚みよりも大きいことを特徴とする熱遮蔽部材。
  2. 石英るつぼの周囲に配置されたヒータにより加熱されて前記石英るつぼに貯留されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを引き上げる単結晶引き上げ装置に設けられる熱遮蔽部材であって、該熱遮蔽部材は、前記単結晶シリコンインゴットの外周面を包囲する円筒状の筒部と、前記筒部の下部にて筒外に膨出する膨出部とを備える、熱遮蔽部材において、
    前記膨出部は、上壁と底壁と2つの縦壁とを有し、それら壁によって囲まれた空間に断熱材を有し、
    前記2つの縦壁のうちの前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁は、前記筒部の外壁と前記膨出部の上壁との境界を通る水平面と前記底壁の内面を含む平面との間において、その下端の厚みが上端の厚みよりも大きいことを特徴とする熱遮蔽部材。
  3. 前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁と前記底壁とが一体に形成されている、請求項1または2に記載の熱遮蔽部材。
  4. 前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁が炭素材料を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱遮蔽部材。
  5. 前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁は、その厚みが上端から下端に向かって単調に増加する、請求項1〜のいずれか一項に記載の熱遮蔽部材。
  6. 前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁について、その上端と下端とを通過する平面と前記単結晶シリコンインゴットに隣接する側の縦壁の外面との間の角度が30°以上50°以下である、請求項に記載の熱遮蔽部材。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の熱遮蔽部材を備える単結晶引き上げ装置。
  8. 請求項に記載の単結晶引き上げ装置を用いて製造することを特徴とする単結晶シリコンインゴットの製造方法。
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