JP6701900B2 - ガラス母材の延伸方法 - Google Patents

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本発明は、ガラス母材を加熱して延伸するガラス母材の延伸方法に関する。
ガラス母材を発熱体によって加熱して延伸する技術が知られている。例えば特許文献1には、延伸中の母材位置を測定し、延伸炉の中心軸と一致するように制御して製造することが記載されている。特許文献2には、延伸中の母材位置を測定し、延伸装置の軸中心と一致するようにインゴットの把持角度を変更することが記載されている。特許文献3には、母材インゴットの中心と延伸装置の軸中心とのずれ量を測定し、母材インゴットの中心が延伸装置の軸中心と一致するように母材インゴットの位置を移動させることが記載されている。
特開平8−40741号公報 特開平9−30825号公報 特開平9−30827号公報
ガラス母材に曲がりがあると、例えばガラス母材から光ファイバを製造する場合では、光ファイバの線引き時における作業性や光ファイバの特性の安定性などに問題が生じるおそれがある。そのため、ガラス母材を延伸する際に、延伸されたガラス母材の曲がりを極力抑えることが望まれている。このガラス母材の曲がりを抑えるために、例えば上記特許文献1〜3等の技術が知られているが、特許文献1は、炉体内部における母材位置を測定するために斜め方向に測定する必要があり測定精度に問題がある。また、特許文献2、3では、炉体内にセンサを設ける必要があり、炉体構造が複雑になることとコスト増となる問題がある。
本発明は、ガラス母材を発熱体によって加熱して延伸する際に、延伸後のガラス母材の曲がりを抑制することが可能なガラス母材の延伸方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るガラス母材の延伸方法は、
リング状の発熱体を備える延伸炉内にガラス母材を挿入し、前記発熱体により前記ガラス母材を加熱し、前記ガラス母材の上端および下端を把持して前記ガラス母材を延伸する方法であって、
前記延伸炉下端の外部近傍で、前記ガラス母材の延伸方向の中心軸に直交する少なくとも二方向のガラス母材位置を連続的に測定する位置測定工程と、
前記位置測定工程で測定されたガラス母材位置により、前記発熱体の中心軸に対する前記ガラス母材の中心軸のずれを算出するずれ算出工程と、
前記ずれ算出工程で算出された結果に基づき、前記ガラス母材の中心軸と直交する方向の位置調整、前記ガラス母材の延伸速度調整、前記発熱体による加熱温度調整、の少なくともいずれか一つの調整により前記ずれの量を所定の値とするように調整する調整工程と、
を有する。
本発明によれば、ガラス母材を発熱体によって加熱して延伸する際に、延伸後のガラス母材の曲がりを抑制することができる。
(a)は本発明の一態様に係るガラス母材の延伸方法を実施するガラス母材の延伸装置の一例を説明する図であり、(b)は(a)のA−Aにおける断面図である。 延伸ガラス母材の曲がり量の測定方法を説明する図である。 ガラス母材の位置調整の前後における延伸ガラス母材の中心軸のずれと曲がり量の関係を示すグラフである。 延伸速度に対する曲がり量の実験結果を示すグラフである。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係るガラス母材の延伸方法は、
(1)リング状の発熱体を備える延伸炉内にガラス母材を挿入し、前記発熱体により前記ガラス母材を加熱し、前記ガラス母材の上端および下端を把持して前記ガラス母材を延伸する方法であって、
前記延伸炉下端の外部近傍で、前記ガラス母材の延伸方向の中心軸に直交する少なくとも二方向のガラス母材位置を連続的に測定する位置測定工程と、
前記位置測定工程で測定されたガラス母材位置により、前記発熱体の中心軸に対する前記ガラス母材の中心軸のずれを算出するずれ算出工程と、
前記ずれ算出工程で算出された結果に基づき、前記ガラス母材の中心軸と直交する方向の位置調整、前記ガラス母材の延伸速度調整、前記発熱体による加熱温度調整、の少なくともいずれか一つの調整により前記ずれの量を所定の値とするように調整する調整工程と、
を有する。
この方法によれば、ガラス母材を延伸する際に、延伸炉下端の外部近傍でガラス母材の延伸方向の中心軸に直交する少なくとも二方向のガラス母材位置を連続的に測定するので、延伸炉の出口近傍の延伸された直後の中心軸のずれの量を常に把握できる。このずれの量に基づいて、ガラス母材の中心軸と直交する方向の位置、ガラス母材の延伸速度、発熱体による加熱温度の少なくともいずれか一つを調整することで、延伸後のガラス母材の曲がりを抑制できる。
(2) 前記調整工程は、
前記ガラス母材の延伸開始時には、前記ガラス母材の中心軸と直交する方向の位置を前記ずれの量が所定の値となるように前記位置調整を行い、
前記ガラス母材の延伸の途中からは、前記位置調整に変えて、前記ガラス母材の延伸速度調整、前記発熱体による加熱温度調整のいずれか一つにより前記ずれの量が所定の値となるように調整する。
延伸開始時はガラス母材の加熱が十分ではない可能性があり、通常の延伸速度、加熱温度において延伸張力が大きいため、延伸速度調整や加熱温度調整より、位置調整による調整方法が好ましい。また、延伸の途中からはガラス母材の加熱が十分になっているため通常の延伸速度、加熱温度において延伸張力が低下し、位置調整を行っても加熱軟化部分より下の位置測定部の位置変化に伝わりにくいので、位置調整よりも、延伸速度調整や加熱温度調整が好ましい。
(3) 前記位置調整は、前記発熱体の中心軸からずれた所定の位置に前記ガラス母材の中心軸が合致するように調整する。
発熱体の周方向の温度分布が均一ではない場合などのため、発熱体の中心軸にガラス母材の中心軸を一致させても延伸後のガラス母材に曲がりが生じる場合がある。このような場合は、発熱体の中心軸からずれた所定の位置にガラス母材の中心軸を合致させて延伸することで曲がりを抑制することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るガラス母材の延伸方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本実施形態に係るガラス母材の延伸方法を実施するガラス母材の延伸装置の一例について、図1の(a),(b)を参照しつつ説明する。
図1の(a),(b)に示すように、ガラス母材Gの延伸装置1は、予め所定の太径に形成された延伸前のガラス母材G1を、ガラス母材G1の径より細い所定の径を有した延伸ガラス母材G2に延伸するために用いられる。
なお、ガラス母材Gが例えば光ファイバ用のガラス母材である場合、延伸前のガラス母材G1は、以下のように形成される。コア及びクラッドの一部を有するガラスロッドの両端に石英製の種棒あるいはダミーロッドを接続して出発コアロッドを得る。この出発コアロッドの外周に、ガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体を形成し複合母材を得る。この複合母材を透明ガラス化することで、所定の太径を有したガラス母材G1を得る。
延伸装置1は、ガラス母材Gを加熱する延伸炉10と、上下方向へ移動可能な上チャック21および下チャック22と、ガラス母材Gの位置を測定する位置センサ30と、各部の動作を制御する制御部40とを備えている。
延伸炉10は、円筒状の炉心管12と、炉心管12の外周を囲むように配置されたリング状のヒータ14(発熱体の一例)とを有している。ヒータ14は、制御部40から送信されてくる制御信号に基づいて、ガラス母材Gを加熱する温度を変化させうる。延伸炉10は、ヒータ14を発熱させることで、延伸炉10内に挿入されたガラス母材G1を加熱して軟化させる。
上チャック21は、ガラス母材Gの上端に連結されている支持ロッドR1を把持している。一方、下チャック22は、ガラス母材Gの下端に連結されている支持ロッドR2を把持している。上チャック21および下チャック22は、ガラス母材Gの外径が適正に維持されるように、上下移動機構(図示省略)によって各々が個別に昇降可能に設けられている。
上チャック21は、ガラス母材G1の延伸時に、延伸炉10の加熱領域に向けて(下方向に)移動して徐々にガラス母材G1を延伸炉10内に送り込む。下チャック22は、ガラス母材G1の延伸時に、上チャック21よりも速い速度で延伸炉10の下方に向けて移動して延伸ガラス母材G2を引き取る。上チャック21及び下チャック22は、制御部40から送信されてくる制御信号に基づいて、移動速度を変化させる。これにより、延伸炉10内で軟化されたガラス母材G1の軟化部分が下方に延伸されて、延伸ガラス母材G2が得られる。
上チャック21には、ガラス母材Gの延伸方向(上下方向)に直交する面内で水平方向(例えば、左右方向や前後方向など)に移動可能な位置調整器21Aが設けられている。位置調整器21Aは、上チャック21で把持した支持ロッドR1をガラス母材Gの延伸方向に直交する面内で移動させて、ガラス母材Gの中心軸C1がヒータ14の中心軸C0と略一致するようにガラス母材Gの位置を調整する。位置調整器21Aは、制御部40から送信されてくる制御信号に基づいて、ガラス母材Gの位置調整を行う。一方、下チャック22は、ガラス母材Gの延伸方向に直交する面内での位置が固定されている。
位置センサ30は、延伸炉10下端の外部近傍に設けられている。位置センサ30は、延伸炉10よりも下流側(下方)に引き出された延伸ガラス母材G2の位置を測定する。位置センサ30は、延伸ガラス母材G2の外径を、延伸ガラス母材G2の延伸方向に直交する面内において、少なくとも二方向(例えば、前後方向と左右方向)から測定できるように配置されている。
位置センサ30は、発光部と受光部とを備え、例えば延伸ガラス母材G2を挟んだ延伸ガラス母材G2の延伸方向に直交する面内において前後と、左右とにそれぞれ対向して配置される。位置センサ30は、受光部が受光する光の強度に基づいて、延伸ガラス母材G2の外径を延伸ガラス母材G2の左右方向における外縁の座標値と前後方向における外縁の座標値として測定する。位置センサ30は、測定した延伸ガラス母材G2の位置情報を制御部40へ送信する。
制御部40は、位置センサ30で測定された位置情報に基づいて、ヒータ14の中心軸C0に対する延伸ガラス母材G2の中心軸C1のずれを算出する。延伸ガラス母材G2の中心軸C1は、ガラス母材Gの延伸方向に直交する面内における左右方向の外縁の座標値と前後方向の外縁の座標値とから、XY座標値として表わされる。中心軸C1は、X座標の値が左外縁と右外縁との中央の座標値として表わされ、Y座標の値が前外縁と後外縁との中央の座標値として表わされる。中心軸C1のずれは、ヒータ14の中心軸C0のXY座標値(0,0)に対する中心軸C1のXY座標値の差として算出される。
制御部40は、算出された中心軸C1のずれに基づいて、位置調整器21Aを動作させる制御信号を位置調整器21Aへ送信することが可能である。また、制御部40は、算出された中心軸C1のずれに基づいて、ガラス母材Gの移動速度を調整する制御信号を上チャック21及び下チャック22へ送信することが可能である。また、制御部40は、算出された中心軸C1のずれに基づいて、加熱温度を変化させる制御信号をヒータ14へ送信することが可能である。
次に、上記延伸装置1を用いたガラス母材Gの延伸方法の一例を説明する。
最初に、上チャック21及び下チャック22がそれぞれ初期位置に配置され、ガラス母材G1が延伸炉10内にセットされる。続いて、ガラス母材G1の上端に連結された支持ロッドR1を上チャック21で把持し、ガラス母材G1の下端に連結された支持ロッドR2を下チャック22で把持する。
続いて、ヒータ14によりガラス母材G1を加熱しながら、上チャック21よりも速く下チャック22を降下させて、ガラス母材G1の延伸を開始する。
続いて、延伸炉10を通過し延伸炉10の外部へ引き出された延伸ガラス母材G2の位置を例えば前後方向と左右方向との二方向から位置センサ30で測定する。延伸ガラス母材G2の位置の測定は、延伸時において継続して連続的に実施される(位置測定工程)。
続いて、測定された位置情報に基づいて、ヒータ14の中心軸C0に対する延伸ガラス母材G2の中心軸C1のずれを制御部40で算出する(ずれ算出工程)。ヒータ14の中心軸C0のXY座標値(0,0)に対して、測定された延伸ガラス母材G2の中心軸C1の座標値を(x1,y1)とすると、制御部40は、X軸方向へのずれ量をx1−0=x1、Y軸方向へのずれ量をy1−0=y1として算出し、中心軸C0から中心軸C1までのずれの距離tは、t=(x12+y12)1/2で算出される。
制御部40は、算出された中心軸C1のずれに基づいて、そのずれの量を所定の値にするように調整するための制御信号を必要に応じて位置調整器21A,上チャック21及び下チャック22,ヒータ14へ適宜送信する。
例えば位置調整器21Aに対して、制御部40は、X軸方向へのずれ量であるx1とY軸方向へのずれ量であるy1を減少させる方向へ支持ロッドR1を移動させるような制御信号を送信する。または、上チャック21及び下チャック22に対して、制御部40は、ガラス母材G1に加わる張力を大きくするためにガラス母材Gの移動速度を速くする制御信号を送信する。あるいは、ヒータ14に対して、制御部40は、ガラス母材G1に加わる張力を大きくするために加熱温度を低くする制御信号を送信する。制御部40は、これら制御信号の送信をいずれか一つ、または二つ、あるいは三つすべてを行ってもよい。
続いて、位置調整器21A,上チャック21及び下チャック22,ヒータ14は、それぞれ受信した制御信号にしたがって、中心軸C1のずれ量(ずれの距離t)を所定の値にするように各々調整を行う(調整工程)。
上記調整工程における調整は、次の(調整1)〜(調整4)である。
(調整1)位置調整器21Aによる位置調整
(調整2)上チャック21及び下チャック22によるガラス母材G1の延伸速度調整
(調整3)ヒータ14による加熱温度調整
(調整4)上記(調整1)〜(調整3)を適宜組み合わせた調整
以下、(調整1)〜(調整4)について詳細に説明する。
(調整1) 位置調整
この位置調整は、必ずしもガラス母材Gの中心軸C1をヒータ14の中心軸C0と一致した位置に調整するものに限らない。すなわち、中心軸C0に中心軸C1を一致させても延伸ガラス母材G2に曲がりが生じる場合がある。ヒータ14の周方向の温度分布が均一ではないことが原因と考えられ、通常はヒータ14の交換を行うが、交換を行わなくても、中心軸C1を中心軸C0からずらして延伸することで曲がりを抑制することができる場合がある。ずらす方向は延伸ガラス母材G2の曲がり方向から知ることが可能である。このような場合は、中心軸C1が中心軸C0から所定の方向に所定の距離だけずれた位置となるよう位置調整を行う。
なお、位置調整は連続的に行うのではなく間隔をおいて行うことが好ましい。すなわち、ガラス母材G1が加熱されて軟化している部分と位置測定部分は離れているため、一回の位置調整で、位置が変化し始めてから安定するまで時間がかかる。目安としては加熱軟化部分から位置測定部分までの距離を下チャック22の降下速度で除した時間程度の間隔で位置調整を行うことが好ましい。
(調整2) 延伸速度調整
延伸速度を増加すると、延伸張力が増加して加熱軟化部分で延伸ガラス母材G2が直線状に延伸されるため曲がりが抑制される。よって、調整方法は延伸速度を増加する調整のみである。具体的には、中心軸C1のずれ量が所定の値を越えた時に、所定の延伸速度変化分だけ延伸速度を増加する。なお、調整を繰り返しすぎると延伸張力が増加して、延伸ガラス母材G2の非円が増加するなどの問題や、延伸ガラス母材G2が破損するおそれがあるため、予めトータルの調整量を決めておき、それを超える調整は行わないことが好ましい。また、延伸最初から延伸速度を増加した条件で延伸を行うと、曲がり量は低減するが、延伸前半はガラス母材G1がまだ十分加熱されていない可能性があるため、延伸張力が増加して延伸ガラス母材G2の非円が増加するなどの問題や、延伸ガラス母材G2が破損するおそれがあるため、延伸途中で延伸速度を増加する調整を行うことが好ましい。
なお、延伸速度を調整するとガラス母材G1の加熱軟化部分のテーパ形状が変化する。延伸ガラス母材G2の外径を所定の外径にするための外径制御をガラス母材G1のテーパ部の外径測定値をもとに行っている場合は、テーパ形状が変化することで外径制御に影響を及ぼす。
したがって、延伸速度の調整は仕上がり外径の精度と、母材位置調整による外径制御への影響を考慮した上で、延伸速度の調整範囲を決めることが望ましい。
(調整3) 加熱温度調整
延伸炉10内の温度が変化してガラス母材G1の温度が変化するまで時間がかかるため応答が遅い特徴があるものの、ガラス母材G1の加熱軟化部のテーパ形状の変化は延伸速度の調整と比較して小さいため、外径制御に及ぼす影響は小さい。よって、延伸速度調整では延伸ガラス母材G2の仕上がり外径の変化が大きすぎて許容できない場合に、加熱温度調整による調整方法を用いることが好ましい。具体的には、中心軸C1のずれ量が所定の値を越えた時に、所定の温度変化分だけヒータ14による加熱温度を下げる。
なお、調整を繰り返しすぎると加熱温度が低くなりすぎるおそれがあり、延伸張力が増加して延伸ガラス母材G2の非円が増加するなどの問題や、延伸ガラス母材G2が破損するおそれがあるため、予めトータルの調整量を決めておき、それを超える調整は行わないことが好ましい。
また、延伸最初から加熱温度を下げた条件で延伸を行うと、例えば表1に示すように曲がり量は低減するが、延伸前半はガラス母材G1がまだ十分加熱されていない可能性があるため、延伸張力が増加して延伸ガラス母材G2の非円が増加するなどの問題や、延伸ガラス母材G2が破損するおそれがあるため、延伸途中で加熱温度を下げる調整を行うことが好ましい。
Figure 0006701900
(調整4) 調整1〜調整3を組み合わせた調整方法
上述の(調整1)〜(調整3)の各調整方法を組み合わせる調整方法がより一層好ましい形態である。具体的には延伸開始時は位置調整(調整1)で調整を行い、延伸途中で延伸速度調整(調整2)または加熱温度調整(調整3)に切り替える調整方法が好ましい。位置調整は中心軸C1を中心軸C0からずれた位置に調整することが可能であることや、延伸開始時はガラス母材G1の加熱が十分ではない可能性があり、通常の延伸速度、加熱温度において延伸張力が大きいため、延伸速度調整や加熱温度調整より、位置調整による調整方法が好ましい。
一方、延伸後半は母材の加熱が十分になっているため通常の延伸速度、加熱温度において延伸張力が低下している場合が多い。延伸張力が小さい場合は、位置調整器21Aで上チャック21の位置調整を行っても加熱軟化部分より下の位置測定部の位置変化に伝わりにくいことから、位置調整よりも、延伸速度調整や加熱温度調整が好ましい。
以上のことから、延伸開始時は位置調整で調整を行い、延伸途中で延伸速度調整または加熱温度調整に切り替える調整方法が好ましい。
このような調整を継続して行いながら延伸することにより、延伸ガラス母材G2の中心軸C1を常に所定の位置と略一致させた状態で延伸ガラス母材G2を形成することができる。
上述のように、本実施形態に係るガラス母材の延伸方法によれば、延伸炉10内でガラス母材G1を延伸する際に、延伸炉10下端の外部近傍でガラス母材Gの延伸方向に直交する面内において少なくとも二方向における延伸ガラス母材G2の位置を連続的に測定する。このため、延伸炉10の出口近傍の延伸された直後の延伸ガラス母材G2のずれ量を常に把握することができる。
ところで、ガラス母材の位置を測定する場合、例えば、ガラス母材G1が延伸炉10内で加熱されている最中にその炉内のガラス母材G1の位置を測定するような方法もある。しかしながら、この場合のガラス母材G1は、延伸の途中であって加熱されて高温のため形状等も容易に変形しうる状態のものである。このため、測定された位置の値は精度が低く正確性に欠ける可能性が高い。
これに対して、本実施形態では、上記のように延伸炉10の外部に引き出された延伸ガラス母材G2の位置を測定しているため、その後の変形がほぼ無い状態のものを測定することができる。このため、精度の高い測定値を得ることができる。そして、精度良く得られた位置の測定値に基づいて、延伸ガラス母材G2の中心軸C1のずれを精度良く算出することができる。
また、精度良く算出された中心軸C1のずれ量に基づいて、ガラス母材Gの延伸方向に直交する面内における延伸ガラス母材G2の位置、ガラス母材G1の延伸速度、ヒータ14による加熱温度の少なくともいずれか一つを調整することで、ずれ量を減少させることができる。これにより、延伸ガラス母材G2の曲がり量を抑制することができる。
(実験例1)
図1に示す延伸装置1を使用して、外径80mmのガラス母材G1を外径40mmの延伸ガラス母材G2に延伸する作業を行い、延伸ガラス母材G2の中心軸C1のずれに対する延伸ガラス母材G2の曲がり量を測定する実験を実施した。
先ず、延伸ガラス母材G2の中心軸C1の位置がヒータ14の中心軸C0から距離t=3.16mmずれている場合に、6本の延伸ガラス母材G2を作製し、それぞれの延伸ガラス母材G2に対して、曲がり量の測定(測定1〜測定6)を行った。この場合、位置調整器21Aによるガラス母材Gの位置調整は行っていない。
曲がり量の測定は、図2に示すように、延伸ガラス母材G2を長手方向の軸Dを中心に回転させたときの最大振れ幅d(mm)を測定し、このd(mm)を延伸ガラス母材G2の長さL(m)で除して、長さ1mあたりの量d/Lを延伸ガラス母材G2の曲がり量とした。
(第一の位置調整)
次に、第一の位置調整として、ヒータ14の中心軸C0に対する延伸ガラス母材G2の中心軸C1のずれの距離tが2.24mmとなるように位置調整器21Aで制御を行い、6本の延伸ガラス母材G2を作製し、それぞれの延伸ガラス母材G2に対して、上記位置調整を行わない場合と同じ方法で曲がり量の測定(測定1〜測定6)を行った。
(第二の位置調整)
さらに、第二の位置調整として、ヒータ14の中心軸C0に対する延伸ガラス母材G2の中心軸C1のずれの距離tが1.0mmとなるように位置調整器21Aで制御を行い、6本の延伸ガラス母材G2を作製し、それぞれの延伸ガラス母材G2に対して、上記位置調整を行わない場合と同じ方法で曲がり量の測定(測定1〜測定6)を行った。
上記位置調整を行わない場合と、第一の位置調整後および第二の位置調整後における、延伸ガラス母材G2の曲がり量の測定結果を以下の表2に示す。
Figure 0006701900
表2に示すように、位置調整を行わない場合における延伸ガラス母材G2の曲がり量の平均値は2.37mmであった。これに対して、第一の位置調整後の延伸ガラス母材G2の曲がり量の平均値は1.95mmであった。また、第二の位置調整後の延伸ガラス母材G2の曲がり量の平均値は1.24mmであった。
上記実験の結果、図3のグラフに示すように、ヒータ14の中心軸C0に対する延伸ガラス母材G2の中心軸C1のずれが小さいほど生成される延伸ガラス母材G2の曲がり量が少なくなることが分かった。
(実験例2)
図1に示す延伸装置1を使用して、外径80mmのガラス母材G1を外径40mmの延伸ガラス母材G2に延伸する作業を行い、延伸速度に対する曲がり量を測定する実験を実施した。なお、実験例2では、位置調整器21Aによるガラス母材Gの位置調整は行っていない。
先ず、通常の延伸作業で行っている延伸速度V0(100%)で6本の延伸ガラス母材G2を作製し、それぞれの延伸ガラス母材G2に対して、実験例1と同じ方法で曲がり量の測定(測定1〜測定6)を行った。
(延伸速度調整)
次に、延伸速度調整として、通常の延伸速度V0よりも速度が20%増加するように下チャック22を調整する制御を行い、延伸速度V1=1.2V0で6本の延伸ガラス母材G2を作製し、それぞれの延伸ガラス母材G2に対して、実験例1と同じ方法で曲がり量の測定(測定1〜測定6)を行った。なお、延伸速度の変更は、下チャック22の下降速度を変化させるだけでなく、上チャック21の下降速度についても同じ比率で変化させた。
上記延伸速度を行わない場合と延伸速度調整後における、延伸ガラス母材G2の曲がり量の測定結果を以下の表3に示す。
Figure 0006701900
表3に示すように、測定の結果、延伸速度V0(100%)で作製した延伸ガラス母材G2の曲がり量の平均値は2.37mmであった。これに対して、延伸速度調整後の曲がり量の平均値は2.13mmであった。
上記実験例2の結果、図4に示すように、延伸速度を速くすることにより、生成される延伸ガラス母材G2の曲がり量を少なくできることが分かった。
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
1 延伸装置
10 延伸炉
12 炉心管
14 ヒータ(発熱体の一例)
21 上チャック
22 下チャック
21A 位置調整器
30 位置センサ
40 制御部
C0,C1 中心軸
G1 ガラス母材
G2 延伸ガラス母材
R1,R2 支持ロッド

Claims (2)

  1. リング状の発熱体を備える延伸炉内にガラス母材を挿入し、前記発熱体により前記ガラス母材を加熱し、前記ガラス母材の上端および下端を把持して前記ガラス母材を延伸する方法であって、
    前記延伸炉下端の外部近傍で、前記ガラス母材の延伸方向の中心軸に直交する少なくとも二方向のガラス母材位置を連続的に測定する位置測定工程と、
    前記位置測定工程で測定されたガラス母材位置により、前記発熱体の中心軸に対する前記ガラス母材の中心軸のずれを算出するずれ算出工程と、
    前記ずれ算出工程で算出された結果に基づき、前記ガラス母材の中心軸と直交する方向の位置調整、前記ガラス母材の延伸速度調整、前記発熱体による加熱温度調整、の少なくともいずれか一つの調整により前記ずれの量を所定の値とするように調整する調整工程と、
    を有し、
    前記調整工程は、
    前記ガラス母材の延伸開始時には、前記ガラス母材の中心軸と直交する方向の位置を前記ずれの量が所定の値となるように前記位置調整を行い、
    前記ガラス母材の延伸の途中からは、前記位置調整に変えて、前記ガラス母材の延伸速度調整、前記発熱体による加熱温度調整のいずれか一つにより前記ずれの量が所定の値となるように調整する、ガラス母材の延伸方法。
  2. 前記位置調整は、前記発熱体の中心軸からずれた所定の位置に前記ガラス母材の中心軸が合致するように調整する、請求項1に記載のガラス母材の延伸方法。
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